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徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 1 徹底検証! ホスティング サービスの比較 Google とマイクロソフト 2010 2 16

徹底検証!ホスティングサービスの比較 Googleとマイクロソフト

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徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 1

徹底検証!

ホスティング サービスの比較

Google とマイクロソフト

2010 年 2 月 16 日

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 2

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2009 Microsoft Corporation. All rights reserved.

Active Directory、ActiveSync、Excel、Exchange、Forefront Security、Internet Explorer、Live Meeting、Office、Office Communications Server、

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す。

その他のすべての商標は、各社によって所有されています。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 3

目次

概要 ................................................................................................................................................................ 5

サービスの機能 ............................................................................................................................. 5

セキュリティ ................................................................................................................................... 5

サポート ........................................................................................................................................ 5

移行 .............................................................................................................................................. 6

コスト ............................................................................................................................................. 6

コミュニケーション サービスと機能 :電子メールと IM ....................................................................................... 7

Outlook クライアントのサポート ..................................................................................................... 7

インスタント メッセージングとプレゼンス ......................................................................................... 9

オフライン機能 ............................................................................................................................... 9

モバイル アクセス ....................................................................................................................... 11

セキュリティ ................................................................................................................................................... 12

データ センター ........................................................................................................................... 12

電子メールと IM のセキュリティ .................................................................................................. 13

サポートおよびサービス レベル契約 .............................................................................................................. 14

ダウンタイムの定義 ..................................................................................................................... 14

サードパーティの製品とドキュメント化されていない機能 ............................................................... 14

補償と金銭的な支援 .................................................................................................................... 14

コスト比較 ...................................................................................................................................................... 15

トレーニング ................................................................................................................................ 15

統合 ............................................................................................................................................ 15

ダウンタイム ................................................................................................................................ 16

予測可能性 ................................................................................................................................. 16

ユーザーの移行 ............................................................................................................................................ 17

コンテンツの移行 ......................................................................................................................... 17

ユーザー トレーニング................................................................................................................. 19

ユーザーによる習得の問題 ......................................................................................................... 19

結論と推奨事項 ............................................................................................................................................. 20

サービス戦略を定義する ............................................................................................................. 20

グループを 1 つに統合する ........................................................................................................ 20

移行設計セッションを行う ............................................................................................................. 20

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 4

ベンダーを客観的に選択する ....................................................................................................... 21

小さく始めてメリットを測定する ..................................................................................................... 21 リンクとリソース.............................................................................................................................................. 22

顧客導入事例 ............................................................................................................................. 22

顧客およびアナリストのコメント .................................................................................................... 23

マイクロソフトのリンク .................................................................................................................. 23

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 5

概要 昨今の厳しい経済環境の中、コスト削減と IT の敏捷性の向上を図る方法としてクラウド コンピューティングの

採用を検討する CIO (最高情報責任者) が増えています。ハードウェアとソフトウェアの購入、展開、管理を自

社で行うことを回避するために、多くの企業がクラウド コンピューティングを使用しています。このような企業は、

ホスティング サービス プロバイダーを利用して、自社のインフラストラクチャ内の特定のシステムまたはアプリ

ケーションを社外から実行することができます。業界関係者によると、ホスティング型のクラウド サービスを利

用することで、IT コストを現在の半分から最大 3 分の 1 にまで削減できると述べています (関連記事を参

照)。このような削減効果は、特に今日のような経済環境と IT 予算の最適化の動きに対処することにおいては

大変魅力的です。

このホワイト ペーパーでは、クラウドベースのメッセージング ソリューション (電子メールなど) とコラボレー

ション ソリューションを実現するための 2 つのアプローチについて紹介します。Microsoft Business

Productivity Online Standard Suite (BPOS) サービスと Google Apps Premier Edition (GAPE) を真のビ

ジネス価値とコストの観点から比較しています。以下のサブセクションでは、比較結果の概要について説明して

います。このホワイト ペーパーの各章では、詳細な情報と図を紹介しています。

サービスの機能

セキュリティ

サポート

移行

コスト

サービスの機能

Microsoft BPOS は、Microsoft Office Outlook の使い慣れた操作性に優れた電子メール インターフェイスと

個人情報管理を組織に提供します。Microsoft BPOS は、統合されたプレゼンス機能とインスタント メッセージ

ング (IM) を実現する、ユニファイド コミュニケーション機能を提供します。ユーザーは、生産性を高める機能豊

富なアプリケーションを利用して、ドキュメントをオフラインで編集したり、モバイル デバイスで簡単な編集を行っ

たりすることができます。これに対し、Google 製品には、効果的なオフライン機能 (特にモバイル デバイスを

使用する場合) や、ドキュメントの高度な書式設定機能、包括的なコラボレーション ソリューション機能など、予

定表と電子メールの機能として持つべき機能セットが十分にありません。

セキュリティ

マイクロソフトは、オープンな接続や標準とデータの移植性のサポートなど、業界をリードするセキュリティと相互

運用性の原則に対応するよう注力しています。これらに加えて、アクセス権管理などの多層防御型のセキュリ

ティに重点的に取り組んでいます。Google は、アクセス権管理に基づいたドキュメント保護をサポートしていま

せん。

サポート

マイクロソフトは、ダウンタイムの制限がない、金銭的な補償がある 99.9% のサービス レベル契約 (SLA) を、

24 時間年中無休の日本語をはじめとする多言語サポートと共に提供しています。これにより、組織がダウンタ

イムを短縮してサポートコストを削減するのを支援します。Google が提供している SLA では、10 分間未満の

ダウンタイムは対象外となっており、停止に対する払い戻しはサービス クレジット (サービス期間の無料延長)

としてしか行われません。さらに、GAPE サービスで提供されている電話サポートは、日曜日の午後 5 時 (太

平洋標準時) から金曜日の午後 5 時 (太平洋標準時) までです。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 6

