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中枢神経刺激剤 劇薬、向精神薬、処方せん医薬品 ※対象:成人期の注意欠陥/多動性障害(AD/HD) 平成25年12月~平成26年6月

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CON-0022CON.Gi011.2_12011 年 10 月

©Janssen Pharmaceutical K.K. 2011

中枢神経刺激剤 劇薬、向精神薬、処方せん医薬品

※対象:成人期の注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

平成25年12月~平成26年6月

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この手引きについて

この手引きは、特に薬剤師のみなさまに、コンサータ®錠の適正な管理、調剤、情報提供等を行っていただくために知っておい

ていただきたい情報をまとめたものです。本手引きを熟読の上、コンサータ®錠をお取り扱いいただききますようお願いします。

コンサータ®錠はAD/HD専用の薬剤であり、AD/HDの診断、治療に精通しているだけでなく、薬物依存を含むコンサー

タ®錠のリスクなども十分に理解している医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとで、適正に使用される必要があります。

コンサータ®錠には下記のとおり承認条件が付されており、納入は有識者からなる第三者委員会(コンサータ®錠適正流通管

理委員会)による承認の上、リスト化した薬局に限定されます。なお、登録調剤責任者となる薬剤師のみなさまにはeラーニ

ングを受講していただき、本冊子の内容を理解していただく必要があります。

【警告】本剤の投与は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等に­ついても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行うとともに、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤を行うこと。

【承認条件】本剤の投与が、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等に­ついても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行われるとともに、それら­薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

コンサータ®錠の適正流通(概略)

処方せん発行コンサータ®錠

適正流通管理委員会

・ 登録医師リスト・ 登録調剤責任者リスト

契約医薬品卸売業者

リスト確認後納入

登録医師登録医療機関

処方せん持参

リスト確認後調剤

登録調剤責任者登録薬局、医療機関

AD/HD患者・家族

処方せん発行医師・医療機関がリストに掲載されていなければ、薬局は調剤を拒否して、委員会コールセンターに連絡しなければなりません。

処方せん発行医師・医療機関がリストに掲載されていた場合にのみ患者さん・家族はコンサータ®錠を受け取ることができます。

なお、あわせてコンサータ®錠 適正使用ガイド※もご覧ください。

※ コンサータ®錠を適正に使用していただくために、診断・治療の上でご注意いただきたい事項や、コンサータ®錠の副作用とその対策などについて解説したガイド。

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はじめに

注意欠陥/多動性障害1)(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder;AD/HD)は、主に幼児期か

ら学齢期の児童に認められる不注意、多動性(過活動)及び衝動性を中核症状とした、発達障害として

分類される精神疾患です。Bradley C.が1937年に様々な行動障害をもつ児童に中枢神経刺激薬を投

与し、約半数の児童に行動と学校での活動にめざましい改善がみられたとの報告2)を契機として、中枢

神経刺激薬によるAD/HDの薬物療法が始まり、その後、米国を中心に代表的な薬剤としてアンフェタ

ミン、メチルフェニデート塩酸塩(MPH)が使用されるようになりました。現在では、中枢神経刺激薬は、

AD/HD薬物療法における標準治療薬として、欧米の代表的なガイドラインやガイダンスに記載されて

います。メチルフェニデート塩酸塩のヒトにおける作用機序は完全に解明されていませんが、脳内の受

容体やトランスポーターに結合することでシナプス間隙の神経伝達物質(ドパミンやノルエピネフリン(ノ

ルアドレナリン))の濃度を増加させ、前頭部の脳機能を活性化させる作用を有するとされています。

コンサータ®錠18mg、同27mgはメチルフェニデート塩酸塩を有効成分とし、米国ALZA社(現、米国

Janssen Pharmaceuticals, Inc.)が開発したAD/HD専用の治療薬です。コンサータ®錠は、浸透

圧を利用した放出制御システム(OROS®)を応用してメチルフェニデート塩酸塩を持続的に放出し、効果

が投与後12時間持続するとともに、メチルフェニデート塩酸塩をコーティング層にも含有させる製剤的

工夫を施し、効果が早期に発現するように設計されています。すなわち、長時間の効果持続性と速効

性を兼ね備えた放出制御型徐放錠で、朝1回服用するだけでよい薬剤です。米国で2000年8月に6~

12歳のAD/HD児の治療薬として初めて承認され、2004年10月には13~17歳への適応、2008年

6月には成人期のAD/HDへの適応も追加承認されました。2013年10月時点で、小児期(18歳未満)

のAD/HDに対する適応は、米国の他、英国、ドイツ、フランス、豪州、カナダ、韓国等、世界の91

の国と地域で、成人期AD/HDに対する適応は、米国の他、豪州、カナダ、韓国等、世界の39の国と

地域で承認されています。

本邦においては、2007年10月に本邦初の小児期AD/HDに対する治療薬として承認され、2011年

8月には小児期にコンサータ®錠による薬物治療を開始した患者における18歳以降の継続投与に関す

る「効能・効果に関連する使用上の注意」の改訂を実施しました。更に、2013年12月に、成人期AD/

HDに対する適応が追加承認されました。

コンサータ®錠の取扱いの申請、講習会やeラーニング等につきましては、コンサータ®錠 適正流通管

理委員会 事務局のホームページ(http://www.ad-hd.jp/index.html)又はヤンセンファーマ株式会社

の医薬情報担当者にご確認いただくようお願いします。

1)注意欠如 / 多動性障害と呼ばれる場合もあります。2)Bradley C.: Am. J. Psychiatry 94: 577、 1937

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1章 AD/HDの診断・治療について

① AD/HD について ……………………………………………………… 6

② AD/HD の診断 ………………………………………………………… 8

② DSM-5 について …………………………………………………… 10

④ AD/HD の治療 ……………………………………………………… 12

2章 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

① 警告 …………………………………………………………………… 16

② 効能・効果、用法・用量及び用法・用量に関連する使用上の注意 … 17

③ 患者選択に関する注意 ……………………………………………… 19

④ 治療の継続に関する注意 …………………………………………… 21

⑤ 薬物療法からの離脱 ……………………………………………… 23

⑥ 副作用とその対策 …………………………………………………… 24

⑦ 依存性、乱用の可能性 ……………………………………………… 31

⑧ 患者や家族への説明 ……………………………………………… 32

3章 コンサータ®錠に関するQ&A

薬剤管理、調剤に関する Q&A ……………………………………… 34

作用機序、製剤特性に関する Q&A …………………………………… 38

薬物動態に関する Q&A ……………………………………………… 40

安全性、相互作用に関する Q&A …………………………………… 42

臨床効果に関する Q&A ……………………………………………… 45

目 次

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コンサータ®錠の特性

1)国内で初めて、小児期のAD/HDに対する適応が承認された、AD/HD専用の薬剤です。追加適応の承認により、成人期のAD/HDにも投与可能となりました。

  【臨床成績の概略(添付文書 改変)】

<小児を対象とした国内臨床試験>6 ~ 12 歳の AD/HD 患児(DSM-Ⅳ)を対象として第Ⅲ相プラセボ対照ランダム化治療中止試験(FAS 89 例)を実施した結果、Wash-in 期と二重盲検期の ADHD Rating Scale-Ⅳ日本語版

(ADHD RS-Ⅳ-J)のトータルスコアの変化量(平均値± SD)は、親評価では本剤投与群 -15.6± 10.8、プラセボ投与群 -8.0 ± 9.7、教師評価では本剤投与群 -12.6 ± 10.5、プラセボ投与群 -3.6 ± 9.3 と、いずれの評価も本剤投与群でプラセボ投与群に比し、有意な低下(p=0.0008、p<0.0001;t 検定)が認められました。また、長期投与試験(FAS 99 例)において、ADHD RS-Ⅳ-J のトータルスコアの変化量(平均値± SD)は、親評価では投与 6 カ月後 -17.7 ±11.3、12 カ月後 -17.9 ± 12.5、18 カ月後 -19.8 ± 12.6、教師評価では投与 6 カ月後 -15.3± 12.7、12 カ月後 -13.0 ± 14.5(18 カ月後は実施せず)と、いずれの評価もベースラインに比し、有意な低下(いずれも p<0.0001;対応のある t 検定)が認められました。

<成人を対象とした国内臨床試験>18 ~ 64 歳の成人期 AD/HD 患者(DSM-Ⅳ-TR)を対象に、第Ⅲ相プラセボ対照ランダム化二重盲検試験を実施しました。FAS 283 例において、主要評価項目である最終評価時の Conners’ Adult ADHD Rating Scale-Observer: Screening Version(CAARS-O:SV)(日本語版)の DSM-Ⅳ Total ADHD Symptoms スコアのベースラインからの変化量(平均値± SD)は、本剤投与群 -12.5 ± 9.3、プラセボ投与群 -7.9 ± 9.6 と、本剤投与群でプラセボ投与群に比し、有意な低下が認められました(p<0.0001;共分散分析)。また、長期投与試験 253 例において、CAARS-O:SV(日本語版)の DSM-Ⅳ Total ADHD Symptoms スコアのベースラインからの変化量(平均値± SD)は、投与 4 週後 -14.7 ± 8.8、12 週後 -15.8 ± 9.4、24 週後 -16.7 ± 9.8、36 週後 -17.5 ± 9.8、48 週後 -18.3 ± 9.9 と、いずれの評価時もベースラインに比し、スコアの低下が認められました。

2)有効成分は、小児、青年及び成人のAD/HDに対する標準治療薬として、世界的なコンセンサスが得られているメチルフェニデート塩酸塩です。2008 年 11 月に公表された「第 3版注意欠如・多動性障害­­―ADHD―の診断 ・治療ガイドライン 3)」、並びに 2007 年 10月に公表された「小児科医のための注意欠陥/多動性障害―AD/HD―の診断 ・治療ガイドライン 4)」においても、メチルフェニデート塩酸塩は、first­line の薬剤として位置づけられています。

3)1日 1回、朝食前又は朝食後に服用するだけで、速やかに効果が発現し、服用後約 12時間効果が持続するよう設計された長時間作用型の徐放錠ですので、昼間、学校、職場や外出先等での服用は不要です。

3)ADHD の診断 ・ 治療指針に関する研究会 . 齊藤 万比古 , 渡部 京太 編 . 株式会社じほう ; 2008 年 11 月4)宮島 祐 , 田中 英高 , 林 北見 編 . 中央法規出版株式会社 ; 2007 年 10 月

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4)<小児AD/HD承認時>AD/HD患児を対象として国内で実施した第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験及び長期投与試験の総症例 216 例中、副作用(臨床検査値異常を含む)は 174 例(80.6%)に認められた。その主なものは、食欲減退 91例(42.1%)、不眠症 40例(18.5%)、体重減少 26例(12.0%)、頭痛 18例(8.3%)、腹痛 12例(5.6%)、悪心 12例(5.6%)、チック 11例(5.1%)、発熱 11例(5.1%)であった。

<成人AD/HD承認時>成人AD/HD患者を対象として国内で実施した第Ⅲ相試験及び長期投与試験の総症例 272例中、副作用(臨床検査値異常を含む)は 209例(76.8%)に認められた。その主なものは、食欲減退108例(39.7%)、動悸59例(21.7%)、体重減少54例(19.9%)、不眠症49例(18.0%)、悪心 45例(16.5%)、口渇 40例(14.7%)、頭痛 29例(10.7%)であった。

<小児AD/HD再審査終了時>AD/HD患児を対象とした特定使用成績調査における副作用(臨床検査値異常を含む)は、1385 例中 529 例(38.2%)に認められた。その主なものは、食欲減退 386例(27.9%)、不眠症 69例(5.0%)、体重減少 69例(5.0%)、チック 47例(3.4%)、睡眠障害 42例(3.0%)、頭痛 37例(2.7%)、腹痛 25例(1.8%)、悪心 23例(1.7%)であった。

重大な副作用として、剥脱性皮膚炎(0.1%)、狭心症(頻度不明)、悪性症候群(Syndromemalin)(頻度不明)、脳血管障害(血管炎、脳梗塞、脳出血、脳卒中)(頻度不明)が報告されています。

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1 AD/HDの診断・治療について1 AD/HDの診断・治療について

AD/HDは、注意力の欠如、多動(落ち着きがない)、衝動性(予期せぬ行動をとる)を中核症状とする行動障害です。

AD/HDの有病率は報告により幅がありますが、DSM-Ⅳ-TRでは学齢期で3~7%、成人期で1.65~4.4%とされています。

AD/HDの病因は厳密には明確にされていませんが、遺伝的要因、周生期・出生後の要因、神経生理学的要因、神経生化学的要因などに、環境要因が影響を及ぼして発症すると考えられています。

定義

AD/HDは、米国精神医学会によるDSM-Ⅳ-TRにより、下記のように定義されています。

不注意及び/又は多動性-衝動性の持続的な様式で、同程度の発達にある者と比べてより頻繁にみられ、より重症なものである。これらの症状のいくつかは7歳以前から存在し、また、家庭や学校など、少なくとも2つ以上の状況で存在する。

さらにDSM-Ⅳ-TRでは、AD/HDを①混合型(不注意と多動性-衝動性の診断基準を満たす)、②不注意優勢型、③多動性-衝動性優勢型の3つに分類しています。

AD/HDの 3つの分類

③多動性 - 衝動性優勢型

①混合型

②不注意優勢型

不注意多動性

衝動性

中核症状

●小児期AD/HDは、注意力の欠如、多動(落ち着きがない)、衝動性(予期せぬ行動をとる)を基本症状とする行動障害で、その行動により社会的な活動や学業の機能に支障をきたす疾患です。これらの基本症状の程度は、相手や場面により動揺することがよく認められます。低年齢では多動性-衝動性優勢型ないしは混合型が多数を占め、年齢が高くなるに従い、不注意優勢型の割合が高くなると言われています。

1.1

6

AD/HDについて

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1 AD/HDの診断・治療について1 AD/HDの診断・治療について

不注意 多動性 衝動性

●成人期小児期のAD/HD に対する縦断的研究は、学童期のAD/HD 症状が青年期、更には成人期においても持続していることを明確にしました。成人期患者の生活における問題としては、抑制不足や不注意による仕事上の失敗等がもたらす失職や頻繁な転職、衝動的買い物、思いつきの旅行、交通事故の繰り返し、反社会的行動とその結果としての拘留等があります。また、実行機能の問題も深刻で、日常の生活では順序立てた行動や整理整頓ができない、忘れ物が多い、時間感覚がない、計画したことが実行できないことなどがしばしば問題となります。

有病率

AD/HDの有病率は、DSM-Ⅳ-TRでは学齢期で3~7%と推定されています。一般に低年齢ほど有病率が高く、年齢が高くなるに従い有病率は低くなり、成人期では文献等の報告から1.65~4.4%1)~3)と推定されています。海外での調査では、AD/HDの男女比は2.5~5.1:1であり4)、成人では性差が少ない5)と報告されています。一方、国内で新規患者を対象に実施された調査では、男女比は8:1と男児が圧倒的に多いことが示されています6)。児童期にAD/HDと診断された症例の約70%は思春期になっても症状をもち、30~50%は成人になっても症状をもち続け、日常生活上に何らかの支障があると推定されています。

病因

AD/HD の厳密な意味での原因は未だ明確にされていませんが、一般的には、遺伝的要因、周生期・出生後の要因、神経生理学的要因、神経生化学的要因など、種々の生物学的要因を基盤に、AD/HD が行動統制を要求される環境要因により障害になると考えられています。

AD/HDの主な原因

環境要因

遺伝的要因

神経生化学的要因

神経生理学的要因

周生期・出生後の要因

7

1) 文部科学省 初等中等教育局特別支援教育課 . 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果に ついて . 2012 年 12 月 5 日付2) Kessler RC、 et al. Am J Psychiatry、 163(4): 716-723. 20063) Simon V、 et al. Br J Psychiatry、 194: 204-211. 20094) Szatmari P., et al.:J. Child Psychol. Psychiatry 30: 205, 19895) Barkley R. A.:Attention Defi cit Hyperactivity Disorder. A Handbook for Diagnosis and Treatment, 2nd ed., The Guilford Press. NY, 19986) 上林靖子 , 他:注意欠陥 / 多動性障害(AD/HD)の医療の実態に関する調査 , 注意欠陥 / 多動性障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究 , 平成 11 ~ 13 年度研究報告書 , pp131 ‐ 148, 2002

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1 AD/HDの診断・治療について1 AD/HDの診断・治療について

診断は、親の診断面接、親や教師による患児の行動の評価、患児への問診と行動観察などを参考にしながら行われます。

成人期における診断の考え方は小児期と同じですが、現在の症状だけでなく、小児期における症状についても確認して行われます。

AD/HDは、症状や経過などにより定義される病態であり、生物学的なマーカー等で診断できるわけではないため、複数場面における症状の確認、類似疾患との鑑別など多面的な評価を行うこととされています。

診断、評価のプロセス

AD/HD は、症状や経過などにより定義される症候群であり、生物学的なマーカー等で診断できるわけではないため、診断においては複数場面における症状の確認、類似疾患との鑑別など、多面的な評価を行うこととされています。具体的には、親の診断面接、親や教師による AD/HD 患者の行動評価、AD/HD 患者への問診と行動観察、知能検査、脳波、CT、MRI などが行われます。小児期 AD/HD の診断プロセスを以下に示します。成人期 AD/HD の診断プロセスも同様ですが、成人期の診断には 「一次スクリーニング用簡易チェックリスト:ASRS-v1.1 Screener」、「臨床面接フォーム:CAADID」、「評価尺度:CAARS」、「併存障害や他の精神障害との鑑別:M.I.N.I.」、「知能検査:WAIS」 の使用を考慮して下さい。

8

1.2 AD/HDの診断

齊藤万比古 , 他:第 3 版 注意欠如・多動性障害 ― ADHD ― の診断・治療ガイドライン じほう:2008

利用できる評価尺度:ADHD-RS 家庭版・学校版、CBCL、TRF、ODBI

WISC-Ⅲ、K-ABC、描画テスト、ロールシャッハ・テストなど

脳波、頭部MRI/CT、血液検査など

利用できる臨床面接フォーム:ADHD併存障害診断・評価用オプション・フォームあるいはK-SADS

受理面接

半構造化面接

医学的・神経学的検査

知能・学習能力・人格評価

包括的AD/HD診断・評価の結果

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1 AD/HDの診断・治療について1 AD/HDの診断・治療について

併存障害

小児期に限らず成人期においてもAD/HDは決してその主症状である不注意、多動性及び衝動性という問題だけを有している訳ではなく、発育の過程で主症状以外の多くの問題行動や症状を示すようになることも決して少なくないことが報告されており、個々のAD/HD患者の状態像は主症状とそれに付加された他の諸症状の総和として捉えられます。

表1-1 AD/HDの主な併存障害1)

行動障害群 反抗挑戦性障害(ODD)、素行障害(CD)情緒的障害群(情緒上の障害) 強迫性障害(OCD)などの不安障害、適応障害、気分障害など神経性習癖群 排泄障害、トウレット障害、チック障害、夜驚症などの睡眠関連疾患、吃音症など発達障害群 学習障害、運動能力障害など

