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Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと "Going Google" のパイロット プログラムに基づく 調査結果 2010 2 16

Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

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Page 1: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

Google のクラウド

サービスを利用する前に

注意すべきこと

"Going Google" のパイロット プログラムに基づく

調査結果

2010 年 2 月 16 日

Page 2: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

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Page 3: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

目次

概要.......................................................................................................................................................... 4

クラウド サービスの導入 ............................................................................................................................ 5

重要なターニング ポイント ........................................................................................................ 5

パイロット プログラム計画 ......................................................................................................... 5

パイロット プログラムの結果 ....................................................................................................................... 7

ドキュメントの再現性 ................................................................................................................. 7

データの移行 ........................................................................................................................... 8

インストールおよび構成 ............................................................................................................ 9

不足している機能 ..................................................................................................................... 9

調査結果のまとめ................................................................................................................... 11

IT 管理上の問題 ..................................................................................................................................... 11

サービス レベル契約 .............................................................................................................. 11

ディレクトリ同期 ...................................................................................................................... 11

サーバーのサポートおよびクライアント ソフトウェア アドイン ..................................................... 12

管理者のサポート ................................................................................................................... 12

リスクが大きいシステム ............................................................................................................................ 13

セキュリティ上の懸念 .............................................................................................................. 13

データの保管場所 .................................................................................................................. 14

事例によって明らかになったこと ................................................................................................................ 15

結論........................................................................................................................................................ 16

リンクおよびリソース ................................................................................................................................. 17

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Page 4: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

概要 厳しい経済環境の中で、経営者はコストを最適化し敏捷性を向上させる、リスクのない革新的な方法を探して

います。クラウド コンピューティングや Software as a Service (SaaS) などの新しいソフトウェア提供モデル

には、IT 戦略をビジネス上の緊急課題に対応させる効果的な方法としての可能性があります。多くの企業が、

メッセージング (電子メール) とコラボレーションに使用されているサーバー インフラストラクチャを統合し、負

荷を軽減する方法としてクラウド戦略を含めた IT ロードマップを作成しています。企業の中には、Gmail や

Google Apps などの従来のコンシューマー ベースのサービスが、その企業の戦略の方向性に合致している

かどうかを評価している例もあります。

しかし、どのような新しいテクノロジやベンダーのサービスでも、期待される結果を得るためのコストとリスクを

正確に見極める基準はありません。したがって、IT 部門が精密な評価を行うことがますます重要になってい

ます。

このホワイトペーパーは、IT (情報技術) に関する計画と管理を行い、IT の価値実現に取り組む、IT 担当の役

員やマネージャーを対象としたものです。また、IT に関する投資決定を担当する、あるいはそれに関与する、そ

の他のビジネス上の意思決定者やマネージャーにも役立ちます。

Google のクラウド ソリューションの採用を決定する前に、このホワイトペーパーの事例を参考にして、このホワ

イトペーパーで紹介する企業が、Google のパイロット プログラムを中止して他のベンダーのサービスを検討す

るに至る理由について考察してください。

重要: このホワイトペーパーでは、ある架空の企業を例にとって、Google Apps のパイロット実装の実績予測

を行っています。企業は架空のものですが、取り上げられている例は実例であり、現実の多くの顧客による経験

や報告されている機能不足が基になっています(注: リンクおよびリソースのセクションには、導入事例にある顧

客の証言へのリンクが記載されています)。このホワイトペーパーでは、企業でのユーザーの生産性、IT サポー

ト、セキュリティおよびコンプライアンス対策、最終的な収益などを含む、パイロット プログラムの効果を検証しま

す。

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Page 5: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