移行

可能な限りシームレスにホスティング サービスに移行できるよう、マイクロソフトは効果的な移行ツールを提

供しています。現在の Microsoft Exchange 環境から移行する場合や Novell、IBM Lotus Notes などから

切り替える場合に、ユーザーはこれらのツールを使用できます。

「当社では、5 か月の間に、約 30,000 人をホスティング型のマイクロソフト ソリューションに移行しま

した。その間、業務への影響は一切なく、日常の運用が中断されることはありませんでした」

Coca-Cola Enterprises の CIO、Esat Sezar 氏

さらに、マイクロソフトのビジネス パートナーは、クラウドに移行する必要がある企業に、価値の高い固有

のサービスを提供することができます。たとえば、「Weekend Express」という名前の迅速な移行を提供す

るパートナーが存在します。この「Weekend Express」では、最大 5,000 人の IBM Lotus Notes の電子

メール ユーザーとそれらのユーザーに関連するメッセージング データを、BPOS がホスティングされた環

境に週末を利用して移行することができます。

これに対して、Google は、電子メール、一部の連絡先と予定表データを Google のホスティング環境に移行す

るための、IT による簡略化されたデータ転送機能しか提供していません。Exchange を利用している顧客の場

合、この手順では、アーカイブされたメール、暗号化されてアクセス権が管理された電子メール、グローバル配布

リスト、仕事、および共有フォルダーは無視されます。エンド ユーザーは、Google Apps Synch アプリケーショ

ンをインストールして、大部分のデータを手動で移行しなければなりません。 コスト

GAPE の初期費用は BPOS の初期費用よりも安く見えますが、これは見かけだけのものといえます。GAPE

には、金銭的な補償がある SLA、アクセス権に基づいたドキュメント保護、およびその他のセキュリティ機能が欠

けています。さらに、GAPE では、顧客は社内の Blackberry BES Server を保持する必要があり、モバイル

デバイスを厳密に制御することができず、完全な移行機能は提供されていません。BPOS は、顧客の既存の

Microsoft Office アプリケーションおよび Microsoft SharePoint 環境とのシームレスな統合を提供し、GAPE

では利用できない高度なコラボレーション機能を提供します。

Google のホスティング サービスに移行すると、組織では、IT サポートがいっそう複雑になり、ユーザーの生

産性が低下し、当初の予想よりも支出が増加する可能性があります。つまり、組織が使用できる機能は尐なく

なるにもかかわらず、コストが増加する可能性があります。

これに対して、Microsoft BPOS サービスでは、サービスの一環として、ユーザーの生産性を保ちながら、セ

キュリティ テクノロジやコンプライアンス テクノロジを維持することができます。さらに、組織では、一部のサービ

スをローカルに保持するというハイブリッド モデルを使用して BPOS に移行することを選択できます。このホワ

イト ペーパーを読むと分かるように、クラウド ベースのすべてのサービスが同じように作られているわけではあ

りません。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 7

コミュニケーション サービスと機能 :電子メールと IM 組織では、電子メールやインスタント メッセージング (IM) を使って迅速にコミュニケーションを取れることが重要

です。これには、ユーザーの在席状況や場所を把握したり、ユーザーがオフライン状態の場合やモバイル デバ

イスを使用したりしている場合でも効率的に作業できることも含まれます。ビジネスの成功には、コミュニケーショ

ン サービスの高い機能性と柔軟性が不可欠です。同時に、マネージャー クラスのスタッフは、効率性を高める

のに役立つツールをユーザーに提供すると同時に低コストでより大きな成果を上げるという、強いプレッシャーに

さらされています。ホスティング サービス プロバイダーを決定する際に、重要なコスト要因およびビジネスの成

功に不可欠な要因として、電子メールと IM をコミュニケーションの中心として考慮する必要があります。 Outlook クライアントのサポート

会社の規模に関係なく、Microsoft Office Outlook を多くの企業がメール クライアントとして好んで選択します。

そのため、既存の展開環境を使用することでトレーニング コストの削減を図る必要がある組織では、Outlook

のサポート要件を把握している必要があります。Google は、Gmail サービスの主なセールス ポイントとして

Outlook との統合を宣伝しています。ただし、統合はシームレスではありません。

Gmail はコンシューマー サービスとして始まったため、組織で必要となる多くのビジネス レベルの機能が欠け

ています。Gmail サービスでは、Outlook とのデータの同期は部分的にしか行えないため、ユーザーが 2 つ

の異なる受信トレイを管理しなければならない場合もあります。Gmail では、電子メール、プライマリの予定表、

および Outlook の連絡先は同期できますが、Outlook の仕事、メモ、履歴項目、フラグの日付、配布リスト、

連絡先の高度な書式設定などを同期することはできません。

Google でデータを同期する場合、同期は部分的にしか行われません。たとえば、Outlook 予定表の同期では、

任意出席者、予定表の添付ファイル、およびリッチ テキスト形式は同期されません。そのため、Outlook の機

能は、機能面で务る Google のブラウザーベースのインターフェイスと同等にまで損なわれてしまいます。

IT 部門は、すべての PC にクライアント側のコネクタを手動で展開し、グローバル アドレス一覧を利用できるよ

う、LDAP を Google Apps と同期するようにサーバーを設定したうえで、さらにこれらの制限に直面することに

なります。また、ユーザーは、オフラインではこのメール ディレクトリを使用することも検索することもできません。

このように作業が複雑であるため、生産性は低下し、ユーザーのトレーニングにかかるコストは増加します。また、

Google Apps SLA では、IT 部門が新しいソフトウェアを展開することはサポートされていません。

柔軟性という点では、Microsoft Exchange のホスティング サービスだけが、組織においてExchange をクラウ

ドで実行することも、社内で実行することも、あるいはホスティング ソリューションと自社運用ソリューションを混

在させてハイブリッド方式で実行することもできます。また、Exchange がクラウドでホスティングされているのか

自社運用なのかに関係なく、Outlook の機能は全く同じです。Outlook の機能に変わりがないため、Exchange

がホスティングされている場所に関係なく、ユーザーは Outlook の同じ豊富な機能を利用できます。これにより、

ユーザーの操作性を簡素化すると共にその質を高め、保守とサポートにかかるコスト全体を削減できます。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 8

