>>年6回の発行を予定しています(次回は2018年10月発行予定) ワクチンで予防できる感染症 子どもは大人に比べて感染症に対する抵抗力が弱く、さ まざまな感染症にかかるリスクがあります。ワクチンがあ る疾患は、接種可能な年齢に達したら、下の標準的な接種 の開始時期を参考に、かかりつけの医師に相談し早めに予 防接種を受けましょう。 ワクチン新聞のバックナンバーは、ワクチン.net(http://www.wakuchin.net/index.html) からダウンロードできます。 夏に流行する感染症(夏風邪) ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱はウイルス感染 症で、7〜8月に5歳以下の乳幼児を中心に流行する「夏風 邪」の代表的疾患です。現在のところ、いずれも予防接種 や治療薬がないため、感染した場合には症状に応じた対症 療法が行われます。 ヘルパンギーナと手足口病は、多くの場合、口の中に水 疱ができます。のどの痛みや水疱のために飲食しにくい時 は、刺激の少ない柔らかく薄味のものを食べさせ、こまめ に水分補給させましょう。咽頭結膜熱はのどの痛みや結膜 炎などの症状があり、プールでの接触により感染すること もあるため「プール熱」とも呼ばれますが、プール以外で も感染します。 咽頭結膜熱は出席停止となり、主症状がなくなって2日 経つまで登園・登校できません。ヘルパンギーナと手足口病は、 本人の病状などを考慮して登園・登校が判断されます。 (審) 18Ⅶ095 咽頭結膜熱はプールでの接触や、感染者とのタオルの共用などで 感染するほか、水を介して目の粘膜から感染することがあると考え られ「プール熱」とも呼ばれています。プールや温泉施設を利用する 際は、前後にシャワーを浴び、タオルは共用せず個別に使い、石け んと流水で手を洗って、咽頭結膜熱を予防しましょう。 予防接種を受けた当日は、過激な運動は避けるようにします。運 動の程度について判断に迷う場合は、接種時に医師に相談しましょ う。外出などの日常生活は、普段通りに行っても差し支えありません。 なお、入浴は予防接種当日から可能です。接種部位は清潔にして、 体調に変化がないか観察しましょう。 ワクチン質問箱 予防接種を受けた当日は スポーツをしてもいいですか? 質問 回答 感染症プール遊びで 気を付けたい感染症はありますか? Q A ミニ コラム ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱は5歳以下の乳幼児に多くみられる感染症ですが、大人がかかることもあり ます。感染者の咳やくしゃみなどの飛沫からだけではなく、ウイルスが付着した手や感染者が触れたものを介して感染 が広がります。感染予防は、石けんと流水による手洗いや、うがいが基本です。特に、ヘルパンギーナや手足口病は、 症状が回復した後も2〜4週間程度は便の中にウイルスが排出されます。このため、トイレを清潔に保ち、食器、おもちゃ、 手などからウイルスが口に入って感染することに注意しましょう。また、日頃からのしっかりとした手洗いが大切です。 夏風邪の感染予防は、手洗い・うがいが基本です ヘルパンギーナ 手足口病 咽頭結膜熱 代表的な症状 突 然 の 発 熱(38 ℃ 以 上 ) が1〜3日程度続く のどの痛み、赤み 口の中(のど)に小水疱や 赤み、浅い潰瘍 発熱は約1/3にみられる が軽度(38℃以下) 手のひら、足底など(時 にひじ、ひざ、おしり)に、 かゆみのない小水疱 口の中に小水疱 発熱(38℃以上)が5日 前後続く のどの痛み 目の充血など 主な 原因ウイルス エンテロウイルス属 エンテロウイルス属 アデノウイルス 感染経路 飛沫感染 接触感染(糞口感染) 飛沫感染 接触感染(糞口感染) 水疱内容物からの感染あ 飛沫感染 接触感染 ウイルスを含む水を介し、 目の粘膜から感染あり 潜伏期間 3〜6日 3〜6日 2〜 14日 好発年齢 5歳以下 5歳以下 5歳以下 流行時期 夏季 夏季 夏季 予防接種 なし なし なし 出席停止 期間 *学校保健安全法 なし (本人の病状などを考慮し て登園・登校を判断) なし (本人の病状などを考慮し て登園・登校を判断) あり (主な症状が消失して2日 経過するまで出席停止) 平成30年 (2018) 夏号 No.39 平成30年 夏号 発行:田辺三菱製薬株式会社 大阪市中央区道修町3-2-10 監修:川崎医科大学小児科学教授 中野 貴司 先生 夏に流行する感染症(夏風邪) ワクチンで予防できる感染症 TOPICS 子どもたちの将来と日本の未来のために ワクチン接種の標準的な開始時期  Hib(ヒブ)ワクチン 定期 (生後2か月) 小児用肺炎球菌ワクチン 定期 (生後2か月) B型肝炎ワクチン 定期 (生後2か月) ロタウイルスワクチン 任意 (生後2か月) 4種混合ワクチン(DPT-IPV) 定期 (生後3か月) BCG 定期 (生後5か月) ワクチン接種の標準的な開始時期 MR(麻しん風しん混合)ワクチン 定期 水痘(みずぼうそう)ワクチン 定期 おたふくかぜワクチン 任意 ワクチン接種の標準的な開始時期 日本脳炎ワクチン 定期 ワクチン接種の標準的な開始時期  HPV(ヒトパピローマウイルス) ワクチン 定期 毎年接種できるワクチン インフルエンザワクチン 任意 1歳 3歳 中学1年生 (女児のみ) 生後 6ヵ月以降 0歳 夏に流行する感染症(夏風邪)