クラウド サービスの導入

重要なターニング ポイント

Contoso, Ltd. は、多くの企業の例にもれず、絶え間なく変化する経済

環境とテクノロジの動向に俊敏に適応することを迫られています。経済

見通しが悪化する中で、Contoso の CIO である John Woods は、

Google の広告宣伝の説得力も手伝って、変化に着手すべきときだと

判断しました。Microsoft Exchange Server 2003 プラットフォームが

古くなっていることもあり、Contoso の電子メール システムは重要な

ターニング ポイントに達していました。ここでは、新しいハードウェア ラ

イセンスとソフトウェア ライセンスが必要になるアップグレードをすべき

でしょうか。あるいは、クラウドに移行する好機とすべきでしょうか。

パイロット プログラム計画

架空の企業のプロファイル |

Contoso Ltd. CIO: John Woods

所在地: 米国。本国および海

外に大規模な製造設備を持つ 従業員数: 1200 人 業種: 製造業

専門: 風力タービンおよび水力タービン

用のカスタム コンポーネントを製造し、

世界規模で代替エネルギー ソリュー

ションを展開するエンジニアリング企業

に供給している

Woods は、Google Apps クラウド ソリューションをテストすべきだと判断しました。既存のプラットフォームに

代わるものとしては、SaaS アプリケーションが適切であると考えていました。資本支出 (CAPEX) から運用支

出 (OPEX) に転換するメリットによって、IT リソースが解放され、企業の敏捷性が高まり、潜在的な成長と人

員の減尐に対応できると予想されます。次の表に、"Going Google" パイロット プログラムの実装に関する

Woods の計画の概要を示します。

図 1: Google Apps をテストする Contoso のパイロット プログラムの概要

"Going Google" パイロット プログラム

目標 Google Apps クラウド ソリューション採用の実行可能性を評価する

プロセス 全社からユーザーを選択し、Google Apps (Gmail、Google トーク、Google Docs、Google カレンダー) のテストを実施する

期間 2 か月

テストする ユーザー グループ

エンド ユーザー

IT 管理

セキュリティとコンプライアンス

評価カテゴリ コスト削減 (ソフトウェア、ハードウェア、IT 管理)

機能の可用性 (現行のエンド ユーザー機能とのシナジー)

サポートおよびサービス レベル契約 (SLA)

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ユーザー グループ 次のような Google Apps のシナリオを評価するために、異なる 3 つのユーザー グループが編成されました。

Gmail が構成された Microsoft Office Outlook で Google Apps を評価する

ブラウザー ベースの Google ユーザー インターフェイスで Google Apps および Gmail を評価する

両方の構成を評価する

図 2: ユーザー グループによる評価

ユーザー グループ テスト ユーザー 評価カテゴリ テストされる機能

グループ A: Gmail

が構成された Outlook で Google Apps を評価する

販売担当者 利用可能な機能 コラボレーション

顧客との外部ドキュメント共有

設計エンジニア 利用可能な機能 使いやすさ

電子メール

予定表管理

IT セキュリティ責任者

IT セキュリティおよびコンプライアンス

データおよび電子メールのセキュリティ

グループ B: ブラウザー ベースの Google ユーザー インターフェイスで Google Apps および Gmail を評価する

マーケティング マネージャー

利用可能な機能 コラボレーション

ドキュメントの再現性

製造チーム リーダー 利用可能な機能 コラボレーション

サプライヤーとの外部ドキュメント共有

コンプライアンス マネージャー

IT セキュリティおよびコンプライアンス

規制遵守

アーカイブ

グループ C: 両方の 構成

IT マネージャー コスト削減 全体管理

変更管理

トレーニングのニーズ

ディレクトリ管理者 サポートおよび SLA

ディレクトリ同期および移行

電子メール管理者 サポートおよび SLA

ユーザーの準備

管理ツールの使いやすさ

注: この企業は前年に Microsoft Office 2007 を展開したばかりで、ファイル共有とプロジェクト タスク管理用の標準のコラボレーション

システムとして Microsoft SharePoint 2007 の使用を開始していました。また、管理チーム全体と技術的知識が豊富なインフォメーション

ワーカーの多くが、モバイル メールと予定表管理に BlackBerry デバイスを含む多様なモバイル デバイスを使用していました。

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Page 7: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

パイロット プログラムの結果 2 か月のパイロット プログラムの完了後に、評価チームは複数のチームに対する面接を開始しました。パイロッ

ト ユーザーは、ドキュメントの作成と共有、予定表での予定の設定、個人の電子メール ファイルの管理など、通

常業務におけるさまざまなシナリオでテストを行いました。パイロット エンド ユーザーによって報告された問題は、

次のカテゴリに分類できます。

ドキュメントの再現性

データの移行

インストールおよび構成

不足している機能

ドキュメントの再現性

パイロット ユーザーによって最も多く提示された問題は、ドキュメントの互換性に関するものでした。Contoso は、

ビジネス パートナーやサプライヤーなど、外部の企業と協力関係を築いています。ほとんどの場合、電子メール

を使用して情報を共有し、すべて Microsoft Office で作成した販売提案、価格表、製品関連の問い合わせなど

のファイルを添付しています。パイロット ユーザーは、外部の関係者や、パイロット プログラムに参加していない

Contoso の他の従業員とのコミュニケーションについて、次のような問題を報告しています。 図 3: Google Apps のドキュメントの再現性に関する評価