図 1: Microsoft Outlook クライアント統合の比較表 サポートされている Outlook の機能 Exchange

Online の場合

Google Apps の場合

説明

電子メール (開封状況がわかるメッセージ) あり あり

メール フォルダーと分類 あり なし フォルダーは Gmail ではラベルになります。

分類項目はサポートされていません。

添付ファイルと高度な書式設定 あり 一部あり 実行可能ファイルの添付 (自己解凍の .zip ファ

イルなど) は、Gmail ではサポートされていませ

ん。高度な書式設定のレイアウトは、Gmail 以外

のユーザーに送信する場合、変更されます。

フラグ、アラーム、重要度 あり なし フラグは Gmail ではスターに対応し、他のユー

ザーに送信することはできません。アラームと優先

度はサポートされていません。

受信トレイのルール あり あり

署名 あり 一部あり 1 つの署名のみ

委任と共有 あり 一部あり メールボックスへのフル アクセスのみ。つまり「代

理として作業」のみ。

予定表アイテム あり あり 複数の予定表のサポート

空き時間情報 あり 一部あり 「予定あり」か「空き時間」のみ。「仮の予定」や「外出

中」などの状態の表示はなし。

出席者と返信 あり 一部あり 任意」出席者や「仮承諾」の返信はなし。

電子メールでの招待への詳細な返信はなし。

イベントのアラーム あり あり

添付ファイルと高度な書式設定 あり なし 予定表イベントでの添付ファイルおよび高度な書

式設定はなし

共有と委任 あり あり

個人用連絡先 あり あり

連絡先フォルダーと分類 あり なし すべての連絡先に 1 つのグループ

個人用グループと配布リスト あり あり

フラグ、日付、アラーム あり なし 連絡先にはなし

高度な書式設定とメモ フィールド あり 一部あり 高度な書式設定はなし。メモ フィールドのサイズ

は 16K 未満である必要があります。

連絡先の共有 あり なし

グローバル連絡先

(グローバル アドレス一覧)

