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情報財の情報財の価格決定メカニズム価格決定メカニズム
情報産業・職業論 六 情報産業・職業論 六
講演料はどう決まる講演料はどう決まる ?? 私の直近の講演料の実績は「 0
円~ 30 万円」1. 高い人は 1 時間 100 万円超2. 交通費・宿泊代などは別途3. 「 0 円」で受ける人・断る人
講演者としての「格」や知名度 主催者の支払い能力 参加者 ( 聴衆 ) の動員力
原稿料はどう決まる原稿料はどう決まる ?? 新聞社・出版社で規定の原稿料
1. 著者の「格」によって大まかなランク分け2. 雑誌の場合, 400 字 5 枚 (2000 字 ) で約 1 万円
が相場 ? ビジュアル誌の場合は 1 ページ n 万円 出版印税は定価の 10 %が基本
1. 最近は「実売分」のみで計算も2. 学術著書の場合,買い取り,著者による経費の
補助が前提で,印税 0 のケースも3. 一部の人気作家は 12 ~ 15 %の印税率
工業商品=万人に一定の使用価値( 希望小売価格 or 定価 ) 。需要と供給の均衡による価格決定
情報商品=一人ひとり異なる価値( お布施理論 : 梅棹忠夫 ) 。 0 円~∞円。需要の競争による価格決定( 例 : オークション )
ブランド品はその中間的存在。使用価値よりも“記号的価値”を評価
情報には,秘匿―公開,有償 ( 市場価値あり )― 無償 ( 市場価値なし ) の軸
有償型有償型情報情報 無償型無償型情報情報
秘匿型秘匿型情報情報
ノウハウ型情報ノウハウ型情報 (( 特特許・秘技許・秘技…… ))
プライバシー型情報プライバシー型情報(( 個人情報個人情報 ))
公開型公開型情報情報
アウラ型情アウラ型情報報
広告型情報広告型情報 公共型情報公共型情報学術型情報学術型情報
名和小太郎 (1988)
需要 (D) ・供給 (S) の均衡点で価格 (P) は決定
欠品状態。取引価格は上昇
価格は下落に向かう ( 値崩れ )
劇場・スタジアムの客席数に限界(供給量が一定)
「発売即完売」など需要は超過(正価より高くても購入するユーザーの存在)
都合が悪くなっても払い戻せない慣習ダフ行為=都道府県迷惑防止条例違反。会場周辺でのつきまとい。暴力団による仕切り・資金源に
需要と供給の均衡ではなく,「需要の競争」(誰がより強く欲しいと思うか)によって,落札価格が決定する
供給量が稀少な物(レア物)で需要が高い物は落札額が高騰
万人は見向きもしないのに,特定の少数者だけが価値を見出し,落札額を競り合う
物財としての「情報」物財としての「情報」 情報が「有体物」というモノに固定されている場合,諸事情で供給量に限界がある場合,情報の価格決定メカニズムは,「有体物」として「需要と供給の均衡理論」で説明できる場合が多い
では,完全に「無体物」の場合はどうか ?
お経の価値→受容する人によって百人百様 (“ 相場”はあるが ) 。「寸志」で自分なりの対価を表現
アウラ ( いま・ここにいるという権威性 )への対価
坊さんの格 ×檀家の格の係数で決まり,坊さんが提供する情報量 ( お経の長さ ) や労働時間とは無関係
梅棹忠夫「情報産業論」
死生観・世界観という「人生とこの世」についての解釈(インテリジェンス /学問と地続き)を独占
冠婚葬祭の主宰者の地位を独占儀式・説法などを通じて,信者から喜捨(報酬)を得て,宗教活動を維持・発展させる
パーティウェア= ( 原義はパーティを開く )→対価を明示しないオンラインソフト。自分が評価した使用価値に見合う料金を振込み ( カンパウェア )
マイクロペイメント=Webを閲覧した人が少額の「投げ銭」をする
托鉢 (喜捨 ) の現代化
フリーの旋風フリーの旋風デジタルのものは,遅かれ早かれ無
料 (フリー ) になるフリーと競争できるように,コスト
は限りなく「ゼロ」に近づける しかし,フリーからもお金儲けはできる
フリーになると,別のもの ( 例 : 時間 ) の価値が高まる
フリーのビジネスモデルフリーのビジネスモデル アド・サポーテッド 直接的内部相互扶助三者間市場
1. ある顧客グループが別の顧客グループの費用を負担する
フリーミアム1. 一部の有料顧客が他の顧客の無料分の負担をする
フリーミアムフリーミアム 無料 (フリー ) と有料の使い分け
1. 時間制限 ( 例 :30日間は無料,その後は有料 )
2.機能制限 ( 例 : 基本機能は無料,機能拡張版は有料〈プレミアム会員〉 )
3. 人数制限 ( 一定数は無料,それ以上は有料 )
4.顧客のタイプによる制限 ( 例 : 学生 /女性は無料,企業 / 男性は有料 )
非貨幣市場非貨幣市場 「貨幣」を媒介としない,情報
の流通形態もある ( 「お布施」も本来は非貨幣市場 )
贈与経済1.ギブアンドテイクで相互に保有するも
のを交換し,価値を相殺する 無償労働 (ボランティア )
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