機能 問題

Google Spreadsheets での Microsoft Office Excel ワークブックの使用

グラフや数式がコピーされないために、Web ベースのユーザーがそれらを表示できない。

Google Docs での Microsoft Office Word 文書の使用

フォント、レイアウト、テーブル、およびその他のドキュメント要素が永久に変更されてしまう (図 4)。

Word 文書のアップロード Google の 500 KB の制限を超える Word 文書をアップロードできない。

Google Presentation での Microsoft Office PowerPoint プレゼンテーションの表示

アニメーションなどの要素が含まれる PowerPoint プレゼンテーションが永久に変更されてしまう。

異なる形式でのドキュメントの保存

地域別のコンプライアンスに対応していない。ODF ベースのすべてのドキュメントについて、整合性に関する同様の問題が報告された。

オフライン作業 Microsoft Office を使用していないユーザーは、ドキュメントの操作が "表示のみ" に限定される。

添付ファイルの受信、およびパスワードで保護されたドキュメントのアップロード

Gmail ユーザーは、Outlook ユーザーが作成した予定表の招待状に含まれる添付ファイルを受信できない。またパスワードで保護されているドキュメントをアップロードできない。

透かしの使用 "下書き" や "社内機密" などの透かしが付けられたドキュメントを安全に送信できない。透かしが削除される場合もある。

ドキュメントの変更履歴 Word と Google Docs との間に "変更履歴" (ドキュメント内のコメントや編集) の互換性がないため、異なる 2 つのプラットフォーム間のユーザーがシームレスに連携することが困難になっている。

状態のチェック オンラインの IM のユーザーの状態にエラーが発生し、サインオフ後のユーザーの状態がオンラインとして表示されることがあるため、ユーザーが混乱する。

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Page 8: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

図 4: Microsoft Word ファイルを Google Docs にアップロードする際のドキュメントの再現性に関する問題の例

元の Microsoft Word 文書 Google Doc での表示

ドキュメントの再現性に関するエンド ユーザーからの苦情のリストを精査した評価チームは、これらが既知の問

題であることを CIO が理解できるように、次の引用を報告書に記載しました。2009 年 11 月 13 日に、

Google のエンタープライズ部門の責任者である Dave Girouard 氏は、ZDNet に対して「Google Docs は

まだ未成熟であるため、Microsoft Office の使用を中止して、Google Docs を使用することはお勧めしていま

せん」と述べました。

データの移行

マーケティングおよび販売部門のパイロット グループの一部のユーザーは、既存の電子メール データ (メッ

セージ、予定表のエントリ、フォルダーなど) をホスト環境に移行して、Google Apps に完全に移行するとどうな

るかをテストしました。その結果、必ずしもすべてのデータが移行されるわけではなく、移行の過程でアイテムが

壊れる場合があることがわかりました。図 5 に、Exchange および Outlook から Google Apps へのデータ

移行について報告された問題の概要を示します。

図 5: Google Apps のデータ移行に関する評価

データ アイテム 問題 説明

配布リスト 配布リストまたは配布グループは Google に移行されない。

配布リストはローカルの Outlook に保存する必要があり、Web ベースの Gmail Apps Sync ツールを通じてユーザーが配布リストにアクセスすることはできませんでした。Gmail Apps Sync ツールではこれらのアイテムがサーバー上の Gmail アカウントに移行されません。Outlook の使用を中止すれば、それらの配布リストも失われてしまいます。

パブリック フォルダー

パブリック フォルダーの移行がサポートされていない。

Contoso は Exchange でパブリック フォルダーを使用して、各部署のドキュメントを共有していました。

連絡先 連絡先が Google に自動的に移行されない。

Outlook から連絡先を移行するには、Google Apps Sync という別のプロセスを実行する必要があります。

一部のフォルダーが移行されない

名前にスラッシュ (/) が含まれているフォルダーが移行されない。

電子メールのパワー ユーザーの多くが、スラッシュの使用を許容する命名規則によるフォルダーを使用していました。これらのフォルダー内のコンテンツはすべて移行されず、エンド ユーザーが手動で送信する必要があります。

仕事/To Do "仕事" が Google に移行されない。

仕事はローカルの Outlook で保存する必要があり、仕事を転送したり他のユーザーに割り当てることはできません。

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Page 9: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

インストールおよび構成

それまでのマイクロソフト製品で得られた機能と同等の機能を得るには、すべてのエンド ユーザーが別個の

4 つのソフトウェア ツールをダウンロードしてインストールし、Google Apps で正しく機能するように構成する

必要がありました。IT グループとエンジニアリング グループは、技術的な知識が十分でないエンド ユーザー

は、基本的なトラブルシューティングについて IT ヘルプ デスクに依存する程度が非常に大きくなると考えま

した。図 6 の表は、それまでと同等の機能を利用するためにユーザーが手動で行う必要があった作業を示し

ています。

図 6: Google Apps でのインストールおよび移行に関する評価

ソフトウェア ユーティリティ ユーザーによるインストールの理由 Google Apps SLA による サポート

Outlook 用 Apps Sync Outlook クライアントでのメール、予定表、連絡先の同期を可能にする。

なし

Google トーク この IM/Chat ソフトウェア パッケージ (Outlook とは統合できない) では、ローカルで電子メール通知を受信するにはリッチ クライアントを必要とする。

