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今こそ オムニチャネル 戦略の実践を - Accenture...デジタル、ソーシャル、モバイルの組み 合わせは、顧客が自ら学び、 購入を評価することで、企業と顧客の

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Strategy | Consulting | Digital | Technology | Operations

今こそオムニチャネル戦略の実践を

構想から実践へ

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今こそオムニチャネル戦略の実践を 構想から実践へ2

*ディシジョニングのテクニックを活用した場合のグローバル事例に基づく

今こそオムニチャネル戦略の実践を 構想から実践へ

アクセンチュアでは、「10:5アプローチ」を通じてインテリジェントでシームレスなオムニチャネル体験の提供を支援しています。

「ディシジョニング」のテクニックを用いて優れたオムニチャネル体験の基盤を構築するとともに、知見に基づく関連性の高いコミュニケーションを推進しています。まず10項目のKPIに焦点を当て、5社のパートナーから成るエコシステムにより、アップセル/クロスセルのパフォーマンスを向上させることでARPUの12~15%改善につなげています。

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デジタル、ソーシャル、モバイルの組み合 わ せ は 、顧 客 が 自 ら 学 び 、購入を評価することで、企業と顧客の関 係 に 大 きな 変 化 を もたらしました。結果オムニチャネル化が進み、現在顧客は1人ひとりのニーズにカスタマイズされたサービスを求めています。

今や顧客は大量の情報を手にし、さまざまな方法で企業とつながるようになっています。デジタルチャネルを起点とした購入も激増しました。つまり、今日の「常にアクティブ状態」な消費者は、複数のチャネ ル を 横 断 して 企 業 と 多 様 な 方 法 で コ ミュニケーションを行っているのです。

アクセンチュア・ストラテジーの「グローバル・コンシューマー・パルス・リサーチ」では、顧客の88%が購入プロセスの何らかの段階でデジタルチャネルを利用していることがわかりました1。また顧客の48%は、企業とのコミュニケーションでデジタルチャネルと物理チャネルを併用しており2、これらのチャネル間の行き来は1回のコミュニケーションにおいても見られます。

つまり、現在の顧客はまさにノンストップなのです。こうした中、企業が顧客行動の変化を上手く利用して、顧客満足度と収益の両方を向上させるにはどうすればよいのでしょうか。その最初のステップは、製品/サービスの提供元である企業に対して顧客が本当に求めていることを理解することです。

3

顧客の88%は、購入プロセスのどこかの段階でデジタルチャネルを利用

88%

顧客の48%は、企業とのコミュニケーションでデジタルチャネルと物理チャネルを併用

48%

アクセンチュアリサーチ2016

顧客との関係はオムニチャネル化でハイパー・パーソナルに

今こそオムニチャネル戦略の実践を 構想から実践へ

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顧客はシームレスな購入プロセスだけではなく、インテリジェントかつ有意義な体験も求めています。顧客からの期待がこのように高まった背景には、Appleなどによって複数のテクノロジーの統合的な活用が容易になったことや、AmazonやAirbnb、Uberといったデジタル企業が、直感的に利用できる利便性の高いサービスを提供し始めたことがあります。さらに新しい優れた様々なサービスが顧客の「考える」手間を劇的に軽減したことも、顧客の期待を高める要因となっています。

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こうした新たな体験の提供を牽引しているのが、デジタルなスタートアップ企業です。たとえば英国のThe Chaparは、男性顧客のライフスタイルに合わせて知的なファッションのスタイリングを提案するサービスです。またLife Boxは、ユーザー1人ひとりのフィットネスゴールに合わせて健康食品を毎月届けるサービスを展開しています。

こうしたサービスには明確な共通点があります。まず、極めて優れた体験を提供できれば、顧客が何のためらいもなくその体験に対して高い利用料を支払うこと3、そして彼らはより多くの個人データを提供するようになり、マーケティングメッセージの

一層のパーソナライゼーションも受け入れるようになるということです(例:Google Chrome)。

これらを正確に理解して、真のオムニチャネル体験(複数のチャネル内、あるいはチャネル間を行き来し

ながら、無駄のないシームレスな購入プロセス)を提供できる企業だけが、ロイヤルティの高い「ファン」を獲得し成長していけるのです。アクセンチュア・ストラテ ジ ー が 世 界 各 国 で 行 った 調 査 に よ れ ば 、小売企業のオムニチャネル・カスタマーがもたらす売上と利益は、実店舗のみを利用する顧客のそれぞれ3.2倍と2.6倍に上ります4。

マルチチャネル・カスタマーが企業にもたらす売上と利益は、実店舗のみを利用する顧客のそれぞれ3.2倍と2.6倍に上るアクセンチュアリサーチ2016

3.2倍売上

2.6倍利益

オムニチャネル体験は大きな機会をもたらす一方両刃の剣にもなりえます。チャネル間の連携を事前によく検討せず、個々のチャネルで顧客がどうサービスを利用するかを正しく理解しないまま、新たなチャネルを増やしてしまう例が少なくないのです。

