1

アカデミッククラウドによる教育研究支援の展望

名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室情報基盤センター 情報科学研究科

梶田 将司2009 年 5 月

2

Agenda

• 背景• クラウドコンピューティングの時代へ• 大学とクラウド

名古屋大学ポータル

CAS (シングルサインオン）uPortal (大学ポータル開発フレームワーク）

情報サービスの統合化技術

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度

名古屋大学ポータルの時間的変遷

統合度

時間

第１世代

第 2世代第 3世代

100%

アプリ連携（教務システム）全学 ID+SSO （ LDAP+CAS サーバ）大学ﾎﾟｰﾀﾙﾌﾚｰﾑﾜｰｸ （国際化 uPortal ）データ永続化（ Oracle 10g RAC ）負荷分散（ﾛｰﾄﾞﾊﾞﾗﾝｻ・ SSL ｱｸｾﾗﾚｰﾀ）

利用規程・内規制定全学 ID の全学的承認学務情報ｼｽﾃﾑ推進委員会との連携

全学 ID （ LDAP サーバ）大学ﾎﾟｰﾀﾙﾌﾚｰﾑﾜｰｸ （国際化 uPortal ）データ永続化（ Postgres ）

大学ポータル専門委員会設置

ｻｰﾊﾞ共有 （教員ﾌﾟﾛﾌｨｰﾙ DB ）ﾎﾟｰﾀﾙ UI 更新（ uPortal+VT ｽｷﾝ）

教員ﾌﾟﾛﾌｨｰﾙ DB 連絡会との連携情報戦略組織の検討（ WG+FS 室）

情報連携統括本部設置災害対策室との連携

S/W 開発ﾌﾚｰﾑﾜｰｸ （安否確認）Service Delivery Network （災害対策）情報サービス統合技術・組織基盤

名古屋大学ポータル統合スタック

Internal Network (Load Balancing, SSL)

Servers (H/W, OS)

Middleware (Web, Servlet)

MyNUApps

MyN

UC

ontents

Ca

mp

usIn

fo

Sakai Tools

教員プロフィー

ル

DB

Portal User Interface

名古屋大学ホー

ムペー

ジ

教務システム

Middleware (LDAP)

Middleware (CAS)

Middleware (RMSDB)

S/W Development Framework

安否確認

Others

名 古 屋大学ポータル 名古屋大学ポータル関連サービス

広報室

学務部

評価企画室

災害対策

室

総務部人事課

部局・学科… .

図書館

メディアセンター

全学技術センター

クラウド＝第 3 の波到達可能で

あること参加可能で

あること

ユーティリティで

あること情報通信基盤に求められる機能

年

分散化（ Decentralized) 集中化（ Centralized)6

情報

通信

基盤

の社

会基

盤と

して

の進

化度

1991 2007

ウェブ 1.0

ウェブ 2.0

ウェブの時代 クラウドの時代

1969

ネットワークの時代

TCP/IP

7

クラウドコンピューティング• マッキンゼー社による定義

1. 購入する側にとって，ハードウェア管理が高度に抽象化されている

2. 購入する側は，可変な事業運営費としてインフラコストを負担する

3. インフラキャパシティは高度に伸縮性がある ( 伸ばす方にも縮める方にも )

8

クラウド型サービスの類型• 提供レイヤーでの分類

– Software-as-a-Service (SaaS)• アプリケーションやサービスを提供• Gmail や Salesforce.com など

– Platform-as-a-Service (PaaS)• アプリケーションを開発・提供するための仕組みを提供• Google App Engine や Amazon AWS など

– Infrastructure-as-a-Service (IaaS)• 仮想化された計算機資源を提供• Amazon AWS や Windows Azure など

• 提供対象での分類– パブリッククラウド

• 企業や個人など，一般向けサービスとして提供– プライベートクラウド（エンタープライズクラウド）

• 企業や大学などの組織内のクラウド

9

アカデミッククラウド環境

X 大学構成員

Z

C

K

E

TP

R

B

X

A

J

X 大学ポータル

データ

データZ

C

K

E T

P

R

B

XA

J

Z

C

K

E

TP

R

B

XA

JX

ZB

A

ZC

P

J

X

ZB

A

Z

C

P

J X

ZB

A

Z

C

P

J

X

ZB

A

Z

C

P

J

グリーン IT

プライバシ

災害対策セキュリ

ティ

高度 IT 人材育成費用対効果

改善デー

タ

データ

データ

Y 大学構成員

名古屋大学構成員

Y 大学ポータル

分散配置計算機リソース

群 名古屋大学ポータル

K

仮想化された分散配置計算機リソース群上で HPC サービスから教育研究に必要なサービスまでを動的に構成・提供可能な大学間連携型学術情報プラット

フォーム

共同研究対象 クラウド型教育・研究・業務サービス

広域仮想化情報サービスプラットフォーム

名古屋大学ポータル統合スタック

Internal Network (Load Balancing, SSL)

Servers (H/W, OS)

Middleware (Web, Servlet)

