19
数学A advance 1 章「場合の数と確率」 1 (教科書 p.8) 要素の個数が有限である集合を( 1 有限集合 )といい,要素の個数が有限ではない集合 を( 2 無限集合 )という。たとえば,100 以下の自然数全体の集合は有限集合であり,自然 数全体の集合は無限集合である。 有限集合 の要素の個数を( 3 ሺሻ )で表す。 空集合 は要素をもたないから,ሺ∅ሻ ൌ 0 である。 ൌ ሼ| 12 の正の約数とするとき, ൌ ሼ1, 2, 3, 4, 6, 12ሽ であるから, ሺሻ ൌ 6 ൌ ሼ| 27 の正の約数とするとき,ሺሻ を求めよ。 ൌ ሼ13927ሽ であるから,ሺሻ ൌ 4 である。 (教科書 p.8) 有限集合 の和集合 の要素の個数を考えてみよう。 ሺሻ ൌ ሺሻ ൌ ሺ ∩ ሻ ൌ とすると,右の図からわかるように ሺ ∪ ሻ ൌ ሺ െ ሻ ሺ െ ሻ したがって,ሺ ∪ ሻ ሺ ∪ ሻ ൌ ሺሻ ሺሻ െ ሺ ∩ ሻ となる。 とくに,∩ൌ∅ のときは ሺ ∪ ሻ ൌ ሺሻ ሺሻ が成り立つ。 以上をまとめると,次のようになる。 和集合の要素の個数 ∪ ሻ ൌ ሺሻ ሺሻ െ ሺ ∩ ሻ とくに,∩ൌ∅ のとき ∪ ሻ ൌ ሺሻ ሺሻ 100 以下の自然数のうち,4 の倍数または 6 の倍数である数の個数を求めよ。 100 以下の自然数全体の集合を とする。 の要素のうち,4 の倍数全体の集合を 6 の倍数全体の集合を とすると ሼ4 ∙ 1, 4 ∙ 2, 4 ∙ 3, … , 4 ∙ 25ሽ ሼ6 ∙ 1, 6 ∙ 2, 6 ∙ 3, … , 6 ∙ 16ሽ また,4 6 の公倍数の集合,すなわち,12 の倍数の 集合であるから ∩ൌ ሼ12 ∙ 1, 12 ∙ 2, 12 ∙ 3, ⋯ , 12 ∙ 8ሽ よって ሺሻ ൌ25 ሺሻ ൌ16 ሺ ∩ ሻ ൌ8 4 の倍数または 6 の倍数である数全体の集合は であるから,求める個数は ሺ ∪ ሻ ൌ ሺሻ ሺሻ െ ሺ ∩ ሻ 25 16 െ 8 ൌ 33 () 200 以下の自然数のうち,6 の倍数または 8 の倍数である数の個数を求めよ。 200 以下の自然数全体の集合を とする。 の要素のうち,6 の倍数全体の集合を 8 の倍 数全体の集合を とすると ൌ ሼ6 ∙ 1, 6 ∙ 2, 6 ∙ 3… , 6 ∙ 33ሽ ൌ ሼ8 ∙ 1, 8 ∙ 2, 8 ∙ 3… , 8 ∙ 25ሽ また,は,6 8 の公倍数の集合,すなわち,24 の倍数全体の集合であるから ∩ ൌ ሼ24 ∙ 1, 24 ∙ 2, 24 ∙ 3… , 24 ∙ 8ሽ よって ሺሻ ൌ 33ሺሻ ൌ 25ሺ ∩ ሻ ൌ 8 6 の倍数または 8 の倍数である数全体の集合は A∪B であるから,求める個数は ሺ ∪ ሻ ൌ ሺሻ ሺሻ െ ሺ ∩ ሻ 33 25 െ 8 ൌ 50 () 場合の数 1 集合の要素の個数 和集合の要素の個数 問1 問2 例題

場合の数 1...aab,aac,aba,abb,abc,aca,acb, baa,bab,bac,bba,bbc,bca,bcb caa,cab,cba,cbb の 18 通りである。 2 樹形図と場合の数 個数の数え方 問5 問6 例2 数学A

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  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    1

    (教科書 p.8)

    要素の個数が有限である集合を(1 有限集合 )といい,要素の個数が有限ではない集合

    を(2 無限集合 )という。たとえば,100 以下の自然数全体の集合は有限集合であり,自然

    数全体の集合は無限集合である。

    有限集合 𝐴 の要素の個数を(3 𝑛 𝐴 )で表す。

    空集合 ∅ は要素をもたないから,𝑛 ∅ 0 である。

    𝐴 𝑥|𝑥 は 12 の正の約数 とするとき,𝐴 1, 2, 3, 4, 6, 12 であるから,

    𝑛 𝐴 6

    𝐴 𝑥|𝑥 は 27 の正の約数 とするとき,𝑛 𝐴 を求めよ。

    𝐴 1,3,9,27 であるから,𝑛 𝐴 4 である。

    (教科書 p.8)

    有限集合 𝐴,𝐵 の和集合 𝐴 ∪ 𝐵 の要素の個数を考えてみよう。

    𝑛 𝐴 𝑎,𝑛 𝐵 𝑏,𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑐

    とすると,右の図からわかるように

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑎 𝑐 𝑐 𝑏 𝑐

    𝑎 𝑏 𝑐

    したがって,𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 は

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵

    となる。

    とくに,𝐴 ∩ 𝐵 ∅ のときは

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵

    が成り立つ。

    以上をまとめると,次のようになる。

    和集合の要素の個数

    𝒏 𝑨 ∪ 𝑩 𝒏 𝑨 𝒏 𝑩 𝒏 𝑨 ∩ 𝑩

    とくに,𝐴 ∩ 𝐵 ∅ のとき

    𝒏 𝑨 ∪ 𝑩 𝒏 𝑨 𝒏 𝑩

    100 以下の自然数のうち,4 の倍数または 6 の倍数である数の個数を求めよ。

    100 以下の自然数全体の集合を 𝑈 とする。𝑈 の要素のうち,4

    の倍数全体の集合を 𝐴,6 の倍数全体の集合を 𝐵 とすると

    𝐴 4 ∙ 1, 4 ∙ 2, 4 ∙ 3, … , 4 ∙ 25

    𝐵 6 ∙ 1, 6 ∙ 2, 6 ∙ 3, … , 6 ∙ 16

    また,𝐴 ∩ 𝐵 は 4 と 6 の公倍数の集合,すなわち,12 の倍数の

    集合であるから

    𝐴 ∩ 𝐵 12 ∙ 1, 12 ∙ 2, 12 ∙ 3, ⋯ , 12 ∙ 8

    よって

    𝑛 𝐴 ( 25 ),𝑛 𝐵 ( 16 ),𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ( 8 )

