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ゲーム業界5社の財務分析比較と売上上位2社の経営課題に関する仮説考察と解決策について

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ゲーム業界 5 社の財務分析比較と売上上位 2 社の経営課題に関する仮説考察と

解決策について

貝野綾2.October.2016

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Agenda

1. ゲーム業界の上位 5 社とは? (1 分 )2. ゲーム業界上位 5 社の財務分析比較 (4 分 )3. ソニーの経営課題に対する仮説構築と解決策 (5 分 )4. 任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策 (5 分 )

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1. ゲーム業界の 5 社とは?

【出典】各社 2016 年 3 月期 IR データ より筆者作成

  売上高(億円 ) 売上高シェア

1ソニー( ゲーム事業 ) 15,519 32.9 %

2任天堂 5,044 19.2 %

3バンダイナムコ HD 4,755 8.8 %

4ディー・エヌ・エー

1,637 6.1 %

5ガンホー・オンライン・エンターテイメント

1,543 5.5 %

表:ゲーム業界 5 社の売上高と売上高シェア

今回は売上上位 5 社として、ソニー、任天堂、バンダイナムコ HD 、ディー・エヌ・エー、ガンホー・オンライン・エンターテイメント の財務分析比較を行い、後に売上 1 , 2 位のソニー、任天堂の経営課題に関する仮説考察と解決策について述べる。

※ 1ガンホーは平成 26 年 2015 年 2 月期第 2 四半期報告書

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2. ゲーム業界上位 5 社の財務分析比較(1)貸借対照表

【出典】各社 2016 年 3 月期 IR データより筆者作成※ 1ガンホーは平成 26 年 2015 年 2 月期第 2 四半期報告書※ 2矢印は去年と比較して増加及び減少しているか示している

表:ゲーム業界 5 社貸借対照表

ソニー 任天堂 バンダイナムコ DeNA ガンホー決算年月日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2015 12 31年 月 日

現預金等 983,612 570,448 174,757 75,169 81,045その他流動資産 3,213,115 450,687 147,419 44,653 18,368有形固定資産 820,818 87,752 53,702 2,756 256無形固定資産 1,222,044 9,978 9,451 67,685 3,598投資等 10,433,801 178,037 63,007 64,598 4,811総資産 16,673,390 1,296,902 448,336 254,861 108,078流動負債 4,830,750 98,437 114,333 52,323 17,065固定負債 8,710,752 37,563 16,697 6,210 656

( )資本 純資産合計 3,131,888 1,160,902 317,306 196,328 90,357負債資本合計 16,673,390 1,296,902 448,336 254,861 108,078

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2. ゲーム業界上位 5 社の財務分析比較(2)損益計算書

【出典】各社 2016 年 3 月期 IR データより筆者作成

表:ゲーム業界 5 社損益計算書

※ 1ガンホーは平成 26 年 2015 年 2 月期第 2 四半期報告書※ 2矢印は去年と比較して増加及び減少しているか示している※3 ソニー(ゲーム事業)の売上高、営業利益以外の要素はセグメントレポートを検索したが見つける事が出来なかった。

( )ソニー ゲーム事業 任天堂 バンダイナムコ DeNA ガンホー日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日

売上高 15,519,00 504,459 475,504 163,709 154,304

売上合計 15,519,00 504,459 475,504 163,709 154,304売上原価 - 283,495 372,904 59,623 72,904その他費用収益 - 204,459 168,017 72,761 68,017費用等合計 - 487,954 540,921 132,384 540,921売上総利益 - 220,964 202,600 84,086 102,600税引前当期利益 - 27,715 48,489 20,853 48,489営業利益 887,00 32,800 49,641 19,816 72,425経常利益 ー 28,790 50,774 11,325 72,606当期純利益 ー 16,505 34,583 11,325 14,583

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2. ゲーム業界上位 5 社の財務分析比較(3) キャッシュ・フロー計算書

ソニー 任天堂 バンダイナムコ DeNA ガンホー年月日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2016 3 31年 月 日 2015 12 31年 月 日

営業活動によるキャッシュフロー

749,089 55,190 58,049 26,707 37,231

投資活動によるキャッシュフロー

- 1,030,403 - 71,740 - 23,425 - 39,986 41,173

財務活動によるキャッシュフロー

380,122 - 2,996 - 16,123 20,128 - 83,772

現預金等の換算差額 - 64,609 - 3,897 - 2,723 - 404 - 217

表:ゲーム業 5 社キャッシュ・フロー計算書

※ 1ガンホーは平成 26 年 201 5年 12 月期第 2 四半期報告書※ 2矢印は去年と比較して増加及び減少しているか示している

【出典】各社 2016 年 3 月期 IR データより筆者作成

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2. ゲーム業界上位 5 社の財務分析比較(3) 考察 (1)