顧客はかつてないほど多くのチャネルを利用して、意思決定を行っています。上記のような課題を十分に考慮しなければ、顧客の手間はかえって増え、顧客体験が下がる可能性すらあります。つまり、顧客体験が「確実に向上」するオムニチャネル環境が不可欠なのです。

ノンストップコンシューマーの期待デジタルとリアルにまたがるシームレスな購入プロセス

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オムニチャネル戦略多くの企業が求めているにもかかわらず成功例が少ない理由

オムニチャネルカスタマーと良い関係を築くにはあらゆるタッチポイントを横断的に、シームレスで一貫性のあるコミュニケーションが必要です。また、顧客が製品/サービスを比較できる情報、シンプルな購入プロセス、そして顧客を中心に据えたカスタマーエクスペリエンスも大切です。数年前から多くの企業が認識してにもかかわらず、オムニチャネルカスタマーの期待を超える進化ができていないのでしょうか?

1つは、レガシーな環境です。デジタルファーストな小売業者やプラットフォームは新しい体験を迅速かつ試験的に導入し、素早く多くの改善をサービス向上につなげています。しかし、レガシーなIT環境や組織体制が残る企業ではその改善スピード が妨 げ ら れ て い ま す 。 現 在 多 く の 企 業 がGoogleやFacebook、Appleのようなデジタルファーストな企業を目指していまがそれら進事例の実践には至っていません。なぜなら、チャネル毎にいくつものレガシーシステムがあり、データが分散してしまっているからです。たとえば、小売店は独立したPOSシステムを、コンタクトセンターは変更が難しいCRMやCTI、IVRをそれぞれ使っているといった状況です。さらに複数のコンテンツ管理ツール上に、デジタルチャネルやソーシャルチャネル、ソーシャルアプリなどが加わり状況を複雑にしています。それだけではありません。これらのフロントエンドシステムはそれぞれが別の方法で、従来式の請求処理やプロビジョニングプロセス、受注管理、フルフィルメントといったバックエンドシステムと連動しており、相互連携がまったくないことも珍しくありません。さらにある企業では、TV事業のモバイル化によるクワッドプレイを目指すなど、サービスの拡大を推し進めるとともに、レガシー環境の問題は改善するどころか、むしろ悪化するという状況でした。

5

もう1つの理由は、これからの時代に適さない縦割りの組織構造です。顧客との対話が人、オンライン、複数のソーシャルメディアにまたがり複雑に絡み合う現在、従来のリニアなマーケティングファネルは通用しません。これだけ時代が変化したにも関わらず縦割りの組織構造残っているため、異なるチャネルやライフステージにいる顧客とのリアルタイムなコミュニケーションは一層困難になっています。たとえば、クワッドプレイ・プロバイダーはいまだに顧客全体と製品ユーザーを同じように捉え、1人ひとりの顧客ニーズの把握は二の次となり、ブロードバンド、TV、およびモバイルの各分野で重複した非効率的なマーケティング戦略を展開しています。

組織をマーケティングやセールス、カスタマーサービスといった分野に区別し、各部門をさらに複数のチームに分けることがオムニチャネル戦略の実践を妨げているという主張は、議論の余地があるとしましょう。それでもなお、積極的なCEOは顧客中心な企業への変革のために組織構造を見直しています。しかし、正しいオムニチャネルモデルが存在しない中では、こうした取り組みも不十分です。

これらはどれも目新しい考えではありません。しかし、課題を一度に突きつけられると、真のオムニチャネル体験の構築は「難しすぎる」ようにも思えてきます。そのため、多くの企業が統合的な枠組みを作らないままオムニチャネル戦略を進めており、結果、限定的な効果しか得られず、道半ばで断念することが多々あります。

今こそオムニチャネル戦略の実践を 構想から実践へ

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アイデアを実践に移すために重要な3ステップ

多くの企業が顧客体験の最適化を目指し切磋琢磨しています。オムニチャネル環境でのカスタマージャーニーマップを描き、プロセスを設計し、「真実の瞬間」を見つけ、それを解決する。これは間違ってはいませんが、本当のオムニチャネル体験の実現にはさらに上を目指さなければなりません。

顧客体験こそが唯一の差別化要因だと捉える傾向があります。価格は飽和市場の必須要件であることは確かですが、価格戦略は必ずしも市場リーダーへの近道にはなりません。

真のオムニチャネル体験を提供できる企業には、3つの共通項が見られます。これらの条件が整うと、幾度とない組織再編を経ることなく顧客にも企業にもメリットのある有意義なオムニチャネル戦略を実践可能です。

#1

#2

#3

上層部からのサポートと投資の獲得

迅速に成果が望める領域へのフォーカス

パートナーエコシステムの活用

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パートナーエコシステムの活用

オムニチャネル戦略を全社的に展開するにはレガシーシステムの解決が必要です。現在および未来のすべてのニーズに応えられるCRMベンダーなど存在しません。したがって、企業がCRMパートナーを1社に絞るのは賢明とは言えません。先見の明のある企業は、テクノロジーエコシステムの構築を通じて最善なリューションの導入を実現しています。

