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採択番号 29-051 申請区分:海外市場獲得 平成 29 年度医工連携事業化推進事業 成果報告書 「次世代医療機器-注射代用低侵襲マイクロニードルの事業 化・海外展開」 平成 30 年 5 月 コスメディ製薬株式会社

平成 29 年度医工連携事業化推進事業 「次世代医療機器-注 …...採択番号29-051 申請区分:海外市場獲得 平成29 年度医工連携事業化推進事業

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採択番号 29-051

申請区分:海外市場獲得

平成 29 年度医工連携事業化推進事業 成果報告書

「次世代医療機器-注射代用低侵襲マイクロニードルの事業

化・海外展開」

平成 30 年 5 月

コスメディ製薬株式会社

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目次

1. 事業の概要 .................................................................................................................... 1

1.1 事業の目的 .................................................................................................................... 2

1.2 事業の実施体制 ............................................................................................................ 2

1.3 最終製品(=事業化する医療機器) ........................................................................... 3

1.4 上市(投資回収)に至るまでのプロセス(事業計画) .............................................. 9

1.5 事業化に向けた検討結果 ............................................................................................ 12

1.6 平成 29 年度補助事業の成果概要 ............................................................................... 17

1.7 補助事業の振り返り ................................................................................................... 45

1.8 平成 30 年度以降の実施内容に関する計画(案) ..................................................... 49

1.9 事業に関する連絡窓口 ............................................................................................... 51

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1

1. 事業の概要

注射代用低侵襲マイクロニードルは生分解性ポリマー(ポリグリコール酸)からなる微細針のパッチ

形態の新規医療機器である。微細針の先端部に薬物を精密に塗布し、皮膚に貼付することで薬物を体内

投与できる。注射と比べて出血しない、無痛、簡便且つ安全な投与形態により自己投与が可能、固形製

剤により保管・輸送に便利、注射針の産業廃棄物のコスト低減等、医療費の削減や患者の QOL を著し

く向上させ、国内外に普及させる大きな将来性を有する。

次世代医療機器―注射代用低侵襲性マイクロニードルの事業化・海外展開

貼るワクチンを可能とする独創的経皮吸収システムコスメディ製薬株式会社、ニプロ株式会社、国立病院機構三重病院

H29-051

注射の痛みがない自己投与が可能

早期実用化が望まれる経皮ワクチン

ものづくり中小企業・コスメディ製薬:会社の紹介・事業展開

注射針不要。2次感染の恐れなし ワクチン接種に医療技術者が不要。コールドチェイ

ン不要(開発途上国に特に有効) ワクチンの大規模接種が容易

自己投与が無痛で簡便・容易に実施できる 糖尿病薬、骨粗鬆症薬、C型肝炎資料薬、等長期

投与薬物に適切な経皮吸収システム

Class II

●経皮吸収技術を基盤とする開発志向の大学発ベンチャー●経皮吸収製剤開発からマイクロニードル開発へ●世界初のマイクロニードル化粧品上市(2008年)

MN(上)及び薬物塗布MN(下)

MNパッチ

平成30年 (2018)年3月時点

直接販売

相談

申請

医療機関(事業分担者)

国立病院機構三重病院• 基礎研究• 臨床試験

製販企業

コスメディ製薬(株)• デバイス設計・開発• 安全性・信頼性確立• 実用化研究推進

医薬品医療機器総合機構(PMDA)

助言

承認

顧客

ニプロ韓国、中国

研究機関(事業分担者)

ニプロ㈱マイクロニードルへの薬物

塗工技術開発実用化 中

平成30(2018)年3月時点

補助事業実施体制

PL

SL

代表機関

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1.1 事業の目的

【目的】

薬物投与のための手段として注射法は医療従事者及び患者にとって以下のような欠点を有しており、

注射法に代わる薬物投与のための新しい方法への潜在的需要は極めて大きい。

1.冷蔵管理が必要であり、輸送・保管に費用を要する。

2.ヒトへの薬物投与に熟練した医療従事者が必要である。

3.注射針を介した 2 次感染の恐れがある。

4.注射の痛みが患者コンプライアンス低下につながる。

海外においても事情は同様であり、運輸・電気等インフラの整備及び医療従事者の充足を考慮すると新

規薬物投与法への重要性は特に開発途上国において極めて切実である。

これを解決するために、本事業においては、薬物投与法としての注射法に代わってマイクロニードル法

を提案する。マイクロニードル法は上記注射法の 4 欠点を全てクリヤーする可能性を有する新規投与法

である。マイクロニードル医薬品は、ヒトへの投与において簡便容易である。薬物経時安定性に優れてい

るので製剤の輸送・保管において冷蔵管理が不要となる。さらに医療廃棄物処理コストが削減でき、医療

経済の面から効果がある。投与が極めて容易であるので熟練した医療従事者を必要とせず、それゆえ継続

的自己注射投与を必要とするケースにおいてマイクロニードル法の特徴が最大限活かされるものと考え

られる。特に、無痛、出血しない、子供への注射抵抗がなくなり医療現場を助ける。また、マイクロニー

ドルワクチンの場合、医療従事者不要、室温保存可能であり、また針の使いまわしによる 2 次感染の恐

れもなく、発展途上国向けのワクチンとしての大きな利便性を有する。

そこで本事業では、マイクロニードル開発・製造に関し新規医療機器の第一歩として塗布型インフルエ

ンザマイクロニードルを開発し、そのための QMS 対応生産体制を整備し、GLP 準拠安全性試験を実施

し必要に応じ臨床試験を遂行し本マイクロニードルを医療機器としての承認を得て広く内外に普及させ

ることを目的とする。貼付型マイクロニードル医薬の実現により患者の QOL を著しく向上させ、より安

心・安全な社会の実現に貢献したい。

なお、国内市場については、平成 31 年 4 月に医療機器製造承認の薬事申請を行い、平成 32 年 3 月承

認取得後上市を目指す。ここにおける上市はマイクロニードル医薬の臨床試験のため最終製剤を製造す

るニプロ㈱にマイクロニードルを医療機器としての販売を意味する。また海外市場(対象国:韓国)につ

いては、平成 32 年 12 月に塗布型インフルエンザマイクロニードル医薬の製造承認申請を韓国製薬会社

(Phambio Pharma 社)が実施し、KFDA の製造承認取得し医薬品として上市できるのは、インフル注

射薬の後発品認定であれば平成 33 年 12 月、新薬認定であれば平成 37 年 4 月を目標とする。

1.2 事業の実施体制

代表機関:コスメディ製薬株式会社

PL: 神山 文男(コスメディ製薬株式会社)

SL: 藤澤 隆夫(国立病院機構三重病院)

共同体: ①ニプロ株式会社

②国立病院機構三重病院

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(2)保護粘着テープ

(1)マイクロニードルパッチ

(3)ケース

(4)ホルダー

1.3 最終製品(=事業化する医療機器)

(1) 事業化する医療機器の概要

1) 医療機器等の種類

機器等の種類 管理医療機器 クラス分類 クラス II

製品名 PGAマイクロニードル 分類名称(一般的名称) 新医療機器なので名称無し

対象疾患 ワクチン、糖尿病、他 届出/認証/承認 承認

想定される販売先 日本、韓国、中国の製薬会社 新/改良/後発 新

使用目的又は効果 薬物(ワクチンをも含む)の経皮投与

薬事申請予定者 コスメディ製薬 医療機器製造販売業許可 申請予定

当該製品の製造を担う

事業予定者

コスメディ製薬 医療機器製造業許可 申請予定

業許可

業許可

2) 医療機器等のターゲット市場

国内市場 海外市場

韓国、中国

薬事申請時期 平成 31(2019)年 4 月 平成 32(2020)年 12 月

上市時期 平成 32(2020)年 3 月 平成 33(2021)年 12 月

想定売上(上市後 3年目) 0.3 億円/年

(平成 34(2022)年時点)

0.3 億円/年

(平成 35(2023)年時点)

市場規模(上市後 3年目) 900 億円/年

(平成 34(2022)年時点)

9000 億円/年

(平成 35(2023)年時点)

想定シェア(上市後 3年

目) 0.03%(平成 34(2022)年時点) 0.003%(平成 35(2023)年時点)

3) 事業化する医療機器の概観・特長

製品名 PGA マイクロニードル

構成物 1 式

(5)アプリケータ

(1)マイクロニードルパッチ

(2)保護粘着テープ

(3)ケース

(4)ホルダー(キャップ)

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各部の概観は以下のようにまとめる

(1)マイクロニードルパッチ:円形針部及び基盤部よりなる。針表面に薬物を塗布する。

マイクロニードル 拡大図

<寸法>

<その他、規格値設定>

針本数 針長さ 針先端直径 針根元直径

1027 ~ 1111 本 850 ~ 950 μm 40 ~ 60 μm 150 ~ 200 μm

(2)保護粘着テープ:マイクロニードルパッチを接着保持する。

<寸法>

直径 面積

29 ± 1 mm 6.62 ± 0.45 cm2

(3)ケース:保護粘着テープを安定に保持する機能と経皮投与時にアプリケータ先端に取り付

けられる機能を有する。

基底部長辺

(A)

基底部短辺

(B)

ニードル部(C)

円形直径

ニードル部(C)

面積

13.8 ± 0.4 mm 11.8 ± 0.4 mm 11.0 ± 0.4 mm 0.95 ± 0.07 cm2

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<寸法>

外径(A) 高さ(B)

41.0 ± 0.4 mm 10.0 ± 0.4mm

(4)キャップ:マイクロニードルパッチの保管、輸送時の安定的保持のために用いる。

<寸法>

巾 長さ 収容部半径 高さ

34.0 ± 0.3mm 43.0 ± 0.3mm 23.0 ± 0.3mm 13.5 ± 0.3mm

A

B

長さ

高さ

収容部半径

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(5)アプリケータ

マイクロニードルパッチを皮膚投与するための冶具

アプリケータ主要部とその機能

名称 機能及び動作

スライド 右にスライドさせてバネを圧縮する

ケース アプリケータ先端にケースごとマイクロニードルをセ

ットする

トリガー 圧縮したバネを解除してマイクロニードルパッチを経

皮投与する

特長

マイクロニードルの注射法と比較しての一般的特徴は1.1【目的】において詳述している。本開発

のマイクロニードルは世界的にも類を見ないものであり、以下の 2 つの特徴を有する。

(1)材料として生体内安全性が確保されているポリグリコール酸(PGA)を用いる(特許 5852280

として権利化)。

(2)独自製法による 3 段針を用い確実な薬物体内送達を図る(段差付きマイクロニードルは特許

5472771 として権利化。本開発になる 3 段針マイクロニードルに関しては現在意匠登録中)

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(2) 市場性(想定購入顧客)