ソニー

 ここ数年,第 4 四半期のみ利益が赤字になっているが,これは期末にたな卸し資産(在庫)の評価損が原価として加わったためと思われる。売上原価は,第 4 四半期になって第 3 四半期までの合計の3 倍近くに跳ね上がっている。 売上の内訳で見ると,ハードウェアは前年比でやや減少,パッケージソフト(+周辺機器)はやや上昇,ネットワーク売り上げは1.5 倍にもなっている。ネットワーク売り上げが著しいわけだが,これは PlayStation Network の躍進によるところが大きい。

任天堂

 一時期よりは円高傾向に振れているためか,第 4 四半期に為替差損として 183 億円が計上されている。営業利益の段階では昨年より高い数字だが,為替差益と為替差損を加味した経常利益ベースになると,昨年の 4割の数字に落ち込んでいる。 日本国内での売り上げは昨年比で微増しているのに対し,外貨建てでの海外売り上げは北米などドル建ての国で 7 %減,欧州で18 %減となっている。

バンダイナムコHD

 会社全体の決算で見ても安定している。売り上げは昨年比で微増,売上原価が上昇しているので,営業利益自体は微減している。第 4四半期の利益が大きく落ち込んでいるのは,詳細は不明ながら減損処理が 250 億円分行われている。第 4 四半期の利益の低下は,ゲーム部門で 25 億円程度の減損処理が行われた為のようである。

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2. ゲーム業界上位 5 社の財務分析比較(3) 考察 (2)

ディー・エヌ・エー

 下降傾向には歯止めがかかったかにも見える DeNA の業績推移。ただし,国際基準( IFRS )の連結決算ではなく, DeNA の単体決算を日本基準で計上すると, 357 億円の赤字(純損失)となる。これは海外子会社の評価損を含んでいる。 かつては日本市場を制したそのやり方が海外でも通用することを示しつつ,海外展開に成長戦略を求めていたわけだが,海外事業では営業黒字が出ていない。 営業利益のほとんどを国内のゲーム事業が生み出しているかたわらで,新規事業群はまだまだ赤字で、営業利益率は 24 %, 17 %,14 %と年を追うごとに低下している。任天堂との協業など注目すべき事業もあるのは確かである。

ガンホー・オンライン・エンターテイメント

  2015 年 10 月の時点で前年度割れが発生した際の有価証券報告書では「国内市場におけるスマートフォンゲームの市場規模は、スマートフォンの普及期に合わせた爆発的な成長期が過ぎ、スマートフォン普及の鈍化やコンテンツの供給過多による飽和期に入り、市場は安定的に推移しております」と国内市場での伸びはあまり期待できないとしている。 「一方で、世界のスマートフォンゲーム市場規模は、今後も大きく成長することが予想され」(同報告書)と,成長が続く海外市場を目指す旨が記されている。最近は北米でパズドラ 1000万ダウンロード突破,中国での事前登録開始といったニュースが並んでおり,特に中国での展開には注目が集まる。

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3. ソニーの経営課題に対する仮説構築と解決策(1) 経営課題

【ソニーが抱える経営課題とは?】①競合他社からの価格低下の圧力②ゲーム市場の縮小及び商品サイクルの短期化③ライトユーザー層の獲得

去年は増収

【理由】① PS4®プラットフォームの堅調な拡大による増益 ②ネットワークビジネス 大幅成長の継続による増益 ③⼀時費用の減少による増益など But,④ PlayStation®3 (PS3®) プラットフォームの売上減少による減益⑤為替の影響による減益

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3. ソニーの経営課題に対する仮説構築と解決策(2) ソニーの中期経営計画

【 2016 年の中期経営計画例】• 2016 年 5 月に発売された「プレイステーション 4」の販売拡充• PlayStation®Plus1 等を通じたネットワークユーザー数の増加• 2016 年 10 月にはバーチャルリアリティ( VR )システム

PlayStation®VR2 の発売によるコンテンツ制作等の新たな事業領域開拓【出典】ソニー「 Sony IR Day 2016 ゲーム & ネットワークサービス分野」http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/calendar/presen/irday/irday2016/GandNS_J.pdf