    4 の倍数または 6 の倍数である数全体の集合は 𝐴 ∪ 𝐵 であるから,求める個数は

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵

    25 16 8 33 (個)

    200 以下の自然数のうち,6 の倍数または 8 の倍数である数の個数を求めよ。

    200 以下の自然数全体の集合を 𝑈 とする。𝑈 の要素のうち,6 の倍数全体の集合を 𝐴,8 の倍

    数全体の集合を 𝐵 とすると

    𝐴 6 ∙ 1, 6 ∙ 2, 6 ∙ 3,… , 6 ∙ 33

    𝐵 8 ∙ 1, 8 ∙ 2, 8 ∙ 3,… , 8 ∙ 25

    また,𝐴 ∩ 𝐵 は,6 と 8 の公倍数の集合,すなわち,24 の倍数全体の集合であるから

    𝐴 ∩ 𝐵 24 ∙ 1, 24 ∙ 2, 24 ∙ 3,… , 24 ∙ 8

    よって

    𝑛 𝐴 33,𝑛 𝐵 25,𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 8

    6 の倍数または 8 の倍数である数全体の集合は A ∪ B であるから,求める個数は

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵

    33 25 8 50 (個)

    1 節 場合の数 1 集合の要素の個数

    和集合の要素の個数

    問1

    問2

    例 1

    1例題

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    2

    (教科書 p.10)

    全体集合を 𝑈 とし,その部分集合を 𝐴 とすると,𝐴 とその補集合 𝐴 は

    𝐴 ∩ 𝐴 ∅,𝐴 ∪ 𝐴 𝑈

    を満たすから

    𝑛 𝐴 𝑛 𝐴 𝑛 𝑈

    が成り立つ。

    したがって,次の等式が成り立つ。

    補集合の要素の個数

    𝑛 𝐴 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴

    100 以下の自然数のうち,8 の倍数ではない数の個数を求めよ。

    100 以下の自然数全体の集合を 𝑈 とすると

    𝑛 𝑈 100

    また,𝑈 の要素のうち,8 の倍数全体の集合を 𝐴 とすると

    𝐴 8 ∙ 1, 8 ∙ 2, 8 ∙ 3, … , 8 ∙ 12

    であるから

    ( 𝑛 𝐴 12 )

    となる。

    8 の倍数ではない数全体の集合は 𝐴 であるから,求める個数は

    𝑛 𝐴 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴

    100 12 88 (個)

    100 以下の自然数のうち,3 で割り切れない数の個数を求めよ。

    100 以下の自然数全体の集合を 𝑈 とすると

    𝑛 𝑈 100

    また,𝑈 の要素のうち,3 で割り切れる数全体の集合を 𝐴 とすると

    𝐴 3 ∙ 1,3 ∙ 2,3 ∙ 3,…,3 ∙ 33

    であるから

    𝑛 𝐴 33

    となる。

    3 で割り切れない数全体の集合は 𝐴 であるから,求める個数は

    𝑛 𝐴 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴 100 33

    67 (個)

    35 人の生徒のうち,野球が好きな生徒は 27 人,サッカーが好きな生徒は 25 人,どちらも

    好きな生徒は 20 人である。このとき,次の人数を求めよ。

    (1) どちらも好きでない生徒

    (2) サッカーは好きだが,野球は好きでない生徒

    生徒全体の集合を 𝑈 とする。𝑈 の要素のうち,野球が好きな生徒の集合を 𝐴,サッカーが好

    きな生徒の集合を 𝐵 とすると

    𝑛 𝐴 ( 27 ),𝑛 𝐵 ( 25 ),𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ( 20 )

    (1) どちらも好きでない生徒の集合は 𝐴 ∩ 𝐵 と表される。

    ド・モルガンの法則により

    𝐴 ∩ 𝐵 𝐴 ∪ 𝐵

    ここで

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵

    27 25 20 32

    よって,どちらも好きでない生徒の人数は

    𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴 ∪ 𝐵

    35 32 3 (人)

    (2) サッカーは好きだが,野球は好きでない生徒の集合は 𝐴 ∩ 𝐵

    と表される。

    したがって

    𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵

    25 20 5 (人)

    補集合の要素の個数

    問3

    2 例題

    3例題

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    3

    200 以下の自然数のうち,次のような数の個数を求めよ。

    (1) 6 でも 8 でも割り切れない数

    (2) 6 の倍数であるが,8 の倍数ではない数

    200 以下の自然数全体の集合をUとする。𝑈 の要素のうち,6 の倍数全体の集合を 𝐴,8 の倍数

    全体の集合を 𝐵 とすると

    𝑛 𝐴 33,𝑛 𝐵 25,𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 8

    (1) 6 でも 8 でも割り切れない数全体の集合は 𝐴 ∩ 𝐵 と表される。ド・モルガンの法則によ

    𝐴 ∩ 𝐵 𝐴 ∪ 𝐵

    ここで

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 50

    よって,6 でも 8 でも割り切れない数の個数は

    𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴 ∪ 𝐵

    200 50 150 (個)

    (2) 6 の倍数であるが,8 の倍数ではない数全体の集合は 𝐴 ∩ 𝐵 と表される。

    したがって

    𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵

    33 8 25 (個)

    問4

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    4

    (教科書 p.12)

    右の図は,目の和が 5 になるような A,B,C のさいころの目の

    数を書き出したものである。数え上げると,目の和が 5 になる場合

    は全部で 6 通りであることがわかる。このような図を

    (1 樹形図 )という。

    3 個のさいころ A,B,C を投げるとき,目の和が 7 になる場合は何通りあるか。

    樹形図をかいて調べる。

    よって,目の和が 7 になる場合は,全部で

    5 4 3 2 1 15 (通り)

