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MIM マイクロMIM 体 サイズ 100μm 10μm め、位維を 【広告特集】 2011年 平成23年 1月20日 木曜日

品 製 M 造 I M 西 藪 の 和 可 明 能 次世代技術極め、優位性 ......向上技術をベースに開発小型化を目的とした品質れまでMIMの高精度・

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  • 部品製造の可能性を広げる金属粉末射出成形(MIM)

     金属粉末射出成形

    MIM

    技術は、複雑な3次元形状の部品を効率的に生産できる

    特徴を生かし、素形材産業の中で一つの地位を築いてきた。その一方で、最近ではアジア諸国におけるMIM技術の進展

    も著しく、競争環境は厳しくなる傾向にある。ただ、国内のMIMメーカーには先進材料の応用や寸法精度などで一日の

    長があり、依然強みを有しているのも事実。アジアの新興メーカーに対する優位性を維持し、さらに技術を発展させるに

    はどうすべきか。近畿大学の西藪和明准教授

    理工学部機械工学科

    にMIM技術の高度化や新たな用途開拓の可能性を

    探ってもらった。

    マイクロヒートシンク

    ダイヤ

    モンド粒子添加ナノ銅粉製

    MIM高度化と新分野参入の可能性西藪和明近畿大学理工学部機械工学科准教授

    MIMの優位性

    国産の強み

    日本の情勢

    マイクロ化

    ナノに挑戦

    次世代マイクロMIMの構造体のサイズ

    1�

    100μm

    10μm

    次世代技術極め、優位性維持を

    ( ) 【広告特集】 2011年 平成23年 1月20日 木曜日   

     わが国は、長年にわた

    り培ってきた粉末冶金技

    術による焼結品質の高さ

    に加え、国産の高品質な

    金属微粉末がMIM向け

    に提供されてきた材料面

    での有利さがある。ま

    た、脱脂焼結炉や混練

    機、射出成形機などの国

    産設備および精密金型製

    造の優位性から、日本の

    MIMの製造技術は高い

    国際競争力を有してい

    る。

     これにより国内のMI

    Mメーカーは、高精度か

    つ信頼性および耐食性の

    高い製品を短納期で生産

    可能な体制を整え、顧客

    に対して高い満足と信頼

    性を提供している。これ

    は、各MIMメーカーが

    本業の

    金属熱処理、金

    属鋳造および樹脂成形な

    どの

    基盤技術を生かし

    た開発を積極的に行い、

    高付加価値のMIM製品

    を独自に開発するなど、

    技術面で高い国際競争力

    を有するためである。

     しかし、国産の材料や

    設備、金型などが諸外国

    でも国内と同様に調達可

    能になると、アジア諸国

    でのMIMの大幅な低コ

    スト量産化が容易に達成

    される。また、自動車は

    じめ電気・通信機器の製

    造の海外移転が増加して

    いる現状では、国内のM

    IM製造の情勢はさらに

    厳しさが増してくる。そ

    のため、国産のMIM製

    造の利点および技術力の

    優位性を発揮できる新し

    い分野への参入が求めら

    れる。

     近年のMIMの研究開

    発のうち、国産MIMの

    強みは、やはり

    先進材

    を用いたMIM技術

    およびその製品であろ

    う。磁性材料と非磁性材

    料を組み合わせた低コス

    トで高い磁性特性を有す

    る鉄系材料に加え、生体

    適合性に富むチタン合金

    や高温での耐久性に優れ

    たニッケル合金、高い熱

    伝導性を有する銅など非

    鉄金属に対する期待も大

    きい。

     また、高い絶縁性と放

    熱性を持つ高性能なポリ

    マーやセラミックスとの

    複合・高機能化技術は、

    先進材料の使用なしには

    達成できない。とりわ

    け、ナノ材料の開発は著

    しい発展を遂げており、

    これをMIMに応用する

    ことは有用である。

     MIMは、プラスチッ

