97
Scrum 適用領域の広がりとScrum for HWのご紹介 2016/11/30 山海 一剛 Scrum : the way to create better world 情報処理学会東海支部 2016年度第4回講演会

Scrum:適用領域の広がりとscrum for hw概説

Embed Size (px)

Citation preview

Scrum 適用領域の広がりとScrum for HWのご紹介

2016/11/30 山海 一剛

Scrum : the way to create better world

情報処理学会東海支部 2016年度第4回講演会

Abstract

日本の製品開発方法にヒントを得て、90年代にソフト

ウェア開発手法として登場したスクラムですが、近年欧米ではマーケティング部門、人事部門、さらには教育現場にと、ソフトウェア以外に適用が広がりつつあります。特に製品開発分野に適用した Scrum for HWは、

今や日本の強みすら脅かす存在になりかねません。当講演では、ソフトウェア以外の様々な適用領域を紹介するとともに、Scrum for HWについてはさらに掘り下げた解説を行います。

2

Contents

1. スクラムとは 2. スクラムのエッセンス 3. ソフトウェア以外のスクラム 4. Combat Scrum 5. Scrum for Hardware 6. 適用事例 7. なぜ今Scrum for HWなのか 8. Scrum for Hardware Gathering 9. まとめ

3

自己紹介 • 山海 一剛(さんかい かずたか)

– 大阪出身&在住

– ITアーキテクト

– アジャイル・コーチ

– 認定スクラムマスタ&プロダクトオーナ

– UMTP L4モデラー

– オージス総研改善塾 塾長&社内講師

4

1.スクラムとは

Scrumスクラム

• 半分の時間で倍の成果をあげる手法

6 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

スクラムの語源 • The New New Product Development Game

– 一橋大学の野中郁次郎と竹内弘高が 日本で行われている新製品開発のプロセスをNASA等の米国型のそれと比較研究した成果を、 “The New New Product Development Game” としてHarvard Business Review 誌に発表した(1986年1-2月)。

– 新製品開発という速さと柔軟さが求められる場面では、成果物を紙に書いてそれを渡すようなリレーをしていてはダメ。さまざまな専門性を持った人がチームを組み、ラグビーのように開発の最初から最後まで一緒に働く。人とチームを重視し、彼らに自律的に動ける環境を与えることでブレークスルーが起こりやすくなると同時に製品化までの時間が短くなる、と説いている

– 富士ゼロックス、キヤノン、本田技研工業、日本電気、セイコーエプソン、ブラザー工業など例に挙げて説明した日本の製品開発の特徴的な進め方を「スクラム」と呼んだ。これがスクラムという用語の元となった。

(Wikipedia他)

7 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

ソフトウェアにおけるスクラムの広がり

アジャイル開発適用企業 95%

8

VersionOne : 10th Annual State of Agile™ Report

ソフトウェアにおけるスクラムの広がり

9

アジャイル適用のメリット 87% 変化への対応容易性

85% 生産性の向上

84% プロジェクトの可視性向上

81% モチベーション向上

81% 納期遵守率向上

VersionOne : 10th Annual State of Agile™ Report

ソフトウェアにおけるスクラムの広がり

10

適用している手法

Scrum(58%)

Scrum XP ハイブリッド(10%)

Scrumban(7%)

Kanban(5%)

VersionOne : 10th Annual State of Agile™ Report

2.スクラムのエッセンス

要求管理 スプリント スクラムの要素

スクラムの要求管理

12 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

要求のフィードバックループ

13

http://www.dccia.ua.es/dccia/inf/asignaturas/MADS/2013-14/lecturas/06_Kniberg_Product_Owner.pdf

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

バックログの考え方(氷山)

http://www.slideshare.net/reinhartdelille/scrum-methodology-how-to-build-the-death-star

14 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

見直し

つまりスクラムの要求管理とは

15

要求(バックログ) 評価

循環するパイプライン

具体化・詳細化 実装

実現

ビジネス価値

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

スプリントとは

16 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

スプリント

スクラムの中核となる概念で、プロダクトの増加分(インクリメント)を作成する期間のこと 一般的には2週間(1~4週間)

17 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

スクラムの11の要素とは

18 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

スクラムの要素

3 3つの役割 5つのイベント 3つの成果物

19

5 3

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

3 3つの役割

20 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

プロダクトオーナー(PO)

