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国立国会図書館の収集資料と納本制度Collections through the Legal Deposit System at the National Diet Library
国立国会図書館収集書誌部長
山地 康志
納本制度70周年記念国際シンポジウム2018年7月11日(水)
1
図書雑誌・新聞
その他非図書資料等
1,095万点余 1,755万点余 1,414万点余
インターネット資料(ウェブサイト)
オンライン資料(電子書籍・雑誌)
1.2万タイトル14万件余
(累積保存件数・容量1.15PB)
〔民間〕72.3万点余
〔公的機関〕32.9万点余
※いずれも2017(平成29)年度末時点の数値。
1国立国会図書館の情報資源の構成
2収集手法
2
様々な手法で資料収集を図っている。
○ 納本
○ 寄贈/移管
○ 購入
○ 国際交換 など
⇒ 国内の出版物の収集の柱は「納本」
⇒収集した資料を利用し、各方面への奉仕
(国会、行政及び司法各部門、一般公衆、公立その他の図書館等)
【主なあゆみ】
昭和23年2月 国立国会図書館法
(昭和23年法律第5号)制定
5月 納本制度による受付開始
6月 国立国会図書館開館
昭和24年6月 国立国会図書館法の改正• 代償金の交付、地方公共団体の出版物の納入規定などを新設
• 民間出版物は「文化財の蓄積及びその利用に資する」趣旨で収集
昭和26年4月 出版物取次懇話会(現・(一社)日本出版取次協会)
による一括納入が開始
⇒現在も主流として継続
3納本制度の草創期
3
4納本による収集ルート
民間出版物(1部納入) 官庁出版物(複数部納入)
出版社、新聞社、レコード会社、映像資料の発行者等
国立国会図書館 (年間約60万点)
学術団体、私立大学、民間調査研究機関、企業、団体等
国の諸機関、独立行政法人、国立大学法人等
地方公共団体、地方独立行政法人、公立大学法人等
取次経由(一括代行機関経由)日本出版取次協会地方・小出版流通センター教科書協会
行政・司法各部門の支部図書館経由
図書、CD-ROM等の電子出版物、新聞、雑誌、音楽CD、DVD、楽譜、地図、マイクロ資料等
学会誌、紀要、各種報告書、社史、自費出版物等
年鑑、要覧、予算書、決算書、各種報告書、小冊子等
年鑑、要覧、議会資料、各種報告書、小冊子等
納入出版物代償金/寄贈
直接納入
4
直接納入
直接納入
5(有体)出版物の整理・提供プロセス
5
資料の収集・受入
書誌データ・雑誌記事索引
作成
各種図書館関係機関
利用者各層(国会、行政・司法、一般公衆)
保存東京本館/関西館国際子ども図書館
検索・情報提供システム
検索
閲覧提供
書誌データ提供(日本全国書誌など)
収蔵
6電子出版物の収集開始
2000年• パッケージ系電子出版物(CD-ROM、DVD等)を納本の対象に
2002年
• インターネット資料収集保存事業(WARP)開始
• 国・自治体・大学・文化イベント等のウェブサイトを許諾により選択的に収集
2010年
• 公的機関のインターネット資料の制度収集を開始
• 国・自治体・国公立大学等のウェブサイトを法律に基づき網羅的に収集
2013年
• 民間のオンライン資料の制度収集(eデポ)を開始
• 無償で技術的制限手段のない電子書籍・電子雑誌を当面対象
6
7-1 電子出版物の収集制度(その1)
7
【公的機関のインターネット資料の制度収集WARP】
✓公的機関:
✓インターネット資料:インターネットにより公表された情報
○国の機関(立法、行政、司法:地方支分部局、施設等機関等を含む)
○独立行政法人○国立大学法人(大学共同利用機関法人を含む)○地方公共団体(法定合併協議会を含む)○地方公社、特殊法人等
✓収集方法:自動収集又は送信・送付による収集
7-2インターネット資料の収集・提供プロセス
8
WEBサイトの収集(主にクローラによる)
メタデータの確認・修正
利用者
保存ストレージ
検索・提供システム
収蔵へ記録
全文検索
閲覧提供
8-1 電子出版物の収集制度(その2)
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✓オンライン資料:インターネット等で出版(公開)されている電子書籍・電子雑誌
