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2013年11月30日 公益社団法人インダストリアルデザイナー協会(JIDA) JIDA東日本ブロック プロセス委員会主催 ローカリゼーションマップ勉強会にて講演 http://www.jida.or.jp/site/information/dp_20131114 http://milano.metrocs.jp/archives/5957
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Copyright © Masaya Ando
千葉工業大学 デザイン科学科 Chiba Institute of Technology Department of Design
安藤 昌也 [email protected]
2013年11月30日
安藤昌也さんのUX論 ~利他的な『私』
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1
安藤 昌也 ANDO Masaya, Ph.D.
千葉工業大学 工学部 デザイン科学科 准教授
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。NTTデータ通信(現、NTTデータ)を経て、1998年 アライド・ブレインズ株式会社の取締役シニアコンサルタント。早稲田大学、国立情報学研究所、産業技術大学院大学など経て、2011年より現職。博士(学術)。専門は、人間中心デザイン。UX(ユーザ体験)の研究者。 人間工学ISOの国内委員、人間中心設計推進機構 (HCD-net)理事を務める。 認定人間中心設計専門家 / 認定専門社会調査士
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2
“安藤昌也さん”はUXの研究をしています
(出所:”DX. Univ.”, http://dx.24-7.co.jp/ux_share/)
ありがたいですが
とても恥ずかしいですw
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3
私のコンサル時代=“ユーザを理解し翻訳する仕事”
Workの現場を を観る
ユーザの利用環境を を観る
消費者・ユーザの意識 価値観を理解する
ユーザの利用状況 を理解する
とにかく 現場のユーザを観よ!
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4
UX
user experience
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5
UX
user experience
本質的な顧客の経験価値を いかに総合的に実現するか 顧客の経験価値
UXD
user experience design
総合的に
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6
(2013年11月29日)
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7
UXデザインによるビジネス成功例の増加
国内においてもUXを考慮したアプリケーションが、これまでにないビジネス展開のコアとなる事例も出ている。
日本交通(株)「全国タクシー配車」(2011~)の例
ユーザーの体験価値の探索
価値を実現するアプリの制作
いわゆる通常の 体験価値を軸としたUXDの範囲
提携事業者の拡大努力
・90万ダウンロード ・アプリ経由売上15億円 ・35都道府県・65万台
UXDを軸としたビジネス展開
プロダクトのUXDだけで、利益を考えようと すると結局失敗するのは確実
2013/5時点
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8 8
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UXとは何か?
1
現在の研究領域でコンセンサスを得ている考え方
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9
“ユーザーエクスペリエンス”~ ISO9241-210
ユーザーの反応
(1) UXは、製品やシステム、サービスの使用前から使用中、そして使用後という、利用体験の時間の流れの中で、ユーザーが感じる様々な反応や認識する価値である
(2) UXは、製品・システムやサービスの特性(ブランドイメージ、外観、機能、性能など)だけではなく、ユーザーの内的状態(態度、スキル、パーソナリティ)および利用の文脈によって影響される
(参考:ISO9241-210)
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Dr. マーク・ハッセンツァール
HassenzahlのUXフレームワーク(Hassenzahl, 2003)
Hassenzahlは、UXを知覚品質として捉え、実用的品質と快楽的品質の2つが、魅力評価に影響するとした。
ユーザー
デザイナー
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UXの源泉としてのHedonic Quality
Pragmatic Quality (実用的品質)
–ユーザの目的の達成をいかに容易に実現するか
Hedonic Quality (快楽的品質)
–ユーザが感じる信頼感、有能感、刺激を得たいという気持ち、人気を得たいという気持ち
人間の本質的な欲求に、どれだけ応えることができたか
C.f. フロー体験(没入感) (Cskszentmihalyi, 1975)
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時間の観点から捉える
UXは、時間の観点捉えることが重要。ユーザーは、それぞれ、異なる評価基準で体験を評価する。
(出所:2011年2月:User Experience White Paper, HCD Value: “UX白書の翻訳と概要”資料)
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13 13
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“安藤昌也さん”のUX研究
2
研究の原点と基本モデル
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忘れられない2つの言葉
ぜんぜん使えなかったのに、
「これはいい。買ったら使うと思う」
と応えた年配の男性
2機種の操作性の優劣について尋ねたら、
「すぐに使えるということと、
慣れれば使えるのは、別のことです」
と言い、慣れが必要な製品を選んだ若者
なぜ使えなくても“いい”というのか? すぐに使えるより、慣れればいいと思うのはなぜか?
