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情報メディア創成学類 解析 II (Analysis II) GC1 1201. 授業資料( 4/11,18 日 分 ). 本資料について. 本資料では、教科書の内容に沿って、 意味や背景説明、補足事項、関連・発展事項などについて記す。 練習問題や立ち入った説明などは、別途 テキスト資料を web に掲載する。 数式などはすべてを再掲はしないので、 教科書記述と併用して読むこと。. 第4章:級数(概要). 級数とは何か(定義・実例) 級数の収束・発散 一般的な収束条件、具体的・特殊な例 整級数(ベキ級数) 多項式(整式)の項数を∞にしたもの - PowerPoint PPT Presentation
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解析 II (Analysis II)
授業資料( 4/10,17 日分)
• 本資料では、教科書の内容に沿って、意味や背景説明、補足事項、関連・発展事項などについて記す。
• 練習問題や立ち入った説明などは、別途 テキスト資料を web に掲載する。
• 数式などはすべてを再掲はしないので、教科書記述と併用して読むこと。
第4章:級数(概要)
• 級数とは何か(定義・実例)• 級数の収束・発散
一般的な収束条件、具体的・特殊な例
• 整級数(ベキ級数)多項式(整式)の項数を∞にしたもの
• 関数列・関数項級数(可能な範囲で取り上げる) 2
コーシー列( pp.139-141 )
• 数列 がコーシー列:(十分先のほうでは)数列の要素同士が互いにいくらでも近くにある、ということ。– 参考: 収束列の場合には、数列の要素が
ある特定の点(極限値)にいくらでも近い。
• 目的: 数列がコーシー列であることと、それが収束するかしないかとの関係
3
,,, 210 aaa
コーシー列(2)
• 比較する要素同士は、添字がどんなに離れていてもよい。
• よくある間違い– 隣どうしの項だけしか見ない: ×– 問題: であっ
ても、数列自体は発散する例を示せ。 4
|,||,||,|
:||100
200010001000001001000100 aaaaaa
aaL mn
はなら 例:
|| 1 nn aa
0||lim 1 nn aa
コーシー列(3)• 「収束列はコーシー列である」 (4.1.2)
これは当たり前。問題はこの逆:
• 「コーシー列は収束列である」 (4.1.3)– つまりコーシー列なら極限が存在するということ– これは実数の基本的な性質(実数の完備性)の反映
である。– また実数の完備性を表現する1つの方法でもある。– 与えられた数列が収束するか否かの判定方法を与え
てもいる(ただし極限値がわかるとは限らない)。
5
参考: 実数の完備性• 実数全体の集合には「隙間(穴)がな
い」、ということ。– 本によっては「実数の連続性」と書いてある
ものもあるが、「完備性」のほうが適切。– 参考:「稠密(ちゅうみつ)」:どんな狭い
間隔をとっても、その間に必ず集合の要素が存在。
– 稠密性と完備性とは一見似ているが、別物。例えば有理数全体の集合は稠密だが完備ではない(いくらでも隙間がある:無理数のところ)
6
参考: 実数の完備性(2)
• (互いに同等な)表し方は多数ある。– 有界数列には収束部分列が存在 (2.2.3)– 有界な単調数列は収束する (2.2.4)– 有界な集合には上限が存在する (3.1.9)– コーシー列は収束列である (4.1.3)
(Cauchy, Cantor)– で
なら の共通極限が存在する (Weierstrass)
– 「デーデキントの切断」 (Dedekind)実数の分割は上端・下端の一方のみ存在する 7
012210 bbbaaa
nn ba ,0)lim( nn ab
参考: 実数の完備性(3)
• 数学としては、前スライドに掲げた完備性の諸性質を論じるのが本筋だが、この授業では立ち入らない。
• しかしこれらの性質は、具体的な応用においても重要!– 特に数列・級数の収束の判定
例:• 正項級数が一定値を超えないなら収束 (2.2.4)• 交項級数の収束 (4.1.19)
8
参考:三角不等式について
• (4.1.2) ~ (4.1.4) の証明でも使われている三角不等式は、極限を扱う場合の基本的な証明手段の1つ。
• 原型:2次元以上のベクトルのノルム(長さ)でも成り立つ。
• 実際の使用は次の形が多い。 9
|||||| baba
|||||| cbbaca
級数とは (series)• 数列 の要素の形式的な和:
– 定義については様々な問題や議論があるが、ここでは立ち入らない。
• 部分和:
級数の和(定義):
• 級数を部分和数列とは別個に考えるのは、各項を独立して扱うのが重要かつ簡単なことが多いから。 10
,,, 210 aaa
0
210n
nn aaaaa
k
nnk aS
0
sasSn
nkk
0
lim のとき
級数とは(2)• 和の定義 (4.1.6) の意味
– 収束しない(発散する)場合には無限和は存在しない!コーシー以前の大問題:(これは (4.1.6) に基づけば発散する。)
– (一般には)和をとる順序は変えられない!(有限和の場合には自由に変えられた)• 順序を変えると和が変わってしまう場合があ
る。• それどころか、順序を変えて任意の値に収束さ
せることもできる!(参考: p.148 コメント)–順序を自由に変えられる場合もある。
(4.1.23)
11
?1111
級数とは(3): ( 4§2 以降の内容)• 級数の項 an が変数 x を含むとき、形式
的には x を変数とする関数と見なせる。(関数(項)級数)– 例: 整級数、三角級数(フーリエ級数)– 一般に関数級数は、変数の値に応じて収束・
発散が分かれる。
• 関数級数は、多様な関数を統一的に表し、分析したり、関数値の具体的な計算など、多様で重要な用途を持つ。 12
数学として扱うには
• 数列・級数はちゃんと収束するか?• どういう場合に収束するか?• どれぐらい速く収束するか?• 収束する値は何か?
