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数学A advance 1 章「場合の数と確率」
1
(教科書 p.8)
要素の個数が有限である集合を(1 有限集合 )といい,要素の個数が有限ではない集合
を(2 無限集合 )という。たとえば,100 以下の自然数全体の集合は有限集合であり,自然
数全体の集合は無限集合である。
有限集合 𝐴 の要素の個数を(3 𝑛 𝐴 )で表す。
空集合 ∅ は要素をもたないから,𝑛 ∅ 0 である。
𝐴 𝑥|𝑥 は 12 の正の約数 とするとき,𝐴 1, 2, 3, 4, 6, 12 であるから,
𝑛 𝐴 6
𝐴 𝑥|𝑥 は 27 の正の約数 とするとき,𝑛 𝐴 を求めよ。
𝐴 1,3,9,27 であるから,𝑛 𝐴 4 である。
(教科書 p.8)
有限集合 𝐴,𝐵 の和集合 𝐴 ∪ 𝐵 の要素の個数を考えてみよう。
𝑛 𝐴 𝑎,𝑛 𝐵 𝑏,𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑐
とすると,右の図からわかるように
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑎 𝑐 𝑐 𝑏 𝑐
𝑎 𝑏 𝑐
したがって,𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 は
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵
となる。
とくに,𝐴 ∩ 𝐵 ∅ のときは
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵
が成り立つ。
以上をまとめると,次のようになる。
和集合の要素の個数
𝒏 𝑨 ∪ 𝑩 𝒏 𝑨 𝒏 𝑩 𝒏 𝑨 ∩ 𝑩
とくに,𝐴 ∩ 𝐵 ∅ のとき
𝒏 𝑨 ∪ 𝑩 𝒏 𝑨 𝒏 𝑩
100 以下の自然数のうち,4 の倍数または 6 の倍数である数の個数を求めよ。
100 以下の自然数全体の集合を 𝑈 とする。𝑈 の要素のうち,4
の倍数全体の集合を 𝐴,6 の倍数全体の集合を 𝐵 とすると
𝐴 4 ∙ 1, 4 ∙ 2, 4 ∙ 3, … , 4 ∙ 25
𝐵 6 ∙ 1, 6 ∙ 2, 6 ∙ 3, … , 6 ∙ 16
また,𝐴 ∩ 𝐵 は 4 と 6 の公倍数の集合,すなわち,12 の倍数の
集合であるから
𝐴 ∩ 𝐵 12 ∙ 1, 12 ∙ 2, 12 ∙ 3, ⋯ , 12 ∙ 8
よって
𝑛 𝐴 ( 25 ),𝑛 𝐵 ( 16 ),𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ( 8 )
4 の倍数または 6 の倍数である数全体の集合は 𝐴 ∪ 𝐵 であるから,求める個数は
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵
25 16 8 33 (個)
200 以下の自然数のうち,6 の倍数または 8 の倍数である数の個数を求めよ。
200 以下の自然数全体の集合を 𝑈 とする。𝑈 の要素のうち,6 の倍数全体の集合を 𝐴,8 の倍
数全体の集合を 𝐵 とすると
𝐴 6 ∙ 1, 6 ∙ 2, 6 ∙ 3,… , 6 ∙ 33
𝐵 8 ∙ 1, 8 ∙ 2, 8 ∙ 3,… , 8 ∙ 25
また,𝐴 ∩ 𝐵 は,6 と 8 の公倍数の集合,すなわち,24 の倍数全体の集合であるから
𝐴 ∩ 𝐵 24 ∙ 1, 24 ∙ 2, 24 ∙ 3,… , 24 ∙ 8
よって
𝑛 𝐴 33,𝑛 𝐵 25,𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 8
6 の倍数または 8 の倍数である数全体の集合は A ∪ B であるから,求める個数は
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵
33 25 8 50 (個)
1 節 場合の数 1 集合の要素の個数
和集合の要素の個数
問1
問2
例 1
1例題
解
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
2
(教科書 p.10)
全体集合を 𝑈 とし,その部分集合を 𝐴 とすると,𝐴 とその補集合 𝐴 は
𝐴 ∩ 𝐴 ∅,𝐴 ∪ 𝐴 𝑈
を満たすから
𝑛 𝐴 𝑛 𝐴 𝑛 𝑈
が成り立つ。
したがって,次の等式が成り立つ。
補集合の要素の個数
𝑛 𝐴 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴
100 以下の自然数のうち,8 の倍数ではない数の個数を求めよ。
100 以下の自然数全体の集合を 𝑈 とすると
𝑛 𝑈 100
また,𝑈 の要素のうち,8 の倍数全体の集合を 𝐴 とすると
𝐴 8 ∙ 1, 8 ∙ 2, 8 ∙ 3, … , 8 ∙ 12
であるから
( 𝑛 𝐴 12 )
となる。
8 の倍数ではない数全体の集合は 𝐴 であるから,求める個数は
𝑛 𝐴 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴
100 12 88 (個)
100 以下の自然数のうち,3 で割り切れない数の個数を求めよ。
100 以下の自然数全体の集合を 𝑈 とすると
𝑛 𝑈 100
また,𝑈 の要素のうち,3 で割り切れる数全体の集合を 𝐴 とすると
𝐴 3 ∙ 1,3 ∙ 2,3 ∙ 3,…,3 ∙ 33
であるから
𝑛 𝐴 33
となる。
3 で割り切れない数全体の集合は 𝐴 であるから,求める個数は
𝑛 𝐴 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴 100 33
67 (個)
35 人の生徒のうち,野球が好きな生徒は 27 人,サッカーが好きな生徒は 25 人,どちらも
好きな生徒は 20 人である。このとき,次の人数を求めよ。
(1) どちらも好きでない生徒