プロダクトのビジネス価値について責任をもち、機能・優先順位・リリース内容/時期、受け入れ可否について判断をする。 開発チーム プロダクトを作ることに責任をもつ。 プロダクトの価値向上に対してPOにアイディアを提供する役割も担う。通常3~9名。フラットな組織であることがよいとされている。 スクラムマスター(SM) スクラムチームの機能と生産性について責任をもつ。 プロセスがうまく回るように、POや開発チームをサポートしたり、外部の干渉からスクラムチームを守る役割をもつ。 21 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

5 5つのイベント

22 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

スプリント計画(part1) プロダクトバックログから今回の

スプリントで開発するバックログを選択する。

23 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

スプリント計画(part2)

バックログを実現するためのタスクを洗い出す。開発メンバーは最低限、最初に担当するタスクを引き取る

24 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

25

デイリースクラム

進捗や予定、問題点などを開発チーム内で共有するために、毎日行う。

通常、スタンドアップミーティングの形式で、15分程度。

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

26

スプリントレビュー プロダクトの増加分を開発チームが デモンストレーションし、POがレビューする。

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

27

スプリント振り返り

スプリントを振り返り、今後の改善計画を立てる。

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

3 3つの成果物

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

プロダクトバックログ 優先順位が付けられた要求事項の一覧。 POが管理する。 (各要求事項の見積りは開発チームが提供)

29 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

スプリントバックログ

スプリントにおける開発チームの仕事を定義したタスクリスト。 開発チームが管理する。

30 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

デイリースクラム

スプリント スプリント振り返り

スプリントレビュー スプリント計画 (part2)

スプリント計画 (part1)

プロダクト バックログ

スプリント バックログ

プロダクト の増加分

プロダクトの増加分 スプリントで開発した成果

31

プロダクトオーナー(PO)

スクラムマスター(SM)

開発チーム

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

11の要素を満たせばスクラム

353 32

イベント 役割 成果物

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

3.ソフトウェア以外のスクラム

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum for Marketing

34 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum for Sales

35 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum for Human Resources

36 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum for Finance

37 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum for Education

38 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

4.Combat Scrum

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Combat Scrum

Mike Few

40 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

「サージ」イラク戦争における戦後処理戦略

• 6つのスクラムチーム(90人の空挺隊員)

• 150,000のイラク市民(Diyala河渓谷地域)

• 13の種族

• 3つの宗派・民族(スンニ、シーア、クルド)

• 3つの対立的な暴動集団

41 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

スプリントゼロ

• 本格的な活動開始前に、「スプリントゼロ」として予備調査活動 – 私たちはこの地区について、どの程度知っているのだろうか

– ここの環境は我々に対して寛容か

– この地域で今まさに何が起こっているのか

– 私たちが持っているべき情報のうち欠けているのは何か

頻繁な偵察行動(=現地現物)での情報収集

42 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

ユーザーストーリー

• 陸軍司令官として、IEDネットワークを分断したい。この地域の紛争を収束させるために。 – AC1. All Primary and Secondary Roads in Zone identified

– AC2. All known obstacles and bypasses identified

– AC3. Enemy routes understood

– AC4. Bomb Maker Neutralized

– AC5. Known IEDs Dismantled

• イラク市民として、隣人とともに平和維持活動に協力したい。紛争の収束のために – AC1. Key Leaders Identified

– AC2. Influence Strategies Identified

– AC3. Initial Meetings Scheduled

43 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

デイリースクラム Nightly Huddles

• 「今日やったこと」「明日やること」「阻害要因の有無」

• 短期目標(2-4 week)に対して、我々は近づいているか

• 我々が学んだことに基づき、大局的に評価してみよう

• 組織間において解決すべき課題はないか

• それぞれをPlatoon, Company, Squadron のレベルで考える

44 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

平和に向けての交渉

45 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

5. なぜスクラムはこんなにも柔軟なのか

46

スクラムはシンプル

• 理解が容易

• 16ページにすべてが集約されている

• 実践は容易ではない

47 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

“At OpenView, we’ve found that Scrum can double the production of anything – it doesn’t matter whether it’s sales, marketing, software, finance,” says Dr. Sutherland. “It works everywhere.”