パートナーエコシステムを通じて、テクノロジーの導入にかかる多くの時間とコストを削減できます。エコシステムによるハイブリッドテクノ

ロジー活用で、多彩なソースから速やかにデータを取り込み標準化することが可能になります。さらに、こうしたシフトが定着すれば、IT部門の支援を仰ぐことなくマーケティングやセールス、カスタマーサービスなどの部門自らが積極的に新しいテクノロジーの試験導入を推進できるようになります。なぜなら、彼らの方がオムニチャネル体験のメリットをより多く生み出せるからです。

#3

迅速な成果が期待できる領域へのフォーカス

オムニチャネル体験の最適化には、カスタマージャーニーと各チャネルで発生するイベントやコミュニケーションにフォーカスし、迅速なデリバリーを実現し、短期間で成果を上げられることを実証しなければなりません。APIやプラットフォームの進化によって多様なテクノロジーが利用できるようになった今、こうした取り組みはさらに実現しやすくなりました。

大手企業では通常、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を使って「顧客の声」を測定し、悪影響を及ぼしている未解決の問題を迅速に発見しています。その後、アジャイル分析手法を用いてイベントをタイプ別に分類し、顧客と収益に最も大きなメリットをもたらすイベントの最適化を図っています。

#2

上層部のサポートと投資の獲得

競合やコストプレッシャー、市場やビジネスの変化。様々な要因がある中で、全社規模で変革を推進するには、トップダウンのサポートが不可欠です。上層部のサポートを確実に得るには、早く結果が出るということを証明するほかにありません。そのために重要なのはテクノロジーの導入に大規模な投資を行う前に、パイロット&テストを実施してその取り組みが期待する結果につながるということを早く実証することです。

オムニチャネル体験の提供に持続的に投資している企業では、顧客のライフサイクルで最も重要となる領域の改善に焦点を当てています。どの領域を最優先するかは、企業や業界によって異なります。たとえば各国の通信業界の水準として、顧客の離反が起こりやすい領域の改善に焦点を当てた場合、割引サービスのコストが平均8~10%削減されることがわかっています。また、クロスセルによる収益改善に焦点を当てた企業の例では、平均12~15%のARPUの向上を達成しています。

#1

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ディシジョニングは、オムニチャネル戦略の鍵を握る基盤テクノロジーです。マーケティングの「頭脳」もしくは意思決定のエンジンとして、カスタマージャーニーと体験をチャネル横断的につなげる重要な役割を果たします。その中で、ディシジョニングエンジンはデータやリアルタイムなトリガー、ビジネス、チャネルルール、傾向モデルを統合して、顧客に次善策や製品/サービスの提案を行います。

ディシジョニングは、顧客データやサービスコミュニケーション、利用方法、ネットワーク、製品、価格設定、請求データ、傾向データ、ビジネスルールなど、多種多様なデータソースを統合することができます。さらに、これらのデータをすべて利用して、小売店やコールセンター、デジタル、Eメール、SMSなど、さまざまなタッチポイントで提案やコミュニケーションを推進し、CRM、ネットワーク、請求処理プラットフォームといったシステムへのデータの取り込みも行います。

Pegaの活用でサービス主体の顧客体験を実現

顧客体験の改善を目指すある大手通信企業では、各エージェントが問い合わせに予防的に対処できる環境を構築することで、サービス品質の向上、売上の拡大、またテクノロジーの商用化サイクルを短縮したいと考えていました。そこでアクセンチュアはクライアントとPegaのネクストベストアクション・モジュールをわずか20週間以内で導入。30種類以上のアクション/オファーを組み合わせ、ターゲットを絞った顧客対応を提示。大幅にサービス体験を向上させました。

ケーススタディ

成果

各エージェントのデスクトップにPegaを統合

アクセンチュアのUnique Service Analytic Record©(USAR)をもとに、100以上の属性(人口動態、請求情報、ネットワークなど)を統合した顧客分析データを構築

エージェントの問い合わせ解決率を向上

キャンペーン・サイクルタイムの短縮

QlikViewビジュアライゼーションを用いたエージェントトラッキングとエグゼクティブダッシュボードの導入により、迅速で正確な意思決定を支援

パーソナライゼーション

オムニチャネルセリング

顧客体験の測定

IVR

24h

店舗

オムニチャネルテクノロジーの活用ディシジョニングを基盤とした5つのテクノロジー

アクセンチュアでは、以下の5つの最先端テクノロジーが、俊敏なオムニチャネル戦略の展開に重要と考えています。

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5つの最先端テクノロジー

最も重要な点として、優れたディシジョニングシステムは、従来の売上/収益のユースケースだけではなく、サービストリガーの理解やサービス対応を意思決定に含めます。結果、アナリティクスを基 盤 に デ ィ シ ジ ョ ニ ン グ と 顧 客 体 験 の 統 合が進み、カスタマージャーニーすべての段階で顧客1人ひとりに最適化されたメッセージを提供することが可能になります。