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二人の言葉の背景にあるもの
自分が買って本当に使う時は
使ってみたい。使い方は
おいおい覚えればいい
自分が買って本当に使う時は
操作は効率よくやれたほうがいい。
多少難しくても、慣れればいい
“本当に使う時は”
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私自身の経験
インターフェースは
ありえないほど使いにくい
2004年ごろのノキアのスマートフォン
コミュニティで情報交換したりして慣れた
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安藤の研究 ~インタラクティブ製品を対象にして
■博士研究時代の成果
① ユーザは長く製品を使う間に、どんな風に製品を評価していくのか?
② 長期の製品利用ユーザの製品評価は、短期利用ユーザとどう違うか?
③ 製品評価に影響を与えうるユーザの心理要因とは何か?
④ ユーザの心理要因の違いによって、製品評価はどう変わるのか?
“長期にわたって利用する”ことを研究していくと ユーザの「使う意欲」をいかに高め・維持するかが
極めて重要であることがわかった
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身の回りにあるUX
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実利用体験とユーザー心理
すごいニコニコ
使ってる感いっぱい
“日立いいわ”
実利用体験では、一時的な操作の達成度よりも 製品利用の意欲が重要
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20
実利用の評価を左右する心理的要因
インタラクティブ製品の評価は、ユーザーの“利用意欲”に左右される。この利用意欲は、2つの要因で構成される(安藤, 2008)。
製品ジャンルへの
興味・知識 操作することへの
積極性・自信
製品関与(PI) 自己効力感(SE)
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利用意欲が製品評価に及ぼす影響
自己効力感
2波パネルデータの交差遅れ効果モデルによる因果推定結果
(安藤 2010)
製品関与
主観的ユーザビリティ評価
ブランド・イメージ
使う喜び
不満感
愛着感
UX評価因子
.10*
.09+
.16***
.17***
.19***
(** *p <.001, + p <.10)
PQ
PQ
HQ
HQ
HQ
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利用意欲が製品評価に及ぼす影響
自己効力感:
– 「主観的ユーザビリティ」のみに影響
• 自己効力感は、インタラクティブ製品の利用や仕組みの理解に関連するもの。
• 「主観的ユーザビリティ評価」は、自己効力感に左右される。
製品関与:
– 「不満感」、「主観的ユーザビリティ」を除く、各因子に強く影響
• 製品関与は、対象製品と自己価値との関連性に関するもの。
• 製品を利用した印象に関する評価は、ほとんど製品関与度に左右される。
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操作の自信度
対象製品への興味度
ユーザ分類の観点から:SEPIA分析法
“意欲”という観点で捉えると、UXを把握・議論しやすい (安藤, 2008)
“意欲”という観点でUXを捉え 製品の利用体験を導いていくという発想が重要となる
冷静・合理的
ユーザ
ミニマム利用
ユーザ
高
低
高低
自己効力感(SE)
製品関与(PI)
マニア
ユーザ
期待空回り
ユーザ
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二人の言葉を解釈すると
自分が買って本当に使う時は
使ってみたい。使い方は
おいおい覚えればいい
自分が買って本当に使う時は
操作は効率よくやれたほうがいい
多少難しくても、慣れればいい
自己効力感:低
製品関与:高
自己効力感:高
製品関与:高
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ユーザー体験の構造 ~メンタルモデル精緻化仮説(安藤, 2011)
UXは、ユーザーの生活における意味=経験価値が、様々なタッチポイントで形成されていく。
利用 エピソード
ユーザーにとっての製品意味・位置づけ
経験価値
時間
理解 意欲 理解 意欲 理解 意欲
利用 エピソード
利用 エピソード
利用 エピソード
強化
意欲 (期待)
調整
タッチポイント タッチポイント タッチポイント タッチポイント
・・・
(メンタルモデル精緻化仮説, 安藤,2011)
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経験価値とUXD
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27
UXから抽出した体験価値とUXDを整合させる構造
ユーザーの 日常の実践
既存ビジネス ドメイン
ビジネス提供 価値の
リフレーミング
ユーザー体験 価値の抽出
個別訪問による 宅配便ビジネス
故障機器の修理依頼はたらい回しされて面倒
保証書どこかにいってしまって連絡先わからず
人と人、人と組織の間を個別に取り持てる
人と人、人と組織の面倒なやりとりを任せられる価値
クロネコヤマトのメンテナンス支援ビジネスの例
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UXから抽出した体験価値とUXDを整合させる構造
ユーザーの 日常の実践
既存ビジネス ドメイン
ビジネス提供 価値の
リフレーミング
ユーザー体験 価値の抽出
個別訪問による 宅配便ビジネス
故障機器の修理依頼はたらい回しされて面倒
保証書どこかにいってしまって連絡先わからず
人と人、人と組織の間を個別に取り持てる
人と人、人と組織の面倒なやりとりを任せられる価値
ビジネスのコアコンピタンスをユーザー体験の 視点で捉え直し体験価値を絞り込むことが重要
クロネコヤマトのメンテナンス支援ビジネスの例
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経験価値を最大化するビジネス発想力
ユーザーが最も経験価値を実感できるシーンを検討することは、最適なビジネスモデルを検討することでもある。
手料理の店 手料理のパーティー 出張サービス
ホスピス専門 出張手料理サービス
自分の好みや健康状態に合わせた手料理を 味わえる価値
普通の発想 UX的発想 経験価値最大化の発想
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一つの疑問
自分が道具をうまく使えること だけを考えていていいのか?