あり

Google Gears Microsoft Office を使用しないユーザーのために電子メールおよびドキュメントのオフライン同期をサポートする。

なし

ビデオ会議アドイン Google トーク専用のアドイン ソフトウェアによってビデオ会議を可能にする。

あり

不足している機能

パイロット評価で明らかになった問題の最後のカテゴリは、機能不足に関する問題です。エンド ユーザーは、特

定の機能を利用できないことで日常業務に多大な時間を要すると報告しています。図 7 の表では、不足してい

る機能を示し、機能カテゴリに分類しています。 図 7: Google Apps の機能の不足に関する評価

カテゴリ/機能 問題 エンド ユーザーにとっての 重要度

予定表管理

BlackBerry アクセス BlackBerry には一方向の同期オプションしかないため、定期的な会議を管理することが困難である。

共有予定表 ユーザーが Outlook の予定表を共有できない (インターネット予定表の共有は可能)。

予定表の委任 会議の出席依頼を作成、承諾、または辞退する機能を含め、ユーザーが予定表の管理を他のユーザーに委任できない。

会議の出席依頼の転送 電子メールで転送された出席依頼をユーザーが受信して予定表にイベントを追加することができない。

会議室の予約 ドメイン管理者が会議室またはその他のリソースの名前を変更すると、Outlook ユーザーは、会議で使用する会議室またはリソースの新しい名前を見ることができない。

定期的なイベントのスケジュール設定

Google Calendar ユーザーが、定期的なイベントのスケジュールを、それまでとは異なる日に開始するよう設定すると、Outlook ユーザーはイベントを見ることができない。

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Page 10: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

カテゴリ/機能 問題 エンド ユーザーにとっての 重要度

メッセージング

委任オプションがない ユーザーが Outlook を使用してアシスタントやその他のユーザーにメールボックスの管理を委任できない。

パブリック フォルダーがない

Outlook 内のフォルダーはアクセス許可プロパティがない Google Apps の電子メール ラベルにマップされるため、ユーザーが他のユーザーとフォルダーを共有できない。

不在時のサポート Outlook の不在状態との互換性がない。 高

仕事/メモ/履歴エントリ Outlook ではこれらの機能を使用できるが、個人の作業に限定され、複数ユーザー間の操作には使用できない (作業をその他のユーザーに割り当て、またはメモを共有することは可能)。また、このデータはローカル コンピューターに格納され、Google Apps インターフェイスからは利用できず、Outlook からのみ利用できる。

電子メール スレッドの添付

電子メール メッセージを送信または転送する場合に、ユーザーが別個のメッセージ スレッドを転送する必要がある。

ディレクトリ参照 電話番号、スーパーバイザー、ビジネス グループ、オフィス所在地、またはその他の基本的な情報のメタデータがない。

モバイル ディレクトリがない

ディレクトリのローカル コピーのオフライン同期がサポートされていない。

削除済みアイテムの回復 Outlook と違い、Google Apps Sync で削除されたアイテムを回復するオプションがない。

プレゼンスの統合 電子メールではなく IM ですばやく応答するために使用する、使い慣れたプレゼンス統合がサポートされていない。

ドキュメント

スペル チェック Microsoft Office と Internet Explorer で使い慣れている自動スペル チェック機能とオートコレクト機能がない (Firefox で実現しているが、アプリケーションではなくブラウザーの機能である)。

文法チェック 文法チェック機能がない。文法と句読点のチェックはユーザー自身が手動で必要がある。

バージョン管理 社内の SharePoint で可能なドキュメントのバージョン管理機能が、Google Docs では利用できなくなっている。

ドキュメントの校閲 (変更履歴、編集、コメント)

ドキュメント校閲中の編集内容の追跡機能が利用できなくなり、コメントをドキュメントに反映する際に、新しいコメント テキストに作成者と日付が付けられてドキュメントに追加されるようになったことで、コメントに問題が発生した。

イメージ ドキュメントのイメージを Google プレゼンテーションに貼り付けることができない。

グラフ Google Spreadsheets からグラフをコピーして Google Docs に貼り付けることができない。

書式設定 Word で設定したドキュメントの書式 (フォントの種類、ドキュメントのレイアウト、テーブル、およびその他のドキュメント要素) が Google Docs で変更される。