Pegaのようなディシジョニングツール以外にも、Adobe(オンライン)、Honeybee(小売)、Genesys(IVR)など、チャネル活用に不可欠なテクノロジーがあります。また、Medalliaのようなソリューションをオムニチャネル体験の基盤に用いれば、顧客の支持や共感をリアルタイムにトラッキング可能になります。

顧客

IVR

デジタル

小売 音声

NPS

WORLD SERVICES

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ディクソンズ・カーフォンコネクテッドデバイス購入体験の刷新

英 国 の 家 電 小 売 大 手 デ ィク ソ ン ズ・カーフォン(Dixons Carphone)はコネクテッドデバイス購入時の顧客体験を刷新するとともに、販売員を多種多様な製品に精通したセールスアドバイザーとして変革させたいと考えていました。そこでアクセンチュアは、オンライン セールス&アナリティクス・プラットフォーム「Honeybee」の導入を支援し、わずか12週間で導入を完了。実店舗とオンライン両方での顧客体験最適化のみならず、リアルタイムでカスタマージャーニーのトラッキングと分析が行えるようになりました。

ケーススタディ

成果

1,000店以上の実店舗にプラットフォームを導入

コネクテッドデバイスの購入時間を65%短縮

セールスコンバージョン率の改善

顧客満足度の向上

36%

25%

アクセンチュアの経験では、2つのワークチームを編成する方法が、最も迅速に成果を出すということがわかっています。しかし、すべてのテクノロジーが俊敏なチーム編成によって導入できるとは限らないため、次ページの表では2ステップのテクノロジー導入プロセスの活用に向けて、どのステージでどのデリバリーモデルを用いることができるかをまとめています。また、機能毎に業界トップのエコシステムパートナーも紹介しています。

2ステップ導入プロセスでオムニチャネル体験をいち早く提供

オムニチャネル戦略の実践を目指す企業は、テクノロジーを試験的に導入し、素早く失敗・学習を繰り返すことで迅速に成果を上げることが重要です。このためには専任のプログラム・デリバリーチームを編成し、テクノロジーやガバナンス、プロセスの開発に長期的に投資していく必要があります。

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パートナーエコシステムの例/2ステップテクノロジー導入プロセスの主な段階

テクノロジーベンダー

機能名 機能の説明

1

Pegaネクストベストアクションアドバイザー

ディシジョニング マーケティングの「頭脳」として、顧客の価値やライフステージに基づき、パーソナライズされたアクションや対応の提案、シームレスなオムニチャネル体験の提供を実現する

ビジネスルール、さまざまなレガシーシステム(CRM、請求処理、IVRなど)から得られるリアルタイムデータ/知見、リアルタイムサービス

(ネットワーク帯域幅、チャネルビュー)を統合する

2

Adobe Test & Target

オンラインパーソナライゼーション

オンラインでのA/B多変量テストを設定・実行し、カスタマーエンゲージメント/コンバージョンに基づきベストオファー/メッセージ/コンテンツを決定

自己学習アルゴリズムを使った自動パーソナライゼーションにより、顧客1人ひとりにターゲットコンテンツを配信

3 顧客体験の測定 ブランド体 験 に 対 する 顧 客 の 共 感 や 支 持 を 測 定 / 報 告し 、顧客のライフタイムバリューと連携

4

HoneyBee

Genesys

メダリア

オムニチャネルセールス・アナリティクス

オンラインセールス・セールスアナリティクスのプラットフォームとして、カスタマージャーニーをリアルタイムでトラッキング/分析し、実店舗およびオンラインでの顧客体験を最適化

コアとなるプロポジション/製品の統合

顧客の価値に基づく、非言語による顧客の販売ガイド

5 Webの統合と実行 音声ルーティング、チャット、Eサービス、ワークフォース管理を横断した、エンドツーエンドの統合によるスマートなオムニチャネルルーティング

セールス/サービススタッフにインテリジェントなデスクトップを提供し、顧客の課題に対する理解や解決策の検討を支援

WORLD SERVICES

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プログラムアプローチは通常採用しない

データ統合:NPSデータをデータレイクやCAR/USARに自動統合

セットアップと実装:セットアップアーキテクチャー/インフラストラクチャー

製品カタログおよび価格/バンドリング/顧客データにツールを統合

インテリジェントなオムニチャネルルーティングソリューションの設計、構築、およびエンドツーエンドのプログラム管理

オーケストレーション・サーバー(オムニチャネルルーティングルールの保存)、カンバセーション・マネージャー(1つのチャネルから別のチャネルへ顧客とのコミュニケーション情報を転送し、ルーティング精度を向上)、プロフィシェンシー・マネジメント(ルーティングのターゲット拡大、ネットワークの柔軟性の向上、予測/実質のアベイラブルタイムの削減、サービスレベルの改善)といった、Genesysソリューションのクリティカルなテクノロジーの導入

