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2. 杭工法
2.1 杭工法の分類
ここでは、当委員会において対象とする杭工法およびその分類を示す。
2.1.1 大分類(第 1 レベル~第 2 レベル)
当委員会においては、構造物基礎を直接基礎、杭基礎、ケーソン基礎および特殊
基礎に大別し (第 1 レベル )、そのうちの杭基礎を調査・設計の対象とした。
さらに、杭基礎を製造方法により既製杭および場所打ち杭に分類した (第 2 レベ
ル )。
構造物基礎
直接基礎
ケーソン基礎
杭基礎
鋼管矢板基礎
地中連続壁基礎
特殊基礎
複合基礎
水中基礎
既製杭
場所打ち杭
以下、次項へ
以下、次項へ
*当委員会の対象基礎
第1レベル 第2レベル 第3レベル
図-2.1.1 構造物基礎の大分類(第 1 レベル~第 2 レベル)
2.1.2 中、小分類(第 3 レベル~)
2.1.2.1 既製杭
既製杭は杭の設置方法により打込み杭と埋込み杭に分類し (第 3 レベル )、さらに、
施工方法により細分化した (第 4 レベル )。
(施工方法)(設置方法)
既製杭
打込み工法
埋込み工法
回転杭工法
打撃工法
プレボーリング併用打撃工法
振動工法
その他
打撃工法
根固め工法
拡大根固め工法
その他
プレボーリング工法
中掘り工法
その他
打撃工法
根固め工法
拡大根固め工法
その他
その他
第2レベル 第3レベル 第4レベル
図-2.1.2 既製杭における杭工法分類(第 3 レベル~第 4 レベル)
2.1.2.2 場所打ち杭
場所打ち杭は施工方法によりリバースサーキュレーション工法、オールケーシン
グ工法、アースドリル工法、BH 工法に大別し (第 3 レベル )、さらに、掘削方式によ
り細分した (第 4 レベル )。
(掘削方式)(施工方法)
場所打ち杭
リバースサーキュレーション工法
オールケーシング工法
アースドリル工法
翼ビット方式
ローラービット方式
その他
揺動式
全旋回式
リングカット+ロックオーガー
その他
第2レベル 第3レベル 第4レベル
BH工法
翼ビット方式
ローラービット方式
その他
図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第 3 レベル~第 4 レベル)
2.2 杭工法の選定
基礎形式は大別して直接基礎、ケーソン基礎、杭基礎、鋼管矢板基礎、地中連続
壁基礎、特殊基礎 (複合基礎、水中基礎 )に分けられる。しかし、ここでは、杭基礎
に限定して工法の選定について述べる。
杭の工法を決定する際の条件としては、施工条件、地質および地形条件、環境条
件、荷重条件が考えられる。
杭の工法はこれらの条件を満足するものを対象として、工費・工期等を考慮した
比較設計により決定されることになる。しかしながら、これらの選定条件の抽出や
各施工法の適合性の判断には高度の技術的判断が必要となり、設計者の設計・施工
の経験が重要となってくる。しかし、実際には工法全般に豊富な経験を持つ設計担
当者は限られており、これらの判断を補助する意味で各機関の設計基準等に、その
選定の方針が示されているのが現状である。
しかし、適合性に対する評価も各現場によって微妙に異なっており、また、工費
や工期などの条件に対する判断も複雑であるため、工法選定の手法を画一化するこ
とは困難である。したがって、ここでは、適当と思われる 2、3 種の工法の絞り込み
が可能な情報を、アンケート調査結果を基本として整理・修正し提供するものとし
た。
2.2.1 アンケート調査
杭工法選定に際し、杭工法の現状および最新の工法・知見の把握を目的とし、ア
ンケート調査を実施した。
アンケートは、既製杭および場所打ち杭に分けてそれぞれ実施した。
2.2.1.1 アンケート内容
アンケートの内容は、杭選定図表の選定項目に基づき決定した。
施工費については、施工条件および土質条件 (既製杭: 1 ケース、場所打ち杭: 2
ケース )を提示し、その条件で回答して頂く方式とした。また、自由提案として、荷
重条件のみ提示し、その荷重条件を満足する杭径・杭本数を回答していただく方式
も併せて実施した。
表-2.2.1~表-2.2.4 にアンケート調査票 (既製杭、場所打ち杭 )を示す。
表-2.2.1 アンケート調査票(既製杭)[1/2]
1.基本内容 4.環境条件 6.特許等の有無
2.杭工法および杭の種類
5.地形および地質条件
7.使用構造物種別
8.施工対応地区
3.施工条件
東北地区
全国
北海道地区
関東地区
北陸地区
CO2排出量の抑制対策
0~2m 2m以上
N値30~50 N値>50
15cm以上
拡大根固め工法
その他( )
中間層の
状態
粘性土
支持層の
状態
拡大根固め工法
その他( )
打撃工法
打撃工法
プレボーリング併用打撃工法
振動工法
その他( )
プレボーリング工法
中掘り工法
根固め工法
打撃工法
根固め工法
有(特許番号: )
無
NETIS 産業廃棄物の発生
打込み工法
30m地点 50m地点 有(登録番号: )
住所
商品名または工法名 10m地点 30m地点 50m地点 特許
会社名 騒音(db(a))
振動(db) 部署 10m地点
申請中
回答者 申請予定無
電話番号
水質汚染
申請予定無
有(登録番号: )
申請予定
N値<4 4~10 10~20
技術審査証明
有(特許番号: )
無
申請予定
申請中
橋梁基礎
件
5cm以下 5~10cm
擁壁基礎
実用新案
5cm以下 5~10cm 10~15cm ボックスカルバート基礎
年度
礫(玉石)
施工実績
開発年度N値<15砂質土
15~30 >30
10~15cm
建築基礎
その他 ( )
幅 B (m)
その他( )
回転杭工法
埋込み工法
傾斜30°以下 30°~45°
15cm以上
qu<1.0 1.0<qu
被圧地下水
流動地下水
3m/min以上
上限
下限
上限
施工対応可能
その他( )
施工対応可能
砂質土
礫玉石
土丹
(N/mm2)
杭長 (m)
地下水の
状態
地下水位が
地表面に近い
湧水量が
極めて多い施工実績
上限
施工実績
上限
下限
杭径 (mm)
下限
最小作業空間 (※1)
斜杭の施工最大角度 (°)
長さ L (m)
高さ H (m)
最近接距離 (m)
接地圧
(kN/m2)
施工可能な最大地表面傾斜角 (°)
【 次頁に続く 】 水上施工の実績水深 (m)
下限
施工機械 (※1)
本体全装備重量
(tf)
中部地区
九州地区
沖縄地区
関西地区
中国地区
四国地区
該当工法に○を記入
○:施工可能 △:対応可能 ×:施工不可能
該当箇所に○を記入
該当構造物種別に○を記入
※1:最小値~最大値を記入
該当施工対応地区にに○を記入
表-2.2.2 アンケート調査票(既製杭)[2/2]
8.施工に関する事項
※ 荷重条件(フーチング下面中心位置)
※ 自由提案における杭諸元
杭径
(mm)
杭本数
(本/基)
杭構成
上杭 中杭
地震時 17000 3400 34000
下杭
17000 0 0
(特有な条件があれば記入) (特有な条件があれば記入)
鉛直力
V (kN)
区分 標準案 自由提案
同左
見積要領 発注者向け提出見積 同左