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Page 11: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

調査結果のまとめ

パイロット プログラム参加後のエンド ユーザーとの面接によって、Google ソリューションについて、いくつか

の重大な欠陥が明らかになりました。その中には、電子メールおよび予定表におけるデータ移行の問題など、

予想された問題もありました。パイロット ユーザーが Google Apps Sync を導入したときには、Outlook の移

行に関する問題はわずかに改善されていました。ただしエンド ユーザーにとって特に問題があった欠陥は、

Google Apps では利用できない機能がまだあることでした。パワー ユーザーにとっては、委任や予定表の管

理権限の共有ができないことと並んで、Outlook とのプレゼンス/IM の統合ができないことが最大の問題でし

た。

これに対して、Microsoft Office に慣れているユーザーにとって大きな問題なのは、Google Docs に不足して

いる機能があることでした。ドキュメントの作成者、または特に外部のパートナーやサプライヤーとの共同作業

者としてパイロット プログラムに参加したユーザーは、Google Docs や Google Spreadsheets だけでは日

常業務に支障が出ると述べています。

IT 管理上の問題 Contoso の IT グループは、電子メールが社内におけるビジネス上のコミュニケーションの主要な形態になって

いることを認識していました。クラウドに移行することで電子メールに問題が生ずれば、ビジネス グループの反

感も大きなものになります。コスト削減の重要性は変わらないとはいえ、IT グループはクラウドによってリスクが

増大することは防がなければなりません。

サービス レベル契約

特に Google の最近の大規模な停止やセキュリティ上の欠陥を受けて、Google の SLA の保証範囲を理解することが、IT グループの最優先事項の 1 つになっていました。

IT チームは、失われたデータの回復が SLA では保証されていないことを認識しました。Google は、SLA に

は金銭的補償があると主張していましたが、それはサービス延長について言及したものであり、また 10 分未

満のダウンタイムは対象とされていませんでした。これはつまり、Contoso にとっては、今後 10 分以下のサー

ビス停止が何度も起きる可能性があり、毎月それに対する支援もないというリスクが発生することになります。

Google が、サービス延長の最長期間も 2 週間までしか補償していないこともわかりました。

また IT チームのその後の調査によって、Google のダウンタイムに対して公に不満を表明している顧客が多

数いることも明らかになりました。(http://www.infoworld.com/d/architecture/downtime-makes-google-apps-