    1,1,2,3 の 4 個の数字のうち,3 個を使ってつくることのでき

    る 3 桁の整数の個数を求めてみよう。百の位,十の位,一の位にど

    の数字を使うかを順に樹形図で表すと,右の図のようになる。

    よって,求める整数の個数は

    112, 113, 121, 123, 131, 132, 211, 213, 231, 311, 312,

    321

    の 12 個である。

    5 個の文字 a, a, b, b, c から 3 個の文字を選んで,1 列に並べる方法は何通りあるか。

    3 個の文字列について,どの文字を使うかを順に樹形図で表すと,図のようになる。

    文字列は

    aab, aac, aba, abb, abc, aca, acb,

    baa, bab, bac, bba, bbc, bca, bcb

    caa, cab, cba, cbb

    の 18 通りである。

    2 樹形図と場合の数

    個数の数え方

    問5 問6

    例 2

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    5

    (教科書 p.13)

    一般に,場合の数について,次の(2 和の法則 )が成り立つ。

    和の法則

    2 つの事柄 𝐴,𝐵 について,これらは 同時には起こらないとす

    る。𝐴 の起こり方が 𝑚 通り,𝐵 の起こり方が 𝑛 通りあるとき,

    𝐴 または 𝐵 の起こる場合の数は 𝒎 𝒏 通り である。

    大小 2 個のさいころを投げるとき,目の和が 5 以下の奇数となる場合の数を求めよ。

    大小 2 個のさいころの目を(大の目,小の目)で表すとする。

    目の和が 5 以下の奇数となる場合は

    和が 3 ⋯ 1, 2 , 2, 1

    和が 5 ⋯ 1, 4 , 2, 3 , 3, 2 , 4, 1

    のときで,いずれの場合も同時には起こらないから,和の法則により

    2 4 6 (通り)

    大小 2 個のさいころを投げるとき,目の和が 4 以下となる場合の数を求めてみよう。

    目の和が 2 になる場合,3 になる場合,4 になる場合の 3 つの事柄があり,これらは同時には

    起こらない。

    それぞれの起こり方は 1 通り,2 通り,3 通りである。よって,目の和が 4 以下となる場合の

    数は ( 1 2 3 6 (通り) )

    大小 2 個のさいころを投げるとき,目の積が 25 以上となる場合の数を求めよ。

    大小 2 個のさいころの目を(大の目,小の目)で表すとする。

    目の積が 25 以上となる場合は

    積が 25 ⋯ 5, 5

    積が 30 ⋯ 5, 6 , 6, 5

    積が 36 ⋯ 6, 6

    のときで,いずれの場合も同時には起こらないから,和の法則により

    1 2 1 4 (通り)

    (教科書 p.14)

    一般に,場合の数について,次の(3 積の法則 )が成り立つ。

    積の法則

    2 つの事柄 𝐴,𝐵 について,𝐴 の起こり方が 𝑚 通りあり,そのお

    のおのの起こり方に対して 𝐵 の起こり方が 𝑛 通りあるとき,𝐴,𝐵

    がともに起こる場合の数は 𝒎 𝒏 通り である。

    A,B,C の 3 つの町が右の図のような道で結ばれているとき,

    A から B を通って C へ行く行き方は何通りあるかを求めて

    みよう。

    A から B への行き方は 3 通りあり,そのおのおのに対して,

    B から C への行き方は 5 通りある。よって,A から B を通っ

    て C へ行く行き方は,積の法則により

    3 5 15(通り)

    ある喫茶店には,7 種類のケーキと 3 種類の飲み物がある。ケーキと飲み物をそれぞれ 1 種類

    ずつ選ぶとき,その選び方は何通りあるか。

    ケーキの選び方は 7 通りあり,そのおのおのに対して,飲み物の選び方は 3 通りある。

    よって,求める選び方は,積の法則により

    7 3 21 (通り)

    𝑎 𝑏 𝑥 𝑦 𝑧 を展開したとき,項は何個できるか

    𝑎 𝑏 𝑥 𝑦 𝑧 を展開したときの項は, 𝑎 𝑏 の 𝑎,𝑏 の中から 1 個, 𝑥 𝑦 𝑧 の 𝑥,𝑦,

    z の中から 1 個選び,掛け合わせたものである。また,同類項はできない。

    よって,求める項の数は,積の法則により

    2 3 6 (通り)

    和の法則 積の法則

    問7

    問8

    問9

    問 10

    例 3

    例 4

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    6

    大中小の 3 個のさいころを投げるとき,目の出方が何通りあるか求めてみよう。

    1 個のさいころに対して目の出方は 6 通りずつある。

    よって,積の法則により

    6 6 6 216 (通り)

    大中小の 3 個のさいころを投げるとき,すべての目が奇数になる場合は何通りあるか。

    1 個のさいころ対して奇数の目の出方は 1, 3, 5 の 3 通りずつある。

    よって,積の法則により

    3 3 3 27 (通り)

    72 の正の約数は何個あるか。

    72 を素因数分解すると

    ( 72 2 ∙ 3 )

    となる。ここで

    2 の正の約数は ( 1, 2, 2 , 2 )

    3 の正の約数は ( 1, 3, 3 )

    であり,2 の約数のおのおのに 3

    の約数のそれぞれを掛けると,72 の

    約数のすべてが得られる。

    ゆえに,72 の正の約数の個数は,

    積の法則により

    ( 4 3 12 (個) )

    次の数の正の約数は何個あるか。

    (1) 96

    96 を素因数分解すると

    96 2 ∙ 3

    となる。ここで

    2 の正の約数は 1, 2, 2 , 2 , 2 , 2

    3 の正の約数は 1, 3

    であり,2 の約数のおのおのに 3 の約数のそれぞれを掛けると,96 の約数のすべてが得

    られる。

    ゆえに,96 の正の約数の個数は,積の法則により

    6 2 12 (個)

    (2) 360

    360 を素因数分解すると

    360 2 ∙ 3 ∙ 5

    となる。ここで

    2 の正の約数は 1, 2, 2 , 2

    3 の正の約数は 1, 3, 3

    5 の正の約数は 1, 5

    であり,2 の約数のおのおのに 3 の約数のそれぞれを掛け,さらにそのおのおのに 5 の

    約数のそれぞれを掛けると,360 の約数のすべてが得られる。

    ゆえに,360 の正の約数の個数は,積の法則により

    4 3 2 24 (個)

    問 11

    問 12

    例 5

    4 例題 応 用

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    7

    (教科書 p.16)

    4 枚のカード から 2 枚取り出して

    1 列に並べる並べ方の総数を考えてみよう。

    1 枚目のカードの選び方は 4 通りある。

    2 枚目のカードは残りの 3 枚から選べばよいから,

    その選び方は 3 通りある。

    よって,並べ方の総数は,積の法則により次のよう

    になる。

    4 3 12(通り)

