21
小樽港 おたるこう 本港 ほんこう 地区 防 波 堤 整 備 事 業 再評価原案準備書説明資料 平成 26 年度 北海道開発局 資料2-4(1)

小樽港 本港地区 防 波 堤 整 備 事 業 · -小樽港本港地区 2 - 港の港勢 小樽港輸移出入別取扱貨物量の推移 458 496 481 455 417 5,064 4,376

  • Upload
    others

  • View
    15

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

小樽港おたるこう

本港ほんこう

地区ち く

防 波 堤 整 備 事 業

再評価原案準備書説明資料

平成 26 年度

北海道開発局

資料2-4(1)

目 次

1.事業の概要 …………………………………………… 1

(1)事業の目的 ……………………………………… 1

(2)事業の経緯 ……………………………………… 8

(3)事業の概要 ……………………………………… 9

2.事業の必要性等 ………………………………………10

(1)本整備事業により期待される効果 ……………10

(2)定量的な効果 ……………………………………11

(3)定性的な効果 ……………………………………13

(4)費用対効果の算定結果 …………………………15

3.事業の進捗の見込み …………………………………18

4.対応方針(案) ………………………………………19

-小樽港本港地区 1 -

(1)事業の目的

○港の概要

小樽港は、積丹半島の東側に位置し、小樽市が管理する

重要港湾です。本港は北海道の政治・経済の中心地札幌を

始めとする後志圏の経済、産業、生活を支える日本海側の

流通拠点港湾として重要な役割を担っています。

小樽港のフェリー航路は、昭和45年に舞鶴港・敦賀港と

の間に日本海側初の長距離フェリー航路として開設され、

現在では昭和49年に開設された新潟港との航路を加えて週

13便が運航されており、北海道と北陸、関西地方とを結ぶ

大動脈となっております。

また、平成23年には外航クルーズ(背後観光地クルーズ)

の日本海側拠点港に伏木富山港及び舞鶴港と共に指定され、

環日本海クルーズのブランド化を進めております。

1.事業の概要

小樽港全景 小樽港

小樽港位置図

-小樽港本港地区 2 -

○港の港勢

小樽港輸移出入別取扱貨物量の推移

458 496 481 455 417

5,0644,376 4,441 5,065 4,668

6,295

5,768 5,802

6,4626,054

12,234

10,718 10,830

12,09611,247

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

H20 H21 H22 H23 H24

(千トン

)

輸出 輸入 移出 移入 計

(単位:トン)

貨物内訳(平成 24 年実績)

フェリー

10,192,800

90.6%

重油

160,717

1.4%

143,017

1.3%

114,852

1.0%

完成自動車

88,750

0.8%

とうもろこし

82,094

0.7%

セメント

70,929

0.6%

その他

393,859

3.5%

平成24年

港湾取扱貨物量

合 計

11,247,018トン

-小樽港本港地区 3 -

入港船舶隻数の推移

小樽港フェリー貨物移出入別取扱貨物量の推移

4,8334,184 4,255 4,842 4,461

5,917

5,389 5,461

6,1265,732

10,749

9,573 9,716

10,96810,193

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

H20 H21 H22 H23 H24

(千ト

ン)

移出 移入 計

854447 455 503 512

1,491

1,407 1,340 1,439 1,445

556

508 528 542 551

2,380

2,104 1,948 1,832 1,440

12

9050 92

93

485

385309 306

347

12,60711,583 11,813

12,269 12,266

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

H20 H21 H22 H23 H24

(千総

トン

(千ト

ン)

外航商船 内航商船 内航自航 漁船 避難船 その他 総トン数

-小樽港本港地区 4 -

小樽港に入港するダイヤモンドプリンセス(平成 26 年 6 月 7 日)

9 9 1014 14 15

129

0 15

2 35

7

28

0

5

10

15

20

25

30

35

40

H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

(隻

数)