安定した顧客基盤から継続的に収益を得るリカーリング型モデルへ

※1 有料加入型サービス。ゲームのフリープレイやオンラ インマルチプレイ、セーブデータ管理などのサービスを 提供。※ 2 VRヘッドセットをかぶると、プレイヤーの 360度全方向を取り囲む、迫力のある 3D空間が出現。独自の 3D オーディオ技術との連動によって生まれる圧倒的な臨場感により、ゲームの世界に本当に入り込んでいるかのような体験をもたらす。

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3. ソニーの経営課題に対する仮説構築と解決策(3) 解決策

【解決策】ソフト比率を更に伸ばすには 客層をコア層→コア層+ライトユーザー層を狙う為に ゲーム等に加え、エン

タテインメント等の提供によって長期的で安定した売上の獲得を目指す。→その為にはゲームとネットワークサービスの融合や、 ソニーグループの多様なコンテンツ(映画、音楽等)や端末とのシナジーを狙う

2015 年度オンラインでのゲーム売り上げはネットワークの方に移動している。オレンジとグレーを足した部分(ソフト&ネットワーク)とブルー(ハードウェア)の比較では,ソフト比率が上がってきている。

【出典】 gamesindustry.biz「 2015 年度ゲーム業界各社決算まとめ(その1)」http://jp.gamesindustry.biz/article/1604/16042603/

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3. ソニーの経営課題に対する仮説構築と解決策(3) 解決策 (2) ユーザーの利用ネットワークサービス数を増やし、 購買ユーザー一人当

たりの売上を増加させる。 顧客のサービス利用で得られたビッグデータや、 ゲーム事業で得た VR技術を次世代コンテンツ の創造に結びつける。

次なるターゲッ

ト?

(SIE)

現時点

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① 営業損益  364 億円の赤字(前期は 373 億円の赤字)② Wii U やソフトの販売が計画を大きく下回る。  Wii U の目標販売台数 550 万台→結果 345 万台③ Wii U は「逆ざや」が発生する製品 → 販売価格 < 製造原価 → ソフトで赤字を挽回しようとするがソフト販売も不振④外部環境の大きな変化 円安 → 395 億円の為替差益を計上し若干の黒字を達成 スマホ・ SNS → 娯楽の多様化

4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(1) 任天堂の経営課題とは

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4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(2) 任天堂の経営課題とは

⑤スマホ向けのゲーム展開DeNAと開発を進めている新作スマホゲームが成功するか?

⑥新型ハード機やソフトの開発据え置き型の「WiiU」が世界販売台数で約 1000万台なのに対し、ソニー・コンピュータエンタテインメントが「プレイステーション4」を 2000万台以上も販売するなど、特に海外で差が広がっている。携帯ゲーム機市場は、ますますスマホにシェアを奪われつつあるが画期的な提案ができるのか。

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ゲームソフトは受注生産ではなく,見込みで開発し、見込みで作り、見込みで在庫を抱えつつ売る開発・製造のリスクが極めて高い事業→ゲームはいつ市場が縮小してもおかしくない→その為、事業領域を娯楽に絞り込んで事業を行い、流動性資産が必要 ( 事業領域の絞り込みによって生じるリスクとそれを担保するための流動資産 )

4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(2) ゲーム産業の特徴と任天堂の財務方針

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• 携帯機は家族ではなく,個人単位で売れるので出荷量も多い。海外では据え置き型が主流のため,携帯機の販売余力がある。• 任天堂の海外売上比率の推移売上高の多くは海外。為替変動の影響を受けやすい。

4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(3) 任天堂主力製品の販売数量実績推移

  売上高 ( 億円 ) 海外での売上高 割合2011 年 3 月期 1,014,345 846,451 83.45%

2012 年 3 月期 647,652 499,436 77.11%

2013 年 3 月期 635,422 426,478 67.12%

2014 年 3 月期 571,726 394,769 69.05%

2015 年 3 月期 549,780 414,731 75.44%

表 : 任天堂売上高の推移

( 出典 ) 任天堂 IR ( 2011- 2015 年 3 月期 ) より筆者作成

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4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(3) 任天堂主力製品の販売数量実績推移

ゲームボーイ ゲームボーイアドバンス

Wii + DS約 5- 7 年の製品ライフサイクル

Wii U + 3DS

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  2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

流動資産 1,646,834 1,648,725 1,591,388 1,468,706 1,140,786 1,192,250 1,024,136 1,097,597

