20121003

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天文学概論(第2回)

太陽系 1~多様な惑星たち~

東京工業大学 佐々木貴教

太陽系1 ~多様な天体たち~

・太陽系の構成メンバーの紹介・各天体(惑星, 衛星など)の特徴のまとめ

次回:太陽系2 ~最近のトピック~・冥王星が惑星から外れた経緯・月を作った巨大天体衝突・最新の太陽系探査・生命を宿す惑星や衛星を探そう

太陽系の構成メンバーの紹介

太陽系の構成メンバー

地球型惑星  水星  金星  地球  火星

巨大ガス惑星   木星   土星

巨大氷惑星  天王星  海王星

各天体の軌道

隕石の母天体短周期彗星の巣

さらに遠くまで広がる太陽系

「オールトの雲」

長周期彗星の巣

=天文単位(AU)太陽から地球までの距離(約1億5000万km)

太陽系の代表的な衛星たち

各天体の特徴のまとめ

太陽

太陽・典型的なG2V型の主系列星・太陽系質量の99.9%を占める・半径:69万6000km(地球の109倍)・質量:2.0×1030kg(地球の33万倍)・表面温度:6000℃(中心では1500万℃)・主成分:水素73.5%, ヘリウム25%・中心核では, 水素の熱核融合反応が進行・コロナからは太陽風が吹き出している

主に水素からなる中心核を持つ

太陽系の構成メンバー

地球型惑星  水星  金星  地球  火星

巨大ガス惑星   木星   土星

巨大氷惑星  天王星  海王星

水星 金星 地球 火星軌道長半径 [AU] 0.39 0.72 1.00 1.52

公転周期 [年] 0.241 0.615 1.000 1.881

質量 [地球 = 1] 0.055 0.82 1.00 0.11

半径 [km] 2440 6052 6378 3396

密度 [kg/m3] 5430 5240 5520 3930

衛星の数 0 0 1 2

地球型惑星の性質

地球型惑星の内部構造

水星

地殻マントルコア

火星地球 月金星

固体の内核液体の外核

コア?

水星

水星・太陽系で最も小さな惑星・太陽からの距離:0.38AU・半径:2440km(地球の0.38倍)・質量:3.3×1023kg(地球の0.055倍)・温度:-183℃(夜)~427℃(昼)・月に似たクレーターに覆われた地形・巨大な金属核を持っている・磁場を持っている(成因は未だ不明)

水星のクレーター 月のクレーター

クレーター:隕石の衝突によって作られる凹状の地形

水星の表面地形

金星

金星・太陽からの距離:0.723AU・半径:6052km(地球の0.95倍)・質量:4.9×1024kg(地球の0.815倍)・温度と気圧:460℃, 90気圧・大気成分:二酸化炭素96.5%, 窒素3.5%  → 強烈な温室効果が働いている・スーパーローテーションという強い風・自転の向きが他の惑星とは逆回転

金星表面の地形図

約5億年前に金星全体を覆う溶岩の噴出?

金星大気のスーパーローテーション

4日で金星を一周する高速の風が吹いている(風速 360km/h:自転の約60倍の速度)

原因は未だ解明されておらず, 金星の謎の一つ

地球

地球

・太陽からの距離:1億4960万km(1AU)・半径と質量:6378km, 6.0×1024kg・大気成分:窒素78%, 酸素21%・太陽系で唯一プレートテクトニクスが存在・磁場を持っている(→オーロラが存在)・太陽系で(おそらく)唯一生命が存在

地球の内部構造

内核(固体)

外核(液体)

下部マントル上部マントル地殻地表

Fe + Ni の合金}

}かんらん岩, 輝石

}玄武岩, 花崗岩

地表:複数のプレートが存在

月・人類が降り立った唯一の地球外天体・地球からの距離:38万4400km・半径:1737km(地球の0.27倍)・質量:7.3×1022kg(地球の0.012倍)・地球に常に同じ面を向けている・表面は無数のクレーターに覆われている

表 裏

火星

火星・太陽からの距離:1.52AU・半径:3394km(地球の0.53倍)・質量:6.4×1023kg(地球の0.11倍)・温度と気圧:-63℃, 0.006気圧・大気成分:二酸化炭素95%, 窒素3%・水と二酸化炭素の氷から成る極冠・南北半球で大きく異なる地形の特徴・過去に水が流れたと思われる地形がある

火星の風景

火星の南北非対称地形・極冠

南極 北極

過去に水が流れた跡?

現在も地下に水が存在する可能性

1999年 2005年新しい崩れ「ガリー」の発見成因はまだ不明(地下水?)