(下記荷重条件を満足する杭径、本数)×2基分 (ただし、施工機械は1セットとする)
同左
作業時間 8時間(昼間)
杭長 30m
【 以上、ご協力ありがとうございました 】
施工能力 (m/日)
施工費
機械組立解体費
機械損料
備考
付帯工事 杭工事、各種試験などの付帯工事は含まない
施工条件
その他
施工場所 貴社より50km圏内
概要図
杭径・施工本数 φ600mm、25本×2基=50本 (ただし、施工機械は1セットとする)
その他
経費
使用用途 橋梁基礎
材料費
施工費
同左
水平力
H (kN)
モーメント
M (kN・m)
常時
同左
同左
3100 3200 3100
9400
L=30mφ600
50403020100
25
20
15
10
5
0 Bs
Ac
As1
As2
Ac
As3
Dg
9400
3100 3200 3100500
1100
1400
10500
300
1700
2000
13000
2500
12501250
10500 10500
施工基面 0 10 20 30 40 50
Bs
Ac
As1
As2
Ac
As3
Dg
0
5
10
15
20
25
3100 3200 3100
94009400
3100 3200 3100
500
1100
1400
10500
300
1700
2000
13000
2500
12501250
10500 10500
施工基面
表-2.2.3 アンケート調査票(場所打ち杭)[1/2]
1.基本内容 4.環境条件 6.特許等の有無
5.地形および地質条件
2.杭工法および杭の種類
7.使用構造物種別
3.施工条件
8.施工対応地区
四国地区
関西地区
中国地区
九州地区
沖縄地区
北陸地区
中部地区
東北地区
関東地区
全国
北海道地区
騒音(db(a)) 商品名または工法名 10m地点 30m地点 50m地点
特許 有(特許番号: )
無
部署 10m地点 30m地点 50m地点
NETIS
会社名
有(登録番号: )
住所 申請中 振動(db)
申請予定
回答者 申請予定無
CO2排出量の抑制対策 電話番号
申請中
申請予定無
N値<4 4~10 技術審査証明
有(登録番号: )
リバースサーキュレーション工法砂質土
10~20 申請予定
15~30N値<15
無
>30 実用新案
有(特許番号: )
礫(玉石)
中間層の
状態
粘性土
5~10cm 開発年度50cm以上
件
年度
施工実績
N値30~50 N値>50
10~15cm 15~50cm
5~10cm 10~15cm 15~50cm 50cm以上
橋梁基礎
qu<1.0
支持層の
状態
砂質土
礫玉石
土丹
(N/mm2)
傾斜施工対応可能
1.0~5.0 5.0<qu ボックスカルバート基礎
擁壁基礎
その他( )
岩
(N/mm2)
qu<5.0
30~60
5.0~15 15~30
その他 ( )
建築基礎
杭長 (m)
下限
60~80 80<qu
施工実績
上限
地下水の
状態
地下水位が
地表面に近い
幅 B (m)
長さ L (m)
上限
下限
30°以下 30°~45°
施工実績
上限
下限
杭径 (mm) 湧水量が
極めて多い
被圧地下水
施工対応可能
2m以上
拡底の比率
施工機械 (※1)
本体全装備重量
(tf)
高さ H (m)
最近接距離 (m)
流動地下水
3m/min以上
斜杭の施工最大角度 (°)
最小作業空間 (※1)
0~2m
接地圧
(kN/m2)
【 次頁に続く 】
施工可能な最大地表面傾斜角 (°)
拡底 (※1)施工の可否
翼ビット方式
ローラービット方式
その他(専用ビット(拡底))
揺動式
アースドリル工法
BH工法
翼ビット方式
ローラービット方式
その他( )
リングカット+ロックオーガー
その他( )
オールケーシング工法 全旋回式
上限
下限
該当工法に○を記入
○:施工可能 △:対応可能 ×:施工不可能
該当箇所に○を記入
該当構造物種別に○を記入
※1:最小値~最大値を記入
該当施工対応地区にに○を記入該当施工対応地区にに○を記入
表-2.2.4 アンケート調査票(場所打ち杭)[2/2]
8.施工に関する事項
※ 荷重条件(フーチング下面中心位置)
※ 自由提案における杭諸元
施工条件
使用用途 橋梁基礎 同左
見積要領
区分 標準案 自由提案
発注者向け提出見積 同左
杭径・施工本数 φ1500mm、9本×2基=18本 (ただし、施工機械は1セットとする) (下記荷重条件を満足する杭径、本数)×2基分 (ただし、施工機械は1セットとする)
施工場所 貴社より50km圏内 同左
杭長 実長22m 同左
主要材料 鉄筋:SD295A コンクリート:単位セメント量350kg/m 3 同左
作業時間 8時間(昼間) 同左
その他 (特有な条件があれば記入) (特有な条件があれば記入)
付帯工事 杭工事、各種試験などの付帯工事は含まない 同左
鉛直力
V (kN)
水平力
H (kN)
概要図
地震時
杭径 (mm)
モーメント
M (kN・m)
3400
見積条件(2) 見積条件(1)
34000
常時 0
杭本数 (本/基)
17000
17000
0
見積条件(2)
施工能力 (m/日)
見積条件 見積条件(1)
【 以上、ご協力ありがとうございました 】
備考
施工費
機械組立解体費
機械損料
材料費
施工費
その他
経費
9400
3100 3200 3100
500
1100
1400
10500
300
1700
2000
13000
2500
12501250
砂中に転石(φ500mm qu=100N/mm 花こう岩)を2
5%程度含む空掘り部分(3.0m)
施工基面
L=22mn=9本
φ1500
見積土質条件(2)見積土質条件(1)
As1
Ac
As2
Dg25
20
15
10
5
050403020100
BsAc
Dg
As3
Ac
As2
As1
AcBs
50403020100
25
20
15
10
5
0
10500 10500
9400
施工基面 0 10 20 30 40 50
BsAc
As1
As2
Ac
As3
Dg
0 10 20 30 40 50
BsAc
As1
Ac
As2
Dg
0
5
10
15
20
25
0
5
10
15
20
25
砂中に転石(φ500mm qu=100N/mm 花こう岩)を2
5%程度含む
見積土質条件(1) 見積土質条件(2)
3100 3200 3100
500
1100
1400
10500
300
1700
2000
13000
2500
12501250
10500 10500
3000
2.2.1.2 アンケート結果
(1) 回答比率
1) 全体
全回答件数は 55 件であり、既製杭は 42 件、場所打ち杭は 12 件であった。
2) 既製杭
回答に占める既製杭の各工法の割合を図-2.2.1 に示す。
既製杭の内訳は、打込み工法 1 件、埋込み工法 30 件 (プレボーリング工法 26 件、
中掘り工法 2 件、その他 2 件 )、回転杭工法 10 件であり、その他工法が 1 件であっ
た。
打込み工法(鋼管杭)
1件(2%)
プレボーリング工法
(既製コンクリート杭)
6件(14%)
プレボーリング工法(鋼管杭)