    5 枚のカード から 3 枚取り出して 1 列に並べる並

    べ方の総数を求めよ。

    1 枚目のカードの選び方は 5 通りある。

    2 枚目のカードは残りの 4 枚から選べばよいから,その選び方は 4 通りある。

    3 枚目のカードは残りの 3 枚から選べばよいから,その選び方は 3 通りある。

    よって,並べ方の総数は,積の法則により

    5 4 3 60 (通り)

    一般に,いくつかのものを順序を考えに入れて並べたものを(1 順列 )という。

    異なる 𝑛 個のものから,𝑟 個を取り出して並べる順列を

    (2 𝑛 個から 𝑟 個とる順列 )

    といい,その総数を(3 P )で表す。

    ここで, P を求めてみよう。

    異なる 𝑛 個のものから 𝑟 個とって並べるとき,並べるものの選び方は

    となる。したがって, P は積の法則により次のように書ける。

    順列

    P 𝑛 𝑛 1 𝑛 2 ⋯ 𝑛 𝑟 1 個

    異なる 6 個のものから 3 個とる順列の総数は

    P 6 ∙ 5 ∙ 4 個

    120

    次の値を求めよ。

    (1) P 5 ∙ 4 20

    (2) P 6 ∙ 5 ∙ 4 ∙ 3 360 (3) P 7 ∙ 6 ∙ 5 210

    P において,とくに 𝑟 𝑛 の場合は

    P 𝑛 𝑛 1 𝑛 2 ⋯ ∙ 3 ∙ 2 ∙ 1 ……①

    となる。これは

    “異なる 𝑛 個のものをすべて並べる順列の総数”

    である。①の右辺の 1 から 𝑛 までの整数の積を,

    𝑛 の(4 階乗 )といい,(5 𝑛! )で表す。すなわち

    (6 𝑛! 𝑛 𝑛 1 𝑛 2 ⋯ 3 ∙ 2 ∙ 1 )

    この記号を用いると,(7 P 𝑛! )となる。

    P 4! 4 ∙ 3 ∙ 2 ∙ 1 24

    P , P の値を求めよ。

    P 5! 5 ∙ 4 ∙ 3 ∙ 2 ∙ 1 120

    P 6! 6 ∙ 5 ∙ 4 ∙ 3 ∙ 2 ∙ 1 720

    0 𝑟 𝑛 のとき, P を階乗の記号を用いて表してみよう。

    P 𝑛 𝑛 1 𝑛 2 ⋯ 𝑛 𝑟 1

    ⋯ ⋯∙ ∙ ∙⋯∙ ∙ ∙

    であるから, P は階乗の記号を用いると次のように書ける。

    (8 P ! ! ) ……②

    ②において,𝑟 𝑛 とすると, P !! となるが, P 𝑛! である。

    そこで,②が 𝑟 𝑛 のときにも成り立つように,(9 0! 1 )と定める。

    さらに,②が 𝑟 0 のときにも成り立つように,(10 P 1 )と定める。

    10 人の選手の中から,リレーの第 1 走者,第 2 走者,第 3 走者,第 4 走者の 4 人を選ぶ選び

    方の総数は

    P 10 ∙ 9 ∙ 8 ∙ 7 5040 (通り)

    20 人の部員の中から,部長,副部長,マネージャーを 1 人ずつ決めるとき,その決め方は何

    通りあるか。

    求める決め方の総数は

    P 20 ∙ 19 ∙ 18 6840 (通り)

    問 14

    問 15

    問 16

    3 順列

    問 13

    例 6

    例 7

    例 8

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    8

    男子 A,B,C,女子 D,E,F の 6 人が 1 列に並ぶ並び方の中で,次のような並び方は何通り

    あるか。

    (1) A,B が隣り合う。 (2) 両端に女子が並ぶ。

    (1) 隣り合う A と B をまとめて 1 人とみなすと,並び方の数は 5 人

    が並ぶ順列の総数 P 5! に等しい。その並び方のおのおのに

    対して,A,B の並び方は

    P 2! (通り)ある。

    よって,求める並び方の総数は,積の法則により

    5! 2! 240(通り)

    (2) 女子が両端に並ぶ並び方は P 通りある。その並び方のおの

    おのに対して,残りの 4 人が間に並べばよい。4 人の並び方

    は P 4! (通り)ある。

    よって,求める並び方の総数は,積の法則により

    P 4! 144(通り)

    例題5で,女子 3 人が続いて並ぶような並び方の総数を求めよ。

    続いて並ぶ 3 人の女子をまとめて 1 人とみなすと,並び方の数は 4 人が並ぶ順列の総数 P

    4! に等しい。その並び方のおのおのに対して,女子 D,E,F の並び方は

    P 3!(通り)ある。

    よって,求める並び方の総数は,積の法則により

    4! 3! 144(通り)

    1 から 5 までの 5 つの数字をすべて 1 回ずつ使ってできる 5 桁の数のうち,両端の数字がとも

    に奇数であるものはいくつあるか。

    1 から 5 までの 5 つの数字のうち,奇数は 1,3,5 の 3 つあるから,両端の数字がともに奇数

    となるのは,3 つの奇数から 2 つを選んで順に並べる並べ方で P 通りある。

    その並べ方のおのおのに対して,残りの 3 つの数字が間に並べばよい。

    3 つの数字の並べ方は P 3!(通り)ある。

    よって,求める数の総数は,積の法則により

    P 3! 36(個)

    0, 1, 2, 3, 4, 5 の 6 個の数字から異なる 3 個の数字を選んで,3 桁の整数をつくるとき,次の

    整数は何個できるか。

    (1) 3 桁の整数 (2) 5 の倍数

    (1) 百の位の数字は,0 以外の 1, 2, 3, 4, 5 のどれでもよいから,

    その選び方は 5 通りある。その選び方のおのおのに対して,

    十の位,一の位の数字の選び方は,百の位で選ばなかった 5

    個の数字から 2 個とる順列の総数( P )通りある。

    よって,求める個数は,積の法則により

    5 P 100(個)

    (2) 5 の倍数となるのは,一の位が 0 か 5 のいずれかのときである。

    (i) 一の位が 0 のとき

    百の位,十の位の数字の選び方は,0 以外の 5 個の数字

    から 2 個とる順列の総数( P 通り )ある。

    ( ii ) 一の位が 5 のとき

    百の位の数字の選び方は 0 と 5 以外の 4 通りある。その

    選び方のおのおのに対して,十の位の数字の選び方は 4

    通りある。

    よって,積の法則により ( 4 4(通り) )

