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~URAとして文系と理系の研究連携を考える~ 東京農工大学先端産学連携研究推進センター 主任リサーチアドミニストレーター 丸山浩平 2013年9月27日 18:00-20:00 第7回京都大学リサーチ・アドミニストレーション研究会 *本資料はあくまでも個人の見解であり、組織の見解を示すものではありません。 本日の話題 1. はじめに 日本版URAの位置づけについて(私見) 2. 文理連携について 3. 日本の全国URAネットワークについて 2

20130927 kura研究会(配布)

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~URAとして文系と理系の研究連携を考える~

東京農工大学先端産学連携研究推進センター

主任リサーチアドミニストレーター

丸山浩平

2013年9月27日 18:00-20:00第7回京都大学リサーチ・アドミニストレーション研究会

*本資料はあくまでも個人の見解であり、組織の見解を示すものではありません。

本日の話題

1. はじめに

日本版URAの位置づけについて(私見)

2. 文理連携について

3. 日本の全国URAネットワークについて

2

Page 2: 20130927 kura研究会(配布)

1.はじめに

3

丸山の経歴

4

研究戦略・企画

研究推進

研究支援

民間企業(ジューキ) 早稲田大

約5年

メカトロ研究

技術企画

経営企画(新規事業)

バイオセンシング研究

契約

2年

約4年半

バイオセンシング研究

3年

約3年半

Closing

市場調査

研究戦略

JSTシンクタンク

約3年

博士後期課程(留学制度)

農工大

研究所運営(評価対応、アウトリーチなど)

科学技術政策研究計測・制御(教育)

外部資金獲得支援など

URA

<研究・教育実績>特許出願 20件 (うち権利化6件)原著論文 13報教育 4コマ (計測原論、先端計測・制御)提言(調査報告) 8報 (JST発行、ライフ/環境分野)

1994 20122005(約11年半) (約6年半) (約1年)

NPO法人設立

ビジネススクール

(経営層)

(研究現場)

URAと呼ばれたのはまだ1年だけです

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日本の大学におけるURA導入の背景

5

• 日本の社会: 税収・雇用の不足=大学に対してイノベーション、

新産業創出(特に雇用)の期待。

• 日本の大学: 大学間競争激化=ブランド価値を高める研究成果

の発信が求められる。

• 研究者: 学術は益々細分化=社会へと繋ぐには、知を統合化、

構成化する取組みが必要。

研究時間減少=大学としてクリエイティブな研究環境を

整備することが必要。

• 第4期科学技術基本計画

– 社会と科学技術イノベーション政策をつなぐ人材の養成及び確保→リサーチ・アドミニストレータ

大学: 社会からの期待(希望)に応えられる?

6

失われた20年

産学連携のあり方?

学術研究のあり方?

日本は一人負け?

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出典:吉川弘之(JST研究開発戦略センター)

種を蒔く

芽が出る

実がなる

収穫する

煎じる

(成分抽出)

薬を作り保存し、

分配する

(成型と瓶詰)

服用する

植物学

農学

化学、工学 工学、

経済学

医学、社会学、法学

統合的な土着知識

分科的な科学知識

研究者: 社会的な課題と乖離する方向?

7

知の統合・構成を manage誰が??

学問・研究はますます細分化

社会課題はますます複合化

(個別最適ではなく全体最適)

大学の研究マネジメント(機関レベル)

大学の共通の目的明確な戦略・目標・方向性大学のブランド価値向上大学の特徴づけ大学の研究力強化効率的な業務遂行

事務職員

高度専門事務職員(知財、法務、倫理等)

産学連携コーディネーター技術移転マネージャー

ラボ長

管理的業務規則を守る現状を保つ(規制/監視)消極的、従属的ブレーキ中心

学長研究担当理事

戦略的業務目標を追求する現状を変える積極的、活発、創造的アクセル中心

ブラウン運動:原子や分子が様々な方向にランダムに運動している為、その力を打ち消しあって全体としては一定不変に見える現象

8

日本版URA?