20件(48%)中掘り工法(鋼管杭)
2件(5%)
回転工法(既製コンクリート杭)
1件(2%)
回転工法(鋼管杭)
9件(22%)
その他(ソイルセメント鋼管杭)
2件(5%)
その他
1件(2%)
図-2.2.1 既製杭の回答内訳
3) 場所打ち杭
回答に占める場所打ち杭の各工法の割合を図-2.2.2 に示す。
場所打ち杭の内訳は、リバース工法 2 件、オールケーシング工法 5 件、アースド
リル工法 8 件、BH 工法 1 件 (重複回答含む )であった。
リバース工法
2件(13%)
オールケーシング工法
5件(31%)アースドリル工法
8件(50%)
BH工法
1件(6%)
図-2.2.2 場所打ち杭の回答内訳
2.2.2 既製杭工法
2.2.2.1 選定項目
表-2.2.5~表-2.2.6 既製杭選定表の選定項目参照。
2.2.2.2 選定手法
当初、当委員会では、アンケート結果に基づいた選定手法を提案する予定であっ
たが、杭選定の実情を勘案すると、ツリー型選定手法等の方法による選定は、各選
定者の各選定項目の重み付けに差異があり、一義的に選定フローを提案することは
困難であると判断し、選定項目の分析に重きをおき、選定の判断は各選定者に任せ
ることとし、アンケート結果を重視した杭選定図表を提案するにとどめた。表-2.2.
5~表-2.2.6 に既製杭選定図表を示す。
なお、選定表の各工法にはアンケート回答件数も記載してある。データの適合性
判断等における参考として頂ければ幸いである。
表-2.2.5 既製杭選定表(1)
選 定 項 目
58
50
24
鋼管杭
3
220
100
40
60
77
70
30
60
20
150
11
150
50
80
130
30
120
77
3 1
35
80
9
750
30
100
45
施工可能な最大地表面傾斜角(°)
水上施工の実績水深 (m)
掘削深さ(杭長)※1
:実績
(cm)
:可能
施工
機械
本体全装備重量(tf)
斜杭の施工最大角度 (°)
既製
コンクリー
ト杭
注)地形および地質条件は、アンケート結果 ○:施工可能,△:対応可能,×:施工不可能 の内、回答比率の多いものを示す。 ※1:下限値の最小値~上限値の最大値を示す。※2:最小値~最大値を示す。
施工断面(杭径)※1
:実績
:可能
60
180
120
130
1
120
既 製 杭
既製
コン
クリー
ト
杭
鋼管杭
鋼管杭
打込み工法
鋼管杭
中掘り工法
埋込み工法 回転工法
1 29
接 地 圧 (kN/m2)
20
4.0~6.7 7~20 10~25 15~20
10~23
地
形
お
よ
び
地
質
条
件
中
間
層
の
状
態
15~30
>30
5cm以下
○
最近接距離 (m)
最小作業空間
長 さ L (m)
幅 B (m)
高 さ H (m)
10~40
15
5~10cm
10~15cm
N値<4 ○
○
○
○
○○ ○ ○ ○ ○
○
20 0 15 7
20
50~160 16~120
4.3~8.0 8.8~35
礫(玉石)
砂質土
4~10
10~20
N値<15
15cm以上
粘性土
○
○○ ○ ○ ○
○
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
○
○ △
○ △
○ ○ ○ ○ ○
○
○○
○
○
○○ ○
○
○ ○
○
○ ○ ○
△○ ○ △ ○ △
△△△ △
0
△△
○ △ △
△
○ ○ ○
40 30 50 53~30
20 1.5~20
3~2510~30 15~31 31
68~122
6~1357~105
80~400
2 0.9~1.2
60~150 50~105
0.4~4.1
55
9~20 0.8~1.2 0.8~2.0
20~400 20~400
5 5
25 0
23~145
2
50~90
杭工法および杭の種類
アンケート 回答件数
プレボーリング工法
90
4
1 6
80
2
60
施 工 条 件
30
40
50
60
20
140
150
70
100
40
30
4
20
30
40
50
10 (m)
95
~
80
~
100
110
130
120
70
90
5
60~40050~122
10
1530
0 4
805
○
200
30
45
10
0.5~1.5
2.4
30
120
その他
ソイルセメント鋼管杭
その他
1.2
3
1
8
61
○
0
○
○
○ ○
○
○
○
○
※2
※1
表-2.2.6 既製杭選定表(2)
選 定 項 目
○
○ ○○ ○
× ○ ×
○ ○ ○ ×
○ × × ○
40
40
4545~62 52~
38~53 ―
35
― 60
― 45
24~50
55~60 36~60
50環
境
条
件
80 70~79
産業廃棄物の発生
CO2排出量の抑制対策
76
63 45
46~
67~82
騒音※3
(dB(A))
振動※3
(dB)
10m地点
30m地点
50m地点
45 45~46 42
66~80
73
53~60
42
69~
10m地点
30m地点
60~66 61
65~72 64~72
65
52
57
○
○
○
70~75 57~103 75~ 63
○
○×
○ ×
50m地点
70~82
45~75
42~50 38~53
65~70 65~68
△×
○
○ ○ ○ ○ △
○
○
×
△
×
○○
○ ○
○
× ○
△
×
地
形
お
よ
び
地
質
条
件
30°以下
5~10cm礫玉石
5cm以下
○
○ ×
支
持
層
の
状
態
○
0~2m
2m以上
30°~45°
○
○
10~15cm
傾斜
被圧地下水
qu<1.0
○
△
○○ ○
△○ △
△ ○
○
地下水位が地表面に近い ○
○
△ ○
○× ×
×
△ ○
××
△
○
○ △ △
○
△ △ △
○× ○ ○
○
○ ○
○○
○
○
△
○ ○
○ ○ △
○
△△
○
○
○
△○
○ △
△
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
2 11 6 20 2 1 9
杭工法および杭の種類
アンケート 回答件数
N値>50
湧水量が極めて多い
砂質土N値30~50
15cm以上
地下水の状態
3m/min以上
土丹
(N/mm2)
既 製 杭
打込み工法
鋼管杭
その他
ソイルセメント鋼管杭
その他
鋼管杭
プレボーリング工法 中掘り工法
鋼管杭
既
製
コン
クリー
ト杭
○ ○
流動地下水
1.0<qu
○ ○
○
○
○ △
○ ○
注)地形および地質条件は、アンケート結果 ○:施工可能,△:対応可能,×:施工不可能 の内、回答比率の多いものを示す。 環境条件は、アンケート結果 ○:無し,△:不明,×:有り の内、回答比率の多いものを示す。 ※3:最小値~最大値を示す。
水 質 汚 染 × ○ ○ ○ ○ ○
埋込み工法
○ ○
回転工法
既製
コンクリー
ト杭
鋼管杭
2.2.2.3 選定項目の分析
(1) 杭長
1) 実績
図-2.2.3 に各杭工法の杭長実績を示す。杭径とも関係するが、中掘り工法 (鋼管
杭 )の 100m が最大で、プレボーリング工法 (鋼管杭 )が 90m で続いている。回転工法