    (i),( ii )より,求める個数は,和の法則により

    P 4 4 36(個)

    問 17

    問 18

    5 例題 応 用

    6例題応 用

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    9

    0, 1, 2, 3, 4 の 5 個の数字から異なる 3 個の数字を選んで,3 桁の整数をつくるとき,次の整

    数は何個できるか。

    (1) 奇数

    3 桁の整数が奇数となるのは,一の位の数字が 1 が 3 のいずれかのときである。

    (i) 一の位が 1 のとき

    百の位の数字の選び方は 0 と 1 以外の 3 通りある。

    その選び方のおのおのに対して,十の位の数字の選び方は 3 通りある。

    よって,積の法則により 3 3(通り)

    ( ii ) 一の位が 3 のとき

    百の位の数字の選び方は 0 と 3 以外の 3 通りある。

    その選び方のおのおのに対して,十の位の数字の選び方は 3 通りある。

    よって,積の法則により 3 3(通り)

    (i),( ii )より,求める個数は,和の法則により

    3 3 3 3 18(個)

    (2) 偶数

    3 桁の整数について,百の位の数字は 0 以外の 1, 2, 3, 4 のどれでもよいから,その選び

    方は 4 通りある。その選び方のおのおのに対して十の位,一の位の数字の選び方は,百の

    位で選ばなかった 4 個の数字から 2 個とる順列の総数 P 通りある。よって,3 桁の整数

    の個数は,積の法則により

    4 P 48(個)

    3 桁の整数が偶数となる個数は,3 桁の整数の個数から(1)で求めた 3 桁の整数が奇数とな

    る個数を除けばよいから,求める個数は

    48 18 30(個)

    (教科書 p.20)

    A,B,C,D の 4 人が手をつないで輪をつくるとき,何通りの輪ができるかを考えてみよう。た

    とえば,下の 4 つの輪は,(ⅱ),(ⅲ),(ⅳ)の輪を回転するとすべて(ⅰ)の輪に重ねられるから,輪

    としては同じである。

    そこで,A を固定し,右の図のように 3 つの場所 1 , 2 , 3 に A 以外の 3

    人B, C, D を並べれば,異なる輪をつくることができる。

    したがって,4 人の輪のつくり方は,1 人を除く 4 1 3(人)のすべてを並べる

    順列の総数に等しいから, 4 1 ! 3! 6(通り)ある。

    一般に,異なる 𝑛 個のものを円形に並べる順列を

    (11 𝑛 個のものの円順列 )

    という。円順列の総数について,次のことが成り立つ。

    円順列

    異なる 𝑛 個のものの円順列の総数は 𝒏 𝟏 !

    1, 2, 3, 4, 5 の数字を 1 つずつ書いた合計 5 個の石を,円周上に並べる並べ方は何通りあるか。

    異なる 5 個のものの円順列の総数を求めればよい。

    5 1 ! 4! 24(通り)

    女子 2 人と男子 3 人が円形のテーブルに向かって座るとき,女子 2 人が隣り合う座り方の総数

    を求めてみよう。

    隣り合う女子を 1 人とみなし,4 人が座ると考える。

    これらの座り方に対して,女子 2 人が入れかわる座り方を考えると,求める

    座り方の総数は

    4 1 ! 2! 12(通り)

    先生 1 人,男子生徒 3 人,女子生徒 2 人が円形のテーブルに向かって座ると

    き,次のような座り方は何通りあるか。

    (1) 女子生徒 2 人が隣り合う。

    隣り合う女子生徒 2 人を 1 人とみなし,5 人が座ると考える。このとき,座り方は

    5 1 ! 4!(通り)

    ある。そのおのおのに対して,女子生徒 2 人の座り方は 2! 通りある。

    よって,求める座り方の総数は,積の法則により

    4! 2! 48(通り)

    (2) 先生の両隣りに女子生徒が座る。

    先生 1 人と女子生徒 2 人の計 3 人を 1 人とみなし,4 人が座ると考える。このとき,座り

    方は

    4 1 ! 3!(通り)

    ある。そのおのおのに対して,先生の両隣りに女子生徒 2 人が座る座り方は 2! 通りある。

    よって,求める座り方の総数は,積の法則により

    3! 2! 12(通り)

    円順列

    問 19

    問 20

    問 21

    例 9

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    10

    (教科書 p.21)

    同じ数字をくり返し用いてよいとき,4 個の数字 1, 2, 3, 4 からできる 3 桁の整数は,何個あ

    るかを考えてみよう。

    右の図のように,各位の場所をつくって考えると,各位には

    1, 2, 3, 4

    のどれを用いてもよいから,それぞれ 4 通りの選び方がある。

    よって,3 桁の整数の個数は,積の法則により

    4 4 4 4 64(個)

    一般に,異なる 𝑛 個のものから,くり返し用いることを許して,𝑟 個を取り出して並べる順列を

    (12 𝑛 個から 𝑟 個とる重複順列 )

    という。重複順列の総数について,次のことが成り立つ。

    重複順列

    𝑛 個から 𝑟 個とる重複順列の総数は 𝒏𝒓

    同じ数字をくり返し用いることを許して 3 桁の整数をつくるとき,次の場合に 3 桁の整数は何

    個できるか。

    (1) 1, 2, 3, 4, 5 の 5 個の数字を用いる場合

    百の位,十の位,一の位の各位には,1, 2, 3, 4, 5 のどれを用いてもよいから,それぞれ

    5 通りの選び方がある。

    よって,3 桁の整数の個数は,

    5 125(個)

    (2) 0, 1, 2, 3, 4 の 5 個の数字を用いる場合

    百の位には,1, 2, 3, 4 のいずれかを用いるから 4 通りの選び方がある。十の位,一の位

    は 0, 1, 2, 3, 4 のどれを用いてもよいから,それぞれ 5 通りの選び方がある。

    よって,3 桁の整数の個数は,

    4 5 100(個)

    問 22

    例 10

    重複順列

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    11

    (教科書 p.22)

    並べる順序を考えに入れないで取り出して 1 組にしたものを(1 組合せ )という。

    一般に,異なる 𝑛 個のものから,𝑟 個を取り出してつくる組合せを

    (2 𝑛 個から 𝑟 個とる組合せ )

    といい,その総数を(3 C )で表す。

    C 通りの各組合せから 𝑟! 通りの順列ができる。これらをすべて合わせると,𝑛 個から 𝑟 個とる

    順列のすべてが得られる。

    よって C 𝑟! P が成り立つ。したがって, C は次のように書ける。

    (4 C ! )

    組合せ

    𝒏𝐂𝒓 𝒏𝐏𝒓

    𝒓!𝒏 𝒏 𝟏 𝒏 𝟐 ⋯ 𝒏 𝒓 𝟏

    𝒓 𝒓 𝟏 𝒓 𝟐 ⋯ ∙ 𝟑 ∙ 𝟐 ∙ 𝟏

    𝒓 個

    𝒏!𝒓! 𝒏 𝒓 !