あり 一部あり グループ リストと配布リストの参照はサポートされ

ていません。連絡先フィールドは、名前、電子メー

ル アドレス、住所のみです。

メモ、仕事、履歴 あり 一部あり 仕事は、ごく基本的なユーザー インターフェイス

のみサポートされています。メモと履歴はサポート

されていません。

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インスタント メッセージングとプレゼンス

Google は、Google トークという名前の基本的な IM および PC 間の呼び出しシステムを提供しており、スタン

ドアロンの Windows アプリケーション (Google Apps においてダウンロード可能なクライアントを利用できる唯

一の機能です) として利用するか、または Web を介して (Google トークの Web バージョンは Gmail と統合

されています) 利用することができます。IM 用のオープンな Extensible Messaging and Presence Protocol

(XMPP) に基づいて構築された Google トークは、ユーザーが組織の境界を越えてチャットを行えるよう、他の

XMPP ベースの IM ネットワークに接続します。ただし、Google トークでは、主流となっている IM ソリューショ

ンとの互換性に制限があります。

ユーザー プレゼンスでは、Google トークは他の Google 製品と統合されないため、ユーザーの在席状況を一

元的に管理する目的には使用できません。つまり、ユーザー プレゼンスに基づいて連絡先とコミュニケーションを

行うための、自動化された一連のルールがありません。

マイクロソフトでは、IM 機能をより革新的で統合された方法で使用しています。IM 機能は、Outlook とその他の

Microsoft アプリケーションでは、メッセージングのツールであると同時にプレゼンス インジケーターになっていま

す。このインジケーターには、オンライン状態のユーザーと、所定の時間におけるそれらのユーザーの空き時間情

報が表示されます。組織の Active Directory インフラストラクチャのメンバーであるユーザーのプレゼンスは、す

べてのコミュニケーションとドキュメントで追跡されます。さらに、ユーザーは、現在のアプリケーションを終了しなく

ても、プレゼンス インジケーターをクリックして別のユーザーをチャットに招待することができます。マイクロソフトで

は、統合するアプリケーションをゼロから設計しているため、プレゼンス インジケーターのような、ユーザーの生産

性を高める機能を提供できます。

また、マイクロソフトの統合サービスによって、ユーザーは、組織外のユーザーともコラボレーションを行うことがで

きます。ユーザーは、所属する組織がフェデレーション契約を締結しているパートナーおよび顧客を追加できます。

この機能によって、ユーザーは所属する組織に密接に関連している他の組織と共同で作業できるため、生産性が

さらに向上します。 オフライン機能

クラウドベースのソリューション プロバイダーとして、Google は、Google のソリューションの機能にはオフライン

機能が大きく欠落していることを認識しています。インターネットに接続できない環境ではユーザーの生産性が低

下します。この問題に対する Google の答えは Google Gears です。この Google Gears では、限られた一連

の Google オンライン サービスに対してオフライン キャッシュ機能を提供しています。このアプローチによって、

いくつか問題が生じています。

まず、Google Gears では一部のオフライン機能しか提供していません。たとえば、Google Apps でワープロ ド

キュメントのオフライン編集を利用している間は、スプレッドシートやプレゼンテーションでは同様の機能は利用でき

ず、ユーザーは表示しかできません。さらに、ユーザーは、オフラインの状態では Google Apps ベースのドキュメ

ント、スプレッドシート、プレゼンテーションを新たに作成することができません。最も深刻と考えられる問題として、

Google Gears がブラウザーのアドオンであるために、すべてのユーザーに展開する必要があり、データが暗号

化されていない状態でローカルに保存されることが挙げられます。以下の機能概要の表に示すように、これらのす

べての問題が非常に重大な制限事項になっています。

出典: http://docs.google.com/support/bin/answer.py?hl=jp&answer=92254

図 2: Google Gears – アプリケーション別のオフライン機能対応状況

オフラインで

表示

オフライン中

の編集

新規作成*

ドキュメント スプレッドシート プレゼンテーション Google Apps**

あり あり あり なし

あり なし なし なし

なし なし なし なし

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 10

図 3: Google Gears – アプリケーション別のオフライン機能サポート詳細

機能 サポート 説明

電子メール

表示と開封 一部あり 既定ですべてのメールを利用できるわけではありません。

ユーザーは、オフラインで利用できるようにするメール アイ

テムを手動で選択する必要があります。

新規作成 あり

ファイルの添付 あり

スペル チェック なし

連絡先の追加と編集 なし 会話履歴に基づいて、アドレスの「オート コンプリート」を利

用できます。

予定表

表示と開封 あり

編集 なし

新規作成 なし

仕事 なし 利用できません。

Google ドキュメント

表示と開封 あり

編集 あり オフラインの変更を同期するためには、ユーザーは、同

じコンピューター、同じブラウザー、同じプロトコル (http

と https) を使ってサインインする必要があります。

新規作成

なし ユーザーは、新しいドキュメントを開いてからオフラインにし、

その後で作成します。

スペル チェック なし

共同作業者と なし

アクセス許可の割り当て

スプレッドシート

表示と開封 一部あり Microsoft Internet Explorer® のどのバージョン上でも安全

な接続 (https) を介して作業することができません。

編集 なし

新規作成 なし

スペル チェック なし

共同作業者と なし

アクセス許可の割り当て

プレゼンテーション

表示 あり

編集 なし

新規作成 なし

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 11

スペル チェック なし Google プレゼンテーションにこの機能はありません。

共同作業者と なし アクセス許可の割り当て

リーダー

開封または開封済みにする 一部あり テキストのみ。画像とビデオはダウンロードされません。

アイテムは開封済みとしてマーク付けされます。

タグ あり

新しいフィードの追加 なし

メモや記事の共有 なし

マイクロソフトのソリューションでは、オンラインかオフラインかに関係なく、作成、編集、および表示の完全な機能

を利用できます。さらに重要なことには、Microsoft SharePoint 2010 を使うと、ドキュメントをオフラインで変更し

て、オンラインのときにそれらのドキュメントを同期できます。また、オフラインのときに加えた変更だけをネットワー

ク経由で適用できるよう、これらの同期操作は、低帯域幅の接続を使用している場合でも効率的に行えるように

なっています。マイクロソフトでは、この機能をモバイル インターフェイスでさらに発展させて、ユーザーがドキュメ

ントを完全な再現性で表示し、モバイル デバイスで編集機能を利用できるようにしています。そのため、ユーザー

は、オンラインのときだけでなく、外出先でスマート フォンだけを使用している場合でも、ドキュメントを表示して編

集することができます。 モバイル アクセス

モバイル デバイスの利用が増加している今日の環境では、多くの従業員が、電子メール、予定表、連絡先、仕事、

共有コンテンツなど、より多くの種類のコミュニケーション情報やコラボレーション情報に、事実上いつでもどこから

でもシームレスにアクセスできる必要があります。

Google のモバイル ソリューションはデバイスの種類によって異なります。Google では、Google Sync と呼ば

れるベータ サービスによって、Apple iPhone、Google Android、および Windows Mobile デバイス上で Gmail

ベースの電子メール、連絡先、および Google カレンダーのデータへの無線によるモバイル アクセスを提供して

います。また、Google では、Research in Motion (RIM) Blackberry や Nokia S60 などの他のデバイスについ

ても、ホスティングされているデータにさまざまなレベルでアクセスできるようサポートしています。一部のデバイス

にはネイティブ クライアントがインストールされていますが、大部分の「フィーチャー フォン」には、機能面で务る

Java ベースのアプリケーションやサービスのモバイル Web バージョンが使用されています。

Microsoft Online Services には、ユーザーがスマート フォンを使ってアクセスできる 2 つのホスティング サー

ビスとして Microsoft Exchange Online と Microsoft SharePoint Online が含まれています。ユーザーは、

Microsoft Windows Mobile 6 以上のデバイス、RIM BlackBerry デバイス、Microsoft ActiveSync と互換性

のあるその他の多くのデバイスなど、さまざまなデバイスを使って Exchange Online と SharePoint Online の

両方にアクセスできます。ActiveSync テクノロジは、最も普及している企業向けメッセージング サーバーである

Exchange にモバイル デバイスを接続するための標準に急速になりつつあります。

ActiveSync によって、電子メール メッセージ、予定表、連絡先、仕事、およびその他の Exchange Server メー

ルボックス データに無線によるモバイル アクセスが可能になります。Windows Mobile ベースの電話または

ActiveSync 対応の携帯電話を使用している場合、ユーザーは、モバイル アクセスを使用してより簡単に

Exchange Server にアクセスし、電子メール メッセージ、ボイス メール、FAX メッセージ、予定表、全社用アドレ

ス帳 (グローバル アドレス一覧)、および仕事を利用できます。ActiveSync 互換のデバイスを使用すると、ほぼ

いつでもどこからでも仕事をすることができます。

ActiveSync は、Apple、DataViz、Helio、Nokia、Palm Inc.、RemoSync、Samsung、Sony Ericsson、Symbian

