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生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

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生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道. 山本太郎 長崎大学熱帯医学研究所 国際保健学分野. 本日の話の流れ. 自己紹介 研究所・研究室の紹介 生態学的感染症理解について 歴史 適応 進化 共生への道. 山本 太郎. プロフィール: 医師 長期海外赴任: ジンバブエ,アメリカ,ハイチ(得がたい体験をした) こんなところで勉強してきました: 長崎大学医学部 長崎大学医学部大学院(ウイルス学専攻)(長崎) 東京大学大学院(国際保健学専攻)(東京) ハーバード公衆衛生大学院(武見フェロー)(ボストン) こんなところで働いてきました: - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

生態学的感染症理解-適応、進化、共生への道

山本太郎長崎大学熱帯医学研究所

国際保健学分野

Page 2: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

本日の話の流れ

• 自己紹介• 研究所・研究室の紹介• 生態学的感染症理解について

• 歴史• 適応• 進化

– 共生への道

Page 3: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

山本 太郎•プロフィール:医師•長期海外赴任:ジンバブエ,アメリカ,ハイチ(得がたい体験をした)•こんなところで勉強してきました:

–長崎大学医学部–長崎大学医学部大学院(ウイルス学専攻) (長崎)–東京大学大学院(国際保健学専攻) (東京)–ハーバード公衆衛生大学院(武見フェロー) (ボストン)

•こんなところで働いてきました:–市立札幌病院救急部 (札幌)–長崎大学熱帯医学研究所・助手 (長崎)–ジンバブエ国保健省・チーフアドバイザー (アフリカ)–京都大学大学院医学研究科 ・助教授 (京都)–コーネル大学・ベイル医学校 ・准教授(ニューヨーク)–WHO (世界保健機関)・コンサルタント (マニラ)–ハイチ・カポジ肉腫・日和見感染症研究所・上席研究員 (ハイチ)–外務省・国際協力局・課長補佐 (東京)–長崎大学熱帯医学研究所国際保健学分野・主任教授 (長崎)

Page 4: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

長崎大学熱帯医学研究所• 1943 ( S17 )年 3 月:長崎医科大学附属東亜風土病研究所発足

同仁会漢口診療防疫班医院概観(写真上)と班員(写真下)

新京訪問時の長崎医科大学長

Page 5: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

長崎大学熱帯医学研究所• 1946 ( S21 )年 4 月:長崎医科大学風土病研究所へ改組• 1949 ( S24 )年 5 月:新制長崎大学へ移行

長崎大学附置風土病研究所

五島列島における寄生虫症の研究

天草における肺吸虫症の疫学的研究

Page 6: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

長崎大学熱帯医学研究所• 1943 ( S17 )年 3 月:長崎医科大学附属東亜風土病研究所発足• 1946 ( S21 )年 4 月:長崎医科大学風土病研究所へ改組• 1949 ( S24 )年 5 月:新制長崎大学へ移行

長崎大学附置風土病研究所• 1964 Dr. K. Hayashi Viral diseases in East Africa• 1965 Prof. D. KatamineParasitic diseases in Tanzania• 1966 Prof. H. Fukumi Viral and parasitic diseases in East Africa

• 1967 ( S42 )年 6 月:風土病研究所を「熱帯医学研究所」へ改組

Page 7: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

熱帯医学研究所以降

1973 :天然痘根絶計画への参加 (エチオピア)1974-1976 :住血吸虫症対策に関する研究 (ケニア)1977-2001 :カポジ肉腫及び関連疾病研究 (ケニア) 1990-2005 :エイズに関する研究 (ウガンダ)1995-1999 :住血吸虫症対策に関する研究 (タンザニア)1996-2001 :マラリアと住血吸虫症対策 (ジンバブエ)2006 -:ナイロビ拠点、ハノイ拠点の設置

Page 8: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

熱帯医学研究所環境医学部門

「国際保健学」分野• 研究  (感染分子の進化・適応、環境医学、医療生態

学)• 教育  (博士課程、医学部、修士課程、研修コース)• 社会貢献(国際貢献)

• 公共政策への提言• 開発現場での活動• 人づくり

Page 9: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

Social responsibility

• Policy development through

• G8 summit• TICAD

• International collaboration through

• MOFA • JICA• NGO/NPO

   on the ground and at the national level

Page 10: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

Research activitiesThere are three major units in our

dept.