customers-wary-261 (英語) の例を参照)。さらに、Google が、Google Labs にリリースした機能については

SLA では、まったく保証されていないことがわかりました。Google は、ミッション クリティカルな環境で、実験

的な機能を Contoso のエンド ユーザーに対して予告なくリリースする可能性があります。そのため IT 部門

は、それによって Google によるサポートがないままヘルプ デスクへのエスカレーションが多大なものになる

懸念を持ちました。

ディレクトリ同期

Contoso は、まったくユーザーが意識することなく、社内ディレクトリと新しい Google Apps ホスト環境を同

期させることを目指していました。

Google Apps では、社内で Lightweight Directory Access Protocol (LDAP) ディレクトリを完全に別個に展開

する必要があります。さらに、Google Apps 環境との一方向のディレクトリ同期のために、専用のサーバーを別

個に展開および維持しなければなりません。Contoso は、集中管理された Active Directory に新しい LDAP

ディレクトリを統合することになります。その場合は、電子メールだけのために別のディレクトリを追加し、管理者

が一連のユーザー アカウントとパスワード維持しなければなりません。

Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 11

Page 12: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

2 か月間のパイロット テストを経て、IT グループは評価チームに対して、ディレクトリ同期について次のような

問題を提示しました。

ネイティブ ディレクトリ (Active Directory) の接続または同期ができない。

ディレクトリの同期プロセスは Google Apps から社内の LDAP ディレクトリに対する一方向のみで、

別個のオープン ソース ツールが必要になる。

同期プロセスでは専用の自社運用サーバーが必要になり、IT コストとサポートが増大する。

ユーザーの追加または削除は、LDAP サーバーから出力された CSV ファイルで管理される。このリ

ストに含まれるユーザー数が何千にも及び、プロビジョニングに時間がかかる場合がある。

永続的なパスワード同期が行われないため、Google Apps にアクセスするためにユーザーのサインオ

ンを複数用意しなければならない。SSO (シングル サインオン) を有効にするには、Exchange パス

ワードと Google Apps パスワードが一致していなければならない。

新しい電子メール ディレクトリ (グローバル アドレス一覧) では、ユーザー名と電子メール アドレスし

か表示されない。グローバル アドレスにはその他の情報 (オフィス所在地、スーパーバイザー、役職、

会社名など) は表示されない (ただし、ユーザーの個人用連絡先に表示される)。

注 :Contoso は、Google が追加機能としてサード パーティのプロバイダーからディレクトリ同期ユーティリティを提供し

ており、追加料金がかかることを知りました。

サーバーのサポートおよびクライアント ソフトウェア アドイン

既に述べたように、Contoso の IT グループでは、サーバーによっては社内でのサポートと保守が必要になるこ

とがわかりました。そのようなサーバーとしては、モバイル BlackBerry ユーザー用の BES サーバーや、専用

のディレクトリ同期サーバーなどがあります。

エンド ユーザー用に必要なアドインに (図 6) に加えて、エンド ユーザーおよびサーバー用に、次の一覧

に示すサーバー ソフトウェア アドインを展開しサポートする必要があります。 図 8: Google Apps 用のソフトウェア アドイン

サーバー アドイン

ディレクトリ同期ツール (LDAP 用に 1 つ必要。Postini を使用する場合は、もう 1 つツールが必要になる可能性がある)

BES サーバー用 BlackBerry コネクタでサポート可能なユーザー数は、BES サーバー 1 台につき 500 のみ (追加サーバーが必要)

管理者のサポート

パイロット プログラムを通じて IT チームが認識した問題の中でも、特に失望の度合いが大きかったのが

Google によるサポートの扱いでした。Google Apps の電話サポートは、日曜の夜から金曜の夜までしか利用

できません。緊急の問題で Google のスペシャリストを必要とする場合でも、Google の営業時間まで待たなけ

ればなりません。

データ回復に関する重要な要求の処理については、さらに大きな問題がありました。Outlook と Google を連

動させている場合には [削除済みアイテムを復元] オプションを使用できないため、パイロット プログラムに参加

したメール管理者は、削除されたメッセージを復元できるかどうか、電話サポートに問い合わせました。結果的に、

長い時間待たされた後で電子メールが送られてきて、削除されたメッセージは復元できず、再度手動で作成する

しかないことがわかっただけでした。

Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 12

Page 13: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

リスクが大きいシステム 評価チームが最後に面接を行ったのは、セキュリティおよびコンプライアンス グループでした。評価チームは、

2004 年 7 月から 2008 年 8 月にかけて発生した 37 件のセキュリティの欠陥と、過去 2 年間に発生し

た Gmail システム全体の停止に関する文書をまとめて、懸念を表明しました。

セキュリティ上の懸念

2 か月にわたる詳細な分析を行った結果、セキュリティおよびコンプライアンス グループは、CIO の評価チー

ムに対して重大な問題を報告しなければならなくなりました。Google はいくつかのサービスについて、SAS70

Type II など、業界の基本的な認証を取得しています。またデータ センターにおいて、優れた物理的なセキュリ

ティを実現しています。しかしセキュリティおよびコンプライアンス グループには、より広範なセキュリティ対策を

実施する責任があります。たとえば Google では、特定の部門で使用されるエンド ユーザー向けの基本的な

セキュリティ機能がサポートされていません。セキュリティおよびコンプライアンス グループは、調査結果を簡単

な図表にまとめました。

図 9: Google Apps のセキュリティ機能

セキュリティ機能 Google でのサポート (あり/なし)

電子メールの暗号化 なし

メッセージの種類のフラグ (社外秘、親展) なし

Information Rights Management ("表示のみ"、 "転送不可"、"印刷不可" など、ポリシー ベースのルール)

なし

透かしの保持 (Google Apps へのアップロード時) なし

SSL の適用 あり (無効にすることが可能)