AD/HDと鑑別する必要のある疾患

コンサータ®錠は、類似症状を呈する他の疾患の患者が投与されても、期待する効果が得られないだけでなく、疾患によっては禁忌や、慎重に投与されなければならない場合があるため、投与は類似症状を呈する他の疾患との鑑別診断に留意して行われます。

表1-2 AD/HDと鑑別するべき主な疾患、行動1)

精神障害

虐待関連障害(反応性愛着障害など)うつ病・双極性障害気分変調性障害分離不安障害全般性不安障害外傷後ストレス障害(PTSD)チック障害*・トウレット障害*

統合失調症境界性パーソナリティー障害ナルコレプシー

気質性の行動

物にあたったり、大声を出したり、地団駄をふんだりするなど

身体疾患・神経疾患

てんかん神経疾患(先天性代謝疾患、脳変性症、脳炎など)アトピー性皮膚炎気管支喘息(気管支拡張剤の影響)アデノイド聴覚障害甲状腺機能亢進症*

*コンサータ®錠は運動性チックのある患者、トウレット症候群又はその既往歴・家族歴のある患者、甲状腺機能亢進のある患者に対する投与は禁忌です

1) 齊藤万比古 , 他:第 3 版 注意欠如・多動性障害 ― ADHD ― の診断・治療ガイドライン じほう:2008 改変

9

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1 AD/HDの診断・治療について

本項では、米国精神医学会が 2013 年 5 月に公表した DSM-5 における AD/HD の診断基準を紹介し、DSM- Ⅳ-TR との主な相違点について説明します。DSM-5 に準じた AD/HD の診断・評価等については、今後の関連学会等の動向も踏まえ、必要に応じて関連情報として別途提供していく予定です。

1.3.1診断基準

10

1.3 DSM-5について

A A persistent pattern of inattention and/or hyperactivity-impulsivity that interferes with functioning or development, as characterized by (1) and/or (2):1. Inattention : six (or more) of the following symptoms have persisted for at least 6 months to a degree that is

inconsistent with developmental level and that negatively impacts directly on social and academic/occupational activities:Note : The symptoms are not solely a manifestation of oppositional behavior, defiance, hostility, or failure to understand tasks or instructions. For older adolescents and adults (age 17 and older), at least five symptoms are required.

a. Often fails to give close attention to details or makes careless mistakes in schoolwork, at work, or during other activities (e.g., overlooks or misses details, work is inaccurate).

b. Often has difficulty sustaining attention in tasks or play activities (e.g., has difficultly remaining focused during lectures, conversations, or lengthy reading).

c. Often does not seem to listen when spoken to directly (e.g., mind seems elsewhere, even in the absence of any obvious distraction).

d. Often does not follow through on instructions and fails to finish schoolwork, chores, or duties in the workplace (e.g., starts tasks but quickly loses focus and is easily sidetracked).

e. Often has difficulty organizing tasks and activities (e.g., difficulty managing sequential tasks; difficulty keeping materials and belongings in order; messy, disorganized work; has poor time management; fails to meet deadlines).

f. Often avoids, dislikes, or is reluctant to engage in tasks that require sustained mental effort (e.g., schoolwork or homework; for older adolescents and adults, preparing reports, completing forms, reviewing lengthy papers).

g. Often loses things necessary for tasks or activities (e.g., school materials, pencils, books, tools, wallets, keys, paperwork, eyeglasses, mobile telephones).

h. Is often easily distracted by extraneous stimuli (for older adolescents and adults, may include unrelated thoughts).

i. Is often forgetful in daily activities (e.g., doing chores, running errands; for older adolescents and adults, returning calls, paying bills, keeping appointments).

2. Hyperactivity and impulsivity : six (or more) of the following symptoms have persisted for at least 6 months to a degree that is inconsistent with developmental level and that negatively impacts directly on social and academic/occupational activities:Note : The symptoms are not solely a manifestation of oppositional behavior, defiance, hostility, or a failure to understand tasks or instructions. For older adolescents and adults (age 17 and older), at least five symptoms are required.

a. Often fidgets with or taps hands or feet or squirms in seat. b. Often leaves seat in situations when remaining seated is expected (e.g., leaves his or her place in the

classroom, in the office or other workplace, or in other situations that require remaining in place). c. Often runs about or climbs in situations where it is inappropriate. (Note: In adolescents or adults, may be

limited to feeling restless.) d. Often unable to play or engage in leisure activities quietly. e. Is often “on the go,” acting as if “driven by a motor” (e.g., is unable to be or uncomfortable being still for

extended time, as in restaurants, meetings; may be experienced by others as being restless or difficult to keep up with).

f. Often talks excessively. g. Often blurts out an answer before a question has been completed (e.g., completes people’s sentences;

cannot wait for turn in conversation). h. Often has difficulty waiting his or her turn (e.g., while waiting in line). i. Often interrupts or intrudes on others (e.g., butts into conversations, games, or activities; may start using

other people’s things without asking or receiving permission; for adolescents and adults, may intrude into or take over what others are doing).

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1 AD/HDの診断・治療について

11

1.3.2DSM-Ⅳ -TRとの主な相違点

不注意症状9症状及び多動性-衝動性症状9症状の2つに大別された計18症状に基づいて診断することについては、DSM-Ⅳ-TRと同様ですが、DSM-5では以下のような点が改訂されています。

基準A 小児期AD/HDのA基準は、不注意症状9症状のうちいずれか6症状、若しくは多動性-衝動性症状9症状のうちいずれか6症状、またはその両方が認められる必要がある点は同じですが、新たに17歳以上の青年及び成人においては、少なくとも5症状が認められればA基準をクリアするという規定が設けられました。また、各症状の内容は、成人も意識した記述となりました。

基準B AD/HDの発症時期が「7歳以前」から、小学生年代全体をカバーできる「12歳以前」となりました。基準C 2つ以上の状況で認められることについては変更ありません。DSM-5 ではこの状況の例示が増えました。基準D 「clinically significant impairment」から「symptoms interfere with, or reduce the quality」と表現が

変わりました。基準E DSM-Ⅳ-TRでは上位疾患として位置付けられ、併存が認められなかった広汎性発達障害(DSM-5では自閉症

スペクトラム障害に統合)との併存が認められました。

その他、DSM-Ⅳ-TR ではAD/HD は3つの「type(不注意優勢型、多動性-衝動性優勢型及び混合型)」に分類されていましたが、DSM-5ではそれぞれ「presentation」に変更されました。

B

C

D

E

Several inattentive or hyperactive-impulsive symptoms were present prior to age 12 years.

Several inattentive or hyperactive-impulsive symptoms are present in two or more settings (e.g., at home, school, or work; with friends or relatives; in other activities).

There is clear evidence that the symptoms interfere with, or reduce the quality of, social, academic, or occupational functioning.

The symptoms do not occur exclusively during the course of schizophrenia or another psychotic disorder and are not better explained by another mental disorder (e.g., mood disorder, anxiety disorder, dissociative disorder, personality disorder, substance intoxication or withdrawal).

©AMERICAN PSYCHIATRYASSOCIATION・Each table must show the copyright notice: Reprinted with permission from the Diagnostic and Statistical Manual of  Mental Disorders, Fifth Edition, (Copyright 2013). American Psychiatric Association.

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1 AD/HDの診断・治療について1 AD/HDの診断・治療について

AD/HDの治療は、基本的に「心理社会的治療」と「薬物療法」が2本の柱になります。

薬物療法は対症療法に位置づけられ、心理社会的治療と組み合わせて行われます。

AD/HDの治療の考え方

AD/HD患者に対する治療は、「心理社会的治療」と「薬物療法」を2本の柱として行われます。心理社会的治療は、小児期では環境調整、ペアレント・トレーニング、ソーシャルスキル・トレーニング、成人期では個人精神療法、集団精神療法などによるもので、AD/HD患者の症状を理解し適切な援助を提供する、あるいはAD/HD患者自らが自分の行動の特徴を理解し、状況に応じた適切な行動が取れるようになるよう支援することを目的とします。環境調整は、家庭のみでなく学校と医療機関を含む3者の連携が大切で、双方向のコミュニケーションが取れるネットワークをつくり治療にあたることが重要です。

表1-3 AD/HDの主な治療方法

心理社会的治療

小児期

環境調整 子どもをとりまく関係者がAD/HDを理解し、子ども自身が自分の取るべき行動を理解しやすい接し方に変えていく

ペアレント・トレーニング 患児の親に対し、子どもの好ましい行動を増やして、好ましくない行動を減らすための技術をトレーニングする

ソーシャルスキル・トレーニング 子どもに対し、状況に応じた適切な行動が取れるように、対人関係の技能、社会のルールやマナーを教える

成人期個人精神療法 タイムスケジュールの管理・計画のスキル、プランニングと問題解決のスキ

ル、衝動や怒りのコントロール、対人関係におけるスキルを習得する

集団精神療法 同じ障害や問題を持つ者が相互に情報を交換・共有し、困難に対していかに行動していくかについて学習する

薬物療法

メチルフェニデート塩酸塩(コンサータ®錠)アトモキセチン塩酸塩

AD/HDの標準的な治療薬である。脳内の神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)の伝達を改善し、AD/HDの主症状を緩和する

その他 症状に応じて、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん薬などが処方される場合がある

薬物療法

薬物療法は注意集中力の改善、多動性・衝動性のコントロールを目的として心理社会的治療と組み合わせて行われます。薬物療法の適用に関しては、AD/HDガイドライン1,2)を参考に作成した「小児期AD/HDに薬物療法を適用・使用する場合の原則」をコンサータ®錠の適正使用ガイドに記載しています。成人期AD/HD においても同じ原則を適用します。成人期AD/HD に対して薬物療法を実施する場合には、問題となっている標的症状を明確にし、患者の利益になることが予測された場合に行う必要があります。また、成人期AD/HD においては、小児期に比べて依存性及び乱用のリスクが高くなりますので、「6.8)依存性、乱用の可能性」を必ずご確認下さい。

1) 宮島祐ほか : 小児科医のための注意欠陥 / 多動性障害―AD/HD―の診断・治療ガイドライン . 中央法規 : 2007 参考 2) 齊藤万比古ほか : 第 3 版 注意欠如・多動性障害―ADHD―の診断・治療ガイドライン . じほう : 2008 参考

AD/HDの治療1.4

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1 AD/HDの診断・治療について1 AD/HDの診断・治療について

表1-4 小児期AD/HDに薬物療法を適用・使用する場合の原則1)発達障害を治す薬物は存在しない。発達障害特性を軽減する薬物はあるが、基本的には対症療法である

2)薬物療法は、発達障害への対応方法の第一選択ではない。薬物の適応と標的症状を、適切に選択する必要がある

3)子どもにとっての利益としては、失敗体験の軽減、被叱責体験の減少、適切な対人関係・集団行動の体験増加などを考える

4)子どもの利益になることを予測できた場合に初めて採用すべき治療法であり、常に副作用などのリスクに細心の注意を払うべきである

5)GAF値が50以下、すなわち「重大な症状が現れている」場合には、積極的に薬物療法を検討し、併せて心理社会的な治療・支援を組み合わせる

6)GAF値が51~60、すなわち「変動しやすい中等度の症状が存在」する場合には、親ガイダンスや学校との連携などの心理社会的な治療・支援をまず行ったうえで、不適応状態が数カ月不変あるいは悪化するような場合には、薬物療法を検討する

7)GAF値が61以上の水準では基本的には心理社会的な治療・支援のみで対応し、薬物療法は特殊なケースに対して例外的に実施するだけとする

薬物療法の効果判定

コンサータ ®錠の小児期 AD/HD を対象とした国内における臨床試験では、薬物療法の効果(有効性)を AD/HD 児の親及び通学する学校の教師による行動評価尺度(ADHD Rating Scale- Ⅳ日本語版)や行動の改善状況に関する印象度(Global Assessment)、担当医師による総合的な改善状況に関する印象度(Clinical Global Impression)により評価しました。また、成人期 AD/HD を対象とした国内臨床試験では、有効性を担当医師による CAARS-O:SV、担当医師による CGI、患者本人による CAARS-S:SV などにより評価しました。AD/HD は加齢や環境の変化によりその症状や程度などが変化していく疾患なので、薬物療法を実施している場合は、治療が AD/HD 児にとって有効であることを定期的に確認しながら治療を維持することとしています。

表 1-5 薬物療法の効果判定尺度の例

小児期

ADHD Rating Scale- Ⅳ 日本語版(行動評価尺度) DSM-ⅣのAD/HD診断基準18項目をベースとして患児の行動を評価する尺度

Global Assessment(行動の改善状況に関する印象度) 親や教師が、治療薬投与後の患児の行動を段階的に評価する指標

Clinical Global Impression(総合的な改善状況に関する印象度)

医師が、問診や行動評価尺度などを利用して親や教師から得た情報に加えて、診察時の様子なども加味して、担当医師がAD/HD児の行動を段階的に評価する指標

成人期

CAARS-O 及び CAARS-S(行動評価尺度) それぞれ観察者及び患者が記入する患者の行動を評価する尺度

Clinical Global Impression(総合的な改善状況に関する印象度) 小児期と同一内容

薬物療法からの離脱

●小児期AD/HDに対する薬物療法は、注意集中力の改善、多動性・衝動性のコントロールを目的として行う対症療法であり、AD/HD児が薬物療法なしでも状況に応じた適切な対応が可能と判断された場合には継続されません。薬物療法からの離脱の可否は、薬剤を服用していない時(休薬時)のAD/HD児の行動を観察した上で判断されます。一般的には、夏休みや冬休みなどの長期休暇や、進級・進学など環境の変化を利用してしばらく経過観察した後などに離脱が検討されることが考えられます。休薬は、親や医師が「おそらく休薬しても大きな問題はないであろう。」と判断した場合に行われますが、予想外の状況変化が起きた時など、周囲が許容できない問題行動を起こすことも想定されます。そのような場合に備えて、休薬期間

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1 AD/HDの診断・治療について1 AD/HDの診断・治療について

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中でも必要に応じてコンサータ®錠を服用できるような対応が講じられることが望ましいと考えられます。

●成人期成人期AD/HDに対する薬物療法も小児期と基本的には同様です。並行して実施される心理社会的治療によって、患者自身が薬物療法なしでも、状況に応じた適切な対応が可能と判断された場合には、継続する必要はありません。薬物療法からの離脱を検討する際には、就職、結婚、子どもの誕生などの大きな環境変化の直後の時期を避け、コンサータ®錠を服用していない時の患者の行動を患者本人だけでなく、可能であれば、同居親族・配偶者、友人又は職場の上司や同僚などにも確認した上で判断することが推奨されます。

AD/HDの治療1.4

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1 AD/HDの診断・治療について1 AD/HDの診断・治療について

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

「警告・禁忌を含む使用上の注意」の改訂に十分ご留意ください。(2013 年 12 月改訂)

【警告】本剤の投与は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとのみで行うとともに、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤を行うこと。

コンサータ®錠はAD/HD専用の薬剤であり、AD/HDの診断、治療に精通しているだけでなく、本ガイドに記載しているようなリスクなども十分に理解している医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとで、適正に使用される必要があります。また、コンサータ®錠には、以下の承認条件が付されています。

【承認条件】本剤の投与が、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとのみで行うとともに、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

コンサータ®錠の納入・処方・調剤は、有識者からなる第三者委員会によって検討の上、リスト化された医師・医療機関・薬局に限定されます。更に、第三者委員会が承認する関連学会主催の講習会又は所定のeラーニング等において、コンサータ®錠の適正使用及び薬物依存に関する研修プログラムを履修し、本ガイドの内容を理解していただく必要があります。コンサータ®錠の取り扱いの申請、講習会やeラーニング等につきましては、コンサータ®錠 適正流通管理委員会 事務局のホームページ(http://www.ad-hd.jp/index.html)又はヤンセンファーマ株式会社の医薬情報担当者にご確認いただくようお願いします。

2.1警告

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

2.2.1効能・効果

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

DSM 又は ICD の診断基準を満たした、小児期及び成人期の AD/HD 患者への投与が適応となります(「効能・効果に関連する使用上の注意」の項参照)。

2.2.2効能・効果に関連する使用上の注意

1)­­6 歳未満の幼児における有効性及び安全性は確立していない。[「臨床成績」の項参照]2)­­AD/HDの診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM*)等の標準的で確立した診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。

* Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders

6歳未満のAD/HD児を対象とした試験は実施していません。したがって、低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児に対する安全性は確立していませんので、注意して下さい。AD/HDの診断に際しては、標準的で確立しているDSM又はICDの診断基準を使用して下さい。

2.2.3用法・用量

18歳未満の患者:通常、18歳未満の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は54mgを超えないこと。

18歳以上の患者:通常、18歳以上の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は72mgを超えないこと。

2.2.4用法・用量に関連する使用上の注意

1)本剤は中枢神経刺激作用を有し、その作用は服用後12 時間持続するため、就寝時間等を考慮し、午後の服用は避けること。

2)初回用量本剤投与前に他のメチルフェニデート塩酸塩製剤を服用している場合には、その用法・用量を考慮し、本剤の初回用量を18 歳未満の患者では18 ~ 45mg、18 歳以上の患者では18 ~72mg の範囲で決定する。ただし、本剤若しくは他のメチルフェニデート塩酸塩製剤の服用を1ヵ月以上休薬した後に本剤を服用する場合は、18mgを初回用量とすること。

3)本剤は徐放性製剤であるため分割して投与することは適切でなく、本剤は18mg 錠と27mg 錠の 2 種類のみで 18mg が最小単位であるため、9mg 単位の増減量が必要な場合には錠剤の種類を変更して投与すること。

コンサータ®錠は中枢神経刺激作用を有しており、その作用は服用後約12時間持続しますので、不眠などの副作用を発現する場合があります。したがって、就寝時間などを考慮し、午後の服用は避けさせるよう指導して下さい。コンサータ®錠の投与を開始する前に、既に他のメチルフェニデート塩酸塩製剤を服用しているAD/HD患者から切り替える場合には、他のメチルフェニデート塩酸塩の用法・用量を考慮し、コンサータ®錠の初回用量を18~45mgの範囲で決定し、1日1回、朝服用させて下さい(切り替えの目安として、表2-1を参考にして下さい)。また、今までにコンサータ®錠又は他のメチルフェニデート塩酸塩製剤を服用したことがないAD/HD患者や、コンサータ®錠の服用開始に際し他のメチルフェニデート塩酸塩製剤の服用を1ヵ月以上休薬している場合には、1日用量として18 mgを初回用量とすることを推奨します。

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効能・効果、用法・用量及び用法・用量に関連する使用上の注意2.2

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

コンサータ®錠は割ったり、砕いたりせず、そのまま服用する必要がある徐放性製剤ですので、1日用量として9mgを増量又は減量する場合に、18mg錠を分割して処方・投与することはできません。錠剤の種類(18mg錠、27mg錠)を変更して対応いただくよう、お願いします。また、処方するコンサータ®錠の種類を変更したこと等の理由により、服用しなくなった錠剤が手元に余る場合には、適正使用及び他の人への譲渡防止の観点から医療機関等に返却するよう、ご指導をお願いします。

