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2年 現代文B
『山月記』❶ 中島敦
現代文の準備
2
教科書
本文プリント
5
/7
配布予定
国語辞典
ノート
ワークブック
では、スタート!
目標の確認
3
小説の読み方を知る。
論理的思考力
登場人物の心情を論理
的に読み取り説明する。
情報分析活用力
小説を読んで自分の考
えを広げたり深めたり
する。垣根を越える力
今日はここ。
教科書に段落番号を
本文プリントは6枚あり
ます。ノートの上頁は
あけておくこと。
(1)①~②
(2)③~⑥
(3)⑥続き~⑧
(4)⑨~⑬
*今回、漢詩には番号をつけません
(5)⑭
(6)⑮~㉑
本日の学習活動
一緒にやりましょう
時間をかけて、
音読するつもりで
読む。
※
たいへん読みづらいので、
教科書を使うことを
おすすめします。
5
(1)①段落
音読
①隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南
尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところすこぶる厚く、賤吏に甘んずる
を潔しとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山、虢略に帰臥し、
人と交わりを絶って、ひたすら詩作にふけった。下吏となって長く膝を俗悪な
大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。
しかし、文名は容易に揚がらず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴はようや
く焦躁にかられてきた。この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼
光のみいたずらに炯々として、かつて進士に登第した頃の豊頰の美少年のおも
かげは、どこに求めようもない。数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のため
についに節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。
一方、これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。かつての同輩は既には
るか高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を
拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心をいかに傷つけたかは、想像
に難くない。彼は怏々として楽しまず、狂悖の性はいよいよ抑え難くなった。
一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、ついに発狂した。ある夜
半、急に顔色を変えて寝床から起き上がると、何かわけのわからぬことを叫び
つつそのまま下に飛び下りて、闇の中へ駆け出した。彼は二度と戻って来な
かった。付近の山野を捜索しても、なんの手がかりもない。その後李徴がどう
なったかを知る者は、誰もなかった。
6
はい、たいへんでしたね。
もう一回、音読する
つもりで読んだら次へ。
本日の作業
段落ごとに簡単にまとめる。
本文頁に合わせて
ノートの下段へ
(1)①②
(2)③④⑤⑥
…
まず①段落について
一緒に考えていこう。
7
シンプルに読む
主語+述語レベルで。
状況・行動を中心にする。
間違いをおそれずに
ノートに書く。
あとで直せるように
一~二行おきに書くこと。
消しゴム禁止!
①段落のまとめを
自分で書いてから次へ。
まとめろ1
主語に注目
①隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を
虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、
自ら恃むところすこぶる厚く、賤吏に甘んずるを潔し
としなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山、
虢略に帰臥し、人と交わりを絶って、ひたすら詩作に
ふけった。下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈
するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとし
たのである。しかし、文名は容易に揚がらず、生活は
日を逐うて苦しくなる。李徴はようやく焦躁にかられ
てきた。この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨
秀で、眼光のみいたずらに炯々として、かつて進士に
登第した頃の豊頰の美少年のおもかげは、どこに求め
ようもない。数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食の
ためについに節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏
の職を奉ずることになった。一方、これは、己の詩業
に半ば絶望したためでもある。かつての同輩は既には
るか高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけな
かったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年
の儁才李徴の自尊心をいかに傷つけたかは、想像に難
くない。彼は怏々として楽しまず、狂悖の性はいよい
よ抑え難くなった。一年の後、公用で旅に出、汝水の
ほとりに宿った時、ついに発狂した。ある夜半、急に
顔色を変えて寝床から起き上がると、何かわけのわか
らぬことを叫びつつそのまま下に飛び下りて、闇の中
へ駆け出した。彼は二度と戻って来なかった。付近の
山野を捜索しても、なんの手がかりもない。その後李
徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。
各文の主語に印をつけてみたら一目瞭然。最後の一文も「李徴」に関するものですね。次は、「李徴はどうしたの?」と問いかければOK。ここで最後の一文が利用できそう。
まとめろ2
行動に注目
①隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を
虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、
自ら恃むところすこぶる厚く、賤吏に甘んずるを潔し
としなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山、
虢略に帰臥し、人と交わりを絶って、ひたすら詩作に
ふけった。下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈
するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとし
たのである。しかし、文名は容易に揚がらず、生活は
日を逐うて苦しくなる。李徴はようやく焦躁にかられ
てきた。この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨
秀で、眼光のみいたずらに炯々として、かつて進士に
登第した頃の豊頰の美少年のおもかげは、どこに求め
ようもない。数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食の
ためについに節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏
の職を奉ずることになった。一方、これは、己の詩業
に半ば絶望したためでもある。かつての同輩は既には
るか高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけな
かったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年
の儁才李徴の自尊心をいかに傷つけたかは、想像に難
くない。彼は怏々として楽しまず、狂悖の性はいよい
よ抑え難くなった。一年の後、公用で旅に出、汝水の
ほとりに宿った時、ついに発狂した。ある夜半、急に
顔色を変えて寝床から起き上がると、何かわけのわか
らぬことを叫びつつそのまま下に飛び下りて、闇の中
へ駆け出した。彼は二度と戻って来なかった。付近の
山野を捜索しても、なんの手がかりもない。
その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。
=李徴は行方不明になった。
答え合わせ
ノート(1)
①李徴は
心のバランスを崩して
行方不明になった。
1
主語の確認
たくさん使われるのが
たぶん重要人物。
2
重要人物の行動を確認
本文の表現を現在使う言葉に言い換えておきました
②段落
まとめろ1
主語に注目
②翌年、監察御史、陳郡の袁傪という者、勅命を奉じ
て嶺南に使いし、途に商於の地に宿った。次の朝いま
だ暗いうちに出発しようとしたところ、駅吏が言うこ
とに、これから先の道に人食い虎が出るゆえ、旅人は
白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、
いま少し待たれたがよろしいでしょうと。袁傪は、し
かし、供回りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉をしりぞ
けて、出発した。残月の光を頼りに林中の草地を通っ
ていった時、はたして一匹の猛虎が叢の中から躍り出
た。虎は、あわや袁傪に躍りかかるかと見えたが、た
ちまち身を翻して、もとの叢に隠れた。叢の中から人
間の声で「危ないところだった」と繰り返しつぶやく
のが聞こえた。その声に袁傪は聞き覚えがあった。驚
懼の中にも、彼はとっさに思いあたって、叫んだ。
「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁傪は李
徴と同年に進士の第に登り、友人の少なかった李徴に
とっては、最も親しい友であった。温和な袁傪の性格
が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。
②段落
まとめろ2
行動に注目
②翌年、監察御史、陳郡の袁傪という者、勅命を奉じ
て嶺南に使いし、途に商於の地に宿った。次の朝いま
だ暗いうちに出発しようとしたところ、駅吏が言うこ
とに、これから先の道に人食い虎が出るゆえ、旅人は
白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、
いま少し待たれたがよろしいでしょうと。袁傪は、し
かし、供回りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉をしりぞ
けて、出発した。残月の光を頼りに林中の草地を通っ
ていった時、はたして一匹の猛虎が叢の中から躍り出
た。虎は、あわや袁傪に躍りかかるかと見えたが、た
ちまち身を翻して、もとの叢に隠れた。叢の中から人
間の声で「危ないところだった」と繰り返しつぶやく
のが聞こえた。その声に袁傪は聞き覚えがあった。驚
懼の中にも、彼はとっさに思いあたって、叫んだ。
「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁傪は李
徴と同年に進士の第に登り、友人の少なかった李徴に
とっては、最も親しい友であった。温和な袁傪の性格
が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。
袁傪の
答え合わせ
ノート(1)
②袁傪は虎に出会った。
②袁傪は人食い虎の声が
李徴のものだと気づいた。
1
主語の確認
たくさん使われるのが
たぶん重要人物。
2
重要人物の行動を確認 袁傪・虎の二つのKWがはいっていれば
OKです
本日の作業つづけて
(2)③④⑤
(3)⑥⑦⑧
(4)⑨⑩⑪⑫⑬
(5)⑭
(6)⑮⑯⑰⑱⑲⑳㉑
間違いをおそれず
一行おきに書いていく!
まとめ例
ノート(2)(3)
③虎は李徴だった。
④虎は袁傪と話がしたいと言った。
⑤袁傪は李徴の話を聞くことにした。
⑥李徴はある日虎になった。
⑦袁傪は聞き入った。
⑧李徴は袁傪に詩の伝録を依頼した。
まとめ例
ノート(4)(5)
⑨袁傪は李徴の詩には何かが欠けていると
感じた。
⑩李徴の声が自嘲的になった。
⑪李徴は今も詩人になる夢を見る。
⑫袁傪は李徴の詩を書き取った。
⑬人々は李徴の話に聞き入った。
⑭李徴は自分が虎になる理由を分析した。
まとめ例
ノート(6)
⑮時間がたった。
⑯李徴が袁傪に二つ目の依頼をした。
⑰李徴の声は泣いていた。
⑱虎は反省した。
⑲虎は自分の姿を見せると言った。
⑳袁傪は別れを告げた。
㉑虎は姿を見せ、消えた。
どうでしたか?
はじめは漢字が多く
読みづらかったはずなのに
段落ごとに主要登場人物を
定めて行動を追っていけば
小説のストーリーはたぶん
わかったと思います。
主語を意識することは
重要ですね。
19
どうでしたか?
でも、
「誰がどうした」が
わかったからと言って、
それが小説のおもしろさでは
ない、ということも
わかったのでは。
小説を読む上でだいじなのは
状況や行動よりも、
あれですね。
20
どうでしたか?
ということで、
次回からノート一頁ずつ
読み解いていきましょう。
おっとその前に。
語彙力は自分でつける、
がこの授業の約束でした。
一分後に小テストします。
今日の範囲はこの小説の
題名と作者。漢字で!
21
小テスト準備して
小説の題名(出典)は?
作家の名前は?
必ずどこかに書いて!!
22
小テストこたえ
小説の題名(出典)は?
山月記
作家の名前は?
中島敦
昨年朝読プリントで
「弟子」を紹介しました。 23
現代文の復習
❶音読するつもりで本文を
読み、読みづらい字を発見
したら、語句プリントに
書き、意味調べをする。
❷授業や演習ワークで取り
組んだ問題について解き方
と答えの形を確認する。 24