インクルーシブ・ビジネスとIFCの取り組み - PwC...AGENDA 1. IFCとは 2....

インクルーシブ・ビジネスとIFCの取り組み～インクルーシブ・ビジネスの可能性：

激化する市場獲得競争と日本企業～

2011年10月17日

増岡 俊哉

国際金融公社（IFC）

インクルーシブ・ビジネス・モデル・グループ局長

AGENDA

1. IFCとは

2. 新興国市場の現状

3．インクルーシブ・ビジネスとIFCの役割3．インクルーシブ・ビジネスとIFCの役割

4．日本企業とのコラボレーション

5．質疑応答

2

世界銀行グループの中で民間向け投融資を担当

国際復興開発銀行

IBRDInternational Bankfor Reconstructionand Development

国際開発協会IDA

InternationalDevelopmentAssociation

国際金融公社IFC

InternationalFinance Corporation

多数国間投資保証機関MIGA

MultilateralInvestment and

Guarantee Agency

制度・法律・規制改革の

促進

一人当たりの国民所得

民間セクターによる開発の

促進

加盟国の民間企業（多国籍

民間投資における政治

的（非商業）リスクの軽減

設立：1945年 設立：1960年 設立：1956年 設立：1988年

役割:

:

制度・法律・規制改革の

促進

一人当たりの国民所得

3

一人当たりの国民所得

が1,025米ドル以下の最

貧国政府

- 技術支援

- 無利子融資

- 政策助言

企業、地場企業）

- 出資・準出資投資

- 長期融資

- リスクマネジメント

-アドバイザリー・サービス

-130カ国以上で業務展開

-100カ国以上に現地オフィ

スを配置

-3600人以上の職員

加盟国に本部を置く多国

籍民間企業

- 政治リスク保険

顧客:

商品

サービス:

一人当たりの国民所得

が1,025～6,055米ドル

の加盟国政府

- 技術支援

- 融資

- 政策助言

共通の使命： 途上国の経済開発と貧困削減

投融資サービス

アドバイザリーサービス

アセットマネジメント

IFCのサービス3つの柱

• 投融資• 貿易金融• 協調融資• ストラクチャード・ファイナンス• リスク管理商品• 財務業務• 流動性管理

2010年新規契約プロジェクト数：528件 新規契約額：180億ドル

IFC自己勘定額：127億ドル 資金動員：53億ドル

契約済ポートフォリオ総額：488億ドル 企業数：1,656社

• 金融へのアクセス• 投資環境の整備• 環境・社会面から持続可能な事業• 官民パートナーシップ

• 2010度プロジェクト件数：736件• 承認額：8億ドル• プロジェクト費用：3億ドル

• IFCの100%子会社で、第三者の資本を独立して管理するIFC アセットマネージメント会社

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AGENDA

1. IFCとは

2. 新興国市場の現状

3．インクルーシブ・ビジネスとIFCの役割3．インクルーシブ・ビジネスとIFCの役割

4．日本企業とのコラボレーション

5．質疑応答

5

日本市場が縮小する中、新興国市場が急激に成長

世界の市場拡大規模

0

10

20

発展途上国 先進国 日本

2002-2008の市場拡大

2009-2015の市場拡大

（兆米ドル）

6

60%

40%

51%

49% 43%

57%

OECD加盟国

非加盟国

2000年 2010年 2030年

世界経済シェア（購買力平価ベース）世界DGPに占めるシェア（％）

出所：METI・IMF : World Economic Outlook Database, April 2010OECD Perspectives on Global Development 2010:Shifting Wealth

BOP市場・ボリュームゾーンとは人口54億人以上、所得総額17兆ドルの巨大市場

1)TOP層 約1.75億人：

一人当たり年間所得20,000ドル以上

2) MOP層 約14億人 所得総額12.5兆ドル

（中間所得層・ボリュームゾーン）：一人当た

7

（中間所得層・ボリュームゾーン）：一人当たり年間所得3,000ドル以上20,000ドル未満

3) BOP層 約40億人 所得総額5兆ドル：

一人当たり年間所得3,000ドル未満

出典：『次なる40億人 - 経済ピラミッドの底辺の市場規模とビジネス戦略』

BOP=Bottom of the PyramidMOP= Middle of the Pyramid

BOP層・中間所得層の急速な世帯収入の拡大

世界の中間所得層の消費額の推移中間所得層の人口推移（2009-2030）

アジア・太平

洋

北米欧州

中南米

中東・アフリ

カ2009年：18億4,500万人

2030年：48億 3340

50

60 アジア・太平洋

北米

欧州

中南米

アフリカ

（10億ドル）

8出所） OECD Development Center Working Paper No 285, The Emerging Middle Class in Developing countries中間所得層：購買力平価ベースの1日の一人当たり平均所得10－100米ドルの間にある家計 （OECD)