は最大で 50m と他の工法に比較して短くなっている。
2) 対応可能杭長
対応可能杭長を図-2.2.4 に示すが、各工法とも実績に対して、大きな増減はない。
45.0
80.0
95.0100.0
50.0
70.0
57.554.8
86.090.0
30.6
41.0
57.5
77.0
13.0 12.0
57.5
6.0
3.5 2.56.0
6.0
35.0
12.0
80.0
3.03.210.0 4.0 4.0
2.43.54.92.0
2.01.03.04.0
3.00
20
40
60
80
100
120
打込
み工
法(鋼
管杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既製
コン
クリ
ート
杭)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(鋼管
杭)
中掘
工法
(鋼管
杭)
回転
工法
(既製
コン
クリ
ート
杭)
回転
工法
(鋼管
杭)
その
他ソ
イル
セメ
ント
(鋼管
杭)
その
他
杭長
(m
)
上限最大
上限平均
上限最小
下限最大
下限平均
下限最小
図-2.2.3 各杭工法の杭長施工実績
80.077.0 77.0
70.0
60.058.7
73.5
38.241.0
60.0
12.0
70.0
13.0 12.0
60.0
0.0
6.0
2.06.0
6.0
35
60.0
80.0
3.04.05.05.0
1.34.5
4.54.4
0.0
2.7
4.0 4.0 1.0 1.00
20
40
60
80
100
120
打込
み工
法(鋼
管杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既製
コン
クリ
ート
杭)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(鋼管
杭)
中掘
工法
(鋼管
杭)
回転
工法
(既製
コン
クリ
ート
杭)
回転
工法
(鋼管
杭)
その
他ソ
イル
セメ
ント
(鋼管
杭)
その
他
杭長
(m
)
上限最大
上限平均
上限最小
下限最大
下限平均
下限最小
図-2.2.4 各杭工法の対応可能杭長
(2) 杭径
図-2.2.5 に杭径施工実績を示す。実績杭径はその他 (ソイルセメント鋼管杭 )の 1.5
m が最大で、打込み工法 (鋼管杭 )およびプレボーリング工法 (鋼管杭 )の 1.3m、中掘
り工法 (鋼管杭 )の 1.2m の順になっている。最小杭径は、各工法で概ね 0.2m~0.4m
である。
1300
1200
1300
1200
600
1200
1500 1500
1300
758
12501200
600545
1100
1000
1300
1200
600
165.2
700
500
1500
350
233287.5
1000
500
400
1200
375400
1000 1000
402
300
400400
300 300
89.1 200
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
打込
み工
法(鋼
管杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既製
コン
クリ
ート
杭)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(鋼管
杭)
中掘
工法
(鋼管
杭)
回転
工法
(既製
コン
クリ
ート
杭)
回転
工法
(鋼管
杭)
その
他ソ
イル
セメ
ント
(鋼管
杭)
その
他
杭径
(m
m)
上限最大
上限平均
上限最小
下限最大
下限平均
下限最小
図-2.2.5 各杭工法の杭径施工実績
(3) 斜杭の施工最大角度
打込み工法は 20°、回転杭工法は 30°以内で施工が可能である。
(4) 最小作業空間
1) 最小空間長さ
杭径の大きさによって値は変化するが、平均的な値としては、各工法ともいずれ
も 10m~20m の範囲となっている。
2) 最小空間幅
平均的な値としては、各工法ともいずれも 3m~9m の範囲となっている。
3) 最小空間高さ
回転工法を除いてその平均値は 10m~30m の範囲となっている。
(5) 施工機械(本体全装備重量)
それぞれの工法で最大約 100tf~160tf となっている。
(6) 地表面傾斜角度
地表面の傾斜角は 0°もしくは 5°程度が大半を占めるが、一部 10°を超えても
施工可能な工法がある。 (最大 30°)
(7) 水上施工実績
水上施工の実績がない工法が大半を占めるが、2~ 10m の施工実績を有する工法
も見受けられる。
(8) 土質条件への対応
1) 中間層の状態
a) 粘性土
N 値 10 以下であれば、全ての工法で施工可能であるが、N 値 10~20 においては、
打込み工法 (鋼管杭 )以外の工法は、一部対応可能となる。
b) 砂質土
N 値 15 以下であれば、全ての工法で施工可能であるが、N 値 15~30 においては、
回転工法 (鋼管杭 )は、一部対応可能となる。N 値 30 以上となると、施工可能な工法
は、打込み工法 (鋼管杭 )、プレボーリング工法 (鋼管杭 )、中掘工法 (鋼管杭 )以外にお
いては、一部対応可能となり、回転工法 (鋼管杭 )においては、一部施工不可能とな
る。
c) 礫、玉石
礫径 5cm 以下の礫地盤は、プレボーリング工法 (既製コンクリート杭 )の一部を除
き施工可能である。礫径 5~10cm においては、プレボーリング工法 (既製コンクリ
ート杭 )の一部が施工不可能となり、回転工法が一部対応可能となる。礫径 10~15c
m においては、施工可能である工法が回転工法を除く鋼管杭に限られ、回転工法 (鋼
管杭 )が施工不可能となる。礫径 15cm 以上においては、施工可能である工法が打込
み工法 (鋼管杭 )のみとなる。 (図-2.2.6~図-2.2.8 参照 )
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込
み工
法
(鋼管
杭)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既
製コン
クリ
ート
杭)
プレボ
ーリ
ング
工法
(鋼
管杭
)
中掘
り工
法
(鋼管
杭)
回転
工法
(既
製コン
クリ
ート
杭)
回転
工法
(鋼
管杭)
その
他ソ
イル
セメ
ント鋼
管杭
その他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.6 中間層の状態(礫径 5~10cm)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込
み工
法
(鋼
管杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既
製コ
ンク
リー
ト杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(鋼
管杭
)
中掘
り工