    上の式が 𝑟 0 のときにも成り立つように,(5 C 1 )と定める。

    C ∙ ∙∙ ∙

    84

    次の値を求めよ。

    (1) C C ∙

    ∙10

    (2) C C ∙ ∙

    ∙ ∙20

    (3) C

    C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙

    210

    7 人の生徒から 3 人を選ぶときは順序を考えに入れなくてよいから,

    その選び方の総数は( C ∙ ∙∙ ∙

    35(通り) )

    異なる 6 個の菓子から 4 個の菓子を選ぶ選び方は何通りあるか。

    6 個のものから 4 個とる組合せであるから

    C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙

    15(通り)

    5 個の文字 a, b, c, d, e から 3 個とる組合せを 1 つつくると,残

    った 2 個からなる組合せも同時にできる。

    よって,次の等式が成り立つ。

    C C 一般に,次の等式が成り立つ。

    (6 C C )

    C C ∙∙

    28

    次の値を求めよ。

    (1) C C C ∙

    ∙21

    (2) C C C 8

    (3) C

    C C ∙ ∙∙ ∙

    220

    円周上に異なる 8 個の点が並んでいる。このとき,これらの点を頂点とす

    る三角形は全部で何個あるかを求めてみよう。

    円周上の 8 個の点はどの 3 点も同じ直線上にはないから,8 個の点から 3

    個の点を選ぶと三角形が 1 つできる

    よって,三角形の総数は( C ∙ ∙∙ ∙

    56(個) )

    正八角形の対角線の本数を求めよ。

    正八角形の対角線の総数は,8 つの頂点から 2 つの頂点を選ぶ組合せの総数 C から,辺の総

    数 8 を引いたものであるから

    C 8 ∙∙

    8

    28 8 20 (本)

    4 組合せ

    問 23

    問24

    問 25

    問 26

    例 11

    例 12

    例 13

    例 14

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    12

    女子 6 人,男子 4 人の 10 人から 5 人を選ぶとき,次のような選び方は何通りあるか。

    (1) 女子 3 人,男子 2 人 (2) 少なくとも 1 人は男子

    (1) 女子 3 人の選び方は( C )通りあり,そのおのおのに対して男子 2 人の選び方

    は( C )通りある。

    よって,求める選び方の総数は,積の法則により

    C C ∙ ∙∙ ∙

    ∙∙

    120(通り)

    (2) 少なくとも 1 人は男子を選ぶ選び方の総数は,男女 10 人から 5 人を選ぶ選び方の総数

    ( C )から,5 人とも女子となる選び方の総数( C )を引いたもの

    である。

    よって,求める選び方の総数は

    C C C C ∙ ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙ ∙

    6 246(通り)

    男子 10 人,女子 5 人の 15 人から 6 人の委員を選ぶとき,次のような選び方は何通りあるか。

    (1) 男子 4 人,女子 2 人

    男子 4 人の選び方は C 通りあり,そのおのおのに対して女子 2 人の選び方は C 通り

    ある。

    よって,求める選び方の総数は,積の法則により

    C C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙

    ∙∙

    2100 (通り)

    (2) 少なくとも 1 人は女子

    少なくとも 1 人は女子を選ぶ選び方の総数は,男女 15 人から 6 人を選ぶ選び方の総数

    C から,6 人とも男子となる選び方の総数 C を引いたものである。

    よって,求める選び方の総数は

    C C C C ∙ ∙ ∙ ∙ ∙

    ∙ ∙ ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙

    ∙ ∙ ∙

    4795 (通り)

    6 人の生徒を,次のような組に分ける分け方は何通りあるか。

    (1) 2 人ずつ A,B,C の 3 組 (2) 2 人ずつ 3 組

    (1) 6 人の中から,A 組に入れる 2 人の選び方は C 通りある。

    次に,残りの 4 人の中から,B 組に入れる 2 人の選び方は C 通りある。C 組には残りの

    2 人を入れる。

    したがって,求める分け方の総数は,積の法則により

    C C C ∙∙

    ∙∙

    1 90(通り)

    (2) (1)の分け方において,A,B,C の区別をなくすと同じ組分けになるものが 3! 通りずつあ

    る。

    よって,求める分け方の総数は

    !15(通り)

    8 人の生徒を,次のような組に分ける分け方は何通りあるか。

    (1) 4 人ずつ A,B の 2 組

    8 人の中から,A 組に入れる 4 人の選び方は C 通りある。

    B 組には残りの 4 人を入れる。

    したがって,求める分け方の総数は,積の法則により

    C C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙

    1

    70 (通り)

    (2) 4 人ずつ 2 組

    (1)の分け方において,A,B の区別をなくすと同じ組分けになるものが 2! 通りずつある。

    したがって,求める分け方の総数は

    !35(通り)

    問 27 問 28

    7 例題 応 用

    8例題応 用

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    13

    (教科書 p.26)

    7 文字 a, a, a, a, b, b, c のすべてを 1 列に並べる順列を考えてみよう。

    これら 7 文字すべてを 1 列に並べる並べ方の総数は,

    右の図のように,7 個の場所から 4 個を選んで a を入れ,

    残りの 3 個から 2 個を選んで b を入れ,最後の 1 個に c

    を入れる場合の数に等しい。

    よって,求める並べ方の総数は,積の法則により次のようになる。

    C C C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙

    ∙∙

    1 105(通り)

    上で求めた並べ方の総数を階乗の記号で表すと,次のようになる。

    C C C !! !

    !! !