48

“At OpenView, we’ve found that Scrum can double the production of anything – it doesn’t matter whether it’s sales, marketing, software, finance,” says Dr. Sutherland. “It works everywhere.”

11の要素を満たせばスクラム

353 さきほどの説明の中にソフトウェア開発固有の

要素は見つかりましたか?

49 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

変化への対応

• ビジネスの目的を達成するためのソフトウェア要求を抽出する

• あいまいなソフトウェア要求を、ビジネス価値に基づいて優先順をつける

• 優先順の高い要求から具体化・詳細化する

• いくつかの要求を選び、決められた期間内で動くソフトウェアとして実装する

• 出来上がったソフトウェアを評価し、目的に近づいているか検討する

• 他の要求を見直す

50 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

変化への対応

• ビジネスの目的を達成するためのソフトウェア要求を抽出する

• あいまいなソフトウェア要求を、ビジネス価値に基づいて優先順をつける

• 優先順の高い要求から具体化・詳細化する

• いくつかの要求を選び、決められた期間内で動くソフトウェアとして実装実現/実施する

• 出来上がったソフトウェア実現した/実施した結果を評価し、目的に近づいているか検討する

• 他の要求を見直す

51 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

「仕事の仕方」のフレームワーク

つまりスクラムは

52 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

5.Scrum for Hardware

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

ひとことで言うと… Scrum for HWはScrumのフレームワークをそのままハードを含

めた製品価値に当てはめることで、製品開発の劇的なリードタイム短縮・コストダウンを狙うもの

日本ではまだ知名度は低いが、海外の大手企業では、Bosch

が積極的に取り組んでいることが伝わっている(ただし公開されている情報は少ない

Scrum for Hardware

54 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

対象

1. ソフトを持たないハードウェア製品 掃除機

電動のこぎり

2. 組込みソフトウェアを内容したハードウェア製品 携帯電話

ネットワーク機器

分析装置(化学、医療など)

3. 外部ソフトウェアと連携するハードウェア製品 工場内の工作機械(電子制御)

研究所の電子制御設備

Scrum for Hardware

55 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

I. Scrum Organization

III. Object-Oriented Architecture

a. Modular Components b.Contract-First Design c. Design Patterns d.Re-use and

Inheritance

a. Roles and Responsibilities

b.Sprints/Iterative Design c. Make Work Visible d.Measure Velocity e.Continuous

Improvement (Lean)

II. XP Engineering Principles

a. User Stories b.Pairing and Swarming c. Test Driven

Development XMfg

Scrum for Hardware 3つの要

56 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

ソフトウェア 開発中どの段階であっても、成果物は価値を提供できる

(Potentially Shippable Increment)

反復を繰り返すうちに、プロダクトの目的・機能すら変化していくことがある

プロダクトは、必ずスプリントの終了時点で、開始時点よりも価値が増えている

ステークホルダーが頻繁に動くソフトウェアを検証することで、価値を最大化し、ムダを最小化できる

ハードウェア 当初のプロダクトの目的・機能から大きく逸脱することはない

開発中の成果物は最終製品において有用となるデザインの集合でしかない

開発中にコンポーネントや機能は増えていくが、そのプロダクトとしての意味のある振る舞いが出来るのは、開発の最終段階でしかない

ステークホルダーからのフィードバックループはやはり必要。でも動くものでの検証よりも、コンセプトの発展や、モックアップを通しての検証が多くなる

ソフト開発との比較

57 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

353は残す 3つの役割、5つのイベント、3つの成果物は、そのまま

下記はハードウェアの観点で見直しが必要 チームの編成(異なる専門領域の人をひとつのスクラムチームに集める)…後述

仕様を書く

スプリント計画の実施方法

作業のトラッキング

バックログ(ストーリー)…後述

スクラムチームとして必要なもの/重要なもの 1チームあたり5~6人、大規模な開発では複数チームに分割する

技術領域ではなく「製品が提供する機能」の軸で開発チームを分割する

開発チームは必要な全ての技術領域から集める(通常、各一人になる)

各チームの役割定義は重要

チーム間連携の複雑さは、アーキテクチャの良しあしに依存する。それゆえオブジェクト指向アーキテクチャは重要

適用のポイント

58 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

体制例

59 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

バックログ(ストーリー)

