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1 10.担持触媒 貴金属の粒子成長(シンタリング)挙動 出典:日立ハイテクHP Pd/Al 2 O 3 のTEM観察 10% H 2 O/air, 900 ˚C, 25h air, 600 ˚C, 3h BET表面積(m 2 /g) 121 71 金属分散度(%) 25 5 Pd 50 nm Pd Pdは低融点でPGMの中でも シンタリングし易い傾向 50 nm TEM/STEM

触媒機能物質化学 2015 [互換モード]lab0/machida/Lectures/17...3 熱安定性低下(劣化) 高分散化(微粒子化) 表面エネルギー増大=粒成長の駆動力

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10.担持触媒

貴金属の粒子成長(シンタリング)挙動

出典:日立ハイテクHP

Pd/Al2O3のTEM観察

10% H2O/air, 900 ˚C, 25hair, 600 ˚C, 3h

BET表面積(m2/g) 121 71金属分散度(%) 25 5

Pd

50 nm

Pd

Pdは低融点でPGMの中でもシンタリングし易い傾向

50 nm

TEM/STEM

2

高角度散乱電子

散乱電子強度I = k Z t (= 2)∴ 厚さ一定 I ∝ Z2 (Z contrast)

環状検出器

収束ビーム

HAADF-STEM High Angle Annular Dark Field Scanning TEM Particle growth of metals on a support

担体上の金属粒子成長構造

原子状分散 atomic dispersion

2次元(ラフト) two-dimensional

3次元(ラフト) three-dimensional

support

support

support

3次元粒子移動 diffusion

3次元粒子融合 coalescence

A

B

C

A

B

①粒子から分かれた分子あるいは原子の担体表面上の拡散surface diffusion of metallic atoms

②ある条件下(揮発性酸化物の生成)、気相状態で分子が移動gas-phase diffusion of metal vapor

担持金属触媒の露出金属表面積Sと時間tとの実験式

S: metallic surface area, t: time

=-KSn K: const、 n: 2~16d t

d S

気相 gas phase

拡散diffusion

粒子間移動

support

Particle growth of metals on a support

担体上の金属粒子成長機構1)酸素雰囲気下における安定性 Stability in oxidizing atmosphere

目安は以下に示す反応のエンタルピー変化(酸化物生成熱)

M(s) + xO2(g) → MO2-x(g)

Os<Ru<Ir<Pt<Pd, Rh

2)水素雰囲気下における安定性 Stability in reducing atmosphere

表面拡散に支配された粒子移動による成長は拡散係数と直線関係にある。拡散係数は表面移動の活性化エネルギーが増すにしたがい減少し、その活性化エネルギーは金属の融点にほぼ比例する。一般に融点(℃)が高いほど粒子は安定である。

growth rate → diffusion rate → activation energy for surface diffusion ∝ melting point

Ag(960)<Cu(1083)<Au(1063)<Pd(1552)<Fe(1536)<Ni(1453)<Co(1495)<Pt(1769)<Rh(1966)<Ru(2500)<Ir(2434)<Os(2700)<Re(3180)

Effect of environment on metals particle growth

金属粒子の安定性と雰囲気

3

熱安定性低下(劣化)

高分散化(微粒子化)

表面エネルギー増大=粒成長の駆動力

高温耐久性の向上(長寿命)

単位質量あたりの触媒活性の向上

貴金属削減の二律背反問題

粒子移動

原子移動

粒子成長は不可避であるが、①成長抑制は可能②動的条件を利用して再生可能鍵となるのは、担持貴金属の相互作用

粒子成長機構

● ●● ●●●●●● ●

●●●●

●●●●

●●● ●

Sintering(Chemical or thermal)

Redispersion

Static phase change(e.g. oxidation)

Non static phase change(e.g. dissolution/ leaching)

Disruption to isolatedOrgano-metallic centres

Morphological variationWetting, refacetting

Structural changes that supported metals in response to physical or chemical stimuli

物理・化学的刺激に対する担持貴金属微粒子の構造変化

Al2O3 上のRhクラスターへのCO吸着による分散(岩澤ら)

貴金属ナノ粒子と吸着分子との相互作用

298 K

金属RhRhカルボニル

錯体

原子数100個以下のRhクラスタは、凝集エネルギーがバルクに比べて低く、分子が吸着するとRh原子状に分解する。 Al2O3

固溶・化合物(RhAlOx)

RhOAl

Al2O3

酸化物担体上のRhの形態変化 Rh/Al2O3

20 nm20 nm

fresh air-aged, 900 °C×25 h

Al-Rh-O

Al2O3

×

4

20 nm

ZrO2

ZrO2

Rh

酸化物担体上のRhの形態変化 Rh/ZrO2

air-aged H2/He-aged

RhZrO2

RhOx

ZrO2

アンカー効果の長所と短所

CeO2 CeO2

Rh

Rh/CeO2 調製後 Rh/CeO2 還元後(900℃)