などの多くの企業にライセンスが供与されています。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 12

セキュリティ 組織内と組織外の規制要件に対応するために、組織ではセキュリティ ポリシーを管理する必要があります。これ

らのセキュリティ ポリシーでは、ウイルス対策、スパム対策、アクセス権管理、ポリシー準拠を含め、セキュリティ

ツールに透過性と有効性が必要になります。

コーポレート ガバナンスとコンプライアンスの要件は複雑であり、国、産業、その他の要素によって異なります。ク

ラウド コンピューティング ソリューションをホストする分散されたデータ センターを利用すれば、世界中の顧客情

報にすばやくアクセスすることができます。ただし、サード パーティの管理のもとで重要な企業データを社外に保

存する場合、組織はリスクにさらされることになります。

Google のホスティング サービスでは、企業データは他の企業や個人のデータと物理的なディスク領域を共有す

るため、セキュリティ上のリスクとプライバシーのリスクが生じます。これらのリスクに加えて、企業では、データの

バックアップを Google に依頼することになります。Google はバックアップを行うと主張していますが、Google

および Google のパートナーのいずれもデータ損失の責任を負わないことを明確に述べています。Google の経

営陣は、ユーザーのデータが実際にどこに保存されているのか説明できないことを認めています。Google エン

タープライズ製品担当マネージャー、Rishi Chandra 氏は、インタビューで、「データの場所という考え方は当社の

課題です」と述べています。企業データにアクセスできない場合、組織では、SOX 法 (米国企業改革法)、EU

データ保護、米国愛国者法 (反テロ法) などの基本的な規制に準拠するのが困難になる可能性があります。

マイクロソフトは、コンプライアンスを維持できるようにする、より柔軟性の高い機能を提供しています。マイクロソフ

トの製品とサービスは、セキュリティ開発ライフサイクル全体を通じて、設計レベルでセキュリティに対処しています。

マイクロソフトは、アドオン機能としてではなく、すべての製品の不可欠な部分としてセキュリティ機能を提供してい

ます。マイクロソフトのホスティング製品を組織内の Active Directory インフラストラクチャと統合することで、組織

では、グループ、ビジネス アプリケーション、電子メール、およびドキュメントの各レベルからアクセス権を管理でき

るようになります。Active Directory を他の組織と統合して、組織内のサーバーとホスティング サービスを組み合

わせるハイブリッド シナリオで使用することができます。

これに対して、Google のセキュリティ対応は不明確なものになっています。2004 年 7 月から 2008 年 8 月ま

での期間に、Google のオンライン サービスに、生産性の消失やスパムによるアクセスから個人情報の不慮の開

示までに渡る尐なくとも 37 のセキュリティの問題が発生しました。セキュリティの専門家は、Google にセキュリ

ティの透過性が欠如していることを問題として取り上げるでしょう データ センター

マイクロソフトのデータ センターは、世界各地に戦略的に配置されています。各データ センターは、信頼性の高い

さまざまな機器により、一連の Microsoft Online Services へのシームレスな接続を提供しています。地理的な冗

長性を備えたデータ センターのグローバルなネットワークにより、ビジネスに不可欠なコラボレーション サービス

に 24 時間アクセスできるようになるだけでなく、データの安全性が維持されます。

データ コンプライアンス、カスタマイズ、および柔軟性へのニーズのために、多くの顧客がオンラインのソリュー

ションと自社運用のソリューションを組み合わせたハイブリッド手法を展開することを希望する可能性があります。

マイクロソフトは、場所、ワークロード、または役割別に、自社運用とオンラインの展開モデルを選択できるだけの

柔軟性を提供することで、この機能をさらに進化させています。たとえば、この高い柔軟性によって、企業では、本

社のユーザーについては Exchange Server を自社のデータセンター内に展開するよう決定できます。一方、支

社のユーザーについては、BPOS を利用して Exchange Online に登録することができます。シームレスな操作

性 (単一のアドレス帳など) を実現するために、マイクロソフトは、社内ディレクトリのエントリと Online Services

のディレクトリのエントリを同期するツールを提供します。この同期には、ユーザーの変更、追加、または削除、お

よびユーザー属性の変更が含まれます。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 13

Microsoft SharePoint については、顧客は、社内の Microsoft SharePoint サーバーに一連のサイト コレク

ション セットを展開して、Microsoft SharePoint Online に別のサイト コレクション セットを展開できます。ユー

ザーは、実際にいる場所に関係なく、両方のサイト コレクションのサイトにアクセスできます。

Google は世界中にデータセンターを分散していますが、データが具体的にどこに配置されているのかは公開し

ていません。Google が提供しているオプションはオンラインのみのため、インターネットやデータセンターが停

止した場合、組織ではセキュリティとコンプライアンスを維持できなくなります 電子メールと IM のセキュリティ

Google では、提供する一部のサービスで、SAS70 Type II などのデータ センターのアクセスと基本的な業界

認証について堅牢な物理的なセキュリティを提供しています。ただし、企業のセキュリティ ニーズはこれらの基

本的な管理よりも広範に渡るため、全体的に考慮する必要があります。たとえば、Google では、「転送しない」、

「表示のみ」などのルールを使ってユーザー間で電子メールを送信する機能をサポートしていません。これらの機

能は、Microsoft Information Right Management プラットフォームの重要な機能になっています。この機能がな

いと、ユーザーは、文書が簡単に漏えいしたり、個人情報を不用意に共有してしまったりする可能性があります。

Google は、Gmail でスパム対策機能とウイルス対策機能を提供しています。ただし、Postini の一部として

Google が買収したテクノロジと統合することでのみ、ユーザーは、追加の費用を支払ってオプションのフィッシン

グとマルウェアからの保護を利用できます。

Microsoft Exchange Online は、Microsoft Forefront Security または Microsoft Forefront Online

Protection for Exchange によってシステムをスパムとウイルスから保護する、堅牢なセキュリティ ツールを提

供します。電子メールは TLS、Kerberos、および IPSec の各テクノロジを使って暗号化できるため、マイクロソ

フトは Google と同様に SAS70 Type II のコンプライアンスとセキュリティを提供します。Microsoft Exchange

Online では、ホスティング サービスへのインターネット アクセスをセキュリティで保護するために、HTTPS 接

続および SSL 接続を使用しています。

マイクロソフトでは、オプションで組織が複数のセキュリティ レイヤーを利用できる追加コストのサービスを提供

しています。たとえば、Microsoft Forefront Online Protection for Exchange は、複数のフィルターを使用する

ことで、スパム、ウイルス、フィッシング詐欺、電子メール ポリシー違反からの保護を、受信側および送信側に提

供します。Microsoft Exchange Hosted Archive は、電子メール メッセージとインスタント メッセージのための

高度なメッセージ アーカイブ システムを提供します。また、Microsoft Exchange Hosted Encryption によって、

ユーザーは、通常の電子メールと同じように簡単に、いつでも、だれとでも自分のデスクトップから直接、暗号化

された電子メールを送受信できます。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 14

サポートおよびサービス レベル契約

ダウンタイムの定義

マイクロソフトと Google の両方が、ホスティング サービスに 99.9% の可用性の保証を提供しています。

マイクロソフトが提供する SLA は、ダウンタイムの制限がより尐ないポリシーになっており、クライアント機

能はより確実に動作し、金銭的な補償が約束されています。

Google の SLA では、ダウンタイム時間を次のように定義しています。「ドメインでダウンタイムが 10 分以上

続く状態のことです。10 分未満の断続的なダウンタイムは、ダウンタイム時間として計測しません」

そのため、ダウンタイムが発生する頻度に関係なく、10 分未満のサービスの中断はダウンタイムとして計測さ

れません。また、Google は、24 時間年中無休でサポートを提供すると主張していますが、電話対応は日曜日

の午後 5 時 (太平洋標準時) から金曜日の午後 5 時 (太平洋標準時) までしか行っていません。また、

Google Apps 向けにリリースされる新機能は Google Labs の分類に該当し、SLA の対象外になる可能性が

あります。

マイクロソフトはダウンタイムを制限しておらず、ミッション クリティカル環境のユーザーに実験的な機能は提供

していません。ユーザーは、24 時間年中無休で、電話でマイクロソフトの多言語サポートを利用できます サードパーティの製品とドキュメント化されていない機能

Google Labs では、Google Apps などのさまざまな Google オンライン サービス向けにサードパーティの

ガジェットと補完的な機能を提供するための、開発者向けのフォーラムを提供しています。Google Labs 機能

の品質や一貫性に関して Google は一切の責任を負わないため、この機能は企業の IT にリスクをもたらし

ます。

Exchange 用の Web ベースのクライアントである Microsoft Outlook Web Access は、ビジネス ユーザーの

生産性を高める使い慣れた機能を備えています。サード パーティは、管理者の同意なしに、Outlook Web

Access のホスティング バージョンまたは社内バージョンに、独自に開発した機能やサポートされていない機能

を提供することはできません。

補償と金銭的な支援

Google の SLA に従って、Google は、サービスの損失に対してサービス クレジット (サービス期間の無料

延長) を提供することで、顧客に補償を行います。ただし、Google では、ダウンタイムが原因で負うペナルティ

には上限を設定しています。企業にとって利用しているサービスは重要であるため、サービス クレジットを得て

も補償が十分でない可能性があります。これに対して、Microsoft Online は、ダウンタイムの制限がなく金銭

的な補償を行う、99.9% の完全な SLA を提供します。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 15