法
(鋼
管杭
)
回転
工法
(既
製コ
ンク
リー
ト杭
)
回転
工法
(鋼
管杭
)
その
他ソ
イル
セメ
ント
鋼管
杭
その
他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.7 中間層の状態(礫径 10~15cm)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込
み工
法
(鋼
管杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既
製コ
ンク
リー
ト杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(鋼
管杭
)
中掘
り工
法
(鋼
管杭
)
回転
工法
(既
製コ
ンク
リー
ト杭
)
回転
工法
(鋼
管杭
)
その
他ソ
イル
セメ
ント
鋼管
杭
その
他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.8 中間層の状態(礫径 15cm 以上)と各杭工法の施工性の関係
2) 支持層の状態
a) 砂質土
図-2.2.9 に砂質土の N 値と各杭工法の施工性の関係を示す。N 値 50 以下の砂質
土に対しては、全ての工法が施工可能か対応可能であるが、N 値が 50 以上となると、
同図に示すようにプレボーリング工法 (既製コンクリート杭 )と回転工法 (鋼管杭 )の一
部の工法は施工不可能となっている。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込
み工
法
(鋼管
杭)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既
製コン
クリ
ート
杭)
プレボ
ーリ
ング
工法
(鋼
管杭
)
中掘
り工
法
(鋼管
杭)
回転
工法
(既
製コン
クリ
ート
杭)
回転
工法
(鋼
管杭)
その
他ソ
イル
セメ
ント鋼
管杭
その他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.9 支持層の状態(砂質土 N 値 50 以上)と各杭工法の施工性の関係
b) 礫、玉石
図-2.2.10~図-2.2.11 に礫径と各杭工法の施工性の関係を示す。礫径 10cm 以下
の地盤に対しては、ほとんどの工法が施工可能か対応可能となっているが,礫径が
10cm 以上の地盤になると、同図に示すようにプレボーリング工法 (既製コンクリー
ト杭 )と回転工法 (鋼管杭 )で施工不可能となる工法が出てくる。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込
み工
法
(鋼
管杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既
製コ
ンク
リー
ト杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(鋼
管杭
)
中掘
り工
法
(鋼
管杭
)
回転
工法
(既
製コ
ンク
リー
ト杭
)
回転
工法
(鋼
管杭
)
その
他ソ
イル
セメ
ント
鋼管
杭
その
他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.10 支持層の状態(礫径 10~15cm)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込
み工
法
(鋼
管杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(既
製コ
ンク
リー
ト杭
)
プレ
ボー
リン
グ工
法
(鋼
管杭
)
中掘
り工
法
(鋼
管杭
)
回転
工法
(既
製コ
ンク
リー
ト杭
)
回転
工法
(鋼
管杭
)
その
他ソ
イル
セメ
ント
鋼管
杭
その
他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.11 支持層の状態(礫径 15cm 以上)と各杭工法の施工性の関係
c) 土丹
図-2.2.12~図-2.2.13 に土丹の一軸圧縮強度 (qu)と各杭工法の施工性の関係を示
す。
プレボーリング工法 (既製コンクリート杭 )の約半数と中掘り工法 (鋼管杭 )および回
転工法 (既製コンクリート杭 )は、土丹の qu によらず施工不可能となっている。また、
回転工法 (鋼管杭 )の一部の工法は qu が 1.0N/mm2 以上の地盤となると施工不可能と
なる。それ以外の工法については、qu の大きさにより施工可能か対応可能となって
いる。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込み
工法
(鋼
管杭)
プレ
ボー
リング
工法
(既
製コン
クリー
ト杭)
プレボ
ーリン
グ工法
(鋼
管杭
)
中掘り
工法
(鋼
管杭)
回転
工法
(既
製コン
クリー
ト杭)
回転
工法
(鋼
管杭
)
その
他ソ
イル
セメ
ント鋼
管杭
その
他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.12 支持層の状態(土丹 qu=1.0N/mm
2 以下)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込み
工法
(鋼
管杭)
プレ
ボー
リング
工法
(既
製コン
クリー
ト杭)
プレボ
ーリン
グ工法
(鋼
管杭
)
中掘り
工法
(鋼
管杭)
回転
工法
(既
製コン
クリー
ト杭)
回転
工法
(鋼
管杭
)
その
他ソ
イル
セメ
ント鋼
管杭
その
他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.13 支持層の状態(土丹 qu=1.0N/mm
2 以上)と各杭工法の施工性の関係
3) 支持層の傾斜
図-2.2.14~図-2.2.15 に支持層の傾斜角と各杭工法の施工性の関係を示す。
支持層の傾斜角が 30°以下の場合、ほぼ全ての工法が施工可能か対応可能となっ
ている。しかし、傾斜角が 30°以上の地盤では、回転工法 (既製コンクリート杭 )は
施工不可能となる。また、プレボーリング工法 (既製コンクリート杭 )と回転工法 (鋼
管杭 )についても、施工可能または対応可能な工法は半数程度に減少する。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込み
工法
(鋼
管杭)
プレ
ボー
リング
工法
(既
製コン
クリー
ト杭)
プレボ
ーリン
グ工法
(鋼
管杭
)
中掘り
工法
(鋼
管杭)
回転
工法
(既
製コン
クリー
ト杭)
回転
工法
(鋼
管杭
)
その
他ソ
イル
セメ
ント鋼
管杭
その
他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.14 支持層の傾斜角(30°以下)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
