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情報技術、人間、知

2016年4月7日 大東文化大学 水谷正大

耳目を集めている最近の出来事

Apple vs FBI

Google AlphaGo vs 人間の囲碁

IoTという「ビジネス用語」

個人の秘匿保護と国家の公益性の対立と両立可能性

知とは何か、労働や学校の解体、ヒトの存在

サービスのモノ化って何だ

Apple vs FBI

Google AlphaGo

IoT(Internet of Thing)

重なり会いながら互いに深く関連しあって世界を覆っている

リテラシーの再構築

http://www.theguardian.com/world/2013/jun/08/nsa-boundless-informant-global-datamining

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NSA(アメリカ合衆国国家安全保障局)元職員Edward Snowdenの内部告発によると、NSAは国内だけでなく海外要人の通信記録まで後半に収集。全容の多くはいまだ不明。

国家による監視は既に長期にわたり実施

指摘されていた中国や中東諸国だけでなく西側諸国でも監視が行われていた事実が次ぐ次と発覚。。。。

Apple vs FBI

Apple vs FBI

Box, Google, Facebook, Microsoftなどの有数のIT企業がApple支持の法廷助言所を提出

https://cloud.app.box.com/AmicusBrief

http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=17138

Apple vs FBI

国連の人権委員会もAppleを支持する声明

アップルのロック解除問題、司法省が訴え取り下げApple vs FBI

http://japan.cnet.com/news/service/35080279/

GoogleがGmailの暗号推進とレポートを公開Apple vs FBI

暗号化されていないメールが個人情報漏洩を引きおこさないように    受信したメールが暗号化されているかどうかを確認    送信先のメールプロバイダが暗号化技術TLSをサポートしているか確認 機能をGmailに実装(2016年2月9日)

https://security.googleblog.com/2016/03/more-encryption-more-notifications-more.html

https://www.google.com/transparencyreport/saferemail/

国家や社会の公益性と両立する

サービス企業が←私たち個人の力では難しい

信頼を得るための企業活動であるとしても

個人のプライバシと自由な活動を守ること

ことなのか?

Apple vs FBI

問われている課題

Google AlphaGo

コンピュータ将棋プロジェクトの終了宣言

http://www.ipsj.or.jp/50anv/shogi/20151011.html 将棋電脳戦を通じてプロ棋士と互角以上の戦績を残し、今後はヒトを凌駕していく方向性が認められたとして将棋対局を今後は学会イベントとしないという学会からの一方的宣言

Google AlphaGo

世界トップ棋士のイ・セドルにGoogle AIが挑んだ五番勝負4勝1敗でAIが勝利http://jp.techcrunch.com/2016/03/16/20160315google-ai-beats-go-world-champion-again-to-

complete-historic-4-1-series-victory/

1997年にIBMのDeep BlueがチェスのグランドマスターKasparovをやぶって以来の快挙とされる。

強⼤な計算⼒だけでなく、深層学習や強化学習研究の著しい進展とAlphaGoのリーダーDemis Hassabis⾃⾝のアプローチの成果

AlphaGoのリーダDemis Hassabisの投稿https://googleblog.blogspot.jp/2016/03/what-we-learned-in-seoul-with-alphago.html

将棋の実現可能局面数は10^70(10の70乗)程度http://www.nara-wu.ac.jp/math/personal/shinoda/legal.pdf

囲碁では10^300(10の300乗)程度と見積もられており将棋に比べて探索空間が超絶的巨大である。「計算力」だけではヒトには当面かなわないとされてきた。

Google AlphaGo

知能とは何かについては未定義部分が多い「機械の知」も変遷してきた

郵便番号(数字読み取り)が重要な研究対象であった時期も

同一人物か、顔が似ている、性別の区別できる

同じ作曲家の判別、イントロ当てクイズ

Turingテスト隔離されたヒトと機械が文字言語で会話して機械orヒトかを判定する

Turing Test 2014でEugeneが合格したとされたhttp://www.princetonai.com/bot/

CAPTCHA(completely automated public Turing test to tell computers and humans apart)応答者がコンピュータでないことを確認するためにアカウント取得時などで使われる