表 2-1 他のメチルフェニデート塩酸塩製剤からコンサータ® 錠に切り替える場合の推奨開始用法 ・ 用量他のメチルフェニデート塩酸塩製剤の用法・用量 コンサータ®錠の推奨開始用法・用量

5mg、1日1~3回 18mg、1日1回、朝7.5mg、1日2~3回、10mg、1日1回又は、朝10mg、午後5mg 27mg、1日1回、朝

10mg、1日2~3回、又は15mg、1日1回 36mg、1日1回、朝

15mg、1日2~3回18歳未満:45mg、1日1回、朝18歳以上:54mg、1日1回、朝

20mg、1日2~3回、又はそれ以上18歳未満:45mg、1日1回、朝18歳以上:63mg又は72mg、1日1回、朝

その他、コンサータ®錠による薬物療法を維持していく中で、重篤な有害事象の発現などにより必要に応じて、投与を一時的に中断する場合が想定されます(「コンサータ®錠の投与の中断・中止」の項(p.21)参照)。中断後に薬物療法を再開する場合の投与再開時 1日用量として、初回用量の設定に準じ、中断期間が 1ヵ月以上に及ぶ場合には最低 1日用量である18mg から開始して下さい。

2.2 効能・効果、用法・用量及び用法・用量に関連する使用上の注意

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

2.3.1禁忌

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1)­ 過度の不安、緊張、興奮性のある患者­[中枢神経刺激作用により症状を悪化させることがある。]2)­ 緑内障のある患者­[眼圧を上昇させるおそれがある。]3)­ 甲状腺機能亢進のある患者­[循環器系に影響を及ぼすことがある。]4)­ 不整頻拍、狭心症のある患者­[症状を悪化させるおそれがある。]5)­ 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者6)­ 運動性チックのある患者、Tourette 症候群又はその既往歴・家族歴のある患者­[症状を悪化又は誘発させることがある。]

7)­ 重症うつ病の患者­[抑うつ症状が悪化するおそれがある。]8)­ 褐色細胞腫のある患者­[血圧を上昇させるおそれがある。]9)­ モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者­[「相互作用」の項参照]

「禁忌」については、上記のように規定しています。その中から、AD/HDの併存障害として多いと思われる6)運動性チックのある患者についての注意は、以下のとおりです。また、3)甲状腺機能亢進のある患者、4)不整頻拍、狭心症のある患者については、「臨床上重要な副作用とその対策」の項(p.24)を参照して下さい。

運動性チックのある患者への投与運動性チックを有する患者、Tourette症候群を有する患者(既往歴や家族歴を含む)への投与は、国内外のメチルフェニデート塩酸塩製剤に共通して「禁忌」とされており、コンサータ®錠の添付文書においても「禁忌」に規定しています。確定診断時に、患者本人における運動性チック、Tourette症候群の併存や既往の有無だけでなく、Tourette症候群については家族歴に対する調査を確実に行うこととしています。なお、現在、運動性チックが認められていないが過去に運動性チックが認められた患者や、確定診断には至らないがチック様症状が認められている患者に対してコンサータ®錠が投与されることは「禁忌」ではありませんが、そのような患者においては慎重に投与が進められるとともに、十分にチック症状の発現や変化が観察されます。なお、最近の知見では「メチルフェニデート塩酸塩製剤の投与は、チックに影響を与えない」という研究報告も公表されており、軽症のチック症状を呈する症例ではメチルフェニデート塩酸塩製剤が投与されているケースがあるようですが、現時点ではどのようなケースで投与可能かなどのコンセンサスは得られていません。

2.3.2慎重投与

【使用上の注意】1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)1)てんかん又はその既往歴のある患者­[痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある。]2)­高血圧、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者­[血圧又は心拍数を上昇させるおそれがある。]3)­脳血管障害(脳動脈瘤、血管炎、脳卒中等)のある患者又はその既往歴のある患者­[これらの症状を悪化又は再発させることがある。]

4)­下記の精神系疾患のある患者­[行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化をするおそれがある。] ­統合失調症、精神病性障害、双極性障害5)­薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者­[慢性的乱用により過度の耐性及び様々な程度の異常行動を伴う精神的依存を生じる可能性がある。]

6)­心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者­[因果関係は確立していないが、中枢神経刺激作用を有する薬剤の投与による突然死の報告がある。]

7)­高度な消化管狭窄のある患者­[本剤は消化管内でほとんど変形しない錠剤であり、本剤の服用により、まれに閉塞症状が報告されている。(「適用上の注意」の項参照)]

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2.3患者選択に関する注意

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

慎重に投与すべき患者については、「使用上の注意」で上記のように規定しています。2)高血圧、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者、6)心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者については、「臨床上重要な副作用とその対策」の項(p.24)を参照して下さい。5)の薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者につきましては、「依存性、乱用の可能性」の項(p.31)を参照して下さい。また、「慎重投与」の設定理由などの詳細につきましては、「使用上の注意の解説書」を用意しておりますので、そちらを参照して下さい。

らを参照して下さい

消化管狭窄を有する患者への投与コンサータ®錠は、消化管内でほとんど変形せず、投与後に外皮(放出制御膜)及び内部の不溶性成分は、消化吸収されず、そのまま糞便中に排出されます。したがって、高度な消化管狭窄が認められる患者がコンサータ®錠を投与された場合には、消化管内に滞留し閉塞症状を起こすおそれがあり、コンサータ® 錠の添付文書では「慎重投与」としています。また、関連する情報を「適用上の注意」として、次のとおり記載していますのでご注意ください。

9.適用上の注意薬剤交付時3)本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はない

ことを説明すること。

薬剤服用時本剤が消化管内に滞留した可能性がある場合には、腹部デジタルX線において可視化できるので、必要に応じて滞留の有無を確認すること。

「適用上の注意」に示したとおり、腹部デジタルX線で消化管内にコンサータ® 錠の滞留が確認された場合、又は確認できなかったがそのおそれがあると考えられた場合には、速やかに適切な処置をお願いします。海外での市販後自発報告では、無処置にて回復した報告以外に、下剤や腸管運動を活発にする薬剤の投与により、排出されたとの報告があります。

2.3.313 歳以上の患者に対する投与AD/HD治療においては、早期に疾患を発見し適切な治療を開始することが重要であり、薬物療法は、総合的な治療を通じて患者が状況に応じて適切な対応が取れるようになるまでの一定期間で完了させることが原則です。特に、青年期以降の患者においては、併存障害(反社会的傾向)の有無、患者本人又は家族における物質依存傾向の有無等、乱用などの危険性に留意し、心理社会的治療を最優先で検討するなどの慎重な対応が必要です。やむを得ずコンサータ®錠の投与を検討する場合でも、心理社会的治療を併用し、行動の変化により患者自身の自尊心や自信が高まり、セルフモニタリングや社会適応の技術が身についた時点で、離脱や必要最小限の頓服的使用の方向に持っていくべきです。13歳以上の患者は勿論のこと、コンサータ®錠を投与する患者においては、日頃から薬物治療からの離脱の可能性を検討していくことが重要です。

2.3患者選択に関する注意

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

2.4.1休薬日の設定●小児期休薬日の設定については、現時点で、必ずこのようにすべきであるというルールはありません。休薬日の設定方法として、① ある程度休薬なしで治療を継続し、症状が十分に安定している段階で休薬を検討する方法や、② 薬物治療開始直後から休薬日を設定する方法などがあります。欧米やAD/HDガイドラインにおいても、個々のAD/HD児にとって問題となる症状が見られる場面や日常生活のパターンに応じて、休薬日の必要性を検討していくべきであると考えられています。大多数のAD/HD児は、友達と遊ぶ、宿題をする、塾に通う、スポーツクラブで練習する、ピアノ教室に通う、課外活動に参加するなど、学校外の場面や学校が休みの日でもAD/HD児にとって様々な困難が問題となり、薬物療法が重要となる状況が多数存在しています。また、長期休暇の時期においても同様に、友達と遊ぶ、家族で旅行するなど、一律に休薬するのではなく、必要と判断される時期に決められた用量の薬剤を服用することが重要です。休薬予定日における薬剤の服用については、最終的には親もしくはAD/HD児(ある程度の年齢にある場合)に服用するか否かの判断を委ねることとなりますので、担当医師はあらかじめ親又はAD/HD児と薬剤服用の判断とする状況などについて、十分に打ち合わせておく必要があります。

●成人期小児期AD/HDと同様に、成人期においても、現時点で休薬日の設定ルールは確立していません。成人期の患者においては小児期の患者以上に、行動・活動の場の拡大や責任の増加など考慮しなければならないケースが多様化しますので、患者固有の問題となる症状が見られる場面や日常生活のパターンなどに十分配慮して、休薬日の必要性を検討していくべきであると考えられます。休薬日を設ける場合には、最終的には患者本人に判断を委ねることとなりますが、担当医師はあらかじめ患者と服用又は休薬の判断の基準となる状況などについて、十分に打ち合わせておく必要があります。

2.4.2コンサータ®錠の投与の中断・中止●小児期休薬日以外に、表 2-2 に該当する場合には、AD/HD 児におけるリスクとベネフィットを考慮し、コンサータ®錠の投与を一定期間、一時的に中断させて経過観察を行うか、投与を中止することを検討して下さい。また、薬物乱用が確認された場合には、有効例であったとしてもコンサータ®錠を継続して投与することは問題と考えられますので、速やかに担当医師に連絡をお願いします。

表 2-2 コンサータ®錠の投与中断・中止を検討すべき状況(小児期)● AD/HD症状の悪化が認められた場合

● 1日最高用量(54 mg/日)まで増量して一定期間投与を続けても、改善効果が認められない場合

● 重篤又は臨床上重要な有害事象が発現し、減量できない又は減量が適切ではないと考えられる場合 (「副作用とその対策」の項(p.24)参照)

● 薬物療法からの離脱を検討する場合(「薬物療法からの離脱」の項(p.23)参照)

● 薬物乱用が確認された場合

中断の期間については、中断の理由や中断後の経過観察状況に応じて、個別に設定するようお願いします。なお、投与中断後にコンサータ®錠の投与を再開する時の1日用量として、初回用量の設定に準じ、中断期間が1ヵ月以上に及ぶ場合には最低1日用量である18mgから開始してください(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項(p.17)参照)。

●成人期小児期と同様、表 2-3 に該当する場合には、AD/HD 患者におけるリスクとベネフィットを考慮し、コンサータ®錠の投与を一定期間、一時的に中断させて経過観察を行うか、投与を中止することを検討して下さい。また、成人患者においては、薬物乱用だけでなく、薬剤を親又は保護者が管理することの多い小児患者に比べて、不

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2.4治療の継続に関する注意

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

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2.4治療の継続に関する注意

適切使用、違法取引などの問題が生じるリスクが増加すると考えられます。そのようなケースにおいては、有効例であったとしてもコンサータ®錠を継続して投与することは問題と考えられますので、速やかに担当医師に連絡をお願いします。

表 2-3 コンサータ®錠の投与中断・中止を検討すべき状況(成人期)● AD/HD症状の悪化が認められた場合

● 1日最高用量(72 mg/日)まで増量して一定期間投与を続けても、改善効果が認められない場合

● 重篤又は臨床上重要な有害事象が発現し、減量できない又は減量が適切ではないと考えられる場合 (「副作用とその対策」の項(p.24)参照)

● 薬物療法からの離脱を検討する場合(「薬物療法からの離脱」の項(p.23)参照)

● 薬物乱用、不適切使用、違法取引などの問題が確認された場合

2.4.3長期使用時における注意●小児期AD/HD 児に対する治療は、一般的に長期間(6 カ月以上)に及ぶ場合がほとんどです。コンサータ®錠による薬物療法を長期間継続している場合には、定期的に安全性にかかる検査を実施して忍容性を評価するだけでなく、有効性についても定期的に確認しながら、漫然とした持続投与を避けることが重要です。なお、コンサータ®錠の添付文書の「重要な基本的注意」欄には、長期使用時における注意に関連して、以下のとおり記載しています。

2.重要な基本的注意2)小児に中枢神経刺激剤を長期投与した場合に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。本剤の投与が

長期にわたる場合には患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくない時は投与を中断すること。[「小児等への投与」の項参照]

また、成人においても体重減少が報告されているので、観察を十分に行い、体重減少が著しい場合には投与を中断するなど、適切な処置を行うこと。

3) 本剤を長期間投与する場合には、個々の患者に対して定期的に休薬期間を設定して有用性の再評価を実施すること。また、定期的に血液学的検査を行うことが望ましい。

●成人期成人期AD/HDに対する治療も、長期間に及ぶ場合が多いと考えられます。コンサータ®錠による薬物療法を長期間継続している場合には、定期的に安全性にかかる検査を実施して忍容性を評価するだけでなく、有効性についても定期的に確認しながら、漫然とした持続投与を避けることが重要です。

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

23

2.5薬物療法からの離脱

2.5.1離脱を試みる場合の手順●小児期コンサータ®錠による薬物療法からの離脱を試みる場合の手順を、図 2-1に示しています。このフローチャートに準じて、離脱の可否を検討することが推奨されています。

図 2-1 コンサータ®錠による薬物療法からの離脱の可否を判断するためのフローチャート

土日や祝祭日など休薬時に、複数の場面(家庭、公共の場所など)において、患者さんに問題となるような行動がありましたか。

予定の休薬期間を完了しましたか、それとも期間中に本剤を服用しましたか。

離脱検討のステップに進みます。① 現在の治療における行動評価を実施する。② 本剤の投与を中断し(期間は2週間程度)、休薬期間中の行動評価を実施する。  なお、薬の服用を中断することを事前に教師 /学校に連絡して下さい。また、  休薬期間中に行動の問題が認められた場合に備えて、必要に応じて本剤を服用できるよう、  対応して下さい。※ 行動評価には行動評価尺度(親及び教師)、CGI、GAを利用して下さい。

診療時の様子なども加味して、薬物療法からの離脱を試みる必要があると考えられますか。(患者本人や親とも、ご相談下さい。)

休薬前後の行動評価を比較し、離脱しても臨床的な問題がないかご検討下さい。

薬物療法を継続する

薬物療法を継続する

ない / ほとんどない ある

完了 服用

はい いいえ

問題なし 問題あり

薬物療法を完了する

●成人期成人期 AD/HD における離脱の手順も、小児期と同様です。環境変化が想定される時期を避け、成人期 AD/HD 用の適切な行動評価尺度を用いて休薬期間中の状態を確認した上で、離脱の可否を検討することが推奨されています。

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

2.6.1重大な副作用とその対策メチルフェニデート塩酸塩製剤による重大な副作用として、コンサータ®錠の添付文書に以下の事象を記載しています。これらの事象は、コンサータ®錠の国内外で実施した臨床試験では認められませんでしたが、2000年8月の米国での発売開始から2012年9月末までの期間における全世界での市販後自発報告で、剥脱性皮膚炎3件、狭心症15件、悪性症候群3件、脳血管炎2件、脳梗塞10件(別途、小脳梗塞1件、虚血性脳梗塞2件)及び脳出血3件が報告されています。以下の疾患に該当すると考えられるような症状が認められた場合には、速やかに担当医師に連絡をお願いします。なお、上記期間において、患者1人あたりの月間服薬量より算出した全世界の累積推定曝露人数は、およそ140.7百万人月です。

1)重大な副作用(1) 剥脱性皮膚炎(0.1%): 広範囲の皮膚の潮紅、浸潤、強いそう痒等の症状があらわれた場合には投与を中

止し、適切な処置を行うこと。(2) 狭心症(頻度不明):症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(3) 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):発熱、高度の筋硬直、CK(CPK)上昇等があらわれること

があるので、このような場合には体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。(4) 脳血管障害(血管炎、脳梗塞、脳出血、脳卒中)(頻度不明):症状があらわれた場合には投与を中止し、適

切な処置を行うこと。

2.6.2臨床上重要な副作用とその対策メチルフェニデート塩酸塩製剤の小児患者に対する臨床上重要な副作用として、食欲の低下に関する問題(食欲不振や食欲減退など)、体重減少、睡眠に関する問題(初期不眠症、不眠症など)、チック、心電図異常及び血圧変動が報告されています。小児期 AD/HD を対象として国内で実施しました第Ⅱ相臨床試験、第Ⅲ相臨床試験、長期投与試験の 3 試験における副作用の発現割合を表 2-4 に示します。国内臨床試験で 2 例の体重増加不良が認められ、海外においても成長の抑制(体重増加の抑制、成長遅延)について報告されています。成人患者に対する臨床上重要な副作用として、国内で実施しました第Ⅲ相臨床試験及び長期投与試験の 2 試験で報告された食欲低下・体重減少に関連する副作用、入眠・睡眠維持に関連する副作用、心血管系に関連する副作用及び精神症状に関連する副作用の発現割合を、表 2-5 に示します。また、小児患者と成人患者に対する臨床上重要な副作用の発現割合をまとめた表を表 2-6 に示します。これらの事象に関連した、添付文書の使用上の注意や対策などを以下にまとめましたので、よくお読み下さい。

2.6副作用とその対策

24

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

表 2-4 小児期 AD/HD を対象とした国内臨床試験 3 試験における臨床上重要な副作用の発現割合有害事象名(MedDRA/J ver.8.1) 安全性解析対象216例

食欲の低下に関する問題食欲不振 72 例 (33.3%)

食欲減退 19 例 (8.8%)

体重減少 26 例 (12.0%)

体重増加不良 2 例 (0.9%)

睡眠に関する問題

初期不眠症 29 例 (13.4%)

不眠症 13 例 (6.0%)

睡眠障害 2 例 (0.9%)

身体疾患による睡眠障害 1 例 (0.5%)

早朝覚醒 1 例 (0.5%)

中期不眠症 1 例 (0.5%)

チック 11 例 (5.1%)

心電図異常

心電図QT延長 2 例 (0.9%)

心電図QT補正間隔延長 4 例 (1.9%)

心電図異常Q波 1 例 (0.5%)

上室性期外収縮 1 例 (0.5%)

血圧変動

血圧変動 1 例 (0.5%)

血圧上昇 1 例 (0.5%)

最低血圧上昇 1 例 (0.5%)

表 2-5 成人期 AD/HD を対象とした国内臨床試験 2 試験における臨床上重要な副作用の発現割合

25

有害事象名(MedDRA/J ver.15.0)

第Ⅲ相試験 長期投与試験プラセボ群

安全性解析対象141例

コンサータ®錠群安全性解析対象

143例

コンサータ®錠投与例安全性解析対象

253例

食欲低下・体重減少に関連する副作用

食欲減退 6 例(4.3%) 53 例(37.1%) 76 例(30.0%)

体重減少 0 例 10 例(7.0%) 49 例(19.4%)

入眠・睡眠維持に関連する副作用

不眠症 10 例(7.1%) 12 例(8.4%) 33 例(13.0%)

初期不眠症 1 例(0.7%) 2 例(1.4%) 4 例(1.6%)

