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は じ め に

 2012 年 6 月 15 日に『死因究明等の推進に関する法律』が成立しました。この法律の目的は、「死因究明」および「身元確認」の実施体制の充実・強化を推進していくことにあります。従来の「死体の検案および解剖」に加えて、第 6 条に『死亡時画像診断』という文言が記載されました。この『死亡時画像診断』がオートプシー・イメージング(Autopsy imaging:Ai)です。CT や MRI などの画像診断装置を用いて、死亡の原因を診断することが公的に認められたのです。 これまで死亡原因は『解剖』によって特定されてきましたが、解剖の実施率はきわめて低くとどまっています。また、解剖では遺体を傷つけることが避けられないため、遺族にとってはつらい選択となります。しかし、死因が不明だと犯罪や事故の真相が見逃されたり、保険金を受け取る遺族に不利益が生じたりすることがあるのです。 『死因究明等の推進に関する法律』は 2 年間の時限法で、あと 1 年で死因究明の仕組みを確立しなければなりません。同時に成立した『警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律』には、Ai を「警察署長が実施する」と明記され、Ai は動き出しています。 Ai が普及する上で最大の問題点は費用です。Ai には健康保険が適応されないため、病院や遺族がその費用を負担していることが多く、Ai 学会、日本医師会をはじめとする関連学会が国の予算計上を求めています。

【目 次】 2………〈まえがき〉愛する人の死を納得するために 3………98%が死因不明の日本 5………死因解明の現状 7………Ai ってどうやるの? 9………救急や在宅医療の現場では 11………ケーススタディに見るAi が有効な事例

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〈 ま え が き 〉

愛する人の死を納得するために Ai は自宅などで急変し、救急搬送された場合にもっとも行われています。病院に搬送されても、病歴がわからないことが多いため、医師は異状死として警察へ届け出る必要があります。警察官は検視(=犯罪性の有無を判断するために現場や死体の状況を調査)を、医師は検案(=犯罪性にかかわらず死因を医学的に判断)を行います。外から見て死因がわかることはほとんどない場合が多く、Ai を行えば、CT など画像診断装置を使い体内の情報を得ることができるため有用なのです。 警察が病院に依頼して撮影した約 1,800 件(2007、08 年度) のうち、数例の犯罪が見つけられています。また、体の表面はすり傷のみでしたが、CT で肝臓が割れていることがわかり、工事機械による事故と判明するなど、外傷死の 8 割以上で致命傷を、病死の 3 割前後で致死的な出血(脳出血、くも膜下出血、大動脈解離、大動脈瘤破裂)を見つけることができるのです。 愛する人を失った遺族、そして医療従事者にとって、その死を認めて “ 納得 ” するための情報を得るために Ai は有効です。医療機関で死亡した場合、遺族は行われた医療行為が間違っていなかったのか、自分たちの介護に落ち度がなかったのかということが常に問題になります。カルテの記載などは医師の主観が入り、すべての事柄が記載されているわけではありません。死亡した時点の情報をもっとも客観的に提示できるのが Ai なのです。そして、遺族が納得するためには Ai の実施をその医療施設以外の第三者機関で行うことで、透明性の高い監査が実現します。ご遺体を荼毘に付す前に・・・。

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死因は意外とわかってない!? 日本の年間死亡者数は 2012 年では約 125 万人、年間に人口の 1%が亡くなっている割合ですが、そのうち約 17 万人が死因不明いわゆる異状死(=明らかな病死、自然死以外の不自然死)として処理されています。死因が不明だと、犯罪や事故が見逃されたり、保険金を受取る遺族に不利益が生じたりします。 現在日本では、解剖により死因を究明する法医学の専門家は約170 人と非常に少なく、異状死の解剖率は 11.2%と他の先進国と比べ非常に少ないのが現状です。この解剖率を 20%まで引き上げることが提言されていますが、人材の育成や施設整備には長い時間がかかります。 一方で日本は画像診断機器の普及率が非常に高く、世界中の CT装置の 3 分の 1 にあたる約 1 万台が稼働しています。そこで、これら CT や MRI などの画像診断機器を用いて死因究明を行う Ai が今非常に注目を集めています。

98%が死因不明の日本

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Aiって何?死因に疑問を残したくない~死亡時画像診断のすゝめ

