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取水口に、晶氷が流入したため、取水障害が発生 寒地土木研究所寒地河川チームでは、真勲別頭首工で平成25年1月に発生した取水障害 を契機に、晶氷流下による取水障害を未然に防ぎ冬期間における取水施設の維持管理に 役立てるため、北見工業大学、旭川開発建設部と協同で、平成25年度から調査研究を進 めています。 平成25年度は、取水施設周辺において「河川がどのように結氷するのか?」「いつ晶氷 は発生または流下するのか?」の2点に着目して、以下の現地観測を実施しました。 真勲別頭首工(天塩川水系名寄川) 取水施設周辺における現地観測 取水口 取水口 観測機器の配置図(調査期間:平成25年12月~平成26年3月) 【資料提供】北見工業大学、旭川開発建設部 【資料提供】北見工業大学、旭川開発建設部 開水面 平面流速観測 (ADCP) ADCP(固定) SWIP(固定) 水位計(1台) 水位計(1台) 水温計(4台) サーモグラフィ 可視カメラ ADCPによる 上流の流況、 河床測定 可視カメラ 大気圧補正計(室内) 気温計(屋外)

真勲別頭首工(天塩川水系名寄川) 取水施設周辺に …river.ceri.go.jp/contents/ice/icejam2-2.pdf12月15日付近に見られるADCPとSWIPの欠測は重機による

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取水口に、晶氷が流入したため、取水障害が発生

寒地土木研究所寒地河川チームでは、真勲別頭首工で平成25年1月に発生した取水障害を契機に、晶氷流下による取水障害を未然に防ぎ冬期間における取水施設の維持管理に役立てるため、北見工業大学、旭川開発建設部と協同で、平成25年度から調査研究を進めています。

平成25年度は、取水施設周辺において「河川がどのように結氷するのか?」「いつ晶氷は発生または流下するのか?」の2点に着目して、以下の現地観測を実施しました。

真勲別頭首工(天塩川水系名寄川)取水施設周辺における現地観測

取水口

取水口

観測機器の配置図(調査期間:平成25年12月~平成26年3月)

【資料提供】北見工業大学、旭川開発建設部【資料提供】北見工業大学、旭川開発建設部

開水面平面流速観測(ADCP)

ADCP(固定)SWIP(固定)水位計(1台)

水位計(1台)水温計(4台)

サーモグラフィ可視カメラ

ADCPによる上流の流況、河床測定

可視カメラ大気圧補正計(室内)気温計(屋外)

平成25年度観測結果の概要

【資料提供】北見工業大学、旭川開発建設部【資料提供】北見工業大学、旭川開発建設部

:放射:放射+対流:放射+対流+Anchor Ice:放射+対流+Anchor Ice +降雪:放射+対流+Anchor Ice +降雪+流水(※現地で発生する晶氷厚)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 320.00.20.40.60.81.01.21.41.61.82.0

2013 年 12 月の日付 [day]

発生晶氷厚

の計算値

[cm

/hou

r]

カメラ画像による晶氷発生確認時期

水表面が河氷で覆われる

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32-15-10

-505

気温

[°C]

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 3202468

10 0246810

風速

[m/s

]

降雪深

[cm

/hou

r]

○現地観測により、晶氷の発生時期と気象条件の関係を把握することができた。

晶氷発生計算モデルの妥当性を確認するため、図-1.2の現地観測と図-3の計算値との比較を行った。現地観測で晶氷の発生が確認できた平成25年12月における晶氷発生計算モデルによる発生晶氷厚の計算結果を示す。図中には、晶氷の発生要因毎の計算値がわかるように、放射、対流、アンカーアイス、降雪、流水による晶氷の融解に区分して示した。また、最終的な計算値を赤色で示し、現地観測により得られた晶氷発生時期を緑色で示した。晶氷の発生要因毎の計算結果を相対的にみると、放射は変動が少なく、対流は気温が低下し風があると急激に増加する。アンカーアイスは気温が低くなると増加し、降雪はその発生により急激に増加することが分かる。流水による晶氷の融解は、気温による影響が大きい。現地で晶氷発生が確認された時期において、発生晶氷厚が大きくなっており、本計算モデルは晶氷発生現象を表現できている。

図-1 可視カメラ画像による晶氷発生状況(平成25年12月)

12月3日~4日気温の低下により晶氷発生

12月14日~15日降雪により晶氷発生

12月20日~22日降雪後の気温の低下により晶氷発生

12月15日付近に見られるADCPとSWIPの欠測は重機による

晶氷除去の影響と考えられる。

図-2 固定機器の観測結果(平成25年12月6日~31日)

図-3 平成25年12月の晶氷発生の計算値

0.0

-20.0

-40.0

20.0

気温(℃)

気温

12/6

2

4

6

8

10

012/11 12/21 12/3112/2612/16

1時間降雪量(cm)

降雪

気温低下

12/6 12/11 12/21 12/3112/2612/16

100.9

100.4

99.9

99.4

98.9

101.4

101.9

標高(m)

100.9

100.4

99.9

99.4

98.9

101.4

101.9

標高(m)

ADCP流速(流下方向)

SWIP晶氷

流速(cm/sec)

反射強度(count)

-65535

-61343

-49151

-40959

-32348

-24516

-14384

-8192

-0

20.017.515.012.510.07.55.02.50.0-2.5-5.0

ボトムトラッキング(河氷底面高)

水位

2013.12.04 06:44 晶氷発生

2013.12.14 06:55 晶氷発生

2013.12.15 07:15 晶氷発生2013.12.15 07:15 晶氷発生

2013.12.15 09:19 晶氷除去

2013.12.20 09:59 晶氷発生

2013.12.22 06:51 晶氷発生

2013.12.22 13:55 晶氷滞留

2013.12.23 10:51 晶氷初期

2013.12.03 07:12 晶氷発生

2013.12.01 09:08 晶氷なし取水口取水口

頭首工 流れ方向