当座資産 1,400,108 1,359,322 1,384,197 1,306,765 1,001,700 949,174 823,969 971,087

うち現金預金 899,251 756,201 886,995 812,870 462,021 478,761 474,297 534,706

棚卸資産 104,840 144,752 124,673 92,712 78,446 178,722 160,801 76,897

その他の流動資産 141,886 144,651 82,518 69,229 60,640 64,354 39,366 49,613

固定資産 155,655 162,042 169,598 165,591 227,615 255,628 282,274 255,346

有形固定資産 55,150 71,064 79,586 80,864 87,856 86,152 94,190 91,488

無形固定資産 2,009 2,169 4,111 5,539 7,706 10,863 12,467 12,430

投資その他の資産 98,495 88,807 85,899 79,187 132,052 158,612 175,616 151,426

繰延資産 0 0 0 0 0 0 0 0

資産合計 1,802,490 1,810,767 1,760,986 1,634,297 1,368,401 1,447,878 1,306,410 1,352,944

4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(4) 貸借対照表 < 資産の部>(2008-2015 年 )

当座資産の減少→現金預金の減少

棚卸資産の減少→在庫の調整?(棚卸資産の変動が激しい…。)

投資その他の資産が増加

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  2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

流動負債 567,222 540,914 407,537 333,301 155,438 194,475 155,652 144,232

うち仕入債務 335,820 356,774 264,613 214,646 86,700 107,045 47,665 58,464

固定負債 5,293 15,921 16,863 19,134 21,937 25,882 32,318 41,155

負債合計 572,516 556,835 424,401 352,435 177,376 220,358 187,971 185,387

資本金 10,065 10,065 10,065 10,065 10,065 10,065 10,065 10,065

資本剰余金合計 11,640 11,726 11,733 11,734 11,734 11,734 11,734 11,734

利益剰余金合計 1,380,430 1,432,958 1,527,315 1,502,631 1,419,784 1,414,095 1,378,085 1,409,764

株主資本合計 1,245,951 1,298,234 1,392,528 1,357,767 1,284,901 1,279,203 1,128,927 1,160,578

純資産合計 1,229,974 1,253,932 1,336,585 1,281,861 1,191,025 1,227,520 1,118,438 1,167,556

負債純資産合計 1,802,490 1,810,767 1,760,986 1,634,297 1,368,401 1,447,878 1,306,410 1,352,944

4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(4) 貸借対照表<負債・純資産の部> (2008-2015年 )

仕入債務の減少→生産数量の調整?

1.4 兆円にも及ぶ利益剰余金→経営方針と一致

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4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(5) 損益計算書の推移 (2008-2015 年 )

  2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

売上高 1,672,423 1,838,622 1,434,365 1,014,345 647,652 635,422 571,726 549,780

売上原価 972,362 1,044,981 859,131 626,379 493,997 495,068 408,506 335,196

売上総利益 700,061 793,641 575,234 387,966 153,655 140,354 163,220 214,584

販売費及び一般管理費 212,840 238,378 218,666 216,889 190,975 176,764 209,645 189,814

営業利益 487,221 555,263 356,568 171,077 -37,320 -36,410 -46,425 24,770

営業外収益 48,564 32,159 11,082 8,602 9,825 48,485 53,136 46,043

営業外費用 94,977 138,727 3,325 51,577 33,368 1,592 624 283

経常利益 440,808 448,695 364,325 128,102 -60,863 10,482 6,086 70,530

税引前当期純利益 433,775 448,132 367,442 127,934 -60,877 10,197 10,929 72,091

当期利益 257,342 279,089 228,635 77,621 -43,204 7,099 -23,222 41,843

粗利益率の変化2009 年 43.16%→2013 年  22.09%→2015 年 39.03%

販管費はほぼ一定 営業赤字

為替差損

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4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(6)支払能力・財務安定性分析に有用な各指標の算出

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

自己資本比率 68.24% 69.25% 75.90% 78.44% 87.04% 84.78% 85.61% 86.30%

株主資本比率 69.12% 71.70% 79.08% 83.08% 93.90% 88.35% 86.41% 85.78%

固定比率 12.66% 12.92% 12.69% 12.92% 19.11% 20.82% 25.24% 21.87%

固定長期適合率 12.60% 12.76% 12.53% 12.73% 18.77% 20.39% 24.53% 21.13%

流動比率 290.33% 304.80% 390.49% 440.65% 733.92% 613.06% 657.97% 760.99%

当座比率 246.84% 251.30% 339.65% 392.07% 644.44% 488.07% 529.37% 673.28%

自己資本比率上昇→流動負債減少→仕入債務の減少

固定比率上昇→有形固定資産増加+利益剰余金の減少

流動比率上昇→現金預金の減少 < 仕入債務の減少

営業赤字・最終赤字という決算を迎えた年( 2012-2014 年 ) もあったが、各種財務指標は改善している。

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4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(7) 経営課題に対する仮説構築