ステップ2:プログラムデリバリー

セットアップと実装:テクニカルアーキテクチャーとインフラストラクチャー

(サーバー、ハードウェアなど)の構築

顧客データおよび請求データの自動リフレッシュ機能の構築

リアルタイムフィードとの統合(例:ネットワーク情報など)

バックエンドとの照合結果のレポーティング(例:請求処理など)

ディシジョニングフレームワークの構築

カスタマーライフタイムバリューと投資アルゴリズムの構築

ステップ1:パイロット&テスト

セットアップと実装:ビジネス&テクノロジーチームを活用し、アジャイル開発のスプリントを通じて提供

パイロット&テストの詳細:ドラッグ&ドロップ/コンフィグを用いてチャネル間の一貫性を維持

チャネル横断的に新たなプロポジションの提供

すべてのチャネルで同時に変更を実行

ビジュアルアナリティクスを用いてルーティングルールをまとめ、アベイラブルタイムおよび転送率に関するルーティング変更時の効果をモデリングする

2ステップテクノロジー導入プロセス

パイロット&テストの詳細:アクション/オファーのパイロット&テスト、どのテストを実践に移すかの決定

ディシジョニングフレームワークの最適化、ビジネスルールに基づく対応の優先順位付け

セグメント別の対応/パイロットの実施

競合他社のオファーに応じた調整

テクノロジー基盤の完成後に、ネクストベストアクション/オファー&バンドルネゴシエーターを実装

セットアップと実装:ビジネスとテクノロジーを横断した小規模な専任チームを編成

パイロット&テストの詳細:プロポジション、ランディングページ、カスタマージャーニー、ソーシャルプルーフ、チェックアウトのパイロット&テストの実行

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オムニチャネル戦略の迅速な展開を目指す企業に対し、アクセンチュアは100日間のスプリントプラン策定/実践を推奨しています。

100日スプリントプランの例

データの分析 結果のトラッキング

100日プラン

ステップ1*パイロット

&テスト学習

育成チーム始動

30日間

� 育成チーム編成� メリットケース策定� 主要KPIの策定� カスタマールールブックの

策定

� 工業化/拡張*� 統合テスト**� ビジネステスト開始**

� テスト&学習アプローチの策定� コマンドセンター有効性実証� ビジネス&テクノロジー

共同ワークショップでニーズ明確化**

� モデル完成**

40日間 30日間

仮説の策定

仮説1 仮説2 仮説3

プラン、デリバリー測定1

有効性の実証&拡張

プラン、デリバリー測定2

プラン、デリバリー測定3

ステップ2**プログラムデリバリー

チーム始動

適用範囲カスタマー

ルールブックの策定

メリットケース策定

データ変数の定義(USAR)

アクション/オファーカタログ&ビジネスルールの策定

ユーザーストーリー&機能面以外のニーズの策定

ディシジョニングツール&プレゼンテーションレイヤーの構成モックアップUI

テスト

ビジネス&テクノロジー共同ワークショップ

パーソナライゼーション例 工業化&拡張

USAR&分析モデルの策定

ディシジョニング例

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ステップ1パイロット&テスト

Adobe Test & Targetなどのツールは既存のWebインフラに被せることができるため、アジャイルやテストのスプリントでの実装に適しています。通常テストは仮説に基づいて行われ、複数のスプリントで実証されます。これは複数のオプションを提供するオムニチャネル体験提供に最適なアプローチです。

インキュベーションポッドの活用サイロの解体テストと学習を行う流動的なチーム(インキュベーションポッド)を編成することで、現行のオペレーションモデルを再構築することなく、セールスやサービス、マーケティングといった縦割りの既存の縦割り組織を解体することができます。このテスト&学習チームは、マーケティングやセールス、カスタマーサービス、アナリティクスなど、さまざまな部門にまたがって編成する必要があります。さらにその活動では、人、プロセスの分析、テクノロジーの導入に大きな変化をもたらし得るアナリティクスをはじめ、アクション/オファーのテストに焦点を当てることが重要です。

こうした部門横断的なチームによって、企業はライフステージ毎、イベント毎にオムニチャネルのカスタマーに対応しながら、社内にテストと学習の文化を醸成できるようになります。また、このチームは起業家精神だけでなく、イノベーションや素早い失敗に対する積極性を持つことも重要です。これらを上手く機能させている企業では、以下のような施策を推進しています。

• チームによる自発的な意思決定を促進

• チームがテストと学習に注力できるよう、日々の業務の負担を軽減

• チームの成果をボリュームテストの実施と最適化によって測定

• 仮説とスピーディなデータ分析に基づいて、アジャイルスプリントでテストを実施

• 必要に応じてパイロット&テストサイクル専用の技術サポートを提供

アクセンチュアラボでは、ビジネスの課題を迅速に解決したいというクライアントのニーズに応えるため、クライアントとの協働によってコンセプトの迅速なプロトタイピング、テスト、調整、展開をサポートしています。

