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アプリ開発ビジネスの 1つの実例 HMDT株式会社 代表取締役 木下誠

Break Times Nite Vol.5 - iOS App - アプリ開発ビジネスの1つの実例

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アプリ開発ビジネスの1つの実例

HMDT株式会社 代表取締役 木下誠

今日の話

依頼『アプリ開発のビジネス的な側面について』

クライアントの要望をどう実現するのか?

技術の選定要件は?

代替案の提案の仕方は?

クライアントに対して、 どういうスタンスをとるのか?

できあがったアプリを どう取り扱うのか?

弊社の成り立ち、運営状況

開発するアプリに対する 3つのスタンス

一介のエンジニアが、 独立して会社を組織して、

まがりなりにもアプリ開発ビジネスで生計を立てられるよ

うになった軌跡

Who am I?

1974年生まれ

いま40歳

小学校時代から プログラミングに親しむ

最初のマシンはPC-8001

もろにベーマガ世代

理系一筋

北海道大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了

1999年 ソニー(株)入社

この年の採用数500名

2015年の採用は170名

1年目にUSに飛ばされる

サンディエゴ

サンフランシスコ

北米向けTV、STBの開発

日本に戻ってきて、 29歳と11カ月のときに退社

30歳まで独立すると決めてた

フリーランスを経て会社設立

HMDT(株) の運営状況

事業内容

ソフトウェアの 企画、開発、販売

主たる収入源は受託開発 100本以上のアプリを開発

資本金300万円

すべて自己資金

出資者無し 借金無し

株主は100%社長

会社/社長のクラスタ

ベンチャー?

スタートアップ?

アントレプレナー?

会社/社長のクラスタ

ベンチャー?

スタートアップ?

アントレプレナー?

零細企業?

テクノロジーおたく?

エンジニア崩れの素人経営?

零細企業?

テクノロジーおたく?

エンジニア崩れの素人経営?

分析iPhone登場直後、アプリ開発できる会社が少なかったため、多くの受託を獲得

アプリブームが訪れて、売り上げが伸びる

開発会社が増え競争激化、単価下落

アプリ無料化、ソシャゲ台頭の波に乗れず

体制を維持できず構造改革を行う

現況

社長x1、プログラマx1、 経理x1

スタッフ3名

アプリ開発に対する 3つのスタンス

3つのスタンス

受託開発レベニューシェア自社開発

受託開発

提示された仕様を元に開発

納品時に代金をもらう

改善やバージョンアップは、発注元次第

レベニューシェア

仕様は共同で決定して開発

ストアでの売り上げを配分

改善やバージョンアップは、自発的に行う

自社開発自分たちの好きなことを

好きなように

ストアで売り上げる

一山当てたい!

受託開発はお金になるが、 仕事がなくなると収入がなくなる

レベニューシェアは長期的な売り上げが見込めるが、当たり外れが激しい

経営を安定させるには、バランスが必要

受託開発案件の取り方

まず仕事を探す

飛び込み営業?

電話営業?

クラウドソーシング?

まず仕事を探す

飛び込み営業?

電話営業?

クラウドソーシング?

受託開発の鉄則

赤字になるものはやっては いけない

ここ数年で単価はダダ下がっており、競合のあるものは厳しい

大切なこと「自分ができること」 を公的にアピール

「自分にしかできないこと」 を必要としている人に届くように

アピール

自分ができることのアピール

ブログを書く技術系サイトに投稿

本を書く勉強会、講演会に登壇

自分にしかできないこと

OSや著名なライブラリでは提供されないが、 ある種のアプリを作る上で必須となる機能

ある程度開発業をしていれば、 必ずこういったものに出会う

これを実現して、自分の武器とする

例1:PDFファイルの解析iOSでは、PDFファイルを表示する機能は提供されているが、そこからテキストや画像を抽出する機能

は提供されない

テキスト選択や検索を行えるPDFビューワを作ろうとすると、必ずここでひっかかる

これらを可能にするライブラリもいくつか公開されているが、日本語や縦書きの扱いがうまくいかない

AdobeのサイトからPDFのフォーマット仕様書をダウンロードして、読み込んで、テキストを含む種々

のデータを解析するライブラリを開発

よし!これを作ろう!

HMPDFと名付け、ブログなどでキーワードを散りばめながら、さりげなくアピール

問い合わせがあり、案件の受託に成功

例2:テキストレンダリングエンジン

iOSでは、テキストを表示するにはUITextViewやUILabelといったクラスを使う

素のテキストは簡単に表示できるが、 緻密なレイアウトができない、ルビを表示しない、

縦書きできない

HTMLを表示できない UIWebViewはヘビーすぎる

よし!これを作ろう!

HTML/CSSを読み込んで、パースして、レイアウトして、描画するレンダリングエンジンを開発

自社開発のソフトに組み込んでアピール

問い合わせがあり、案件の受託に成功

受託後の交渉

いろいろな会社が 発注してくる

出版社

家電メーカー

ゲーム会社

教材製作

研究者

IT系スタートアップ

医療関係デザイン会社

Webサービス音楽系

障害者教育

「僕の考えた神アプリ」 を作りたい人

食品輸入販売

仕様がきっちり まとまっている場合もある

(メーカーに多い)ふわっとしたイメージだけ

のときもある (非技術系会社や

ベンチャーの社長に多い)

まとまっているときはそれに合わせて粛々と作る

使いにくいと思っても、 受託開発であれば言われた通

りに作る

まとまっていないときは とにかくヒアリング

ヒアリングしながら自分の頭の中でアプリの形に 落とし込んでいく

ある程度まとまったら、「では、今日伺ったことをもとに機能仕様書を作りますので、それを叩き台として詰めていきませんか」

と言ってドキュメントベースの交渉に持ち込む

面白そうなものがあったら、こっそり新しいチャレンジを

加える『自分の武器』につながる

契約書で、著作権や成果を根こそぎ奪われないようにする

ドキュメントでは、 機能および

ユーザインタフェースを記述

このとき、やることとやらないことを明確にする

交渉時にはカウンターパートを見つける

経営的カウンターパート

技術的カウンターパート

開発時の技術選定

受託開発であれば、発注元の指定に従う

なければ「現行の1世代前」 までサポート

現時点ではiOS 7まで

レベニューシェア/自社開発では、最新技術を積極的に使う

かつ「技術の入れ替え」 を行う

昔の実装を最新のもので 置き換えること

DropTalk

マトリックス状のボタン配置

スワイプで ページ

切り替え表示

iOS 4あたりから開発

Objective-C

DropTalk

UICollectionView iOS 6

UIPageViewController iOS 5

Autolayout iOS 6

Flat Design iOS 7

Swift iOS 8

「次の5年」を戦えるアプリ

会社経営者 としての方針

誰がために、会社を組織し、 アプリを作る?

第一にユーザのため第二に社員のため

そのためには自由でなくてはならない

誰からの自由?株主、出資者からの自由 金を借りた時点で自由はない

広告主からの自由 広告を載せた時点で自由はない

発注者からの自由 仕様を決められた時点で自由はない

自らの自由を確保し、 存続のための資金を稼ぎ、 技術力を高めながら、

やりたいことを実現する、 これが経営者としての仕事