早朝覚醒型不眠症 0 例 0 例 1 例(0.4%)

心血管系に関連する副作用

動悸 2 例(1.4%) 26 例(18.2%) 40 例(15.8%)

頻脈 0 例 8 例(5.6%) 18 例(7.1%)

高血圧 0 例 1 例(0.7%) 2 例(0.8%)

呼吸困難 0 例 1 例(0.7%) 4 例(1.6%)

胸部不快感 0 例 4 例(2.8%) 5 例(2.0%)

血圧上昇 0 例 0 例 3 例(1.2%)

心電図 QT 延長 0 例 0 例 1 例(0.4%)

精神症状に関連する副作用

不安 0 例 4 例(2.8%) 5 例(2.0%)

自殺念慮 0 例 0 例 1 例(0.4%)

攻撃性 1 例(0.7%) 0 例 0 例

躁病 1 例(0.7%) 0 例 0 例

精神病性障害 0 例 1 例(0.7%) 2 例(0.8%)

妄想 0 例 0 例 2 例(0.8%)

怒り 0 例 0 例 1 例(0.4%)

多幸気分 0 例 0 例 1 例(0.4%)

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

① 食欲の低下に関する問題(食欲不振や食欲減退など)、体重減少、小児患者における成長の抑制(体重増加の抑制、 成長遅延)

食欲の低下に関する問題は、海外臨床試験においても高い頻度で報告されており、コンサータ®錠の薬理作用(中枢神経刺激作用)の面からも想定される有害作用であり、二次的に体重減少、小児患者における成長の抑制(体重増加の抑制、成長遅延)を引き起こす原因になるとも考えられます。これらの問題に関連する注意として、コンサータ®錠の添付文書に以下の注意を記載しています。

2.重要な基本的注意2)小児に中枢神経刺激剤を長期投与した場合に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。本剤の投

与が長期にわたる場合には患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくない時は投与を中断すること。[「小児等への投与」の項参照]

また、成人においても体重減少が報告されているので、観察を十分に行い、体重減少が著しい場合には投与を中断するなど、適切な処置を行うこと。

7.小児等への投与2)長期投与時に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。[「重要な基本的注意」の項参照]

これらの副作用の発現をモニタリングする方法としては、診察時などを利用して経時的に体重や身長の計測を行うことに加え、家庭における食事の状況だけでなく、学校教師や親との連携を通じて、患者の学校内での給食(昼食)の摂取状況に関する情報を入手することも有効な方法となります。小児期 AD/HD を対象とした国内臨床試験において食欲の低下が認められた患者では、朝食(コンサータ®錠の効果が発現する前)や夕食(コンサータ®錠の効果が消失してくる頃)は比較的普通に食べられるが、特に血漿中メチ

2.6副作用とその対策

26

有害事象名(MedDRA/J ver.15.0)小児期AD/HD

(安全性解析対象216例)成人期AD/HD

(安全性解析対象272例)

食欲低下・体重減少に関連する副作用食欲減退 * 91 例(42.1%) 108 例(39.7%)

体重減少 26 例(12.0%) 54 例(19.9%)

入眠・睡眠維持に関連する副作用心血管系に関連する副作用

不眠症 ** 40 例(18.5%) 49 例(18.0%)

動悸 0 例 59 例(21.7%)

頻脈 0 例 25 例(9.2%)

高血圧 0 例 4 例(1.5%)

呼吸困難 0 例 5 例(1.8%)

胸部不快感 0 例 8 例(2.9%)

血圧上昇 1 例(0.5%) 3 例(1.1%)

心電図 QT 延長 5 例(2.3%) 1 例(0.4%)

精神症状に関連する副作用

不安 0 例 8 例(2.9%)

自殺念慮 0 例 1 例(0.4%)

精神病性障害 0 例 3 例(1.1%)

妄想 0 例 2 例(0.7%)

怒り 0 例 1 例(0.4%)

多幸気分 0 例 1 例(0.4%)

表 2-6 小児期及び成人期 AD/HD を対象とした国内臨床試験における臨床上重要な副作用の発現割合

*: 食欲減退には、小児期 AD/HD の臨床試験における食欲不振も合算して集計されている**:不眠症には、初期不眠症、中期不眠症及び早朝覚醒が含まれている

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

ルフェニデート濃度が高い昼食(給食)時に食欲低下作用が強く見られ、昼食(給食)を食べ残した又はほとんど食べなかったようなケースが報告されています。昼食での食事量が減る分は、朝食、おやつ(間食)、夕食などにより、1日の総食事量と必要なカロリーを摂取させることにより、食欲の低下に伴う体重減少、成長抑制を予防又は軽減させることが可能であると思われます。患者の年齢によっては、夕食の時間を少し遅くしたり、夜食を食べたりすることも、有効と思われます。また、休薬日を設定し、その日にしっかりと食事を摂ることも、予防・軽減策として有効と考えられますが、休薬により問題行動を抑止できないことのリスクを考慮した上で、設定する必要があります。このような対策を講じても食欲の低下が著しく、体重の減少や成長への影響が懸念される場合には、必要に応じて、減量や中断などの対応を考慮する必要があります。なお、学校における昼食(給食)摂取が芳しくない小児患者においては、時として仲間はずれやいじめなどの問題が発生する可能性も想定されます。小児患者に対する精神的な負担を軽減する観点から、学校側が「当該患者が給食を残す理由や好き嫌いを認めている訳ではないこと」について、他の児童・生徒の理解を得ることなどの教育的配慮が必要になる場合もあります。成人期 AD/HD を対象とした国内臨床試験においても、食欲減退及び体重減少が高い割合で報告されています。成人期 AD/HD を対象として国内で実施しました第Ⅲ相臨床試験及び長期投与試験の 2 試験併合解析における経時的な体重の平均変化量及び臨床上重要な変動が認められた患者の割合を表 2-7 に示します。一般的に成人においても血中濃度の高い昼食時に食欲減退がみられやすいので、食欲減退が認められた患者には、朝食(コンサータ®錠の効果が発現する前)、夕食(コンサータ®錠の効果が消失してくる頃)、夜食又はおやつ(間食)などにより、1日の総食事量と必要なカロリーを摂取させるようご指導下さい。また、体重減少についても観察を十分に行い、体重減少が著しい場合には投与を中断するなど、適切な処置を行う必要がありますので速やかに担当医師に連絡をお願いします。

② 睡眠に関する問題(初期不眠症、不眠症など)睡眠に関する問題も、食欲の低下に関する問題と同様に、海外臨床試験においても高い頻度で報告されています。また、薬理作用(中枢神経刺激作用)から、国内、海外の一部のメチルフェニデート塩酸塩製剤は AD/HD に対する適応以外にナルコレプシーに対する適応も認められています。それに加え、コンサータ® 錠がおよそ12 時間AD/HD の諸症状に対する改善効果を示すよう設計された長時間作用型の徐放錠であることも踏まえ、睡眠に関連したこれらの問題に関連する注意として、コンサータ®錠の添付文書に次のとおり注意を記載しています。

《用法・用量に関連する使用上の注意》1)本剤は中枢神経刺激作用を有し、その作用は服用後12時間持続するため、就寝時間を考慮し、午後の服用は避

けること。

通常、登校日や出勤日は朝食前後の時間帯に患者がコンサータ®錠を服用することから、就寝時刻までには血中濃度は低下し、副作用発現のリスクも低下すると考えられますが、土日、休日や長期休暇などには生活のリズムが崩れ起床時間が不規則になりがちです。このような時期でもコンサータ®錠の服用が必要な場合には、可能な限り午前の早い時間帯に服用させ、午後の服用は避けさせることが必要と考えられます。特に睡眠に関する問題が認められた患者では、午後の服用は避けるべきです。

27

評価時期 第4週 第12週 第24週 第36週 第48週

平均変化量± SD(kg) −1.4 ± 1.7 −2.1 ± 2.5 −2.5 ± 3.4 −2.7 ± 4.0 −2.6 ± 4.2

臨床上重要な変動が認められた患者 * の割合(%) 2.7 16.4 26.2 30.6 28.8

表 2-7 成人期 AD/HD を対象とした国内臨床試験における経時的な体重の変化量及び臨床上重要な変動が認められた患者の割合

*:投与開始前から 7% 以上体重が減少した患者

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

また、夜間勤務や昼夜交代制勤務などに従事されている成人患者においては、患者のライフスタイルを考慮し、当該患者における標準的な服用時間帯を指示するようお願いします。

③ チック「禁忌」の項(p.19)参照

④ 心血管系に関する問題(心電図異常・血圧変動、動悸・頻脈)国内臨床試験や海外の市販後の安全性報告において、発現割合は低いものの、コンサータ®錠投与後にQTやQTc延長などの心電図異常と血圧変動が報告されています。また、成人期AD/HDを対象とした国内臨床試験において、動悸及び頻脈が高い発現割合で報告されています。成人期AD/HDを対象として国内で実施しました第Ⅲ相臨床試験及び長期投与試験の2試験併合解析における経時的な脈拍数の平均変化量を表2-8に示します。また、各試験における臨床上重要な脈拍数の変動が認められた患者及び継続増加例の割合を表2-9に示します。国内臨床試験で脈拍数の継続増加例が認められていますので,コンサータ®錠投与中は脈拍数の増加にご留意ください。メチルフェニデート塩酸塩には昇圧作用があり、心血管系に及ぼす影響を考慮して、不整頻拍や狭心症患者、甲状腺機能亢進のある患者に対する投与を「禁忌」、高血圧、心不全や心筋梗塞など、血圧又は心拍数の上昇により悪化するおそれのある患者への投与については「慎重投与」に規定しています。

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1)甲状腺機能亢進のある患者[循環器系に影響を及ぼすことがある。]2)不整頻拍、狭心症のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]

評価時期 第4週 第12週 第24週 第36週 第48週

平均変化量± SD(bpm) 8.5 ± 12.7 7.9 ± 12.1 8.0 ± 12.9 8.0 ± 13.4 7.9 ± 13.0

2.6副作用とその対策

表 2-8 成人期 AD/HD を対象とした国内臨床試験における経時的な脈拍数の変化量

国内臨床試験 第Ⅲ相臨床試験 長期投与試験

投与薬剤 プラセボ コンサータ®錠 コンサータ®錠

臨床上重要な変動が認められた患者 *の割合(%)

7.8 21.7 34.0

継続増加例 ** の割合(%) 0.7 6.0 11.2

表 2-9 成人期 AD/HD を対象とした国内臨床試験における臨床上重要な脈拍数の変動が認められた患者及び 継続増加例の割合

*:投与開始前の脈拍数が 100 bpm 以下で、投与開始後、いずれかの評価時期に脈拍数が 100 bpm を超えた患者 **:投与開始前の脈拍数が 100 bpm 未満で、投与開始後、3 回以上連続で脈拍数が 100 bpm 以上だった患者

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)2)高血圧、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者[血圧又は心拍数を上昇させるおそれがある。]6) 心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者[因果関係は確立していないが、中枢神経刺激作用

を有する薬剤の投与による突然死の報告がある。]2.重要な基本的注意

4)患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤ではないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者に対して本剤の投与を検討する場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。

5) 心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与期間中は、定期的に心拍数(脈拍数)及び血圧を測定すること。

心血管系の問題を早期に発見するための対策として、「重要な基本的注意」に規定したように定期的に心拍数(脈拍数)、血圧を測定することが重要です。また、不整頻拍や狭心症、甲状腺機能亢進に対する投与は禁忌ですが、高血圧、心不全、心筋梗塞以外にも、重篤な心疾患(重篤な構造的異常、心筋症、重篤な調律異常など)を有する患者に対する投与も、十分な観察の下、慎重に行う必要があります。また、洞調律、Ⅰ度の房室ブロック、単発・単源性で数の少ない心室性期外収縮や上室性期外収縮など、健康人でも認められるような心電図異常を含め、心血管系に重篤ではないが異常が認められる患者や家族に突然死の既往があるなどのリスクがある患者では、自覚症状などの訴えがなくても心血管系の有害事象の発現リスクを確認し投与の可否を判断するために、投与開始前に心電図検査などにより心血管系の状態を評価するよう、注意喚起をしています。

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

2.6.3その他の一般的な副作用とその対策小児期AD/HDを対象として国内で実施しました第Ⅱ相臨床試験、第Ⅲ相臨床試験、長期投与試験の3試験併合解析、並びに成人期AD/HDを対象として国内で実施しました第Ⅲ相臨床試験及び長期投与試験の2試験併合解析のいずれかにおいて、2%以上の発現割合で認められた副作用を表 2-10に示します。小児期AD/HDを対象とした臨床試験では程度の判定がある副作用の多くは軽度で、中等度と判定された副作用も4例ありましたが、高度な副作用は1例も認められませんでした。臨床上重要な副作用(「臨床上重要な副作用とその対策」の項

(p.24)参照)として取り上げた副作用以外では、胃腸障害(悪心、腹痛、嘔吐、下痢)、頭痛、鼻咽頭炎、発熱、尿検査での異常(尿中蛋白陽性、尿中ケトン体陽性)及び血中CPK増加の発現が2%以上で認められました。成人期AD/HDを対象とした臨床試験でも臨床上重要な副作用(「臨床上重要な副作用とその対策」の項(p.24)参照)として取り上げた副作用以外で、胃腸障害(悪心、嘔吐、下痢、腹部不快感、口内乾燥)、頭痛、浮動性めまい、筋緊張、口渇、発熱、倦怠感、易刺激性及び胸部不快感が2%以上で認められました。

表 2-10 小児期及び成人期の AD/HD を対象とした臨床試験のいずれかで発現割合 2% 以上に認められた副作用

*: 食欲減退には、小児期AD/HDの臨床試験における食欲不振も合算して集計されている**: 不眠症には、初期不眠症、中期不眠症及び早朝覚醒が含まれている

これらの副作用を認めた場合にはその症状や程度により、そのままの用量で継続可能か、減量もしくは投与を一時中断して様子を見る必要がないか、検討が必要なため、速やかに担当医師に連絡をお願いします。

2.6副作用とその対策

30

副作用名(MedDRA/J PT)

小児期AD/HD(安全性解析対象216例)

成人期AD/HD(安全性解析対象272例)

食欲減退* 91例(42.1%) 108例(39.7%)

不眠症** 40例(18.5%) 49例(18.0%)

不安 0例 8例(2.9%)

チック 11例(5.1%) 1例(0.4%)

頭痛 18例(8.3%) 29例(10.7%)

浮動性めまい 1例(0.5%) 15例(5.5%)

振戦 0例 7例(2.6%)

動悸 0例 59例(21.7%)

頻脈 0例 25例(9.2%)

悪心 12例(5.6%) 45例(16.5%)

嘔吐 8例(3.7%) 8例(2.9%)

腹痛 12例(5.6%) 5例(1.8%)

下痢 5例(2.3%) 14例(5.1%)

腹部不快感 0例 14例(5.1%)

口内乾燥 0例 10例(3.7%)

筋緊張 0例 9例(3.3%)

口渇 0例 40例(14.7%)

発熱 11例(5.1%) 11例(4.0%)

倦怠感 1例(0.5%) 13例(4.8%)

易刺激性 2例(0.9%) 7例(2.6%)

胸部不快感 0例 8例(2.9%)

体重減少 26例(12.0%) 54例(19.9%)

鼻咽頭炎 5例(2.3%) 2例(0.7%)

尿中蛋白陽性 8例(3.7%) 0例

尿中ケトン体陽性 6例(2.8%) 1例(0.4%)

血中CPK増加 5例(2.3%) 2例(0.7%)

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

メチルフェニデート塩酸塩は、ラット、イヌ及びサルを用いた非臨床試験での成績から、精神依存を示すことが報告されており、「第一種向精神薬」に指定されています。コンサータ®錠は放出制御システムを応用した薬剤であり、粉砕した錠剤を水又は水性溶媒と混合すると、高分子ゲルを生成するため、メチルフェニデートを抽出することが困難です。また、粉砕した錠剤を水に浸漬しても薬物コーティング由来分を除いたメチルフェニデート塩酸塩の放出は緩徐でした。噛み砕くなど、放出制御システムが破砕されたコンサータ®錠を服用した後の最高血漿中メチルフェニデート濃度は、破砕された他の短時間作用型メチルフェニデート塩酸塩錠を服用したときの最高血漿中メチルフェニデート濃度に比べて低いと考えられました。国内外で実施しました小児期 AD/HD 及び成人期 AD/HD を対象とした無作為化二重盲検試験においては、コンサータ®錠の依存性や乱用の報告はありませんでしたが、メチルフェニデート塩酸塩製剤による不適切な使用(本来の目的外での使用や乱用など)については問題となるケースも少なくなく、長期間にわたる投与には依存性のリスクが増加する可能性もありますので、適正な使用を推進していくことが重要です。国内外における他のメチルフェニデート塩酸塩製剤と同様に、依存性や乱用のリスクを軽減することと注意喚起のために、コンサータ®錠の添付文書では「慎重投与」に関連する情報を記載しています。

1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)5)薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者[慢性的乱用により過度の耐性及び様々な程度の

異常行動を伴う精神的依存を生じる可能性がある。]

また、第 3 版ガイドラインには、コンサータ®錠の乱用に関する注意喚起の指針として、以下のように記載されています。

● 子どもの頃 AD/HD の治療として短時間作用型メチルフェニデートを服用していた AD/HD 患者から乱用者が出現する確率は、わが国ではこれまで比較的低いまま推移してきた。

● 長時間作用型メチルフェニデート製剤であるコンサータは経口的服用以外の乱用のための摂取が難しい剤形となっているが、乱用のリスクは存在することを忘れてはならない。

● 10 代後半の数年を境界年代として、それ以降の青年や成人では一般に乱用の出現するリスクが小児期よりかなり高まることを知っていなければならない。

● コンサータ処方医師は、薬物乱用者の違法なコンサータ入手に医療機関が利用される危険は今後も常に存在していることを意識して、AD/HD の治療・支援にあたらなければならない。

● 処方したコンサータの乱用のリスクは AD/HD の当事者だけではなく、その家族や友人などにもありうることを承知している必要がある。

● 乱用を確認、あるいは疑った際には、すみやかに処方を中止し、以後の処方は断固として拒否すべきである。齊藤万比古ほか : 第 3 版 注意欠如・多動性障害− ADHD −の診断・治療ガイドライン. じほう : 2008

31

2.7 依存性、乱用の可能性

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

コンサータ®錠の処方時に、医師から患者及び家族へコンサータ®錠の飲み方に関する注意、生活上の注意事項、副作用、休薬日、便中への錠剤の排泄についてなどの留意事項を説明した冊子「コンサータ®錠を服用される方とご家族の方へ」(小児期AD/HD患者向け)または「コンサータ®錠を服用される方へ~大人のAD/HDとコンサータ®錠~」(成人期AD/HD患者向け)が渡されます。服薬指導を行われる際にも必要に応じてご利用ください。

