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tatsuki-shimizu
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* wikipedia より引用
● Jules-Henri Poincaré
● 1854年4月29日 – 1912年7月17日(享年 58歳)
● フランス帝国、ロレーヌ地域圏、ナン
シー生まれ
● フランス第三共和制大統領・レーモン・
ポアンカレはアンリの従弟
有名な業績
- 保型関数の定義
- 天体力学の方法(定性的な線型常微分方程式論)- 多様体のトポロジー
保型関数などに関しては,tsujimotterのノートブック:「基本領域ゲーム」を作った なん
かで楽しく勉強してください (^^♪
その他,彼は数論含め,様々な研究を行っていた.が
本日は多様体のトポロジー(位置解析) の方を中心に話します.
一つお話
17歳のころ
最初の学位(文学士・理学士)をとるための試験で,簡単な等比級数の公式を証明する
のに躓いて数学の試験に失敗しかけた.
遅刻して慌てて試験室に入ったのだ!!
→ 試験管主任「これがポアンカレでなかったらどんな学生でも不合格だった」
ついでにもう一つ
お絵かきする能力にあまりに乏しかったポアンカレ
パリ高等理工科学校入学試験の図画の試験で 0 点しか取れなかった.
試験管 (; ・`д・´)
「0点だと落第だが,図画以外の全ての抜群の成績だ」
「入学を許せば間違いなく主席になるだろう.だが,許すべきなのか??」
研究分野
1. 微分方程式
2. 関数の一般的理論
3. 純粋数学のいろいろな問題
4. 天体力学
5. 数理物理学
6. 科学の哲学
7. 教育学的なもの/啓蒙的なもの/その他
の内容の論文を執筆している.
研究分野
- 上の分類は
Analyse des travaux scientifiques de Henri Poincaré faite par lui-même
内で,ポアンカレが 1901 年までの著作をリストアップしたものを分類したもの.
- この論説の中で,ポアンカレは自身が”位置解析”に取り組むようになったか,動機
を述べている
- ポアンカレは驚異的な速度で執筆をしていたわけだが...
Henri Poincaré Papers
位置解析研究の動機
● 微分方程式によって定義される曲線の研究を高階,特に3体問題に拡張するのに必要だった
● 2変数の多価関数を研究するのにも必要だった
● 多重積分の周期,およびその摂動関数の展開への応用を研
究する際に必要だった
● 連続群に含まれる離散/有限群の研究手段を位置解析の中に
見た
位置解析の論文
[1] Analysis situs (位置解析)
[2] Complément à l'analyse situs (位置解析への補足)
[3] Second complément à l'Analysis Situs (位置解析への第2の補足)
[4] Sur certaines surfaces algébriques; troisième complément à l'Analysis situs (ある種の代数曲面について.位置解析への第3の補足)
[5] Sur les cycles des surfaces algébriques. Quatrième complément à l'Analysis Situs (代数曲面の輪体について.位置解析への第4の補足)
[6] Cinquième complément à l'analysis situs (位置解析への第5の補足)
何がすごいって!!
微分形式と cycle の双対性(de Rham によって 1920 ~ 1930 年に明確にされる)
位置解析の §7 に以下の記述がある
「m 個の閉多様体を bm 個持ってくると m+1 次元の多様体で,bm 個のすべて,もしくは
一部を境界に持つものが常に存在する.従って,それらの各々に対する bm 個の積分に
は整数係数の線型関係が成り立つ.
さらに,ベッチ数と等しくなるような積分が存在することも示すことができる」
de Rham の定理に関しては,例えば Math Advent Calendar 2015 ring数学店: Stokesの定理をやったら次は
de Rhamの定理でしょ などを参考
何がすごいって!!
Heegaard 分解という 3 次元多様体の分解理論(最初に導入されたのは Heegaard, Poul (1898), Forstudier til en topologisk Teori for de algebraiske Fladers Sammenhang) の研究もしていたのか
位置解析への第5の補足 §6 で述べている
※ 最近だと Heegaard Floer homology として4 次元多様体や knot の不変量として出てくる話 (´∀`*)ウフフ
何がすごいって!!
同様の位置解析への第5の補足 §6には以下の記述もあり,
Morse 理論知ってたんじゃないんですか??
”0 < t1 < t2 < … < 0.5 < t’p < t’p-1 < … < t’1 < 1
なる列が存在し,
t が tq - ε から tq + ε に変化するとき,曲面 W(t) の連結度は 2q-1 から 2q+1 に
t’q - ε から t’q + ε に変化するとき,曲面 W(t) の連結度は 2q+1 から 2q-1 に
変化する” おめでとうございます.モース関数によるハンドル分解です!!
最後にポアンカレ予想
第五の補足の最後にポアンカレは以下の問を残している
「3次元の単連結閉多様体は3次元球面に同相であるか」
n 次元に拡張すると 「homotopy n-球面は n 次元球面に同相であるか」という問題
4 次元は Freedman, Michael Hartley. "The topology of four-dimensional manifolds." J. Differential Geom 17.3 (1982): 357-453.
5 次元以上は Smale, Stephen. "Generalized Poincaré’s conjecture in dimensions greater than four." Ann. of Math.(2) 74.2 (1961): 391-406.
により解決された 元の問題の 3 次元が最後まで残った
ポアンカレ予想に関しての補足
最初の問いは
“ホモロジー 3 sphere HS^3 は球面 S^3 と同相であるか”
であったが、その問いには彼自身が第 5 の補足内で否定的に解決しており、
Poincaré's homology sphere の名前が付けられている。
その構成には今で言うところの morse 関数によるハンドル分解、およびHeeegaard 分解が用いられている。
ref: Poincaré's homology sphere from “the manifold atlas project”
参考文献
[1] 数学をつくった人びと 3 (E.T.ベル 著)
[2] ポアンカレトポロジー (H.ポアンカレ 著/齋藤利弥 訳)
[3] ポアンカレ常微分方程式(H.POINCARE 著/福原 満洲雄・浦 太郎訳)
[4] Henri Poincaré, Papers on topology, History of Mathematics, vol. 37, AMS
[5] リーマンからポアンカレにいたる線型微分方程式と群論( J・J.グレイ 著/ 関口次郎 訳)