MyNUApps

MyN

UC

ontents

Ca

mp

usIn

fo

Sakai Tools

教員プロフィー

ル

DB

Portal User Interface

名古屋大学ホー

ムペー

ジ

教務システム

Middleware (LDAP)

Middleware (CAS)

Middleware (RMSDB)

S/W Development Framework

安否確認

Others

名 古 屋大学ポータル 名古屋大学ポータル関連サービス IaaS 型

PaaS 型

SaaS 型

11

アカデミッククラウドにおけるサービスピラミッドと研究の対象

アカデミッククラウド環境の利用例裾野の広いサービスを動的に構成・提供可能

大学レベルの HPC アプリケーション

大学・部局レベルの教育・研究・業務系アプリケーション

専門分野共通の教育・研究アプリケーション

専門分野固有の教育・研究アプリケーション

スパ

コン

SIN

ET

学蔵 （新規研究開発）

ＡＣＬ （新規研究開発）

大規模

仮想

化計

算機

リソ

ース

基盤

（要求

設備

）

12平成 22年度概算要求（名古屋大学）

自学自習型CD-ROM 教材による外国語教育

Matlab によるディジタル信号処理に関する学生実験

Mathematica による微分方程式に関する課題レポート

3次元 CAD ソフトウェアによる構造物設計に関する学

生実験

計算機クラスタによる多体化学系の反応現象の解析・

シミュレーション

レポート執筆のための Office系アプリの利用

研究データの SPSS による統計解析

ペタコン・スパコンでの実行用ソフトウェアの高速化・デバッグ

履修登録等の高負荷時の臨時サーバ

として使用

部局・学科・研究室等のウェブ・メール

サーバ

「統計的多重化」による計算機リソースの効率的な利用（任意の時間に，多数のユーザが，様々な目的に使うこ

と）

業務用データの保管

仮想マシンのイメージの保管

全学メールボックスの保管

E-Learning 教材の保管

計算機リソースに対する過大・過小投資のリスクの軽減

ハードウェア更新からの解放

大規模調達によるコスト削減

電気代抑制

ｿﾌﾄｳｪｱﾗｲｾﾝｽの厳格管理

グリッド環境での計算

学生が自宅からでも利用できる

仮想端末

ｾｷｭﾘﾃｨ向上

仮想端末上での成績等の高セキュリティ業務用デー

タの使用

13

仮想マシンイメージ

リソース管理マネジャ

ブレードサーバ群

ユーザ A の仮想実習

マシン

リクエスト

ユーザ A @ 自宅，実習室，端末室等

リソース割当

RDC や ssh により利用

アプリごとの仮想マシン

イメージバンク

選択

個人用ストレージ

コース管理ｼｽﾃﾑ

認証・権限管理ｼｽﾃﾑZ

C

K

E

TP

R

B

X 連携A

仮想化された計算機リソース

クラウド型専門教育実習環境

J 大学ﾎﾟｰﾀﾙ

クラウド型専門教育実習環境オンデマンドで仮想化計算機リソースにより構成される仮想コンピューティン

グ実験室

災害対策のための７センター連携型データ貯蔵サービス「学蔵（ Gakuzo

h ）」（仮称）

コース管理

財務会計ｼｽﾃﾑ

教務ｼｽﾃﾑ

各大学の機関情報システム

東海地域用バックアップ

学蔵ノード（東北大

学）学蔵ノード

（東京大学）

学蔵ノード（九州大学）

学蔵ノード（北海道大

学）

学蔵ノード（京都大学）

学蔵ノード（大阪大学）

学蔵ノード（名古屋大

学）

仮想的なWrite-Onlyストレージ

人事ｼｽﾃﾑ

学術データ

15

学蔵短期パイロットシステム構成案

SINET や JGN2+

学蔵ノード(A 大学 )

学蔵ノード( 名古屋大

学 )

学蔵ノード(B 大学 )

ストレージアプライアンスサーバ

BKUP 対象SYS

( ユーザ大学 )

地域間BKUP

地域内BKUP

VPN

16

オープンな研究開発の推進• Hadoop (Apache)

– 大規模データ処理アプリケーションを開発・実行可能– Google のサービス基盤と同等機能

• Google File System <-> Hadoop Distributed FileSystem• MapReduce <-> Hadoop MapReduce• BigTable <-> hBase

– DB ボトルネックの解消へ• VCL (Apache, NCSU)

– Virtual Computing Laboratory• オンデマンド型仮想計算機構成・サービス提供

• Eucalyptus (UCSB)– Elastic Utility Computing Architecture for Linking Your Programs To Useful Systems

– Amazon EC2 と互換性のあるインタフェース

17

大学とクラウド• これまでやってきたことのクラウドでの対応

– ハウジング，ホスティング，端末利用，…• 管理コストという「不良債権」の回収

– セキュリティ対策， S/W ライセンス管理，…• 計算機リソースの有効活用の新たな手段

– 「統計的多重化」• コスト削減• 運用要員育成

限られた財政的・人的資源を効率的に有効活用した日本的情報サービス提供モデルを確立

``おもてなしの心’’