2.8.1「コンサータ®錠を服用される方とご家族の方へ」などを用いた服薬指導のポイント特に下記の事項については、十分に説明するようお願いします。

コンサータ®錠の飲み方に関する注意について① コンサータ®錠は、PTPというシートに包装されている。シートから主治医に指示さ

れた錠数を取り出して、噛んだり、割ったり、砕いたり、溶かしたりしないで、そのまま飲み込むこと。

② コンサータ®錠は、そのまま服用することで、およそ12時間効果が持続するように作られていること。噛んだり、割ったりして飲むと、その効果が続かないだけでなく、副作用の原因となる危険性があること。

③ 薬は、朝食前に服用しても後に服用してもどちらでもよいが、水、白湯などの飲み物と一緒に飲むこと。

④ 寝つきが悪くなるなどの副作用が現れることがあるので、午後の服用は避けること。休日など、患者の行動スケジュールにより午後に服用する必要がある場合には、あらかじめ主治医と相談してから、判断すること。

⑤ 主治医は、AD/HD患者にとって最適なコンサータ®錠の用量になるよう、服用する用量を調節する場合があるので、主治医が処方した用量を、きちんと服用すること。

⑥ 血圧を上げる薬、血液を固まりにくくする薬、うつ病の薬などの中には、コンサータ®

錠と一緒に服用すると、副作用が発現する可能性が高くなる薬があるので、現在、他に服用している薬がある場合には、主治医や薬剤師に相談すること。

コンサータ®錠の服用により起こりうる副作用と、その対処法① 国内で行われた患者を対象としたコンサータ®錠の臨床試験や海外での情報に基づき、

重要な副作用として、食欲の低下に関する問題、体重減少、睡眠に関する問題(寝つきが悪い、夜中に目がさめるなど)、成長の抑制(体重の増加が抑えられる、成長が遅延する)、チック、心電図の異常、血圧の上昇などが報告されていること。

② 食欲の低下については、特に昼食(給食)を余り食べなくなることが報告されている こと。食欲が落ちている場合には、朝食、夕食、おやつ(間食)や夜食などを利用して、1日の食事量・カロリーや必要な栄養素が減らないような工夫が体重の維持・増加や成長に有効と考えられること。

③ 睡眠に関する問題が見られた場合には、服用する時間を朝なるべく早い時間にすることで、改善する可能性があること。

④ コンサータ®錠の副作用は他にも報告されているので、詳しい情報については、主治医や薬剤師に確認すること。また、服用中に患者に何か異常が認められたり、様子がいつもと違うと感じたりした場合には、すみやかに主治医や薬剤師に連絡すること。

2.8患者や家族への説明

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(A5 判 20 頁)

(A5 判 24 頁)

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2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について2 コンサータ®錠によるAD/HDの治療について

その他の事項① コンサータ®錠は特殊な錠剤で、消化管の中で必要な成分をすべて放出した後でも、外側の殻は変形する場合はあり

ますが消化されず溶けないため、患者の大便中に混ざって身体の外に出てくること。また、もし、トイレでこの錠剤を見つけたとしても、異常ではないので心配しないこと。

② コンサータ®錠は第一種向精神薬で、厳重な管理(家庭での管理には十分に気をつけて、安全な場所に保管)が必要なこと。

③ 他の人にコンサータ®錠を譲渡したりするようなことは絶対にしないこと。④ 処方量の変更(コンサータ®錠の種類の変更)等の理由により、服用しなくなった錠剤が手元に余る場合には医療機

関等に返却すること。

コンサータ®錠の服用・保管上の注意点を記載した指導せんもございますので、ご利用ください。

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(指導せん 表面) (指導せん 裏面)B7 判 指導せん(10 枚綴り)表紙

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

第一種向精神薬とは?

A1 麻薬及び向精神薬取締法で指定されている向精神薬は、その乱用の危険性と治療上の有用性により第1種向精神薬、第2種向精神薬及び第3種向精神薬の3種類に分類されています。第1種向精神薬はメチルフェニデートなど8物質が指定されており、そのうち市販されているものは下記の3物質です。(平成24年1月現在)

• セコバルビタールナトリウム• メチルフェニデート塩酸塩(コンサータ® 錠、リタリン散・錠)• モダフィニル

特約店からコンサータ®錠を譲り受けた時に、記録は必要ですか?

A2 必要です。コンサータ®錠を譲り受け、譲り渡し、又は廃棄した時は、次の事項を記録し、2年間保存しなければなりません。

• 品名(販売名)・数量• 年月日• 譲り渡しの相手方の営業所等の名称・所在地

コンサータ®錠の保管法について教えてください

〈薬局の場合〉薬局内の人目につかない場所で保管し、保管する場所は、業務従事者が実地に盗難の防止に必要な注意をしている場合以外は、かぎをかけた設備内で行わなければなりません。

〈病院・診療所の場合〉病院、診療所の施設内に保管し、保管する場所は、医療従事者が実地に盗難の防止に必要な注意をしている場合以外は、かぎをかけた設備内で行わなければなりません。

【保管の具体例】● 調剤室や薬品倉庫に保管する場合で、夜間、休日で保管場所を注意する者がいない場合は、その出入り口にかぎをかけてく

ださい。 日中、業務従事者又は医療従事者が必要な注意をしている場合以外は、出入口にかぎをかけてください。● ロッカーや引き出しに入れて保管する場合も、夜間、休日で必要な注意をする者がいない場合には、同様に、ロッカーや引き

出しあるいはその部屋の出入口のいずれかにかぎをかけてください。● 病棟の看護師詰め所に保管する場合で、常時、看護師等が必要な注意をしている場合以外は、向精神薬を保管するロッカー

や引き出しにかぎをかけてください。

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薬剤管理、調剤に関するQ&A

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

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Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

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Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

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Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

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Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

A3

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

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処方せんを受け取った場合、処方した医師・医療機関の確認はどのように行えばよいですか?

A4 調剤前に必ずウェブサイト又は電話で処方した医師・医療機関が登録医師・医療機関であるかどうかを確認し、登録されていた場合のみ調剤を行ってください。

登録医師・医療機関確認用の URL は、登録調剤責任者の仮登録完了時にユーザー ID、パスワードと共にコンサータ ® 錠適正流通管理委員会から案内されます。電話での確認は、コンサータ ® 錠適正流通管理委員会コールセンターにお問い合わせください。※ コンサータ ® 錠適正流通管理委員会コールセンターの電話番号は最終ページをご参照ください。

調剤前に処方医師・医療機関を確認した際に、その医師・医療機関が登録されていなかった場合は、どうすればよいですか?

A5 調剤を断り、コンサータ®錠適正流通管理委員会コールセンターに連絡してください。※ コンサータ ® 錠適正流通管理委員会コールセンターの電話番号は最終ページをご参照ください。

コンサータ®錠は、1回につき何日分交付可能ですか?

A6 30日分です。 本剤は厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、投与期間は1回30日分が限

度とされています。

コンサータ®錠を患者に交付した時、返却を受けた時に記録は必要ですか?

A7 必要ありません。交付した時、施用した時、患者から返却を受けた時、患者から返却を受けたものを廃棄した時は記録の必要はありません。

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

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Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

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Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

処方量の変更などにより、患者の手元に服用しないコンサータ®錠が残る場合はどうしたらよいですか?

A8 乱用防止の観点から、医療機関等に返却するようご指導ください。

コンサータ®錠を病院・診療所、薬局間で譲り受け、譲り渡しはできますか?

A9 できません。コンサータ®錠は、承認条件等により投与できる医師・医療機関・薬局が規制されており、他の医療機関、薬局への譲渡(譲受)は認められていません。

コンサータ®錠を廃棄することは可能ですか?その場合、記録は必要ですか?

A10 廃棄可能です。患者から返却を受けたもの以外の廃棄は記録が必要です。

廃棄する時は焼却、酸、アルカリ等による分解、希釈、他の薬剤との混合等、回収が困難な方法によらなければなりません。また、患者から返却を受けたもの以外の廃棄の際は、品名(販売名)、数量、年月日を記録し、2年間保存しなければなりません。

薬剤管理、調剤に関するQ&A

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Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

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Q21Q21

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

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Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

コンサータ®錠の盗難、紛失等が生じた時は、どうしたらよいですか?

A11 120個(下表の錠剤数量)以上の滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、速やかに品名、数量その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を「向精神薬事故届」により都道府県知事に届け出てください。

なお、120個以下の数量であっても、盗取・詐取等の場合には、都道府県知事及び警察署にも届け出てください。

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Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

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Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21 剤型 数量末、散剤、顆粒剤 100g(包)

錠剤、カプセル剤、坐剤 120 個注射剤 10 アンプル(バイアル)

内用液剤 10 容器

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

作用機序、製剤特性に関するQ&A

コンサータ®錠(メチルフェニデート塩酸塩徐放錠)の作用機序は?

A12 ドパミン、ノルアドレナリンの再取り込み抑制による神経系機能の亢進と考えられています1)。

メチルフェニデートでは、ヒトドパミントランスポーターに対してヒトノルアドレナリントランスポーターと比較して約20倍強い親和性が認められました1)。

メチルフェニデートの作用機序

ドパミン

ノルアドレナリン受容体ドパミン受容体

ノルアドレナリントランスポーターに結合してドパミンやノルアドレナリンが再取り込みされる。

トランスポーターからドパミンが再取り込みされる。

側坐核、線条体 前頭葉

ノルアドレナリン

ノルアドレナリントランスポーターに結合してドパミンやノルアドレナリンが再取り込みされるのを抑制する。

ドパミントランスポーターに結合してドパミンが再取り込みされるのを抑制する。

ドパミン受容体

側坐核、線条体:報酬、快感、恐怖などの感性に重要な役割を果たす脳部位前頭葉:認知機能に重要な役割を果たす脳部位

ノルアドレナリン受容体

ノルアドレナリンドパミン

コンサータⓇ錠

側坐核、線条体 前頭葉

コンサータⓇ錠

メチルフェニデート塩酸塩のモノアミントランスポーターへの作用

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Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

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Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

1) メチルフェニデート塩酸塩の作用機序(社内資料)

トランスポーター ヒトドパミントランスポーター ヒトアドレナリントランスポーターKi(nmol/L) 34.9 ± 5.20 716 ± 51.3

Ki 値:解離定数。数値が小さいほど親和性が大きい。 平均値±標準偏差、n=3

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

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OROS®(オロス)とは?

A13 浸 透 圧 を 利 用し た 放 出 制 御 シ ス テ ム(Osmotic controlled Release Oral delivery System)の略です。

コンサータ®錠は、錠剤外皮に薬物コーティング層を有する、OROS®を利用した放出制御型の徐放錠で、薬物コーティング層からのメチルフェニデート放出による速効性とOROS®による持続性を併せ持つ製剤です。

OROS®を利用したメチルフェニデートの放出

薬物放出口

薬物層1

薬物層2

プッシュ層

フィルムコーティング

薬物コーティング

放出制御膜

服用後1時間以内に薬物コーティング層に含まれるメチルフェニデートが速やかに放出される。

放出制御膜から水分が浸透し、プッシュ層が膨張し、薬物放出口から薬物層1、2に含まれるメチルフェニデートが徐々に放出される。

放出制御膜が浸透する水の透過速度を制御することにより、メチルフェニデートの放出が10時間以上持続する。

※ 薬物層1、2はポリマーを含むため、わずかな水分でもゲル状になる。

コンサータ®錠の安定性は?

A14 長期保存試験、加速試験、光安定性試験の結果は下表の通りでした。

安定性 製剤 保存条件 保存形態 保存期間 試験結果

長期保存試験18mg 錠27mg 錠

25℃ / 60%RHPTP / アルミ袋 24 ヵ月 変化なし

PTPa 12 ヵ月 変化なし

加速試験18mg 錠27mg 錠

40℃ / 75%RHPTP / アルミ袋

6 ヵ月変化なし

PTPa 分解生成物の増加が認められた

光安定性試験 18mg 錠 曝光 b 開放 0.25 ヵ月 変化なし

a:PTP/アルミ包装共に用いたPTP包装用フィルムの1.5倍の厚さのフィルムを使用したb:ICHガイドラインQ1Bに従い、総照度として120万lx・h及び総近紫外放射エネルギーとして200W・h/m2の光に曝した

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

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コンサータ®錠投与における食事の影響は?

A15 高脂肪食後、普通食後、空腹時に投与した試験において、薬物動態への食事の影響は認められていません1)。

朝食前、朝食後のいずれの服用によっても、同様の効果が得られると考えられます。

〈空腹時投与と高脂肪食後投与の血漿中メチルフェニデート濃度推移(各n=13)〉 〈普通食後投与と高脂肪食後投与の血漿中濃度推移(各n=14)〉

Cmax(ng/mL)

tmax(hr)

AUC(0→11.5)(ng・hr/mL)

Cmax(ng/mL)

tmax(hr)

AUC(0→11.5)(ng・hr/mL)

0 2 4 6 8 10 12(hr) (hr)

0

3

6

9(ng/mL)

血漿中メチルフェニデート濃度

投与後の時間 投与後の時間0 2 4 6 8 10 12

0

3

6

9(ng/mL)

血漿中メチルフェニデート濃度

高脂肪食後空腹時

高脂肪食後空腹時

高脂肪食後空腹時

18㎎ (各n=3) 7.19 ± 0.51 5.96 ± 1.27 9.6 ± 1.7 9.4 ± 0.0 57.1 ± 2.8 50.4 ± 7.8

36㎎ (各n=7) 12.49 ± 3.84 11.31 ± 2.61 8.0 ± 2.8 8.1 ± 1.1 92.6 ± 30.4 87.7 ± 18.2

54㎎ (各n=3) 16.05 ± 4.94 15.01 ± 3.79 10.3 ± 2.0 9.1 ± 2.5 118.9 ± 45.3 121.5 ± 37.3

平均値±標準偏差

高脂肪食後空腹時

平均値+標準偏差18㎎/日として標準化

平均値+標準偏差18㎎/日として標準化

高脂肪食後普通食後

空腹時投与と高脂肪食後投与

普通食後投与と高脂肪食後投与

対象:外国人AD/HD患児13~14例方法:コンサータ®錠18、36及び54㎎/日を1日1回、高脂肪食後、普通食後及び空腹時に経口投与したときの薬物動態を検討した。

高脂肪食後普通食後高脂肪食後普通食後高脂肪食後普通食後

18㎎ (各n=3) 6.19 ± 1.01 6.02 ± 1.11 10.8 ± 1.1 7.7 ± 3.3 43.1 ± 2.8 47.2 ± 9.1

36㎎ (各n=7) 12.44 ± 3.42 13.17 ± 3.19 8.1 ± 2.8 7.2 ± 1.5 98.0 ± 24.9 106.4 ± 25.6

54㎎ (各n=4) 17.17 ± 3.68 20.26 ± 4.80 7.7 ± 2.1 8.3 ± 1.5 155.4 ± 49.3 151.2 ± 38.9

薬物動態に関するQ&A

1) コンサータ®錠の薬物動態に及ぼす食事の影響(社内資料)

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

41

代謝経路、排泄率は?

A16 ヒトにおけるメチルフェニデートの主代謝経路はエステラーゼによる脱エステル化で、主代謝物は薬理活性をほとんど示さないα-フェニル-2-ピペリジン酢酸(PPA)です1)。

また、単回及び反復経口投与した時の累積尿中排泄率は、いずれの場合もメチルフェニデートが約1%、PPAが約73~78%で、増量や反復投与による影響は認められませんでした1)。

ヒトにおける推定代謝経路1)

MP :メチルフェニデートPPA :α-フェニル -2-ピペリジン酢酸

ミクロソームにおける酸化

ミクロソームにおける酸化 MP

6-oxo PPA

グルクロン酸抱合

p-OH PPA

エステラーゼによる加水分解

エステラーゼによる加水分解

エステラーゼによる加水分解

p-OH MP

6-oxo MP

主代謝物PPA

累積尿中排泄率2)

18mg / 日 27mg / 日%

54mg / 日

平均値±標準偏差

単回投与(投与時間48時間、n=6)

MPPPAMPPPA

0.97 ± 0.31 75.38 ± 9.81 1.05 ± 0.22 76.65 ± 3.43

0.90 ± 0.27 73.05 ± 10.94 ー ー

0.94 ± 0.25 77.78 ± 4.02 ー ー

反復投与(初回投与後120時間、n=6)

1) Faraj B. A., et al.: J. Pharmacol. Exp. Ther. 191 : 535, 1974(J058457)2) 安藤隆康 : コンサータ®錠の第Ⅰ相試験成績(社内資料 JNS001-JPN-01)

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

42

副作用の発現状況は?