(2) サッカーは好きだが,野球は好きでない生徒
生徒全体の集合を 𝑈 とする。𝑈 の要素のうち,野球が好きな生徒の集合を 𝐴,サッカーが好
きな生徒の集合を 𝐵 とすると
𝑛 𝐴 ( 27 ),𝑛 𝐵 ( 25 ),𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ( 20 )
(1) どちらも好きでない生徒の集合は 𝐴 ∩ 𝐵 と表される。
ド・モルガンの法則により
𝐴 ∩ 𝐵 𝐴 ∪ 𝐵
ここで
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵
27 25 20 32
よって,どちらも好きでない生徒の人数は
𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴 ∪ 𝐵
35 32 3 (人)
(2) サッカーは好きだが,野球は好きでない生徒の集合は 𝐴 ∩ 𝐵
と表される。
したがって
𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵
25 20 5 (人)
補集合の要素の個数
問3
2 例題
解
3例題
解
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
3
200 以下の自然数のうち,次のような数の個数を求めよ。
(1) 6 でも 8 でも割り切れない数
(2) 6 の倍数であるが,8 の倍数ではない数
200 以下の自然数全体の集合をUとする。𝑈 の要素のうち,6 の倍数全体の集合を 𝐴,8 の倍数
全体の集合を 𝐵 とすると
𝑛 𝐴 33,𝑛 𝐵 25,𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 8
(1) 6 でも 8 でも割り切れない数全体の集合は 𝐴 ∩ 𝐵 と表される。ド・モルガンの法則によ
り
𝐴 ∩ 𝐵 𝐴 ∪ 𝐵
ここで
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 50
よって,6 でも 8 でも割り切れない数の個数は
𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 𝑛 𝑈 𝑛 𝐴 ∪ 𝐵
200 50 150 (個)
(2) 6 の倍数であるが,8 の倍数ではない数全体の集合は 𝐴 ∩ 𝐵 と表される。
したがって
𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐴 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵
33 8 25 (個)
問4
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
4
(教科書 p.12)
右の図は,目の和が 5 になるような A,B,C のさいころの目の
数を書き出したものである。数え上げると,目の和が 5 になる場合
は全部で 6 通りであることがわかる。このような図を
(1 樹形図 )という。
3 個のさいころ A,B,C を投げるとき,目の和が 7 になる場合は何通りあるか。
樹形図をかいて調べる。
よって,目の和が 7 になる場合は,全部で
5 4 3 2 1 15 (通り)
1,1,2,3 の 4 個の数字のうち,3 個を使ってつくることのでき
る 3 桁の整数の個数を求めてみよう。百の位,十の位,一の位にど
の数字を使うかを順に樹形図で表すと,右の図のようになる。
よって,求める整数の個数は
112, 113, 121, 123, 131, 132, 211, 213, 231, 311, 312,
321
の 12 個である。
5 個の文字 a, a, b, b, c から 3 個の文字を選んで,1 列に並べる方法は何通りあるか。
3 個の文字列について,どの文字を使うかを順に樹形図で表すと,図のようになる。
文字列は
aab, aac, aba, abb, abc, aca, acb,
baa, bab, bac, bba, bbc, bca, bcb
caa, cab, cba, cbb
の 18 通りである。
2 樹形図と場合の数
個数の数え方
問5 問6
例 2
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
5
(教科書 p.13)
一般に,場合の数について,次の(2 和の法則 )が成り立つ。
和の法則
2 つの事柄 𝐴,𝐵 について,これらは 同時には起こらないとす
る。𝐴 の起こり方が 𝑚 通り,𝐵 の起こり方が 𝑛 通りあるとき,
𝐴 または 𝐵 の起こる場合の数は 𝒎 𝒏 通り である。
大小 2 個のさいころを投げるとき,目の和が 5 以下の奇数となる場合の数を求めよ。
大小 2 個のさいころの目を(大の目,小の目)で表すとする。
目の和が 5 以下の奇数となる場合は
和が 3 ⋯ 1, 2 , 2, 1
和が 5 ⋯ 1, 4 , 2, 3 , 3, 2 , 4, 1
のときで,いずれの場合も同時には起こらないから,和の法則により
2 4 6 (通り)
大小 2 個のさいころを投げるとき,目の和が 4 以下となる場合の数を求めてみよう。
目の和が 2 になる場合,3 になる場合,4 になる場合の 3 つの事柄があり,これらは同時には
起こらない。
それぞれの起こり方は 1 通り,2 通り,3 通りである。よって,目の和が 4 以下となる場合の
数は ( 1 2 3 6 (通り) )
大小 2 個のさいころを投げるとき,目の積が 25 以上となる場合の数を求めよ。
大小 2 個のさいころの目を(大の目,小の目)で表すとする。
目の積が 25 以上となる場合は
積が 25 ⋯ 5, 5
積が 30 ⋯ 5, 6 , 6, 5
積が 36 ⋯ 6, 6
のときで,いずれの場合も同時には起こらないから,和の法則により
1 2 1 4 (通り)
(教科書 p.14)
一般に,場合の数について,次の(3 積の法則 )が成り立つ。