1) 当該機器等の市場性及び医療現場で期待される波及効果

マイクロニードル医薬品は、ヒトへの投与において簡便容易である。薬物経時安定性に優れ、輸送・保

管・医療廃棄物処理コストが削減でき、医療経済の面からその効果は計り知れないものがある。さらに自

己投与に極めて容易であるので継続的自己注射投与を必要とする場合においてマイクロニードル法の特

徴が最大限活かされるものと考えられる。また、ワクチン搭載マイクロニードル(マイクロニードルワク

チン)は特に発展途上国向けのワクチンとしての大きな利便性を有する。

① 提案する機器の想定顧客

本開発事業化製品である PGA マイクロニードルは、医薬品製造メーカーに販売する予定である。具体

的に直接的ユーザーの最大手はニプロ㈱である。ニプロ㈱が PGA マイクロニードルを仕入れ針上に薬物

を塗布した医薬品を最終製品として製薬販売会社に販売し、医療機関に販売する予定である。

② 提案する機器の想定市場規模

マイクロニードル法は注射法に代わる新規な薬物投与法であり、現在注射法によって投与されている

全薬物の投与の代替となりうる可能性を有する。

具体的例として最もマイクロニードル開発が進捗しているインフルエンザワクチンに関して試算する。

現在日本のインフルエンザワクチン市場 900 億円/年、毎年 10%増。3000 万本/年 生産。マイクロニー

ドルの利便性、優位性から従来接種者と新規接種者を合わせて上市 3 年後に 2 割獲得(600 万本)を狙

い、マイクロニードル 1 枚 20 円としマイクロニードル年間 1.2 億円の売り上げになる(末端市場は 180

億円となる)。中国、韓国のインフルエンザ市場は日本の 10 倍(12 億円)と概算される。

一方、海外事業展開において糖尿病治療薬としてインスリンアスパルト、エクセンジンのマイクロニー

ドル医薬品の開発を進めている。これらのマイクロニードル医薬を正大製薬集団にライセンスして中国

市場導入する。中国での糖尿病患者が 1140 万人とし、その中の 1 割がマイクロニードルによる投与法を

選択した場合 114 万人となる。患者は週 1 回の注射をうけるとすると(年 48 回)、年間約 5.4 億本製剤、

すなわち 5.4 億本のマイクロニードル医療機器を輸出することになる。マイクロニードル 1 本を 20 円で

計算すると年間 108 億円に相当する。

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(3) 競合製品/競合企業との差別化要素

1) 競合製品/競合企業の動向

開発するマイクロニードル医療機器は、注射法に代わる新しい薬物投与法であり、最大の競合製品は注

射器である。現在の注射投与法は、注射針を介した 2 次感染の恐れや、注射の痛み、出血など患者コンプ

ライアンス低下等多くの欠点を有する。そのため、多くの医療機器メーカーは、注射針の微小化、無針注

射器の開発、製品化を行ってきた。代表的な競合製品 1 はベクトンディッキンソンのペン型注入器用針

32G、競合製品 2 はテルモの「ナノパスニードルⅡ」34G の注入器用針である。これらの注射針は痛み

を低減する目的で針先端部の径を 0.18~0.23mm、針長さは 4mm の設計としているが、マイクロニード

ルの微細さ(先端部 0.05mm、針長 0.9mm)には比べられないほど皮膚へのダメージ(出血、痛み)が

大きい。また、無針注射器(ハイジェックター)は機械の圧力で制御するため皮膚に入れる深さのコント

ロールが困難であり、十年前から各国において使用制限を設けている状況である。

そこで、マイクロニードルは、注射針代用の最も有望な医療機器であり、近年世界的に研究開発が行わ

れている。代表的な開発品は米国 ZOSANO 社のチタン材質の金属マイクロニードルである。現在骨粗鬆

症治療薬 PTH を塗布したマイクロニードルが米国にて臨床試験中である。このような金属製マイクロニ

ードルは万が一皮内で折れた場合の安全性に疑問がある。

マイクロニードルは注射法に勝る優位性(有効性、安全性、患者コンプライアンス、保存性)をいかに

立証し、臨床試験を経て製品化にもっていくかが将来市場獲得のポイントと認識する。そのため、現在進

めているインフルエンザマイクロワクチンの臨床試験第 I 相の結果が重要である。

2) 当該医療機器等と競合製品/企業とのベンチマーキング(競合との差別化要素)

競合商品との比較として、ベクトンディッキンソン、テルモの微小化針との比較を下表に示す。

提案機器 競合機器1 競合機器2

メーカー コスメディ製薬 ベクトンディッキンソン テルモ

概要 針長さ 0.9mm のマイクロニ

ードルが 1000 本立つパッチ

針長さ 4mm、針内径

0.23mm の注射針

針長さ 4mm、針内径

0.18mm の注射針

型式 マイクロニードルアレイ 32G 34G

特徴 無痛、投与容易 痛み軽減 痛み軽減

国内市場規模

国内シェア 100%

海外市場規模

海外シェア 0%

売価 20-30 円/本 15 円/本 30 円/本

保険償還 点数

クラス分類 クラス II クラス II クラス II

上記の製品はどちらもマイクロニードルに分類されるがその本質は非常に異なる。提案機器はそれ自

身で流通することはなく、針上に薬物を塗布された医薬品主たるコンビネーション製品として流通する

ものである。競合機器はそれ自身で医療機器として市販されており、最終ユーザーが注射筒と接続して経

皮投与する。コスト的には提案機器が大量生産の段階になったときは競合機器とほぼ同等の価格になる

と予想する。

提案機器は薬物を乾燥状態で保持し薬物の安定性は高く、保管、輸送に便である。競合機器 1 に比べ

て提案機器は長さがはるかに短く投与時の痛みははるかに小さい。

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1.4 上市(投資回収)に至るまでのプロセス(事業計画)

(1) 補助期間後を含めた事業計画の概要

H28(2016)年度 H29(2017)年度 H30(2018)年度 H31(2019)年度 H32(2020)年度 H33(2021)年度 H34(2022)年度 H35(2023)年度以前 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3

要素技術開発・溶解型、非溶解型MNの基礎・開発研究

試作機開発・改良【製品名】

薬物塗布に関する試作装置を製作し改造を重ねた

量産機開発【製品名】

臨床研究

薬事申請 ★ ★海外薬事申請

知財対応

販売戦略

上市時期 ★ ★

スケジュール変更理由

事業の実施内容

自主事業の内容

◎MN製造装置の設計製作

◎MN薬物塗布機の設計製作◎インフルエンザワクチン開発と性能評価

◎インフルエンザワクチン、インフルエンザ蛋白医薬の臨床試験結果に基づき、国内外の製薬会社へのライセンス活動を強める◎国内での医療機器としての承認を得てMNを医療機器として販売開始

◎韓国でのライセンス活動を強め韓国へのMN販売を開始◎インフルエンザMNワクチンを韓国ライセンシングと臨床試験用製剤の販売

◎マイクロニードル射出成型の検討◎PMDAへのMN位置づけ相談◎マイクロニードル製造環境のクリーン化整備◎インフルエンザ用MNの開発製造◎インフルエンザワクチン塗布法の検討◎MN塗布適切薬物の選定検討(三重病院)

◎ポリグリコール酸の非臨床試験による安全性評価◎インフルエンザワクチンMNの臨床試験第1相実施

◎蛋白医薬MNの臨床試験第1相実施

◎インフルエンザワクチンクリーン自動塗布法の検討及びGMP対応製造体制の樹立(ニプロ)

PGAMNの物性評価とMN成形条件の検討、最適化

PGAMNへの薬物塗布法の検討、最適化

薬物塗布装置開発・自動化 自動薬物塗布装置を用いる評価用MNの試作

ニプロ 臨床試験用自動薬物塗布装置開発 バリデーション インフルエンザワクチンMNの製造 蛋白医薬MNの製造

コスメディ PGAMN及びキャップなどの関連部品の生産体制樹立と無菌製造・供給

三重病院、他 インフルエンザワクチンMN,蛋白医薬MN関する臨床治験

QMS体制整備MNを医療機器承認申請

他社出願特許の監視と対応

自社特許出願と権利化、系統的特許網の作成

日本製薬会社とのMN医薬共同開発、ライセンシング

韓国、中国製薬会社とのMN医薬共同開発ライセンシング

国内上市 韓国上市

PMDA対面助言

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(2) 投資回収計画

マイクロニードル販売価格:競合機器であるペン型注入器用針(ベクトンンディッキンソン)が 17 円

であることに鑑み製造原価を考慮して設定し大量生産時 20 円と設定した。

ライセンシングフィー: 弊社の過去の医薬品開発ライセンシングフィーを参照して決定した。本件に

おいては、医薬品開発契約時:30,000 千円+承認申請時:30,000 千円+承認取得時:30,000 円と設定し

た。

製品粗利率、販売及び一般管理費は弊社の前年度決算表からの値を使用した。

① 国内

(新規医療機器及び医薬品ライセンス費として)

H29

(平成

29)

H30

(2018)

H31

(2019)

H32

(2020)

H33

(2021)

H34

(2022)

H35

(2023)

H36

(2024)

H37

(2025)

H38

(2026)

薬事申請時期 ●

上市時期 ●

支出額

(単位:億円) 0.7 0.7 0.7 0.6 0.6 0.6 0.7 0.7 0.7 0.7

うち補助対象 0.5 0.5 0.5 - - - - - - -

うち自己負担 0.2 0.2 0.2 0.6 0.6 0.6 0.7 0.7 0.7 0.7

売上高

(単位:億円) - - - 0.0 0.3 0.3 0.04 0.1 0.9 1.52

販売数量

(単位:本) - - - 0.0 10,000 20,000 20,000 25,000 3,000,000 6,000,000

② 海外

(新規医療機器及び医薬品ライセンス費として)

H29

(平成

29)

H30

(2018)

H31

(2019)

H32

(2020)

H33

(2021)

H34

(2022)

H35

(2023)

H36

(2024)

H37

(2025)

H38

(2026)

薬事申請時期 ●

上市時期 ●

支出額*

(単位:億円) 0.015 0.015 0.015 0 0 0 0 0 0 0

うち補助対象 0.01 0.01 0.01 - - - - - - -

うち自己負担 0.005 0.005 0.005 0.6 0.6 0.6 0.7 0.7 0.7 0.70

売上高

(単位:億円) - - - 0.0 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.9

販売数量

(単位:本) - - - 0.0 20,000 20,000 30,000 30,000 50,000 3,000,000

*国内、海外の開発は同一製品で同時に開発するため、出張費以外研究開発の支出の区分けは難しいの

で、国内の投資計画に一括して入れている。

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③ 国内・海外合計

H29

(平成

29)

H30

(2018)

H31

(2019)

H32

(2020)

H33

(2021)

H34

(2022)

H35

(2023)

H36

(2024)

H37

(2025)

H38

(2026)

支出額

(単位:億円) 0.715 0.715 0.715 0.6 0.6 0.6 0.7 0.7 0.7 0.7

うち補助対象 0.51 0.51 0.51 - - - - - - -

うち自己負担 0.205 0.205 0.205 0.6 0.6 0.6 0.7 0.7 0.7 0.7

売上高

(単位:億円) - - - - 0.6 0.6 0.34 0.4 1.2 2.42

販売数量

(単位:本) - - -

20,000 40,000 40,000 55,000 3,050,000 9000,000

※各年 4 月~3 月の年度で表記。

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1.5 事業化に向けた検討結果

(1) ビジネススキームの特長

1) 売れ続けるためのビジネスの”仕組み”

① マイクロニードルの認知度をアップ:国内外学会、展示会を通じて広く宣伝しマイクロニードルの優

位性を PR する。

② 産学連携により積極的に大学との共同研究を実施し、マイクロニードルの理論根拠を深める。

③ 既承認注射薬又は新規薬物をマイクロニードル製剤開発により、マイクロニードルの使用を広げ、承

認取得することにより長期販売戦略を確立する。

④ 製品の品質向上と共に、社内販売体制を完備し、アフターサービスを充実する。

量産体制および生産規模を市場のニーズに合わせ適切に投資し、妥当な価額で提供するよう努力を続

ける。

製造企業第一種医薬品製造業

• (財) 阪大微生物病研究会ワクチン原薬製造

顧客(国内、韓国、中国)