革新的な企業は、顧客の獲得から育成、維持に至るカスタマーライフサイクルを横断して、ステージごとに育成チームを活用しています。より革新的な企業の場合、さらにその先を行き、熟練のエキスパートや社外の専門家と従業員を組み合わせた流動的なチームを編成し、グローバルな人材活用を推し進めています。

仮説の策定定義と優先順位パイロット開始に当たり、まずは仮説の範囲を定義し、知見に基づき仮説の優先順位を決定します。仮説は顧客と接触するチームから得た知見を基に、顧客を中心に据えて策定します。また、顧客のボリュームと価値をベースとするデータ分析を通じて、優先順位付けも行います。さらに、変化要因を分離して最大のインパクトを生むために、1つのライフステージ/イベントおよびチャネルに注力した仮説を立てるとともに、代表的なコントロールセルを用意することが重要です。

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テレフォニカ(Telefónica)とアクセンチュアのデジタルパートナーシップと「アジャイルスプリント」が実現する卓越したオムニチャネル体験

OFCOM(英国情報通信庁)によると、テレフォニカUKのコマーシャルブランドであるO2 UKは、英国最高の顧客満足度を誇るモバイルプロバイダーです。同社はショッピング体験を最適化し、オンライン

・カスタマージャーニーを拡大することによって、アップセル/クロスセル&アップグレードを増やしたいと考えていました。そこでアクセンチュアは価値ベースの小規模なチームを編成し、O2のTest &Targetプラットフォームを用いてO2のウェブサイトのショッピングページとチェックアウトページの最適化を行いました。

ケーススタディ実証、工業化、展開現場での活用現在のパイロット&テスト/学習メソッドで重要なもう一つの要素が、データと知見を意思決定に役立てられるようにし、パイロットスプリントの成果をレポートするというフェーズです。このフェーズでは、QlikViewやTableauのようなツールを使い情報を利用可能なフォーマットで提供すると同時に、チームがそれら情報を活用し、さらなる知見を引き出せるようにする必要があります。承認プロセスに時間をかけることなく、チームが自発的に許容範囲内/予算内で意思決定や変更が行えることも重要です。

テストが成功した後は、それを工業化・展開していく必要があります。ディシジョニングにおいてこれはキャンペーンの成果に基づき迅速に対応できるように、洞察モデルを拡張することです。パーソナライゼーションにおいては、顧客のサンプルで実証されたオンライン・カスタマージャーニーにひねりを加えることを意味します。

大切なのは、テストを「工業化」することです。どれほど優れたオンラインオファーを提示できても、それでインバウンドコールが増えてしまうようなら、拡張の前に根本原因を探って修正する必要があります。

成果

「カスタマーファースト」な文化の醸成により、顧客のニーズにしっかりと耳を傾け、さまざまなオプションを顧客に提示、顧客の関心や理解に基づく最適なオファーが可能になった

パイロット&テストを迅速化・合理化し、年間50回以上のテストを実施。1~2週間おきにテストを行い、隔週で成果を評価

実施したテストにおけるWeb集客の増加

年間400万ポンドの収益増

投資利益率の拡大

32%

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ステップ2プログラムデリバリー

カスタマールールブックさまざまなテクノロジーを活用した顧客とのコミュニケーションにおいては、価値創造をベースとした基本理念と優先順位を指針としなければなりません。この基本理念を基に、企業はカスタマーサービスの優先順位とセールス面の優先順位のバランスを維持し、サービス体験(NPS)とセールスゴール双方のバランスを見いだすことができるでしょう。

また、高度な財務分析で、意思決定のインパクトを定量化するのも有益です。サービスについて問い合わせたすべての顧客に、オファーを提示してはいけないという意味ではありません。たとえばブランドマーケティングに対するクレームは、デバイスで繰り返し発生する技術的な問題に対するクレームほど重大ではありません。収益の拡大を目指すには、顧客に対して「何もアクションを起こさない」、あるいは「積極的に販売を行う」かの選択で、適切なバランスを見極めることが大切です。カスタマールールブックの肝となるのはデータであり、アクセンチュアが企業と協働し、「データの成熟度」の評価・改善を実践しているのもそのためです。

統合的なカスタマービュー重要なデータの抽出と優先順位付け オムニチャネル・カスタマーとの効果的なコミュニケーションには、あらゆる顧客データを一元管理する「顧客分析データ」の構築が不可欠です。

しかし、大量のデータが入手できるようになった今、重要なデータを優先順位付けして統合するのは決して容易ではありません。

こ う し た 課 題 に は ア ク セ ン チ ュ ア の U n i q u e Service Analytical Record©(USAR)を活用することで、オムニチャネル体験の向上を支援することが可能です。USARはサービス上の課題やクレームに関する最も相関性の高い属性を網羅し、注文に始まるカスタマージャーニーをライフサイクル全体にわたってトラッキングするメカニズムを提供します。USARを活用することで、カスタマージャーニーで問題が発生する可能性が高い顧客を特定し、事前に介入してクレームの発生を抑制できます。たとえば、ブロードバンドの接続速度を広告内容と比較・測定し、必要に応じてクレームが発生する前に速度を改善するといった措置です。