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大学の研究マネジメント組織、機能

・研究戦略会議

・戦略企画部門

(2)研究推進・研究科、研究所等部局

・各研究室

(3)研究支援・各支援部門

(研究資金関連、研究インフラ関連、

社会連携関連[産学連携含む])

○研究担当理事○研究戦略・企画担当・中長期目標の設定・研究資金投資の増加・重点研究領域の創出・研究システム改革・研究現場のモニタ

○部局長、ラボ長●教員、研究者

○産学連携コーディネーター○研究支援事務職員(研究資金管理、研究インフラ管理、技術相談、普及広報、起業支援等)○高度専門事務職員(知財、法務・契約、研究倫理・生命倫理、安全保障輸出管理等)

9

(1)研究戦略・企画

URAは、森を見て、木も見る。さらに見るだけではなく働きかける。

(例)学長や研究担当理事を補佐し、ベンチマーク分析の結果から積極的に大学全体の研究力向上策を提示でき、さらにサイエンスメリットのある研究者を目利きし、その研究の卓越性を向上させることが出来る専門人材。。。

特徴づけ 全体最適 ネットワーク

大学の研究活動における研究マネジメント(ラボレベル)

10

【社会アピール/新構想】

アウトリーチ、異分野交流、ワークショップ、ロビー活

【研究計画】研究体制構築

環境・インフラ整備

【学術発表】著書、論文、学会発表

研究報告・評価シンポジウム

研究ステップ

資金利用

社会へ成果公表

インフラ整備

技術移転

資金・人材研究環境

インフラ管理

成果管理

発見・発明ナレッジ

評価対応

研究交流

【研究実施】実験、調査、分析、考察

資金調達

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【仕掛ける】他人に対して、自分の方から積極的に動作・作用を向ける。

⇒仕掛け

【手を打つ】予想される事態に対して事前に必要な処置をとる。

⇒打ち手出典:http://blog.livedoor.jp/shi_shi_shi22/?p=5

研究マネジメントのプロには、とっても大事な商売道具。経験、知識、アイデア

11

必殺仕掛人

【分科会1】立役者:強み・特色の見分け方・育て方

キーワード:大学のポテンシャル把握、研究戦略分析、URAの役割

パネリスト:

伊藤範之(九州大学学術研究推進支援機構研究戦略企画部門・URA)

阿部 佑(東京農工大学研究戦略センター・URA)

河原直人(東京女子医科大学・URA)

ファシリテーター: 丸山浩平(東京農工大学研究戦略センター・主任URA)

2013年3月12日 15:15~17:40名古屋大学ES総合館1階 会議室A

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大前提の確認

日本版URAは、大学ブランド価値を高める全学的な研究力強化に貢献できる?

⇒ Yes:約40名、 No:0名

課題はある?

⇒ Yes:約40名、 No:0名

議論(1)【大学研究力の現状把握、特徴の抽出】

(URAの役割) 分析におけるURAの役割は研究者評価ではなく、例えば外部資金を集めるなどの目的さえしっ

かりしていれば、研究者からの協力は得られる(逆にアクションを明確にすべき)。IR(Institutional Research)専門職とは重ならないし切り離している。

(仕掛け・打ち手) 本学はほぼすべての分野で平均点。特徴をどう出していけばいいのか悩みどころ。 分析結果にもとづいて大学として仕掛けていく部分は、いま強いところにアクションすべきかは

賛否両論。中長期的な視点もある。(指標) 大学独自に重要視すると決定している指標については、今後の課題である。URA現場では現在

分析を開始したところ。同様の規模、種別のライバル大学を決めている(九州大学と北海道大学など)

米国のMITでは学科ごと(例えばビジネススクール)でもライバル大学とのランキングを気にしていた。

台湾のある大学では、電光掲示板に現在のビブリオメトリクスのランキングがオンライン表示されている。

各種ランキングは、様々な基準、ソースで導出されて非常に多様である。逆の見方からいえば、究極的にはURAは都合のよいエビデンスを使えばいいのでは。

研究評価の指標づくりが日本は弱いのではないか。URAネットワークで日本のベンチマーキングのようものをつくっていくべきではないか。

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議論(2)【(中長期的視点)若手研究者の成長】に対する仕掛・打手