• Environment and health• Climate change• Land usage/Deforestation• Asian (Yellow) dust

• Medical ecology • Malaria• Dengue fever• HIV

• Evolution biology and molecular evolution

• HTLV-1• Tuberculosis• Leprosy

Page 11: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

Umbrella Concept of Our Interests

Our interest in research in infectious disease is to understand natural history of infectious diseases over both time and space, through the appreciation to interaction between infectious agents and hosts, or human being in this case, as well as environment. Agents and hosts are creatures in nature, have its own strategy to survive, affect each other, and evolve in the surrounding environments.

Page 12: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」(ポール・ゴーギャン)

“D'où Venons Nous / Que Sommes Nous / Où Allons Nous “ P. Gauguin / 1897(!)

Page 13: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

 「健康と病気は、生物学的、文化的資源を持つ人間の集団が、その環境にいかに適応したかという有効性の尺度である」

リチャード・リーバン(医療人類学者)

Page 14: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

生態学的感染症理解

われわれはどこから来たのか

Page 15: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

農耕以前の人類の健康を推測させる二つの研

(フェロー諸島)

• 二つ目の研究は、 1846 年に行われたフェロー諸島の麻疹流行についての研究。•  1846 年、フェロー諸島において、麻疹が流行し、 7800人の住人のうち 6000人近くが感染した。• 当時、現場で調査を行ったパナムは、二つの事実に気づいた。第 1 に、 65歳以上の住人の発症がほとんどなかったこと。第 2 に、直近の麻疹流行が 65 年前の 1781 年であったこと。 1781 年以降、フェロー諸島において麻疹流行はなく、麻疹に対する集団免疫がフェロー諸島住民の間で低下していたと推測した。一方、 1846 年の流行についていえば、外部から麻疹が持ち込まれた可能性が高いと報告した。• 後に有名になるこの報告書は、本人の意図とは別に、感染症と人類史について多くの示唆を与えるものとなった。パナムの報告書が与えた示唆とは、数千人規模の人口では、麻疹は流行を維持できないということに他ならなかった。後の研究によって麻疹の恒常的流行には、 25万人規模の人口が必要だということが明らかになるが、そうした人口規模は、農耕・定住が始まって始めて可能となったのである。

• 一つの研究は、イェール大学感染症疫学教室教授であったブラックらは、アマゾン先住民を対象として行った研究。• ブラックらは、まず、感染症を二つに分類した。一つは結核のような慢性の感染症。もう一つは、感染した後、短期間で免疫を獲得して回復するか死亡する急性感染症。麻疹や風疹、おたふく風邪、インフルエンザなど。• 二つ異なる種類の感染症について流行状況を調べた結果、ブラックらは、アマゾン先住民社会において、急性感染症は、流行を維持できないことがわかったという。一方で、長期間持続感染する感染症は社会に風土病的に根付いていることも明らかとなった。

• ブラックらはこうした結果から、麻疹や風疹、おたふく風邪といった急性感染症は、人類がある一定以上の人口規模を持つようになって始めて、流行を繰り返すようになったと考えた。

Page 16: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

ブラックとパナム、二つの研究が示唆するもの

• 農耕・定住以前の人間社会では、麻疹、風疹、おたふく風邪といった急性感染症の流行は、極めて稀であったに違いないこと。

• この事実は、二つのことを示唆するものとなっている。• 第一の示唆は、急性感染症が、人類進化に対する淘汰圧として働

いた可能性が低いということ。• 第二の示唆は、急性感染症は乳幼児期の感染症であることから、農耕・定住以前の人類は、妊娠・出産に関わる病気を除けば、比較的健康な乳幼児期を送っていた可能性が高いということ。

• 農耕以前の社会において、癌や循環器病を引き起す環境要因が、現代社会と比較して少なかったに違いないことを考えれば、当時の人類の健康状態は、私たちが想像するよりはるかに「健康」だったかもしれない。「健康」が環境への適応の尺度だと考えれば、人類は環境に対しある種の適応を果たしていたのかもしれないということになる。

Page 17: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

家畜からの贈り物

人間の病気 最も近い病原体を持つ動物

  麻疹 ウシ、イヌ  天然痘 ウシ  インフルエンザ 水禽(アヒ

ル)、ブタ  百日咳 ブタ、イヌ  

Page 18: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

農耕の開始

野生動物の家畜化(麻疹・天然痘・百日咳・インフルエンザなど)

食料増産定住

人口増加(感染症流行の土壌を提供)

ヒト社会にある種の感染症が根付いた

(促進)

Page 19: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

ウイルスのヒトへの適応段階    代表例

第 1 段階 適応準備段階ともいえる段階であり、感染症は家畜や獣から引っかき傷やかみ傷を通して直接感染するが、ヒトからヒトへの感染はみられない。感染は単発的な発生のみで終息する

l         レプトスピラ症l         猫引っかき病

第 2 段階 適応初期段階ともいえる段階であり、ヒトからヒトへの感染が起こる。ただし、この段階は適応の初期段階に過ぎず、感染効率が低いためやがて流行は終息に向かう

l    オニョン ニョン熱 (・ 1959 ,東アフリカ)l   新型レプトスピラ症 (第二次大戦中,アメリカ)