打込み
工法
(鋼
管杭)
プレ
ボー
リング
工法
(既
製コン
クリー
ト杭)
プレボ
ーリン
グ工法
(鋼
管杭
)
中掘り
工法
(鋼
管杭)
回転
工法
(既
製コン
クリー
ト杭)
回転
工法
(鋼
管杭
)
その
他ソ
イル
セメ
ント鋼
管杭
その
他
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.15 支持層の傾斜角(30°~45°)と各杭工法の施工性の関係
(9) 地下水の状態
1) 地下水が地表面に近い
すべての工法が施工可能か対応可能という結果になっている。
2) 湧水量が極めて多い
打込み工法 (鋼管杭 )、中掘り工法 (鋼管杭 )および回転工法 (鋼管杭 )はほぼ施工可能
である。しかし、プレボーリング工法は施工不可能比率が約 20%あり、全体的にみ
ても施工困難なケースが多い。
3) 被圧地下水
被圧地下水が 0~2m の場合、すべての工法で施工可能であるが、2m 以上の場合
プレボーリング工法 (鋼管杭 )では、地下水位低下工法等の補助工法が必要となる。
4) 流動地下水
地下水流速が 3m/min の場合、打込み工法 (鋼管杭 )、回転工法 (鋼管杭 )は施工可
能か対応可能であるが、プレボーリング工法、中掘り工法 (鋼管杭 )では大半が施工
不可能となっている。
(10) 環境条件
1) 騒音
打込み工法 (鋼管杭 )とプレボーリング工法、中掘り工法 (鋼管杭 )の最大値は大差な
いが、これは最終打撃工法による。その他の工法は、一部の例外を除けば、全体的
に打込み工法に比較して小さな値である (図-2.2.16 参照 )。
80
7673
70 6665
70
6560
6764
61
70 65
57
65
60
75
69
63 63
50
45
79 80 82
72
66
82
7275
70
103
68
0
20
40
60
80
100
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
騒音
(dB
A)
施工箇所からの距離
プレ
ボー
リン
グ工法
(既
製コ
ンク
リート杭
)
プレ
ボー
リン
グ工法(
鋼管杭
)
その
他
回転
工法
(鋼
管杭)
回転
工法
(既
製コンクリート
杭)
中掘
り工
法(
鋼管杭)
打込
み工
法(
鋼管杭)
その
他ソ
イル
セメント
鋼管杭
図-2.2.16 各杭工法の騒音実測値
2) 振動
工法により大差はないが、プレボーリング工法 (鋼管杭 )や中掘り工法 (鋼管杭 )は、
若干ではあるが最大値が大きくなっている (図-2.2.17 参照 )。
57
52
42
53
42
4545
38
4545
38
42
55
36
24
45
52
46
40
45
40
35
60
50
75
53
46
62
53
60 60
50
0
20
40
60
80
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
振動
(dB)
施工箇所からの距離
プレ
ボーリン
グ工法
(既
製コンク
リート
杭)
プレ
ボーリン
グ工法
(鋼管杭)
その
他
回転
工法
(鋼
管杭)
回転
工法(既
製コン
クリート杭)
中掘
り工法(
鋼管杭
)
打込
み工法(
鋼管杭
)
その
他ソイル
セメン
ト鋼管杭
図-2.2.17 各杭工法の振動実測値
3) 産業廃棄物の発生
プレボーリング工法の場合、産業廃棄物の発生が生じると回答した比率は約 80%
である。
4) 水質汚染
打込み工法 (鋼管杭 )とプレボーリング工法の一部で水質汚濁の発生を回答してい
る。
5) CO2 排出量の抑制対策
ほぼ全ての工法において、主に排出ガス対策型建設機械を用いることで対応可能
となっている。ただし、同一工法内でも対策がない場合もあるので、事前に確認が
必要である。
(11) 施工費および施工能率
当委員会において杭工事の施工費に関わるアンケート調査を行った。この調査は、
ある施工条件および土質条件を提示し、その条件での施工費を記入してもらう方法
であり、以下の 3 点を主な目的として行ったものである。
① 設定した施工場所における既製杭および場所打ち杭の工事費の目安を把握す
ることによって、施工法毎の特徴を考察する。
② 杭工法の選定要因のうち、施工費が占める重要度を考察する。
③ 施工費の面から既製杭の特徴を比較する。
ただし、この項目については未回答が多く、アンケートとして有用と思えるほど
のサンプル数を得ることができなかったため、この項目は記載を省略する。
2.2.3 場所打ち杭工法
2.2.3.1 選定項目
表-2.2.7~表-2.2.8 場所打ち杭選定表の選定項目参照。
2.2.3.2 選定手法
既製杭と同様とする。
表-2.2.7 場所打ち杭選定表(1)
選 定 項 目
※1:下限値の最小値~上限値の最大値を示す。
※2:最小値~最大値を示す。
※3:杭径600mm以上の場合
3.5
×
1
90
4
10
―
140
10~35 15~50
300 400
360
○○
―
90
150
~
80
250
200
100
110
120
130
施工断面(杭径)※1
5060
40
50
60
30
:実績70
:可能80
~
20 (cm)20
100
:実績
10
5060
:可能
80
50
70
掘削深さ(杭長)※1 20
90
30
4042
1
(m)10
1 50
3 6
アー
スドリル
工法
場 所 打 ち 杭
杭工法および杭の種類
アンケート 回答件数
BH工法
リバー
ス工法
オー
ルケー
シング
工法
拡底
施工の可否
拡底の比率※2
4~10
最小作業空間
施工
機械
長 さ L(m)
高 さ H(m)
本体全装備重量(tf)
幅 B(m)
○
○
○
○
○
○地
形
お
よ
び
地
質
条
件
中
間
層
の
状
態
粘性土
N値<4
15~30
10~20
砂質土
N値<15
>30
最近接距離 (m)
○
○ ○
○
接 地 圧 (kN/m2) ― 9.5~16.2 ―
10~15cm
50cm以上
礫(玉石)
5~10cm
15~50cm
7
8
81
66
1.08~3.06 1.06~4.00
77
5
80
×
施 工 条 件
2 5
1.5
38
15.8~127
0.3~7
×
5
○
△
○ ○
○ ○
○
○
○
14~162
0.3~2
42~127
7~20
3~30 19~30
50
20
4 10~30 2.5
150
80
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
× ○、※3△
○ ○
○ ○、※3△
× ○、※3△
○
表-2.2.8 場所打ち杭選定表(2)
選 定 項 目
※4:杭径600mm以上の場合
※5:最小値~最大値を示す。
39~55
―
―
―
―
―
50m地点
30m地点
42~6035~55
CO2排出量の抑制対策
48~60
―
― ○ ○
―
△
71~78
△
―
×
○
○
―
場 所 打 ち 杭
○
○
×
×
○
○、※3△
○、※3△
○、※3△
30m地点
―
―
qu<5.0
5.0~15