    ク射出成形と金属粉末冶

    金を組み合わせた複合の

    製造技術であり、ダイカ

    ストやチクソモールディ

    ングに代表される金属塊

    を原料とする金属を溶融

    した射出成形とは異な

    る。これらの成形法は金

    型に金属材料を射出成形

    し、最終形状の製品を得

    るという点では類似して

    いるが、MIMは原料に

    金属微粉末を使用し、こ

    れを溶融させず、大量の

    バインダーを添加するこ

    とにより可塑性を持たせ

    て射出成形し、さらにそ

    の成形体を脱脂・焼結し

    て高精度な金属部品を得

    る技術である。

     それゆえ、MIM技術

    は「複雑な3次元形状を

    有する精密部品のネット

    シェイプによる量産化」

    および「加工が困難な材

    質およびテーラーメード

    合金による少量生産」を

    最も得意とする。精密機

    器、電気・通信機器、自

    動車や医療機器など幅広

    い分野で利用拡大が期待

    され、特に欧州において

    急成長が続いている。

     MIMのマイクロ化の

    必要性は、

    機械加工が

    困難な材質および形状を

    有する小型部品の量産化

    組み立ておよび接合が

    困難な小型部品の一体化

    によるコスト低減

    1バ

    ッチ当りの焼結可能な製

    品数の増量による生産性

    向上

    比表面積の増加お

    よび機能集積化による製

    品の高付加価値化―など

    にある。汎用のMIM

    は、数

    から数

    サイズの製品が大半を占

    め、機械加工が困難な材

    質や複雑な3次元形状を

    有する部品が多い。ま

    た、カムのような1

    程度のサイズの小型部品

    やマイクロ遊星歯車のよ

    うに複数個のMIM部品

    を組み合わせた製品も、

    精密金型の使用により製

    造可能である。

     MIMは射出成形後に

    脱脂・焼結を行うため、

    収縮が非常に大きく、精

    密機械加工と同等水準の

    寸法精度の保証は難しい

    とされていた。汎用MI

    Mの製品の寸法許容差は

    ほぼ1%から0・5%程

    度であるが、製品のサイ

    ズが小型化するほど寸法

    許容差を小さくすること

    が困難である。ただ、最

    近ではMIMの製品また

    は構造のサイズが小型化

    するにつれて、寸法精度

    も汎用MIM製品と同等

    の高品質を有する技術が

    確立されてきた。

     しかし、アジア諸国の

    MIMの小型化技術は進

    んでおり、従来の粒径の

    粉末を用い、汎用MIM

    と同等の金型、混練・射

    出成形・焼結などの設備

    を用いたMIMでは、国

    内製造の優位性を維持す

    ることは困難であろう。

     マイクロMIMは、こ

    れまでMIMの高精度・

    小型化を目的とした品質

    向上技術をベースに開発

    されてきた経緯がある。

    しかし、MIMにマイク

    ロシステム技術や微小電

    気機械システム

    MEM

    などの半導体製造工

    程を利用した超精密加工

    技術を利用し、その補完

    技術としての必要性か

    ら、マイクロMIMが欧

    州を中心に開発され、近

    年北米においても注目さ

    れ始めている。

     日本は、諸外国のマイ

    クロMIMを超えて開発

    してきた

    次世代マイク

    ロMIM

    技術を用いた

    製品を世界に先駆けて量

    産化すべきである。その

    一つは、ナノ粉末などの

    先進材料を、レジスト薄

    膜やナノインプリントに

    より作製した樹脂型に充

    填し、数

    サイズのマ

    イクロ構造体を有する3

    次元複雑形状部品製造法

    である。

     日本はアジアのMIM

    のリーダーとして、MI

    Mによるマイクロ高機能

    化プロセッシングの活用

    技術を高め、若い人材を

    育てる環境を作り、その

    文化と市場を開拓してい

    く必要がある。