などについての厳密な考察(定義・証明)が必要になる。
13
なぜ級数か• 様々な数値、関数の値を計算する最も
基本的な手段。–計算機における関数ライブラリ等
• 関数を表すもっとも基本的な、また多くの場合唯一の手段。– 超幾何級数等
• 特定の関数の性質を調べる、一群の関数の性質を一般的に調べる手段。 ⇒ (複素)関数論
14
級数の収束
• 数列の場合もそうだが、特に級数の場合、– 収束するかどうかの判定と、– 実際の極限値(級数の和)を求めることとは別問題。
• 収束自体は比較的簡単に示せても、実際の極限値を求めるのが難しい場合が多い。(場合によっては未解決問題)
• したがって収束判定の方法が重要となる。 15
例: ゼータ関数:6
)2(1
)(2
1
nsn
s
級数の収束(2)• 基本は部分和数列 {Sn} が収束すること。⇒ Sn に数列の収束の判定方法を用いればよい。 しかし! (次スライド参照)
• 特殊な場合については個別に判定条件が考えられる。– 正項級数– 交項級数(交代級数)– 絶対(値)収束級数⇔ 条件収束級数
• 級数の和(収束値)を具体的に求めるのは困難。実際に解けるのは、いくつかの既知な場合に帰される場合のみ(等比級数など)。
16
級数の収束:一般の場合
• 部分和数列 {Sn} の収束を調べればよい。– しかしそれができるのは、 Sn が簡単な式で
表される(つまり一般項がわかる)ような場合に限られる。 例:
• 収束の必要条件: 数列の項が0に収束(4.1.7) (十分条件ではない。)
• コーシー列であることの言い換え (4.1.9)17
1
11
1
11
)1(
1
11
nkkkkS
n
k
n
kn
正項級数(1)• 正項級数の部分和は単調増加• したがって上に有界なら収束 (2.2.4)
– どのような n でも が成り立つ A を見つければよい
– (4.1.12) :上から収束数列(優級数)で押さえる
• また収束するなら絶対値収束 (4.1.21~3)– 収束判定や極限値の計算で、項の順番を自由
に入れ替えてよい。18
AaSn
kkn
1
正項級数(2)
• 項別情報による収束判定 (4.1.13)(ダランベール、コーシー)– 「急速に」収束する級数には有効:
必ずしも使い道が広くはない• 積分近似による収束判定 (4.1.15)
– うまく積分式で近似でき、その積分計算が簡単にできれば有効な方法
– 多くの場面で使われる( n! の漸近展開等)
19
正項級数(3): 極限値の評価• 単調増加なので、部分和 Sn は極限値の
下からの評価(過小評価)を与える• 上からの評価は直接には得られない
(個別に工夫する必要がある)– したがって部分和による過小評価も、どれぐ
らい真値に近いかは直接にはわからない
20
交項級数(交代級数) (4.1.18)• an (の絶対値)が単調減少して 0 に
収束するなら、和が存在する (4.1.19)a0 0≧ (したがって a1 0, ≦ a2 0, ...≧ )なら、
のように奇数項は単調増加、偶数項は単調減少して共通極限に収束する。
– したがって、収束判定だけでなく、極限値の評価も上下から評価できる
21
024212531 SSSSSSSS nn
参考:ゼータ関数 (4.1.16)
• ゼータ関数:• s が実数のとき、 s>1 なら収束、 s≤1 なら発散• s が偶数の場合には具体的な表現式は知られて
いるが、奇数の場合はほとんどわかっていない。 ζ(3) は無理数であることは知られているが、具体的な表現式は未解決問題。
• s を複素数に拡張した複素ゼータ関数は、数学最大の未解決問題である「リーマン予想」と直接関係している。 22