(若手育成事例)

科研費の支援が基本ではないか。 (その仕掛けは大学ごとの秘策だと思う)

本学のWPI拠点は40代のリーダー。研究者も30代の若手がメイン。財団の小さな資金を

採択させるなど仕掛けている。

(採用と育成)

育成よりも優秀な研究者を採用することに重点を置くべきではないか。

どのような若手研究者(分野、レベルなど)を採用すべきか、 URAが将来を見据えた候補

を執行部等に提案するまで進化すれば理想ではないか。

本学では記念事業として、各部局から1%ずつ拠出させて、全学的に採用できる枠を設

けている。

URAが採用面ばかりに注力することは疑問。若手は研究時間が少なく、政策情報にも疎

いため、各大学が現在採用している若手研究者の育成支援が必要である。

(学長ビジョン)

URAが仕掛けていくに当たり、学長のビジョン・方針が学内外にしっかりと示されているこ

とが重要である。

URAの現在の活動状況

16

① 既存研究拠点・大型研究プロジェクトの継続戦略の立案・推進

② 農学・工学による大型科研費の獲得戦略の立案・推進

③ 農工大オンリーワン研究プロジェクトの活性化戦略の立案

④ 大型連携研究(産学、国際等)の拡大戦略の立案

① 農工大次世代研究戦略に係るプロジェクトの企画・推進

② 農工大発新産業創出の組織的な加速戦略の立案・推進

① ポスト・アワード的支援② センターの組織運営③ センターの基盤強化

科研費計画調書の事前チェック内容:計画調書について、審査員理解度、ア

ピール度の視点でロジカルライティング添削対象:次世代若手研究者で希望する者結果:支援案件採択率⇒42.9%

世界トップレベル研究拠点プログラムWPI意義:URAによって初めて超大型資金へ申請。内容:経営ビジョン、過去の研究成果から、農

工大としての研究分野・リーダー等を決定。結果:不採択

事例(次世代) 事例(重点)

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URA組織の評価について

• 採択率X年間でX億円の競争的資金獲得を支援!

• 支援した研究者群の方が採択率が高い!

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当面は外部資金の獲得増によって業務を評価される傾向 金、金でいいか?

アクション(仕掛け)

中長期的短期的

外部資金獲得

打ち手実行数目標

論文数 大学ブランド価値

大学ランキング

評価(アセスメント)

フィードバック

自立的経営を補佐

現状

理想

「大学ビジョン」と「エビデンス」を

基にした研究マネジメント

2.分離文理連携について

18

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文理融合プロジェクトの推進に向けた研究者の意識

~アンケート調査に基づく分析~

2010年10月9日 研究・技術計画学会 第25回年次学術大会

背景• 21世紀は、地球温暖化、水・食料の不足、資源の枯渇、貧困の克服、再

生医療の生命倫理、文化の多様性の維持など、グローバルな社会的課題が掲げられている。 また、日本も含め諸外国は、グローバル化における国際競争力強化、雇用創出が喫緊の課題であり、イノベーションに向けた科学技術政策が強く求められている。

• これらの課題に対して、大学が研究に関してインパクトを与えていくには、細分化された個別の研究分野の発展を追及するのみではなく、異分野間の連携を強化して統合的に取組む必要がある。

• 異分野連携においては、芸術や文学、法学、経営学などの人文・社会科学系(文系)も、自然科学系(理系)と補完しあう存在として重要である。

20

• しかし、日本ではアカデミアも政策も、分野や組織があまりにも縦割りで進められてきたため、異分野が連携する取組みに不慣れである。

⇒ 文理連携研究に関するマネジメント手法の整備が必要

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これまでの文理連携の試み

• 研究プロジェクト: リスク、サステナビリティなどのテーマを掲げ、文系の研究者と理系の研究者が参加しているものの、成果はそれぞれの研究結果を束ねただけのことが多い。