IT 管理の観点から、セキュリティおよびコンプライアンス グループは Google Apps におけるセキュリティ上の

潜在的な欠陥も指摘しました。たとえば、厳密に定義された管理を必要に応じて特定のユーザーに柔軟に委任

することは、許可されていないか極端に制限されています。Google の非公式の IM 機能は、コンプライアンス

責任者にとって致命的な問題になります。この機能を使用して、会話の一部または全体が IT 部門の記録に残

らない形で、エンド ユーザーが意図的にチャット セッションを行うことができるからです。Contoso のそれまでの

手法とは異なり、Google では管理者による制御のレベルが 1 つに限られているため、特定の IT 担当者の負

担が増大したり、経験のないユーザーに、システム全体に対する制御を必要以上に行わせてしまう可能性があり

ます。

また、Gmail を使用したアーカイブ コンプライアンス ソリューションが無償ではないことも明らかになりました。

コンプライアンスと eDiscovery に必要なアーカイブ サービスを利用するには、有償で Google の Postini

サービスとの統合を行わなければなりません。

Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 13

Page 14: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

データの保管場所

米国と欧州に拠点を持つ Contoso は、データの保管場所を把握する必要がありました。Google は Contoso

に対して、データの保管場所は決して通知することはできないと明言しました。Google のオンライン専用オプ

ションを利用すると、インターネットやデータ センターが停止した場合には、Contoso ではセキュリティとコンプラ

イアンスが維持できない状態が発生してしまいます。

また、データ保持ポリシーに現実性がないことも明らかになりました。これらのポリシーは Contoso ではなく

Google のサービス利用規約 (TOS) に基づいて管理されます。これらのポリシーに関する第 1 の懸念は、電

子メールがまったく削除されない可能性があることです。Google がすべての情報のバックアップのコピーを維持

する権利を有する旨が、利用規約に記載されています。しかしながら Google は、データを回復できるように電

子メールのバックアップを維持することは保証していません。セキュリティおよびコンプライアンス グループにとっ

ては、どちらの問題も非常に大きな懸念材料になります。

Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 14

Page 15: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

事例によって明らかになったこと 特定の IT サービスをクラウド ホスティング プロバイダーに移行することで、組織内のコミュニケーションの形

を変革し、コストを削減し、中心となるサービスにおける IT の生産性を向上させ、組織に柔軟性がもたらされま

す。ただし、すべてのサービスが同等のレベルで構築されているわけではないことを理解することが重要です。ク

ラウド サービスに移行する前に、このドキュメントの事例にある企業のように、移行先の環境を分析する必要が

あります。

クラウド ベースの移行の効果を最大にするために、移行の決定にあたっては、次のステップについて検

討してください。

クラウド サービスのビジョンを確立する。最初に、自社の環境におけるユニファイド コミュニケーションとコラ

ボレーションに関するビジネス ニーズを把握する必要があります。その際にはすべての関係者を関与させ、

またビジネス グループが個別に推進している孤立したテクノロジに投資することは避けなければなりません。

クラウド サービスのビジョンには、エンド ユーザー向けの操作性の統合、シームレスな移行を行うためのイ

ンフラストラクチャ、および信頼性の高いサポートされている開発者プラットフォームを使用した、コミュニケー

ション機能を強化するための柔軟性を含める必要があります。

グループを 1 つに統合する。本当のクラウド コンピューティングのビジネス プランを採用するには、電子

メール、IM、セキュリティ、ヘルプ デスクのサポート、モビリティ、デスクトップ アプリケーション、コラボレーショ

ン、Web 会議などの推進者、さらにはツールを利用する経営陣などを含む、異なる多数の分野の連携が必

要になります。これらのグループ間での調整を早い段階で行う必要があります。

移行設計セッションを行う。マイクロソフトは、カスタマイズ可能な移行設計セッションを開発しました。これは企

業のビジネス目標を明確にし、Business Productivity Online Standard Suite (BPOS) 環境への移行を成功

に導くために、必要となる具体的な移行の手順とビジネス目標との対応を図るものです。このセッションでは、

CIO、設計担当者、IT チームの上級メンバーに対して、アーキテクチャに関するガイダンスと、望ましい手法、

アーキテクチャ、ツール、リスク分析に関する情報が提供されます。さらに、移行設計セッションは、単に一貫性

のないソリューションを移行の間だけ短期的につなぎ合わせるためではなく、組織が相互運用性を戦略的に利

用して長期的なビジネス目標を達成するために役立ちます。

ベンダーを客観的に選択する。競合との比較情報を数多く得るためには、要件を明確にしたうえで、それぞれの

ホスティング ソリューションのコストとメリットを提示するように各ベンダーに依頼します。現実的なシナリオに基

づいて、すべてのサービスを同一条件で比較します。このプロセスによって、各ベンダーは明確に定義された顧

客ニーズに従ってソリューションを提示することができます。導入の決定は最初の取得コストに基づいて行うので

はなく、継続的な保守費用、組織の業績と従業員の生産性の向上によるメリット、高度なセキュリティと財務的な

保証が確保されていることによる安心感なども考慮すべきです。

小さく始めてメリットを測定する。大規模に展開する前に初期段階で問題点を洗い出すことは非常に有益です。

ホストティング サービス ソリューションについて小規模なユーザー グループをいくつか選択し、展開と管理にお

ける操作性、得られたメリット、ユーザーからのフィードバックに関する比較を行います。手始めとして、BPOS ト

ライアル プログラムと BPOS 体験版プログラムを利用して、個々の組織の環境でこれらの機能を確認してみて

ください。これらのプログラムの詳細については、マイクロソフトのアカウント マネージャーにお問い合わせくださ