監察医制度 監察医とは、死体解剖保存法第 8 条の規定に基づき、行政解剖を行う医師のことです。そして、監察医により死因不明の死体を検案または解剖して死因を明らかにし、公衆衛生の向上等に資することを目的とした制度を監察医制度といいます。そして、日本において監察医制度を行っているのは、東京 23 区内、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市の 5 都市だけなのです。 監察医制度のない地域では、確実に犯罪だと外表所見で分かる場合は司法解剖が行われます。一方、体表から見ても犯罪性があるかどうか分からない例に対しては、一応遺族の承諾を得て行われる行政解剖の制度がありますが、県の予算は少なく、あまり実施できていません。そのため、犯罪、事故などによる死因が数多く見落とされてしまっている可能性があるのです。これが監察医制度の現状といえます。

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伸びない解剖率解剖には大きく分けて下記のとおり 3 つあります。①司法解剖:犯罪性が疑われる死体の死因を調べるもの②行政解剖:犯罪性がなく死因の判明しない異状死体を調べるもの③ 病理解剖:病気で亡くなった方を対象にして、臨床診断の妥当性

や治療の効果の判定、直接死因を調べるもの 「司法解剖」「行政解剖」の大部分は東京 23 区をはじめとする 5 つの大都市で施行されており、「病理解剖」は大病院や大学病院で行われています。では、実際にどのくらいの数の解剖が行われているのでしょうか? 表 1は警察における死体取扱総数、解剖数および解剖率です。これによると解剖は全体の 11%であることがわかります。次に表 2 をみてみましょう。表 2は監察医地域における「司法解剖」と「行政解剖」の検案数、解剖数および解剖率です。これによると全国平均では、監察医が扱う死体の約 30%が解剖されていることになります。 では監察医制度をもたない地域ではどうでしょうか? 表 3は非監察医制度地域での推定解剖数です。これを見ると非監察医制度地域での推定解剖数は約 8%であり、やはり監察医制度をもつ地域より低いことがわかります。 原因は予算・設備・人員の不足などさまざまであり、残念ながら近日中に解決できる問題ではありません。

死因解明の現状

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Aiって何?死因に疑問を残したくない~死亡時画像診断のすゝめ

表 1 警察における死体取扱総数、解剖数および解剖率(平成 23年)

死体取扱総数 解剖数 解剖率(%)

全  国 173,735 19,176 11

表 2 監察医地域の検案数、解剖数および解剖率(平成 23年)

都 市 名 検案数 解剖数 解剖率(%)

東京23区 13,937 2,624 18.8

横 浜 市 3,321 1,756 52.9

大 阪 市 4,825 1,287 26.7

名古屋市 6 6 100

神 戸 市 1,668 1,094 65.6

合 計 23,757 6,767 28.5

表 3 表 1および表 2から推定した非監察医地域の検案数、解剖数および解剖率

総数(表 1) - 検案数(表 2)

解剖数(表 1) - 解剖数(表 2) 解剖率(%)

非監察医地域 149,978 12,409 8.3

【出典】伊藤憲佐 : 地域医療でのメリット . 映像情報メディカル 45(4): Suppl9, 2013

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Ai のメリット Ai は、CT 撮影(一部 MRI 装置を用いることもある)と読影の 2つから成っています。病院で使われている CT 装置と同様の機能をもつ装置でご遺体を撮像し、得られた CT 画像をトレーニングされた医師が読影します。 院内で死亡した症例に対しては、すでに半数以上の病院で Ai が実施されています。また、Ai 情報センターのように、院外で死亡した症例について Ai を受け入れる機関も近年増加しています。一般病院でも外部の Ai を受け入れる施設が増えており、あらかじめ警察などの公的機関との実施協力契約を結び、実際に CT 撮影が必要な事案が発生した場合に対応しています。Ai の読影には、死後変化などに習熟した放射線科医が当たる必要があります。それらの医師がいない施設で行われた Ai に関しては、読影を専門に行う第三者機関である Ai 情報センターなどが、インターネットを利用した遠隔読影を行っています。

CT の特性から見る Ai のメリット Ai のメリットは、CT がもつメリットと撮像・読影結果がもたらすメリットに大別されます。CT の特性として次の 4 点が挙げられます。  ①迅速・非破壊性  ②データの再現性・客観性・真正性  ③ CT 撮像装置が広く普及

Ai ってどうやるの?

