4
u.D.C.るd9.15.2る_194 13Cr 一再 性〟 Weldability of13Cr Cast Steels 三* 次* K6z60gava Shigetsugu Asakura 潔** KiyosbiWatanabe 含Ni13Cr鋳鋼溶接熱影響部の切欠靭性を溶接熱サイクル再現試験法により調査した。その結果マルテソサ イト変態温度域における冷却速度が小さいほど,また多重熱サイクル間あるいは後熱開始前の温度がMs点 よりMf点に近づくほど衝撃値が高く,また衝撃値は最初の熱サイクルによって生じたマルテソサイトの焼戻 しに相当するつぎの熱サイクルのピーク温度あるいは後熱温度に依存する傾向が強く,それらの温度が650℃ 近傍であると脆化が起るなどを明らかにした。 表1 供試鋳鋼の化学組成(%) 1.緒 13Cr鋳鋼のように焼入硬化性の大きい材料の溶接に際してまず 着目しなければならないことは,溶接割れの防止であるが,もう一 つの重要な問題は切欠靭性ならびに延性のすぐれた溶接部を得るこ とである。他の問題は別の機会にゆずることにし,ここでは母材熱 影響部の切欠靭性について述べる。 13Cr鋳鋼では溶接熟影警部の切欠靭性が受ける溶接熱サイクル の条件,すなわち熱サイクルのピーク温度,冷却速度,パス間温度, 熱サイクル温度の組合わせ,後熱温度などによってかなり大幅な変 化を示すことが考えられる。すでに13Cr鋼の溶接については多く の研究があるが(1)~(4),これら溶接試験什による方法では,この辺の 複雑な関係を正確に知ることは困難である。そこでこれらを詳細に 調べるために熱サイクル再現装置を用いて供試鋳鋼に各種の熱サイ クルを与え,切欠靭性との関係を明らかにしたものである。 2.実 2.1供 本オ 表1は供試鋳鋼の化学組成を示すr) これらはいずれも拡散焼鈍,焼入および焼戻を行なって供試され たものである。 2.2 溶接熱サイクル再現装置を用いて実測溶接熱サイクルを再現し, 1重ないし3重熱サイクルを与えた場合の最高加熱温度,熱サイク ル間の冷却温度(以下パス間温度と称する)ならびに後熱開始前の保 持温度,後熱温度などの影響を調べた。試験片には10mm角,90 mm長さのものを用い,これに直接通電して加熱し各種の熱サイク ルを与えたのち,シヤルピ衝撃試験片(2mmUノッチ)に加工し, 0℃で試験した。 2.2.1再現熱影響部の冷却速度 最高加熱温度1,200℃の1重熱サイクルを与えた後の冷却過程 におけるMs点付近の冷却速度と切欠靭性との関係を調べるため に350℃より冷却速度を種々変えて試験した。この試験に用いた 熟サイクルは,特記したものを除きすべて250℃予熱の場合のリ ーハイ形拘束割れ試験片熱影響部の加熱冷却曲線を再現させたも のである。図1は実測冷却曲線を示したものである。Ms~Mf点 間の冷却速度と切欠靭性との関係を調べるために用いた冷却曲線 を図中350℃より点線で示した。 2.2.2 再現熱サイクルの最高加熱温度 * 日立製作所日立研究所 ** 日立製作所日立研究所工博 13Cr 鋳鋼 記号 L.C H.C C 0.09 0.12 Si 0.43 0.50 Mn 0.49 0.55 P 0.025 0.028 S 0.009 0.010 Cu 0.19 0.23 Ni 0.69 0.72 Cr 12.00 12.30 0 0 <U nU ハリ O ハリ O nU ハU 爪U nU 2 ハU n入U 6 一月- 2 (ン) 剥一++「小 -ハイ汗jこう ご;六うで柑;のi甘よ (250□c予熱) ①①④④① 300℃におけるiて淵速度6.0■c/` 300ウcにおけるiて糊速度1.70C′≦ 300℃における 3000cにおける 卜し 0 5 0.3廿C/盲 0.10〔ン≦ 1 10 102 103 (s) 図1 再現熱サイクル試験に使用した冷却曲線 溶接熱影響部の最高加熱温度はボンドから離れるにしたがって 低下するが,このような最高加熱温度の変化が切欠靭性にどのよ うな影響を与えるかを1垂および2重熱サイクルを与えて調べ た。ボソドに接近した部分では溶融点付近まで加熱されるが,ピ ードが積層されるにしたがって溶接熱サイクルのピーク温度は低 +Fする。またボンドから離れた位置では最高加熱温度も低い。ボ ンドからの距離によって異なるこれらの熱サイクルの影響を調べ るためにここでは,(i)1重熱サイクルでピーク温度を600~ 1,200℃に変化させた場合と,(ii)最初1,200℃の熱サイクルを 与えた後600~900℃の範囲で第2熱サイクルを与えた場合とに ついて試験した。 2.2.3 倶持(後熟開始)温度ならびにパス間温度の影響 後熱開始前の保持温度およぴパス間温度によってマルチソサイ トの生成量が変わってくるので,これらの温度によって後熱およ び熱サイクルの効果も変わってくる。そこで1重熱サイクルを与 えた場合では後熱開始前の保持温度を,また3重熱サイクルを与 えた場合ではパス間温度をそれぞれMs~Mf点を含む100~350 ℃の温度範囲で変化させて切欠靭性およぴかたさに及ぼす影響 を調べた。多重熱サイクルではビータ温度の影響が大きいので3 重熱サイクルについてはピーク温度の異なった組合わせについて も試験した。 2.2.4 後勲温度の影響 1重および3重熱サイクルを与えた場合について後熱温度(後 ー77一