機械知能の理解の仕方(一案)Google AlphaGo

『ヒトは鳥のように飛べない』生物学的にヒトは鳥になれない。鳥がどんな生活感を持つのかはわからない。

『ヒトは鳥以上になれる』鳥と全く違う機構を工夫・改良して、鳥よりさらに「早く」「大量の荷」をも運搬できる方法を実用化している

Google AlphaGo

『「知」を作業(procedure)を達成する』とすれば…ヒトは機械知能にはとてもかなわない記憶(保存)し、正確に蓄積し続ける

パターンor曖昧マッチから探し出すルーティン作業

限定された世界においてデータを収集して規則を適用する

データから「教師なし」で学ぶヒトが手動で設定していた特徴量が自動で計算し、人間が関与せずに学習を進める 深層学習(deep learning)技術。将棋や囲碁ソフトウエアの格段の発展の基礎になっており、今後急速に社会のインフラに適用されていくはず。

ヒトの遅い反応では追いつかない素早い判断により制御する。原発制御やドローン飛行、車の自動運転に利用。医療や法律業務などに及ぶとされる。

日常業務文書や会計、物流処理の大部分が機械化されるとされる。ヒトより正確で迅速。IoT技術と密接に連携される。

既に「忘れ去れる権利」が必要な状況にある。

日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に

http://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx野村総合研究所

601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算

10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業の代替可能性を推計

特別の知識・スキルが求められない職業、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業は⼈⼯知能等で代替できる可能性が⾼い

抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、⼈⼯知能等での代替は難しい傾向

Google AlphaGo

日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に

2016年1月21日の研究報告会(1)http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20160112_738555.html

野村総合研究所未来創発センター2030年研究室 寺⽥知太⽒

代替されにくい職業:ソーシャルコミュニケーション、⾮定型業務

代替が可能な職業:事務職やホワイトカラー業務、高賃金な業務

意思決定者のような職務と、⼈でしかできない仕事に⼆極化

⼈⼝減少、労働⼒不⾜の不可避性が、新技術や新労働リソースを投⼊することの経済合理性を発⽣させる

⼈が技術変化を受け⼊れることができるかどうか個⼈情報をフル活⽤できるか、⼈による接客、診断をどこまでも求めるのか、それとも機械でもいいと思うのか

ビジネスモデル変化近場での⽣産のような変化が起こるのか、⼩売では接客や雰囲気売り重視に移るのか、そしてヘルスケアは公的サービス⽔準をどこまで維持するのか

ポイント

Google AlphaGo

Michael Osborne, Oxford Univ.

⽇本の職業で、機械代替可能性が⾼い職業会計監査係員、税務職員、行政書士、弁理士など

雑誌記者、中学校教員、弁護⼠、⻭科医師など代替リスクが低い職業

中間

翻訳や司書

それに伴って、今までは機械が代替不可能だと⾔われていた分野でも機械が取って変わりつつある

計算コストの劇的低下とデータの爆発的増加

研究報告会(2)

⼩売業でも⾃動化できることはたくさんある。アマゾンでは何百万という消費パターンを活⽤。 ウェイターやウェイトレスも機械に代替されつつあり、タブレットでオーダーし、購⼊履歴に基づいて商品を推薦したりしてきている。

機械とうまく連携しながら社会的知性を活⽤しながら仕事をする能⼒が求められる。新職業が⽣まれたことによる新たな富をどう分配していくかが重要

「再教育が鍵となる」

Google AlphaGo

IBM Watson Analytics

開放される機械知性

Amazon Machine Learninghttps://aws.amazon.com/jp/machine-learning/

http://www-01.ibm.com/software/jp/cmp/watsonanalytics/

グーグルとアマゾン、機械学習システムをオープンソース化http://wired.jp/2015/11/11/google-machine-learning-free/

クラウド型分析ソリューション Watson Analytics は、分析の専門知識がない人手もすぐにアナリティクスの結果を得ることができる

https://www.tensorflow.orgTensorFlow is an Open Source Software Library for Machine Intelligenceディープ ラーニングの実装のための豊富な機能をサポートし、演算フローをグラフとして定義することで様々な計算処理を表現、ディープ ラーニングに留まらない優れた汎用性を備える。スタンドアロン ライブラリと関連ツール、チュートリアル、そしてサンプルが Apache 2.0 ライセンスで公開されており、あらゆる企業や組織において無償で利用可能