【民間のオンライン資料の制度収集 eデポ】
✓収集対象: 無償、かつ、技術的制限手段(DRM)なしで、2013年7月以降に出版(公開)された電子書籍・電子雑誌のうち、次の①又は②のいずれかに該当するもの。
① 資料に標準コード(ISBN、ISSN、DOIのいずれか)が付与② ファイル形式がPDF、EPUB、DAISYのいずれか
【具体例】
年報、年鑑、要覧、機関誌、広報誌、紀要、論文、報告書、学会誌、ニューズレター、
学会要旨集、事業報告書、技報、CSR報告書、社史、統計書等
※大学等の機関リポジトリで公開している資料は収集対象外
8-2 オンライン資料の収集・提供プロセス
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クローラによるWEBサイトの収集
利用者
保存ストレージ
検索・提供システム
各出版者からの送
付
サイト内にある著作の切り出し(選択的)
メタデータ確認・修正
各種図書館等
閲覧提供
書誌データ提供
検索
コンテンツ+メタデータ
検索・提供システム
連携
検索
記録
9電子出版物の収集制度(まとめ)
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制度対象
納本制度として規定
B・C・Dグループの収集を進捗させた
い・・・
10-1 有償の電子書籍・電子雑誌の収集実証実験事業
○ビジネス状況や技術動向を踏まえた実効性のある制度設計に寄与することを狙い
○著作者及び出版社との相互理解を図り、協力を推進する
○実験内容
① 電子書籍・電子雑誌の収集及び長期的な保存・利用の技術的検証(DRM及びファイル・フォーマット形式等)
② 国立国会図書館内で電子書籍・電子雑誌を閲覧に供することによる電子書籍・電子雑誌ビジネスへの影響の検証や納入時の費用の調査分析
○日本電子書籍出版社協会(EBPAJ)に委託
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10-2実験モデル
○電子書店から購入した電子書籍・電子雑誌を、一般のユーザーがタブレット端末などで読むのと同様の方法 ⇒ 現在4000点ほど。
○来館利用者端末(約730台)での閲覧。同時アクセス制御。複写は行わない。
○本文のテキスト検索、文字サイズ変更、縦組み・横組み・段組み変更、拡大・縮小、コメント・マーカー・ブックマーク機能などをビュアーに装備
○利用実験と並行して、有識者会議による調査研究
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10-3 次のステップへ
○ 国立国会図書館法の理念を活かす社会的システム
○ 具体的な課題⇒関係者間の対話が必要
・(社会的/技術的)継続可能なシステム・モデル
・書籍本体及びメタデータの収集方法
・保存の方法
・利用形態・利用範囲
○ 予算制約の厳しさ
⇒(解決案の例)既存システムを流用できないだろうか?
○ 社会的合意のある仕組みづくり
⇒過去に学び、現在を問い、未来を創る。
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11 本日のまとめ(今後に向けて)
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○ 法制度に基づく資料の収集と保存は、出版物へのユニバーサルなアクセスを保証する公共的な基盤として今後とも意義がある。
○ インターネット上のデジタル出版物の形態・記録様式は今後とも進化を遂げるように思われる。長期間の保存をどのように担保するか、具体的なモデルを模索する。
○ 電子書籍は空間や時間を選ばず入手が可能であり、図書館以外のアクセス手段の利用が盛んである。アクセスのためのメタデータの整備は重視される。
○ 多くのステークホルダー(出版界・図書館界・利用者)との相互理解を深め、連携・協力が不可欠。
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ご清聴ありがとうございました
Thank you!
Vielen Dank!
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