△
30°~45°
30<60
60<80
80<qu
10m地点
2m以上
△
振動※4
(dB)
10m地点
騒音※4
(dB(A))
地下水の状態
地下水位が地表面に近い
被圧地下水(水頭)
50m地点
3m/min以上
△
△
○
0~2m
湧水量が極めて多い
流動地下水 ○
○
○
○
△
△
○
△傾斜
30°以下
○、※3×
△
岩(一軸圧縮
強度)
(N/mm2)× ○、※3×
15<30
△
○
○
○
△
○、※3×
○
○○
○
○
○
○
○、※3△
○
△
○
○、※3△
○ ×
×○
環 境 条 件
N値>50
地 形 お よ び 地 質 条 件
×
×
1.0~5.0
×
5.0<qu ×
○
支 持 層 の 状 態
砂質土
○
礫玉石
5~10cm
10~15cm
×
×
N値30~50
△
BH工法
アンケート 回答件数
アー
スドリル
工法
杭工法および杭の種類
リバー
ス工法
オー
ルケー
シング
工法
2
15~50cm
○
土丹
(N/mm2)
qu<1.0
△
○
50cm以上
△
○ ○ ○ ○
○
5 8 1
○
○、※3△
○
○
○
○
○
○
○
×
53~70
57~65
△
△
×
×
75~78
70~76
―
67~70
55~64
46~60
―
×
×
×
×
2.2.3.3 選定項目の分析
(1) 杭長
1) 実績
図-2.2.18 に各杭工法における杭長の施工実績を示す。実績杭長は、アースドリ
ル工法の 76.5m が最大で、オールケーシング工法が 66m で続いている。
38.2
66
76.5
42.25
62.488
30
53
5.5
42
65
1.754.89.5
03
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
リバース工法 オールケーシング工法 アースドリル工法 BH工法
杭長
(m
)
上限最大
上限平均
上限最小
下限最大
下限平均
下限最小
図-2.2.18 各杭工法の杭長施工実績
2) 対応可能杭長
対応可能杭長を図-2.2.19 に示す。各工法ともに実績とほぼ同等である。
44
81
39.5
69.5
35
60
5
50
50
52
3.915
0 0.50
10
20
30
40
50
60
70
80
90
リバース工法 オールケーシング工法 アースドリル工法 BH工法
杭長
(m
)
上限最大
上限平均
上限最小
下限最大
下限平均
下限最小
図-2.2.19 各杭工法の対応可能杭長
(2) 杭径
図-2.2.20 に各杭工法における杭径施工実績を示す。 実績杭径はアースドリル
工法の 3.6m が最大で、ついでオールケーシング工法の 3.0m、リバース工法の 2.0
m の順になっている。最小杭径は、各工法ともに 0.8m~1.0m となっている。
3
3.6
0.9
2.5
2.88
0.9
2
2.5
2
0.9
1 1.2
0.8 0.90.88
0.50.80.8
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
リバース工法 オールケーシング工法 アースドリル工法 BH工法
杭径
(m
)
上限最大
上限平均
上限最小
下限最大
下限平均
下限最小
図-2.2.20 各杭工法の杭径施工実績
(3) 最小作業空間
1) 最小空間長さ
杭径の大きさによって値は変化するが、平均的な値としては、各工法ともいずれ
も 20m~27m の範囲となっている。
2) 最小空間幅
平均的な値としては、リバース工法が 4m、その他が 13m~17.4m の範囲である。
3) 最小空間高さ
平均的な値としては、アースドリル工法が 22.5m、ついでオールケーシング工法
が 15m となっている。
(4) 施工機械(本体全装備重量)
機械重量の平均値では、アースドリル工法が最も重く約 90tf、オールケーシング
工法が約 68tf となっている。
(5) 地表面傾斜角度
地表面の傾斜角は 0°もしくは 5°程度が大半を占めるが、一部 30°にて施工可
能な工法がある。
(6) 土質条件への対応
1) 中間層の状態
a) 粘性土
N 値 10 以下であれば、全ての工法で施工可能であるが、N 値 10~20 においては、
アースドリル工法は、一部対応可能となる。
b) 砂質土
N 値 15 以下においては、アースドリル工法は一部対応可能となるが、N 値 15 以
上であれば、全ての工法で施工可能である。
c) 礫、玉石
礫径 5cm 以下の礫地盤は、全ての工法で施工可能である。礫径 5~10cm におい
ては、リバース工法の全ておよびアースドリル工法の半数が対応可能となる。礫径
10~15cm においては、リバース工法の全ておよびアースドリル工法の半数が施工
不可能となる。礫径 15cm 以上においては、アースドリル工法の全てが施工不可能
となり、オールケーシング工法は一部対応可能となる。 (図-2.2.21~図-2.2.23 参
照 )
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケー
シン
グ
工法
アー
スドリ
ル工
法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.21 中間層の状態(礫径 5~10cm)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバー
ス工法
オールケー
シング
工法
アースドリ
ル工法
BH工法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.22 中間層の状態(礫径 10~15cm)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.23 中間層の状態(礫径 15cm 以上)と各杭工法の施工性の関係
2) 支持層の状態
a) 砂質土
砂質土の支持層に対しては、全ての工法が施工可能か対応可能となっている。
b) 礫、玉石
図-2.2.24~図-2.2.26 に礫径と各杭工法の施工性の関係を示す。
礫径 5~10cm の地盤に対しては、全ての工法が施工可能か対応可能となっている。
しかし、リバース工法は礫径が 10cm 以上となると施工不可能となる。また、アー
スドリル工法も礫径が大きくなるにつれて、施工不可能な割合が増加する。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.24 支持層の状態(礫径 5~10cm)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.25 支持層の状態(礫径 10~15cm)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.26 支持層の状態(礫径 15cm 以上)と各杭工法の施工性の関係
c) 土丹
図-2.2.27~図-2.2.28 に土丹の一軸圧縮強度 (qu)と各杭工法の施工性の関係を示
す。
qu=1.0N/mm2 以下の地盤に対しては、全ての工法が施工可能となっている。qu=1.