13Cr 鋳 鋼 溶 接 性ƒ‹ーーーーー一也400eC後熱 =----一一1500 後熱 ・・・・・ - 600 後難 150 ∧ > 0 2 0 00 いし 0 5 0 ′肌.40 ) 晰 爪‖V 300 3 0 4

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Page 1: 13Cr 鋳 鋼 溶 接 性ƒ‹ーーーーー一也400eC後熱 =----一一1500 後熱 ・・・・・ - 600 後難 150 ∧ > 0 2 0 00 いし 0 5 0 ′肌.40 ) 晰 爪‖V 300 3 0 4

u.D.C.るd9.15.2る_194

13Cr 鋳 鋼 の 溶 接 性一再 現 熱 影 響 部 の 切 欠 敵 性〟

Weldability of13Cr Cast Steels

小 川 浩 三* 朝 倉 重 次*K6z60gava Shigetsugu Asakura

渡 辺 潔**KiyosbiWatanabe

要 旨

含Ni13Cr鋳鋼溶接熱影響部の切欠靭性を溶接熱サイクル再現試験法により調査した。その結果マルテソサ

イト変態温度域における冷却速度が小さいほど,また多重熱サイクル間あるいは後熱開始前の温度がMs点

よりMf点に近づくほど衝撃値が高く,また衝撃値は最初の熱サイクルによって生じたマルテソサイトの焼戻

しに相当するつぎの熱サイクルのピーク温度あるいは後熱温度に依存する傾向が強く,それらの温度が650℃

近傍であると脆化が起るなどを明らかにした。

表1 供試鋳鋼の化学組成(%)

1.緒 口

13Cr鋳鋼のように焼入硬化性の大きい材料の溶接に際してまず

着目しなければならないことは,溶接割れの防止であるが,もう一

つの重要な問題は切欠靭性ならびに延性のすぐれた溶接部を得るこ

とである。他の問題は別の機会にゆずることにし,ここでは母材熱

影響部の切欠靭性について述べる。

13Cr鋳鋼では溶接熟影警部の切欠靭性が受ける溶接熱サイクル

の条件,すなわち熱サイクルのピーク温度,冷却速度,パス間温度,

熱サイクル温度の組合わせ,後熱温度などによってかなり大幅な変

化を示すことが考えられる。すでに13Cr鋼の溶接については多く

の研究があるが(1)~(4),これら溶接試験什による方法では,この辺の

複雑な関係を正確に知ることは困難である。そこでこれらを詳細に

調べるために熱サイクル再現装置を用いて供試鋳鋼に各種の熱サイ

クルを与え,切欠靭性との関係を明らかにしたものである。

2.実 験 方 法

2.1供 読 本オ

表1は供試鋳鋼の化学組成を示すr)

