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標識放流法
標識した魚を回収して個体群動態のパラメータを推定
「標識することで、実験個体群を作り、その再捕のされ方から、自然個体群では推定が困難であったり、不可能であったりする個体群の動態パラメーターを推定すること」(Beverton and Holt, 1957)
資源量、生残率、漁獲率、自然死亡係数、系群判別、分布、移動、回遊、成長を推定
3
6.1.1 標識方法 マーキング
ヒレ切り 体毛刈り取る(海獣類) 貝殻にドリルでマーク(貝
類) 焼きごてを当てる 入れ墨 染色(ラテックスなど)
テトラサイクリンなどの蛍光物質注射
放射性同位元素、放射化トレーサーの注射
音波発信器(pinger)を付けて追跡
マーキングmarking:魚体の一部を欠いて目印にする
4
6.1.2 標識方法 タギング
体外標識 カフスボタン型 やじり型
体内標識 鉄、ニッケル、コバルトなど 金属探知機で検出
魚の生理、生態に影響が少ない
脱落や再生がない 発見しやすい
タギングtagging: 迷子札をつける
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N
n
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Petersen法の仮定
標識を付けることで死亡率が高くならない 標識が脱落しない。切った鰭などが再生しない 標識魚と非標識魚の獲られやすさが変わらない 両者が一様に混じる。あるいは努力量の分布が一様である
再捕魚は完全に発見され、報告される 加入や移出入が無視できるほど小さい
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式の解釈
100尾(=X)に標識を付けた
標識率が10%だった 50尾(=n)調査したら5尾
(=x)に標識がついていた
資源量は1000尾
50尾(=n)漁獲した 漁獲率が5%だった
100尾(=X)放流した標識魚のうち5尾(=x)が再捕された
資源量は1000尾
( ) ( )505100ˆ ===
nxX
xnXN ( ) ( )1005
50ˆ ===Xx
nx
nXN
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信頼限界
再捕される標識魚の割合x/nが標識率X/Nの2項分布に従う
nが大きな場合、2項分布は正規分布に近似される
( ){ } ( ){ }nxxxnXN
nxxxnX
−−<<
−+ 196.1ˆ
196.1
DeLury(1951)
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6.3 シュナーベル法 Schnabel Method 多回放流、多回再捕データを使用
再捕した魚は殺さずに戻す
未標識魚が捕獲されたら標識して放流
i iX in ix 0 00 =X 0n 00 =x 1 01 nX = 1n 1x 2 2X 2n 2x r rX rn rx
Xi:i回再捕時の資源中の標識尾数
ni:i回の漁獲尾数 xi:i回の再捕尾数
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推定方法
各回でペーターセン型推定を行う
全て、戻しているので資源量推定量は等しくなるはず
重み付き平均をとって推定
i iX in ix N̂
0 00 =X 0n 00 =x --
1 01 nX = 1n 1x 1
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xXn
2 2X 2n 2x 2
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xXn
r rX rn rx r
rr
xXn
∑∑==
=r
ii
r
iii xXnN
11
ˆ
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6.5 ジョリー・セーバー法 Jolly- Seber Method 多回放流・多回再捕 各回を区別する i時にXi尾の標識魚を含むNi尾の資源の中からni尾を獲る。
ni尾中xi尾に標識があった。 mi尾に新たに標識を付けて再放流
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N
n
Ni
標識魚Xi尾
標識魚xi尾
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Ni
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n
Ni
標識魚Xi尾
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推定方法
( )( ) iiiiii
iiiii
ii
SmnNNR
mxXXS
PXN
+−−=
+−=
=
+
+
1
1
ˆ
ˆ
ˆ
i
i
XN
ii
ii
xXnN
−−
iii
iii
mxXmnN
+−+−
1
1
+
+
i
i
XN( )
( ) iiii
iiii
SmxXSmnN
+−+− ( )
( ) iiii
iiiii
SmxXRSmnN
+−++−
捕獲 放流 死亡 加入
=
資源尾数 標識尾数
iii nxP =ˆ
iiiii xBAmX +=ˆ
Ai:i-1までに標識されていた魚のうち、i+1以降に捕獲された尾数
Bi:i回に標識されたmiのうち、i+1以降に捕獲された尾数