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Aiって何?死因に疑問を残したくない~死亡時画像診断のすゝめ

  ④データの伝送が可能1迅速・非破壊性 Ai は、ほとんどの遺族(特に費用負担がない場合)に受け入れ可能です。たとえば、遺族が死因究明に熱心となりにくい超高齢者の外来 CPA(心臓と呼吸が止まった状態)の場合であっても、拒否されることはほとんどありません。また解剖と違い、ご遺体を傷つけることもないため、ご遺族の心情を害することなく実施でき、数分以内(15 ~ 25 分)には死因究明の結果を知ることができます。悲嘆にくれるご遺族にとっては非常に大きなメリットになります。2データの再現性・客観性・真正性 Ai 画像は、多くの施設で電子カルテと同レベルの真正性を有しています。真正性とは、『正当な権限において作成された記録に対し、虚偽入力、書き換え、消去及び混同が防止されており、かつ、第三者から見て作成の責任の所在が明確である』というものです。※厚生労働省による「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」より

3CT 撮像装置が広く普及 日本は、先進諸国の中でも群を抜いて CT 撮像装置の普及率を誇っています。“ その気になれば ” 国内どこで発生した場合であっても 1~ 2 時間以外に Ai の施行が可能な施設に搬送できます。4伝送可能 Ai 画像は、必要時にはデータを伝送し専門家に読影を依頼することができ、より正確な死因究明に繋がります。

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救急医と遺族をつなぐ 心肺停止で病院搬送されて蘇生中に死因を判断できないまま死亡確認となった場合、監察医制度のない多くの地域では、警察により犯罪性がないと判断されれば担当医が検案を行います。しかし、体表所見のみから死亡原因を決定するのは容易ではありません。検案を行った担当医が気付かなかった原因はなかったのでしょうか、わずかでも救命の可能性はなかったのでしょうか。 Ai は担当医そして遺族にとって、診断、診療行為の適応や妥当性、効果を認識できる有効な方法になります。「何か前兆があったのだろうか。気が付いていれば救えたかもしれない。あと 5 分早く見つけていたら結果が違ったかもしれない」。遺族はそんな思いで溢れているはずです。つまり、Ai は救急医と患者の家族をつなぐための重要なツールといえるでしょう。 救命の可能性を探る医師としてのプロフェッショナリズムから、半ばアンダーグラウンドで行われてきた Ai は今や市民権を得つつあります。これからも日本の救急医療に Ai は必須のシステムになっていくでしょう。

在宅医療での Ai の有効性と課題 現在、死亡する場所はほとんどが病院ですが、国民の 60%以上が自宅での療養を望んでいます。このような状況に応え、厚生労働省

救急や在宅医療の現場では

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Aiって何?死因に疑問を残したくない~死亡時画像診断のすゝめ

は「在宅医療・介護あんしん 2012」を提唱し、在宅医療・介護を推進しています。そこで今後、在宅での死亡の割合が増加することが予想されます。 在宅での死亡のうち、突然死は検視・検案の必要がありますが、在宅診療中に亡くなった場合のほとんどが診療中の疾病による(予期できている)死亡のため、検視・検案は行われていません。しかし、在宅診療においても、死因究明や死亡の経緯について理解することの重要性は変わりません。在宅で亡くなった方の Ai は医学的な経過を解明し、病理解剖が必要な場合も、遺族の精神的不安・負担を軽減する役割を果たすでしょう。 一方、在宅診療において Ai を施行する場合、もっとも懸念されるのは費用の拠出です。院外からの持ち込みによる Ai 費用をはじめ、遺体の搬送や保管費用などが発生する場合があります。今、在宅医療での Ai を通じて、死を迎える人に施されるケアの質の向上が求められています。

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Ai が受け入れられる背景 Ai は体を傷つけず、検査自体も 30 分足らずで終了します。Ai は解剖と異なり、遺族にとって受け入れやすい検査であり、質の高い死因究明を行うことができる手段です。次章では、Ai が必要だと思われる事例を紹介しましょう。