PGA原料メーカー外注

上市後のビジネス体制

平成30(2018)年3月時点

製造企業第一種医薬品製造業

ニプロ (株)• マイクロニードル医薬品製造

販売企業第一種医薬品製造販売業

製販企業第二種製造販売業[予定]

コスメディ製薬 (株)• マイクロニードル製造販売

• マイクロニードル医薬品ライセンス

PL

ケース、キャップの成形メーカー

滅菌受託会社

ライセンス

医療機器販売

ロイヤリティ

外注

外注

代表機関

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13

(2) 事業化に向けた検討結果

1) 薬事申請

事前面談(平成 29年 5月 24日@PMDA)

PGA マイクロニードルへインフルエンザワクチン(HA)塗布製品の臨床試験への進め方について指導

を受けた。

事前面談(平成 29年 7月 25日@PMDA)

医療機器担当官との相談においてマイクロニードルの医療機器申請へのプロセスに関して指導を受け

た。

事前面談(平成 29年 11月 7日@PMDA)

対面助言を控えて整えるべき最終の資料,他について指導を受けた。

対面助言(平成 29年 12月 8日@PMDA)

ターゲットするマイクロニードルコンビネーション製品における臨床試験への進め方について、マイ

クロニードル自身、薬物塗布マイクロニードルに関する前臨床試験、規格、臨床試験第 1 相、に関する指

導を受けた。

2) 知財戦略検討状況

国内外の先行技術調査と保有特許の精査(強化のための取組)

知財に関して、顧問弁理士と共同で本プロジェクト推進に関する特許状況を再調査した。

また、最も早いライセンス先と位置づけている韓国におけるマイクロニードル関連特許調査を実施し

た。

権利化/ブラックボックス化、意匠権・商標権等との組み合わせ等のミックス戦略

特許出願に関しては出願すべきか、ノウハウ秘匿とするかに関しては十分な検討を行っている。製法に

関しては原則として出願しない。

模倣品・侵害者が現れたときの対応

マイクロニードルにおける模造はデザイン、包装、皮膚適用法、など種々の形態の模造が出現している。

それに備えて、マイクロニードルに関しては基本的特許(PGA を用いるマイクロニードル:すでに権利

化)以外に可能な限り細かい新規事項をも出願する方針で進めている。対応に関しては、弊社の顧問弁理

士及び、知財専門の顧問弁護士と相談の上適切に対処している。

3) 開発戦略検討状況

開発リスクの明確化と対応

マイクロニードルは世界的にも研究開発段階であり未だ市販品はない。その医療器具としての開発と

事業化は世界に先行しているので薬事的、性能的、製造面、における未知の事柄、リスクは多い。我々は

未知の領域を進み、振り返ってそこでリスクを具体的に把握し解決策を見出して前進するというプロセ

スを繰り返しつつ現在に至った。今後ともこの方針で進めたい。

薬事申請に必要なエビデンス収集

マイクロニードルはいまだ日本の医療器具に登録されていない。申請に必要なエビデンスは、ニプロ

(株)、国立病院機構三重病院、あるいは国立病院機構総合研究センター、などの協力化に収集する。

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14

4) 販売戦略等

販売チャネル、供給(生産、物流)体制

医療機器としてのマイクロニードルの原料調達、生産、流通に関しては以下のように考えている。

マイクロニードルの主原料であるポリグルコール酸は医療グレードを(株)クレハから購入することは契

約済みである。マイクロニードルの生産は最近完成した医療機器製造専用クリーンルームで実施する。

主要販売チャネルはコスメディ製造のマイクロニードルをニプロ(株)が薬物塗布し、コンビネーション

製剤として内外の製薬会社へ販売するルートである。海外展開のターゲットとしては韓国を第一に考え

ており、韓国製薬会社との Letter of Intent を締結した。韓国製薬会社への供給に関しては貿易業者(山

葉商事(株))が決定している。

アフターサービス体制、使用教育体制、クレーム処理体制

今年度は情報収集と理解深度化に努めた。今後は、医療機器品質保証体系に則り、各種必要規定を整備

し記録書を作成することを来年度実行し、上市にそなえる。

QMS等の品質保証体制

今年度は情報収集と理解深度化に努めた。今後は、品質保証体系に則り、各種必要規定を整備し記録書

を作成することを来年度実行する。

広報・普及計画

本プロジェクトを通じてマイクロニードルの有用性を実証してゆく。それらのデータをもとに 2 方向

に広報普及活動を展開したい。1つ目は医師へのマイクロニードルの有用性の理解を深める活動であり、

セミナー、学会発表、を通じて行う。2 つ目は内外の製薬会社への活動であり製薬会社への直接的接触を

主とし、ニプロとの共同により実施する。

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5) 事業化に向けた課題(隘路)と対応策(まとめ)

領域 事業化に向けた課題(隘路) 左記への対応策

薬事

① 全く新規な医療機器としての申請の

プロセスは何か。

② 非臨床試験の内容は局所刺激性のみ

か、全身性毒性試験も必要か。

③ 医薬品との組み合わせ、即ちコンビネ

ーション医薬品としての臨床試験プ

ロトコールはどうあるべきか。

左記に関して、平成 29 年 12 月 8 日に PMDA 対面

助言を実施し臨床試験への道程を明確にできた。

① マイクロニードルは医療機器であり、インフル

エンザワクチンを塗布したマイクロニードルは

コンビネーション製品である。

② マイクロニードル自身の皮膚適用に関する局所

刺激性試験及び生物学的安全性(細胞毒性及び

感作性)試験を実施する。これはマイクロニー

ドルの医療機器申請用のデータとして必須であ

る。

③ 臨床試験に関して国立病院機構総合研究所から

実施案を提示し PMDAの承認を得た。

知財

① 本品は世界的競合の中にあり内外か

らの特許出願も多い。コスメディ技術

を保護防衛するために知財への細か

な目配りが必須である。

② 組み合わせる医薬品の原薬、製剤特許

との抵触リスクがあるか。

③ マイクロニードルの新規製造法及び

医薬品塗布製剤の特許出願できるか。

① 前記 2)「事業化する医療機器の概観・特長」に

述べているように、特許 5852280、特許

5472771、として現在実施態様を権利化してい

る。

② 顧問弁理士をも含め知財出願状況は定期的に観

測記録し弊社技術との関連を常に把握してい

る。

③ 平成 29 年 12 月 6 日のコンサルティングでのア

ドバイスに基づき、現在実施の 3 段針に関して

意匠登録を出願した。今後も、開発の先端に常

に目配りし出願可能な技術内容はこまめに特許

出願することを方針とする。

技 術 ・

評価

① マイクロニードル開発は世界的に最

先端であり他社としのぎを削ってい

る。常に自社技術の有利点、不利な点

を詳細に自己点検する必要がある。

② 皮膚の柔軟性や厚みの異なることか

ら動物評価からヒトヘの予測が難し

い。

③ ビジネス展開において臨床評価結果

が欠かせない。

① 他社マイクロニードルの開発推移は学会報告、

学術論文、特許、等を注視して開発方向、技術内

容に関し注目してゆく。

② これまで大学との連携によりマイクロニードル

医薬の動物での評価によりマイクロニードル医

薬の有用性エビデンスを積み重ねてきた。さら

に、ヒトと皮膚厚みが類似する子豚においても

in vivo 試験を実施し多くの情報が得られた。

その結果をも参考にして臨床試験に進める段階

となった。

③ インフルエンザワクチンをターゲット薬物とす

るマイクロニードルコンビネーション製品とし

て臨床試験が具体化できる目処をえた。本成績

をもって世界に展開したい。

その他

事業化

全般

① 市場規模、ニーズを調査し、開発方向

性、量産規模など確認する。

② 開発の進捗と共に本技術の応用製品

の具体化、ライセンス先の絞り込みが

重要となる。

③ マイクロニードル優位性の認知度を

向上させる必要がある。

④ 国内のみではなく海外戦略が必要で

ある。

① 業界の公開情報、専門情報会社に依頼し常に市

場の動向を把握する。マイクロニードル及び組

み合わせるインフルエンザワクチンの韓国、中

国市場に関しては最近詳細な情報を得た。

② ニプロと共にマイクロニードルコンビネーショ

ン製品の販売会社を選定する動きを開始。本格

的ライセンス活動は臨床試験の終了後となる。

③ 学会、展示会を通じて積極的にマイクロニード

ル技術及び本事業成果を PR する予定である。

④ 世界的にマイクロニードルは注目度は高く、韓

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領域 事業化に向けた課題(隘路) 左記への対応策

国、中国からの提携の動きが先行している。臨

床試験を成功裏に終了させるのが現時点で最も

肝要である。

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1.6 平成 29年度補助事業の成果概要

(1) 補助事業の事業概要

本年度(29 年度)において本事業では、マイクロニードル開発・製造に関し新規医療機器の第一歩として塗布型マイクロニードルを開発し、その

ためのマイクロニードルの仕様を最適化、及び製造環境の整備、無菌体制の樹立、治験薬製造に向けて無菌バリデーション及び塗布条件の最適化、さ

らに安全性を確認し臨床試験の準備を行う。薬事的 PMDA と事前面談及び対面助言により新規医療機器及びコンビネーション製品として薬事的位置

付けを明確化する。

(2) 補助事業終了時までに完成する試作品の概要

試作品名 概要

PGA マイクロニードル(3 段針) ヒト皮膚への穿刺性を確保する PGA マイクロニードル(3 段針、長さ 900m)

インフルエンザマイクロニードル

ワクチン

4価季節性インフルエンザ HA 抗原を PGA マイクロニードル先端部に塗布した製品。本品の 4 価 HA 抗原

総含有量は 60g 以上である。

(3) 平成 29年度の補助事業の成果と今後検討すべき課題

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

①製品開発・評価(コ

スメディ製薬)

1)製造環境整備・

無菌的量産化

マイクロニー

ドル製造のた

めのクリーン

ルームの設置、

製造ソフトの

作成により射

出成型の自動

化及び関連装

置、を設計製

作。及び MN副資

材の設計製作。

1)製造環境整備・無菌的量産化

◎クリーンルームの設計、設置工事は 12 月 28 日終了。

・マイクロニードル成型及び薬物塗布はクリーン度1万、湿度 60%以下の環境で製造出来るよう整備

した。

・機械移設、全面稼働は 5 月予定である。

◎ PGA マイクロニードルの無菌保証ための製造プロセスを確立した。

・マイクロニードル射出成型⇒パレットに 30 枚集積⇒アルコール洗浄⇒乾燥⇒密封包装 ⇒放射線滅

菌(線量 15kGy)

・現在本製造プロセスによる無菌バリデーション計画実施中。

◎MN 副資材(ケース、ホルダー、それを収納する各トレイ)等の設計製作および無菌保証ための製造

プロセスを確立した。

・マイクロニードル収納するケースを例に以下に説明する。

・射出成型⇒洗浄⇒保護粘着テープ溶着⇒放射線滅菌(線量 25kGy)