積の法則
2 つの事柄 𝐴,𝐵 について,𝐴 の起こり方が 𝑚 通りあり,そのお
のおのの起こり方に対して 𝐵 の起こり方が 𝑛 通りあるとき,𝐴,𝐵
がともに起こる場合の数は 𝒎 𝒏 通り である。
A,B,C の 3 つの町が右の図のような道で結ばれているとき,
A から B を通って C へ行く行き方は何通りあるかを求めて
みよう。
A から B への行き方は 3 通りあり,そのおのおのに対して,
B から C への行き方は 5 通りある。よって,A から B を通っ
て C へ行く行き方は,積の法則により
3 5 15(通り)
ある喫茶店には,7 種類のケーキと 3 種類の飲み物がある。ケーキと飲み物をそれぞれ 1 種類
ずつ選ぶとき,その選び方は何通りあるか。
ケーキの選び方は 7 通りあり,そのおのおのに対して,飲み物の選び方は 3 通りある。
よって,求める選び方は,積の法則により
7 3 21 (通り)
𝑎 𝑏 𝑥 𝑦 𝑧 を展開したとき,項は何個できるか
𝑎 𝑏 𝑥 𝑦 𝑧 を展開したときの項は, 𝑎 𝑏 の 𝑎,𝑏 の中から 1 個, 𝑥 𝑦 𝑧 の 𝑥,𝑦,
z の中から 1 個選び,掛け合わせたものである。また,同類項はできない。
よって,求める項の数は,積の法則により
2 3 6 (通り)
和の法則 積の法則
問7
問8
問9
問 10
例 3
例 4
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
6
大中小の 3 個のさいころを投げるとき,目の出方が何通りあるか求めてみよう。
1 個のさいころに対して目の出方は 6 通りずつある。
よって,積の法則により
6 6 6 216 (通り)
大中小の 3 個のさいころを投げるとき,すべての目が奇数になる場合は何通りあるか。
1 個のさいころ対して奇数の目の出方は 1, 3, 5 の 3 通りずつある。
よって,積の法則により
3 3 3 27 (通り)
72 の正の約数は何個あるか。
72 を素因数分解すると
( 72 2 ∙ 3 )
となる。ここで
2 の正の約数は ( 1, 2, 2 , 2 )
3 の正の約数は ( 1, 3, 3 )
であり,2 の約数のおのおのに 3
の約数のそれぞれを掛けると,72 の
約数のすべてが得られる。
ゆえに,72 の正の約数の個数は,
積の法則により
( 4 3 12 (個) )
次の数の正の約数は何個あるか。
(1) 96
96 を素因数分解すると
96 2 ∙ 3
となる。ここで
2 の正の約数は 1, 2, 2 , 2 , 2 , 2
3 の正の約数は 1, 3
であり,2 の約数のおのおのに 3 の約数のそれぞれを掛けると,96 の約数のすべてが得
られる。
ゆえに,96 の正の約数の個数は,積の法則により
6 2 12 (個)
(2) 360
360 を素因数分解すると
360 2 ∙ 3 ∙ 5
となる。ここで
2 の正の約数は 1, 2, 2 , 2
3 の正の約数は 1, 3, 3
5 の正の約数は 1, 5
であり,2 の約数のおのおのに 3 の約数のそれぞれを掛け,さらにそのおのおのに 5 の
約数のそれぞれを掛けると,360 の約数のすべてが得られる。
ゆえに,360 の正の約数の個数は,積の法則により
4 3 2 24 (個)
問 11
問 12
例 5
4 例題 応 用
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
7
(教科書 p.16)
4 枚のカード から 2 枚取り出して
1 列に並べる並べ方の総数を考えてみよう。
1 枚目のカードの選び方は 4 通りある。
2 枚目のカードは残りの 3 枚から選べばよいから,
その選び方は 3 通りある。
よって,並べ方の総数は,積の法則により次のよう
になる。
4 3 12(通り)
5 枚のカード から 3 枚取り出して 1 列に並べる並
べ方の総数を求めよ。
1 枚目のカードの選び方は 5 通りある。
2 枚目のカードは残りの 4 枚から選べばよいから,その選び方は 4 通りある。
3 枚目のカードは残りの 3 枚から選べばよいから,その選び方は 3 通りある。
よって,並べ方の総数は,積の法則により
5 4 3 60 (通り)
一般に,いくつかのものを順序を考えに入れて並べたものを(1 順列 )という。
異なる 𝑛 個のものから,𝑟 個を取り出して並べる順列を
(2 𝑛 個から 𝑟 個とる順列 )
といい,その総数を(3 P )で表す。
ここで, P を求めてみよう。
異なる 𝑛 個のものから 𝑟 個とって並べるとき,並べるものの選び方は
となる。したがって, P は積の法則により次のように書ける。
順列
P 𝑛 𝑛 1 𝑛 2 ⋯ 𝑛 𝑟 1 個
異なる 6 個のものから 3 個とる順列の総数は
P 6 ∙ 5 ∙ 4 個
120
次の値を求めよ。
(1) P 5 ∙ 4 20
(2) P 6 ∙ 5 ∙ 4 ∙ 3 360 (3) P 7 ∙ 6 ∙ 5 210
P において,とくに 𝑟 𝑛 の場合は
P 𝑛 𝑛 1 𝑛 2 ⋯ ∙ 3 ∙ 2 ∙ 1 ……①
となる。これは
“異なる 𝑛 個のものをすべて並べる順列の総数”
である。①の右辺の 1 から 𝑛 までの整数の積を,
𝑛 の(4 階乗 )といい,(5 𝑛! )で表す。すなわち
(6 𝑛! 𝑛 𝑛 1 𝑛 2 ⋯ 3 ∙ 2 ∙ 1 )
この記号を用いると,(7 P 𝑛! )となる。
P 4! 4 ∙ 3 ∙ 2 ∙ 1 24
P , P の値を求めよ。
P 5! 5 ∙ 4 ∙ 3 ∙ 2 ∙ 1 120
P 6! 6 ∙ 5 ∙ 4 ∙ 3 ∙ 2 ∙ 1 720
0 𝑟 𝑛 のとき, P を階乗の記号を用いて表してみよう。
P 𝑛 𝑛 1 𝑛 2 ⋯ 𝑛 𝑟 1
⋯ ⋯∙ ∙ ∙⋯∙ ∙ ∙
であるから, P は階乗の記号を用いると次のように書ける。
(8 P ! ! ) ……②
②において,𝑟 𝑛 とすると, P !! となるが, P 𝑛! である。
そこで,②が 𝑟 𝑛 のときにも成り立つように,(9 0! 1 )と定める。
