REALITY デフォルメ・ジャパン

REALITYデフォルメ・ジャパン

プレスリリース　２００９. ０１.２９

09.02.01-3.31

REALITY デフォルメ・ジャパンプレスリリース　２００９．０１．２９


■会期　２００９年２月１日［日］ー３月３１日［火］■会場　札幌芸術の森美術館■休館日　月曜日■開館時間　１０時　ー　１７時■観覧料　一般 1,000(800) 円　高校・大学生 500(400) 円　小・中学生 200(160) 円　※（　）内は前売および 20 名以上の団体料金□主催　札幌芸術の森美術館　北海道新聞社□後援　札幌市　札幌市教育委員会□協賛　富士ゼロックス株式会社　株式会社乃村工藝社　北海道カルチャーオデッセイ□協力　株式会社バンダイ　株式会社サンライズ　株式会社創通エージェンシー■問い合せ　担当山本　tel (011)555-555　email [email protected]



日本の現代アートが煌めき始めている今、その礎となった日本文化の歴史を見直す時期が来ていると思います。

それは、古代日本人が生きてきた背景とそれによって形成された美意識を探る作業です。そしてそれらは、西

洋の歴史と比較することで見えてきます。

西洋は自然を支配してきた歴史を持ち、東洋は自然と共存してきた歴史を持ちます。東洋の人々は決して人間

の力が及ばない火山噴火・地震・雷などの天災に脅威を抱いてきました。そして自然を支配するのではなく共

存の道を選び、受け入れることにしました。その自然に対する恐怖にも似た意識が日本人にとっての「神」で

あり、後にその恐怖は力の及ばぬものへの美意識へと変化したのです。このような歴史の中で形成された美意

識が、日本文化のすべての根底にあり、つまりそれが日本人の「受け入れる心」なのです。

支配するか受け入れるかで物事の解釈（インプット）は大きく変わり、解釈が違うと表現法（アウトプット）

も変わります。受け入れる心がもたらすのは思いやりの心であり、「私はあなたのためにどうあるべきか」「あ

なたはどう思うか」と考えるのが日本人の心ではないでしょうか。話し上手ではなく聞き上手。これが日本人

であり日本の文化であります。

そのような卓越した受け入れ精神が生み出した作品に、見るものに解釈を委ねる龍安寺の石庭があります。「私

はあなたに強要しません。あなたが見えるもの感じるものが、それなのです。」という声が感じられます。それ

と同時にこの石庭には、あえて完全な形にはせず見るものに「考える余地」を残す仕掛けが施されています。

それは造形の美しさだけではなく本質的な美しさを追求するという行為であり、日本独自の美徳なのではない

でしょうか。

本展覧会では、そような古代日本人が築いてきた美意識が、現在私たちの無意識の生活の中に溶け込んでいた

と気づくものになれば幸いです。

REALITY。それは目に見えるものだけではないのです。

ディレクター　山本　真理子



「リアルを際出せるデフォルメ」　日本の芸術作品にはそのような表現手法があります。デフォルメとは辞書に

よれば「モチーフの特徴を誇張・強調した変形を加える表現手法」という意味です。これは一見現実性とは対

極に存在するものと見受けられますが、日本独自の歴史的背景によって形成された日本文化や芸術作品を語る

際の、その定義は「モチーフの本質的な特徴を読み取り、誇張・強調した（変形を加える）表現手法」が適切

でしょう。言い換えると「現実には存在しないが、現実以上にリアルなもの」と表現できます。それが最も表

れている例が歌舞伎や能の女形です。「女を演じるのは男であり絶対に女ではないが、女らしさ（素振りなど）

を際立てることで女以上に女らしい」。男性の顔・体型・動きを単にデフォルメしただけでは、ただの奇妙な女

装になってしまいます。本当の女性らしさとは何なのかとう本質を追求し、必要な部分を必要な分だけデフォ

ルメしたのが女形であり、リアルを際立たせるデフォルメというわけです。

本展覧会では、日本画の中でも特にイラスト的一面を持つ、浮世絵が魅せるデフォルメの世界を探ります。浮

