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「ペラコン15連戦」: ゲームデザイン教育における実践的カリキュラムの 実施と成果 Game Concept Sheet Contests: Implementation of Practical Curriculum in Game Design Education 岸本 好弘 三上 浩司 東京工科大学メディア学部 2014年3月10日(月) 13:50-14:10 2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

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「ペラコン15連戦」: ゲームデザイン教育における実践的カリキュラムの

実施と成果

Game Concept Sheet Contests: Implementation of Practical Curriculum in Game

Design Education

岸本 好弘 三上 浩司

東京工科大学メディア学部

2014年3月10日(月)

13:50-14:10

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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昨春@九州大学

「ゲーミフィケーションを活用した大学教

育の可能性について」

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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昨夏@東京工芸大学

「学習ゲーム開発・評価支援プラット

フォーム構築と数学的思考力ゲームの制

作」

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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今回

「ペラコン15連戦」:ゲームデザイン教育

における実践的カリキュラムの実施と

成果

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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予稿集209~216ページ

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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「ペラコン」って何?

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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「ペラ企画」とは、紙1枚でゲーム内容を伝

えるコンセプトシート

「ペラコン」とは、ペラ企画を用いたコン

テスト。CEDECのPERACONが有名

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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「ペラコン15連戦」とは、毎週違うテーマのペラ企画を作成し、15回ペラコンを行うゲームデザイン演習カリキュラム

・・・

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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「ペラコン15連戦」の狙い

・「繰り返す」ことによる企画力の上達

・半年間企画をずっと考え続けることに

よるゲームデザイン思考の習慣づけ

・プレゼンテーションやディスカッション

の上達

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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コンピュータやロボットの発達

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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人間の仕事の一部

⇒コンピュータやロボットに置き換えられている

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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Q: コンピュータやロボットに置き換えられない仕事とは?

はじめに

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おもてなし

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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アイデアの創造

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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「ゲームデザイン教育」

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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「ゲームデザイン教育」

→△ゲーム開発者になるため

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

はじめに

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「ゲームデザイン教育」

⇒○「人を楽しませながら目的を達する」

という、付加価値の付いた商品やサービ

スを生み出すスキルを身に着けさせる

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現状と問題

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「ゲームデザイン教育」

複数の大学で意欲的な教育が展開されている

• 東京工芸大学芸術学部ゲーム学科

• 神奈川工科大学

• 宮城大学事業構想学部

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

現状と問題

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新たな「実践力を育む」

カリキュラムのデザイン

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

現状と問題

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新たな「実践力を育む」

カリキュラムのデザイン

⇒ 「繰り返し」の効果

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

現状と問題

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「繰り返し」

世界規模で拡大してきたGlobal Game Jamの教育的側面を生かした多くの取り組みも進められている

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

現状と問題

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「繰り返し」

ゲームデザイン演習カリキュラム

2013年度前期の15週間に実施

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

研究目的

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モデルとしたのは、CEDECペラ企画コンテスト」(以下「ペラコン」)である

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授業概要

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本カリキュラムの流れは次の通り

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授業概要

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(1)テーマ発表

授業の最後に次回のテーマを発表する 回 内容(2013年度)

1 東京国体新体操のスマホアプリ

2 東京ゲームショウ2014向けゲーム

3 東京ゲームショウ2014向けにデバイスを使用したゲーム

4 ジャンケンに代わるもの(アナログの遊びも可)

5 喜怒哀楽ゲーム

6 小学生向き数学的思考力ゲーム

7 オープンキャンパスでの「ゲームデザイン」模擬授業及び展示

8 平賀源内の考える江戸時代のゲーム

9 合コンで使えるフィジカルゲーム

10 スマホで選挙ゲーム

11 文字を使わない竹取物語ゲーム

12 男女同時ゲーム

13 高校生向け工科大キャンパスライフのゲーム

14 アウトドアでできるアプリ

15 2014年4月にiPadで爆発的に流行っているゲーム/アプリ(ゲーム開発会社で発表)

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授業概要

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(2)ペラ企画の作成

1週間の間にテーマに沿ったゲームアイデアを考え、A4用紙一枚のペラ企画にまとめる

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授業概要

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(3)グループ分け

20名前後の受講生を、5名程度×4グループに分ける

各学年が混在

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授業概要

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(4)ペラコン予選

グループ毎にペラ企画をディスカッションし、審査を行う

「王道」と「尖がり」の2作品を選出

時間は15分程度

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授業概要

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(5)ペラコン決勝

最初の30秒はペラ企画だけを見せて、その後企画者が30秒間のプレゼンテーション

投票は、1人2作品に対して挙手

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授業概要

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(6)4位までの発表

4位から順に3位、2位、優勝と発表

「称賛演出」として入賞者インタビュー、記念写真撮影

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授業概要

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(7)振り返りのグループワーク

「相手に伝わらないペラ企画」へアドバイス

時間は15分程度

授業概要

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(8)累計ポイントの加算

優勝に6ポイント、2位に3ポイント、3位に2ポイント、4位に1ポイント

全15週の演習を通して競い合わせる

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授業概要

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(9)学外での評価

第15回は、ゲーム開発会社から出されたテーマでペラ企画を作成、当日はその会社に出向き社長の前でプレゼンを行った

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授業概要

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(10)学外での評価2

CEDEC2013ペラコンでの実力試しをゴールの第16回とした

★★

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検証方法

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教育効果の検証

・受講生への質問紙調査

・ PERACON2013への応募・結果

・プロのゲームデザイナーの評価

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結果と考察

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15回の演習終了後に受講した学生を対象に質問紙法調査を行い、18名より回答を得た