火星の表面を削ったところ水の氷が一部に現れた

太陽系の構成メンバー

地球型惑星  水星  金星  地球  火星

巨大ガス惑星   木星   土星

巨大氷惑星  天王星  海王星

木星 土星 天王星 海王星

軌道長半径 [AU] 5.2 9.6 19.2 30.1

公転周期 [年] 11.86 29.46 84.02 164.7

質量 [地球 = 1] 317.8 95.2 14.5 17.2

半径 [km] 71490 60270 25560 24760

密度 [kg/m3] 1330 690 1270 1640

衛星の数 49 53 27 13

巨大ガス惑星・氷惑星の性質

巨大ガス惑星・氷惑星の内部構造

木星 土星 天王星 海王星

地球

水素分子

金属水素

水素・ヘリウム・メタンガス

マントル(水・アンモニア・メタン氷)

コア(岩石・氷)

木星

木星・太陽系で最も大きな惑星・太陽からの距離:5.2AU・半径:71492km(地球の11.2倍)・質量:1.9×1027kg(地球の318倍)・主に水素とヘリウムから成るガス惑星・表面に大きな渦(大赤斑)が見られる・4つの大きな衛星(ガリレオ衛星)を持つ・強力な磁場を持つ

刻々と変化する大赤斑

地球2~3個分高気圧性の渦

350年以上存在している

ガリレオ衛星

イオ

エウロパ

ガニメデ

カリスト

イオには活発な火山活動が存在

木星や他のガリレオ衛星からの潮汐力がエネルギー源か?

エウロパには地球外生命の可能性?

内部に液体(状)の水を持つ

生命が存在するかも!?

表面の氷には無数のひび割れが存在

外側の巨大な2衛星

半径:2631km太陽系最大の衛星

半径:2400km内部が未分化な衛星

ガニメデ カリスト

土星

土星・太陽からの距離:9.6AU・半径:60268km(地球の9.4倍)・質量:5.7×1026kg(地球の95倍)・主に水素とヘリウムから成るガス惑星・太陽系で最も密度が小さい惑星・明確に見える環(リング)を持つ(※他の巨大惑星も薄い環を持っている)・巨大な衛星タイタンを持つ

土星の環(リング)

発見されている環(内側から順に)D環, C環, B環, A環, F環, ヤヌス / エピメテウス環, G環, E環, パレネ環

環は氷と塵の粒子から成る

土星の潮汐力 > 自己重力のために破壊が卓越する

衛星タイタン

液体メタンの湖が存在表面には石や氷塊

衛星エンケラドス

氷粒と水蒸気からなる間欠泉 “Tiger Stripes”液体の水・有機炭素・窒素が存在

太陽系の構成メンバー

地球型惑星  水星  金星  地球  火星

巨大ガス惑星   木星   土星

巨大氷惑星  天王星  海王星

天王星・海王星

天王星・海王星

・太陽からの距離:19.2AU・半径:25559km(地球の4倍)・質量:8.7×1025kg(地球の14.5倍)・自転軸が黄道面に対して横倒し

・太陽からの距離:30AU・半径:24764km(地球の3.9倍)・質量:1.0×1026kg(地球の17倍)・表面に大きな渦(大暗斑)が見られた

天王星

海王星

天王星の自転軸が横倒し

以前は自転軸は直立していたかもしれない他の天体の衝突によって横倒しになった?

消えた海王星の大暗斑

1989年ボイジャー2号によって発見

1994年ハッブル宇宙望遠鏡の観測では消滅

成因や消滅の原因は未解明

太陽系の構成メンバー

地球型惑星  水星  金星  地球  火星

巨大ガス惑星   木星   土星

巨大氷惑星  天王星  海王星

小天体(小惑星, 太陽系外縁天体, オールトの雲)

小惑星

メインベルト小惑星 火星と木星の間に存在トロヤ群小惑星 木星の軌道上に存在発見された数は40万個を超える

地球に降ってくる隕石の母天体だと考えられている

太陽系外縁天体(エッジワース・カイパーベルト天体)

海王星の外側に散在 冥王星もその一部

短周期彗星(P<200年)の巣だと考えられている

オールトの雲

長周期彗星(P≧200年)の巣だと考えられている

太陽系を球殻状に取り巻く仮想的な天体群太陽から1万~10万AUに1×1012個ほどの天体?

現在は状況証拠のみで仮説の域を出ない存在

彗星

彗星

ダストテイル(塵の尾)

イオンテイル(イオンの尾)

核:氷と塵が混ざった塊コマ:核を覆う薄いガス尾:太陽からの放射圧と  太陽風により形成

太陽系初期の情報を保持

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