第 3 段階 適応後期段階というべき段階であり、以前は動物のあいだで流行していた感染症がヒトへの適応を果たし、定期的な流行を引き起こす

l         ラッサ熱( 1969 ,ナイジェリア)l         ライム病( 1962 ,アメリカ)l         エボラ出血熱 ( 1976 ,スーダン南部)

第 4 段階 ヒトに対し適応したため、もはやヒトのなかでしか存在できない感染症がこの段階の感染症

l         天然痘, エイズ,l         梅毒

最終段階 ヒトという種のなかから消えていく感染症

        成人 T 細胞白血病

Page 20: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

感染症が広がるということ

その生物現象への社会学的関与  R0 = β×κ×D

Page 21: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

基本再生産数

• 基本再生産数( R0 )は以下の式で与えられる :定義:「基本再生産数」とは,ある1人の感染者が完全な感受性集団に入ってきたとき、その感染者から平均で何人が感染するかという数

論理的には以下の3つのシナリオが考えられる

R0 < 1:  流行は起こらないR0 = 1: 流行は終息もしないが拡大もしないR0 > 1: 流行は拡大する

(1+2+0+1+3+2+1+1+2+1+2)/10=1.5

R0 = β×κ×D  - β=1回の接触あたりの感染確率  - κ=単位時間あたりの接触頻度  -D=感染力を有する期間

Page 22: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

HIVを例として、基本再生産数を考える

• R0 = β×κ×D– β=1回の接触あたりの感染確率– κ=一定時間あたりの接触頻度– D=感染力を有する期間

• β は、1回の性的接触あたりの感染確率。性感染症の合併がない場合( 0.01 ー 0.001 )

• Dは、感染力を有する期間感染直後から死亡までの期間(治療が行われない状況では平均で約 15 年)

• κ は、接触頻度を現すパラメータ。この場合は、ある時間単位の中での新たなパートナーの数となる。

→ 新たなパートナーの数は、別な言葉でいえば、誰と誰がどのように性的交流をしているかによって規定される。

→ そして、この交流パターンは、所属する社会グループによって異なると同時に、時代や社会によって大きく異なる。例えば、農耕の開始以前と以降でも異なる。日本社会とパプア・ニュギニア社会でも異なる。性産業従事者とそうでない人の間でも異なる。

Page 23: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

フリースケール・ネットワーク定義:一部のノードが膨大なリンクを持つ一方で、大多数のノードは僅かなリンクしか持たないネットワーク構造

(ランダムグラフとスケールフリーグラフ)

Page 24: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

人々の暮らし、社会を知ることの重要性

-基本再生産数が教えてくれること• 繰り返しになるが、このことは、感染症の流行は、人々の交流パターン、つまり、社会構造のあり方、人々の暮らしぶりによって規定されていることを示しており、

• そうしたことの理解が重要であることを示している。

• ここまでは、ある感染症が流行するか否かに、社会のあり方が影響していると述べてきたが、

• 実は最近、どのような感染症が流行するかは、そのときの社会構造を含めた社会のあり方が規定しているのではないかとさえ思うことがある。

Page 25: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

感染症が社会に与えたインパクト

-スペイン風邪( 1918 年)-中世ヨーロッパのペスト-コロンブス以降の新世界

Page 26: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

人のインフルエンザの原因

• インフルエンザウイルスの感染によるが、自然宿主は水鳥    A型            流行する                   (時に世界的流行を引

き起こす)   B型            流行する   C型          流行的発生ではない

• A型インフルエンザウイルスは 144種類の亜型 (HA16種類、 NA9種類)が存在する

Page 27: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

20 世紀における新型インフルエンザ登場の歴史

A(H1N1)

A(H2N2)

A(H3N2)

1918年 スペイン型

1957年 アジア型

1968年 香港型

4000万- 1 億人死亡

100 - 400万人死亡

100 - 400 万人死亡

Credit: US National Museum of Health and Medicine

Page 28: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

20 世紀に出現した新型インフルエンザウイルス亜型の系譜

H1N1H2N2

H3N2 H5N1

スペイン風邪アジア風邪

香港風邪

      

1918 1957   1968 1977 ???? 

 

ソ連風邪( H1N1 in 1950 )

Page 29: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

History of Influenza Pandemic1781

1830

1889

1918

19571968

49 yrs

59 yrs

29 yrs

39 yrs

11 yrs

20??