アプリの開発に役立てることができる。疑わしい取引に対するフラグを立てること、不正な注文の検知、需要の予測、コンテンツのパーソナライズ化、ユーザー行動の予測、レヴューのフィルタリング、ソーシャルメディアの分析、無料テキストの分析、商品の推奨など。

Google AlphaGo

Yahooがこれまでで最大の機械学習用データセットを研究コミュニティーに解放http://jp.techcrunch.com/2016/01/15/20160114yahoo-releases-its-biggest-ever-machine-learning-dataset-to-the-research-community/

Yahoo Labs Webscopeからこれまでで最大となる機械学習のためのデータセットを学術研究コミュニティーに解放

データセットの容量は13.5TB、匿名化したユーザーのインタラクションデータで構成

2015年2月から2015年5月までにYahooのホームページ、Yahooニュース、Yahooスポーツ、YahooファイナンスとYahoo不動産を訪れた2000万人のインタラクションデータ

これまで本当に大規模なデータセットを活用することができたのは、大企業で働く機械学習の研究者やデータサイエンティストだけで、多くの学術的な研究者はアクセスすることができなかった。

機械学習開発のためのビッグデータ公開実データは機械学習研究における生命線

⽣命に関わる応⽤:薬剤師や医師の問診

急激に進む開発と実用化人の判断を待てない兵器・航空機や複雑な故障診断(原発システム)などルールに基づく推論機構として既に実用化されてきた。機械学習の方法+超高速計算+BigDataとを組み合わせた機械知能の「実用化」はオープン化により一層加速されるだろう。

Google AlphaGo

Google AlphaGo

労働はヒトを疎外する

人間があるべき自己の本質を失う状態

マルクス『経済学・哲学草稿』(1844年)

疎外(Entfremdung)

ヘーゲル『精神現象学』(1807年)人間は労働を通して本質を実現(自己実現)する

人間が作った商品・貨幣・制度などが逆に人間を支配するように疎外として現れ、あるべき自己の本質を失う。人間が労働力という商品となって資本のもとに従属し、ものを作る主人であることが失われていく。 機械工業の発達は、労働をますます単純労働の繰り返しに変え、機械に支配されることによって機械を操縦する主人であることが失われて疎外感を増大させる。

アリストテレス『ニコマコス倫理学』制作と行為とは異なり、制作の場合にはその目的とすることが別に存在している。行為にはそうしたことはあり得ず、善く行為することが目的である。技術と学問は対置されている。

働くということはなんだろう

Internet of Thing≡IoT

http://www.rfidjournal.com/articles/view?4986That 'Internet of Things' Thing

from Kevin Ashton

IPアドレスを有するモノ自体

IPアドレスを有するRFID(radio frequency identifier)で無線通信するセンサ-スマートフォン、タブレットなどのコンピュータ、家電製品、車

Bluetoothウエアラブル端末(Apple Watchなど)、靴、身体モニター

モノ化したサービス(IPアドレスを有する機器に格納されたコンテンツ)自販機、図書館図書、貸し出し自転車・車、水道ガス電気、資材、農作物

ビッグデータ(だれがどのようにしてデータを収集するかはクリアでない)センサや消費者・企業行動、農業収穫などが自治体、天気情報と連動⽣産性の向上や仕事の効率を図る

スマート鍵サービス、

ネットにつないだ「ハードウエア」ではなく「サービスのモノ化」

IoT

『ボクのArduino工作ノート改訂版』鈴木哲哉ラトルズ(2013) Prototyping Lab 「作りながら考える」ためのArduino実践レシピ 小林 茂オライリージャパン (2010)

Raspberry Piで学ぶ電子工作 超小型コンピュータで電子回路を制御する 金丸 隆志(ブルーバックス)

Raspberry Piクックブック Simon Monk オライリージャパン (2014)

プログラミング書籍が売れているIoT

「超」小型コンピュータの普及86mm x 57mm

Raspberry Pi 3

65mm x 30mmRaspberry Pi Zero

67mm x 53mmArduino UNO iPhone6

138mm x 67mm

3,300円7,300円

75ドル

教育用に販売されたが実用・開発にも適して爆発的人気に

バッテリ駆動でき、安価。野外に放置して様々に活用されている。

スマホ用などに製作されたセンサやカメラなどが安価に入手でき、さまざまな機器を自由に制御して、インターネット通信できる

IoT

Raspberry PiとArduinoの差異Raspberry Pi

完全なコンピュータでOS(代表的にはLinux)の上で動作しあらゆることが可能。公開されたほぼ全てのプログラムが動作する(Mathematicaも提供されている)。

http://make.bcde.jp/raspberry-pi/raspberry-piとarduinoの違い/

キーボード・モニタは付属しないがネットワークからログインして作業可能。

ArduinoOSはなく、別のコンピュータからプログラムを送り込んで動作させる。直接ハードウエアの機能が使えるので、リアルタイム処理が得意。アナログ機器の制御もしやすい。