世絵が持つそのイラスト的表現は、人間の構造を忠実に描き出そうとした西洋絵画とは全く異なったものでし

た。しかしどちらも映し出したものは同じであり、現実です。異なったのは、西洋絵画は写実により現実（究

極 /理想の美）を表現し、日本絵画はデフォルメで現実（現実 /人間臭さ）を表現したという点でした。つまり、

浮世絵は決して美しい姿ではないが、人間らしさを際立たせることでリアルを表現したのです。それは浮世絵

という人々の何気ない生活風景を描くとう題材に対しても理にかなっているのではないでしょうか。描き出す

対象の本質的な美しさを見事に読み取った浮世絵は、その鮮やかで特徴的な色づかいと共に、私たちに現実の

美しさを見せてくれ、現実性とは何かということを考えさせてくれるでしょう。

また、本展覧会最後には浮世絵のデフォルメ文化を現代アートとしてリクリエーションした日本人アーティス

トの作品をご用意致しました。伝統的文化の文脈とは違う世界に存在するように思えていた彼らの作品が、途

絶えることのない歴史的流れの上に存在するということを発見することでしょう。

西洋絵画は写実で [ 現実 = 理想の美 ] を追求し、

　日本絵画はデフォルメで [ 現実 = 人間臭さ ] を表現した。



本展覧会では、特に西洋絵画との相違という点をひとつのポイントとしています。現実を理想の美と捉えるのか、

人間臭さと捉えるのか。西洋人には見えず日本人だからこそ見えたものとは何であったのか。それらの点を皆様

に、より感じ取り見比べて頂くために今回特別に、イタリア・フィレンツェのウフィッツィ美術館よりミケラン

ジェロの聖家族をご用意致しました。この絵画は、ミケランジェロが友人の出産の祝いに贈られたとされるもの

で、マリアのキリストを背中で受け渡す不自然な姿勢は、自分は彫刻家だということを強く主張するために、わ

ざと筋肉の構造が顕著化し描くのが難しくなるポーズとしたと言われているものです。皆様ご自身の目で是非、

歌麿の描く女性美と、ミケランジェロの描く肉体美を見比べてください。ふたつの現実が見えてるくでしょう。

喜多川歌麿　江戸の花娘浄瑠璃ミケランジェロ　聖家族

葛飾北斎　冨嶽三十六景神奈川沖浪裏 Japanese Spirit 一号機



喜多川　歌麿

国際的知名度も高い江戸時代の浮世絵師。繊細で優麗な描線を特

徴とし、さまざまな姿態、表情の女性美を追求した美人画の大家。

葛飾　北斎

森羅万象、何でも描き生涯に 3 万点を超える作品を発表。、ゴッ

ホなど西欧の印象派画壇の芸術家を始め、工芸家や音楽家にも影

響を与えている。その功績は海外で特に評価が高い。

天明屋　尚

日本伝統絵画における主題的・手法的なアプローチを現代に転生

させる独自の絵画表現を「ネオ日本画」と命名し活動している画

家。「ネオ日本画」とは、画材や素材に依拠した概念ではなく、

線描表現、たらし込みなどの伝統的な技法はもとより、余白や装

飾、精神性や象徴性といった要素を継承しつつも、アクリル絵具

等の新素材を用いて、現代風俗や社会諷刺、仏画、禅画などを描

く手法であり、このように古典のエッセンスを引用しつつ現代を

活写しうるものこそが、現代の「日本画」であると考え、それを

「ネオ日本画」と定義している。

青島　千穂

ベジェ曲線を用いて、幽霊やゾンビ、少女たちが登場する異世界

の風景を描き出す。コンピューターのテクノロジーを使った色彩

美が北斎を思わせる。

歌麿

赤富士

Japanese Spir i t 十三号機

Piercing a Heart



［関連事業］

『ネオ日本画への挑戦』

講師：天明屋　尚

日時：２月７日（土）　１４：００

会場：第３展示室講演ホール

※予約不要・参加無料

日本画の近代から現代にかけての、画壇の権威構造のあり方を切断

し、一線を画すことで、ネオ日本画が生まれる。天明屋自身がネオ

日本画への挑戦を語ってくれる。

『現実性の境界』

講師：武邑　光裕

日時：３月２１日（土）　１４：００

会場：第３展示室講演ホール

※予約不要・参加無料

インターネットの台頭によりリアルの境界線が曖昧になっているこ