Rh/CeO2を高温還元するとCeO2がRh表面を被覆する「デコレーション効果」によって活性劣化を引き起こす。

アンカー効果の長所と短所

シンタリング

耐性

Rh-O-M 相互作用の強さ

還元性(活性)

表面拡散

原子移動

粒子移動

担 体

担 体

表面拡散

担 体

担 体

酸化 還元

RhOx

Rh 高活性

アンカー効果が強いほど貴金属微粒子の固定化には有利な反面、貴金属の還元が困難になると活性が発現し難くなる。

高エネルギー加速器研究機構(つくば)

5

XAFS X線吸収微細構造

光子エネルギー

吸収係数

XANES

EXAFS

X線吸収微細構造(X-ray absorption fine structure, XAFS)L吸収端

K吸収端

IIIIIIXANES:X-ray absorption near-edge structure

(X線吸収端構造)

EXAFS: Extended X-ray absorption fine structure(広域X線吸収微細構造)

X線吸収スペクトルの模式図

X線エネルギー

吸収

係数

XANESEXAFS

X線吸収微細構造(X-ray absorption fine structure, XAFS)L吸収端

K吸収端

IIIIII

X線エネルギー

X線

吸収

係数

周囲の原子からの干渉波の情報

配位数・距離など吸収原子 散乱原子

原子の周囲の構造を調べる

XANES:X-ray absorption near-edge structure(X線吸収端構造)

EXAFS: Extended X-ray absorption fine structure(広域X線吸収微細構造)

XANES エネルギーの高い励起束縛

状態やイオン化準位のすぐ上の

準連続状態への遷移によって

XANES構造が現れる.

中心原子の電子構造や対称性を強く反映する

価数などの電子状態に関する情報

結合の角度などEXAFSとは相補的な情報を与える.

○標準的な解析法が確立されていない

○類似化合物との比較による定性的な解

析にとどまっている。

○解析結果は半定量的

問題点

空準位

被占準位

EXAFS

XANES

Innerwellresonance

R

6

Nor

mal

ized

abs

orba

nce

/ a. u

.

Energy / eV4940 502049800

1

2

Ttet: 4配位チタン酸化物種の割合

Toct: 6配位チタン酸化物種の割合

4配位

6配位

触媒1

触媒2

Ttet Toct

触媒1 0.82 0.18

触媒2 0.54 0.46

Ti K-edge XAES

測定例 XANES解析の場合

実スペクトル

フィッティング結果

EXAFS

吸収原子 散乱原子

原子がX線のエネルギーを吸収して束縛を離れた内殻電子が光電子として飛び出す。放出された光電子の球面波が周囲の原子によって散乱される。散乱波と元からの球面波が干渉することによって干渉が生じ、そのために吸収係数が変調されて吸収端付近に微細構造(EXAFS)が現れる。

短距離的な秩序性がある場合

配位数(吸収原子周囲に存在する散乱原子数)、原子間距離を求めることが可能

0

-2

-4

2

4

k3

(k)

4 6 8 10

k (Å-1)

expfit

0

-2

-4

2

4

k3

(k)

4 6 8 10

k (Å-1)

expfit

0 2 3 4 5 610

5

1

2

3

4expfit

Distance / Å

FT m

agni

tude

/ a.

u.

0 2 3 4 5 610

5

1

2

3

4expfit

Distance / Å

FT m

agni

tude

/ a.

u.

(a) (b)

測定例 EXAFS解析

モデル構造

shells k

(Å1)a

R(Å)b CNc

( 0.2)

R(Å)d

(0.03)

2(102 Å2)e

(0.02)

R factor

PrO(1) 3.010.8 1.414.73 3.0 2.41 0.72 0.52

PrO(2) 6.3 2.61 2.13

PrS 1.1 3.48 0.37

PrOPr(1) 1.0 3.81 0.14

PrOPr(2) 5.0 4.10 1.27

カーブフィッティング結果

配位数結合距離

Distance / Å

FT m

agni

tude

/ a.

u.

0 61 2 3 4 5

10

20

30

0

40

50

60

Rh K-edge EXAFSによる界面結合種の分析例

Rh-O Rh-Rh

Rh-O-Al

Rh-O-P

Rh foil

Rh2O3

Rh/AlPO4

Rh/La-Al2O3

Rh/ZrO2

Rh/SiO2

Rh/MgO

Rh-O-Si

Rh-O-Mg

RhOx

Rh

O

M

Rh/担体界面の結合形成

界面

アンカー効果

酸化状態が安定なRhは、種々の担体との界面相互作用を生じやすい。

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EXAFS測定(解析)の長所と短所

長所

アモルファス状態でも測定可能

元素選択性がある

気体、液体、固体状態の非破壊測定が可能

真空を必要としないため溶媒中や各種の雰囲気下でのin-situ測定が可能

短所

結合距離が近接した多種類の種が存在する場合、解析が困難

中心原子のごく近傍の情報しか得られない(最大0.5~0.6 nm)

軽原子に対しては実験的に困難

解析結果に任意性がある