さらに,②が 𝑟 0 のときにも成り立つように,(10 P 1 )と定める。
10 人の選手の中から,リレーの第 1 走者,第 2 走者,第 3 走者,第 4 走者の 4 人を選ぶ選び
方の総数は
P 10 ∙ 9 ∙ 8 ∙ 7 5040 (通り)
20 人の部員の中から,部長,副部長,マネージャーを 1 人ずつ決めるとき,その決め方は何
通りあるか。
求める決め方の総数は
P 20 ∙ 19 ∙ 18 6840 (通り)
問 14
問 15
問 16
3 順列
問 13
例 6
例 7
例 8
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
8
男子 A,B,C,女子 D,E,F の 6 人が 1 列に並ぶ並び方の中で,次のような並び方は何通り
あるか。
(1) A,B が隣り合う。 (2) 両端に女子が並ぶ。
(1) 隣り合う A と B をまとめて 1 人とみなすと,並び方の数は 5 人
が並ぶ順列の総数 P 5! に等しい。その並び方のおのおのに
対して,A,B の並び方は
P 2! (通り)ある。
よって,求める並び方の総数は,積の法則により
5! 2! 240(通り)
(2) 女子が両端に並ぶ並び方は P 通りある。その並び方のおの
おのに対して,残りの 4 人が間に並べばよい。4 人の並び方
は P 4! (通り)ある。
よって,求める並び方の総数は,積の法則により
P 4! 144(通り)
例題5で,女子 3 人が続いて並ぶような並び方の総数を求めよ。
続いて並ぶ 3 人の女子をまとめて 1 人とみなすと,並び方の数は 4 人が並ぶ順列の総数 P
4! に等しい。その並び方のおのおのに対して,女子 D,E,F の並び方は
P 3!(通り)ある。
よって,求める並び方の総数は,積の法則により
4! 3! 144(通り)
1 から 5 までの 5 つの数字をすべて 1 回ずつ使ってできる 5 桁の数のうち,両端の数字がとも
に奇数であるものはいくつあるか。
1 から 5 までの 5 つの数字のうち,奇数は 1,3,5 の 3 つあるから,両端の数字がともに奇数
となるのは,3 つの奇数から 2 つを選んで順に並べる並べ方で P 通りある。
その並べ方のおのおのに対して,残りの 3 つの数字が間に並べばよい。
3 つの数字の並べ方は P 3!(通り)ある。
よって,求める数の総数は,積の法則により
P 3! 36(個)
0, 1, 2, 3, 4, 5 の 6 個の数字から異なる 3 個の数字を選んで,3 桁の整数をつくるとき,次の
整数は何個できるか。
(1) 3 桁の整数 (2) 5 の倍数
(1) 百の位の数字は,0 以外の 1, 2, 3, 4, 5 のどれでもよいから,
その選び方は 5 通りある。その選び方のおのおのに対して,
十の位,一の位の数字の選び方は,百の位で選ばなかった 5
個の数字から 2 個とる順列の総数( P )通りある。
よって,求める個数は,積の法則により
5 P 100(個)
(2) 5 の倍数となるのは,一の位が 0 か 5 のいずれかのときである。
(i) 一の位が 0 のとき
百の位,十の位の数字の選び方は,0 以外の 5 個の数字
から 2 個とる順列の総数( P 通り )ある。
( ii ) 一の位が 5 のとき
百の位の数字の選び方は 0 と 5 以外の 4 通りある。その
選び方のおのおのに対して,十の位の数字の選び方は 4
通りある。
よって,積の法則により ( 4 4(通り) )
(i),( ii )より,求める個数は,和の法則により
P 4 4 36(個)
問 17
問 18
5 例題 応 用
6例題応 用
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
9
0, 1, 2, 3, 4 の 5 個の数字から異なる 3 個の数字を選んで,3 桁の整数をつくるとき,次の整
数は何個できるか。
(1) 奇数
3 桁の整数が奇数となるのは,一の位の数字が 1 が 3 のいずれかのときである。
(i) 一の位が 1 のとき
百の位の数字の選び方は 0 と 1 以外の 3 通りある。
その選び方のおのおのに対して,十の位の数字の選び方は 3 通りある。
よって,積の法則により 3 3(通り)
( ii ) 一の位が 3 のとき
百の位の数字の選び方は 0 と 3 以外の 3 通りある。
その選び方のおのおのに対して,十の位の数字の選び方は 3 通りある。
よって,積の法則により 3 3(通り)
(i),( ii )より,求める個数は,和の法則により
3 3 3 3 18(個)
(2) 偶数
3 桁の整数について,百の位の数字は 0 以外の 1, 2, 3, 4 のどれでもよいから,その選び
方は 4 通りある。その選び方のおのおのに対して十の位,一の位の数字の選び方は,百の
位で選ばなかった 4 個の数字から 2 個とる順列の総数 P 通りある。よって,3 桁の整数
の個数は,積の法則により
4 P 48(個)
3 桁の整数が偶数となる個数は,3 桁の整数の個数から(1)で求めた 3 桁の整数が奇数とな
る個数を除けばよいから,求める個数は
48 18 30(個)
(教科書 p.20)
A,B,C,D の 4 人が手をつないで輪をつくるとき,何通りの輪ができるかを考えてみよう。た
とえば,下の 4 つの輪は,(ⅱ),(ⅲ),(ⅳ)の輪を回転するとすべて(ⅰ)の輪に重ねられるから,輪
としては同じである。
そこで,A を固定し,右の図のように 3 つの場所 1 , 2 , 3 に A 以外の 3
人B, C, D を並べれば,異なる輪をつくることができる。
したがって,4 人の輪のつくり方は,1 人を除く 4 1 3(人)のすべてを並べる
順列の総数に等しいから, 4 1 ! 3! 6(通り)ある。
一般に,異なる 𝑛 個のものを円形に並べる順列を
(11 𝑛 個のものの円順列 )
という。円順列の総数について,次のことが成り立つ。
円順列
異なる 𝑛 個のものの円順列の総数は 𝒏 𝟏 !