    !! ! !

    一般に,a が 𝑝 個,b が 𝑞 個,c が 𝑟 個,⋯ の合計 𝑛 個のものをすべて並べる並べ方の総数は,

    C C C ⋯ !! ! !⋯

    となる。すなわち,次のようになる。

    同じものを含む順列

    𝒏!𝒑!𝒒!𝒓!⋯ ただし,𝑝 𝑞 𝑟 ⋯ 𝑛

    sense の 5 文字すべてを並べてできる順列の総数を考えてみよう。s が 2 個,e が 2 個,n が 1

    個の合計 5 個並べるから !

    ! ! !30(通り)

    1, 1, 1, 1, 2, 2, 2, 3, 3, 4 の 10 個の数字すべてを並べてできる 10 桁の整数の個数を求めよ。

    10 個の数字をすべて並べてできる 10 桁の整数の個数は,1 が 4 個,2 が 3 個,3 が 2 個,4 が

    1 個の合計 10 個を並べるから

    !! ! ! !

    ∙ ∙ ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙

    12600 (個)

    右の図のような道のある町がある。

    次の場合の最短経路は何通りあるか。

    (1) A から B まで行く。

    (2) A から C を通って B まで行く。

    (1) 右へ 1 区画進む動きを a,上へ 1 区画進む動きを b で表す

    と,A から B まで行く最短経路の総数は,4 個の a と 3 個

    の b を 1 列に並べる順列の総数に等しい。

    したがって,求める最短経路の総数は

    !! !

    ∙ ∙∙ ∙

    35(通り)

    (2) A から C に行く最短経路の総数は( !! !

    )通りあり,そのおのおのに対して,C か

    ら B に行く最短経路の総数は( !! !

    )通りある。

    したがって,求める最短経路の総数は !

    ! !!

    ! !6 3 18 (通り)

    同じものを含む順列

    問 29

    例 15

    9例題応 用

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    14

    右の図のような道のある町がある。次の場合の最短経路

    は何通りあるか。

    (1) A から B まで行く。

    (2) A から C を通って B まで行く。

    (3) A から C を通らずに B まで行く。

    (4) A から CD 間を通って B まで行く。

    図において,右へ 1 区画進む動きを a,上へ 1 区画進む動きを b で表すことにする。

    (1) A から B まで行く最短経路の総数は,5 個の a と 4 個の b を 1 列に並べる順列の総数に等

    しい。

    したがって,求める最短経路の総数は

    !! !

    ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙

    126(通り)

    (2) A から C に行く最短経路の総数は,2 個の a と 2 個の b を並べる順列の総数に等しいから !

    ! !6(通り)

    また,C から B に行く最短経路の総数は,3 個の a と 2 個の b を並べる順列の総数に等し

    いから

    !! !

    10(通り)

    したがって,求める最短経路の総数は

    6 10 60(通り)

    (3) A から C を通らずに B まで行く最短経路の総数は,A から B に行く最短経路の総数から,

    A から C を通って B まで行く最短経路の総数を引いたものである。

    したがって,求める最短経路の総数は

    126 60 66(通り)

    (4) A から CD を通って B まで行く最短経路の総数は,A から C に行く最短経路の総数 6 通り

    のおのおのに対して,D から B に行く最短経路の総数だけある。D から B に行く最短経路

    の総数は,3 個の a と 1 個の b を並べる順列の総数に等しいから

    !! !

    4(通り)

    よって,求める最短経路の総数は

    6 4 24(通り)

    問 30

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    15

    (教科書 p.28)

    1 男子 4 人,女子 3 人が 1 列に並ぶとき,次のような並び方は何通りあるか。 (1) 女子 3 人が続いて並ぶ。

    続いて並ぶ 3 人の女子を 1 人とみなし,5 人を 1 列に並べ,さらに女子 3 人を並べると考

    えて

    P P 120 6

    720 (通り)

    (2) 一端に男子,もう一端に女子が並ぶ。 左端に男子,右端に女子が並ぶ場合

    C C 5!(通り)

    左端に女子,右端に男子が並ぶ場合 C C 5!(通り)

    よって,求める並び方の総数は 2 C C 5! 2880(通り)

    2 男子 A,B,C の 3 人,女子 D,E,F の 3 人の合計 6 人が円形のテーブルに向かって座るとき,

    次のような並び方は何通りあるか。 (1) 男子と女子が交互になる座り方。

    男子 3 人が円形のテーブルに座る座り方は,

    1 人固定して

    3 1 ! 2!(通り)

    そのおのおのの座り方に対し,女子 は男子の間に座ればよいから3! 通り

    よって,求める座り方の総数は

    2! 3! 12(通り)

    (2) A と B が向かい合う座り方。

    A を固定し,座ることにする。このとき,B は A と向かい合うところに座るから,1 通り

    に決まる。 残りの 4 人の座り方は 4 人が 1 列に並ぶ順列の総数に等しい。 よって,求める座り方の総数は

    4! 24(通り)

    3 5 人を A,B の 2 つの部屋に入れるとき,次のように入れる方法は何通りあるか。 (1) 空室があってもよい。

    5 人のそれぞれを A,B のどちらの部屋に入れてもよいから 2 32(通り)

    (2) 空室がない。 1 つの部屋が空室になるのは,5 人全員が A,B のいずれかに入る場合であるから,2 通り

    ある。よって,空室がない場合は,(1)から空室ができる場合の数を引けばよいから

    32 2 30(通り)

    4 𝑛 個の要素から 𝑟 個取り出す組合せの総数を,1 つの特定の要素 𝑎 を含む場合と,𝑎 を含まな

    い場合に分けて求める方法により,次の等式が成り立つことを示せ。 C C C ただし,1 ≦ 𝑟 ≦ 𝑛 1 異なる 𝑛 個のものから 𝑟 個とる組合せの総数 C は,特定の要素 𝑎 を 𝑟 個の中に含むか含まな

    いかに分けると,次のいずれかになる。 (i) 𝑎 を含む組合せは,𝑛 個のものから 𝑎 を除いた 𝑛 1 個から 𝑟 1 個とる選び方があるから

    C (ii) 𝑎 を含まない組合せは,𝑛 個のものから 𝑎 を除いた 𝑛 1 個から 𝑟 個とる選び方があるから

    C (i),(ii)は同時には起こらないから,和の法則により, C C C が成り立つ。

    5 右の図のように,4 本の平行線とこれらに直交する 5 本の平行線

    がある。これらの平行線で囲まれる長方形は全部でいくつあるか。 縦,横それぞれ 2 本ずつ選べばよいから

    C C 60(個)