A17 AD/HD児を対象として国内で実施した臨床試験3試験*の総症例216例中80.6%(174例)に認められ、その主なものは食欲減退、初期不眠症、体重減少、頭痛、不眠症、腹痛、悪心、チック、発熱でした。

小児期AD/HD患者を対象とした国内臨床試験3試験*において認められた副作用

安全性、相互作用に関するQ&A

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

  承認時までの調査 副作用の種類 副作用の種類別発現症例数(%)(1)被験者数 216 神経系障害 22 (10.2)(2)副作用発現症例数 174   頭痛 18 (8.3)(3)副作用発現症例率 ((2)/(1)×100) 80.6   浮動性めまい 1 (0.5)

副作用の種類 副作用の種類別発現症例数(%)   鎮静 3 (1.4)代謝および栄養障害 92 (42.6)   体位性めまい 1 (0.5)  食欲減退 91 (42.1)   ジスキネジー 1 (0.5)  体重増加不良 2 (0.9)   自律神経失調 1 (0.5)  食欲亢進 1 (0.5)   緊張性頭痛 1 (0.5)臨床検査 61 (28.2) 感染症および寄生虫症 15 (6.9)  体重減少 26 (12.0)   鼻咽頭炎 5 (2.3)  尿中蛋白陽性 8 (3.7)   胃腸炎 3 (1.4)  血中クレアチンホスホキナーゼ増加 5 (2.3)   鼻炎 3 (1.4)  尿中ケトン体陽性 6 (2.8)   ヘルペスウイルス感染 1 (0.5)  心電図QT延長 5 (2.3)   麦粒腫 1 (0.5)  アミラーゼ増加 4 (1.9)   インフルエンザ 1 (0.5)  血圧上昇 1 (0.5)   中耳炎 1 (0.5)  好酸球数増加 4 (1.9)   咽頭炎 1 (0.5)  白血球数減少 4 (1.9) 一般・全身障害および投与部位の状態 13 (6.0)  尿中血陽性 2 (0.9)   発熱 11 (5.1)  好中球数減少 3 (1.4)   倦怠感 1 (0.5)  アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 1 (0.5)   易刺激性 2 (0.9)  アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 1 (0.5) 皮膚および皮下組織障害 12 (5.6)  血中トリグリセリド増加 1 (0.5)   発疹 4 (1.9)  肝機能検査異常 2 (0.9)   湿疹 2 (0.9)  血中ブドウ糖増加 1 (0.5)   蕁麻疹 4 (1.9)  拡張期血圧上昇 1 (0.5)   アトピー性皮膚炎 2 (0.9)  血中尿素増加 1 (0.5)   そう痒症 1 (0.5)  血中尿酸増加 1 (0.5)   接触性皮膚炎 1 (0.5)  脈拍異常 1 (0.5) 呼吸器、胸郭および縦隔障害 10 (4.6)  心電図異常Q波 1 (0.5)   上気道の炎症 2 (0.9)  尿中ケトン体 1 (0.5)   喘息 2 (0.9)精神障害 56 (25.9)   咳嗽 3 (1.4)  不眠症 13 (6.0)   アレルギー性鼻炎 3 (1.4)  初期不眠症 29 (13.4)   鼻漏 1 (0.5)  チック 11 (5.1)   咽頭紅斑 1 (0.5)  睡眠障害 2 (0.9) 眼障害 5 (2.3)  抑うつ気分 3 (1.4)   アレルギー性結膜炎 2 (0.9)  抜毛癖 1 (0.5)   結膜充血 1 (0.5)  気分変化 3 (1.4)   近視 1 (0.5)  早朝覚醒型不眠症 1 (0.5)   眼そう痒症 1 (0.5)  中期不眠症 1 (0.5) 筋骨格系および結合組織障害 3 (1.4)  神経過敏 2 (0.9)   関節痛 2 (0.9)  無感情 1 (0.5)   四肢痛 1 (0.5)  身体疾患による睡眠障害、不眠症型 1 (0.5) 心臓障害 2 (0.9)胃腸障害 34 (15.7)   徐脈 1 (0.5)  悪心 12 (5.6)   上室性期外収縮 1 (0.5)  腹痛 12 (5.6) 傷害、中毒および処置合併症 2 (0.9)  嘔吐 8 (3.7)   足骨折 1 (0.5)  下痢 5 (2.3)   手骨折 1 (0.5)  腹部不快感 1 (0.5) 免疫系障害 1 (0.5)  口内炎 2 (0.9)   季節性アレルギー 1 (0.5)  便秘 2 (0.9) 耳および迷路障害 1 (0.5)  上腹部痛 1 (0.5)   耳痛 1 (0.5)  異常便 1 (0.5) 血管障害 1 (0.5)  歯肉腫脹 1 (0.5)   血圧変動 1 (0.5)

生殖系および乳房障害 1 (0.5)  精巣上体炎 1 (0.5)  陰茎癒着 1 (0.5)

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

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成人期AD/HD患者を対象として国内で実施した第Ⅲ相試験及び長期投与試験の総症例272例中、副作用(臨床検査値異常を含む)は76.8%(209例)に認められ、その主なものは、食欲減退、動悸、体重減少、不眠症、悪心、口渇、頭痛でした。

承認時までの調査 副作用の種類 副作用の種類別発現症例数(%)(1)被験者数 272 神経系障害 54 (19.9)(2)副作用発現症例数 209   頭痛 29 (10.7)(3)副作用発現症例率 ((2)/(1)×100) 76.8   浮動性めまい 15 (5.5)副作用の種類 副作用の種類別発現症例数(%)   振戦 7 (2.6)代謝および栄養障害 109 (40.1)   傾眠 3 (1.1)   食欲減退 108 (39.7)   体位性めまい 2 (0.7)   食欲亢進 1 (0.4)   頭部不快感 1 (0.4)胃腸障害 80 (29.4)   感覚鈍麻 1 (0.4)  悪心 45 (16.5)   思考散乱 1 (0.4)  腹痛 5 (1.8)   ミオクローヌス 1 (0.4)  嘔吐 8 (2.9)   錯感覚 1 (0.4)  下痢 14 (5.1)   嗅覚錯誤 1 (0.4)  腹部不快感 13 (4.8)   感覚障害 1 (0.4)  口内炎 5 (1.8)   平衡障害 1 (0.4)  口内乾燥 9 (3.3) 皮膚および皮下組織障害 11 (4.0)  便秘 4 (1.5)   発疹 1 (0.4)  上腹部痛 4 (1.5)   湿疹 2 (0.7)  消化不良 4 (1.5)   ざ瘡 2 (0.7)  腹部膨満 2 (0.7)   脱毛症 2 (0.7)  胃炎 2 (0.7)   多汗症 2 (0.7)  おくび 1 (0.4)   そう痒症 1 (0.4)  胃食道逆流性疾患 1 (0.4)   円形脱毛症 1 (0.4)  舌炎 1 (0.4)   冷汗 1 (0.4)  過敏性腸症候群 1 (0.4)   乾皮症 1 (0.4)  メレナ 1 (0.4) 筋骨格系および結合組織障害 11 (4.0)  食道炎 1 (0.4)   筋骨格硬直 7 (2.6)  舌乾燥 1 (0.4)   筋緊張 2 (0.7)  心窩部不快感 1 (0.4)   筋痙縮 1 (0.4)心臓障害 76 (27.9)   筋力低下 1 (0.4)  動悸 59 (21.7)   筋肉痛 1 (0.4)  頻脈 22 (8.1)   横紋筋融解症 1 (0.4)  洞性頻脈 1 (0.4) 血管障害 9 (3.3)精神障害 72 (26.5)   ほてり 5 (1.8)  不眠症 42 (15.4)   高血圧 3 (1.1)  初期不眠症 6 (2.2)   収縮期高血圧 1 (0.4)  チック 1 (0.4) 眼障害 6 (2.2)  睡眠障害 3 (1.1)   眼乾燥 3 (1.1)  不安 8 (2.9)   眼精疲労 1 (0.4)  激越 2 (0.7)   眼瞼痙攣 1 (0.4)  抑うつ気分 1 (0.4)   羞明 1 (0.4)  うつ病 1 (0.4) 耳および迷路障害 6 (2.2)  幻聴 2 (0.7)   聴覚過敏 1 (0.4)  過覚醒 3 (1.1)   難聴 1 (0.4)  精神病性障害 3 (1.1)   感音性難聴 1 (0.4)  早朝覚醒型不眠症 1 (0.4)   回転性めまい 1 (0.4)  妄想 2 (0.7)   耳不快感 1 (0.4)  緊張 2 (0.7)   突発難聴 1 (0.4)  怒り 1 (0.4) 呼吸器、胸郭および縦隔障害 6 (2.2)  歯ぎしり 1 (0.4)   呼吸困難 4 (1.5)  活動性低下 1 (0.4)   過換気 1 (0.4)  多幸気分 1 (0.4)   窒息感 1 (0.4)  リビドー減退 1 (0.4) 感染症および寄生虫症 5 (1.8)  自殺念慮 1 (0.4)   鼻咽頭炎 2 (0.7)  せっかち 1 (0.4)   胃腸炎 1 (0.4)一般・全身障害および投与部位の状態 72 (26.5)   気管支炎 1 (0.4)  口渇 40 (14.7)   膀胱炎 1 (0.4)  発熱 11 4.0) 血液およびリンパ系障害 4 (1.5)  倦怠感 13 (4.8)   貧血 1 (0.4)  易刺激性 7 (2.6)   好酸球増加症 1 (0.4)  胸部不快感 8 (2.9)   血小板減少症 1 (0.4)  無力症 2 (0.7)   欠乏性貧血 1 (0.4)  悪寒 2 (0.7) 腎および尿路障害 4 (1.5)  疲労 3 (1.1)   頻尿 3 (1.1)  胸痛 1 (0.4)   排尿躊躇 1 (0.4)  びくびく感 1 (0.4) 生殖系および乳房障害 3 (1.1)臨床検査 68 (25.0)   閉経期症状 1 (0.4)  体重減少 54 (19.9)   精巣痛 1 (0.4)  血中クレアチンホスホキナーゼ増加 2 (0.7)   勃起不全 1 (0.4)  尿中ケトン体陽性 1 (0.4) 免疫系障害 1 (0.4)  心電図QT延長 1 (0.4)   薬物過敏症 1 (0.4)  血圧上昇 3 (1.1) 傷害、中毒および処置合併症 1 (0.4)  体重増加 3 (1.1)   挫傷 1 (0.4)  アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 1 (0.4)  アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 1 (0.4)  心拍数増加 2 (0.7)  血中ビリルビン増加 1 (0.4)  体温低下 1 (0.4)

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

44

安全性、相互作用に関するQ&A

相互作用は?

A18 併用禁忌はMAO阻害剤、併用注意は昇圧剤、クマリン系抗凝血剤、抗痙攣剤、三環系抗うつ剤、 選択的セロトニン再取り込み阻害剤、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、クロニジン、

アルコールです。

コンサータ®錠の相互作用〈併用禁忌(併用しないこと)〉

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子MAO 阻害剤 セレギリン(エフピー)

MAO 阻害剤の作用を増強させ、高血圧が起こることがある。

本剤は交感神経刺激作用を有するため。

セレギリンのようなMAO阻害剤とコンサータ®錠のような交感神経刺激薬の併用により、MAO阻害剤の作用が増強され、高血圧を起こす可能性が想定されます。

〈併用注意(併用に注意すること)〉薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

昇圧剤 昇圧作用を増強することがある。 本剤は交感神経刺激作用を有するため。

クマリン系抗凝血剤 ワルファリンカリウム

クマリン系抗凝血剤の作用を増強 することがある。

クマリン系抗凝血剤の半減期を延長させる。

抗痙攣剤 フェノバルビタール フェニトイン  プリミドン

抗痙攣剤の作用を増強することが ある。

本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる。

三環系抗うつ剤 イミプラミン等選択的セロトニン再取り込み阻害剤 フルボキサミン パロキセチン セルトラリン

三環系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤の作用を増強することがある。

本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる。

選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 アトモキセチン

本剤の作用が増強するおそれがあるため、注意して投与すること。

ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。

クロニジンメチルフェニデート塩酸塩製剤との併用により、突然死の報告がある。[「その他の注意」の項参照]

機序不明

アルコール 精神神経系の副作用を増強することがある。

アルコールは本剤の精神神経系の作用を増強させる。

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

45

* プラセボ対照ランダム化治療中止試験:一定期間、被験治療(試験に使用する実薬の投与)を受けた被験者を、その治療の継続又はプラセボ(実薬治療の中止)のいずれかにランダムに割り付ける試験方法。割り付け後の実薬継続群とプラセボ群における薬物効果の指標の差が実薬の効果を示します。

1)安藤隆康:コンサータ® 錠の第Ⅲ相試験成績(社内資料 JNS001-JPN-03-2)2)高橋長秀:コンサータ® 錠の第Ⅲ相試験成績(社内資料 JNS001-JPN-A01)

AD/HD症状に対する効果は?

A19 AD/HD患児を対象とした国内の第Ⅲ相試験において、コンサータ®錠の投与により、AD/HDの中核症状は親及び教師による評価のいずれもプラセボ投与と比べて有意な改善が認められました1)。また、成人期AD/HDを対象とした国内の第Ⅲ相試験においてもプラセボ投与と比べて有意な改善が認められました2)。

AD/HD患児を対象とした国内第Ⅲ相プラセボ対照ランダム化治療中止試験(承認時評価資料)1)

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

-15.6±10.8

-8.0±9.7

-12.6±10.5

-3.6±9.3

p=0.0008 p<0.0001

コンサータ®錠群(n=50) プラセボ群(n=39) コンサータ®錠群(n=49) プラセボ群(n=39)

〈親評価〉 〈教師評価〉

変化量(点)

変化量(点)

平均値 - 標準偏差

t 検定

平均値 - 標準偏差

t 検定

コンサータ®錠投与による AD/HD患児の中核症状の改善を親及び教師が評価したプラセボ対照ランダム化治療試験を実施しました。その結果、中核症状のスコアは親評価及び教師評価のいずれもコンサータ®錠群のほうが有意に減少しました(p=0.0008 及び p<0.0001、t 検定)。

対   象: DSM-Ⅳ診断基準に基づき、AD/HDと診断された6~12歳の患児89例方   法: プラセボ錠を1日1回朝、3~10日間経口投与(Wash-in期)。

その後、投与開始時の推奨用量を参考に、1回18~54㎎の範囲で1日1回朝、3~6週間経口投与(用量調整期)。用量調整期で確認された適正1日用量と同じ用量のコンサータ®18㎎錠、27㎎錠又はそれらのプラセボ錠を経口投与(二重盲検期)。

Wash-in期から二重盲検期のスコア変化量を検討。評 価 基 準: ADHD Rating Scale‐Ⅳ日本語版(ADHD RS‐Ⅳ‐J)を用いて、親及び教師がそれぞれ患児の症状に関する評価

項目(不注意項目9、多動性/衝動性項目9)各々について、「0(ない、もしくはほとんどない)」「1(ときどきある)」 「2(しばしばある)」「3(非常にある)」でスコア化し、18項目全ての「トータルスコア」を評価。

臨床効果に関するQ&A

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

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3 コンサータ®錠に関するQ&A

46

臨床効果に関するQ&A

2)高橋長秀:コンサータ® 錠の第Ⅲ相試験成績(社内資料 JNS001-JPN-A01)

成人期のAD/HD患者を対象とした国内第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(承認時評価資料)2)

コンサータ®錠群

プラセボ群

0.0

-5.0

-10.0

-15.0

-20.0

-25.0

-12.5

-7.9

p=0.0001

共分散分析

CAARS‐O

SV

のDSM‐IV Total

ADHDSymptomsのスコアの変化量

)版語本日(

対   象: DSM-Ⅳ-TRにおいてAD/HDと診断された18~64歳の患者284例(コンサータ®錠群143例、プラセボ群141例)方   法: :1 ~ 2週間のスクリーニング期の後、コンサータ®錠18mg/日から投与開始し、用量調整基準*に従い被験者ごとの至

適用量に到達するまで1週間ごとに18mg/日単位で4週間増量(用量調整期)。その後、用量調整期で確認された用量を4週間継続(用量固定期)。 *:CAARS-O : SV(日本語版)のDSM-Ⅳ Total ADHD Symptomsスコアがベースライン値に比べて30%以上改善、かつClinical Global Impression-Change(CGI-C)スコアが1(著明改善)又は2(中等度改善)となった場合、もしくは最高用量72mg/日に到達した場合に被験者ごとの至適用量に到達したと判断した。

評価基準: 主要評価項目 CAARS-O : SV (日本語版)のDSM-Ⅳ Total ADHD Symptomsスコアのベースラインからの変化量

副次評価項目 CAARS-O : SV及びCAARS-S:SV の総スコア、CAARS-O:SVのDSM-Ⅳ不注意サブスケールスコア、DSM-Ⅳ多

動性–衝動性サブスケールスコア及びADHD Index、CAARS-S:SV のDSM-Ⅳ不注意サブスケールスコア、DSM-Ⅳ多動性–衝動性サブスケールスコア、DSM-Ⅳ Total ADHD Symptoms及びADHD Index、並びにQ-LES-Q-SF総スコア、CGI-Sスコア、CGI-Cスコアのベースラインからの変化量

最終評価時における CAARS-O:SV(日本語版)の DSM- Ⅳ Total ADHD Symptoms スコアのベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は、コンサータ ® 錠群では−12.5 ± 9.3、プラセボ群では−7.9 ± 9.6 であり、コンサータ ® 錠群ではプラセボ群に比べ、DSM- Ⅳ Total ADHD Symptoms スコアの有意な低下が認められました(p < 0.0001、共分散分析)。

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3 コンサータ®錠に関するQ&A

47

* Laboratory School:臨床試験において厳格な行動評価を行うために医療施設内に設けられた学校と同じ環境のこと。 

1)Swanson J., et al. : Arch.. Gen. Psychiatry 60 : 204, 2003 (J058057)

服用後どのくらいで効果があらわれますか?

A20 投与1~2時間後にあらわれます。

効果発現時期と効果の持続(海外データ)1)

〈注意〉 〈ふるまい〉

1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 120.0

0.5

1.0

2.5

2.0

1.5

1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 120.0

0.5

1.0

2.5

2.0

1.5

投与後の時間 投与後の時間

(hr.)(hr.)

SKAMPサブスケール

SKAMPサブスケール

コンサータ®錠群

プラセボ群

コンサータ®錠群

プラセボ群

投与投与

AD/HD患児のLaboratory School*における「注意」と「ふるまい」に対する、コンサータ®錠の効果の発現時期と持続期間を評価しました。その結果、投与約1時間後に「ふるまい」に対する効果、投与約2時間後に「注意」に対する効果が発現し、それらは投与12時間後まで持続しました。

コンサータ®錠群(n)(60) (59) (59)    (60)   (60)   (60)(59)(59)(60)プラセボ群(n) (60) (59) (58)    (58)   (59)   (59)(58) (58)(58)

コンサータ®錠群(n)(60) (59) (58)   (60)   (60)   (60)(59)(59)(60)プラセボ群(n) (60) (59) (58)   (58)   (59)   (59)(58) (59)(58)

対   象:DSM-ⅣにおいてAD/HDと診断された6~12歳のAD/HD患児64例方   法:クロスオーバー法により、コンサータ®錠を1回18~54㎎もしくはプラセボを1日1回朝、7日間経口投与。 SKAMPサブスケールの推移を評価。評 価 基 準:SKAMP評価尺度を用いてAttention(注意)に関する7項目、Deportment(ふるまい)に関する5項目各々について

教師 が0( 全 く な い )~6( 最重度 )に ス コ ア 化。 そ れ ら の 平均値 をAttention Ratingサ ブ ス ケ ー ル、 Deportment Ratingサブスケールとして評価。

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

48

1)安藤隆康 : コンサータ®錠の長期投与試験成績(社内資料 JNS001-JPN-04)

長期投与のデータはありますか?