内訳は、1年生6名(男4名、女2名)、2年生8名(男6名、女2名)、3年生3名(男3名)、4年生1名(男1名)

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結果と考察

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質問紙調査 結果

・18名中12名が8割以上出席し、

6名が15回全てに出席した

・「全学年混在方式」のグループワークは

上級生にとっても下級生にとっても良い

刺激となった

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結果と考察

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質問紙調査 結果

・毎週のペラ企画作成には平均8時間(最長

15時間、最短1時間)程度を費やした

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

結果と考察

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質問紙調査 結果:

「学んだものは何ですか?」

• 面白そうと思わせるコツ

• 簡潔にまとめることの大事さ

• 見る人(読む人)の視点で書くこと

etc

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

結果と考察

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結果:

「授業カリキュラムとして良かったところは何?もっと改善すべきところは何?」

○15回継続すること、何度でもリベンジできること

○学外活動が充実していたこと

×後半になると、点数が入るものの傾向に

偏りが見られた

etc 2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

PERACON2013での結果

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演習終了後、8月に行われPERACON2013には12名の学生が応募した

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

PERACON2013での結果

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しかし、応募110名中、最上位でも21位、半数以上の7名が下位に集まるという残念な結果であった・・・

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プロのゲームデザイナーの評価

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ゲームデザイナーの遠藤雅伸氏に、「ペラコン15連戦」の複数名のペラ企画を見てもらい、コメントを頂いた

2013/8/31 2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

プロのゲームデザイナーの評価

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遠藤氏のコメント

○「とくに経験の少ない1年生に大きな成長

が見られる。人に見せることを意識して

書く、見やすさの工夫」

○「2年生、3年生もシートの書き方では成

長している」

×「しかし全学年において、面白さの本質

の理解が甘く、結果として“何をする

ゲームなのか“が明確でない」

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

プロのゲームデザイナーの評価

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遠藤氏のコメント

×「しかし、これには講師側のテーマの出

し方に問題があり、より絞り込んだテー

マ出しを行うべきである」

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

まとめ

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本研究では、ゲームデザイン授業カリキュラム

・「繰り返し」の効果に着目した

・「企画をコンパクトに伝える力」の向上

を目指す「ペラコン15連戦」を実施

・ゲーミフィケーション要素を導入

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

まとめ

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・質問紙法調査では学習意欲の保持が確認

・ PERACON2013では成果を出すことがで

きなかった

・プロのゲームデザイナーによる評価では

「コンパクトに企画を伝える力」成長

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

まとめ

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今後の展開

・次年度は、テーマの出し方、個別の企画

へのフィードバックといった点を再考し

本カリキュラムを引き続き実施する

・学外での成果を挙げることで「実践力の

検証」目指す

2014年3月10日 於日本デジタルゲーム学会2013年度年次大会

参考文献

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• 三上 浩司,中村 陽介,渡辺 大地,山路 和紀,小澤 賢侍,伊藤 彰教,川島 基展,竹内 亮太,近藤 邦雄,金子 満,(2011)日本るけおに産学連携ムーゲるよに制作の実践教育,情報処理学会,とスクッィフラグCAD研究会研究報告,CG-142

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Shinji R. Yamane(2012), Localizing Global Game Jam: Designing Game Development for Collaborative Learning in the Social Context,Advances in Computer Entertainment Technology,Proceedings of the 9th International Conference on Advances in Computer Entertainment Technology,2012.11

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• 新清士,金子晃介,松井悠,三上浩司,長久勝,中林寿文,小野憲史,山根信二(2012)Fukushima Game Jam in Minamisoma 2011:ムャジムーゲ型ンイザデのプッョシクーワ,情報処理学会 とターュピンコ教育,CE-114

• CEDEC 2011ペラ企画コンテスト http://cedec.cesa.or.jp/2011/event/challenge/gd.html

• CEDEC2012ペラ企画コンテスト http://cedec.cesa.or.jp/2012/event/challenge/gd.html

• CEDEC2013ペラ企画コンテスト http://cedec.cesa.or.jp/2013/event/challenge/gd.html

• 岸本好弘,三上浩司(2013)"をンョシーケィフミーゲ活用たし大学教育の可能性ていつに",日本ムーゲルタジデ学会年次大会

• 加藤昌治(2003).考具 阪急コミュニケーションズ • CEDEC(2013).PERACON2013結果発表 http://cedec.cesa.or.jp/2013/event/challenge /result.html • 遠藤雅伸(2012) 遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継 ソフトバンククリエイティブ

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質疑応答

ご清聴ありがとうございました 「ペラコン15連戦」 ゲームデザイン教育における実践的カリキュラムの 実施と成果 Game Concept Sheet Contests: Implementation of Practical Curriculum in Game Design Education 岸本 好弘 [email protected] ご質問、ご意見ございましたら、よろしくお願いします

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