夏に流行する感染症(夏風邪) ワクチンで予防できる感染症B型肝炎ワクチン 定期 (生後2か月) ロタウイルスワクチン 任意 (生後2か月)

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  • >>年6回の発行を予定しています(次回は2018年10月発行予定)

    ワクチンで予防できる感染症 子どもは大人に比べて感染症に対する抵抗力が弱く、さまざまな感染症にかかるリスクがあります。ワクチンがある疾患は、接種可能な年齢に達したら、下の標準的な接種の開始時期を参考に、かかりつけの医師に相談し早めに予防接種を受けましょう。

    ワクチン新聞のバックナンバーは、ワクチン.net(http://www.wakuchin.net/index.html)からダウンロードできます。

    夏に流行する感染症(夏風邪) ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱はウイルス感染症で、7〜8月に5歳以下の乳幼児を中心に流行する「夏風邪」の代表的疾患です。現在のところ、いずれも予防接種や治療薬がないため、感染した場合には症状に応じた対症療法が行われます。 ヘルパンギーナと手足口病は、多くの場合、口の中に水疱ができます。のどの痛みや水疱のために飲食しにくい時は、刺激の少ない柔らかく薄味のものを食べさせ、こまめに水分補給させましょう。咽頭結膜熱はのどの痛みや結膜炎などの症状があり、プールでの接触により感染することもあるため「プール熱」とも呼ばれますが、プール以外でも感染します。 咽頭結膜熱は出席停止となり、主症状がなくなって2日�経つまで登園・登校できません。ヘルパンギーナと手足口病は、本人の病状などを考慮して登園・登校が判断されます。

    (審)18Ⅶ095

     咽頭結膜熱はプールでの接触や、感染者とのタオルの共用などで感染するほか、水を介して目の粘膜から感染することがあると考えられ「プール熱」とも呼ばれています。プールや温泉施設を利用する際は、前後にシャワーを浴び、タオルは共用せず個別に使い、石けんと流水で手を洗って、咽頭結膜熱を予防しましょう。