sss
nsn
s3
1
2
1
1
11)(
1
収束の速さ(半分復習)
• (教科書 2.3.5 (p.60), 2.5.5 (p.79), 「無限大・無限小の比較」 2.5.11 (p.83) )– 以下の話は関数の場合だけでなく、数列・級数
に対しても当てはまる。
• 一般に であっても、両関数が同じように収束していくとは限らない。
• 収束の「速さ」の違いをどう表すか。 23
dxgxfcxgxfxxaxax
)(lim)(lim)(lim)(lim や
収束の速さ(2)
• 一般に lim f (x), lim g(x) が存在するとき( ±∞ も含む:極限値は必ずしも同じでなくてよい):
– (1) : f (x) は g(x) より収束が遅い: f (x)≫g(x)
– (3) : f (x) は g(x) より収束が速い: f (x)≪g(x)
– (2) : f (x) と g(x) は同程度の速さ: f (x)~ g(x)
24
は定数)
AAxg
xf(
)3(0
)2(
)1(
)(
)(lim
収束の速さ(3)• f (x) ~ g(x) のとき、
f (x)=o(g(x)), g(x)=o(f (x))などとも書く。(記法は本により異なる)
• o(...) の中は、よく知られた関数を書くのが普通。これにより収束速度が比較できる 例: x→0 のとき、
これは x が十分小さいとき、左辺が右辺で近似できることも表す。
25
)(111
1 232 xoxxxxx
整級数 ( pp.150~163 )
• 変数 x の多項式の無限級数版。
• ベキ(冪・巾)級数とも言う。• テイラー展開は典型的な整級数の例。
• 整級数の真価は、 x を複素変数として扱った複素関数の世界に行かないとわからない。– 整級数で表せる複素関数を「正則関数」という。
正則関数は複素解析の中心的存在。 26
n
nnxaxaxaa
0
2210
整級数(2)
• 整級数のもっとも基本的な性質:収束域・収束半径の存在。 (4.2.3) ~(4.2.7)
• 整級数 に対し、あるが存在して、 |x|<r なら収束、 |x|>r なら発散( r=∞ の場合はすべての x で収束)|x|=r のときは場合による。 (4.2.21) 27
n
nnxa
0
)0( rr
収束半径の求め方• 一般には (4.2.7) による。
– これらは級数の収束についてのダランベール、コーシーの判定法 (4.1.13) の応用
– ダランベールの判定法の場合、 an=0 となる場合が無数にあるとそのままでは使えない。
– しかし例えば n が偶数のとき an=0 なら、奇数項についてだけ考えればよい。
– コーシーの判定法にはそういう問題はないが、計算はこちらの方が面倒。
• テイラー級数などで、あらかじめ収束半径がわかっている関数から導くほうが実用的。 28
参考: 収束半径について
• 整級数は、複素数の範囲で考えないと真価がわからない。複素整級数は、複素関数論の中核を占める極めて重要な存在
• 複素数の世界で考えると、次の定理が成り立つ。– 整級数 の収束半径が r なら、
|z|=r の円上で、級数が発散する点(特異点)が必ず存在する。
29
n
nnza
0
テイラー展開
• 与えられた関数 f (x) に対し、整級数:
が収束するなら、これを f (x) の ( x=0 での)テイラー展開という。
• 一般に x=a でのテイラー展開は:
• x=0 でのテイラー展開を「マクローリン展開」と呼ぶこともある。
• 基本関数のテイラー展開 (4.2.14) は覚えておくとよい 30
n
n
n
xn
f
0
)(
!
)0(
n
n
n
axn
af)(
!