A21 国内において、コンサータ®錠を最長23ヵ月間投与する長期投与試験を実施したところ、患児の症状の改善は全評価期間で維持されました1)。また、成人においても長期投与試験を実施したところ、24週まで改善効果の維持が認められています2)。

AD/HD患児を対象とした長期投与試験(承認時評価資料)1)

-14

-16

-18

-12

-10

-8

-6

-4

-2

0試験開始時 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (月)

教師評価親評価

ADHD RS-

Ⅳ-

Jトータルスコアの変化量

〈試験期 Ⅰ〉

***

***

******

***

***

*** ***

***

***

*** ***

***

***

*** ***

***

*** ***

***

*********

***

***p<0.0001、Dunnett 多重比較検定(v.s. 試験開始時)

試験開始後の期間親評価(n) (99) (99) (98) (94) (92) (88) (88) (84) (81) (81) (80) (81) (80)教師評価(n) (97) (96) (70) (70) (70) (61) (50) (52) (50) (53) (46) (53) (58)

(月)

ADHD RS-

Ⅳ-

Jトータルスコアの変化量

-16

-18

-20

-22

-24

-26

-14

-12

-10

-8

-6

-4

-2

0

親評価

〈試験期 Ⅱ〉

**

**** **

** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** **

** ** **

**

**

**p<0.01、Dunnett 多重比較検定(v.s. 試験開始時)

  試験開始後の期間親評価(n) (69) (69) (68) (67) (68) (67) (68) (69) (67) (68) (67) (69) (69) (68) (66) (65) (62) (59) (49) (33) (29) (13) (4) (1)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23試験開始時

コンサータ®錠投与によるAD/HD児の中核症状の改善を最長23ヵ月間評価しました。その結果、中核症状を示すスコアは試験開始時と比べて投与開始1ヵ月後から23ヵ月後の全評価期間で有意な減少を維持しました(p<0.01、Dunnett多重比較検定)。

Q1Q1 Q 2Q 2 Q 3Q 3 Q 4Q 4 Q 5Q 5

Q 6Q 6 Q 7Q 7 Q 8Q 8 Q 9Q 9 Q10Q10

Q11Q11 Q12Q12 Q13Q13 Q14Q14 Q15Q15

Q16Q16 Q17Q17 Q18Q18 Q19Q19 Q20Q20

Q21Q21

対   象: DSM-ⅣにおいてAD/HDと診断され、国内第Ⅱ相又は第Ⅲ相試験を終了した6~13歳のAD/HD患児99例。方   法: 試験期Ⅰとして、コンサータ®錠を1日1回朝、18~54㎎/日(国内第Ⅱ相試験からの移行例は、試験終了時及び本試験

開始前の用量を考慮、国内第Ⅲ相試験からの移行例は、二重盲検期に服用した用量)、最長12ヵ月間投与。 試験期Ⅱとして、試験期Ⅰを終了し、効果が確認され試験期Ⅱへの移行が必要と判断された患児に対して、試験期Ⅰから

通して最長23ヵ月間、試験期Ⅰと同様の用法・用量で投与。 ADHD RS‐Ⅳ‐Jトータルスコアの推移を評価。評価基準: ADHD RS‐Ⅳ‐J(p.45参照)

臨床効果に関するQ&A

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3 コンサータ®錠に関するQ&A3 コンサータ®錠に関するQ&A

49

成人期のAD/HD患者を対象とした国内第Ⅲ相非盲検可変用量長期投与試験(承認時評価資料)1)

対   象: DSM-Ⅳ-TRにおいてAD/HDと診断され、国内第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を終了した18~64歳の成人患者253例。

方   法: 最初の1週間にコンサータ®錠18mg/日から投与開始。増量又は減量の目安に従い被験者ごとの至適用量に到達するまで1週間ごとに9又は18mg/日単位で増減量。(用量調整期)

4週間の用量調整期終了後、44週間の維持治療期へ移行し、被験者ごとの至適用量で投与。被験者の症状及び忍容性に応じて増量又は減量の目安に従い、維持治療期中はいつでもコンサータ®錠18 ~ 72mgの範囲内で用量変更可。

評 価 基 準: 主要評価項目 CAARS-O : SV(日本語版)のDSM-Ⅳ Total ADHD Symptomsスコア(各評価時及び最終評価時のスコア及びベー

スラインからの変化量) 副次評価項目 CAARS-O : SVの総スコア、DSM-Ⅳ不注意サブスケールスコア、DSM-Ⅳ多動性–衝動性サブスケールスコア及び

ADHD Index、CAARS-S : SVの総スコア、DSM-Ⅳ Total ADHD Symptoms、DSM-Ⅳ不注意サブスケールスコア、DSM-Ⅳ多動性–衝動性サブスケールスコア及びADHD Index、CGI-Sスコア、CGI-Cスコア並びにQ-LES-Q-SF総スコアについて、各評価時及び最終評価時のスコア及びベースラインからの変化量

CAARS-O:SV(日本語版)の DSM- Ⅳ Total ADHD Symptoms スコアのベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)の推移において、投与開始後から低下し、以降第 48 週まで改善効果が維持されました(Observed Case 法 : OC)。

コンサータ®錠(n)(253) (248) (246) (240) (231) (225) (218) (211) (205)

ベースライン

Day 0 第12週 第48週第8週第4週 第16週 第20週 第24週 第36週

5

0

-5

-10

-15

-20

CAARS‐O:SV

のDSM‐IV Total

ADHDSymptomsのスコアの変化量

(日本語版)

2)高橋長秀 : コンサータ®錠の長期投与試験成績(社内資料 JNS001-JPN-A02)

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4.副作用

1)重大な副作用

2)その他の副作用

5.高齢者への投与

6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与

7.小児等への投与

8.過量投与徴候、症状:

処置:

9.適用上の注意薬剤交付時

薬剤服用時

10.その他の注意

承認条件

包装コンサータ錠18mg:100 錠(10 錠×10)コンサータ錠27mg:100 錠(10 錠×10)

■詳細は添付文書等をご参照ください。 警告・禁忌を含む使用上の注意の改訂にご留意ください。

Drug Information

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1)過度の不安、緊張、興奮性のある患者[中枢神経刺激作用により症状を悪化させることがある。]

2)緑内障のある患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]3)甲状腺機能亢進のある患者[循環器系に影響を及ぼすことがある。]4)不整頻拍、狭心症のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]5)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者6)運動性チックのある患者、Tourette症候群又はその既往歴・家族歴のある患者[症状を悪化又は誘発させることがある。]

7)重症うつ病の患者[抑うつ症状が悪化するおそれがある。]8)褐色細胞腫のある患者[血圧を上昇させるおそれがある。]9)モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者[「相互作用」の項参照]

組成・性状本剤は、浸透圧を利用した放出制御システム(OROS)を応用した、メチルフェニデート塩酸塩の放出制御型の徐放錠である。

注)コンサータ錠27mgにのみ添加錠剤断面図 薬物放出口

薬物層2

プッシュ層外皮(放出制御膜)

薬物層1

薬物コーティング

フィルムコーティング

効能・効果注意欠陥/多動性障害(AD/HD)《効能・効果に関連する使用上の注意》

* Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders

用法・用量

《用法・用量に関連する使用上の注意》

使用上の注意 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

2.重要な基本的注意

3.相互作用1)併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法

臨床症状・措置方法

機序・危険因子

機序・危険因子

MAO 阻害剤 セレギリン (エフピー)

MAO阻害剤の作用を増強させ、高血圧が起こることがある。

本剤は交感神経刺激作用を有するため。

2)併用注意(併用に注意すること)薬剤名等

昇圧剤 昇圧作用を増強することがある。

本剤は交感神経刺激作用を有するため。

クマリン系抗凝血剤 ワルファリンカリウム

クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがある。

クマリン系抗凝血剤の半減期を延長させる。

抗痙攣剤 フェノバルビタール フェニトイン プリミドン

抗痙攣剤の作用を増強することがある。

本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる。

三環系抗うつ剤 イミプラミン等選択的セロトニン再取り込み阻害剤 フルボキサミン パロキセチン セルトラリン

三環系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤の作用を増強することがある。

本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる。

クロニジン メチルフェニデート塩酸塩製剤との併用により、突然死の報告がある。[「その他の注意」の項参照]

機序不明

アルコール 精神神経系の副作用を増強することがある。

アルコールは本剤の精神神経系の作用を増強させる。

選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 アトモキセチン

本剤の作用が増強するおそれがあるため、注意して投与すること。

ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。

【警 告】本剤の投与は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行うとともに、それら薬局において は、調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤を行うこと。

1)6歳未満の幼児における有効性及び安全性は確立していない。「臨床成績」の項参照]2)AD/HDの診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM*)等の標準的 で確立した診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。

1)本剤は中枢神経刺激作用を有し、その作用は服用後12時間持続するため、就寝時間等を考 慮し、午後の服用は避けること。2)初回用量 本剤投与前に他のメチルフェニデート塩酸塩製剤を服用している場合には、その用法・用量を考慮 し、本剤の初回用量を18歳未満の患者では18~45mg、18歳以上の患者では18~72mgの範囲 で決定する。ただし、本剤若しくは他のメチルフェニデート塩酸塩製剤の服用を1ヵ月以上休薬した 後に本剤を服用する場合は、18mgを初回用量とすること。3)本剤は徐放性製剤であるため分割して投与することは適切でなく、本剤は18mg錠と27mg錠 の2種類のみで18mgが最小単位であるため、9mg単位の増減量が必要な場合には錠剤の種 類を変更して投与すること。

18歳未満の患者:通常、18歳未満の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は54mgを超えないこと。18歳以上の患者:通常、18歳以上の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は72mgを超えないこと。

1)てんかん又はその既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある。]2)高血圧、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者[血圧又は心拍数を上昇させるおそれがある。]3)脳血管障害(脳動脈瘤、血管炎、脳卒中等)のある患者又はその既往歴のある患者[これらの 症状を悪化又は再発させることがある。]4)下記の精神系疾患のある患者[行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそ れがある。]

統合失調症、精神病性障害、双極性障害5)薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者[慢性的乱用により過度の耐性及び 様々な程度の異常行動を伴う精神的依存を生じる可能性がある。]6)心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者[因果関係は確立していないが、中枢神経 刺激作用を有する薬剤の投与による突然死の報告がある。]7)高度な消化管狭窄のある患者[本剤は消化管内でほとんど変形しない錠剤であり、本剤の服用 により、まれに閉塞症状が報告されている。(「適用上の注意」の項参照)] 

<小児AD/HD 承認時>AD/HD患児を対象として国内で実施した第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験及び長期投与試験の総症例216 例中、副作用(臨床検査値異常を含む)は174例(80.6%)に認められた。その主なものは、食欲減退91例(42.1%)、不眠症40例(18.5%)、体重減少26例(12.0%)、頭痛18例(8.3%)、腹痛12例(5.6%)、悪心12例(5.6%)、チック11例(5.1%)、発熱11例(5.1%)であった。<成人AD/HD 承認時>成人AD/HD 患者を対象として国内で実施した第Ⅲ相試験及び長期投与試験の総症例 272 例中、副作用(臨床検査値異常を含む)は209 例(76.8%)に認められた。その主なものは、食欲減退108例(39.7%)、動悸 59 例(21.7%)、体重減少 54 例(19.9%)、不眠症49 例(18.0%)、悪心 45 例(16.5%)、口渇 40 例(14.7%)、頭痛 29 例(10.7%)であった。<小児AD/HD 再審査終了時>AD/HD患児を対象とした特定使用成績調査における副作用(臨床検査値異常を含む)は、1385例中529例(38.2%)に認められた。その主なものは、食欲減退386例(27.9%)、不眠症69例(5.0%)、体重減少69例(5.0%)、チック47例(3.4%)、睡眠障害42例(3.0%)、頭痛37例(2.7%)、腹痛25例(1.8%)、悪心23例(1.7%)であった。

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、投与する場合には注意すること。[高齢者を対象とした試験は実施されていない。]

症状に応じた適切な支持療法を行うこと。自傷行為及び過刺激症状を悪化させる外部刺激を排除するように留意すること。必要に応じて胃洗浄によって胃内容物を除去する、又は活性炭や下剤の投与を行うこと。激越や発作がある場合には、胃洗浄の前にコントロールを行い、気道を確保すること。十分な血液循環及び呼吸を維持するために集中治療を行うこと。高熱に対しては物理的な解熱処置をとること。過量投与に対する腹膜透析又は血液透析の有効性は確立していない。過量投与患者の治療に際しては、メチルフェニデートが長時間かけて放出されることを考慮すべきである。

1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[動物実験(ウ   サギ)において、最大推奨用量の約100倍に相当する200mg/kg/日の投与により催奇形  性が報告されている。]2)授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。[ヒトでメチルフェニデートが、乳汁中  に移行するとの報告がある。]

1)PTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部  が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報  告されている。]2)本剤は徐放性製剤であるため、噛んだり、割ったり、砕いたり、溶解したりせず、必ず飲み物と一  緒にそのまま服用するよう指導すること。3)本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する  必要はないことを説明すること。

1)因果関係は確立していないが、メチルフェニデート塩酸塩製剤とクロニジンとの併用により、突然 死が報告されている。2)メチルフェニデート塩酸塩の長期発癌性試験の結果、F344/Nラットを用いた試験では癌原性 は認められなかった。B6C3F1マウスを用いた試験では、雌雄両性で肝細胞腺腫の増加、約  60mg/kg/日投与群の雄で肝芽腫の発現がみられている。3)メチルフェニデート塩酸塩は、Salmonella typhimuriumを用いたAmes試験では突然変異誘 発性は認められなかった。チャイニーズハムスターの培養卵細胞を用いた試験では姉妹染色 分体変換と染色体異常の増加がみられ、弱い染色体異常誘発性が認められている。

1)低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。[6歳未満 の患者を対象とした試験は、実施されていない。]2)長期投与時に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。[「重要な基本的注意」の項 参照]

主として中枢神経系の過刺激及び過度の交感神経作用に起因する以下の徴候及び症状があらわれることがある。 嘔吐、激越、振戦、反射亢進、筋攣縮、痙攣(昏睡を続発することがある)、多幸感、錯乱、幻覚、せん妄、発汗、潮紅、頭痛、高熱、頻脈、動悸、不整脈、高血圧、散瞳、粘膜乾燥

本剤が消化管内に滞留した可能性がある場合には、腹部デジタルX線において可視化できるので、必要に応じて滞留の有無を確認すること。

本剤の投与が、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行われるとともに、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

(1)剥脱性皮膚炎(0.1%):広範囲の皮膚の潮紅、浸潤、強いそう痒等の症状があらわれた場合  には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(2)狭心症(頻度不明):症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(3)悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):発熱、高度の筋硬直、CK(CPK)上昇等があらわ  れることがあるので、このような場合には体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。(4)脳血管障害(血管炎、脳梗塞、脳出血、脳卒中)(頻度不明):症状があらわれた場合には投与  を中止し、適切な処置を行うこと。

1)本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者(小児の場合には患者及び保護者又は それに代わる適切な者)に対して、本剤の治療上の位置づけ、依存性等を含む本剤のリスクにつ いて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用法について指導すること。2)小児に中枢神経刺激剤を長期投与した場合に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。 本剤の投与が長期にわたる場合には患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくない 時は投与を中断すること。[「小児等への投与」の項参照]また、成人においても体重減少が報 告されているので、観察を十分に行い、体重減少が著しい場合には投与を中断するなど、適切 な処置を行うこと。3)本剤を長期間投与する場合には、個々の患者に対して定期的に休薬期間を設定して有用性の 再評価を実施すること。また、定期的に血液学的検査を行うことが望ましい。4)患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤では ないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者に対して本剤の投与を検討す る場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。5)心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与期間中は、定期的に心拍数(脈拍数)及び 血圧を測定すること。6)まれに視覚障害の症状(調節障害、霧視)が報告されている。視覚障害が認められた場合には、 眼の検査を実施し、必要に応じて投与を中断又は中止すること。7)めまい、眠気、視覚障害等が発現するおそれがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転 等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。8)攻撃性はAD/HDにおいてしばしば観察されるが、本剤の投与中にも攻撃性の発現や悪化が報 告されている。投与中は、攻撃的行動の発現又は悪化について観察すること。9)通常量の本剤を服用していた精神病性障害や躁病の既往がない患者において、幻覚等の精神 病性又は躁病の症状が報告されている。このような症状の発現を認めたら、本剤との関連の可 能性を考慮すること。投与中止が適切な場合もある。

※※2013年12月改訂(下線部分)(第5版) ※2013年6月改訂(第4版)

1%以上 頻度不明感染症

1%未満

血液障害

免疫系障害

代謝障害  食欲減退(31.2%)精神障害 不眠症、チック、睡

眠障害

神経系障害 頭痛、浮動性めまい

眼障害

耳障害心臓障害

血管障害呼吸器障害

胃腸障害 悪心、腹痛、口渇、嘔吐、下痢

皮膚障害

筋骨格系障害

泌尿器系障害

全身障害

臨床検査 体重減少

発熱、倦怠感

傷害、中毒

鼻咽頭炎、胃腸炎、鼻炎、ヘルペスウイルス感染、インフルエンザ、麦粒腫、中耳炎、咽頭炎

不安、抑うつ気分、攻撃性、激越、うつ病、抜毛、幻聴、気分変動、過覚醒、感情不安定、精神病性障害、妄想、神経過敏、落ち着きのなさ、緊張、怒り、無感情、歯ぎしり、幻視、リビドー減退、多弁、気分動揺

上気道感染、副鼻腔炎

白血球減少症、汎血球減少症、血小板減少性紫斑病アナフィラキシー反応、過敏症反応、耳介腫脹、水疱形成、表皮剥脱

涙ぐむ、錯乱状態、失見当識、幻覚、躁病、パニック発作

振戦、鎮静、傾眠、体位性めまい、ジスキネジー、痙攣、自律神経失調、錯感覚、緊張性頭痛

精神運動亢進、大発作痙攣、嗜眠

ドライアイ、アレルギー性結膜炎、結膜充血、近視、眼そう痒症

霧視、複視、散瞳、視覚障害

呼吸困難、上気道の炎症、喘息、咳嗽、アレルギー性鼻炎、鼻漏、咽頭紅斑

咽喉頭疼痛

腹部不快感、口内乾燥、口内炎、便秘、上腹部痛、消化不良、腹部膨満、異常便、歯肉腫脹発疹、蕁麻疹、湿疹、脱毛症、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、多汗症、そう痒症、接触性皮膚炎

斑状皮疹、紅斑

筋緊張、関節痛、筋痙縮、筋痛、四肢痛

筋攣縮

易刺激性、胸部不快感、無力症、悪寒、疲労、胸痛

足骨折、手骨折

異常高熱

血圧上昇、拡張期血圧上昇、脈拍異常、QT延長、異常Q波、白血球数減少、好中球数減少、好酸球数増加、血中アミラーゼ増加、CK(CPK)増加、ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、肝機能異常、血中ビリルビン増加、トリグリセリド増加、血糖増加、血中尿素増加、血中尿酸増加、蛋白尿、尿中ケトン体陽性、尿潜血

心雑音、ALP増加、肝酵素上昇、血小板数減少、白血球数異常

頻尿生殖系障害 精巣上体炎、陰茎癒着、勃起不全

徐脈、上室性期外収縮 期外収縮、上室性頻脈、心室性期外収縮

ほてり、高血圧、血圧変動 レイノー現象

難聴、耳痛、回転性めまい動悸、頻脈

季節性アレルギー

体重増加不良、食欲亢進

血小板減少症

 

 ※※

 ※※

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※※

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 ※※

 ※※

販売名 コンサータ錠 27mg成分・含量(1錠中) メチルフェニデート塩酸塩 18mg含有 メチルフェニデート塩酸塩 27mg含有

添加物

色・剤形 黄色の錠剤 灰色の錠剤

外形長さ:12mm 直径:5.3mm 長さ:12.2mm 直径:5.3mm

識別記号 alza 18

コンサータ錠 18mg

alza 27

ポリエチレンオキシド200K、ポリエチレンオキシド 7000K、酢酸セルロース、ヒプロメロース、塩化ナトリウム、ポビドン、乳糖水和物、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、酸化チタン、コハク酸、トリアセチン、黄色三二酸化鉄、ステアリン酸、マクロゴール 400、黒酸化鉄、ジブチルヒドロキシトルエン、三二酸化鉄注)、リン酸、カルナウバロウ

販 売 名

日本標準商品分類番号

使 用 期 限 ※※効能追加

一  般  名

洋 名

和 名 承 認 番 号

承 認 年 月薬価収載年月販売開始年月再審査期間※再審査結果

コンサータ®錠27mgコンサータ®錠18mg

錠27mg:21900AMX01771000錠18mg:21900AMX01770000

Concerta ® Tablets

Methylphenidate Hydrochloride(JAN),Methylphenidate(INN)871179

2年(包装に表示の使用期限内に  使用すること)