い。

Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 15

Page 16: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

結論 Contoso では、Google Apps Premier Edition について 2 か月にわたるパイロット プログラムを行った結果、

多くの重要な発見があり、評価チームのレポートにまとめられました。当初は Google Apps の導入に積極的

だった CIO は、パイロット プログラムを終了して他のアプローチを評価することを決定しました。この決定に至っ

た主な理由は、以下に示すように、評価チームの最終レポートにまとめられました。

コスト削減

パイロット チームは、Google Apps に移行することで、それまでは予期されていなかったソフトウェア、ハード

ウェア、および IT の管理コストが発生する可能性を明らかにしました。発生するコストとしては、自社運用の

ハードウェアに対する投資や、ディレクトリ同期やモバイル BlackBerry ユーザーに対する管理上のサポートな

どが考えられます。また、エンド ユーザーによるダウンロードによってヘルプ デスクに対する依存度が高まるこ

とも、予期されていなかったリスクです。さらに、電子メールの保護や Google の Postini サービスによるアー

カイブを導入する場合には、さらに毎月のコストが増大します。

そのような新たなハードウェア コストやサービス コストの増大、さらには統合とユーザーのプロビジョニングを

サポートするための社内の管理コストなどを考慮した結果、長期的な TCO が低くなることがわかりました。

利用可能な機能

パイロット ユーザーが検証した結果、Google Docs と使い慣れた Microsoft Office 製品との間の機能の差は

非常に大きいものでした。Contoso は、中核的なビジネス ニーズの一部として、内部および外部におけるドキュ

メント共有とコラボレーションに対応する、高い再現性を確保する必要がありました。それらの問題に加えて、電

子メールのセキュリティ オプションが不足している問題もあり、すべてのユーザーを Google クラウド ソリュー

ションに移行することは現実的でないと判断されました。

サポートおよびサービス レベル契約

わずかな調査を行っただけで、Gmail のダウンタイムが非常に多く発生していることがわかりました。Contoso

では電子メールがビジネス上の主要なコミュニケーション ツールになっており、短期間で何度もダウンタイムが

発生し、業務が中断するというのは重大な問題です。

セキュリティとリスク

Google のクラウド ソリューションの導入中止を招いた問題で特に大きなものは、電子メール サービスとド

キュメントを Google のクラウド ソリューションに移行する際に発生するセキュリティ ホールとリスクでした。

メッセージや添付ドキュメントを簡単にロックダウンできる制御メカニズムがなければ、機密情報が漏えいする

という大きなリスクを抱えることになります。加えて、セキュリティおよびコンプライアンス チームによって、デー

タ保持に関する懸念や管理上の柔軟性の問題も指摘されました。

Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 16

Page 17: Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

リンクおよびリソース

マイクロソフトのホストティング サービスの詳細については、次のリンク先やリソースを参照してください。

Microsoft BPOS トライアル:

http://www.microsoft.com/japan/online/trial.mspx

Google vs. Microsoft – ホスティング サービス比較ホワイトペーパー:

http://www.microsoft.com/businessproductivity/ja/jp/why-microsoft/google-apps.aspx

顧客の証言および関連する導入事例

o Datatune: "Google Apps は、丸い穴に四角いくいを打ち込むようなものです"

http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000002896

o CIF: "Google Apps はエンタープライズ クラスのソリューションではありません。あくまでコンシュー

マー向けのソリューションであり、それによってビジネスをリスクにさらすことはできません"

http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000005041

o W.J. Bradley Company: "当社ではほとんどすべてのユーザーが、電子メール クライアントとしては

Outlook が適切であると判断しました。Exchange Server を実行できない電子メール サーバーで

は、特にモバイル デバイスを利用している場合には、正常な運用は困難でした"

http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003747

o Procore: "Google Apps を試してみましたが、Microsoft Online Services と比較するとサービス内

容が不足しています"

http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003799

o Competitiveness.com: "マイクロソフトのオンライン アプリケーションとオフライン アプリケーション

は、相互に補完し合っています。Google が提供するのはオンライン アプリケーションだけであり、互

換性や書式に関する問題があります"

http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003809

o SaaSIT: "Google Apps を導入することで、1 月あたり 1 ドルや 2 ドルの節約はできるかもしれま

せんが、その価値はないでしょう。運用が難しいソフトウェアを選択することは、コスト削減の方法とし

て正しくありません"

http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000004063

Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 17