・本プロセスによる試作品は、

① 無菌試験:ISO/TS 11139 に準拠した無菌試験において微生物が検出されなかった。

1)関連

射出成型機をク

リーンルームに

移設しクリーン

環境下でのマイ

クロニードル成

型を実施。

その他副資材を

医療機器成型実

績を有する会社

において委託す

る。

滅菌工程も含む

各製造プロセス

によるバリデー

ションを行う。

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

2)マイクロニード

ル最適化

材質、形状、を

変えたマイク

ロニードルを

試作し、機械的

強度、穿刺性、

薬物塗布性、評

価。

② 溶出金属試験:JIS T 3210 によって評価し、溶出金属(Fe, Zn, Pb, Cd)が限度以下で

あることが確認できた。さらにマイクロニードル中の重金属 Sn, Cu, Sb, Bi, Pb, Cd, As, Hg, Ni,

Zn について ICP 法により定量分析を行い、全て検出限界以下であった(検出限界は各金属より

異なりますが、0.01~0.3µg/g である)。

③ エンドトキシン試験:PGA マイクロニードルの水抽出液を用い第十七改正日本薬局方

に記載方法に準拠して試験を実施した。その結果エンドトキシンは検出されなかった (検出限

界 0.01563EU/mL)。

④ 粘着テープの物性評価:異なる線量のγ線滅菌による粘着性の変化を考察した。その結果 15、

25、30、50kGy の線量において粘着物性に大きな影響はなかった。

2)マイクロニードル最適化

2)‐1 マイクロニードルの仕様決定

効果検証のためワクチン用マイクロニードルに関し数種の PGA マイクロニードルを試作し評価した。

主要試作針及びそれらの性能をまとめる。機械的強度、穿刺性、薬物塗布性および薬物送達性など評価

し、PG900(3)を本開発に使用することとした。またそれらの写真をも示す。

名称 PG400(2) PG600(2) PG600(2)-2 PG900(3)

針長さ(μm) 400 600 600 900

針本数 880 1069 1220 1069

基盤直径(mm) 1.0 1.09 1.09 1.09

段数 2 2 2 3

特長、欠点 針が短く皮

膚穿刺が不

安定

皮膚挿入安定

薬物塗布量に

限界

針密度が高く皮

膚穿刺性が不確

性能バランスが最良

薬物送達性

モデル化合物としてレスベラトロールを針先端部に塗布し、 In

vivo ラット背部皮膚に投与した。薬物利用率は投与量からニードル

での残存量、角質残存量を引き算して求めた。

本仕様の薬物利用率は 90%以

上であった。

2)関連

マイクロニード

ル PG900(3) の

長期保存安定性

試験を継続検討

する。

臨 床 試 験 の た

め、効果検証用

薬物塗布マイク

ロニードルの安

定性も継続考察

する。

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

PG400(2) PG600(2) PG900(3)

2)‐2 マイクロニードルの医療機器としての規格設定

PGA マイクロニードルの物性試験、生物学的評価試験を経て以下の規格を設定した。

針の本数

針の寸法

MN外観

針の本数は1069 ± 42 本である。

針長は900 ± 50 mである。

個々の針長が規格範囲を超えるものが42本以下ある。

降伏点応力が43 N以上である。

異物

針強度

穿刺性

水分含有量

微生物学的試験

表示事項 標準見本と一致する。

製造番号 明瞭に印字されている。

包装・表示に関する規格

外観 袋に破れ、破損していないこと

目視検査

目視検査

穿刺部位に穿刺孔を認める。

0.05mm以上の異物、黒斑点がないこと。 拡大鏡観察

圧縮試験法による

ラット摘出皮膚への穿刺孔観察

マイクロニードルが林立する淡黄褐色不透明ピース

顕微鏡観察

顕微鏡観察

目視及び顕微鏡観察

性状

試験方法

内容物に関する規格

試験項目 規 格

水分含有量が0.15%以下であること

密封性 袋のヒトシールがしっかり密封していること

カールフィッシャー水分計による

無菌試験法

目視検査

目視検査

菌の発育が認めない

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

MN 関連主な副資材の規格及び性能

保護粘着テープ

項目 仕様 試験方法

外観性状 微白色半透明粘着シート 目視観察

粘着力試験 プローブタックが 2.8N/cm2以

上である。 プローブタック試験法

アプリケータ性能

項目 仕様 試験方法

寸法試験

(アプリケータ図

①~⑧参照)

① 184.5 ± 1 mm ノギスによる測定

② 10.0 ± 0.5 mm

③ 40.0 ± 0.5 mm

④ 17.8 ± 0.5 mm

⑤ 32.0 ± 0.5 mm

⑥ 106.2 ± 1 mm

⑦ 50.1 ± 0.5 mm

⑧ 25.0 ± 0.5 mm

MN ケース着脱試験 脱落しないこと MN ケース質量の 3 倍の重りを装

バネ応力試験 1,650 ± 100 gf テンションゲージを用いピストン

のロック位置での最大荷重を測定

発射安定性試験 スムーズに発射できること 発射操作を 50 回連続で実施

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② ③ ④①

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

*アプリケータ①~⑧の部位図

2)‐3 PGA マイクロニードルの安定性確認

本製造プロセスを経て試作された最終仕様のマイクロニードルを室温において安定性試験を行い、針強

度、水分含有量など主な物性パラメーターについて評価し、現在 6.0 箇月の安定性を確保した。ワクチン

製剤の場合冷蔵保存条件であるため、室温条件は加速試験に該当する。

2)‐4 薬物塗布条件最適化

成形されたマイクロニードルへの効果検証用薬物(インフルエンザワクチン抗原)塗布条件に関し検討し

た。塗布プロセスは薬物を基剤水溶液に溶解しマイクロニードル針先に塗布する。最適な塗布条件は、

(1)塗布用基剤水溶液組成、(2)塗布深さ、(3)塗布回数、(4)塗布液温度、等の諸条件をすべて

最適な組み合わせとすることが必要であり、到達した結果の写真を下に示す。最も重要なファクターは塗

布用基剤水溶液組成である。組成検討において以下の試験を繰り返しながら最終組成を生み出した。

① 基本組成に最も重要な役割を果たすのは高分子物質である。医薬品注射剤に実績がある添加物である

CMC-Na、HPC、ヒアルロン酸 Na、デキストラン、PVP などを用い、針強度、薬物塗布性、皮内溶

解性について比較検討し、最も皮内溶解性に優れている CMC-Na を選定した。

② 可溶化剤、安定化剤の選定:マイクロニードル塗布薬物製剤は固形製剤であるため、可溶化剤の添加

は必須である。これまでワクチン製剤の場合、グリセリン添加により、薬物安定性、皮内溶解性の改

善に効果があることが確認済みである。

その他、賦形剤としてトレハロース、グルコース、分散剤としてポリソルベート80を用いた。

以下はインフルエンザワクチンの塗布組成を示す。

2)-4 関連

本成果を着実に

ニプロに移管し

臨床試験用製剤

製造に結びつけ

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

成分 配合目的 塗布物組成比(%)

カロメロースナトリウム 基剤 6.24

ポリソルベート80 分散剤 0.42

ビケン HA 総蛋白 主薬 21.96

リン酸一水素ナトリウム pH 調整剤 0.14

リン酸水素ナトリウム pH 調整剤 0.05

塩化ナトリウム 可溶化剤 0.83

トレハロース 賦形剤 46.84

ブドウ糖 賦形剤 23.42

グリセリン 可溶化剤 0.10

計 - 100.00

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

ワクチン塗布後 PGA-MN の写真(×160 倍)

2)‐5 貼付時間の検討

決定した PGA-MN の最終仕様及び配合組成の試作品を用い、in vivo において子豚に投与し、異なる

貼付時間のマイクロニードルパッチを剥がし、ニードル上に残存したモデル化合物レスベラトロールの

量を分析した。その結果下図に示すように、ニードルの残存量は貼付時間と共に減っていくことがわか

る。即ちニードル上の薬物が皮内で貼付時間とともに溶解していることが予測される。ヒトへの投与時間

は 2 時間と暫定決定する。

薬物塗布部

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

3)動物評価実験、

安全性試験

受託施設を選

定し、モデル薬

物塗布マイク

ロニードルを

作製し、マイク

ロニードル自

身、及びモデル

薬物塗布マイ

クロニードル

に関する局所

刺 激 性 ( 非

GLP)、薬物血中

濃度測定の実

施。

3)動物評価実験、安全性試験

3)-1 PGA マイクロニードルの有効性確認

PGA マイクロニードルの有効性をマイクロニードルの改善と伴いその都度確認しているが、上記最終仕

様の試作品を用いインフルエンザワクチンを塗布し、ラットにおける免疫試験を行った。

モデル抗原として A/H1N1 と B の 2 価抗原(各 5µg)を PGA-MN に塗布したものを Wistar ラットに

3 週間間隔で 2 回投与した。投与から 3 週間後に採血し ELISA 法により抗体価の上昇分を注射法と比較

した。A、B 株に関して 1 回目と 2 回目投与により皮下注射と比較して多少増減はあるが、ほぼ同等との

結果を得た(HAMN 製剤と皮下注射投与群各 n=5)。

3)関連

本成果を参考

に 非 臨 床 試 験

(GLP)を設計

し実施する。

また、PMDA 対

面 助 言 に よ り

PGA マイクロニ

ードルの生物学

安全性、具体的

細胞毒性、皮膚

感作性の試験を

実施する予定で

ある。

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

M/標準 M/標準 M/標準 M/標準レスベラトロール残存率

(%)

貼付時間 (h)

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

HAMN 及び皮下注射投与による抗体価測定

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

3)-2 PGA マイクロニードルの皮膚安全性

PGA マイクロニードルおよびモデル薬物塗布マイクロニードルを用い局所刺激試験(非 GLP)を実施

した。

試験概要及び結果を以下に述べる。

1) 被験物質:

マイクロニードル単体(PGA-MN)

モデル薬物塗布マイクロニードル製剤(HA-PGA-MN)、

(モデル薬物としてはインフルエンザワクチンを使用)

2) 使用動物:インフルエンザ HA 抗原に対する感受性を有する動物種の中からウサギ(雌性、3~4 ヶ

月齢、日本白色種)を選択した。

3) 投与量:本製剤は成人に HA 抗原>60g/dose 接種されることから、ウサギ試験ではヒトと同じ用

量の HA 抗原>60μg/dose を投与した。

4) 投与経路及び投与期間:背部皮内に 3 週間間隔で 2 回投与し、投与時間は 2 時間とした。

3 投与部位:脊柱をはさみ、片側 1 カ所(反複刺激性を考察するため、初回投与と 2 回目投与は同一

部位にした)

5) 観察

体重および一般状態

投与部位の肉眼的観察:(初回投与)パッチを剥離直後、2、24、48、72 時間、2 週後及び(2

回目投与)2 日、3 週後

投与部位評価:投与後の紅斑と浮腫の程度は Draize 法の基準に従って採点した。

皮膚一次刺激指数(P.I.I)の算出:観察した皮膚反応の評点を合計、供した動物数(例数)お

よび観察時点で平均評点を算出する。 投与部位の病理組織学的観察

皮膚一次刺激指数(P.I.I)に基づく皮膚刺激性評価

反応のカテゴリー P.I.I

無刺激性 0~0.4

弱い刺激性 0.5~1.9

中等度の刺激性 2.0~4.9

強い刺激性 5~8

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

試験結果:

① 皮膚刺激性

皮膚刺激性の観察結果を次表に示す。

第 1 回投与剥離後の皮膚刺激性の観察結果

投与

物質

動物

番号

評点(紅斑・痂皮/浮腫) P.I.I.