コスト比較 金銭面でのメリットが、GAPE や Microsoft BPOS などのクラウド コンピューティング ソリューションで宣伝さ

れている多くのメリットの 1 つですが、月額料金以外の隠れたコストがあるために、これらの環境の実際のコ

スト削減を判断するのは困難です。組織では、ソリューションの移行、ソリューションの機能、ユーザー トレーニ

ングのニーズ、継続的なサポート コスト、ダウンタイムに伴うコストなどに関連する、財務上の影響を算出する

必要があります。このセクションでは、各ソリューションの本当のコストに影響を及ぼす重要な問題について、い

くつか説明します。 トレーニング

Google は、多くの主要企業のユーザーが、Microsoft Office Outlook を社内ユーザーと社外ユーザーの両方と

コミュニケーションを行うための主要なインターフェイスと見なしていることを理解しています。Google では、顧客

企業の期待に応えるために、Outlook と GAPE サービスの相互動作をサポートする必要があります。GAPE

では、Outlook が部分的にしかサポートされていないだけでなく、インスタント メッセージング、ドキュメントの作

成、コラボレーションなどのサービスについて、ユーザーは、大部分が Web ベースの新しいインターフェイスを

習得する必要があります。これらのインターフェイスで利用できる機能は、SharePoint、Microsoft Office Live

Meeting、Microsoft Office Communications Server、生産性を向上させる Microsoft Office スイートを含め、

マイクロソフトの関連製品で利用できる機能よりも尐なくなります。GAPE に移行する企業では、予定表ベースの

仕事など、基本機能が限られているにもかかわらず、新しいソリューションを使ってどのように作業するのかユー

ザーにトレーニングを行う必要があります。 統合

Google では、ユーザーは、Google ドキュメントを使用して Web ベースのドキュメント、スプレッドシート、お

よびプレゼンテーションを作成し、共同作業を行うことができますが、ソリューションの完成度は低く、Microsoft

Office に比べて貧弱なものになっています。また、GAPE に移行しようとしている企業では、引き続き、デスク

トップに Microsoft Office のライセンスを取得する必要があります。この追加のコストと、Microsoft Office と

GAPE が密接に統合されていないために生じるコストを、GAPE と BPOS の両方の本当のコストに含める

必要があります。これに対して、マイクロソフトと BPOS は、Microsoft Outlook だけでなく Microsoft Office

Word、Microsoft Office Excel、Microsoft Office PowerPoint などのアプリケーションでも、役立つ効果的

な統合を提供します。これらのアプリケーションは、SharePoint ベースの記憶域でもユーザーのハード ドライ

ブのローカルの記憶域と同じようにシームレスに動作します。

統合の重要性は、クライアントに限定されるものではありません。組織で採用している電子メール、予定表、およ

びコラボレーションの各機能も、企業のインフラストラクチャと統合する必要があります。Google の製品は、旧

式の社内インフラストラクチャを置き換える場合や、新しい会社がインフラストラクチャを迅速に導入する場合を

対象として設計されています。ただし、Google は、Google が提供する Web ベースのサービスを組織のオン

サイトのサーバーに統合する手段は提供していません。

マイクロソフトは、ハイブリッド展開モデルをサポートしています。このモデルを使用すると、組織では、統合中も

すべてのソリューションが全体としてシームレスに動作するよう、一部のインフラストラクチャをクラウドに配置し、

残りの部分を社内に展開できます。これによってビジネス継続性が提供されるため、組織では、必要なときにク

ラウドベースのサービスに移行できます。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 16

ダウンタイム

コストに関連する最も重要な問題の 1 つとして、ホスティング サービスの継続的な可用性が挙げられます。

Google とマイクロソフトの両方がそれぞれのサービスに 99.9% の稼働率を約束していますが、予期しないダ

ウンタイムが発生した場合に組織を金銭的に補償する SLA を提供しているのは、マイクロソフトだけです。また、

顧客が BPOS と連携させて使用するアプリケーションについて完全なオフライン ソリューションを提供している

のも、マイクロソフトだけです。これにより、ダウンタイムによる生産性の低下を最小限に抑えることができます。

同時に、これらのメリットは、管理上のサポートやヘルプ デスク サポートの軽減、ユーザーの生産性の向上、お

よび IT 以外のビジネス活動の継続性といった形で、財務上のメリットももたらします。 予測可能性

Google のオンライン サービスは、頻繁に更新が行われることでよく知られています。最近、Google は、Gmail

サービスと Google カレンダー サービスからベータ タグを取り除きましたが、まだなお、GAPE ベースのサー

ビスをすみやかに更新する権利を保持しています。また、Google Labs を通じて新しい機能が頻繁に追加され

るため、サポートが複雑になっており、ユーザーの混乱を招く可能性があります。マイクロソフトでは、予測可能な

スケジュールで BPOS を更新しており、新しい機能が顧客にリリースされるのは 90 日ごとになっています。四

半期ごとに行われている最新の更新では、ユーザーあたりの月額料金も値下げしました。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 17