画期的なオムニチャネル体験の提供を目指す企業は、家庭に目を向け、家庭で利用されるさまざまな製品やサービス体験のオムニチャネル化を図ろうとしています。たとえば、バンドルサービスを提供しているメディア/通信企業なら、モバイルやブロードバンド、TVといった家庭で使われる製品/サービスを統合的に捉え、各家庭における主な意思決定者、料金支払い者、ユーザーを特定してオムニチャネル体験を提供し、ロイヤルティを高めることが可能です。

プログラムデリバリーは、パイロット&テストを継続的に行い、発展させていくための基盤を築くフェーズです。アクセンチュアでは革新的なソリューションを、スピーディかつ俊敏に開発できる独自のリキッドスタジオなどを活用することで、クライアントが最短期間で最大の成果を上げられるようサポートします。プログラムデリバリーの初期段階(ディシジョニングなど)において、適切なテクノロジーアーキテクチャの構築は、持続的な労働環境を構築することと同じくらい重要です。たとえば、製品/サービスに満足していない顧客にはアップセル/クロスセルを提案しないといったルールの設定です。オムニチャネルデリバリーを成功に導く3つの要素には、カスタマールールブック、顧客分析データ、および適切なKPIがあります。

今こそオムニチャネル戦略の実践を 構想から実践へ15

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適切なKPI設定

適切なKPIの決定は、組織内に変革を浸透させるために不可欠です。しかし、測定する価値のない古いKPIを残したまま、あるいは従業員の報酬制度とKPIの連携を行わずに新たなKPIを増やそうとする企業が少なくありません。KPIは以下の3つの側面から策定することが大切です。

トップダウンでのKPI設定とオーディエンス別ダッシュボード顧客中心の顧客体験を設計するには、トップダウンで変革を推進しなければなりません。したがってKPIも、経営から顧客担当チームに関わるものまでを網羅する必要があります。またKPIのトラッキングは部門を横断して行い、ダッシュボードを用いてオーディエンスの可視化、および知見の獲得を目指すことも大切です。さらに高度なKPI測定として、顧客の獲得、育成、維持というカスタマーライフサイクルを通じて、顧客満足度(NPS)と正味収益のバランスを取る必要もあります。

NPSとAMPRの連携現在、多くの企業ははNPSを測定しているが、その価値を100%生かせている、あるいは理解できているケースはごくわずかです。その理由は、NPSが顧客とのコミュニケーション中ではなく、コミュニケーション終了時点での結果を測定しているからです。これに対して革新的な企業では、「“顧客の手をわずらわせる”イベントは、顧客体験にマイナス影響を及ぼす」という原則に基づき、顧客満足度と顧客の手間を考慮に入れています。こうした企業では、平均のイベント解決時間(AMPR)を短縮すれば顧客の手間が軽減され、その結果、顧客満足度とロイヤルティが向上するという考えのもと、カスタマージャーニーを通じて満足度を測定しています。ただし、あらゆるイベントが同様の成果をもたらすわけではないので、AMPRはイベントタイプごとにベンチマーキングを行う必要があります。

オムニチャネルKPI顧客満足度と顧客の手間のほかにも、オムニチャネル体験の成功に影響する要素はいくつかあります。たとえばディシジョニングについて測定すべき重要な要素として、エージェントによるツールの活用度があります。ディシジョニングツールを導入することで、エージェントと顧客の対話は、オムニチャネルで得られた知見とビジネスルールをベースにしたものへと変化するからです。したがって、オムニチャネル戦略の発展段階では、エージェントによるツールの活用度を重要な指標として含めることが可能です。

アクセンチュアのUSARを活用し英国通信大手のオムニチャネルKPIを変更

ある通信大手企業は顧客体験の改善を目指していましたが、レガシーなカスタマーサポートモデルがネックとなっていました。特に、顧客にとっての重要課題を一元管理できていない点、つまりすべてのチャネルを横断して一元的にそれらを支援/解決できていない点が問題となっていました。

そこでアクセンチュアはUnified Service Analytic Record©(USAR)を活用して、クライアントとその顧客のコミュニケーションデータを6カ月間(2,630万件)にわたり分析。分析結果をインタビューと組み合わせることで、全チャネルで行われる顧客の問い合わせ1件あたりの平均コミュニケーション回数、各問い合わせの解決にかかる平均時間、および顧客体験の改善を妨げる主な障壁を明らかにしました。さらにこれらの知見を基に、プロセスの改善点とオペレーションモデルの原則を協議の上で決定し、16週間にわたるモデルオフィスでのパイロットを実施しました。