Raspberry Piではマルチタスク処理ができるが(全体の動作は遅くなる)、Arduinoでは1タスクだけ。

IoT

Raspberry Pi/Arduinoをアイデアを実現する道具にする⾮常に安価で、HDMIでテレビに接続して使える

GPIO(汎⽤⼊出⼒)があり、ここにLED(発光ダイオード)や各種センサーやスイッチをつないだりして 思うままに制御できる

さまざまなプログラム環境が整っている

PC教室などのパソコンは⾃分のものにならず、存在するアプリケーションを操作する(ボタンを押す)だけで、ブラックボックス(魔法の箱)でしかない。理由もわからずに決められた通りに操作・管理する教育の域を出ない。

パソコンやスマホは巷に溢れているモノを操作できない。ものはバラバラに存在しているだけで、気の利いたように⾃分でデザインできない。

庭にある犬小屋の温度をtweetしたい

作物の生長を定期的写真撮影して記録したい

LEDを並べて点灯させてファッションアイテムにしたい

模型工作物を動かして自動操縦させてみたい

地震計を制作して、地震発生時に保安措置をしたい

IoT

リテラシーの再構築読み/書き/計算は不滅のリテラシーだ

「筆記具を使ってノートに書く」ことの意義は何度でも確認しよう

技術リテラシーも必要だ

事故を回避し、対処するための常識がある(自転車・車の運転と交通ルール)基本的なDIY工具の利用を練習すること

通信の仕方を知ること(ヒトとの挨拶から公衆電話のかけ方)

デジタルリテラシーはどうだろうか?コンピューターおよび基本的アプリケーションをどう使うか、コンピュータを使って自分がやりたいことをどのように達成できるかという基本的な理解クラウドサービスでデータがどの様に保存されているかの正しい理解にはコンピュータの構成要素の把握が必要

デジタルリテラシーが何故必要なのかを親や教師が理解することが欠かせない

プログラミングはリテラシーたり得るか?コンピュータを扱うことと、プログラミングを書けるようになること、プログラムを理解することの違いを知ることは重要である全員がプログラミングを学ぶ必要はないだろう。プログラミングとは発展する技術の1側面(ただし重要なのだが)でしかない。

それでも、プログラミング知識は求められる…機械の知(AI)の今後急速に利用されていくときの問題http://japan.cnet.com/news/service/35051804/

IoT

AIの3つ類型Superintelligence: Paths, Dangers, Strategies, Nick Bostrom(Oxford Univ.Press, 2014)

Oracle(助言・託宣する)問いを発すると答えてくれる(計算することは狭義のoracle)。良いOracleを行うこの能力が受容可能なAIを作らせる。oracleは非代理人的な道具で、質問に答えるだけに行為が制約されている。Oracleの悪用もある。

Genie(「魔法のランプ」の魔神)高度な命令を実行し、次の命令に待機。genieが与えた言葉だけでなく、命令を理解して従がおうとすればすばらしい

Sovereign(主権者)長期的目標を追求して世界の中で自律して活動する。

GenieとSovereignは機能を実行する前に機能が何をするか記述されている。GenieはOracleよりも危険なようにみえる。、これらすべての類型は程度の差はあるにせよ他の形を模倣することができ、究極の能力には差はない。

我々の目的に合致しない強力な代理人が創造されるという付加的危険性を考えると、これらの類型の安全性の序列は見た目よりも明かでない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/技術的特異点

人類はいつかシンギュラリティを迎えるのだろうか機械知の利用はどのように進められるべきなのだろうか

人工知能学会倫理委員会の取組み

社会はどのようにして機械知を受容・非受容を決定するのだろうか

ヒトとは何か

ヒトはデータ化され得るのだろうか。「意識」≠データだろうか。。ヒトは身体と精神を有する

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