Page 30: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

US mortality data, 1900-90

1918

1918: Worst health event since "black death" of 14th century

Page 31: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

1918 年のアメリカ• 「まず木工職人と家具職人をかき集め、棺作りを始めさせておくこと。次に、街にたむろする労務者をかき集めて墓穴を掘らせておくこと。そうしておけば、少なくとも埋葬が間に合わず死体がどんどんたまっていくという事態は避けられるはずだ」(アメリカ東海岸の公衆衛生担当者たちが米国内の他地域の担当者に対して送ったアドバイス)

• 「病院へ運ばれてきた当初、通常のインフルエンザに罹患しているだけのように思われた兵士たちは、しかし数時間のうちにこれまで見たこともないような急激な肺炎症状を示した。入院数時間後には耳から顔全体にチアノーゼが広がり、白人と黒人を区別することさえできなくなった」(診察した医師の記録)

• 「何よりもわたしたちを驚かせ、怯えさせた症状は皮下気腫の存在だった。皮下に空気が溜まり、それが体全体に広がっていく。破裂した肺から漏れでた空気は、患者が寝返りを打つたびに、プチ、プチと音を立てた」(看護婦の記録)

Page 32: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

Pandemic Influenza in 1918

Page 33: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

 スペイン風邪( 1918 - 19 年)による推計死亡者数

世界全体 4880万人- 1 億人アジア 2600万人- 3600万人インド 1850万人中国 400万人- 950万人ヨーロッパ 230万人アフリカ 238万人西半球 154万人米国 68万人日本 39万人

 

Johnson & Mueller( 2002)改変

Page 34: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

感染症が社会に与えたインパクト

-スペイン風邪( 1918 年)-中世ヨーロッパのペスト-コロンブス以降の新世界

Page 35: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

モンゴル帝国勃興とペスト• チンギス・ハーン(在位一二〇六-一二二七年)が建設したモンゴル帝国支配下において、ユーラシアを横断する隊商交通網の発展は頂点を迎えた。モンゴル帝国の勢力が絶頂に達した一三世紀後半には、その版図は、現在の中国全土とロシアの大半、中央アジア、イラン、イラクを包含するものであった。その版図が、一大交通網で結ばれた。

• こうした交通の発達は、ヒマラヤ山麓の風土病であったペストを、ユーラシア大陸全体に広げることに貢献した。

• ヨーロッパにおけるこの時期の人口急増がペスト流行に格好の土壌を提供することになった。

(シルクロード)

(モンゴル帝国の最大版図)

Page 36: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

文明間における疾病交換と均質化

• 歴史研究家ウィリアム・H・マクニールによれば、文明は感染症を貯蔵する装置として機能し、感染症の定期的流行は集団に免疫を付与しているという。それぞれの文明は固有の感染症を貯蔵し、文明圏に属している人々に固有の免疫を付与する。こうした固有の疾病構成をもったそれぞれの文明を『疾病文明圏』と呼ぶ。異なる疾病文明圏の間では、戦争や交易といった異文化接触を通して疾病交換が行なわれる。それによって、それぞれの『疾病文明圏』を構成する疾病数は増加する。と同時にそれぞれの疾病文明圏における疾病レパートリーは均質化していく。というのがマクニールの主張である。

• ヒマラヤ山麓地方の風土病であったペスト、その中世ヨーロッパでの大流行も、疾病文明圏という視点に立てば、ユーラシア大陸での疾病交換と均質化の過程だったとみることができるのかもしれない。

Page 37: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

ペストがもたらした社会変化

• 大きな被害を出したペスト流行は、当時のヨーロッパ社会にさまざまな影響を与えた。

• 第一に、労働力の急激な減少は、賃金の上昇をもたらした。農民は流動的となり、農奴やそれに依存した荘園制の崩壊が加速した。

• 第二に、教会は、その権威を失い、一方で国家意識が高揚してきた。

• 第三に、人材の払底は、本来であれば登用されることのない人材の登用をもたらした。

• そうした事態が社会や思想の枠組みを変えた。封建的身分制度は、実質的に解体へと向かうことになった。それは同時に、新しい価値への模索へと繋がっていった。

• 半世紀にわたる黒死病流行の恐怖の後、ヨーロッパは、ある意味で静謐で平和な時間を迎えた。それが内面的な思索を深めさ、文芸復興 ( ルネサンス ) へと繋がっていく。新たな技術は、人々を、新大陸やアフリカといった新たな世界へと押し出した。