Pre Im 2 h 24 h 72 h 14 d

1 HA-PGA-MN

1101 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

0.1

1102 0 / 0 1 / 0 1 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0

1103 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

1104 0 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

1105 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

1106 0 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

平均評点 0 0.5 0.2 0.2 0 0

2 PGA-MN

2101 0 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

0.4

2102 0 / 0 1 / 0 1 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0

2103 0 / 0 1 / 0 1 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0

2104 0 / 0 0 / 0 1 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0

2105 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

2106 0 / 0 1 / 0 1 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0

平均評点 0 0.7 0.7 0.7 0 0

Pre: 投与前、Im: 剥離直後、h:剥離後時間、d: 剥離後日数 平均評点:「紅斑及び痂皮形成」の評点+「浮腫形成」の評点/6(動物数) P.I.I.:皮膚一次刺激性指数 無刺激性:0<P.I.I. <0.4

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28

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

第2回投与剥離後の皮膚刺激性の観察結果

投与

物質

動物

番号

評点(紅斑・痂皮/浮腫)

Pre Im 2 h 24 h 48 h 72 h 14 d 21 d

1 HA-PGA-MN

1101 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

1102 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

1103 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

1104 0 / 0 1 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

1105 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

1106 0 / 0 0 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

平均評点 0 0.2 0.3 0 0 0 0 0

2 PGA-MN

2101 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

2102 0 / 0 0 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0

2103 0 / 0 1 / 0 1 / 0 1 / 0 1 / 0

2104 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

2105 0 / 0 1 / 0 1 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

2106 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0 0 / 0

平均評点 0 0.3 0.5 0.2 0.2 0 0 0

Pre: 投与前、Im: 剥離直後、h:剥離後時間、d: 剥離後日数

48 h: 各群 3 例(動物番号の末尾 1~3)を剖検

21 d: 各群 3 例(動物番号の末尾 4~6)を剖検

平均評点:「紅斑及び痂皮形成」の評点+「浮腫形成」の評点/6 又は 3(動物数)

軽度の紅斑が第 1 及び 2 回投与の剥離直後及び 2 時間後に HA-PGA-MN 及び PGA-MN の投与部位に

おいて 1/6~4/6 例で認められたが、剥離 72 時間後までに消失した(動物番号 2103 は第 2 回投与の紅斑

が消失する前の剥離 48 時間後に剖検)。

第 1 回投与後の採点結果に基づいて算出した皮膚一次刺激性指数(P.I.I.)は HA-PGA-MN が 0.1 及び

PGA-MN が 0.4 であり、両投与物質とも「無刺激性」に区分された。

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29

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

②病理学検査

剖検:投与 24 及び 43 日(第 2 回投与の 2 及び 21 日後)の剖検において、いずれの動物においても、肉

眼的異常所見は認められなかった。

病理組織学検査:各剖検時期の投与部位の病理組織学検査結果を次表に示す。

投与部位

投与 24 日剖検 投与 43 日剖検

HA-PGA-

MN PGA-MN

HA-PGA-

MN PGA-MN

1

1

0

1

1

1

0

2

1

1

0

3

2

1

0

1

2

1

0

2

2

1

0

3

1

1

0

4

1

1

0

5

1

1

0

6

2

1

0

4

2

1

0

5

2

1

0

6

Injection site, dorsal skin

Cell infiltration, dermis

±

±

±

±

±

±

±

Pustule, neutrophilic,

intracorneal ± ± - ± ± ± - - - - - ±

±:軽微、-:著変なし

真皮の細胞浸潤が投与 24 及び 43 日の剖検で HA-PGA-MN 及び PGA-MN の投与部位に 1/3 又は 2/3

例で認められた。また、角化層内膿疱が投与 24 日の剖検で HA-PGA-MN 及び PGA-MN の投与部位に

2/3 又は 3/3 例、投与 43 日の剖検で PGA-MN の投与部位に 1/3 例で認められた。これらの変化は軽微で

あり、各剖検時期において HA-PGA-MN 及び PGA-MN 投与群の間に差は認められなかった。

その他、投与部位以外に認められた軽微な変化(細胞浸潤:肺及び肝臓)についても、各投与物質群の

間に差は認められなかった。

これらの結果より、HA-PGA-MN および PGA-MN とも皮膚安全性には問題ないと判断できる。

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30

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

◎安全性試験で採取した血液検体における抗体価測定

PGA-MN の効果検証でもあり、抗体価の上昇を確認するため採血した血清を用い抗体価を測定し

た。

安全性試験センター(ボゾリサーチセンター)で採血したウサギ血清の ELISA 測定の結果を整理して

示す。HI 価測定と ELISA 測定は測定原理が異なり、HI 価測定は赤血球の凝集が抑制される希釈倍数を

HI 価として評価するが、ELISA 測定は抗体量に応じた発光強度で評価する。そのため、今回は一定の吸

光度が得られる血清の希釈倍数を求めて同様にデータを整理した。

○ ウサギ血清 吸光度 0.4 付近の血清の希釈倍率

1,22,43 日の希釈倍率平均値

のグラフ

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31

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

上記データにおいて、1day は投与前のインフルエンザ抗体価、22day はワクチン 1 回目投与後 21

日の抗体価、 43day は 2 回目投与後 21 日の抗体価である。1 回目、2 回目の投与後で 4 種株と

も確実に抗体価の上昇が確認できた。これより PGA-MN の動物での効果検証ができた。

②臨床研究(三重病

院/ニプロ)

1)臨床評価用薬物

決定(三重病院)

マイクロニードル

塗布、ヒト投与に最

適な薬物選定に関し

検討する。

1) 低侵襲マイクロニードルを用いて投与する候補薬物に関する検討

*まとめ

低侵襲マイクロニードルを用いて皮内投与を行う候補薬物について、臨床的必要性および薬物動態の

面から検討を行った。臨床的有用性が高いと考えられる薬物は1)ワクチン 2)骨粗鬆症治療薬 3)

血糖降下薬 4)統合失調症治療薬 5)リドカイン 6)抗菌薬 7)アドレナリン であり、それぞ

れについて調査を行った。その中で、インフルエンザワクチンは需要も大きく、実用化に向けて、臨床試

験を行うことが適当であると考えた。

*マイクロニードルワクチンへの応用に関する一般的利点

皮膚組織にはランゲルハンス細胞や樹状細胞などの抗原提示細胞が豊富に存在し、免疫臓器とも言え

る。注射で用いられるワクチンは皮下または筋肉内に投与するが、マイクロニードルを用いることにより

皮内にワクチンを投与することができるので、より効率的にワクチン抗原の取り込み、高い免疫原性を発

揮できる可能性がある。

*インフルエンザワクチンの特徴

1)インフルエン

ザワクチンを効

果検証用薬物第

一ターゲットと

することが確認

され、これを持

って臨床試験へ

進む。

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32

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

インフルエンザウイルスに対するワクチンの発症予防効果は高く、世界保健機関などの多くの機関が

接種を推奨している。国内では不活化ワクチンの注射剤のみが承認されており、筋肉内、皮下または皮内

に投与する。たとえば、ビケン HA の添付文書では、年齢が 6 ヶ月以上 3 歳未満であれば 0.25 mL、3 歳

以上 13 歳未満であれば 0.5 mL を約 2~4 週間間隔で 2 回皮下に注射することとし、年齢が 13 歳以上で

あれば、0.5 mL を皮下に 1 回又は 2 回注射することとしている。

しかし、ワクチンの注射時には痛みを感じることが多く、注射部位疼痛が 6 ヶ月以上 3 歳未満では約

2%、3 歳以上 13 歳未満では約 20%の割合で発現する(ビケン HA 添付文書、再審査終了時の使用成績

調査)。このため、ワクチン接種をためらう人も多く、低侵襲マイクロニードル製剤を開発すれば、接種

率の向上に貢献すると思われる。現在の注射剤は皮内投与が可能なことから、皮内投与による免疫獲得作

用にも問題はないと考える。

なお、海外では経鼻スプレー型の生ワクチンが承認されており、この製剤も疼痛を伴わずに投与するこ

とが可能である。しかし、国内ではスプレー剤が承認されていない。さらに、2~17 歳の未成年に対する

有効性が不十分なことから、アメリカ疾病予防管理センターは 2016 年~平成 29 年の流行期にスプレー

剤を使用することを推奨していない。したがって、マイクロニードル製剤を開発する意義は十分にあると

考えられる。

検討を行っ

たその他の

候補薬物の

一覧薬物

投与の現状 マイクロニードル投与の可能

ヒトパピロ

ーマウイル

スワクチン

ヒ ト パ ピ ロ ー マ ウ イ ル ス ( Human

papillomavirus,HPV)ワクチンは、子宮頸が

ん、外陰上皮内腫瘍、尖圭コンジローマの発症

を予防するワクチンで、4 価ワクチンのガーダ

シルの場合には、1 回 0.5 mL を合計 3 回、筋

肉内に注射する。子宮頸がんは婦人科領域でよ

く見られるがんで、国内では年間に約 1 万人が

罹患している。このため、2013 年に小学 6 年

から高校 1年までの女子を対象とした定期接種

が始まったが、全身の慢性疼痛が多数報告され

たため、積極的なワクチン接種は中止されてい

る。

マイクロニードル製剤を開発

すれば、注射部位の疼痛は軽減

する。しかし、全身の慢性疼痛

が注射部位疼痛と関連する可

能性は低く、マイクロニードル

製剤を開発しても慢性疼痛が

減少するかどうかは不明であ

る。

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33

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

乳児期に投

与するワク

チン

乳児(0 歳児)に対して日本小児学会が接種を

推奨しているのは、インフルエンザ菌 B 型

(Hib)、肺炎球菌、B 型肝炎、ロタウイルス、

4 種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリ

オ)、BCG、日本脳炎の各ワクチンで、2 種混合

ワクチン(DT)も生後 3 ヶ月から任意に接種す

ることが可能である。これらの多くは複数回の

接種が必要なため、すべてを個別に接種すると

接種回数が多くなり、2 種類以上のワクチンを

同時接種することも多い。

上記のワクチンのうち、ロタウイルスの生ワク

チンは経口投与し、BCG はスタンプで経皮投

与する。また、B 型肝炎ワクチンは筋肉内また

は皮下に投与する。

低侵襲マイクロニードル製剤

を開発することは、乳児の疼痛

を軽減する上で十分に意義が

あると考えられる。

皮内投与時の有効性について、

左記のワクチンのうち、ロタウ

イルスの生ワクチンを除けば、

いずれも皮内投与が可能と考

えられる。

骨粗鬆症治

療薬

ビスホスホ

ネート

ビスホスホネートは骨吸収を抑制するため、骨

粗鬆症の治療薬として広く使用されている。代

表的な化合物はアレンドロン酸ナトリウム水

和物、エチドロン酸二ナトリウム、他で、これ

らは経口投与が可能である。しかし、ビスホス

ホネートを経口投与すると、食道に逆流するこ

とがあり、副作用として食道炎、食道穿孔、食

道潰瘍などが報告されている。

低侵襲マイクロニードルを用

いてビスホスホネートを皮内

に投与すれば、食道炎、食道穿

孔、食道潰瘍などの副作用を軽

減することが可能と思われる。

骨粗鬆症治

療薬

副甲状腺ホ

ルモン製剤

通常、副甲状腺ホルモン(PTH)は骨吸収を促

進するが、PTH 濃度を一時的に上昇させると、

逆に骨形成を促進する。この作用を利用したの

がテリパラチドで、投与期間を 24 ヶ月に限定

した上で骨折の危険性の高い骨粗鬆症の治療

に使用されている。

参考までに、フォルテオの用法・用量は「通常、

成人には 1 日 1 回テリパラチド(遺伝子組換

え)として 20 μg を皮下に注射する。

しかし、PTH を含有するマイクロニードル製

剤は既に米国で開発中である。

テリパラチドを含有する製剤

には、1 日 1 回投与製剤(フォ

ルテオ)と週 1 回投与製剤(テ

リボン)があるが、いずれも 24

ヶ月にわたって投与すること

から、低侵襲マイクロニードル

製剤を開発すれば、利便性が向

上する。なお、本剤の投与は 24

ヶ月間までとすること」となっ

ており、投与量も低いことか

ら、必要な薬物量をマイクロニ

ードルに充填することは十分

に可能である。

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34

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

血糖降下薬

( GLP-1 受

容体作動薬)