ユーザーの移行

コンテンツの移行

マイクロソフトは、オープンな標準の開発および標準ベースのドキュメント形式とメッセージング形式のサポートに、

最前線で取り組んでいます。マイクロソフトは、Exchange、Novell、IBM Lotus Notes、その他のシステムから

Microsoft BPOS に切り替えるユーザーに効果的な移行ツールを提供しています。移行時に生産性に及ぼす影

響を最小限に抑えるために、標準化され十分にテストされたプロセスを提供しています。マイクロソフトは、ドキュ

メントの移植性を確保するために、XML をベースとしたポートフォリオを構築しています。Google は HTML

ベースであるため、データとドキュメントの移行時と変換時に多くの書式設定が失われ、データが失われる可能

性もあります。

図 4 と図 5 に、BPOS と GAPE の両方でサポートされている電子メールと予定表のデータ移行について、

再現性の比較を示します。これらの比較は、今日、企業内に展開されているメッセージング プラットフォーム

の上位 2 製品である IBM Lotus Notes と Microsoft Exchange について行っています。

図 4: Microsoft Exchange からの電子メール データの移行 – 比較表

移行可能なコンテンツまたは機能 Exchange

Online へ

の移行

Google

Apps へ

の移行

説明

電子メール (メッセージの開封状況) あり あり

メール フォルダーと分類 あり 一部あり フォルダーは Gmail ではラベルになります。

Gmail では、分類はサポートされていません。

添付ファイルと高度な書式設定 あり 一部あり 実行可能ファイルの添付 (自己解凍の .zip

ファイルなど) は、Gmail にはコピーされませ

ん。高度な書式設定のレイアウトは変更されま

す。

フラグ、アラーム、重要度 あり なし フラグは Gmail ではスターになります。アラー

ム、高優先度、および低優先度はなくなります。

受信トレイのルール あり なし Gmail に移行されません。

署名 あり なし Gmail に移行されません。

委任と共有 あり なし 委任設定と共有設定は Gmail にインポートされ

ません。

予定表 (すべての予定表) あり あり

空き時間情報 あり 一部あり 「外出中」の状態は「予定あり」になります。

出席者と返信 あり 一部あり 「仮承諾」は「承認」に変換されます。「任意出席

者」は「必須出席者」に変換されます。

イベントのアラーム あり あり

添付ファイルと高度な書式設定 あり なし 予定表イベントの添付ファイルと高度な書式設

定は、Gmail にインポートされません。

共有と委任 あり なし

個人用連絡先 あり あり

連絡先フォルダーと分類 あり なし すべての連絡先が 1 つのグループにイン

ポートされます。分類項目はサポートされて

いません。

個人用グループと配布リスト あり なし

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 18

フラグ、日付、アラーム あり なし 連絡先については移行されません。

高度な書式設定とメモ フィールド あり 一部あり 高度な書式設定はなし。16K を超えるメモは切

り詰められます。

グローバル連絡先 (GAL) あり 一部あり グループ リストと配布リストはコピーされません。

名前、電子メール アドレス、および住所以外の

フィールドはコピーされません。

メモ、仕事、履歴 あり なし 移行されません。

図 5: IBM Lotus Notes からの電子メール データの移行 – 比較表

移行可能なコンテンツまたは機能 Exchange

Online へ

の移行

Google Apps への移行

説明

電子メール (メッセージの開封状況) あり あり メール メッセージは、件名に基づいて自動的にス

レッドにまとめられます。

メール フォルダー あり 一部あり フォルダーは Gmail ではラベルになります。40

文字の上限を超える名前は切り詰められます。

添付ファイルと高度な書式設定 あり 一部あり 実行可能ファイルの添付 (自己解凍の .zip

ファイルなど) は、Gmail にはコピーされませ

ん。高度な書式設定のレイアウトは、HTML

への変換時に変更されます。

フラグ、アラーム、重要度 あり なし フラグは Gmail ではスターになります。

アラームはなくなります。

受信トレイのルール あり なし Gmail に移行されません。

署名 あり なし Gmail に移行されません。

委任と共有 あり なし 委任設定と共有設定は Gmail にインポートされ

ません。

暗号化メール あり なし ユーザーは、移行前にすべてのメール

の暗号化を解除する必要があります。

予定表 (すべての予定表) あり あり

空き時間情報 あり あり

出席者と返信 あり あり

イベントのアラーム あり あり

添付ファイルと書式設定 あり なし 添付ファイルは、予定表イベントから削除されます。

予定表イベントの高度な書式設定は、Gmail にイ

ンポートされません。

共有と委任 あり なし

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 19

個人用連絡先 あり あり ユーザーは、移行前に個人用アドレス帳を同期

する必要があります。

個人用グループと配布リスト あり あり

添付ファイル、メモ、リンク あり なし 添付ファイルは削除されます。リンクは、クリック

可能になりません。16K を超えるメモは切り詰め

られます。

グローバル連絡先 (GAL) あり 一部あり グローバル グループ リストと配布リストはコ

ピーされません。名前、電子メール アドレス、お

よび住所以外のフィールドはコピーされません。

仕事 あり なし 移行されません。

ユーザー トレーニング

エンド ユーザーと IT サポート スタッフの両方のトレーニング ニーズを最小限に抑えるために、組織では、グ

ループに使い慣れたソリューションを提供する必要があります。マイクロソフトのホスティング サービスは、ユー

ザーがデスクトップで既に使用しているのと同じ使い慣れた、操作性に優れたインターフェイスを提供します。

Google は、エンド ユーザー ソリューションと管理ユーティリティにごく基本的なインターフェイスを導入しました。

組織では、Google のユーティリティの使用方法について、エンド ユーザーと IT サポート スタッフの両方にト

レーニングを行う必要があります。また、組織では、環境に組み込まれる可能性がある、Google Labs および

その他のサードパーティの製品と修正プログラムに固有のリスクを回避する必要があります。 ユーザーによる習得の問題

ユーザーがすばやく習得できるよう、組織では、ユーザー グループが使い慣れたユーザー インターフェイスを

使用して、どこからでも作業できるだけの柔軟性を提供する必要があります。ユーザーは、データや書式設定を

保持したままでコピーと貼り付けを実行できる必要があります。また、どのブラウザーからでも簡単にすばやく

正確な操作を実行できるようなツールを利用できる必要があります。Office Web Apps では、Word、

PowerPoint、Excel、および Microsoft Office OneNote の簡素化されたバージョンをブラウザーで利用でき

るため、ユーザーは、PC から離れているときでも生産性を最大限に高めることができます。Office Web Apps

は使い慣れた Office Fluent ユーザー インターフェイスを装備しており、書式設定やデータを失うことなく不可

欠な編集機能を利用できます。

Google は、機能が限定されたごく基本的な機能を提供しています。Google が提供する機能は、一貫したド

キュメント変換機能とインポート/エクスポート機能が欠けています。機能の欠落とバグがあり、また Google プ

レゼンテーションの柔軟性と作成機能が制限されていると同時に、オフラインの操作が限定されています。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 20