• それが新たな疫学的均衡の撹乱を引き起こすことになった。

Page 38: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

感染症が社会に与えたインパクト

-スペイン風邪( 1918 年)-中世ヨーロッパのペスト-コロンブス以降の新世界

Page 39: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

文明間における疾病交換と均質化

• ペストを例として見た、ユーラシア大陸内での疾病交換と均質化の過程は、新大陸と旧大陸の間でも見られることになった。

• コロンブスの新大陸発見以後の新大陸先住民は、ヨーロッパ人が、中近東やインド、中国、あるいはその他地域の他文明と接触することによってそれまでに経験し、乗り越えてきた、 4000年以上にわたって積み重ねてきた疾病交換の歴史を一気に体験することになった。

• 新大陸の住民は、世界史上、例を見ない惨禍に見舞われた。新大陸住民の人口は 10分の1にまで、減少したという。惨禍の大きさは、ペストの流行や、麻疹の流行をはるかにしのぐ規模であった。

Page 40: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

なぜ、ヨーロッパ人が新大陸を征服できたたか

• マクニールによれば、当時、疫病が神の怒りだとする解釈は、旧約聖書を始めとするキリスト教の教えだったという。その点、スペイン人も新大陸住民も一致していたという。その神の怒りが、新大陸住民にあれほど無慈悲な力を振るったにもかかわらず、スペイン人たちには、ほとんど影響を与えなかった。スペイン人たちは、おそらく幼児期に感染し免疫を獲得していたからである。この事実が、新大陸住民に大きな困惑をもたらした。征服者であるスペイン人たちが一方的に神の恩寵を受けているという事実に、先住民は慄いたに違いない。どれほど人数が少なく、その行為がどれほど残忍かつ卑劣であったとしても、それに抗う力は、先住民たちには残っていなかった。

• 「聖なる理法も自然の秩序も、はっきりと原住民の伝統と信仰を非としている以上、抵抗ということにどんな根拠が残っていたというのか。スペインの征服事業が異常なほどの容易さだったこと、また、わずか数百人の男が広大な地域と数百万人の人間をがっちり支配し得た事実は、このように考えて始めて理解できる」

(「疾病と世界史」佐々木昭夫訳 中公文庫(下))

Page 41: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

生態学的視点から見た「疾病と健康」

 「健康と病気は、生物学的、文化的資源を持つ人間の集団が、その環境にいかに適応したかという有効性の尺度である」

リチャード・リーバン(医療人類学者)

  狩猟・採取社会は、私たちが想像するより健康的な社会であったかもしれない。

  そして奇妙なことだが、人間の罹患する疾病の種類と頻度を増加させたのは、農業と家畜の発明であった。農業と家畜飼育により可能となった確実な食糧供給とそれに伴う人口増加、定住は、感染症の広範な増加をもたらした。

    もしかすると私たち人類は、いまだ、農業定住といった環境変化への適応途上かも知れない。

 

Page 42: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

生態学的感染症理解

われわれはどこにいるのか

Page 43: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

野生動物からの贈り物

人間の病気 最も近い病原体を持つ動物  麻疹 ウシ、イヌ  結核 ウシ  天然痘 ウシ  インフルエンザ 水禽(アヒル)、

ブタ  百日咳 ブタ、イヌ  エボラ コウモリ?  エイズ アフリカ・ミドリザル   SARS コウモリ??

Page 44: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

2010 年 6 月 8 日現在:感染者 499名・死亡者 295名

Page 45: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

開発原病と再興感染症 Developo-genic diseases

• 灌漑・ダム→住血吸虫症・オンコセルカ症(河川盲目症)等– ナセル湖(エジプトースーダン国境)・アコソンボダム(ガー

ナ)・三峡ダム(中国)等

• 土地開墾(ゴム農園など)→原生林の伐採→ハマダラ蚊の成育促進→マラリア等

• 道路建設・港湾建設→トリパノソーマ症(睡眠病)・エイズ等

• 都市化→過密なスラムの誕生→結核・赤痢等

Page 46: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

エボラとゴリラ

CREDIT: M. WATSON/WWW.ARDEA.COM

 コンゴ共和国で、エボラ出血熱のためゴリラ(ニシローランドゴリラ)が大量死した(独マックスプランク研究所)。同国のロッシ保護区西部(2700平方キロ)では、5000頭以上が最近5年間でほぼ全滅したと推定。アフリカ最大のゴリラ生息地で絶滅の恐れが急激に高まっている。  研究チームは、同国とガボンの国境付近の住民にエボラが流行した01年以降、人だけでなく周辺の森でゴリラも相次いで死んだことに注目。流行地に近いロッシ保護区やその周辺でゴリラの感染や生息状況を調べた。 その結果、同保護区西部では、エボラ流行前に1平方キロ当たり約2頭生息していたゴリラが、ほとんど観察できなくなった。また、02年10月から4カ月間に個体識別できた143頭中、130頭がエボラのため死んだとみられ、致死率は90%を超えた。 【毎日新聞 田中泰義   】 ▽アフリカの感染症に詳しい山本太郎・外務省多国間協力課課長補佐(医療生態学)の話。「ゴリラやチンパンジーなどの霊長類が絶滅に向かうと、ウイルスは自らの生き残りをかけ、新たな宿主を求めることがある。その時、人類が新たな宿主になる可能性がある」

