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2000-12-01 京都研究会 1 視覚障害者のパソコン利用について 西本卓也 京都工芸繊維大学 工芸学部 電子情報工学科 助手 http://www-vox.dj.kit.ac.jp/nishi/ [email protected]

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2000-12-01 京都研究会 1

視覚障害者のパソコン利用について

西本卓也

京都工芸繊維大学 工芸学部 電子情報工学科 助手

http://www-vox.dj.kit.ac.jp/nishi/

[email protected]

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• 視覚障害者は推計30万人そのうち点字が使えるのは10%

• 点字が普及しない理由

– 中途失明者には学ぶことが困難

– 点字になった情報しか得ることができない

• 音声でインターネットを使えれば即時性のある情報の入手や社会参加が可能

• しかし、視覚障害者でパソコン利用者はごく少数

視覚障害者のパソコン利用について

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視覚障害者向けのパソコン環境の現状

• スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)

• MS-DOS(パソコン通信のみ)

– VDM100

• Windows95/98(インターネット対応)

– 95/98/2000Reader

– outSPOKEN

– PC-Talker

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視覚障害者のパソコン環境例

• OS: Windows95/98

• スクリーンリーダー: 95Reader

• メーラー: WinBiff or MM-Mail

• ブラウザ: IBMホームページリーダー or VE98/VE2000

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視覚障害者が求めるもの

• インターネットを使うためには普及しているWindows環境を音声リーダーで使いたい

• 視覚障害者のために特化した「インターネット講座」での指導が必要

• 定期開催されていることが重要

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• 99年5月より非営利団体のSCCJが運営(2000年秋からWIN京都として独立)

• 多くの受講生 他府県・遠方からの受講者も多い

• 問題点:全15回のレッスン中8回がタイピングの練習

タイピング練習 アプリケーションなどの練習

視覚障害者のためのインターネット教室

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パソコン練習の流れの違い

パソコン練習

パソコン練習

タイピング練習

タイピング練習

晴眼者

視覚障害者

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音声ガイドによるタイピング練習の必要性

• 自宅で自分のペースで練習したい

• カリキュラムからタイピング練習を減らし講座をより充実させたい

タイピング練習 アプリケーションなどの練習

タイピング練習 アプリケーションなどの練習

タイピング練習ソフト 充実!

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「打ち込み君」の開発

• 音声ガイドのみによるタイピング練習ソフト

• 1999年 京都工芸繊維大学とSCCJの共同研究・評価

• 2000年3月にLinux版を発表

• 少しづつ告知が浸透し、多くの問い合わせがあった

– 大きなニーズがあることを確認

• Windows版を優先して開発することに

– 開発環境Visual Basic 6.0 / SAPI 4.0SAPI対応エンジン: IBM ProTalker etc.

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「打ち込み君」の仕様

• 目標:キーの操作方法が音声ガイドに従うだけで身につく

• プログラムがコンテンツを読み込んで動く構成

– 講座での指導経験に基づいてコンテンツ作成

– 課題作成者の利便を考慮し、簡単な形式で記述可能に

• 合成音声によって押すキーを指示

• 押されたキーを読み上げ、正解、不正解の効果音

• 正解、不正解回数と応答時間などのログを記録

打ち込み君(プログラム)

コンテンツ

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タイピング入門機に求められるもの

• 自宅で自分のペースで学びたい

• 演出がないとやる気が続かない

• リアルな効果音

• 先生・生徒・「打ち込み君」による楽しいレッスン

– 音声合成「打ち込み君」

– 声優による先生

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現在の開発体制

• オープンソース「打ち込み君」– 京都工芸繊維大学が中心 ソフトウェアの開発と改良

– インターネットでソース公開

http://www-vox.dj.kit.ac.jp/nishi/ukk/

• 配布とサポートをNPOが担当

– 音声合成エンジン

– 音楽・ナレーション(フリーでない部分)

– 社会福祉・医療事業団の補助による無償配布

– 将来の事業化も模索

• 2001年1月~3月ごろCD-ROM配布へ

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モジュール構成

打ち込み君(プログラム)フリーソフト

商用のコンテンツ

商用の音声合成

フリーの音声合成フリーのコンテンツ

パッケージ CD-ROM

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コンテンツ開発者への配慮

• テキストファイルによる容易なシナリオ記述

• 将来バージョンでXML化=VoiceXML対応

g まず、左手から始めましょう。

g 左手の人差し指でキーを押してFを探して下さい。

g Fの位置は下から3列目のひだりはしから5つ目でキーにとっきが付いています。

t f

g そのキーです。

g 次の説明が始まるまで、確認のため練習して下さい

d 12

#

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操作性の考慮

• キー配列の説明方法

– ホームポジションから外側に向かって説明

• 操作に使用するキーの工夫

– 選択に F/J (突起がある)

– 決定に ESC (探しやすい)

• 既存のスクリーンリーダーとの親和性

– 98Readerのキー割り当て、キーエコーに準拠

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応答性の改善

• いつでもキーエコーを返すようにする

• 自由な割り込み操作を可能にする最後まで聞かなくても操作可能にする

– 2種類のガイドコマンドを用意(割り込み操作可能 / 割り込み操作不可)

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眺望感の不足への対処

• 次にやるべき操作がわからなくなる

– 操作ミスが続いたとき

– 入力待ちの状態で放置されたとき

• タイムアウト・エラーの場合に指示を出しなおす

• シナリオの巻き戻し機能(ESCの2回押し)

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聞き取りやすさへの配慮

• 話速に対するニーズはさまざま

– 同じ速度を速いと感じる人も、遅いと感じる人も

• 速度調節機能

• ナレーションに「間」を与えるwaitコマンド

• フォネティック読みA 「エー アメリカ」B 「ビー ブラジル」短い合成音声の聞き取りにくさを回避

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「打ち込み君」今後の課題

• 評価方法の検討

• 音声対話研究の知見を活かした改良

– 音声認識の併用

– 擬人化音声対話エージェント(IPA)の応用音声認識・音声合成・顔画像表示を含むフリーソフトの開発(2000年より3年間)

– VoiceXMLベースの対話制御