国内船 外国船

クルーズ船の入港隻数の推移

-小樽港本港地区 5 -

○事業の目的

小樽港の防波堤(北)は、日本初の本格的外洋防波堤とし

て築造され 100 年以上が経過し、水中部のブロックの散乱や

捨石マウンドの洗掘等により、波浪に対する脆弱性が高まっ

ております。防波堤(北)が破損した場合、小樽港の港湾取

扱貨物の約9割を占めるフェリーの航路存続が困難となる

ことから、防波堤(北)の改良整備は喫緊の課題となってい

ます。また、本港では港内静穏度が不足しており、フェリー

運航の定時性確保や荒天時において本港沖合を航行する貨

物船の避難に必要な避泊水域の確保が求められております。

本事業では、こうした問題に対処するため、防波堤の機能

回復や港内静穏度の向上を目的とし、防波堤を改良・延伸整

備を、平成17年度から現地着工しています。

なお、防波堤(北)は日本における近代港湾の草創期(明

治時代)に考案された斜塊式構造の特殊な防波堤※1であり、

土木遺産、北海道遺産に選定されるなど歴史的な財産価値

が高い土木構造物であることから、主構造部を可能な限り

残し、歴史的な財産価値を守りながら機能の回復を図って

います。 ※ 近代港湾の父と呼ばれる廣井勇博士により明治後期に設計・施工された斜塊式構造

の小樽港北防波堤は、我が国初の本格的な外洋防波堤で、築造後 100 年以上経過し

た歴史的構造物です。

目 的

防波堤の改良・延伸により、歴史的価値を保存しな

がら防波堤の機能回復と港内静穏度の向上を図り、

岸壁利用の利便性・安全性の向上や本港沖合を航行

する貨物船の避難に必要な避泊水域の確保を図る。

事業名 小樽港本港地区防波堤整備事業

-小樽港本港地区 6 -

○防波堤(北)の現状 防波堤(北)は建設から 100 年以上経過した現在でも小樽港

の第1線防波堤として小樽市経済の発展に重要な役割を果たし

ております。しかし、過年度に実施した海中部の調査によると基

礎捨石の洗掘や防波堤前面の捨塊が散乱しているなど、波浪

に対する脆弱性が高まっております。

このため、改良整備を行わなければ波力の低減が期待でき

ず、特に斜塊部については直接波力を受けることになるため、

本体のブロック自体が破損する危険性が高まっています。

防波堤(北)の水中部の状況

防波堤(北)斜塊部の構造

港内側

港外側

捨塊の散乱

捨石の洗掘

マルチビームによる計測(H17)

斜塊部の状況写真

-小樽港本港地区 7 -

防波堤(北)の現状のイメージ

-小樽港本港地区 8 -

(2)事業の経緯

平成10年度 事業採択

平成11年度 小樽港北防波堤改良手法検討会の設置

平成14年度 5年未着工による再評価の実施※

平成17年度 現地着工

平成19年度 再評価の実施

平成23年度 再評価の実施

平成26年度 再評価の実施

平成37年度 事業完了予定

※北防波堤は日本における近代港湾の草創期(明治時代)に考案さ

れた斜塊式構造の特殊な防波堤であり、また、各種遺産の選定に

より歴史的価値が高まり、主構造部を可能な限り残すことができ

る改良工法が必要となったため、平成 11 年度に「北防波堤改良

手法検討会」を設立して様々な調査・検討を行っていました。

このため、事業採択から現地着工までに多大な時間を要すること

となり、「国土交通省所管公共事業の再評価実施要領」に従い、

平成 14 年度に「事業採択後5ヶ年未着工」のため再評価を実施

しました。

-小樽港本港地区 9 -

(3)事業の概要

○施設規模

事業主体 施設名 規模 整備期間

防波堤(北)(改良) 1,279m 平成 10 年度~平成 32 年度

防波堤(北副)(改良) 265m 平成 33 年度~平成 36 年度

防波堤(北副)(延伸) 100m 平成 35 年度~平成 37 年度

○総事業費 80億円

○残事業費 53億円(平成27年度以降)

○整備予定期間 平成10年度~平成37年度

○整備進捗率 34%

防波堤(北)(改良)

小樽港(本港地区)

防波堤(北副)(改良)

防波堤(北副)(延伸)

-小樽港本港地区 10 -

(1)本整備事業により期待される効果

※ 小樽港の防波堤整備事業には「港内静穏度の確保」「歴史的価値の保

存」という二つ目的があり、前回再評価(H23 年度)では、「歴史的価

値の保存」に着目し、これを小樽市民を対象としたCVM(仮想的市

場評価法)により定量化しておりましたが、今回は「港内静穏度の確

保」に着目し評価することとしました。

2.事業の必要性等

本整備事業により期待される効果 ○定量的な効果

A.輸送コストの削減 (年間1,009百万円)

B.海難の減少 (年間 176百万円)