これらはいずれも拡散焼鈍,焼入および焼戻を行なって供試され

たものである。

2.2 実 験 方 法

溶接熱サイクル再現装置を用いて実測溶接熱サイクルを再現し,

1重ないし3重熱サイクルを与えた場合の最高加熱温度,熱サイク

ル間の冷却温度(以下パス間温度と称する)ならびに後熱開始前の保

持温度,後熱温度などの影響を調べた。試験片には10mm角,90

mm長さのものを用い,これに直接通電して加熱し各種の熱サイク

ルを与えたのち,シヤルピ衝撃試験片(2mmUノッチ)に加工し,

0℃で試験した。

2.2.1再現熱影響部の冷却速度

最高加熱温度1,200℃の1重熱サイクルを与えた後の冷却過程

におけるMs点付近の冷却速度と切欠靭性との関係を調べるため

に350℃より冷却速度を種々変えて試験した。この試験に用いた

熟サイクルは,特記したものを除きすべて250℃予熱の場合のリ

ーハイ形拘束割れ試験片熱影響部の加熱冷却曲線を再現させたも

のである。図1は実測冷却曲線を示したものである。Ms~Mf点

間の冷却速度と切欠靭性との関係を調べるために用いた冷却曲線

を図中350℃より点線で示した。

2.2.2 再現熱サイクルの最高加熱温度

*日立製作所日立研究所

**

日立製作所日立研究所工博

13Cr

鋳鋼

記号

L.C

H.C

C

0.09

0.12

Si

0.43

0.50

Mn

0.49

0.55

P

0.025

0.028

S

0.009

0.010

Cu

0.19

0.23

Ni

0.69

0.72

Cr

12.00

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剥一++「小 -ハイ汗jこう

ご;六うで柑;のi甘よ(250□c予熱)

①①④④①

水 冷

300℃におけるiて淵速度6.0■c/`

300ウcにおけるiて糊速度1.70C′≦

300℃における

3000cにおける

卜し05

0.3廿C/盲

0.10〔ン≦

1 10 102 103

時 間 (s)

図1 再現熱サイクル試験に使用した冷却曲線

溶接熱影響部の最高加熱温度はボンドから離れるにしたがって

低下するが,このような最高加熱温度の変化が切欠靭性にどのよ

うな影響を与えるかを1垂および2重熱サイクルを与えて調べ

た。ボソドに接近した部分では溶融点付近まで加熱されるが,ピ

ードが積層されるにしたがって溶接熱サイクルのピーク温度は低

+Fする。またボンドから離れた位置では最高加熱温度も低い。ボ

ンドからの距離によって異なるこれらの熱サイクルの影響を調べ

るためにここでは,(i)1重熱サイクルでピーク温度を600~

1,200℃に変化させた場合と,(ii)最初1,200℃の熱サイクルを

与えた後600~900℃の範囲で第2熱サイクルを与えた場合とに

ついて試験した。

2.2.3 倶持(後熟開始)温度ならびにパス間温度の影響

後熱開始前の保持温度およぴパス間温度によってマルチソサイ

トの生成量が変わってくるので,これらの温度によって後熱およ

び熱サイクルの効果も変わってくる。そこで1重熱サイクルを与

えた場合では後熱開始前の保持温度を,また3重熱サイクルを与

えた場合ではパス間温度をそれぞれMs~Mf点を含む100~350

℃の温度範囲で変化させて切欠靭性およぴかたさに及ぼす影響

を調べた。多重熱サイクルではビータ温度の影響が大きいので3

重熱サイクルについてはピーク温度の異なった組合わせについて

も試験した。

2.2.4 後勲温度の影響

1重および3重熱サイクルを与えた場合について後熱温度(後

ー77一

Page 2: 13Cr 鋳 鋼 溶 接 性ƒ‹ーーーーー一也400eC後熱 =----一一1500 後熱 ・・・・・ - 600 後難 150 ∧ > 0 2 0 00 いし 0 5 0 ′肌.40 ) 晰 爪‖V 300 3 0 4

498 昭和42年4月 日 止 評三′ゝ

自F田

蓑2 再現熱影響部の冷却速度と衝撃値

およびかたさとの関係

No.