• ストーリーの種類 – ユーザストーリー

• 製品が提供する機能をユーザ視点で自然な文章で記述したもの • プロダクトオーナーが書く

– テクニカルストーリー • ユーザに見えない(ユーザとの接点ではない)部分、技術/インフラ寄りの要求 • 多くの場合ユーザストーリーを実現するための技術要求を表現したもの • 通常、技術者によって記述される

– 不具合

• ハードウェアの場合 – バックログの大半はテクニカルストーリー – ソフトウェアの場合と比べると、プロダクト オーナー自身が書くストーリーは少ない

60 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

スプリント期間

• 2週間が一般的 – 3週間は「ありえなくはない」レベル

– 上記以外は(ソフトウェアと同様に)うまく行かない

– 留意点:ハードウェア屋は、2週間で出来るとは思ってくれない

– 動くコンポーネントを実現するには、時に数週間以上が必要になることもある

– 2週間で構築・検証・評価が可能な、より小さな単位(ストーリー)に分割することがポイント

61 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

6.適用事例

Bosch 自動車部品、DIY用品 John Deere 農耕機器 Thermo Fisher 医療機器 Cisco Systems 通信機器(トライアル中) Toyota U.S. 輸送機器(状況不明)

63

適用企業

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

64

John Deereの事例

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

65

John Deereの事例(1)

2012年当時の課題認識 新製品開発プロセスの肥大化:リスク回避の名目で800プロセス以上

プロジェクトの同時併存:27プロジェクト、平均10プロジェクト/人

プロジェクト間連携の不足:プロジェクトごとにプロジェクトマネージャ

結果として 新製品リリースまでに7年

タスクスイッチによる生産性の低下

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

66

John Deereの事例(2)

進め方 スモールスタート: チームXI (eXtreme Innovation)

スクラムのトレーニングとコーチングを導入:経験者の雇用

リズムを作り、データを収集する:ベロシティ、価値を評価

Happiness Metricによりベロシティを改善

データに基づく判断を行う

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

67

John Deereの事例(3)

スクラム導入の結果 生産性の劇的向上:2か月で2倍、16か月で7倍

従業員満足度の向上:グループ内下位30%からトップ1%へ

動くプロトタイプ完成までに8か月(以前は18-36か月)

マルチタスクの解消:1時点では1プロジェクトのみ、毎年3製品をリリース

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

68

Boschの事例

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum Day 2015&2016 IXO Challenge by Dennis Heine & Thorben Höpke from Bosch Engineering GmbH

69 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum Day 2015&2016 IXO Challenge by Dennis Heine & Thorben Höpke from Bosch Engineering GmbH

70

用意するもの

• 必須

– 5 Ixo's (at least one per table)

– 5 hex-chucks (Bohrfutter) (at least one per table)

– 5 drill pumps

• 推奨

– empty plastic bottles (at least one per table)

– hoses of diameter 2mm to 1/2 inch

– cable-ties (several sizes)

– cutter (knifes)

– pliers (Kombizange)

– 7 buckets

– floorcloth (Wischlappen)

– plastic sheet to protect the floor

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum Day 2015&2016 IXO Challenge by Dennis Heine & Thorben Höpke from Bosch Engineering GmbH

71 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum Day 2015&2016 IXO Challenge by Dennis Heine & Thorben Höpke from Bosch Engineering GmbH

72

ユーザー・ストーリー

分類 ユーザーストーリー 受入基準 評価基準

コンセプト の検証

顧客(プロダクト責任者)として、IXOが水を送出できることをデモして欲しい。

プロダクトの実現可能性を早期に検証したいから

IXOを使って、水をバケツから他のバケツに送出できること 水のロスが50m//10secであること

3pt:最多量のチーム 2pt:2位のチーム 1pt: 上記以外の水を遅れたチーム 0pt: 水を送れなかったチーム

コンセプト の検証

顧客(プロダクト責任者)として、IXOがジェット水流を吹きだせることをデモして欲しい。

プロダクトの実現可能性を早期に検証したいから。

ジェット水流を目視確認する 10cm以上であること

1pt

正確さ ジャック(エンドユーザ)として、ジェット水流の飛距離を長くしたい 遠くの的に当てたいから

最低1.5m先の的に水流が当たること

3pt: 3m 2pt: 2m 1pt: 1.5m 0pt: 0m

使い勝手 ジャック(エンドユーザ)として、使用時に水漏れ無しにして欲しい。

衣類がびしょ濡れになるのはいやだから

ジェット水流使用時の水漏れ量を判定

5mlの水漏れごとに -1pt

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Scrum Day 2015&2016 Water Pistol Challenge by Dennis Heine & Thorben Höpke from Bosch Engineering GmbH