結論と推奨事項 社内の IT サービスをクラウドベースのホスティング サービスに移行するのは、複雑なプロセスになります。組

織では、この大きな転換を行う前に、多くの選択肢を検討する必要があります。クラウド コンピューティングに移

行することで敏捷性のメリットとコスト削減が得られますが、組織にとって受け入れがたい大きな代償と隠れたコ

ストが伴います。

このホワイト ペーパーでは、Microsoft BPOS と Google GAPE を事実に基づいてカテゴリ別に比較するこ

とで、組織に対してホスティング サービス プロバイダーの調査を全体的に行うよう促すことに重点を置いてい

ます。ホスティング ソリューションへの移行において経験に基づいた意思決定を行うための、以下の手順につ

いて説明します。

サービス戦略を定義する

グループを 1 つに統合する

移行設計セッションを行う

ベンダーを客観的に選択する

小さく始めてメリットを測定する

サービス戦略を定義する

組織では、まず、すべての利害関係者を含め、組織の環境におけるユニファイド コミュニケーションとコラボレー

ションのビジネス ニーズを把握する必要があります。さらに、異なるビジネス グループによって推進されている

孤立したテクノロジには投資しないようにする必要があります。サービス戦略では、エンド ユーザー向けの操作

性の統合、シームレスな移行を行うためのインフラストラクチャ、および信頼性の高いサポートされている開発者

プラットフォームを使用した、コミュニケーション機能を強化するための柔軟性を計画する必要があります。 グループを 1 つに統合する

本当のクラウド コンピューティングのビジネス プランを採用するには、ビジネス プランの推進者や経営陣を

含め、多くの部門での連携が必要になります。推進者は電子メール、インスタント メッセージング、セキュリ

ティ、ヘルプデスク サポート、モビリティ、デスクトップ アプリケーション、コラボレーション、および Web 会議

を提供し、経営陣はそれらのツールを使用します。組織では、これらのグループ間での調整を早い段階で行う

必要があります。 移行設計セッションを行う

マイクロソフトは、BPOS 環境に移行する際に、企業のビジネス目標を把握して、それらの目標と具体的な手

順を調整するための、カスタマイズ可能な移行設計セッションを開発しました。このセッションでは、CIO、アーキ

テクト、および IT チームの上級メンバーを対象に、アーキテクチャのガイダンス、推奨プラクティスに関する情

報、アーキテクチャ、ツール、およびリスク分析を提供します。また、短期間で移行できるよう異なるソリューショ

ンを単に 1 つに繋げるのではなく、長期的なビジネス目標を達成できるよう、組織が相互運用性を戦略的に

活用するのを支援します。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 21

ベンダーを客観的に選択する

競合との比較情報を数多く得るために、組織では、一連の要件を定義して、ベンダーのホスティング ソリュー

ションのコストとメリットを提示するようにベンダーに依頼することができます。このプロセスにより、各ベンダー

は、明確に定義された顧客ニーズに基づいて自社のソリューションを紹介することができます。意思決定は、

サービス購入の初期コストに基づいては行わないようにしてください。継続的な保守コスト、組織のパフォーマ

ンスと従業員の生産性が向上した結果として得られるメリット、および提供されるセキュリティおよびサービス

保証のレベルを考慮する必要があります。 小さく始めてメリットを測定する

クラウド コンピューティングに投資した場合、データはベンダーの管理下に置かれるため、企業が囲い込まれ

てしまう可能性があります。組織では、まず、小規模なユーザー グループをホスティング サービスに展開して、

展開作業や管理作業、実現されるメリット、およびユーザーのフィードバックを比較する必要があります。手始

めとして、マイクロソフトの BPOS トライアル プログラムと BPOS 体験サイトを評価し、これらの機能が個々

の組織の環境にどのようなメリットをもたらすのか確認してみてください。これらのプログラムの詳細について

は、マイクロソフトのアカウント マネージャーにお問い合わせください。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 22

リンクとリソース

マイクロソフトが提供するホスティング サービスの詳細については、以下のリンクとリソースを参照してください。

顧客導入事例

グラクソ・スミスクライン

世界第 2 位の製薬会社であるグラクソ・スミスクラインは、世界中のワクチンの 4 分の 1 を供給し、主

要な処方薬と消費者向け医薬品を生産しています。

ビジネスの状況

グラクソ・スミスクラインでは、パートナーとのコラボレーションを強化し、拡大する市場で効率性を向上し、カス

タマイズされたソリューションから脱却し、運用と投資にかかるコストを低減する必要がありました。

ソリューション

グラクソ・スミスクラインは、Lotus Notes、Domino、および Postini の各サービスを、Microsoft Exchange

Online、Microsoft Office SharePoint Online、Microsoft Office Communications Online、Microsoft

Office Live Meeting、Microsoft Deskless Worker Suite を含む Microsoft Business Productivity Online

Suite に置き換えて、世界中のすべての従業員に展開することを選択しました。すべてのものが、マイクロソフト

の世界中のデータ センターでマイクロソフトによってホスティングされることになりました。

メリット

運用コストの削減

革新の促進

コラボレーションの強化

ユーザー操作の簡素化 Clean Power Research

Clean Power Research は、クリーン エネルギー テクノロジの客観的な経済分析に使用するソフトウェア ツールとサービスを提供しています。本社は、カリフォルニア州ナパとワシントン州カークランドにあります。

ビジネスの状況

Clean Power Research では、IT インフラストラクチャを社内で展開および管理する際に発生する費用とオー

バーヘッドをかけずに、POP3 ベースの電子メールをエンタープライズクラスのメッセージング システムに置き

換えたいと考えていました。

ソリューション

Clean Power Research では、まず、Microsoft Online Services の BPOS から着手し、比較的速度が

遅く非効率な POP3 ベースの電子メール システムを Microsoft Exchange Online に置き換えました。

徹底検証! ホスティング サービスの比較 | Google とマイクロソフト 23

メリット

ユーザーの生産性の向上

予定表の統合による計画の支援

モバイル アクセスによる柔軟性の向上

オンライン サービスによる成長の支援

顧客およびアナリストのコメント

―「当社は、Microsoft Online Services を選択しました。このサービスでは、簡素化によって企業に価値を

提供するだけでなく、ユーザー エクスペリエンスを向上して GSK の生産性をいっそう高める、シンプルで直

感的な情報ワークプレースを実現することを約束しているからです」―

グラクソ・スミスクライン の最高情報責任者、Bill Louv 氏。2009 年 3 月 2 日

―「複数のフィルタリング エンジンと 24 時間の絶え間ない保護によって、今ではスパムのことを考える必要などありません」

ケンタッキー州教育省の教育テクノロジ局テクニカル オペレーション部門のディレクター、Phil Coleman 氏。2008 年 4 月 2 日

マイクロソフトのリンク

Business Productivity Online Standard Suite (BPOS)

http://www.microsoft.com/japan/online/default.mspx

Microsoft Exchange Online

http://www.microsoft.com/online/ja-jp/exchange-online.mspx

Microsoft SharePoint Online

http://www.microsoft.com/online/ja-jp/sharepoint-online.mspx

Microsoft Office Communications Online

http://www.microsoft.com/online/ja-jp/office-communications-online.mspx

Microsoft Office Live Meeting

http://www.microsoft.com/online/ja-jp/office-live-meeting.mspx