)(
0
)(
テイラー展開(2)• テイラー展開は関数を整級数として表す。
したがって有限項の部分和は多項式で表され、関数の近似値を与える
• 多項式なので、加減乗除だけで計算できる• したがって関数値を具体的に計算する方法とし
て、実用的にも理論的にも極めて重要!• ただし、収束速度については関数によりかなり
の違いがある。– 遅い場合には加速法などの工夫が必要– 実際のインプリメントでは、あらかじめ計算した表
を用意するなど、様々な工夫がなされる。 31
例
• sin 1 (=0.8414...) を求める。
• e (=2.71828...) を求める。
32
!5
1
!3
11...8416.01sin...8414.0
!7
1
!5
1
!3
11
!7!5!3sin
753
めることで:第3項、4項までを求
xxx
xx
(下からの評価)から順にとして、
e
nx
xxxxxex
...,71825.2...,71805.2...,71666.2
51!5!4!3!2
15432
テイラー展開(3)
• 関数の和・差のテイラー展開は、テイラー展開の和・差
– 収束半径は、2つの収束半径の小さい方• 積についても同様だが、整級数の形に
整理するのは面倒33
n
n
nn
n
n
nn
n
n
xn
gfxgxf
xn
gxgx
n
fxf
0
)()(
0
)(
0
)(
!
)0()0()()(
!
)0()(,
!
)0()( のとき
テイラー展開(4): 関数の合成• g(x) が x の整式なら
に対し
が成り立つ。– ただし、整級数 の形に直すに
は、項を適当に整理する必要がある。– もとの級数の収束半径が r なら
で収束するのだから、 ( ) ☆ は で収束する 34
n
n
n
xn
fxf
0
)(
!
)0()(
)()}({!
)0())((
0
)(
☆n
n
n
xgn
fxgf
n
nnxa
0
rx ||0rxg |)(|0
前スライドの例•
• で x→x2 とすると
項別積分して:
• これは円周率計算などで用いられる– x=1 でも収束し、
(ライプニッツ・グレゴリーの公式:収束は遅い)35
rxn
fxf
xxg n
nn
n
2,!2
)0(
22)(
0
)(
収束半径なら
32
0
1)1(1
1xxxx
x n
nn
642
0
22
1)1(1
1xxxx
x n
nn
75312
)1(arctan
753
0
12 xxxxx
nx
n
nn
7
1
5
1
3
111arctan
4
テイラー展開(5)• 一般のテイラー展開:• 例:
• この収束半径は• これにより、 f (x) がテイラー展開で
表せる範囲を広げていける(=解析接続)
36
n
n
n
axn
afxf )(
!
)()(
0
)(
16
)1(
8
)1(
4
)1(
2
1
2
)1()(
2
1
!
)1(
)1(
!)(
)1|(|11
1)(
32
01
1
)(
1)(
32
0
xxxxxf
n
f
x
nxf
xxxxxx
xf
nn
n
n
n
nn
n
n
したがって
だから
)13(2 x
多項式(整式)、2項定理
• f (x) が多項式(整式)なら、展開式がそのままテイラー展開– 2項定理はその具体例 (収束半径は∞)
– f (x) で x=y+a と置いて y で整理すれば、 y=a でのテイラー展開になる
37
kn
k
knkn
kn
k
kn xaCx
k
faxxf
00
)(
!
)0()()(
kn
k
kk
n
kk
kn
kk y
k
afayaxaxf
0
)(
00 !
)()()(
一般の2項定理 (4.2.19)
• 2項定理の n を自然数でなく、任意の実数としたもの
– α が自然数でなければ収束半径は 1– これを用いて様々な関数が表せる
–ニュートンの微積分研究は、この一般の2項定理が中心的役割を果たしている 38
!
)1()1(,)1()(
0 n
nCxCxxf n
n
kn
等々2
2
1
1,1),1(
1
1),2/1(1
xx
xx
項別微分・積分
• 収束半径内では(一定の条件のもとで)項別に微分・積分できる。 (4.2.17)–普通の関数については可能
– 一般の関数列の項別積分については (4.3.9), (4.3.10), (4.3.15) 参照
– 項別微分についてはもっと条件が面倒になる
• 収束円上での収束 (4.2.21): 省略39
数列・級数の計算: Excel• 図のように B 列に n,
D 列に部分和を計算する式を入れる
• n は関数 row() を使って作ると扱いやすい
• D 列では上のセルと左のセルの和をとる• C 列に数列の項 an を計算する式を入れる• あとは 5行の内容を必要なだけコピーする
40
数列・級数の計算: Matlab (1)• 部分和を作る• n の値のベクトル nvec を作る
– n = 10; nvec = (1:n)’; % 縦ベクトル• 数列 a(n) を作る。 例: a(n) = 1/n^2
– an = 1./nvec.^2;
• 和を計算する– sum(an)
41
数列・級数の計算: Matlab (2)• 部分和列も作る(前スライドの続き)
– Sn = zeros(n, 1); Sn(1) = an(1);– for k=2:n; Sn(k) = Sn(k-1) + an(k); end;– [nvec Sn]
• symbolic モードで記号計算– syms n;– symsum(1/n^2, n, 1, inf); % inf は ∞ の意味
42