Page 47: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

生態学的視点から見た「疾病と健康」

 「健康と病気は、生物学的、文化的資源を持つ人間の集団が、その環境にいかに適応したかという有効性の尺度である」

リチャード・リーバン(医療人類学者)

  狩猟・採取社会は、私たちが想像するより健康的な社会であったかもしれない。そして奇妙なことだが、人間の罹患する疾病の種類と頻度を増加させたのは、農業と家畜の発明であった。農業と家畜飼育により可能となった確実な食糧供給とそれに伴う人口増加、定住は、感染症の広範な増加をもたらした。

    もしかすると私たち人類は、いまだ、農業定住といった環境変化への適応途上かも知れない。

  そして、現在の私たちはといえば、農耕社会への適応途上に加えて、産業化、グローバル化、開発を始めとする環境への急激な負荷、それが引き起す地球温暖化といった、環境変化に直面しつつある。

Page 48: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

環境変化→疫学的均衡の撹乱→→疾病の交換と均質化→新たな平衡の模索

例えば、農耕・定住・野生動物の家畜化・人口増加・人口密度の増加例えば、産業革命・都市人口の増加・密閉された工場例えば、開発・グローバル化・小さくなる地球

Page 49: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

生態学的感染症理解

われわれはどこへ行くのか (向かうべきか )

共生( symbiosis )という考え方

Page 50: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

HIV流行のシュミレーション

10009008007006005004003002001000

8e+4

6.667e+4

5.333e+4

4e+4

2.667e+4

1.333e+4

0

8e+4

6.667e+4

5.333e+4

4e+4

2.667e+4

1.333e+4

0

TIME

Y2 Y1

( Y2):弱毒 HIV-1株

( Y1):強毒 HIV-1株

【性的交流が活発な場合】

10009008007006005004003002001000

6e+4

5e+4

4e+4

3e+4

2e+4

1e+4

0

6e+4

5e+4

4e+4

3e+4

2e+4

1e+4

0

TIME

Y2 Y1

【性的交流が穏やかな場合】

( Y2):弱毒 HIV-1株

( Y1):強毒 HIV-1株

Page 51: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

ウイルスのヒトへの適応段階    代表例

第 1 段階 適応準備段階ともいえる段階であり、感染症は家畜や獣から引っかき傷やかみ傷を通して直接感染するが、ヒトからヒトへの感染はみられない。感染は単発的な発生のみで終息する

l         レプトスピラ症l         猫引っかき病

第 2 段階 適応初期段階ともいえる段階であり、ヒトからヒトへの感染が起こる。ただし、この段階は適応の初期段階に過ぎず、感染効率が低いためやがて流行は終息に向かう

l    オニョン ニョン熱 (・ 1959 ,東アフリカ)l   新型レプトスピラ症 (第二次大戦中,アメリカ)

第 3 段階 適応後期段階というべき段階であり、以前は動物のあいだで流行していた感染症がヒトへの適応を果たし、定期的な流行を引き起こす

l         ラッサ熱( 1969 ,ナイジェリア)l         ライム病( 1962 ,アメリカ)l         エボラ出血熱 ( 1976 ,スーダン南部)

第 4 段階 ヒトに対し適応したため、もはやヒトのなかでしか存在できない感染症がこの段階の感染症

l         天然痘, エイズ,l         梅毒

最終段階 ヒトという種のなかから消えていく感染症

        成人 T 細胞白血病

Page 52: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

HTLV-1 (成人 T細胞白血病ウイルス)

• HTLV-1は、 HIV と同様ヒトレトロウイルスである。ゲノムの構造は類似しているが、疫学的特性に幾つかの違いがある:

• 1) HTLV-1は過去数万年から数千年の間にサル T細胞白血病ウイルスから分化したと推定されているが、 HIV の起源は それよりもはるかに新しいと考えられる。

• 2) HTLV-1 の主要な感染経路は母乳を介した(垂直)感染であるのに対し、 HIV の主要な感染経路は性的接触を介した(水平)感染である。 HTLV-1は、母から子へ伝わるという性質によって、ヒトの移動や民族の起源に関する研究に貢献している。