効能・効果:

2 型糖尿病

2型糖尿病患者の治療には様々な血糖降下薬が

用いられている。こうした血糖降下薬のうち、

ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体

作動薬は体重を低下するという作用を有して

いる。2 型糖尿病患者を治療する際には体重を

管理する必要があるため、体重低下作用を有す

る血糖降下薬は 2 型糖尿病の治療薬として理

想的である。

用法・用量:

リラグルチド:0.9 mg を 1 日 1 回皮下注射。

エキセナチド:2 mg を週に 1 回、皮下注射す

る(ビデュリオン皮下注用)。

キセナチド:5 μg を 1 日 2 回朝夕食前に皮下注

射。

リキシセナチド:20 μg を 1 日 1 回皮下注射。

デュラグルチド:0.75 mg を週に 1 回皮下注射。

GLP-1受容体作動薬は皮下投与

が必要なため、長期に使用する

上で利便性の問題を抱えてい

る。このため、低侵襲のマイク

ロニードル製剤があれば、GLP-

1 受容体作動薬の利便性を向上

できると思われる。

いずれの薬剤も承認されてか

ら日が浅く、先発権が消失して

いない。このため、同じ有効成

分を含有する新規製剤を開発

する場合には、先発権を有する

企業と交渉しなければならず、

仮に承諾を得たとしてもロイ

ヤリティの支払いが必要にな

る。

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35

平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

統合失調

症治療薬

現在、統合失調症患者の治療には抗精神病薬が

広く使用されており、その有効性が確立してい

る。ただし、経口剤を処方すると、患者が服薬

を拒否したり、規則的に飲むことを忘れたりす

る恐れがある。このため、内服の継続が困難と

思われる患者に対しては抗精神病薬の持効性

注射剤(デポ剤)が使用される。これは筋肉内

に注射する製剤で、1 回の注射で 2~4 週間効

果が持続する。このため、家族が患者を連れて

月に 1~2 回の間隔で医療機関を訪れ、来院時

にデポ剤を注射すれば、患者の体内で有効血中

濃度が維持されることになり、服薬拒否や服薬

忘れに伴う症状の悪化を回避することができ

る。

持効性注射剤としては以下のものが承認され

ている。このうち、ハロペリドールは定型(第

1 世代)抗精神病薬で、残る 4 剤が非定型(第

2 世代)抗精神病薬である。

ハロペリドール、・フルフェナジン、・リスペリ

ドン、・パリペリドン、・アリピプラゾール

持効性注射剤にも問題はある。

それは、投与後長期にわたって

有効血中濃度が持続するため、

副作用が出現すると、消失に時

間がかかることである。このた

め、低侵襲マイクロニードルを

開発して、家族が自宅で患者に

貼付するようにすれば、患者が

服薬を忘れることもなく、消失

半減期もそれほど長く設定す

る必要はない。

抗精神病薬には第 1 世代と第 2

世代のものがあるが、第 2 世代

の抗精神病薬は陽性症状及び

陰性症状の両方に有効なため、

低侵襲マイクロニードルを開

発するのであれば、第 2 世代の

抗精神病薬を有効成分に用い

るのが望ましいと思われる。

抗菌薬 小児に抗菌薬を静脈内投与する際、投与可能な

ルート(静脈)を確保するのが困難なことがあ

る。

抗菌薬は外用が可能で、尋常性ざ瘡(にきび)

などの毛包炎の治療には、マクロライド系やニ

ューキノロン系抗菌薬の外用剤が既に用いら

れている。ただし、これらは投与局所での抗菌

作用を期待するものであり、循環血中に移行し

て全身への作用を期待するものではない

低侵襲のマイクロニードル製

剤を開発して皮内投与すれば、

静脈を確保する必要がなくな

り、小児患者に抗菌薬を投与し

やすくなると思われる。

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

リドカイン

静脈留置針穿刺時、伝染性軟属腫摘除時及び皮

膚レーザー照射療法時の疼痛緩和を目的とし

てリドカインのペンレステープ剤やテープ剤

が使用されている。しかし、これは貼付した皮

膚の表面を麻酔するものであり、皮膚の痛みを

軽減する目的で使用されている。

低侵襲マイクロニードルによ

ってリドカインを投与すれば、

手術や検査の痛みを和らげる

局所麻酔薬として、テープ剤よ

りも広い効能・効果を取得でき

る可能性が考えられる。

アドレナリ

本剤はアナフィラキシー反応に対する補助治

療に使用され、食物アレルギーのある児童が学

校に持参し、アナフィラキシーの症状が出た場

合に教師などが使用する。しかし、アドレナリ

ン注射液(エピペン注射液)を使用するために

は、日頃から繰り返して練習することが必要で

ある。このため、児童にアナフィラキシー症状

が生じた場合でも、教師などがエピペンの使用

を躊躇することがある。

したがって、投与しやすいマイ

クロニードル製剤を開発する

ことは、教師などの躊躇を軽減

する上で有効と考えられる。

制吐剤 ドンペリドン(ナウゼリン錠)は悪心・嘔吐な

どの消化器症状の軽減に使用するが、嘔吐が続

く患者に経口投与すると、投与したドンペリド

ンが吐瀉物とともに排出され、体内に吸収され

ない恐れがある。

ただし、ドンペリドンには坐剤(ナウゼリン坐

剤)が存在し、嘔吐が続く患者には本剤を直腸

から投与することが可能である。

マイクロニードル製剤は嘔吐

の続く患者を治療するという

観点から意義があるものと考

える。ただし、坐剤を上回る利

便性が期待できる場合にはマ

イクロニードル製剤を開発し

てもよいかもしれない。

ボツリヌス

毒素

ボツリヌス菌は神経毒を分泌することによっ

て筋肉の麻痺を引き起こす。こうした作用に注

目した結果、現在では A 型ボツリヌス毒素(商

品名ボトックス)が眼瞼痙攣、片側顔面痙攣や、

脳卒中などに伴う上・下肢の痙縮などの治療に

使用されている。いずれの場合も痙攣や痙縮が

生じる部位に筋肉注射する。

注射による太い針では疼痛が

強く、細い針では注入時間が長

くなることから、低侵襲のマイ

クロニードル製剤を開発すれ

ば、標的部位に投与しやすくな

ると思われる。

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

2)薬物塗布 MN 製

造(ニプロ)

無塵、無菌薬物

塗布装置による

薬物塗布の検

討。

消炎鎮痛薬 消炎鎮痛薬を経口投与すると、副作用として消

化管出血や消化性潰瘍などの消化器症状が認

められる。消炎鎮痛薬の経皮吸収製剤としては

テープ剤が既に発売されている。

消炎鎮痛薬を含有したマイク

ロニードル製剤を開発すれば、

長期使用時の消化器症状発現

を抑制できると考えられるが、

すでにテープ剤が存在し、マイ

クロニードル製剤を開発する

意義は乏しいと考えられる。

2)インフルエンザマイクロニードルワクチン製剤 製造法開発

• 要旨(本年度の達成内容)

・グレード A(無菌)環境を実現する製造装置組み上げ

・インフルエンザマイクロニードルワクチン(以下、HAMN 製剤)製造法開発

• 概要

HAMN に関する製造工程の概略

図 1. HAMN 製造工程 概略図

概要は以下のとおり。

• 秤量工程

2)関連

平成 30年度は完

成 し た 製 造 装

置、製造法を駆

使して、前臨床

用及び臨床試験

用のマイクロニ

ードルワクチン

製造に挑む

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

• ワクチン濃縮~調製工程

• 無菌ろ過工程

• 薬液塗布工程

• 包装工程

備考(有効成分への影響を鑑み、最終滅菌法ではなく無菌操作法で製することで、無菌医薬品を供す

る)。

『「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」の改訂について(平成 23 年 4 月 20 日発 厚

生労働省事務連絡)』を参考に、秤量~調製工程を「その他の支援区域(グレード C(ISO 5))」で

実施することとし、それ以降の工程を「重要区域(グレード A (ISO 8))」で実施。

• 各工程

1. 秤量工程(グレード C(ISO 5))

各種原料を必要量だけ秤量する工程。

「2)概要」に記載のとおり、クリーンベンチを使用しグレード C 環境下にて実施。

2. ワクチン濃縮~調製工程(グレード C(ISO 5))

図 2. ワクチン濃縮システム(タンジェンシャルフローろ過システム)

インフルエンザワクチン原液を適切な濃度域にまで濃縮する工程。

濃縮には、ロスが少なく操作が簡便である「タンジェンシャルフローろ過システム」を使用。(上図参

照)濃縮液に他添加剤を混合溶解させることで最終薬液を調製。

これら工程についても、「2.概要」に記載のとおり、クリーンベンチを使用しグレード C 環境下にて実

施。なお、調整後の薬液は、グレード C 環境下にて密封。

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

3. 無菌ろ過工程(グレード C(ISO 5)→グレード A(ISO 8))

図 3. 無菌ろ過システム

本工程以降の製造工程は、滅菌済資材を用い最終製剤を製する直接的な工程となり、「2.概要」に記

載のとおり、アイソレーターを使用しグレード A 環境下にて実施。

そこで、前工程にて調製した最終薬液を、グレード A 環境へと導入するための工程が本工程である。

Merck 社製 シングルユースバッグを使用し、最終薬液をアイソレーター内へ無菌ろ過導入(上図参

照)。

なお、本ろ過システムについては、以下の各項目について評価し、フィルターバリデーションを実施。

・化学的適合性試験

・溶出物試験

・バクテリアチャレンジ試験

・バブルポイントレシオ試験

4. 薬液塗布工程(グレード A(ISO 8))

図 4. 薬液塗布システム

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

前工程にて無菌的に導入された薬液を、MN の針先へとコーティングし、乾燥工程を経て揮発成分を

除くことで HAMN 製剤を得る工程。

具体的には上図のように、薬液をプール状に貯め置ける薬液槽を設置し、その薬液プール内へ MN を素

早く含浸・離脱させることで、MN 上へ薬液をコーティングする工程となる。

なお、以下がグレード A 環境を実現する実際の製造装置外見図である。

図 5. 製造装置 外見図

5. 包装工程(グレード A(ISO 8))