Bi/Ai:mi放流時の標識魚の中のmiの割合の推定値
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6.6 リッカー型推定
漁獲係数を推定する 漁獲率をEとすると
100201 ,,, −=== r
r SEXxSEXxEXx
( ) ( )12132
12312ˆ
−
−
++++++=====
rr
rr
xxxxxxxxxxxxS
( ) ( )( ) ( )1
00021
100201
ˆ−
−
++++++=
====r
r
rr
SXSXXxxxSXxSXxXxE
Fが変化するときは省略
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ブリ
スズキ目アジ科ブリ属 ブリ Seriola quinqueradiata
関東 関西 北陸
20cm以下 モジャコ
35cm以下 ワカシ・ワカナゴ ツバス・ヤズ ツバイソ
35-60cm イナダ ハマチ フクラギ
60-80cm ワラサ メジロ ガンド・ガンドブリ 80cm以上 ブリ
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ハマチ養殖
昭和4年(1929) 香川県安戸池でハマチの養殖を試み、事業化に成功する
昭和30年代以降、急激に増加
http://www.pref.kagawa.jp/suisan/html/suisan/gyogugyohou/54-55.pdf
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モジャコ資源量とブリ資源量の関係
モジャコは3年するとブリとなる その間に相当数が死亡するので、モジャコを2000万尾
漁獲してもブリが2000万尾減るわけではない 過密なモジャコを漁獲すると、成長・生残が良くなる可能
性もある しかしブリ漁獲量は減少 モジャコ漁獲がどの程度ブリ資源量に影響するのかを
調べる必要がある
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「モジャコ採捕のブリ資源に 及ぼす影響に関する研究」 1. 産卵及び発生初期の生態に関する研究 2. モジャコに関する研究
1. 漁獲量・漁獲努力量調査 2. 魚体調査 3. 標識放流
3. 成魚に関する研究
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モジャコは流れ藻に付く
モジャコは流れ藻につく モジャコに標識を付けるのは困難
流れ藻に標識を付ける
http://www.yoshoku.or.jp/02howto/miru/mojyako.htm
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装着・放流と回収
葉書を透明なポリエチレン封筒に入れてナイロンひもで流れ藻に装着
見つけた人は、情報を書き込んで葉書を送付 葉書に番号が付いていて、どこで放流したのかがわか
る 797枚放流して191枚回収、そのうち洋上回収は82枚、
他は漂着物からの回収(1964) 82枚中76枚はモジャコ漁業によるもの(1964)
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放流から回収までの 経過日数と移動距離 1日10海里前後 薩南は比例関係で移動
距離が早い 土佐湾以東での移動は
少ない 宮崎北部~高知、豊後
水道は短いもの、長いもの
環流域で停滞するかどうかに依存
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モジャコ漁業による 標識流れ藻の回収率
①薩南海域 ②宮崎県南部 ③宮崎県北部 ④豊後水道 ⑤足摺岬西 ⑥土佐湾 ⑦室蘭岬東 ⑧潮岬西 ⑨熊野灘
③、⑤、⑦で回収率が高い→漁獲率が高い
①→③、②③→⑤、⑤→③④への移動
⑥⑦⑨では、移動が少ない ①②では、海区内での回収が少
ない→環流がないので移出 ③⑤放流魚の回収率が高い→
環流で漁場を往復
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漁獲率の推定
平均経過日数
流出
標識脱落
漁獲による回収
流れ藻の数
放流数
:::
:::0
cm
T
T
tDMFNN
cmtDMF /1=++
( ){ }tDMFNN TT ++−= exp0
( ){ }tDMFNc T ++−= exp0
( )cmT tNCF 0=
0TNDMF
FC++
=
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データ解析結果
日169.091.51 ==++ DMF
足摺岬西の例
91.5=cmt810 =TN 11=C
( ) 023.091.581110 =×== cmT tNCF
126.0020.0023.0169.0 =−−=D
94.7126.01: =平均滞留日数
020.0=M (図7-7から)
183.094.7023.0 =×≈漁場内の漁獲率
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海域別解析
足摺岬西での漁獲 15%以上 豊後水道や宮崎県での漁獲も含めると30%が漁獲された
漁獲率は、宮崎北部~足摺岬で高く(30~40%)、徳島沖18%、熊野灘14%
モジャコが全て流れ藻に付いていることを仮定(流れ藻だけでの推定は過大評価のおそれ)
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