事例1 自宅で入浴していた妻が亡くなっていた

35 歳女性。てんかんの既往があり、内服治療を行っていた。風呂に入ったところを夫が目撃したが、出てこないため様子を見に行くと湯船に顔まで沈んでいた。

 いわゆる「風呂溺」というもので、入浴の習慣がある日本では多い事例です。浴室が寒く病気発作(心筋梗塞、脳内出血など)が起こりやすい冬に多く発生しています。ここで問題なのは、病気発作以外で溺死するような事情があると、病死・自然死ではなく、不慮の外因死の溺水となり死亡の種類が変わってくることです。これは保険に関係してきますので、どのような状態で死亡したのか Ai で調べておく必要があるでしょう。

ケーススタディに見るAi が有効な事例

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Aiって何?死因に疑問を残したくない~死亡時画像診断のすゝめ

事例2 酔っ払って帰ってきた主人が朝、亡くなっていた

64 歳男性。深夜酔って路上で転倒、頭部を打ったらしい。翌日起きてこないので妻が確認、応答なし。搬送先の病院で CT撮影、「脳出血」と診断。その後死亡。Ai 情報センターの複数鑑定により、外傷による硬膜下、硬膜外出血の可能性が高いと判断された。

 このようなケースは、事件性の有無がまず問題になってしまいます。酔っ払ってどこかにぶつけたことが外因性の原因で死亡したのか、高血圧などの内因性の原因で死亡したのかで、保険金などの支払いが変わってくる可能性もあるからです。 また、明らかに死亡していると判断して救急搬送しなかった場合には、自宅に警察が来ると現場検証や検視が始まり、家族も場合によっては被疑者扱いされ、検視が済むまで何日か自宅に遺体が戻ってこない事態も考えられます。このような事態を避けるためにも、可能な限り Ai の実施可能な医療施設に救急車で搬送し、Ai による死因究明をすることが有効になります。

事例3 病院に入院中、もうすぐ退院のはずが急変して死亡

50 代男性。病院で患部の一部を切り取って調べる腎生検を行い、3 日後の明け方、看護師巡回中に急死しているのを発見。Ai により、腎生検による出血ではなく、動脈瘤破裂によるくも膜下出血が死因であると判明した。

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 手術後に急変した場合などは、医療行為が原因で死亡した可能性もあるため、Ai で何が起きたのかを調べることはもちろん重要ですが、治療した疾患以外で死亡する可能性も疑わなければなりません。このようなときには何が起きたのか主治医も実態がわからず、遺族にも説明できません。遺族からすれば、説明できないのは何か隠していること、やましいことがあるのではないかと疑ってしまうかもしれません。このようなときに Ai を実施しておけば、何が原因で死亡したかも判明し、遺族はその画像を使って説明を受けることができます。 また、終末期の患者には CT 等の検査が実施されません。最後にがんが進行して死亡したのか、肺炎を併発して死亡したのかなど、終末期患者の死因の詳細は Ai を実施しなければわからないケースが多いのです。

事例4 老人介護施設に入っていたが、急に具合が悪くなり亡くなった

 近年、介護施設などで看取られるケースも増加しています。常時家族がケアをしているわけではないため、施設でどのような介護が行われているのかわからないこともあります。また、近年老人虐待という問題も発生してきており、老人介護施設の質を保つためにも、Ai を実施することで、きちんとした介護を実施されていたのか確認することができます。

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Aiって何?死因に疑問を残したくない~死亡時画像診断のすゝめ

2013 年 7 月 22 日発行【監修】 山本正二

オートプシー・イメージング学会 理事長 一般財団法人 Ai 情報センター 代表理事

【発行】 産業開発機構株式会社 映像情報メディカル編集部 TEL:03-3861-7051  FAX:03-5687-7744 E-mail:[email protected] URL:http://www.eizojoho.co.jp/

※禁無断転載※ 本誌に掲載された著作物の複写権・転載権・翻訳権・公衆送信権は

発行元が保有します。

【Ai に関するお問い合わせ】一般財団法人Ai 情報センターTEL:03-6228-6990  FAX:03-6228-6991E-mail:[email protected]:http://www.autopsyimaging.com/

■参考文献 ・ 山本正二ほか : Ai って何?~オートプシー・イメージング普及への一里塚 . 映像情

報メディカル 45(4): Suppl, 2013

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