<資産の部>に関連した特徴的な動き

<負債・純資産の部>に関連した特徴的な動き

損益計算書に関連した特徴的な動き

新聞・雑誌記事から見るここ数年の戦略

現金預金の減少棚卸資産の減少→在庫の調整?仕入債務の減少→取引量の減少→ 在庫の調整?

1.4 兆円にも及ぶ潤沢な利益剰余金

売上高が 3 分の 1 に減少→販売不振・為替の影響 → 粗利益率の減少→為替の影響を非常に受けやすい。

Wii U へのテコ入れが必要→ 売上高の多くを占める海外での販売戦略

製品ライフサイクルのマネジメントの必要性

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財務安全性

支払能力

4.任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策(7) 経営課題に対する仮説構築 (2)

赤字決算だったものの在庫調整に伴う仕入債務の減少により自己資本比率は上昇固定資産への投資は継続されており固定比率は上昇→莫大な利益剰余金がある。

現金預金が大幅に減少しているが, 2012 年 3 月期以降は仕入債務の調整が進んでおり流動比率は上昇→十分な流動性が確保されており支払能力には全く問題ない

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4. 任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策 (8)中期経営計画

•  現在、任天堂は、ソフトの価格や流通方法などを柔軟に組み合わせ、多様な収益源を確保する「ハイブリッドモデル」を採用して、コンソール 1 事業やゲームの売上や、他のゲーム会社からのライセンス料に加えて、ネットワークサービスの提供による長期的で安定した売上を獲得しようとしている。

• NFCチップを搭載するキャラクターコンテンツの販売や、スマート端末と新モデルの利用、インターネットサービス事業者との提携によってライト層から売上を得ている。

• 同社のドメインを拡大し、ゲーム開発ノウハウや外部資源に基づく新規事業(健康事業など)を開始している。

※1 ゲーム機向けビデオゲーム

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4. 任天堂の経営課題に対する仮説構築と解決策 (9) 解決策

• 提案としてはコンソール事業から撤退し、スマート端末向け事業に経営資源を集中させることである。スマート端末やスマートテレビ、 PC 向けのストリーミングサービスを開始している

• SIE (ソニー・インタラクティブエンタテインメント)は長期的にはコンソールに依存しないゲーム・エンタテインメント事業のシナリオも検討していると考えられる。

• スマート端末向けのゲームや会員制サービスの提供を開始する任天堂も、今後の売上によっては、コンソール事業の見直しを検討していくことになるだろう。

• ただし、 PC やスマート端末とは違う独自の付加価値をコンソールが提供しうることが明らかになれば各社ともコンソール事業を今後も継続し続けられるだろう。

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参考文献

ソニー「有価証券報告書等」http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/yu.html ソニー「ソニー株式会社  2016 年度 経営方針説明会」http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201606/16-065/ ソニー「Sony IR Day 2016 ゲーム & ネットワークサービス分野」http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/calendar/presen/irday/irday2016/GandNS_J.pdf 任天堂「有価証券報告書」 (2008-2016 年 )https://www.nintendo.co.jp/ir/library/securities/index.html 株式会社バンダイナムコホールディングス「有価証券報告書等」http://www.bandainamco.co.jp/ir/library/securities.html ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社「有価証券報告書等」http://www.gungho.co.jp/ir/library/houkoku.html DeNA「有価証券報告書等」http://dena.com/jp/ir/library/report.html 七邊信重, 2016 ,「コンソールゲーム産業における ICT 活用――任天堂 の『ハイブリッドモデル』

とネットワークサービスの分析」『 FMMC研究員レ ポート』 January 2016(2) , 1-10. gamesindustry.biz「2015 年度ゲーム業界各社決算まとめ(その1)」http://jp.gamesindustry.biz/article/1604/16042603/ 日経新聞「岩田社長失った任天堂 直面する3つの課題 」http://www.nikkei.com/article/DGXMZO89242900T10C15A7000000/?df=3