1, 2, 3, 4, 5 の数字を 1 つずつ書いた合計 5 個の石を,円周上に並べる並べ方は何通りあるか。
異なる 5 個のものの円順列の総数を求めればよい。
5 1 ! 4! 24(通り)
女子 2 人と男子 3 人が円形のテーブルに向かって座るとき,女子 2 人が隣り合う座り方の総数
を求めてみよう。
隣り合う女子を 1 人とみなし,4 人が座ると考える。
これらの座り方に対して,女子 2 人が入れかわる座り方を考えると,求める
座り方の総数は
4 1 ! 2! 12(通り)
先生 1 人,男子生徒 3 人,女子生徒 2 人が円形のテーブルに向かって座ると
き,次のような座り方は何通りあるか。
(1) 女子生徒 2 人が隣り合う。
隣り合う女子生徒 2 人を 1 人とみなし,5 人が座ると考える。このとき,座り方は
5 1 ! 4!(通り)
ある。そのおのおのに対して,女子生徒 2 人の座り方は 2! 通りある。
よって,求める座り方の総数は,積の法則により
4! 2! 48(通り)
(2) 先生の両隣りに女子生徒が座る。
先生 1 人と女子生徒 2 人の計 3 人を 1 人とみなし,4 人が座ると考える。このとき,座り
方は
4 1 ! 3!(通り)
ある。そのおのおのに対して,先生の両隣りに女子生徒 2 人が座る座り方は 2! 通りある。
よって,求める座り方の総数は,積の法則により
3! 2! 12(通り)
円順列
問 19
問 20
問 21
例 9
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
10
(教科書 p.21)
同じ数字をくり返し用いてよいとき,4 個の数字 1, 2, 3, 4 からできる 3 桁の整数は,何個あ
るかを考えてみよう。
右の図のように,各位の場所をつくって考えると,各位には
1, 2, 3, 4
のどれを用いてもよいから,それぞれ 4 通りの選び方がある。
よって,3 桁の整数の個数は,積の法則により
4 4 4 4 64(個)
一般に,異なる 𝑛 個のものから,くり返し用いることを許して,𝑟 個を取り出して並べる順列を
(12 𝑛 個から 𝑟 個とる重複順列 )
という。重複順列の総数について,次のことが成り立つ。
重複順列
𝑛 個から 𝑟 個とる重複順列の総数は 𝒏𝒓
同じ数字をくり返し用いることを許して 3 桁の整数をつくるとき,次の場合に 3 桁の整数は何
個できるか。
(1) 1, 2, 3, 4, 5 の 5 個の数字を用いる場合
百の位,十の位,一の位の各位には,1, 2, 3, 4, 5 のどれを用いてもよいから,それぞれ
5 通りの選び方がある。
よって,3 桁の整数の個数は,
5 125(個)
(2) 0, 1, 2, 3, 4 の 5 個の数字を用いる場合
百の位には,1, 2, 3, 4 のいずれかを用いるから 4 通りの選び方がある。十の位,一の位
は 0, 1, 2, 3, 4 のどれを用いてもよいから,それぞれ 5 通りの選び方がある。
よって,3 桁の整数の個数は,
4 5 100(個)
問 22
例 10
重複順列
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
11
(教科書 p.22)
並べる順序を考えに入れないで取り出して 1 組にしたものを(1 組合せ )という。
一般に,異なる 𝑛 個のものから,𝑟 個を取り出してつくる組合せを
(2 𝑛 個から 𝑟 個とる組合せ )
といい,その総数を(3 C )で表す。
C 通りの各組合せから 𝑟! 通りの順列ができる。これらをすべて合わせると,𝑛 個から 𝑟 個とる
順列のすべてが得られる。
よって C 𝑟! P が成り立つ。したがって, C は次のように書ける。
(4 C ! )
組合せ
𝒏𝐂𝒓 𝒏𝐏𝒓
𝒓!𝒏 𝒏 𝟏 𝒏 𝟐 ⋯ 𝒏 𝒓 𝟏
𝒓 𝒓 𝟏 𝒓 𝟐 ⋯ ∙ 𝟑 ∙ 𝟐 ∙ 𝟏
𝒓 個
𝒏!𝒓! 𝒏 𝒓 !