○定性的な効果

C.フェリー運航の安定性確保

D.航行・係留船舶の安全性向上

E.背後地の浸水被害と資産被害の回避

F.歴史的構造物の財産価値存続と次世代への継承

-小樽港本港地区 11 -

(2)定量的な効果

A.輸送コストの削減 本整備事業の実施(防波堤の改良整備)により、港内静穏度

が確保され、陸上輸送距離の長い代替港(苫小牧港)利用する

のでなく、小樽港を利用したフェリー貨物の輸送が維持される

こととなり、輸送コストの増加が回避されます。

○陸上輸送コストの削減便益 輸送車両台数(台)×陸上輸送削減距離(km/台)×輸送単価(円/km)

○輸送時間コストの削減便益 フェリー貨物量(トン)×陸上輸送削減時間(h)×輸送単価(円/トン・h)

年間1,009百万円の輸送コスト削減

without 時 with 時

○利用者の声(フェリー船社)

小樽港では現状においても静穏度の悪化により船体動揺が発生し、荷役時間の増大や乗船の中断

等が頻繁に発生している。こうした状況のなか、防波堤(北)の機能が低下すると、フェリーの安

全かつ安定的な運航に支障が生じ、小樽港からのフェリー就航は不可能となることから早急な対応

を望む。

-小樽港本港地区 12 -

B.海難の減少

本整備事業の実施(防波堤の改良・延伸整備)により、港内

静穏度が確保され、荒天時において小樽港沖を航行する貨物船

の避難場所として利用することが可能となり、海難事故による

損失回避が図られます。

○海難の損失回避便益 荒天時における避難船収容隻数(隻/回)×年間荒天回数(9.6 回)

×損失額(円/隻)

年間176百万円の海難による損失回避

without 時 with 時

○利用者の声(港湾管理者)

小樽港では、荒天時に沖合を航行する船舶の避難実績があり、海難事故の防止に寄与している。

こうした需要は引き続き高いものがあり、防波堤の改良・延伸整備により防波堤の機能を維持し、

なおかつ、港内静穏度の向上を図ることは、小樽港の避難船の受入機能強化のためにも重要である

と認識している。

-小樽港本港地区 13 -

(3)定性的な効果

C.フェリー運航の安定性確保

小樽港ではフェリー岸壁の静穏度不足から、平成 24 年度実

績でタグボートによる荷役支援が 20 回、入出港時の遅延が1

隻当たり 48 回発生しております。また、旅客については船体

の動揺により、車両が利用するランプウェイから乗降するなど、

サービス低下が問題となっております。

本整備事業の実施により、フェリーの定時運航に対する安定

性が確保されるとともに、荷役や旅客の乗下船に対する安全

性・利便性の向上も図られます。

D.航行・係留船舶の安全性向上

小樽港では港内静穏度の不足から、港内における船舶の航

行・係留に支障を来しており、荒天時には船体の動揺や係留ロ

ープの切断などの被害が発生しております。

本整備事業の実施により、防波堤が改良・延伸整備されるこ

とで、港内静穏度が向上し、船舶の航行・係留・離接岸時の安

全性が向上します。

E.背後地の浸水被害と資産被害の回避

小樽港の臨海部周辺には小樽運河をはじめとして多くの観光

施設が集積しており、年間約 660 万人(H24 年度実績)の観光客

が訪れております。また、海洋性レクリエーションの拠点とし

て、観光船、プレジャーボート、ヨット等が利用しております。

防波堤(北)が破損すると波浪の影響により観光施設等の浸水

被害が発生し、小樽市の産業経済に大きな打撃を与えることが

予想されます。

本整備事業の実施により、防波堤が改良整備されることで、

臨海部背後に位置する観光・レジャー施設の安全性が確保され、

浸水による資産被害の回避が図られるほか、小樽市の観光振興

に大きく寄与することが期待されます。

-小樽港本港地区 14 -

F.歴史的構造物の財産価値存続と次世代への継承

小樽港の防波堤(北)は、近代港湾の父である廣井勇博士に

より我が国初の本格的な外洋防波堤として建設され、北海道発

展の礎となった防波堤です。100 年以上の歳月を経た現在でも

小樽港の第1線防波堤として重要な役割を果たしており、今後

も日本土木史に残る貴重な財産として後世に引き継ぐことが必

要です。

本整備事業の実施により、防波堤が改良整備されることで、

歴史的な構造物としてその財産価値の存続が図られるとともに、

「土木遺産」や「北海道遺産」として次世代へ継承されます。

-小樽港本港地区 15 -

(4)費用対効果の算定結果

○全体事業

●条件

基準年 供用期間

平成26年度 50年

●総費用(単純合計) (億円) ●総便益(単純合計) (億円)