ケーススタディ

成果

クレーム件数の削減

顧客の手間とキャンセルを15%削減

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# KPI 定義 公式を算出方法に変更

終わりの正味収益-初めの正味収益

ネットプロモーター*=プロモーター(%)-デトラクター(%)(整数式)

プロモーター(スコアが9~10)は継続購入と他者への紹介を行うロイヤルティの高い顧客で、企業の成長を加速化する。

パッシブ(スコアが7~8)は満足しているが、ロイヤルティの高くない顧客で、競合のオファーに乗り換える可能性がある。

デトラクター(スコアが0~6)は不満のある顧客で、否定的な口コミによって企業のブランドを損なったり、成長を妨げたりする。

解決したイベントのタイプの合計/解決したイベントのタイプ数*イベントとは、ブロードバンドネットワークで発生した課題などを指す

平均イベント解決時間(AMPR)平均イベント解決時間(AMPR)

オムニチャネル戦略10項目のKPI

1

2

3

カスタマージャーニー毎の平均正味収益の変化

カスタマージャーニー毎の平均NPS

カスタマージャーニー毎の初めの正味収益と終わりの正味収益の比較

カスタマージャーニー毎の平均NPS

カスタマージャーニーの長さ(日数)カスタマージャーニーの平均期間4 カスタマージャーニーの平均期間

カスタマージャーニー毎のユニークチャネルの合計

カスタマージャーニー毎の平均チャネル数5 カスタマージャーニー毎のチャネル数

カスタマージャーニー毎のコミュニケーション回数の合計/ジャーニーのタイプ

平均コミュニケーション回数6 カスタマージャーニー毎のコミュニケーション回数

コミュニケーションから30日以内に顧客離反に至ったコミュニケーションの数/コミュニケーションの合計数

コミュニケーションから30日以内に離反に至ったコミュニケーションの割合

7 コミュニケーションから30日以内の離反率

受容されたネクストベストアクションまたはオファーの数(タイプ毎)/受容、拒絶、延期されたオファーの数

受容されたネクストベストアクション/オファーの割合(タイプ毎)

8 ネクストベストアクション/オファーの受容率(タイプ毎)

受容されたネクストベストオファーの数×受容されたオファーの価値

受容されたネクストベストオファーの価値9 ネクストベストオファーの受容価値(タイプ毎)

ネクストベストオファー(提示されなかったオファー)の数×オファーの価値(平均価値)

ネクストベストオファーの逸失価値(提示されなかったオファー)

10 ネクストベストオファーの機会逸失価値(タイプ毎)

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テクノロジーの導入や持続的な働き方に関して、何が自社に適しており、何が適していないかを正しく理解できる企業が増えてきました。顧客も業界の進化の遅さに不満を感じる一方、優れたオムニチャネル体験を正しく認識するようになりました。企業が顧客の手間を減らす、あるいはカスタマーインテリジェンスを利用してターゲティングを改善できれば、顧客は積極的に貢献してくれるようになりました。

オムニチャネル体験がもたらすメリットは甚大です。顧客の期待に応えるための様々なツールや機能が誕生し、それらをより低コストで容易に活用できるようになった。今こそ,これからの顧客が本当に求 め る 高 い 価 値 を 提 供し 始 め な け れ ば なりません。

オムニチャネルカスタマージャーニー実践に向けてこれまで多くの企業が、オムニチャネル・カスタマーのロイヤルティ向上やサービス提供コスト削減、収益改善といったメリットを享受できませんでした。その原因は、テクノロジーと組織構造という2つの障壁です。

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デジタルネイティブな企業の台頭により、世界中の企業が今、オムニチャネル・コンシューマーのニーズに応えようと、製品/サービス体験をデザインし直しています。アクセンチュア・コンサルティングはプロセス、プレゼンス、パーソナライズ、目的、人、持続性、製品の7つの柱を基軸に、オムニチャネルプロセス設計のための包括的な枠組みを開発しました。

詳細はこちら:accenture.com/jp/service-omuni-channel

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1 Accenture Internet of Me Research 20162 Accenture www.accenture.com/_acnmedia/PDF-10/Accenture-Strategy-GCPR-Digital-Profitabilty.pdf3 Accenture Research Digital Disconnection 20164 Accenture: Customer Vision 2016, Digital Disruption Are you Playing To Win or Playing Not To Lose www.accenture.com/_acnmedia/PDF-10/Accenture-Strategy-GCPR-Digital-Profitabilty.pdf, 2016

出典

アクセンチュアは「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業です。世界最大の規模を誇るデリバリーネットワークに裏打ちされた、40を超す業界とあらゆる業務に対応可能な豊富な経験と専門スキルなどの強みを生かし、ビジネスとテクノロジーを融合させて、お客様のハイパフォーマンス実現と、持続可能な価値創出を支援しています。世界120カ国以上のお客様にサービスを提供するおよそ42万5,000人の社員が、イノベーションの創出と世界中の人々のより豊かな生活の実現に取り組んでいます。

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