    問 題

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    16

    6 9 人の生徒を,次のような組に分ける方法は何通りあるか。 (1) 4 人,3 人,2 人の 3 組

    9 人の生徒から,4 人,3 人,2 人の 3 組をつくるから

    C C C 1260(通り) (2) 3 人,3 人,3 人の 3 組

    9 人の生徒から,3 人ずつの区別できない 3 つの組をつくるから

    !280(通り)

    (3) 5 人,2 人,2 人の 3 組

    9 人の生徒から,5 人,2 人,2 人の 3 組をつくるのは,2 人の組が 2 つあるから

    C

    !378(通り)

    7 coffee の 6 文字すべてを並べてできる順列のうち,2 つの f が隣り合わないものの総数を求め

    よ。 coffee の 6 文字の並べ方は

    !! ! ! !

    180(通り) そのうち f が隣り合うものは

    !! ! ! !

    60(通り) よって,求める総数は 180 60 120

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    17

    (教科書 p.29)

    3 つの集合 𝐴,𝐵,𝐶 について,次の分配法則が成り立つ。

    1 𝐴 ∪ 𝐵 ∩ 𝐶 𝐴 ∪ 𝐵 ∩ 𝐴 ∪ 𝐶

    2 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐴 ∩ 𝐶

    1の等式が成り立つことは,下の図を用いて確かめることができる。

    2の等式が成り立つことを,図を用いて確かめよ。

    𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 は次の図になる。

    𝐴 ∩ 𝐵,𝐴 ∩ 𝐶 はそれぞれ次の図になる。

    よって, 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐴 ∩ 𝐶 を考えると,𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 の図と一致していることがわかる。

    上の分配法則を利用して,𝐴 ∪ 𝐵 ∪ 𝐶 の要素の個数に関する等式

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐶

    𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐵 ∩ 𝐶 𝑛 𝐶 ∩ 𝐴

    𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∩ 𝐶 ……①

    を証明してみよう。

    𝐵 ∪ 𝐶 をひとまとめにして,教科書 9 ページの要素の個数に関する公式を適用すると,次のよう

    になる。

    𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 ……②

    ここで,分配法則 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐵 ∩ 𝐶 により

    𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐴 ∩ 𝐶

    𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐶 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∩ 𝐶 ……③

    また, 𝑛 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐵 𝑛 𝐶 𝑛 𝐵 ∩ 𝐶 ……④

    ③,④を②に代入すると,①の等式が成り立つ。

    問1

    参 考 3つの集合の性質

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    18

    (教科書 p.30)

    3 個の異なる文字 𝑥,𝑦,𝑧 から,同じ文字をくり返し用いてもよいとして,8 文字取り出してつ

    くる組合せの総数を求めてみよう。

    各組合せは,𝑥,y,𝑧 の順に並べて表すことにする。たとえば,𝑥 を 3 個,𝑦 を 4 個,𝑧 を 1 個と

    る組合せは,𝑥𝑥𝑥𝑦𝑦𝑦𝑦𝑧 と表す。この組合せ 𝑥𝑥𝑥𝑦𝑦𝑦𝑦𝑧 に対して,文字を示す 8 個の○と,異なる 3

    文字の境目を示す 2 個の からなる順列を,次のように対応させる。

    𝑥𝑥𝑥𝑦𝑦𝑦𝑦𝑧 ⇒ 𝑥𝑥𝑥 𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑧 ⇒ ○○○ ○○○○ ○

    すなわち,第 1 の の左側の○は 𝑥,第 1 の と第 2 の の間の○は 𝑦,第 2 の の右側の○は

    𝑧 をそれぞれ置き換えたものである。

    このようにすると,すべての組合せに対して,8 個の○と 2 個の からなる順列が 1 つずつ対応

    することになる。

    したがって,求める組合せの総数は,教科書 26 ページの同じものを含む順列の公式により

    !! !

    45(通り)

    となる。

    4 個の異なる文字 a, b, c, d から,重複を許して 9 文字取り出してつくる組合せの総数を求め

    よ。

    求める組合せの総数は,9 個の○と 3 個の

    を 1 列に並べる順列の総数に等しいから,同じものを含む順列の公式により

    !! !

    220(通り)

    ( C C C 220(通り)と求めてもよい)

    上の考え方を用いると,次の例題のような組合せの問題を,簡単に解くことができる。

    問1参 考 重複を許してつくる組合せ

  • 数学A advance 1 章「場合の数と確率」

    19

    方程式 𝑥 𝑦 𝑧 8 を満たす 𝑥,𝑦,𝑧 の 0 以上の整数解の組の総数を求めよ。

    たとえば,整数解 𝑥 3,𝑦 4,𝑧 1 について,その組を

    𝑥 3,𝑦 4,𝑧 1 ⇒ ○○○ ○○○○ ○

    のように,○と を用いて表す。

    すなわち,8 個の○と 2 個の を 1 列に並べ, で区切られた○の個数を左から順に,𝑥,𝑦,

    𝑧の値と考える。

    このように表すと,すべての整数解の組は,8 個の○と 2 個の からなる順列に 1 つずつ対

    応させることができる。

    よって,求める整数解の組の総数は,8 個の○と 2 個の を 1 列に並べる順列の総数に等し

    い。

    この順列の総数は,同じものを含む順列の公式により

    !! !

    45(通り)

    となる。

    したがって,方程式 𝑥 𝑦 𝑧 8 を満たす 𝑥,𝑦,𝑧 の 0 以上の整数解は( 45 )組あ

    る。

    方程式 𝑥 𝑦 𝑧 12 を満たす 𝑥,𝑦,𝑧 の 0 以上の整数解の組の総数を求めよ。

    求める 0 以上の整数解の組の総数は,12 個の○と 2 個のを 1 列に並べる順列の総数に等しい

    から,同じものを含む順列の公式により

    !

    ! !91(組)

    ( C C C 91(組)と求めてもよい)

    コーヒー,オレンジジュース,紅茶,緑茶の 4 種類の飲み物が買える自動販売機で,6 本の飲

    み物を購入する。購入の組合せは何通りあるかを求めよ。ただし,買わない飲み物があっても

    よい。

    求める購入の組合せは,6 個

    問3

    問2

    1 例題