整備施設 数量 事業費 便益内容 便益額

防波堤(北)(改良)

防波堤(北副)(改良)

防波堤(北副)(延伸)

1,279m

265m

100m

45.9

20.2

14.4

○輸送コストの削減

○海難の減少

○残存価値

504.5

88.1

1.3

合計 80.5 合計 593.9

※1.端数処理のため、各項目の金額の和は、必ずしも合計とはならない。

●総費用(現在価値化後) (億円) ●総便益(現在価値化後) (億円)

総費用(C) 71.9 総便益(B) 165.5

●算定結果

費用便益比

(CBR) B/C=

便益の現在価値(B)

費用の現在価値(C)=

165.5

71.9 = 2.3

●感度分析

変動要因 基本ケース 変動ケース 費用便益比

需要 2.3 ±10% 2.1~2.5

事業費 2.3 ±10% 2.2~2.4

事業期間 2.3 ±10% 2.2~2.4

-小樽港本港地区 16 -

○残事業 ●条件

基準年 供用期間

平成26年度 50年

●総費用(単純合計) (億円) ●総便益(単純合計) (億円)

整備施設 数量 事業費 便益内容 便益額

防波堤(北)(改良)

防波堤(北副)(改良)

防波堤(北副)(延伸)

508m

265m

100m

18.2

20.2

14.4

○輸送コストの削減

○海難の減少

○残存価値

200.3

88.1

1.3

合計 52.8 合計 289.7

※1.端数処理のため、各項目の金額の和は、必ずしも合計とはならない。

※2.「数量」は、現場着工した整備施設の事業費による換算数量とする。

●総費用(現在価値化後) (億円) ●総便益(現在価値化後) (億円)

総費用(C) 36.6 総便益(B) 80.6

●算定結果

費用便益比

(CBR) B/C=

便益の現在価値(B)

費用の現在価値(C)=

80.6

36.6 = 2.2

●感度分析

変動要因 基本ケース 変動ケース 費用便益比

需要 2.2 ±10% 2.0~2.4

事業費 2.2 ±10% 2.0~2.4

事業期間 2.2 ±10% 2.2~2.3

-小樽港本港地区 17 -

○前回評価との比較

前回評価

(H23 再評価)

今回評価

(H26 再評価) 備考

事業費

(億円) 79 80 消費税の増税による

整備予定期間 平成 10 年度~

平成 30 年代前半

平成 10 年度~

平成 37 年度

港湾予算の削減により工事の進捗が遅れているため

便

世帯数 66,120 世帯

(平成 30 年代前半)―

定量的効果の一部見直しによる(CVM の基礎指標)

便益対象

貨 物 ―

961 万トン/年

(平成 38 年度)

定量的効果の一部見直しによる(輸送コスト削減の基礎指標)

避泊回数

2 隻

11.1 回/年

(平成 30 年代前半)

2 隻

9.6 回/年

(平成 38 年度)

年間荒天回数の見直しによる(北海道周辺海域を細分化して設定)

便益

(単純合計)

(億円)

284 594 定量的効果の一部見直

しによる

B/C 1.4 2.3 定量的効果の一部見直

しによる

-小樽港本港地区 18 -

○平成10年度から平成26年度までの整備状況

※「数量」は、現場着工した整備施設の事業費による換算数量とし参考値とする。

○事業の進捗の見込み

本事業にかかる関係機関との調整は整っています。

事業が順調に進んだ場合には、平成37年度の完了を予定して

います。

3.事業の進捗の見込み

施設名 全体事業 実施済事業 残事業 進捗率 備考

防波堤(北)

(改良)

事業費 46 億円 28 億円 18 億円60.3% 継続

数量 1,279m 771m 508m

防波堤(北副)

(改良)

事業費 20 億円 - 20 億円0% 継続

数量 265m - 265m

防波堤(北副)

(延伸)

事業費 14 億円 - 14 億円0% 継続

数量 100m - 100m

-小樽港本港地区 19 -

本港地区防波堤整備の必要性や要請に変化はなく、費用

対効果等の投資効果も確保されていることから、本事業を

継続します。

4.対応方針(案)