前工程にて製された HAMN 製剤を所定の包装袋内へ包装する工程。

包装作業そのものはアイソレーター内で完結いたしますため、工程終了時点において包装袋内は無菌環

境が担保された状態となる。加えて、包装袋にアルミ包材を使用し外部空気の流入をブロックすること

で、アイソレーター内から取り出した後も無菌環境を維持し得る製剤構成とする。

• その他

1. 外装除染処理

アイソレーター内へ持ち入れる必要のある各種資材については、あらかじめ適切に滅菌処理を施した後

に、概ねは外装除染処理を経てアイソレーター内へ導入。

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

詳細は以下のとおりとなります。

・外装除染システム

過酸化水素ガス滅菌

・一般的な部材(ピンセット、シリンジ等)

高圧蒸気滅菌(オートクレーブ処理滅菌)→外装除染→導入

・特に細かい部材(MN アレイ、各種包材、チューブ等)

γ 線滅菌→外装除染→導入

但し、薬液が直接接触する部材(薬液槽等)については、過酸化水素ガス滅菌処理を施した場合、残留

過酸化水素が薬液~HAMN 中へコンタミネーションする危険性が考えられ、安全性を鑑み、該当する

一部部材については適切な滅菌処理の後、外装ごとではなく滅菌済部材のみを装置内へ導入し得るよう

工夫した装置設計とした。

2. アイソレーター内滅菌処理

アイソレーター内におきましては、過酸化水素ガス滅菌処理を施すことにより、グレード A 環境下を

実現。

その際、チューブ等の過酸化水素ガスが行き届き難いと思われる細かな構成パーツについては別途対応

する。

③薬事戦略(コスメ

ディ製薬)

1)製造販売承認

への道程明確化、

薬事相談(PMDA:

戦略相談)

PMDA RS 戦略相

談制度を活用

し(事前面談を

実施)本マイク

ロニードルの

位置づけ、必要

手続きを明確

化し着実に進

める。

試験開始にあたっての治験薬の規格項目について

(3)-①製造販売承認への道程明確化

本開発になるマイクロニードル及びそれを用いるコンビネーション製品に関する薬事的事項に関して

は、PMDA と相談し、レギュラトリーサイエンス戦略相談事項として臨床試験への道筋を明確化することとした。

第 1 回の事前相談は平成 29 年 5 月 24 日に開催され、以後第 2 回(7月 25 日)、第 3 回(11 月7日)と

計 3 回の事前相談を経て、12 月 8 日に対面助言を受けた。3 つの質問に関して助言を受け、今後のマイ

クロニードル自身及びインフルエンザワクチン塗布マイクロニードルの臨床試験への進め方の具体化を

形作ることができた。3 回の事前面談において第 2 回面談は医療機器担当メンバーとの相談であり、その

概要を下記する。

*医療機器メンバーとの事前面談(7月 25 日)の概要

マイクロニードル自身の位置づけに関して相談した。その結果をまとめる。

1.注射針と同様にクラスⅡである。

2.インフルエンザワクチンマイクロニードルは、医薬品たるコンビネーション製品であり、マイクロニ

1)関連

マイクロニード

ルの承認申請に

向けて、インフ

ルエンザワクチ

ンを塗布したマ

イクロニードル

を用い、平成 30

年度はその臨床

試験に進めるた

め前臨床試験に

力を注ぐ。

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

2)QMS 体制整備

薬事コンサル

タント、ニプロ

㈱と相談し整

備内容を具体

的に明確化し

着実に進める。

3)医療機器製造販

売承認申請

ードルはその構成材としてプラセボとの位置づけで進めてよい。

3.医療機器としての申請に際してはさらに詳細な検討が必要でありそのために改めて対面助言を持っ

てもよい。

以上に実施内容をベースに 30 年度はマイクロニードルを正式に医療機器承認申請への動きを加速

させる。

(3)-②QMS 体制整備

*ニプロ株式会社から医療機器 QMS の専門家を招き勉強会を開いた。GMP コンサルタントからの

教育、指導を得た。これらを複数回催し、コスメディ内部での QMS への理解とレベルを向上させ

た。

*マイクロニードル製造のためのクリーンルームを設計製作し主な工事は平成 29 年 12 月 28 日完

了した。

*医療機器製造販売承認申請に先立ち、医療機器の製造の届け出を京都府庁薬務課に平成 29 年 12

月 27 日に実施し受け付けられた。製造場所はコスメディ製薬桂工場である。

2)及び 3)関連

平成 30 年度は特

にリスクマネジ

メント、バリデー

ションに基づく

開発設計管理に

注力する。

④知財戦略(コスメ

ディ製薬)

1)知財戦略の体

制作り、戦略検

討、及び出願準

備(特許戦略明

確化)

顧問弁理士と

共同で本プロ

ジェクト推進

に関する。特許

状況を再調査

し今後の特許

戦略を再構築

する。

(4)知財戦略

知財に関して、顧問弁理士と共同で本プロジェクト推進に関する特許状況を再調査した。

また、最も早いライセンス先と位置づけている韓国におけるマイクロニードル関連特許調査を実施し

た。以下に実施内容をまとめる。

1. マイクロニードル関連日本特許を検索した。

2. 別途、重要と思われる数社の出願特許数十件の進行状況に関しては 1 か月ごとに情報を更新

し注目している。必要とあれば情報提供などの処置をとることを予定している。現在のところ、

大きな障害になる特許はないことを顧問弁理士と共に検証し確認した。

3. 平成 29 年 12 月 6 日の伴走コンサルティングにおいて意匠の重要性を指摘されその後意識し

て運用してきた。平成 29 年 12 月、現在開発中の 3 段針マイクロニードルに関する意匠登録

を実施した。

4. 海外展開は韓国が第一ターゲットになる公算が大きいことに鑑み、韓国におけるマイクロニー

ドル特許状況を韓国特許事務所に依頼して調査した。調査内容は韓国人による韓国への出願に

絞った。理由は日本出願及び欧米からの出願はすでに実施している日本特許検索とダブルこと

による。概要は以下のようであった。

総検索数 32

事業化が近づく

に従い来年度は

よりきめ細から

知財戦略を展開

する。

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平成 29年度実施内

容(業務計画書) 現時点での達成状況(計画変更理由を含む)

今後検討・実施

すべき事項

① マイクロニードルの材料、構造、及びその製造方法 9 件

② 組成物を含むことを新規性とするマイクロニードルシステム 5 件

③ 種々の薬物を含むことを新規性とするマイクロニードル医薬 18 件

現在進めているプロジェクトに障害となる特許出願はなかった。

5. マイクロニードルパッチシステムとして権利化可能性を検討し可能な限り出願すべく検討し

ている。本年度は1件の関連特許出願を行った。

出願番号:

2018-023525

出 願 日 :

2018.01.24

特許名称

MN 用緊縛器具

⑤販売戦略(コスメ

ディ製薬)

1)体制構築・チャ

ネルの確保

海外販売戦略

特に韓国をタ

ーゲットとす

る市場調査を

行い、販売戦略

を固める。

(5)販売戦略

海外販売戦略において最も先行している韓国をターゲットとする市場調査を行伊、韓国への販

売戦略を固めていった。具体的には下記を実施した。

1.韓国製薬会社(Phambio Pharma 社)とマイクロニードルインフルエンザワクチンの韓国ライセン

シングに関する Letter of Intent 契約を締結した。日本における臨床試験第 1 相の終了時、そのデー

タをベースに韓国でインフルエンザマイクロニードルワクチンの共同開発に着手したいとの提案が

確認された。

2.韓国をターゲットとするマイクロニードルコンビネーション製品である、インフルエンザワクチン市

場の調査を行った。概要を記す。

韓国でのインフルエンザワクチンの市場は 2008 年の 1500 万本から 2017 年の 2500 万本まで毎年

成長している。人口 5145 万人に対して接種率が約 40%に上る。主な販売会社は Boryung Bio, SKLS,

Green Cross, Korean Vaccine の韓国国内4社と外資系企業 Sanofi Pasteur, GSK の 2 社である。ま

た韓国国内では注射針の 2 次感染など問題でインフルエンザワクチンの 8 割はプレフィルド製剤で

ある。薬価は日本とほぼ同様であり、末端価額が 3000 円/Dose/患者である。日本と比べてワクチン

の接種率が非常に高いため、痛くない投与しやすいマイクロニードルワクチンのニーズは高い。

臨床試験の結果

に基づき韓国と

は本格開発事業

化契約に進む予

定である。

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(4) 平成 29年度の到達点(総括)

「注射代用低侵襲性マイクロニードルの事業化・海外展開」事業において以下を成就することができた。

*開発技術面:ポリグリコール酸を材料とする 3 段針マイクロニードルの成型技術及びその先端への薬物塗布技術を確立し、独自のアプリケー

タ開発と合わせて、安定的薬物の経皮投与法に仕上げた。

* 製造技術面:ニプロ㈱によるアイソレーター内での完全無菌的自動塗布装置の完成により臨床試験へのコンビネーション製品製造が可能とな

った、

* ターゲット薬物:三重大学による調査検討によりマイクロニードルへの塗布薬物はインフルエンザワクチンとすることを決定。

*薬事面:PMDA との RS 薬事戦略相談を繰り返し、医療機器としてのマイクロニードルの承認申請への薬事的進め方も明らかにできた。対面

助言においてインフルエンザワクチン塗布マイクロニードルの今後の臨床試験への道程を明確にすることが出来た。

*市場面: 韓国製薬会社との Letter of Intent 契約により、韓国市場へのインフルエンザワクチン塗布マイクロニードル導入への足がかりを得

ることが出来た。

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1.7 補助事業の振り返り

(1) チェックリストによる自己評価結果

当該機器のニーズは特定の意見ではなく、客観的な情報で確認できていますか。 ○十分当該機器の販売先(導入・普及場所)は明確になっていますか(一般、診療所、地域中核病院、高機能病院)。 ○十分対象となる患者が明確になっていますか。 ○十分対象となる疾病・診療科等が明確になっていますか。 ○十分当該製品の業界特性は把握できていますか。 ○十分市場規模(導入・普及台数)は明確になっていますか。 ○十分SWOT分析は十分に行っていますか。 △一部5Forces等の市場構造分析は十分に行っていますか。 △一部マーケティング戦略(市場のセグメント化、ターゲットとするセグメント、自社のポジショニング等)は明確になっていますか。 ○十分会社としての経営戦略上、当該製品の位置付けは明確になっていますか。 ○十分臨床試験、申請、認可まで想定したスケジュールは明確かつ妥当ですか。 ○十分コア技術の開発戦略は明確になっていますか。 ○十分どのような効果があるか明確になっていますか。 ○十分

既存手段に比べた違いが明確になっていますか。 ○十分どのようなリスク(含む禁忌)があるか明確になっていますか。 ○十分

既存手段に比べた違いが明確になっていますか。 ○十分上市までに必要な開発費の想定、その調達計画はできていますか。、 ○十分現行の薬事法下で承認が可能ですか(規制システム面、科学評価体系面)。 ○十分ビジネスモデルに対応した業許可を持っていますか。 △一部新医療機器、改良医療機器、後発医療機器のどれに該当するか整理できていますか。 ○十分