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300℃におけ

る冷却速度

(℃/S)

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6.1.〇.〇.

衝 撃 値(kg-m/cm2)

L‾.占‾丁‾丘‾も

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ご-ク混在(二℃)

国2 衝撃値およびかたさに及ぼす1歪および

2重熱サイクルのピーク温度の影響

T=650℃

T=850℃

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400℃

第49巻 第4号

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∧‖VO 150 200 250 300 350 400

保 持 温 度L:℃)

図4 1重熱サイクノンを与えた場合の衝撃値およびかたさ

に及ばす保持温蜜ならびに後勲温度の影響(H.C材)

0

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50 100 150 200 250 300 350

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囲5 冷却温度とてルチンサイト変態量との関係

2

ハリ

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三400

)‾J

三300300℃における

冷却

速度:0・3℃/s 200

図3 2重熱サイクルで第2熱サイクルのピーク温度

が異なる場合の顕微鏡組織(×400)

ユ.

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l-一1し.-ノ「し

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100 150 200 250 300 350 400

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図6 第2および第3熱サイクルが異なる3重熱サイクルを

与えた場合の衝撃値およびかたさに及ぼすパス問温度の影響

-78-

虹l

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13Cr 鋳

ポl→← イ ブ ノン て〕憧 類

L.C

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200し

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,、*

図7 第2および第3熱サイ

1.2L)0′

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200し

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7′ンの最高加熱温覆

が異なる場f‡の厨徽錨組桟(※100)