0~5.0N/mm2 の地盤となると、アースドリル工法での施工は難しい。qu=5.0N/mm2
以上の地盤となると、オールケーシング工法と BH 工法のみが施工可能または対応
可能な工法となるようである。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.27 支持層の状態(土丹 qu=1.0~5.0N/mm2)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.28 支持層の状態(土丹 qu=5.0N/mm
2 以上)と各杭工法の施工性の関係
d) 岩
図-2.2.29~図-2.2.32 に岩の一軸圧縮強度 (qu)と各杭工法の施工性の関係を示す。
qu=30N/mm2 以下の岩に対しては、図-2.2.29 および図-2.2.30 に示すようにリバ
ース工法、オールケーシング工法、BH 工法が施工可能か対応可能となっている。q
u=30~80N/mm2 の岩に対しては、図-2.2.31 に示すようにオールケーシング工法と
BH 工法が施工可能か対応可能となっている。qu=80N/mm2 以上の岩に対しては、
図-2.2.32 に示すようにオールケーシング工法の 75%と BH 工法が施工可能か対応
可能となっている。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.29 支持層の状態(岩 qu=15.0N/mm
2 以下)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.30 支持層の状態(岩 qu=15.0~30.0N/mm2)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.31 支持層の状態(岩 qu=30.0~80.0N/mm2)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.32 支持層の状態(岩 qu=80.0N/mm
2 以上)と各杭工法の施工性の関係
3) 支持層の傾斜
図-2.2.33~図-2.2.34 に支持層の傾斜角と各杭工法の施工性の関係を示す。
支持層の傾斜角が 30°以下の場合は、オールケーシング工法の一部を除く全ての
工法が施工可能か対応可能である。支持層の傾斜角が 30°以上となると、アースド
リル工法の一部の工法も施工不可能となる。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.33 支持層の傾斜角(30°以下)と各杭工法の施工性の関係
0%
20%
40%
60%
80%
100%
リバ
ース
工法
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH工
法
×施工不可能
△対応可能
○施工可能
図-2.2.34 支持層の傾斜角(30°~45°)と各杭工法の施工性の関係
(7) 地下水の状態
1) 地下水が地表面に近い
すべての工法が施工可能か対応可能という結果になっている。
2) 湧水量が極めて多い
ほぼ全ての工法で対応可能だが、アースドリル工法の一部で施工不可能となって
いる。
3) 被圧地下水
被圧地下水が 2m 以下では、全ての工法で施工可能もしくは対応可能となってい
るが、2m を越えると施工不可能となる工法が出てくる。特にアースドリル工法では、
施工不可能の比率が 50%を越える。
4) 流動地下水
流動地下水の流速が 3m/min を越える場合は各杭工法とも施工不可能の比率が
高い。施工可能と回答があったのはオールケーシング工法だけであった。
(8) 環境条件
1) 騒音
図-2.2.35 に各杭工法における騒音実測値を示す。
回答があったのはオールケーシング工法とアースドリル工法のみで、いずれも騒
音規制法における規制値の 85dBA 以内に収まっている。
場所打ち杭工法は一般に騒音に対して余り問題にならない工法であるが、工事に
当たっては発電機や油圧モータ一などの関連機械の騒音も含めて敷地境界での騒音
が規制値内に収まっていることを確認して施工するのが望ましい。
71
67
55
75
70
53
78
70
64
78
76
70
0
20
40
60
80
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
騒音
(dBA)
施工箇所からの距離
オー
ルケ
ーシ
ング工
法
アー
スド
リル
工法
BH
工法
リバ
ース
工法
(有効回答無し)
(有効回答無し)
図-2.2.35 各杭工法の騒音実測値
2) 振動
図-2.2.36 に各杭工法における振動実測値を示す。
場所打ち杭工法は一般に振動に対しても余り問題にならない工法である。実測値
も回答のあった限り、振動規制法の規制値 75dB 以下に収まっている。
工事に当たっては振動規制値も騒音規制値同様敷地境界における値であることを
注意されたい。
4639
35
57
48
42
60
5555
65
60 60
0
20
40
60
80
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
10m
30m
50m
振動
(dB
)
施工箇所からの距離
オー
ルケ
ーシ
ング
工法
アー
スド
リル
工法
BH
工法
リバ
ース
工法
(有効回答無し)
(有効回答無し)
図-2.2.36 各杭工法の振動実測値
3) CO2 排出量の抑制対策
ほぼ全ての工法において、主に排出ガス対策型建設機械を用いることで対応可能
となっている。ただし、同一工法内でも対策がない場合もあるので、事前に確認が
必要である。
(9) 施工費および施工能率
当委員会において杭工事の施工費に関わるアンケート調査を行った。この調査は、
ある施工条件および土質条件を提示し、その条件での施工費を記入してもらう方法
であり、以下の 3 点を主な目的として行ったものである。
① 設定した施工場所における既製杭および場所打ち杭の工事費の目安を把握す
ることによって、施工法毎の特徴を考察する。
② 杭工法の選定要因のうち、施工費が占める重要度を考察する。
③ 施工費の面から場所打ち杭の特徴を比較する。
ただ、この項目については未回答が多く、アンケートとして有用と思えるほどの
サンプル数を得ることができなかったため、この項目は記載を省略する。