上の式が 𝑟 0 のときにも成り立つように,(5 C 1 )と定める。
C ∙ ∙∙ ∙
84
次の値を求めよ。
(1) C C ∙
∙10
(2) C C ∙ ∙
∙ ∙20
(3) C
C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙
210
7 人の生徒から 3 人を選ぶときは順序を考えに入れなくてよいから,
その選び方の総数は( C ∙ ∙∙ ∙
35(通り) )
異なる 6 個の菓子から 4 個の菓子を選ぶ選び方は何通りあるか。
6 個のものから 4 個とる組合せであるから
C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙
15(通り)
5 個の文字 a, b, c, d, e から 3 個とる組合せを 1 つつくると,残
った 2 個からなる組合せも同時にできる。
よって,次の等式が成り立つ。
C C 一般に,次の等式が成り立つ。
(6 C C )
C C ∙∙
28
次の値を求めよ。
(1) C C C ∙
∙21
(2) C C C 8
(3) C
C C ∙ ∙∙ ∙
220
円周上に異なる 8 個の点が並んでいる。このとき,これらの点を頂点とす
る三角形は全部で何個あるかを求めてみよう。
円周上の 8 個の点はどの 3 点も同じ直線上にはないから,8 個の点から 3
個の点を選ぶと三角形が 1 つできる
よって,三角形の総数は( C ∙ ∙∙ ∙
56(個) )
正八角形の対角線の本数を求めよ。
正八角形の対角線の総数は,8 つの頂点から 2 つの頂点を選ぶ組合せの総数 C から,辺の総
数 8 を引いたものであるから
C 8 ∙∙
8
28 8 20 (本)
4 組合せ
問 23
問24
問 25
問 26
例 11
例 12
例 13
例 14
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
12
女子 6 人,男子 4 人の 10 人から 5 人を選ぶとき,次のような選び方は何通りあるか。
(1) 女子 3 人,男子 2 人 (2) 少なくとも 1 人は男子
(1) 女子 3 人の選び方は( C )通りあり,そのおのおのに対して男子 2 人の選び方
は( C )通りある。
よって,求める選び方の総数は,積の法則により
C C ∙ ∙∙ ∙
∙∙
120(通り)
(2) 少なくとも 1 人は男子を選ぶ選び方の総数は,男女 10 人から 5 人を選ぶ選び方の総数
( C )から,5 人とも女子となる選び方の総数( C )を引いたもの
である。
よって,求める選び方の総数は
C C C C ∙ ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙ ∙
6 246(通り)
男子 10 人,女子 5 人の 15 人から 6 人の委員を選ぶとき,次のような選び方は何通りあるか。
(1) 男子 4 人,女子 2 人
男子 4 人の選び方は C 通りあり,そのおのおのに対して女子 2 人の選び方は C 通り
ある。
よって,求める選び方の総数は,積の法則により
C C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙
∙∙
2100 (通り)
(2) 少なくとも 1 人は女子
少なくとも 1 人は女子を選ぶ選び方の総数は,男女 15 人から 6 人を選ぶ選び方の総数
C から,6 人とも男子となる選び方の総数 C を引いたものである。
よって,求める選び方の総数は
C C C C ∙ ∙ ∙ ∙ ∙
∙ ∙ ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙
∙ ∙ ∙
4795 (通り)
6 人の生徒を,次のような組に分ける分け方は何通りあるか。
(1) 2 人ずつ A,B,C の 3 組 (2) 2 人ずつ 3 組
(1) 6 人の中から,A 組に入れる 2 人の選び方は C 通りある。
次に,残りの 4 人の中から,B 組に入れる 2 人の選び方は C 通りある。C 組には残りの
2 人を入れる。
したがって,求める分け方の総数は,積の法則により
C C C ∙∙
∙∙
1 90(通り)
(2) (1)の分け方において,A,B,C の区別をなくすと同じ組分けになるものが 3! 通りずつあ
る。
よって,求める分け方の総数は
!15(通り)
8 人の生徒を,次のような組に分ける分け方は何通りあるか。
(1) 4 人ずつ A,B の 2 組
8 人の中から,A 組に入れる 4 人の選び方は C 通りある。
B 組には残りの 4 人を入れる。
したがって,求める分け方の総数は,積の法則により
C C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙
1
70 (通り)
(2) 4 人ずつ 2 組
(1)の分け方において,A,B の区別をなくすと同じ組分けになるものが 2! 通りずつある。
したがって,求める分け方の総数は
!35(通り)
問 27 問 28
7 例題 応 用
8例題応 用
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
13
(教科書 p.26)
7 文字 a, a, a, a, b, b, c のすべてを 1 列に並べる順列を考えてみよう。
これら 7 文字すべてを 1 列に並べる並べ方の総数は,
右の図のように,7 個の場所から 4 個を選んで a を入れ,
残りの 3 個から 2 個を選んで b を入れ,最後の 1 個に c
を入れる場合の数に等しい。
よって,求める並べ方の総数は,積の法則により次のようになる。
C C C ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙
∙∙
1 105(通り)
上で求めた並べ方の総数を階乗の記号で表すと,次のようになる。
C C C !! !
!! !
!! ! !
一般に,a が 𝑝 個,b が 𝑞 個,c が 𝑟 個,⋯ の合計 𝑛 個のものをすべて並べる並べ方の総数は,
C C C ⋯ !! ! !⋯
となる。すなわち,次のようになる。
同じものを含む順列
𝒏!𝒑!𝒒!𝒓!⋯ ただし,𝑝 𝑞 𝑟 ⋯ 𝑛
sense の 5 文字すべてを並べてできる順列の総数を考えてみよう。s が 2 個,e が 2 個,n が 1
個の合計 5 個並べるから !
! ! !30(通り)
1, 1, 1, 1, 2, 2, 2, 3, 3, 4 の 10 個の数字すべてを並べてできる 10 桁の整数の個数を求めよ。
10 個の数字をすべて並べてできる 10 桁の整数の個数は,1 が 4 個,2 が 3 個,3 が 2 個,4 が
1 個の合計 10 個を並べるから
!! ! ! !
∙ ∙ ∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙
12600 (個)
右の図のような道のある町がある。
次の場合の最短経路は何通りあるか。
(1) A から B まで行く。
(2) A から C を通って B まで行く。
(1) 右へ 1 区画進む動きを a,上へ 1 区画進む動きを b で表す
と,A から B まで行く最短経路の総数は,4 個の a と 3 個
の b を 1 列に並べる順列の総数に等しい。
したがって,求める最短経路の総数は
!! !