の時代こそ、現実とは何かを見直すべき時なのである。４本の映画

の解説と共に、人々の言う「現実」とは何なのかを諭してくれる。



［プレス画像］

喜多川歌麿

江戸の花娘浄瑠璃

喜多川歌麿

歌麿

喜多川歌麿

寛政三美人

東洲斎写楽

三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛

葛飾北斎

冨嶽三十六景神奈川沖浪裏

天明屋尚

Japanese Spirit 一号機

青島千穂

Piercing a Heart

青島千穂

光る都市　

青島千穂

梅２

天明屋尚

apanese Spirit 十三号機

天明屋尚

白虎

天明屋尚

ネオ動植綵絵　群亀図

葛飾北斎

冨嶽三十六景凱風快晴

葛飾北斎

富士越龍図

日本浮世絵協会

天明屋 Lab.

有限会社 kaikaikiki


09.02.01-3.31 SAPPORO ART PARK


09.02.01-3.31

西洋絵画は写実で [ 現実 = 理想の美 ] を追求し、

　日本絵画はデフォルメで [ 現実 = 人間臭さ ] を表現した。

■会期　２００９年２月１日［日］ー３月３１日［火］

■会場　札幌芸術の森美術館

■休館日　月曜日

■開館時間　１０時　ー　１７時

■観覧料　一般 1,000(800) 円　高校・大学生 500(400) 円　小・中学生 200(160) 円　

※（　）内は前売および 20 名以上の団体料金

□主催　札幌芸術の森美術館　北海道新聞社

□後援　札幌市　札幌市教育委員会

□協賛　富士ゼロックス株式会社　株式会社乃村工藝社　北海道カルチャーオデッセイ

□協力　株式会社バンダイ　株式会社サンライズ　株式会社創通エージェンシー

■問い合せ　担当山本　tel (011)555-555　email [email protected]

現代アートの礎へ。



本展覧会では、特に西洋絵画との相違という点をひとつのポイントとしています。現実を理想の美と捉えるのか、

人間臭さと捉えるのか。西洋人には見えず日本人だからこそ見えたものとは何であったのか。それらの点を皆様

に、より感じ取り見比べて頂くために今回特別に、イタリア・フィレンツェのウフィッツィ美術館よりミケラン

ジェロの聖家族をご用意致しました。この絵画は、ミケランジェロが友人の出産の祝いに贈られたとされるもの

で、マリアのキリストを背中で受け渡す不自然な姿勢は、自分は彫刻家だということを強く主張するために、わ

ざと筋肉の構造が顕著化し描くのが難しくなるポーズとしたと言われているものです。皆様ご自身の目で是非、

歌麿の描く女性美と、ミケランジェロの描く肉体美を見比べてください。ふたつの現実が見えてるくでしょう。

喜多川歌麿　江戸の花娘浄瑠璃ミケランジェロ　聖家族

葛飾北斎　冨嶽三十六景神奈川沖浪裏

Japanese Spirit 一号機

「リアルを際出せるデフォルメ」　日本の芸術作品にはそのような表現手法があります。デフォルメとは

辞書によれば「モチーフの特徴を誇張・強調した変形を加える表現手法」という意味です。これは一見

現実性とは対極に存在するものと見受けられますが、日本独自の歴史的背景によって形成された日本文

化や芸術作品を語る際の、その定義は「モチーフの本質的な特徴を読み取り、誇張・強調した（変形を

加える）表現手法」が適切でしょう。言い換えると「現実には存在しないが、現実以上にリアルなもの」

と表現できます。それが最も表れている例が歌舞伎や能の女形です。「女を演じるのは男であり絶対に女

ではないが、女らしさ（素振りなど）を際立てることで女以上に女らしい」。男性の顔・体型・動きを単

にデフォルメしただけでは、ただの奇妙な女装になってしまいます。本当の女性らしさとは何なのかと

う本質を追求し、必要な部分を必要な分だけデフォルメしたのが女形であり、リアルを際立たせるデフォ

ルメというわけです。

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