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アルケンの構造と反応
σ結合とπ結合アルケンの立体異性体
アルケンの反応:求電子付加反応アルケンと HBr の反応機構カルボカチオンの構造
1
C CH
H H
H������
���������
CH3CH2CH CH2 CH3CH CHCH31234 1234
����� �����
1-butene 2-butene
アルケン
121.3°
117.4°平面構造sp2 混成軌道
2
σ(シグマ)結合とπ(パイ)結合
σ結合の方が強い:軌道の重なりが大きいため
結合軸に沿って軌道が広がっている
結合軸を含む節面があり、その両側に軌道が広がっている
sp2混成軌道 σ結合 p軌道 π結合
σ結合 π結合
3
二重結合の MO ダイアグラムエネルギー
sp2
σ
σ*
sp2
σ結合の結合エネルギ-
p
π*
π p
π結合の結合エネルギ-
・σ結合の方が結合エネルギーが大きい・π電子の方がエネルギーが高い
4
アルケンの立体異性体
5
二重結合は回転できない
C
C HH
H H
p軌道
C
CH
H
H H
二つのp軌道が重なり合えない
=π結合ができない
・回転させようとするとπ結合が切れてしまう
→ 回転するのに大きな活性化エネルギーが必要 (室温付近では回転できない)
6
シス・トランス異性体
C CH
H3C CH3
H
cis-2-butene
-
C CH3C
H CH3
H
trans-2-butene
-
7
E/Z 表記
C CB
A A'
B'
立体異性体の系統的命名法:E/Z 表記
① A と B、A’ と B’ を順位則で比較② 順位の高い方が二重結合の同じ側なら 「Z」、違う側なら「E」と命名
C CH
H3C CH3
H
(Z)-2-butene(Z)-2-���
1
2
1
2C C
H3C
H CH3
H
(E)-2-butene(E)-2-���
1
2 1
2
8
ビニル炭素・アリル炭素
CH2 CH CH2 CH CH2
���� ����vinyl group allyl group
ビニル炭素 アリル炭素
「ビニル位」「ビニル水素」という用法もある
「アリル位」「アリル水素」という用法もある
9
【練習問題】分子式 C5H10 のアルケンをすべて挙げ、それぞれの系統的名称を書きなさい。また、それぞれの構造式で、アリル炭素がどこにあるか示しなさい。
10
アルケンの反応:求電子付加反応
11
アルケンへの求電子付加反応
C CH3C
H CH3
H+ H Br C C
H3CH
CH3
HH
Br
trans-2-ブテン 2-ブロモブタン
12
有機反応をより詳しく知るために、理解すべきこと:
・どの結合が生成・切断されるか
・それらがどの順序で、なぜ起きるか= 反応機構
反応機構を考えること
「反応機構が説明できる」ことが本講義の主要な目標の一つ
13
反応物と生成物
反応物=反応前の物質 生成物=反応後の物質
※ 「反応してできた物質」を「反応物」と間違えないこと(それは「生成物」)
C CH3C
H CH3
H+ H Br C C
H3CH
CH3
HH
Br
14
2つの反応物の原子がすべて生成物に含まれる反応 = 付加反応
付加反応
※ 有機反応には、このほかに「置換反応」「脱離反応」「転位反応」がある
C CH3C
H CH3
H+ H Br C C
H3CH
CH3
HH
Br
15
求電子剤求核剤電子不足:「電子を求めて」反応
電子豊富:「原子核(の正電荷)を求めて」反応
求電子剤と求核剤
求核剤と求電子剤の反応:極性反応
ローンペア 電子不足の原子
+ HO
Hδ–
δ+ H NH
HH
O H+NH
H
H
16
アルケンと HBr の反応機構
第一段階:アルケンへの H+ の付加(カルボカチオンの生成)
第二段階:カルボカチオンと求核剤の反応
17
アルケン:求核剤、HBr:求電子剤
C CH3C
H CH3
H
��� ����������
H Br
H��������
(求核剤) (求電子剤)
δ+ δ–
18
求核剤と求電子剤の反応
C CH3C
H CH3
H+ H Br
π結合の2個の電子がC‒H 結合を作る
H‒Br 結合の2個の電子がBr 上に押し出される
δ+ δ–
19
カルボカチオンの生成
C CH3C
H CH3
HH + Br
新しくできたC‒H 結合
共有していたπ電子をC‒H に取られた=価電子が1個減る=プラスの形式電荷
炭素上にプラスの形式電荷を持つ化学種=カルボカチオン
20
H‒Br の結合電子は Br 上のローンペアになる
C CH3C
H CH3
HH + Br
H‒Br 結合の2個の電子をBr が受け入れてローンペアにする
=価電子が1個増える=マイナスの形式電荷
21
「カルボカチオンの生成」を巻き矢印で書く
C CH3C
H CH3
H+ H Br C C
H3C
H CH3
HH + Br
※ まだ終わりではないことに注意!
22
第二段階:カルボカチオンと求核剤の反応
C CH3C
H CH3
HH Br
正電荷を持つ=求電子剤
負電荷とローンペアを持つ=求核剤
23
「カルボカチオンと求核剤の反応」を巻き矢印で書く
C CH3C
H CH3
HH + Br C C
H3CH
CH3
HH
Br
Br のローンペアがC+ と結合を作る
新しくできたC‒Br 結合
24
アルケンと HBr の反応:反応機構のまとめ
C CH3C
H CH3
H+ H Br C C
H3C
H CH3
HH + Br C C
H3CH
CH3
HH
Br
カルボカチオン中間体
25
【練習問題】シクロヘキセンへの HBr の付加反応について、反応機構を巻き矢印で示しなさい。
26
反応機構を書く際の注意点
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二つ以上の段階を「勝手に」一つにまとめない
C CH3C
H CH3
H+ H Br C C
H3CH
CH3
HH
Br
誤り
なぜ「誤り」?
→ この反応はカルボカチオン中間体を経由することが実験から分かっているから
28
途中で止めない
C CH3C
H CH3
H+ H Br C C
H3C
H CH3
HH + Br
���������
反応の途中段階(完結していない)
29
カルボカチオンの構造
30
カルボカチオンの電子配置
CH
HH
メチルカチオンmethyl cation
価電子=3個(形式電荷が +1)
最外殻電子=6個(単結合が3本、ローンペアなし)
カルボカチオンはオクテット則を満たしていない→ 求核剤のローンペアを受け入れて結合を作る
31
カルボカチオンは sp2 混成である
H–C結合
H–C結合
C–H結合空の p 軌道
(CH₃ 平面に垂直)
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