∙ ∙∙ ∙
35(通り)
(2) A から C に行く最短経路の総数は( !! !
)通りあり,そのおのおのに対して,C か
ら B に行く最短経路の総数は( !! !
)通りある。
したがって,求める最短経路の総数は !
! !!
! !6 3 18 (通り)
同じものを含む順列
問 29
例 15
9例題応 用
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
14
右の図のような道のある町がある。次の場合の最短経路
は何通りあるか。
(1) A から B まで行く。
(2) A から C を通って B まで行く。
(3) A から C を通らずに B まで行く。
(4) A から CD 間を通って B まで行く。
図において,右へ 1 区画進む動きを a,上へ 1 区画進む動きを b で表すことにする。
(1) A から B まで行く最短経路の総数は,5 個の a と 4 個の b を 1 列に並べる順列の総数に等
しい。
したがって,求める最短経路の総数は
!! !
∙ ∙ ∙∙ ∙ ∙
126(通り)
(2) A から C に行く最短経路の総数は,2 個の a と 2 個の b を並べる順列の総数に等しいから !
! !6(通り)
また,C から B に行く最短経路の総数は,3 個の a と 2 個の b を並べる順列の総数に等し
いから
!! !
10(通り)
したがって,求める最短経路の総数は
6 10 60(通り)
(3) A から C を通らずに B まで行く最短経路の総数は,A から B に行く最短経路の総数から,
A から C を通って B まで行く最短経路の総数を引いたものである。
したがって,求める最短経路の総数は
126 60 66(通り)
(4) A から CD を通って B まで行く最短経路の総数は,A から C に行く最短経路の総数 6 通り
のおのおのに対して,D から B に行く最短経路の総数だけある。D から B に行く最短経路
の総数は,3 個の a と 1 個の b を並べる順列の総数に等しいから
!! !
4(通り)
よって,求める最短経路の総数は
6 4 24(通り)
問 30
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
15
(教科書 p.28)
1 男子 4 人,女子 3 人が 1 列に並ぶとき,次のような並び方は何通りあるか。 (1) 女子 3 人が続いて並ぶ。
続いて並ぶ 3 人の女子を 1 人とみなし,5 人を 1 列に並べ,さらに女子 3 人を並べると考
えて
P P 120 6
720 (通り)
(2) 一端に男子,もう一端に女子が並ぶ。 左端に男子,右端に女子が並ぶ場合
C C 5!(通り)
左端に女子,右端に男子が並ぶ場合 C C 5!(通り)
よって,求める並び方の総数は 2 C C 5! 2880(通り)
2 男子 A,B,C の 3 人,女子 D,E,F の 3 人の合計 6 人が円形のテーブルに向かって座るとき,
次のような並び方は何通りあるか。 (1) 男子と女子が交互になる座り方。
男子 3 人が円形のテーブルに座る座り方は,
1 人固定して
3 1 ! 2!(通り)
そのおのおのの座り方に対し,女子 は男子の間に座ればよいから3! 通り
よって,求める座り方の総数は
2! 3! 12(通り)
(2) A と B が向かい合う座り方。
A を固定し,座ることにする。このとき,B は A と向かい合うところに座るから,1 通り
に決まる。 残りの 4 人の座り方は 4 人が 1 列に並ぶ順列の総数に等しい。 よって,求める座り方の総数は
4! 24(通り)
3 5 人を A,B の 2 つの部屋に入れるとき,次のように入れる方法は何通りあるか。 (1) 空室があってもよい。
5 人のそれぞれを A,B のどちらの部屋に入れてもよいから 2 32(通り)
(2) 空室がない。 1 つの部屋が空室になるのは,5 人全員が A,B のいずれかに入る場合であるから,2 通り
ある。よって,空室がない場合は,(1)から空室ができる場合の数を引けばよいから
32 2 30(通り)
4 𝑛 個の要素から 𝑟 個取り出す組合せの総数を,1 つの特定の要素 𝑎 を含む場合と,𝑎 を含まな
い場合に分けて求める方法により,次の等式が成り立つことを示せ。 C C C ただし,1 ≦ 𝑟 ≦ 𝑛 1 異なる 𝑛 個のものから 𝑟 個とる組合せの総数 C は,特定の要素 𝑎 を 𝑟 個の中に含むか含まな
いかに分けると,次のいずれかになる。 (i) 𝑎 を含む組合せは,𝑛 個のものから 𝑎 を除いた 𝑛 1 個から 𝑟 1 個とる選び方があるから
C (ii) 𝑎 を含まない組合せは,𝑛 個のものから 𝑎 を除いた 𝑛 1 個から 𝑟 個とる選び方があるから
C (i),(ii)は同時には起こらないから,和の法則により, C C C が成り立つ。
5 右の図のように,4 本の平行線とこれらに直交する 5 本の平行線
がある。これらの平行線で囲まれる長方形は全部でいくつあるか。 縦,横それぞれ 2 本ずつ選べばよいから
C C 60(個)
問 題
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
16
6 9 人の生徒を,次のような組に分ける方法は何通りあるか。 (1) 4 人,3 人,2 人の 3 組
9 人の生徒から,4 人,3 人,2 人の 3 組をつくるから
C C C 1260(通り) (2) 3 人,3 人,3 人の 3 組
9 人の生徒から,3 人ずつの区別できない 3 つの組をつくるから
!280(通り)
(3) 5 人,2 人,2 人の 3 組
9 人の生徒から,5 人,2 人,2 人の 3 組をつくるのは,2 人の組が 2 つあるから
C
!378(通り)
7 coffee の 6 文字すべてを並べてできる順列のうち,2 つの f が隣り合わないものの総数を求め
よ。 coffee の 6 文字の並べ方は
!! ! ! !