73 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

7.なぜ今Scrum for HWなのか

なぜ今、求められるのか

トップ企業であっても、新しい製品をより早くリリースし続けなければ生き残れない

• 製品リリースサイクルのリードタイム短縮

• ニーズ多様化に対応するための多品種化

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

なぜ今、可能なのか

• 技術革新

– ソフトウェアによる代替

• 2D/3D CAD

• シミュレーション

– Additive Manufacturing:早く安く試作する技術

• 電子部品(Rush PCB、Ruggeduino)

• 3Dプリンタ

• 形状射出サービス

– PLM/PDM等、開発のおける製品情報共有基盤の進化・浸透

76 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

ソフトウェアシミュレーション

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Additive Manufacturing

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

工夫

• スプリント毎のゴールを明確にする

• 同じコンポーネントであっても、スプリント毎に異なる価値でストーリーを作る 形状、使い勝手

衝突安全性

生産準備(組み付けの容易さ)

• 実現するストーリーに合わせて、コンポーネントの実現レベルを考える(バックログの分割・詳細化がキー)

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

8.Scrum for Hardware Gathering

The 1st Gathering of Scrum4HW 8月25・26日、コーチやエヴァンジェリストを対象にした、最初のカンファレンスである「Scrum for HW Gathering」が、米国コロラド州ボールダーで開催された。

また翌27日、 Scrum4HWの中心人物であるJoe Justice氏が設立したWikispeed社でワークショップも開催された

Scrum for Hardware Gathering

81 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

© 2

014 S

cru

m In

c.

Joe Justice

• Owner of all-Scrum automotive Manufacturing Company

• Creator of eXtreme Manufacturing Methods

• President of Scrum@Hardware practice at Scrum Inc. [email protected]

“WE HAVE FOUND TEAM MORALE TO

BE A MULTIPLIER FOR VELOCITY.”

Joe Justice @WikiSpeed

82 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Wikispeed

83 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

84 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

85 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

感想

• Scrum4HWは確実に定着しつつある

• レベルが高い!

– スクラム実践経験は当然、スクラムコーチやコーチのコーチ、コンサルタントが中心

– 実経験に基づくディスカッション(ついて行けない)

• 組織論、組織文化にフォーカスしがち

– Scrum4HWを成功させるには、組織変革、組織文化改革を避けて通れない。

– どう実践するかではなく、如何に組織を変革するか(Transform)が話題の中心になりがち

86 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Wikispeed Build Party

87 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Wikispeed Build Party at morning

88 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Wikispeed Build Party mid day

89 Copyright © 2016 All Rights Reserved. Copyright © 2016 All Rights Reserved.

Wikispeed Build Party

90 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

9.まとめ(メッセージ)

日本の労働生産性

• 日本の労働生産性は、先進7か国で最下位

• しかし製造業だけみれば2位

92 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

日本の新製品開発

• 日本のモノ作りの知恵は、世界に誇れるもの。リーン、TOC、アジャイルの母体となった。

• 野中郁次郎先生が世界に紹介したように、製品開発でも抜きんでた要素がある(あった?)

• これは残り少なくなった日本の強み

Copyright © 2016 All Rights Reserved.

TPS Toyota Production System

Production Product

Development Software

Development Other Felds

U.S. and Europe

Japan

Scrum

Scrum4HW

Lean

TOC Theory of constrains

Development Style in Japanese Companies

The New New Product Development Game

?!

SCRUM for HWの系譜

Sales

Marketing

Education

Goverment

94 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

このままでは

• スクラムは、日本のモノ作りの知恵をうまくフレームワーク化し、どのような仕事にも適用でいるよう汎化されたもの。

• このままでは、残り少なくなった日本の強みですら、太刀打ちできなくなってしまう!

95 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

やってみませんか!

Scrum for Hardware

96 Copyright © 2016 All Rights Reserved.

ありがとうございました!