アジア・

太平洋

北米

欧州

中南米中東・ア

フリカ

アジア・

太平洋北米

欧州

中南米 中東・ア

フリカ

2020年：32億4,900万人

2030年：48億8,400万人

5

15

33

0

10

20

30

40

2009年 2020年 2030年

アフリカ

中東・北アフリカ

AGENDA

1. IFCとは

2. 新興国市場の現状

3．インクルーシブ・ビジネスとIFCの役割3．インクルーシブ・ビジネスとIFCの役割

4．日本企業とのコラボレーション

5．質疑応答

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インクルーシブ・ビジネス・モデルとは、ビジネスとして成立し、かつ規模を拡大できる事業モデル

IFCはBOP層を広く定義：

収入のみならず、基本的な商品やサービス、経済的な機会へのアクセスの欠如も基準として含める

インクルーシブ・ビジネス・モデルは、経済ピラミッドの下層部にいる40億人の

人々が抱える様々なアクセスの欠如に対処できる可能性がある

“インクルーシブ・ビジネス・モデル”：BOP層を消費者・生産者・流通業者、ある

いは小売業者としてバリューチェーンに組み込みながら、ビジネスとして成立し、かつ規模を拡大できる事業モデル

CSRや慈善事業ではなく、本業として利

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対処できる可能性がある CSRや慈善事業ではなく、本業として利益を生み出すビジネス

補助金に頼らずに開発効果を持続的にもたらし、その範囲を拡大する

投融資対象として、リスクや実行可能性について一定の基準をクリア

出典：『次なる40億人 - 経済ピラミッドの底辺の市場規模とビジネス戦略』

BOP=Bottom of the Pyramid

インクルーシブ・ビジネス・モデル支援対象の幅広さと開発効果で大きな潜在性を有す *

Manila WaterCompany:

160万人が新

IDEA Cellular: 地方部で1100万人の新規

顧客

ECOM: 1万4千 人の小規模農家に貸出

Apollo Reach: 12万人の BOP 患者を治療

(年間)

FINO: 4千万人の新規顧客(金融) (2011)

Jain: 3万の農家供給者から果物や野菜を調達;

2011年までに、1,000人の農民にJAINGAP認証済MiTienda: 既に1,300

の 零細・中小企業に対応、200店舗へのトレーニングの提供

11

Cemar: 23万人の新規顧客(電力)

160たに水道網に

接続

Dialog Telekom: 300万人の新規顧客(携帯)Tribanco:400万枚のクレ

ジットカード発行; 15万以

上の零細・中小企業への金融サービスの提供

規模農家に貸出

Anhanguera: 76万人

の学生に高等教育を提供(2009年)

SABCO: 流通を担う2,200人の新た

な起業家

ZAIN: 34万人の新規顧客(2009年); 6,600人 の村落電話オペレーター

客(金融) (2011)

UNIMINUTO: 3万2千人の BOP 層学生に教育機会を提供（2009年)

█投融資

█技術支援

█総合的支援

(投融資＋技術支援)

* ケーススタディの詳細は全てウェブサイトでご覧いただけます（英語）:www.ifc.org/inclusivebusiness

インクルーシブ・ビジネスの成功例

Jain Irrigation Water Health International (WHI)

農業関連産業 クリーンウォーター

ECOM

農業関連産業

WHIは停電圧紫外線を使い、必要最小

限のエネルギー量で水を浄化する技術を低コストで実現し, インドだけでも100万人以上の人々に清潔で安全な水

を低価格で提供している。設計・製品製造・資金調達・サービスなど、浄水と水供給のプロセスは地方行政組織（Panchayat）と地域社会が関与し、

さらに地元住民を雇用してシステムの運営・管理をしている。

Jainは小規模農家に対し、生産性や農

産物の質を高めるためマイクロ灌漑システム（MIS）や種子などの投入資材

を提供している。また、農家が投入資材を購入する為に金融サービスへのアクセスを促進し、適切なMIS導入方法

や使用方法について販売者、政府関係者を指導している。

12

IFCの投資：6000万ドル(約50億円）の長期融資、1450万ドル(約12億円）の資本参加

IFCの投資：1500万ドル(約12億円）の融資

農産物の売買を行うECOMは、中央ア

メリカの小規模農家からコーヒーを仕入れる際に技術支援を行うことで、農家が品質に関する認証を得ることを可能にした。それにより彼らが生産する質の高いコーヒー豆を、プレミア価格で購入している。5年前には1％だっ