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“誰かに助けてもらって使う”ハードディスクレコーダー
自己効力感の低い人ほど、身近に手助けしてくれる人の存在がある。
身近に機能や操作について手助けしてくれる存在の有無
(安藤, 2009) UXという観点で見た時、一人のユーザーの体験ではなく
周囲との社会性の中に製品がありそして体験がある
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SEPIAの観点でみた“誰かと一緒のUX”
「冷静・合理的ユーザー」を助け手として織り込んだ、製品やサービスは作れないのだろうか?
冷静・合理的
ユーザ
ミニマム利用
ユーザ
高
低
高低
自己効力感(SE)
製品関与(PI)
マニア
ユーザ
期待空回り
ユーザ
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誰かを助けたくなるデザイン 利他的UX
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利他的行為にはどんなものがあるのか?(安藤・田中, 2013)
大学生12名による利他的行為のブレインストーミングの結果。対象者の親密さと利他的意識に関係性が読み取れる。
やってあげる系
わけてあげる系
譲ってあげる系
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日常的な利他的行為の種別 (安藤・田中, 2013)
やってあげる
わけてあげる
譲ってあげる
マナー・秩序を 守る
やり手が受け手より能力を発揮できる状況にあり、やり手自身の行為によって実現するもの
やり手が受け手より価値ある物や財、権利をコントロールできる状況にあり、やり手がそれを譲渡することによって実現するもの
やり手が受け手より、支援が必要な状態と認識される状況にあり、やり手がすでに行使している公共財等の使用を中止し、譲ることによって実現するもの
受け手が明確でないが、一般的な社会のマナーや秩序を守ること
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人は誰かをどうやって助けているか?
利他的行為には、対象者を知覚した上で、共感的配慮に基づく利他的動機づけが必要となる。
Batson(2010)の利他的動機づけ理論の全体像
インタフェース技術によって 利他的動機付けを高められる方法があるのではないか
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外在的 内在的
自己志向 経済的価値 快楽的価値
他者指向 社会的価値 利他的価値
(Holbrook(2006)
消費価値の側面から考えるこれからのUXD
これからのUXDの鍵は“役割のデザイン”である。
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外在的 内在的
自己志向 経済的価値 快楽的価値
他者指向 社会的価値 利他的価値
(Holbrook(2006)
消費価値の側面から考えるこれからのUXD
これからのUXDの鍵は“役割のデザイン”である。
外在的 内在的
自己志向 経済的価値 快楽的価値
役割志向 共有する価値 参画する価値
他者指向 社会的価値 利他的価値
(Holbrook(2006)を基に安藤(2013)加筆)
現在のUXの方向性
社会的・利他的UXの方向性
ソーシャルシフト
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これからのUXDのキーワード
役割の リ・デザイン
利他的UX 社会的UX
助けてあげる存在としてのユーザー 社会資源最適化のためのリソースとしての市民
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“安藤昌也さん”は UXを研究して何をしたいのか?
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「三つ子の魂、百まで」
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人生で一番最初につくった一番大きなもの “おみこし(写真がない・・・) ”
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ものの制作プロセスへの興味
雑誌でみた、ひな人形の制作プロセスにくぎ付けになった。「そうか、別々に作るのかー」と知り、まずやってみる。
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ものの制作プロセスへの興味
雑誌でみた、ひな人形の制作プロセスにくぎ付けになった。「そうか、別々に作るのかー」と知り、まずやってみる。
みんなで作ったものはすごく大事な宝物
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新入社員時代からやっていることは今と全く同じ
(1997年7月9日プレゼン資料) フィールドワークからパートと顧客のインサイト をモデル化し効率的なシステム戦略を提案
現在のリコモン
(1999年の安藤の提案)
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プレゼンテーションに関するお問い合わせ
安藤研究室は、総武線津田沼駅3分の千葉工業大学津田沼キャンパスにあります。
お近くにお寄りの際はぜひ!
安藤個人宛 連絡先
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