機器のリスク分類で、I~IVのどれに当たるか整理できていますか。 ○十分臨床試験の必要性の有無が明確になっていますか。 ○十分

PMDAとの調整が進んでいますか。 ○十分薬事法以外の規制についても対応が明確になっていますか。 ○十分製品の利用方法が明確になっていますか。 ○十分

同時に利用する機器も含めて導入が実現可能になっていますか。 ○十分これまでのルールや慣行に逆らわない利用方法になっていますか。 ○十分

当該製品に関連する先行特許調査は十分に行っていますか。 ○十分当該製品に必要な先行特許についてはライセンス等で使用できるようになっていますか。 該当せず開発後の特許調査についても実施することになっていますか。 ○十分

コア技術に関して、どのように保護するか(権利化/ブラックボックス)は明確になっていますか。 ○十分権利化に必要な新規性だけではなく進歩性が明確になっていますか。 ○十分必要な特許を必要な国に出願・登録していますか。 ○十分意匠等の他の産業財産権について検討していますか。 ○十分知的財産の権利化またはノウハウ保護に対する予算・体制・規程は確保されていますか。 ○十分

模倣品・侵害者が現れたときの対応について明確になっていますか。 ○十分販売チャネルは明確になっていますか。 ○十分当該製品の供給(生産、物流)体制は明確になっていますか。 ○十分当該製品のアフターサービス体制、使用教育体制、クレーム処理体制は明確になっていますか。 ○十分QMS等の品質保証体制が明確になっていますか。 △一部広報・普及計画は明確になっていますか。 △一部想定価格は顧客が感じる価値に見合ったものですか。 △一部製造原価(あるいは提供コスト)は明確になっていますか。 △一部売上、コスト(変動費・固定費)、利益、減価償却等を考慮した計数的な計画は明確になっていますか。 △一部十分な収益性が得られることが明確になっていますか。 △一部事業拡大に伴い、どのタイミングでどのような人材・資金がどの程度必要になるか明確になっていますか。 ○十分海外に対する戦略は明確になっていますか。 ○十分当該事業に対するリスクの洗い出しは十分に行われていますか。 ○十分

事業収支

その他

市場

基本戦略

開発戦略

薬事

知的財産

販売・物流

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(2) 平成 29 年度補助事業を振り返って改善すべきだったと考える点

1) 事業体制

コスメディ製薬を代表とし、国立病院機構三重病院及びニプロを共同体とする事業体制は、役割分担が

非常に明確であり、よく連携のとれた組織体として機能し、平成 29 年度目標を十分に達成できた。平成

30 年度においては、国立病院機構 総合研究センター(伊藤澄信 センター長)に薬事的あるいは臨床試

験関連するコンサルタントとして本事業推進協力をいただき、より強力に推進する予定である。

2) 事業の進め方

本事業はマイクロニードルを新しい医療機器として承認を受け国の内外へと展開することである。マ

イクロニードルの意義、特徴、に関し明確なエビデンスを得るために臨床試験を実施する。さらに薬物塗

布マイクロニードル(コンビネーション製品)に関しても臨床試験を実施し医療機器申請の基本データと

するコンセプトをベースに事業を進めたい。

3) その他

インフルエンザワクチンは季節性が肝要であるため、非臨床試験及び臨床試験の実施時期を考慮し事

前の計画が最も重要である。そのため各試験機関との打ち合わせをより密に連携する必要がある。

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(3) 当初計画からの変更点(深耕点)とその理由

領域 変更前 変更後 変更理由

対象とする

課題・ニーズ

MN へ塗布する最適薬物に関しては、当初

インフルエンザ抗原を第一候補としたが

確定した状態ではなかった。

MN 塗布用薬物としてはインフルエンザ抗

原が最も MN の投与法としての特徴を発揮

できるとの結論を出した。

MN 適正、製品市場の大きさ、などを勘案し

て三重病院が薬物選定。

機器スペック・

ビジネスモデル

MN 自身のスペックは未定。 数種のサイズ、形状の異なるマイクロニード

ルを試作評価し、長さ 900μm、3 段針に決

定。

ニプロとの共同検討の中でマイクロニード

ルの穿刺性、薬物の皮膚内送達の確実性を考

慮して決定。

薬物自動塗布装置はコスメディ製薬内の

パイロット機が稼働していたのみであっ

た。

コスメディ塗布技術及び塗布機構をニプロ

にトランスファーして、ニプロ社内でアイソ

レーター内での自動無菌薬物塗布設備を完

成し、目下モデル抗原(インフルエンザ抗原)

塗布に向けてバリデーションを開始してい

る。

無菌製品として cGMP への対応を可能とす

るような機器スペック、塗布方法が必須であ

り、本器完成により臨床試験が可能となっ

た。

事業化体制 臨床試験の実施は共同体・国立病院機構三

重病院が担当。

平成 30 年度に目指す臨床試験を具体化する

にあたり、国立病院機構 総合研究センター

をコンサルタントとして活動していただく。

臨床試験をよりスムーズにかつ適切に遂行

するために必要。

事業化計画(開

発・薬事・上市ス

ケジュール)

製剤の開発製造に関しては共同体内の活

動で進められるが、その後の前臨床試験、

臨床試験への進め方に関する薬事には不

明確な点が多々あった。

PMDA との数回を重ねた相談により、前臨

床試験、臨床試験のへの道筋が明瞭になり、

平成 30 年度の進め方がスケジューリング化

することができた。

開発、上市スケジュールに関しては、特に

外海(韓国)における医薬品マイクロニー

ドル製剤の上市時期は後発品であれば平

成 33 年を目標としていた。

韓国調査によりマイクロニードル製剤は投

与経路の変更に該当し、新薬として臨床試験

PI~PIII を行う必要である。日本国内での臨

床 PI をスムーズに進行した上で、韓国では

平成 33 年に臨床へ進み、上市時期は平成 37

年に見込む。

韓国調査により、新薬の薬事的事情が明らか

になりずつ、今後韓国製薬メーカーを通じて

KFDA と密に相談する必要がある。

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(4) 有識者委員会・伴走コンサルでの指摘事項とその対応

領域 指摘事項 対応

薬事 PMDA との相談を密にして抜け落ちの無いように進めること。 29 年度においては、PMDA との密な相談を心掛け、今後の具体的

進め方に関する非常に適切なアドバイス、指導を受けることが出来

た。

知財 特許出願とノウハウ秘蔵とをよく区別して整理し、適切な知財管理を

行うこと。

かねてより思っていたことなので大変よく理解でき、今後の知財運

営方針の基本とする。

意匠登録をも重視すること。 本件の指摘事項は従来あまり重視していなかったことに気づかせる

ものであった。早速、現在実施予定の 3 段針マイクロニードルを意

匠出願した。

技術・評価 提出資料において、開発実績の記述が簡単に過ぎて何を実施したのか

よく分からない、より詳しく書くように。

指摘を受けて今後はより詳細に達成事項を記述することとする。

その他事業

化全般

ワクチンも PTH も同時に進めることは難しい。絞って集中して進め

るように。

指摘を受けて、まずインフルエンザワクチンに集中して非臨床、臨床

試験へ進む。PTH は将来のため基礎研究を行う。

(5) 継続条件への対応状況

継続条件 対応状況

対象疾患を限定したマイクロニードルに薬物を塗布したコンビネー

ション製品としての製造販売に向けて、パートナーである塗布する

医薬品メーカーも本事業の分担機関として共同体に加えること。

ニプロ㈱に分担機関として共同体に参加してもらい、インフルエンザワクチン塗布

のための治験薬 GMP に十分対応できる無菌的塗布装置の設計製作を遂行できた。

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1.8 平成 30年度以降の実施内容に関する計画(案)

(1) 平成 30年度の事業概要

本年度は、マイクロニードルに関して医療機器製造のため QMS 体制を整備し、クリーンな製造環境で、無塵・無菌の PGA マイクロニードルを安

定的に大量製造試作する。そのマイクロニードルをニプロに供給する。ニプロは無菌製剤の製造環境における GMP に準拠して薬物塗布プロセスを完

成し、GLP 試験用薬物塗布マイクロニードルを製造する。それらのベースの上に、マイクロニードル自身、および薬物塗布マイクロニードルに関し

て GLP 準拠安全性試験を実施し、31 年度に予定する臨床試験に対する準備を行う。

上記の活動が抜け落ちなく成就し将来の薬事承認申請、事業化がスムーズに実施できるよう、薬事面、知財面、でのサポート活動を行う。

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(2) 平成 30年度補助事業の実施内容

項目名 実施主体 具体的な内容

(1) 製品開発・評価

・MNシステム開発

・MN への薬物塗布条件

の決定

・MN、その他関連部材の

量産体制

・MN皮膚刺激性試験

・臨床評価用 MN製作

・滅菌バリデーション

・リスクマネジメント

コスメディ製薬 PGA-MN、ケース、アプリケータ、及び経皮投与法をも含むマイクロニードル投与システムとして完成させ

る。

コスメディ製薬、 PGA-MN への薬物塗布条件を改良最適化しニプロに移管し製造可能性を確認し、最終的決定する。

コスメディ製薬 PGA-MN 及び粘着保護テープは自社クリーンルームで、その他部材は医療機器製造実績を有する成型メーカ

ーによりクリーン環境での量産体制を確立し前臨床及び臨床試験に供する。

コスメディ製薬 PMDA の対面助言により、PGA-MN の細胞毒性試験、皮膚感作性試験を追加実施する。

暫定規格に合格した PGA-MN 製造し GLP 試験に供給する。

PGA-MN の無菌保証を目的として放射線滅菌のバリデーションによる滅菌線量を決める。

医療機器として薬事申請のため各種データを蓄積、特に PGA-MN 及びアプリケータのリスク分析及び評価

を行う。

(2)臨床研究

・HA-PGA-MN の臨床試

験用製品製造

・前臨床試験

・臨床試験準備

ニプロ GMP 準拠した無菌的に MN へのモデル薬物(HA ワクチン)塗布の量産体制を確立し臨床試験用最終製品化

する。その目的に向けて製造バリデーションを行う。

コスメディ製薬 MN 自身及び HA-PGA-MN を GLP 施設にて安全性試験実施。MN 自身及びコンビネーション製品の試験内

容に関しては PMDA 対面助言により明確になっている。

国 立 病 院 機 構

三重病院

HA-PGA-MN を用いる臨床試験への準備。試験のプロトコールに関しては PMDA の対面助言で認められて

いる。

マイクロニードル自身の医療機器としての申請のための臨床試験の詳細に関して PMDA と相談し決定する。

(3)薬事戦略

・QMS 体制整備

・医療機器製造販売承

認申請

コスメディ製薬 MN の製造販売へ向けて、ハード面ソフト面からの充実を計る。

主にリスクマネジメント、バリデーションに基づく開発設計管理に注力する。

製造販売承認申請書が求めるエビデンスに基づく開発設計・製造品質管理・製品適用方法など要件を十分理

解し、申請資料を準備する。

(4)知財戦略 コスメディ製薬 知財への目配りをさらに強化し、自社出願・他社の同類特許調査を充実させる。

(5)販売戦略 コスメディ製薬 販促用のマイクロニードル関連エビデンスデータを充実させ、国内外学会、展示会に積極的出展し販促活動

を行う。

MN:マイクロニードル、HA:インフルエンザワクチン

PGA‐MN:ポリグリコール酸マイクロニードル

HA-PGA-MN: インフルエンザマイクロニードルワクチン

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1.9 事業に関する連絡窓口

コスメディ製薬株式会社

〒601-801 京都市南区東九条河西町 32

電話: 075-950-1510 / FAX: 075-950-1512 / E-mail: [email protected]