• 3) HTLV-1陽性者は、生涯において数パーセントが、感染から50年以上の時間を経て白血病( ATL )を発症するのに対し、 HIV陽性者は、 95パーセント以上が(治療を行わなかった場合)感染から10年以内にエイズを発症する。

• これらのことは、 HTLV-1 とヒトとの共進化が HIV とヒトとの共進化よりも進んだ段階に達していることを示唆しているのかもしれない。

Page 53: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

各検査年における HTLV-1抗体陽性率

No. tested HTLV-1Positive rate (%)

1987 458/5510 8.89

1988 808/8851 9.13

1989 732/14432 5.07

1990 628/13680 4.59

1991 559/12847 4.35

1992 499/11301 4.42

1993 470/9664 4.86

1994 448/9003 4.98

1995 401/11045 3.63

1996 326/12181 2.68

1997 329/11480 2.87

1998 266/11534 2.31

1999 259/11227 2.31

2000 224/10603 2.11

2001 219/10337 2.12

2002 196/9997 1.96

2003 165/9783 1.69

2004 164/8891 1.84

2005 118/7999 1.48

2006 124/8448 1.47

0

2

4

6

8

10

12

18-19 20-21 22-23 24-25 26-27 28-29 30-31 32-33 34-35 36-37 38-39 40-

55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89

Age (years)

Se

rop

rev

ale

nc

e o

f H

TL

V-1

(%

)

Seroprevalence of HTLV-1 in each birth cohort from 1955 to 1989

今後、感染数理モデルの構築

Page 54: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

研究の方向こうした課題にチャレンジするために

• 「われわれはどこから来たか」という課題に対しては、進化系統樹を応用した研究からチャレンジしている

• 「われわれは何者か」という課題に対しては、疫学や生態学的研究から迫りたいと考えている

• 「われわれはどこに行くのか」という課題に対しては、シュミレーションや生物進化からの知見を総合して考えていきたい

Page 55: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

21世紀の公衆衛生学的課題• 「共生」という概念を中心に置いた新たな感染症対策の構築

– その場合、個の利益の最大化と集団の利益の最大化をどのように考えるかという問題

– 別な言葉でいえば「共生のコスト」といえるかもしれない

– を、どのように考えていくかといった問題は残る

Page 56: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

杞憂のような話として、どこかに引っかかっている問題

• それは化石学的時間軸の話。例えば、 40億年にわたる生物進化の歴史のなかで、特に目覚しい生物の出現と呼ぶべき事象が幾度かあった。著名な例として、前カンブリア紀における多細胞生物の出現と、新生代とともに始まった哺乳類の適応放散。前者の例では、海洋が巨大な実験場となり、後者の例では、鳥類の祖先となった恐竜を除く恐竜の絶滅によって、それまで恐竜に占められていた生態学的ニッチ(「場」)が開放され、生き残った哺乳類が爆発的に広がった。新たな生態学的ニッチの出現あるいは開放が、大進化の引き金となった。

• 大きな進化的変化が起きるには「場の開放」と、「競争のない環境」の二つの環境が必要・前提条件となる。ダーウィンのいうところの進化が、生存競争によってもたらされたとする考え方と少し異なる。おそらく、小進化には、ダーウィンの生存競争、大進化には、「場の開放」と「競争のない環境」がその前提条件となるのかもしれない。

• こうした考えと、先ほどの「共生に基づく 21 世紀的感染症対策」に矛盾はないのか・・・このあたりは、全く整理されていないが、何か、重要なものが隠されているような気もするという話。

Page 57: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

感染症から考古学、歴史学へ

成人 T細胞白血病ウイルスを例として

Page 58: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

HTLV-1 (成人 T細胞白血病ウイルス)

• HTLV-1は、 HIV と同様ヒトレトロウイルスである。ゲノムの構造は類似しているが、疫学的特性に幾つかの違いがある:

• 1) HTLV-1は過去数万年から数千年の間にサル T細胞白血病ウイルスから分化したと推定されているが、 HIV の起源は それよりもはるかに新しいと考えられる。

• 2) HTLV-1 の主要な感染経路は母乳を介した(垂直)感染であるのに対し、 HIV の主要な感染経路は性的接触を介した(水平)感染である。 HTLV-1は、母から子へ伝わるという性質によって、ヒトの移動や民族の起源に関する研究に貢献している。

• 3) HTLV-1陽性者は、生涯において数パーセントが、感染から50年以上の時間を経て白血病( ATL )を発症するのに対し、 HIV陽性者は、 95パーセント以上が(治療を行わなかった場合)感染から10年以内にエイズを発症する。