2013年12月

2007年12月4年(満了年月:2011年10月)2013年6月

2007年12月メチルフェニデート塩酸塩(JAN)2007年10月

国際誕生年月 2000年8月

貯 法 室温保存

販 売 名

日本標準商品分類番号使 用 期 限

※※効能追加

一  般  名

洋 名

和 名

承 認 番 号

承 認 年 月薬価収載年月販売開始年月

再審査期間

コンサータ®錠27mgコンサータ®錠18mg

錠27mg:21900AMX01771000錠18mg:21900AMX01770000

Concerta® Tablets

Methylphenidate Hydrochloride(JAN),Methylphenidate(INN)8711792年(包装に表示)

2013年12月

2007年12月

成人期:4年(満了年月:2017年12月)

2007年12月

メチルフェニデート塩酸塩(JAN)

2007年10月

国際誕生年月 2000年8月

貯 法 室温保存

小児期:4年(満了年月:2011年10月)

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4.副作用

1)重大な副作用

2)その他の副作用

5.高齢者への投与

6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与

7.小児等への投与

8.過量投与徴候、症状:

処置:

9.適用上の注意薬剤交付時

薬剤服用時

10.その他の注意

承認条件

包装コンサータ錠18mg:100 錠(10 錠×10)コンサータ錠27mg:100 錠(10 錠×10)

■詳細は添付文書等をご参照ください。 警告・禁忌を含む使用上の注意の改訂にご留意ください。

Drug Information

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1)過度の不安、緊張、興奮性のある患者[中枢神経刺激作用により症状を悪化させることがある。]

2)緑内障のある患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]3)甲状腺機能亢進のある患者[循環器系に影響を及ぼすことがある。]4)不整頻拍、狭心症のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]5)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者6)運動性チックのある患者、Tourette症候群又はその既往歴・家族歴のある患者[症状を悪化又は誘発させることがある。]

7)重症うつ病の患者[抑うつ症状が悪化するおそれがある。]8)褐色細胞腫のある患者[血圧を上昇させるおそれがある。]9)モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者[「相互作用」の項参照]

組成・性状本剤は、浸透圧を利用した放出制御システム(OROS)を応用した、メチルフェニデート塩酸塩の放出制御型の徐放錠である。

注)コンサータ錠27mgにのみ添加錠剤断面図 薬物放出口

薬物層2

プッシュ層外皮(放出制御膜)

薬物層1

薬物コーティング

フィルムコーティング

効能・効果注意欠陥/多動性障害(AD/HD)《効能・効果に関連する使用上の注意》

* Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders

用法・用量

《用法・用量に関連する使用上の注意》

使用上の注意 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

2.重要な基本的注意

3.相互作用1)併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法

臨床症状・措置方法

機序・危険因子

機序・危険因子

MAO 阻害剤 セレギリン (エフピー)

MAO阻害剤の作用を増強させ、高血圧が起こることがある。

本剤は交感神経刺激作用を有するため。

2)併用注意(併用に注意すること)薬剤名等

昇圧剤 昇圧作用を増強することがある。

本剤は交感神経刺激作用を有するため。

クマリン系抗凝血剤 ワルファリンカリウム

クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがある。

クマリン系抗凝血剤の半減期を延長させる。

抗痙攣剤 フェノバルビタール フェニトイン プリミドン

抗痙攣剤の作用を増強することがある。

本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる。

三環系抗うつ剤 イミプラミン等選択的セロトニン再取り込み阻害剤 フルボキサミン パロキセチン セルトラリン

三環系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤の作用を増強することがある。

本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる。

クロニジン メチルフェニデート塩酸塩製剤との併用により、突然死の報告がある。[「その他の注意」の項参照]

機序不明

アルコール 精神神経系の副作用を増強することがある。

アルコールは本剤の精神神経系の作用を増強させる。

選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 アトモキセチン

本剤の作用が増強するおそれがあるため、注意して投与すること。

ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。

【警 告】本剤の投与は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行うとともに、それら薬局において は、調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤を行うこと。

1)6歳未満の幼児における有効性及び安全性は確立していない。「臨床成績」の項参照]2)AD/HDの診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM*)等の標準的 で確立した診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。

1)本剤は中枢神経刺激作用を有し、その作用は服用後12時間持続するため、就寝時間等を考 慮し、午後の服用は避けること。2)初回用量 本剤投与前に他のメチルフェニデート塩酸塩製剤を服用している場合には、その用法・用量を考慮 し、本剤の初回用量を18歳未満の患者では18~45mg、18歳以上の患者では18~72mgの範囲 で決定する。ただし、本剤若しくは他のメチルフェニデート塩酸塩製剤の服用を1ヵ月以上休薬した 後に本剤を服用する場合は、18mgを初回用量とすること。3)本剤は徐放性製剤であるため分割して投与することは適切でなく、本剤は18mg錠と27mg錠 の2種類のみで18mgが最小単位であるため、9mg単位の増減量が必要な場合には錠剤の種 類を変更して投与すること。

18歳未満の患者:通常、18歳未満の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は54mgを超えないこと。18歳以上の患者:通常、18歳以上の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は72mgを超えないこと。

1)てんかん又はその既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある。]2)高血圧、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者[血圧又は心拍数を上昇させるおそれがある。]3)脳血管障害(脳動脈瘤、血管炎、脳卒中等)のある患者又はその既往歴のある患者[これらの 症状を悪化又は再発させることがある。]4)下記の精神系疾患のある患者[行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそ れがある。]

統合失調症、精神病性障害、双極性障害5)薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者[慢性的乱用により過度の耐性及び 様々な程度の異常行動を伴う精神的依存を生じる可能性がある。]6)心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者[因果関係は確立していないが、中枢神経 刺激作用を有する薬剤の投与による突然死の報告がある。]7)高度な消化管狭窄のある患者[本剤は消化管内でほとんど変形しない錠剤であり、本剤の服用 により、まれに閉塞症状が報告されている。(「適用上の注意」の項参照)] 

<小児AD/HD 承認時>AD/HD患児を対象として国内で実施した第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験及び長期投与試験の総症例216 例中、副作用(臨床検査値異常を含む)は174例(80.6%)に認められた。その主なものは、食欲減退91例(42.1%)、不眠症40例(18.5%)、体重減少26例(12.0%)、頭痛18例(8.3%)、腹痛12例(5.6%)、悪心12例(5.6%)、チック11例(5.1%)、発熱11例(5.1%)であった。<成人AD/HD 承認時>成人AD/HD 患者を対象として国内で実施した第Ⅲ相試験及び長期投与試験の総症例 272 例中、副作用(臨床検査値異常を含む)は209 例(76.8%)に認められた。その主なものは、食欲減退108例(39.7%)、動悸 59 例(21.7%)、体重減少 54 例(19.9%)、不眠症49 例(18.0%)、悪心 45 例(16.5%)、口渇 40 例(14.7%)、頭痛 29 例(10.7%)であった。<小児AD/HD 再審査終了時>AD/HD患児を対象とした特定使用成績調査における副作用(臨床検査値異常を含む)は、1385例中529例(38.2%)に認められた。その主なものは、食欲減退386例(27.9%)、不眠症69例(5.0%)、体重減少69例(5.0%)、チック47例(3.4%)、睡眠障害42例(3.0%)、頭痛37例(2.7%)、腹痛25例(1.8%)、悪心23例(1.7%)であった。

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、投与する場合には注意すること。[高齢者を対象とした試験は実施されていない。]

症状に応じた適切な支持療法を行うこと。自傷行為及び過刺激症状を悪化させる外部刺激を排除するように留意すること。必要に応じて胃洗浄によって胃内容物を除去する、又は活性炭や下剤の投与を行うこと。激越や発作がある場合には、胃洗浄の前にコントロールを行い、気道を確保すること。十分な血液循環及び呼吸を維持するために集中治療を行うこと。高熱に対しては物理的な解熱処置をとること。過量投与に対する腹膜透析又は血液透析の有効性は確立していない。過量投与患者の治療に際しては、メチルフェニデートが長時間かけて放出されることを考慮すべきである。

1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[動物実験(ウ   サギ)において、最大推奨用量の約100倍に相当する200mg/kg/日の投与により催奇形  性が報告されている。]2)授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。[ヒトでメチルフェニデートが、乳汁中  に移行するとの報告がある。]

1)PTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部  が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報  告されている。]2)本剤は徐放性製剤であるため、噛んだり、割ったり、砕いたり、溶解したりせず、必ず飲み物と一  緒にそのまま服用するよう指導すること。3)本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する  必要はないことを説明すること。

1)因果関係は確立していないが、メチルフェニデート塩酸塩製剤とクロニジンとの併用により、突然 死が報告されている。2)メチルフェニデート塩酸塩の長期発癌性試験の結果、F344/Nラットを用いた試験では癌原性 は認められなかった。B6C3F1マウスを用いた試験では、雌雄両性で肝細胞腺腫の増加、約  60mg/kg/日投与群の雄で肝芽腫の発現がみられている。3)メチルフェニデート塩酸塩は、Salmonella typhimuriumを用いたAmes試験では突然変異誘 発性は認められなかった。チャイニーズハムスターの培養卵細胞を用いた試験では姉妹染色 分体変換と染色体異常の増加がみられ、弱い染色体異常誘発性が認められている。

1)低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。[6歳未満 の患者を対象とした試験は、実施されていない。]2)長期投与時に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。[「重要な基本的注意」の項 参照]

主として中枢神経系の過刺激及び過度の交感神経作用に起因する以下の徴候及び症状があらわれることがある。 嘔吐、激越、振戦、反射亢進、筋攣縮、痙攣(昏睡を続発することがある)、多幸感、錯乱、幻覚、せん妄、発汗、潮紅、頭痛、高熱、頻脈、動悸、不整脈、高血圧、散瞳、粘膜乾燥

本剤が消化管内に滞留した可能性がある場合には、腹部デジタルX線において可視化できるので、必要に応じて滞留の有無を確認すること。

本剤の投与が、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行われるとともに、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

(1)剥脱性皮膚炎(0.1%):広範囲の皮膚の潮紅、浸潤、強いそう痒等の症状があらわれた場合  には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(2)狭心症(頻度不明):症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(3)悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):発熱、高度の筋硬直、CK(CPK)上昇等があらわ  れることがあるので、このような場合には体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。(4)脳血管障害(血管炎、脳梗塞、脳出血、脳卒中)(頻度不明):症状があらわれた場合には投与  を中止し、適切な処置を行うこと。

1)本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者(小児の場合には患者及び保護者又は それに代わる適切な者)に対して、本剤の治療上の位置づけ、依存性等を含む本剤のリスクにつ いて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用法について指導すること。2)小児に中枢神経刺激剤を長期投与した場合に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。 本剤の投与が長期にわたる場合には患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくない 時は投与を中断すること。[「小児等への投与」の項参照]また、成人においても体重減少が報 告されているので、観察を十分に行い、体重減少が著しい場合には投与を中断するなど、適切 な処置を行うこと。3)本剤を長期間投与する場合には、個々の患者に対して定期的に休薬期間を設定して有用性の 再評価を実施すること。また、定期的に血液学的検査を行うことが望ましい。4)患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤では ないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者に対して本剤の投与を検討す る場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。5)心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与期間中は、定期的に心拍数(脈拍数)及び 血圧を測定すること。6)まれに視覚障害の症状(調節障害、霧視)が報告されている。視覚障害が認められた場合には、 眼の検査を実施し、必要に応じて投与を中断又は中止すること。7)めまい、眠気、視覚障害等が発現するおそれがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転 等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。8)攻撃性はAD/HDにおいてしばしば観察されるが、本剤の投与中にも攻撃性の発現や悪化が報 告されている。投与中は、攻撃的行動の発現又は悪化について観察すること。9)通常量の本剤を服用していた精神病性障害や躁病の既往がない患者において、幻覚等の精神 病性又は躁病の症状が報告されている。このような症状の発現を認めたら、本剤との関連の可 能性を考慮すること。投与中止が適切な場合もある。

※※2013年12月改訂(下線部分)(第5版) ※2013年6月改訂(第4版)

1%以上 頻度不明感染症

1%未満

血液障害

免疫系障害

代謝障害  食欲減退(31.2%)精神障害 不眠症、チック、睡

眠障害

神経系障害 頭痛、浮動性めまい

眼障害

耳障害心臓障害

血管障害呼吸器障害

胃腸障害 悪心、腹痛、口渇、嘔吐、下痢

皮膚障害

筋骨格系障害

泌尿器系障害

全身障害

臨床検査 体重減少

発熱、倦怠感

傷害、中毒

鼻咽頭炎、胃腸炎、鼻炎、ヘルペスウイルス感染、インフルエンザ、麦粒腫、中耳炎、咽頭炎

不安、抑うつ気分、攻撃性、激越、うつ病、抜毛、幻聴、気分変動、過覚醒、感情不安定、精神病性障害、妄想、神経過敏、落ち着きのなさ、緊張、怒り、無感情、歯ぎしり、幻視、リビドー減退、多弁、気分動揺

上気道感染、副鼻腔炎

白血球減少症、汎血球減少症、血小板減少性紫斑病アナフィラキシー反応、過敏症反応、耳介腫脹、水疱形成、表皮剥脱

涙ぐむ、錯乱状態、失見当識、幻覚、躁病、パニック発作

振戦、鎮静、傾眠、体位性めまい、ジスキネジー、痙攣、自律神経失調、錯感覚、緊張性頭痛

精神運動亢進、大発作痙攣、嗜眠

ドライアイ、アレルギー性結膜炎、結膜充血、近視、眼そう痒症

霧視、複視、散瞳、視覚障害

呼吸困難、上気道の炎症、喘息、咳嗽、アレルギー性鼻炎、鼻漏、咽頭紅斑

咽喉頭疼痛

腹部不快感、口内乾燥、口内炎、便秘、上腹部痛、消化不良、腹部膨満、異常便、歯肉腫脹発疹、蕁麻疹、湿疹、脱毛症、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、多汗症、そう痒症、接触性皮膚炎

斑状皮疹、紅斑

筋緊張、関節痛、筋痙縮、筋痛、四肢痛

筋攣縮

易刺激性、胸部不快感、無力症、悪寒、疲労、胸痛

足骨折、手骨折

異常高熱

血圧上昇、拡張期血圧上昇、脈拍異常、QT延長、異常Q波、白血球数減少、好中球数減少、好酸球数増加、血中アミラーゼ増加、CK(CPK)増加、ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、肝機能異常、血中ビリルビン増加、トリグリセリド増加、血糖増加、血中尿素増加、血中尿酸増加、蛋白尿、尿中ケトン体陽性、尿潜血

心雑音、ALP増加、肝酵素上昇、血小板数減少、白血球数異常

頻尿生殖系障害 精巣上体炎、陰茎癒着、勃起不全

徐脈、上室性期外収縮 期外収縮、上室性頻脈、心室性期外収縮

ほてり、高血圧、血圧変動 レイノー現象

難聴、耳痛、回転性めまい動悸、頻脈

季節性アレルギー

体重増加不良、食欲亢進

血小板減少症

 

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販売名 コンサータ錠 27mg成分・含量(1錠中) メチルフェニデート塩酸塩 18mg含有 メチルフェニデート塩酸塩 27mg含有

添加物

色・剤形 黄色の錠剤 灰色の錠剤

外形長さ:12mm 直径:5.3mm 長さ:12.2mm 直径:5.3mm

識別記号 alza 18

コンサータ錠 18mg

alza 27

ポリエチレンオキシド200K、ポリエチレンオキシド 7000K、酢酸セルロース、ヒプロメロース、塩化ナトリウム、ポビドン、乳糖水和物、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、酸化チタン、コハク酸、トリアセチン、黄色三二酸化鉄、ステアリン酸、マクロゴール 400、黒酸化鉄、ジブチルヒドロキシトルエン、三二酸化鉄注)、リン酸、カルナウバロウ

販 売 名

日本標準商品分類番号

使 用 期 限 ※※効能追加

一  般  名

洋 名

和 名 承 認 番 号

承 認 年 月薬価収載年月販売開始年月再審査期間※再審査結果

コンサータ®錠27mgコンサータ®錠18mg

錠27mg:21900AMX01771000錠18mg:21900AMX01770000

Concerta ® Tablets

Methylphenidate Hydrochloride(JAN),Methylphenidate(INN)871179

2年(包装に表示の使用期限内に  使用すること)

2013年12月

2007年12月4年(満了年月:2011年10月)2013年6月

2007年12月メチルフェニデート塩酸塩(JAN)2007年10月

国際誕生年月 2000年8月

貯 法 室温保存

販 売 名

日本標準商品分類番号使 用 期 限

※※効能追加

一  般  名

洋 名

和 名

承 認 番 号

承 認 年 月薬価収載年月販売開始年月

再審査期間

コンサータ®錠27mgコンサータ®錠18mg

錠27mg:21900AMX01771000錠18mg:21900AMX01770000

Concerta® Tablets

Methylphenidate Hydrochloride(JAN),Methylphenidate(INN)8711792年(包装に表示)

2013年12月

2007年12月

成人期:4年(満了年月:2017年12月)

2007年12月

メチルフェニデート塩酸塩(JAN)

2007年10月

国際誕生年月 2000年8月

貯 法 室温保存

小児期:4年(満了年月:2011年10月)

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MEMO

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CON-0022CON.Gi011.2_12011 年 10 月

©Janssen Pharmaceutical K.K. 2011

中枢神経刺激剤 劇薬、向精神薬、処方せん医薬品

※対象:成人期の注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

平成25年12月~平成26年6月

〈製品情報お問い合わせ先〉

ヤンセンファーマ株式会社メディカルインフォメーションセンター 〒101-0065 東京都千代田区西神田3‐5‐2フリーダイヤル 0120‐23‐6299 FAX 03‐4411‐5031受付時間 9:00~17:40(土・日・祝日・会社休日を除く)ヤンセンファーマ ホームページ:http://www.janssen.co.jp

〈登録医師・医療機関の確認等〉

コンサータ®錠適正流通管理委員会 コールセンター

受付時間 (月~金)9:00~17:40 (土)9:00~16:00 (日・祝日)休

フリーダイヤル 0120-66-0250

監修(敬称略)  島田 光明 (日本薬剤師会)

飯田 順三  (奈良県立医科大学 看護学科)

市川 宏伸  (東京都立小児総合医療センター)

尾崎 紀夫  (名古屋大学医学部 精神科)

齊藤 万比古 (総合母子保健センター愛育病院  小児精神保健科)

齊藤 卓弥  (日本医科大学 精神神経科)

田中 康雄  (こころとそだちのクリニック むすびめ)

丹羽 真一  (福島県立医科大学 心身医療科)

樋口 輝彦  (国立精神・神経医療研究センター)

松本 英夫  (東海大学医学部 精神科)

宮島 祐   (東京医科大学 小児科)

山下 裕史朗 (久留米大学 小児科)

CON-0199CON.Gi080.3_12013年12月改訂