しし一*

熱時間は10分間Jを変えて切欠靭性およぴかたさに及ぼす影響む

調べた二.1塵熱サイクルの場合は保持混生÷・100℃とし綬熱温度

を300℃~750℃に変化させた〕また3重燕サイクルの場合にほ

前項と同様に異なった組合わせの熱十/rクノしについてそれぞれパ

ス問および保持温度を200℃(Mfノー∴(付近).ナゴよぴ350℃(Msノブ烹以

上)後熱温度を300~600℃として試験した=

3.実験結果および検討

3.1再現熱影響部の冷却速度と衝撃値との関係

表2はL.CおよぴH.C材についてピーク温度1,200℃からの冷却

過程で冷却速度を変えた場合の衝撃値およぴかたさを示す。これら

の結果からわかるようにマルチンサイト変態の温度範四における冷

却速度によって衝撃値は大幅に変わるっ すなわち血の水冷した場

合ではいちじるしく低い衝撃値を示すが,冷却速度を′トさくしてい

くと次第に衝撃値は増大し,④の250℃予熱の場合の冷却速度では

L.CおよびH.Cのいずれも61(g-m/cm二前後のすぐれた値を示し

ているこ.またかたさについては冷却速度を遅くしてもわずかに低下

するのみで,いずれもHv400以上の値を示し,衝撃値が高いにも

かかわらずかたさは高い。

3・2 再現溶接熱サイクルにおける最高加熱温度の影響

図2はH.C材について1重および2垂熱サイクルを与えた場合

の衝撃値とかたさに及ぼすピーク温度の影響を示したものである、二

(1)1垂熱サイクルの場合

800℃で衝撃値が最高となるのほAcl′与(820℃)直下でもっと

も焼戻効果が大きく,炭化物が球状化するためと考えられるィ⊃ ま

た850℃でもっとも衝撃値が低下するのは急速加熱のA。1点が

855℃であることからして,この温度でほオーステナイト化が未

完了で組織が不均一であり,冷却過程で部分的に朕素含有量の高

いマルチンサイトを生ずるためと考えられる:=

(2) 2重熱サイクルの場合

1,200℃の熱サイクルを先行させたのち九If点以‾‾Fの100℃ま

で冷却した場合の2垂熱サイクルでは衝撃値ほ600~650℃でい

ちじるしく低下しノ,焼戻脆化を示している。また700℃以上では

1垂熱サイクルの場合と同じ傾向を示すが衝撃値の変化ほ少な

い。かたさはピーク温度がAcl点付近をこえると冷却過程で再び

の 溶 接 性 499

1,200て二

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0

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300 400 500 600 700 800

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L.し‾■

300 400 500 600 700 800

繕 嵐 ご■。...「空・「「'

図8 1垂熱サイクルを与えた場合の衝撃値

およびかたさに及ぼす後難温度の影響

マルテンサイトを生ずるので急激に増加する、つ 図3は2垂熱サイ

クルを与えた場合の顕微鏡組織を示したものである二

3.3 保持(後勲開始)温度およびパス間温度の影響

(1)1電熱サイクルの場合

図4は最高加熱温蛙1,200℃の1壷熱サイクルを与えた場合の

切欠靭性に及ぼす保持温度の影響を各後熱温度について図示した

ものであるこ)

300・~500℃の後熱では保持温度がMsノ、rえよりMf点に近づくほ

ど衝撃値が高まる。図5ほ1,200℃より冷却した場合の冷却温度

とてルチンサイト変態量との関係である。なお図4において600

℃後熱でほ保持温度が低くても衝撃値が低いのは後熱温度が脆化

温度範囲にあるためである.こ.また保持温度がMs点以上の場合に

は後熱後の冷却速度が大きく影響することは3.1で述べたとお

りであり,徐冷すれば保持温度を高くしても衝撃値の低下ほゆる

やかになる。かたさほ500℃以下の後熱では焼戻の効果が少ない

ため保持温度の影響が少ない。600℃後熱ではマルテンサイトの

焼戻による軟化の程度が大きいので,保持温度を下げててルテン

サイト変態量を多くするほど後熱によるかたさの低下が大と

なる。

(2) 3垂熱サイクルの場合

図るは2種類の3毛熱サイクルを与えた場合の衝撃値およびか

たさとパス問温度との関係を図示したものである。

図中に示すAの熱サイクルを与えた場合はL,C材,H.C材の

いずれもパス間温度をMf点付近まで下げたほうが衝撃値は高い。

Bの場合ではパス間温度を下げても第2熱サイクルで650℃付近

の脆化温度に加熱されるので衝撃値は向上せず,むしろ低下して

いる。かたさについてはAおよびBのいずれの熱サイクルでもパ

ス問温度が200℃以下でほHv300前後で比較的低いが,Ms点に

近づくはど高くなる。図7はこれらのどーク温度の異なる3重熱

サイクルを与えた場合の顧徴鎧組織である亡

3.4 後勲温度の影響

(1)1垂熱サイクルの場合

図8は最高加熱温度1,200の熱サイクルを与え100℃i・こ保持し

たのち300~750℃の範囲で後熱温度を変えた場合の切欠靭性な

らびにかたさを図示したものである。

切欠靭性に対してほL.C,H.Cのいずれも後熱温度が400℃よ

り高くなると低下し.650℃で最低となり,これを越えると高く

-79-

Page 4: 13Cr 鋳 鋼 溶 接 性ƒ‹ーーーーー一也400eC後熱 =----一一1500 後熱 ・・・・・ - 600 後難 150 ∧ > 0 2 0 00 いし 0 5 0 ′肌.40 ) 晰 爪‖V 300 3 0 4

500 昭和42年4月

2

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己二呂†熟サイクルB

⊥と 論評 第49巻 第4号

旨:≡‡鮒イクルAA,1-20搬B,

L.C

拉£L.C

*0.3℃/s at300℃

300 400 500 600

300 400 500

後 熟 温 度(℃)

600

(パス問および保持温度がMf点付近の場合)

