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2015年12月、水場の近くに鳥の巣が落ちていました。周りは針葉樹の⼈⼯林が続く⼭の
中で、数⼗メートル先には雑⽊林があります。何の巣かと⾒てみると巣材には鳥の
羽根や樹皮の他にビニール紐が多く使われていました。写真1-1
*写真x-y:xは頁番号、yは番号
追記あり(2016/10/2)
鳥の巣の巣材 2016
巣は誰のもの?
まずは誰の巣なのかを調べてみました。大きさは約8cmくらいで繭玉のよう
に⾒えました(写真2-1)。よく⾒てみると外側はビニール紐が多く、内側は細かく裂かれた樹皮が敷き詰められお椀のようになっていました。所々鳥の羽根もありました。 (写真2-2)知⼈や図鑑を頼りにキクイタダキの
巣でほぼ間違いないと分りました。
写真2-1
写真2-2
鳥の巣の巣材 2016
ビニール紐はどこから?
周辺を探してみると、ビニール紐が巻かれている⽊がありました。登⼭道の道しるべや⼈⼯林の管理のために巻かれているようです。素材も裂けるものや裂けないものがありました。
写真3-1:⼈⼯林のビニール紐
写真3-2:⼈⼯林のビニール紐
写真3-3:避けないビニール紐
鳥の巣の巣材 2016
ビニール紐はどのくらいある?
巣が落ちていた場所から⾒える範囲にビニール紐が結んである⽊が4本ありました。およそ5〜10mほどの場所です(写真3-1、3-2) 。登⼭道⼊り⼝から巣が落ちていた場所まで約1km
の間に10本ほどのビニール紐が確認できました。その他にもあるかもしれませんが周辺の⽊の本数から⾒たら多くありません。巣の周りに針葉樹がたくさんあるのにわざわざビニー
ル紐を集めているのは何故でしょう。
鳥の巣の巣材 2016
- キクイタダキの鳥の巣とは
鳥の巣は卵を産み、孵化させヒナを育てるまでの間、繁殖のために作られ使用するものです。卵やヒナを育てるために保温、保湿ができるよう樹皮を裂いたものを利用しているという話しを聞いたことがあります。キクイタダキは針葉樹の約3〜10mの枝先に絡めてぶ
ら下げるようです(『日本鳥の巣図鑑』参照)。針葉樹は強風が吹けば大きく揺れ、葉は⾬を溜めた後に大きな雫を落としてきます。風⾬にさらされる場所です。
鳥の巣の巣材 2016
- なぜビニール紐を使うの?
⼈⾥から離れた森の中、樹皮や鳥の羽根など豊富にあると思いました。実際に樹皮や枯葉などは⼈⾥よりは多くあります。巣材の豊富な⼭の中で何故ビニール紐を
選ぶのでしょうか?知⼈などの推測では、水はけが良い、強
度が⾼いなどがありました。どちらも頷ける内容です。写真3-1、写真3-2を拡大してみるとビニール紐の結び目の先はバラバラに避けていて簡単に収集できたのかもしれません。理由は定かではありませんが、巣材の豊
富な⼭の中でもビニール紐を利用することを知りました。更に鳥たちは樹皮などの⾃然素材とビニール紐のような⼈⼯物の区別をしているのかという疑問も沸いてきました。
写真6-1:(上)写真3-1、 (下)写真3-2の拡大
鳥の巣の巣材 2016
最後に
⼭の中には⼈⼯物が少ないですが、皆無ではありません。鉄塔、避難小屋、目印のビニール紐やゴミなどもあります。⼭の中の動物たちも僅かかもしれませんが⼈間の⽣活と関わり過ごしていると感じている最中に⾒つけたのがこの鳥の巣でした。トレイルカメラのチェックに向かう道中で観察記録をつける際に⾃分だけの
目印を決めるようになりました。その中には放置されているゴミもあります。始めたばかりの頃はゴミ拾いをしていたのですが、地⾯に半分埋まっている空き缶や崖下のものは放置していました。次第にそれが目印になっていきました。もしかすると動物たちも同じように目印として利用しているかもしれないと考えています。⼭の中に住む野⽣動物たちの⽣態を知りたくて始めた⾃動カメラの撮影で
す。⼈⼯物ともどのように向き合っているのかも含めて記録したいと思っています。しかし私⾃⾝、鳥を含め⾃然についての知識が乏しく稚拙な疑問を吐き
出したような内容になってしまいました。間違いや思い込みなどあるかもしれません。ご指摘など頂けると助かります。またご意⾒・ご感想などありましたらメールにてご連絡頂けると嬉しいです。
鳥の巣の巣材 2016
他の場所で⾒つけた巣(追記)
雑⽊林のなかでもビニール紐を使ったキクイタダキの巣を⾒つけました(2016年6月)。そして周囲の⽊にはビニール紐が多く結ばれていました。
以前⾒つけた場所から直線距離で約2km離れています。同じ種類の鳥が、似た
環境で同じ巣材を選ぶことは不思議ではないと思いつつ、ビニール紐の巣を発⾒できて良かったと思います。