180(通り) そのうち f が隣り合うものは
!! ! ! !
60(通り) よって,求める総数は 180 60 120
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
17
(教科書 p.29)
3 つの集合 𝐴,𝐵,𝐶 について,次の分配法則が成り立つ。
1 𝐴 ∪ 𝐵 ∩ 𝐶 𝐴 ∪ 𝐵 ∩ 𝐴 ∪ 𝐶
2 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐴 ∩ 𝐶
1の等式が成り立つことは,下の図を用いて確かめることができる。
2の等式が成り立つことを,図を用いて確かめよ。
𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 は次の図になる。
𝐴 ∩ 𝐵,𝐴 ∩ 𝐶 はそれぞれ次の図になる。
よって, 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐴 ∩ 𝐶 を考えると,𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 の図と一致していることがわかる。
上の分配法則を利用して,𝐴 ∪ 𝐵 ∪ 𝐶 の要素の個数に関する等式
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 𝑛 𝐶
𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐵 ∩ 𝐶 𝑛 𝐶 ∩ 𝐴
𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∩ 𝐶 ……①
を証明してみよう。
𝐵 ∪ 𝐶 をひとまとめにして,教科書 9 ページの要素の個数に関する公式を適用すると,次のよう
になる。
𝑛 𝐴 ∪ 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐴 𝑛 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 ……②
ここで,分配法則 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐵 ∩ 𝐶 により
𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∪ 𝐴 ∩ 𝐶
𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 𝑛 𝐴 ∩ 𝐶 𝑛 𝐴 ∩ 𝐵 ∩ 𝐶 ……③
また, 𝑛 𝐵 ∪ 𝐶 𝑛 𝐵 𝑛 𝐶 𝑛 𝐵 ∩ 𝐶 ……④
③,④を②に代入すると,①の等式が成り立つ。
問1
参 考 3つの集合の性質
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
18
(教科書 p.30)
3 個の異なる文字 𝑥,𝑦,𝑧 から,同じ文字をくり返し用いてもよいとして,8 文字取り出してつ
くる組合せの総数を求めてみよう。
各組合せは,𝑥,y,𝑧 の順に並べて表すことにする。たとえば,𝑥 を 3 個,𝑦 を 4 個,𝑧 を 1 個と
る組合せは,𝑥𝑥𝑥𝑦𝑦𝑦𝑦𝑧 と表す。この組合せ 𝑥𝑥𝑥𝑦𝑦𝑦𝑦𝑧 に対して,文字を示す 8 個の○と,異なる 3
文字の境目を示す 2 個の からなる順列を,次のように対応させる。
𝑥𝑥𝑥𝑦𝑦𝑦𝑦𝑧 ⇒ 𝑥𝑥𝑥 𝑦𝑦𝑦𝑦 𝑧 ⇒ ○○○ ○○○○ ○
すなわち,第 1 の の左側の○は 𝑥,第 1 の と第 2 の の間の○は 𝑦,第 2 の の右側の○は
𝑧 をそれぞれ置き換えたものである。
このようにすると,すべての組合せに対して,8 個の○と 2 個の からなる順列が 1 つずつ対応
することになる。
したがって,求める組合せの総数は,教科書 26 ページの同じものを含む順列の公式により
!! !
45(通り)
となる。
4 個の異なる文字 a, b, c, d から,重複を許して 9 文字取り出してつくる組合せの総数を求め
よ。
求める組合せの総数は,9 個の○と 3 個の
」
を 1 列に並べる順列の総数に等しいから,同じものを含む順列の公式により
!! !
220(通り)
( C C C 220(通り)と求めてもよい)
上の考え方を用いると,次の例題のような組合せの問題を,簡単に解くことができる。
問1参 考 重複を許してつくる組合せ
数学A advance 1 章「場合の数と確率」
19
方程式 𝑥 𝑦 𝑧 8 を満たす 𝑥,𝑦,𝑧 の 0 以上の整数解の組の総数を求めよ。
たとえば,整数解 𝑥 3,𝑦 4,𝑧 1 について,その組を
𝑥 3,𝑦 4,𝑧 1 ⇒ ○○○ ○○○○ ○
のように,○と を用いて表す。
すなわち,8 個の○と 2 個の を 1 列に並べ, で区切られた○の個数を左から順に,𝑥,𝑦,
𝑧の値と考える。
このように表すと,すべての整数解の組は,8 個の○と 2 個の からなる順列に 1 つずつ対
応させることができる。
よって,求める整数解の組の総数は,8 個の○と 2 個の を 1 列に並べる順列の総数に等し
い。
この順列の総数は,同じものを含む順列の公式により
!! !
45(通り)
となる。
したがって,方程式 𝑥 𝑦 𝑧 8 を満たす 𝑥,𝑦,𝑧 の 0 以上の整数解は( 45 )組あ
る。
方程式 𝑥 𝑦 𝑧 12 を満たす 𝑥,𝑦,𝑧 の 0 以上の整数解の組の総数を求めよ。
求める 0 以上の整数解の組の総数は,12 個の○と 2 個のを 1 列に並べる順列の総数に等しい
から,同じものを含む順列の公式により
!
! !91(組)
( C C C 91(組)と求めてもよい)
コーヒー,オレンジジュース,紅茶,緑茶の 4 種類の飲み物が買える自動販売機で,6 本の飲
み物を購入する。購入の組合せは何通りあるかを求めよ。ただし,買わない飲み物があっても
よい。
求める購入の組合せは,6 個
問3
問2
1 例題
解