たこの高品質豆の売上は、現在ではECOMの10％を占める。

IFCの投資: 8,000万ドル（約65億円）の融資

インクルーシブビジネスを類型化すると・・

顧客の実績と信頼関係に基づいて信用供与を行う

Smallholder 小規模農家に対して融資や技術支援を行い、彼らの生産性、所得、忠誠心を高めることで、高品質で安定的な調達源を確保する

Last-MileGrid Utilities

遠隔地に住む貧困層へ水道・ガス・水を供給する

MicroDistributionand Retail

既存の販売ネットワークや小規模な小売業者を活用して、BOP層のニーズに合った商品やサービスを提供する

•MiTienda ・Dialog•Coca Cola Sabco・• Tribanco

•Brilla• Tribanco

•AAA・Manila Water• CEMAR・COMGAS

•Alqueria・SalalaRubber• ECOM・ Jain Irrigation

Experience-Based CustomerCredit

1

2

3

4

13

SmallholderProcurement 得、忠誠心を高めることで、高品質で安定的な調達源を確保する • ECOM・ Jain Irrigation

• Anhanguera・•Mauricio de Nassau• Duoc ・Uniminuto

Value-for-Money Housing

貧困層へ高性能な住宅を低廉な価格で供給する•Brookfield• Vinte

•FINO・ Suvidhaa•Yellowpepper

eTransactionPlatforms

テクノロジーを駆使して貧困層を公式の金融システムに統合し、

安全で、利便性・効率性の高いキャッシュレス決済へ

質が高く、手頃な価格の高等教育機会を貧困層に提供するValue-for-MoneyDegrees

5

6

7

2010年度、IFCはインクルーシブ・ビジネス案件に約9億ドル（約720億円、IFC投融資総額の7%）を投融資

インフラが全体の44％を占

め、最も大きい

インクルーシブ・ビジネス

案件の40％はIDA（国際開

発協会）の対象である最貧

468 M

金融業

236万ドル

（25%）

産業別インクルーシブ・ビジネス

投融資金額内訳（2010年度）

製造業、農業、サービス業288万ドル（31%）

14

発協会）の対象である最貧

国のもの

国別では、ラテンアメリカ

の案件が、全体の約半分を

占める

27 M

インフラ

407 万ドル

（44%）

*注: 上記のデータは初期的な分析によるものであり、現在精細な分析を行っている最中である

AGENDA

1. 新興国市場の現状

2. IFCとは

3．インクルーシブ・ビジネスとIFCの役割3．インクルーシブ・ビジネスとIFCの役割

4．日本企業とのコラボレーション

5．質疑応答

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日本企業が直面する課題とIFCの支援策

• 各国によって異なる市場環境、およびその中でも各顧客セグメントによって異なるニーズの把握市場

商品・サービス

• BOP 層/MOP層を対象とした商品

• 独自の技術を生かして商品のコストを下げること

現地市場・市場環境の情報を提供

BOPビジネス成功事例・技術支援の提供

IFCがお手伝いできること

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• 新興国における新規案件のリスクを、財務面、実行面の両面か

ら軽減すること

• BOP層/MOP層に浸透するための販売流通網を確保すること販売網

リスク管理

信頼できる現地パートナー・IFCの顧客の照会

現地法人への資金供与、財務面・実行面へのアドバイス

水田

精米機/所

農家が作物を精米所へ供給トラクターを使って籾殻が精米

所から工場へ送られる

ビジネス機会：

スマートグリッドの構築・地域内で電力を融通しエネルギー効率を高める

1 ビジネス機会：

• 遠隔地のテレコムパワーや他の電気通信インフラへの低廉な電力の供給

2

• 安定的な電力供給確保の為（充放電）エネルギー貯蔵装置、効率的な

3

日本企業と のコラボレーションの可能性：ビジネスマッチングの例

スマートグリッドの技術の需要

Husk Power

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Husk Power プラント

籾殻の貯蔵地

30 – 50 キロワットの電力プラント

ブレーカー

HPSが全ての配電網を設置し、コストを負担

ビジネス機会：

プラントで発生した排熱を利用してヘルスクリニック、学校、村へ精製水を提供

蔵装置、効率的な燃料電池の需要

排熱を利用した純水製造における蒸留技術・装置の需要

3

要旨

BOP・ボリュームゾーンは無視できない市場・競争は激化トレンド

インクルーシブビジネスは、本業として成り立つ事業形態

日本企業は技術・戦後からの経験の両面で比較優位あり

イノベーションは製品2割・ビジネスプロセスが8割

現地市場に精通したパートナー選びが重要

IFCは資金・アドバイス両面で支援可能

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支援依頼・お問い合わせ

•支援依頼及びご相談につきましては、直接東京事務所までお問い合わせ下さい。

• IFCの支援依頼にあたって、定型の標準申請書というものはありません。

•具体的な支援相談に際しては、プロジェクトの概要、所用資金・資金計画などを提

出いただき、可能な支援方法やビジネス・プランについて協議を行い、IFCの予備

審査のプロセスに進みます。

IFC（国際金融公社） 東京事務所

副所長： 寺見 興生 kterami@ifc.org

ｱﾅﾘｽﾄ：杉田 道子 msugita@ifc.org

千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階

Tel: 03-3597-6657 http://www.ifc.org

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