     予防接種を受けた当日は、過激な運動は避けるようにします。運動の程度について判断に迷う場合は、接種時に医師に相談しましょう。外出などの日常生活は、普段通りに行っても差し支えありません。 なお、入浴は予防接種当日から可能です。接種部位は清潔にして、体調に変化がないか観察しましょう。

    ワクチン質問箱予防接種を受けた当日はスポーツをしてもいいですか?質問

    回答

    感染症Q&Aプール遊びで気を付けたい感染症はありますか?Q

    A

    ミニコラム

     ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱は5歳以下の乳幼児に多くみられる感染症ですが、大人がかかることもあります。感染者の咳やくしゃみなどの飛沫からだけではなく、ウイルスが付着した手や感染者が触れたものを介して感染が広がります。感染予防は、石けんと流水による手洗いや、うがいが基本です。特に、ヘルパンギーナや手足口病は、症状が回復した後も2〜4週間程度は便の中にウイルスが排出されます。このため、トイレを清潔に保ち、食器、おもちゃ、手などからウイルスが口に入って感染することに注意しましょう。また、日頃からのしっかりとした手洗いが大切です。

    夏風邪の感染予防は、手洗い・うがいが基本です

    ヘルパンギーナ 手足口病 咽頭結膜熱

    代表的な症状

    ◦�突然の発熱(38℃以上)が1〜3日程度続く◦のどの痛み、赤み◦�口の中(のど)に小水疱や赤み、浅い潰瘍

    ◦�発熱は約1/3にみられるが軽度(38℃以下)

    ◦�手のひら、足底など(時にひじ、ひざ、おしり)に、かゆみのない小水疱

    ◦�口の中に小水疱

    ◦�発熱(38℃以上)が5日前後続く◦のどの痛み◦目の充血など

    主な原因ウイルス エンテロウイルス属 エンテロウイルス属 アデノウイルス

    感染経路

    ◦飛沫感染◦接触感染(糞口感染)

    ◦飛沫感染◦接触感染(糞口感染)※�水疱内容物からの感染あり

    ◦飛沫感染◦接触感染※�ウイルスを含む水を介し、目の粘膜から感染あり

    潜伏期間 3〜6日 3〜6日 2〜 14日好発年齢 5歳以下 5歳以下 5歳以下流行時期 夏季 夏季 夏季予防接種 なし なし なし

    出席停止*期間*学校保健安全法

    なし(本人の病状などを考慮して登園・登校を判断)

    なし(本人の病状などを考慮して登園・登校を判断)

    あり(主な症状が消失して2日経過するまで出席停止)

    平成30年�(2018) 夏号 No.39� 

    平成30年 夏号発行:田辺三菱製薬株式会社 大阪市中央区道修町3-2-10 監修:川崎医科大学小児科学教授 中野 貴司 先生

    ●夏に流行する感染症(夏風邪)●ワクチンで予防できる感染症

    TOP I C S

    子どもたちの将来と日本の未来のために

    ワクチン接種の標準的な開始時期 

    ◦Hib(ヒブ)ワクチン 定期 (生後2か月)◦小児用肺炎球菌ワクチン 定期 (生後2か月)◦B型肝炎ワクチン 定期 (生後2か月)◦ロタウイルスワクチン 任意 (生後2か月)◦4種混合ワクチン(DPT-IPV) 定期 (生後3か月)◦BCG 定期 (生後5か月)

    ワクチン接種の標準的な開始時期

    ◦MR(麻しん風しん混合)ワクチン 定期◦水痘(みずぼうそう)ワクチン 定期◦おたふくかぜワクチン 任意

    ワクチン接種の標準的な開始時期

    ◦日本脳炎ワクチン 定期

    ワクチン接種の標準的な開始時期 

    ◦ HPV(ヒトパピローマウイルス) ワクチン 定期

    毎年接種できるワクチン

    ◦インフルエンザワクチン 任意

    1歳

    3歳

    中学1年生(女児のみ)

    生後6ヵ月以降

    0歳

    夏に流行する感染症(夏風邪)