図9 衝撃値およびかたさに及ぼす第2および

第3熱サイクルのど-ク温度と後熱温度の影響

なる。650℃の脆化については3.2に示されるように2重熱サイ

クルの場合と同様であり,加熱時間の影響はほとんどないことが

わかる。かたさはいずれも500℃までは変化しないが500℃を越

えると温度上昇とともに大きく低下する。

(2) 3垂熱サイクルの場合

(a)パス間温度および保持温度がMs点より低い場合

図9は2通りの3重熱サイクルを与えた場合について,衝撃

値およびかたさと後熱温度との関係を図示したものである。衝

撃値に対しては後熱温度の影響は300~600℃ではほとんどな

く熱サイクルのピーク温度の影響が大きい。すなわち650℃脆

化を示すようなBの熱サイクルを与えると衝撃値はかなり低い

が,Aの熱サイクルでは高い値を示す。

(b)パス問温度および保持温度がMs点より高い場合

図10は前項と同様に2通りの3重熱サイクルでパス問およ

び保持温度をMs点より高い350℃にした場合の結果を示した

ものである。この場合は後熱後の冷却以前にマルテンサイト変

態が生じないため2回目以後の熱サイクルのピーク温度を変え

ても組織の変化は起こらず,したがって前項の場合に現われた

熱サイクルの違いによる衝撃値の差は現われていない。また後

熱温度の影響も試験した範囲ではまったく認められない。これ

は後熱が短時間で,かつ低温のためいずれもオーステナイト→

パーライトの変態が起らないためである。

4.結 R

含Ni13Cr鋳鋼溶接熱影響部の切欠靭性に及ぼす溶接熱サイクル

の影響を調べるた捌こ種々の再現溶接熱サイクルおよび後熱を熱サ

(N∈U\El澄)聖獣襲

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*0.3℃/s at300℃

003 400 500 600

300 400 500 600

後 熱 温 度(℃)

(パス問および保持温度がMs点より高い場合)

図10 衝撃使およびかたさに及ぼす第2および

第3熱サイクルのピーク温度と後熱温度の影響

イクル再現装置によって与えて試験した。それらの結果のおもなも

のをとりまとめると次のとおりである。

(1)パス問温度および保持温度ともにMs点以上にしてAc8点

以上の熱サイクルを与えた場合,パーライト変態を生じな

い限り衝撃値はその後の熱サイクルあるいは後熱温度に関

係なく,主としてMs~Mf点付近における冷却速度に依存

し,その冷却速度ほ小さいほうが高い値を示す。

(2)後熱闘姶前の保持温度ならびにパス間温度がMs点より

Mf点付近まで低くなるほど衝撃値は高くなる(ただし次項

(3)の場合を除く)。

(3)最初Ac3点以上の熱サイクルを与えてMf点付近まで冷却

し,ついで二回目の熱サイクルのピーク温度あるいは後熱

温度が400℃を越えると脆化しはじめ,650℃付近でもっ

とも低い衝撃値を示す。

(4)パス間温度および保持温度をMf点付近にした多重熱サイ

クルにおいて最初Ac8点以上の熱サイクルを受けた場合,

衝撃値は主として引続いて受けるAc3点以下の熱サイクル

のピーク温度に支配され,そのピーク温度より低い温度で

は,たとえば,650℃付近の脆化温度に加熱されても切欠

靭性に及ぼす影響はほとんどない。

本研究を行なうにあたり,ご指導をいただいた日立製作所日立研

究所板木部長に深く感謝の意を表するとともに,熱心に実験を担当

された二瓶正恭君,種々ご援助いただいた日立製作所勝田工場竹入

部長,中村課長の方々に厚くお礼申しあげる。

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参 茸 文 献

H.Tbielsch.,:WeldingJリ30,(5),209s~250s,(1951)

安藤精一:溶接学会誌 21,(9),247~254頁(昭27)安藤精一:溶接学会誌 22,(3),83~89頁(昭28)

C.H.Kreischeretal:WeldingJ.,40,489s~496s,(1961)