• これらのことは、 HTLV-1 とヒトとの共進化が HIV とヒトとの共進化よりも進んだ段階に達していることを示唆しているのかもしれない。

• 地理的に見ると、非常にユニークな分布をしている。

Page 59: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

TC :大陸横断亜群JPN :日本亜群

Page 60: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

旧石器時代後期~縄文時代早期

Y染色体 DNA多型に基づくヒトの移動誌(崎谷, 2008)

この時期,北方および韓半島経由で C3 系,南方から C1 系のヒト集団が 日 本 に渡来し た. C3系, C1系ともにアフリカに起源を持つ C 系の分流である.このヒト集団により大陸横断亜型のウイルス株が持ち込まれ,列島内に薄く広められた.

Page 61: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

縄文時代早期

Y染色体 DNA多型に基づくヒトの移動誌(崎谷, 2008)

この時期,韓半島経由で D2系ヒト集団が日本に渡来した.この集団は C3系, C1系ともに日本人の原型を形作った. D2系もアフリカに起源を持つ DE*系の分流である.このヒト集団により日本亜型のウイルス株が持ち込まれ,九州,本州,四国広められた.

なお, D*系ヒト集団はインドを経由して東アジアに到達している.日本亜型のウイルス株は今のところ日本以外ではインドからの見知られている.

Page 62: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

弥生時代以降 弥生時代,韓半島経由で O2b 系ヒト集団(渡来系弥生人)が日本に渡来し,九州北部から本州に広がった.ま た弥生 以降, O3系ヒト集団が渡来し,本州,四国,九州に広がった.これらのヒト集団はHTLV-1陰性であり,既存のヒト集団(縄文人)と交じり合う過程で, HTLV-1陽性率を押し下げていった.

Y染色体 DNA多型に基づくヒトの移動誌(崎谷, 2008)

With Tuberculosis?

Page 63: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

亜群の分布パターン .

大陸横断亜群( TC)と日本亜群( JPN)はドーナツ型の分布パターンを示す .

Page 64: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

Age sex STLV-1 status

positive negative inconclusive

infant

0 F 6/10 (60) 2/10 (20) 2/10 (20)

juvenile

1 F 0/5 (0) 5/5 (100) 0/5 (0)

2 F 1/4 (25) 3/4 (75) 0/4 (0)

3 F 1/3 (33.3) 1/3 (33.3) 1/3 (33.3)

4 F 1/1 (100) 0/1 (0) 0/1 (0)

1-4 F 3/13 (23.1) 9/13 (69.2) 1/13 (7.7)

youngster

5 F 4/4 (100) 0/4 (0) 0/4 (0)

6 F 4/4 (100) 0/4 (0) 0/4 (0)

5-6 F 8/8 (100) 0/8 (0) 0/8 (0)

adult

7< F 27/27 (100) 0/27 (0) 0/27 (0)

F 44/58 (75.9) 11/58 (19.0) 3/58 (5.2)

STLV-1とPTLV感染症理解

京都大学霊長類研究所との共同研究

• 感染経路の推定• 臨床症状の推定• 種を越えた感染で異なる  感染経路は異なる臨床症状を  もたらすか。そうだとすれば、  その意味は何か

Epidemiological Evidence for Horizontal Transmission of SimianT-lymphotropic Virus Type 1 in aNatural Colony of Macaca fuscataK. Eguchi, K. Ohsawa, J. Suzuki, K. Kurokawa and T. Yamamoto

Page 65: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

Kengo Oshima, Hidefumi Fujii, Katsuyuki Eguchi, Masashi Otani,    Toshiaki Matsuo, Shinji Kondo, Koichiro Yoshiura and Taro Yamamoto. A Further Insight into the Origin of Human T-Lymphotropic Virus Type 1 (HTLV-1)    in Japan, Based on the Genotyping of ABCC11. Tropical Medicine and Hygiene. 2008  

Katsuyuki Eguchi, Hidefumi Fujii, Kengo Oshima, Masashi Otani,    Toshiaki Matsuo and Taro Yamamoto. Human T-Lymphotropic Virus Type 1 (HTLV-1) Genetic Typing in Kakeroma Island,    an Island at the Crossroads of the Ryukyuans and Wajin in Japan,    Providing Further Insights into the Origin of the Virus in Japan. J Medical Virol. 2008  

Hashizume M, Terao T, Minakawa N. Indian Ocean Dipole and malaria risk in the highlands of western Kenya. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009;106:1857-62.

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Page 66: 生態学的感染症理解 -適応、進化、共生への道

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