• 教育プログラム: 文理融合を謳っている学部等では、文系、理系の教員が、それぞれの立場から文・理の科目を教えるに留まっている。

• 文理融合が進まない原因の一つとして、文系は「矛盾を含む」、理系は「矛盾を含まない」など、研究者の持つ意識の大きな違いがあると考えられる。

• 意義ある文理融合を実現するためには、プロジェクトの事前、および実施中におけるマネジメントを体系的に取り組むことが必要と考えられる。

21

本研究の目的

1. 文理融合プロジェクトの推進に向け、文系・理系研究者の「意識の違い」を明確化すること。

2. 文理連携研究の推進に向け、研究者の文理連携に対する実施ニーズ、ハードルについて定量的に把握する。

理系 文系

課題を解決するには連携が必要

22

3. 特に評価のあり方、文理連携ニーズの高い分野と課題の事例から、文理連携のマネジメント手法の要件について考察する。

事前 実施中目的の共有化適任者の発見

研究スタイルの違い研究成果の評価ハードルハードル

モチベーション

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文理の研究活動に対する意識の違い<改善すべき研究環境の意識>

文系では研究時間の改善意識が強く、一方、理系では研究人材に対する意識が最も強い。

研究時間

64.7% 研究人材

6.6%

研究資金

10.8%

特にない

6.2%

その他

2.9% 文系

回答者236人

研究インフラ等

8.7%研究時間

29.4%

研究人材

33.3%

研究資金

17.9%

特にない

3.5%

その他

7.0% 理系

回答者206人

研究インフラ等

8.7%

23

76.2

69.8

30.2

33.3

12.7

16.4

14.8

12.7

4.8

研究の思考時間

論文・著書等の執筆

実験・調査

データ分析

学生への研究指導

共同研究者との議論

研究資金申請書作成

学会活動への参加

その他

文系 [%]

研究時間が不足

と回答189人

のべ回答数512

(回答は3つまで)

71.9

41.8

36.6

20.3

37.3

27.5

19.6

4.6

3.3

理系[%]

研究時間が不足

と回答153人

のべ回答数402

(回答は3つまで)

理系では、研究活動の一翼を担う「学生の指導」に対する意識が強い。文系では、自らの「論文・著書執筆」や「データ分析」への意識が強い。

文理の研究活動に対する意識の違い<時間が不足している研究活動>

24

Page 13: 20130927 kura研究会(配布)

文理の研究活動に対する意識の違い<研究時間が不足している原因>

55.0

56.6

30.2

7.9

10.6

7.4

9.0

10.1

会議等の組織運営

講義コマ数の多さ

処理雑務の多さ

研究人材の不足

研究報告書等の対応

研究スペースの不足

学外の業務

その他

文系 [%]

研究時間が不足

と回答189人

のべ回答数353

(回答は2つまで)

43.1

25.5

31.4

32.7

13.7

17.0

8.5

9.8

理系[%]

研究時間が不足

と回答153人

のべ回答数278

(回答は2つまで)

文系では、「講義コマ数の多さ」への意識が強い。理系では、「研究人材の不足」に対する意識が強い。

25

文理の研究活動に対する意識の違い<不足している研究人材>

51.0

58.3

26.5

6.0

21.2

2.6

5.3

ポスドク・研究員等

秘書などの雑務支援者

大学院生

実験補助者・技能者

リサーチアドミニストレータ

学部学生

その他

文系[%]

研究人材が不足

と回答151人

のべ回答数258

(回答は2つまで)

76.2

35.1

25.0

25.0

9.5

3.6

4.2

理系[%]

研究人材が不足

と回答168人

のべ回答数300

(回答は2つまで)

文系では、「雑務支援者」への意識が強い。理系では、「ポスドク・研究員等」、「実験補助者等」に対する意識が強い。

26

Page 14: 20130927 kura研究会(配布)

文理の研究活動に対する意識の違い<研究資金、研究タイプ、連携、研究評価>

必要な研究資金は、文系の方が少ない 研究タイプは、文系の方が基礎研究志向

研究評価の必要性は、文系も理系も同等

基礎研究

61.9%

応用研究

33.5%

開発研究

4.7%文系

回答者236人

基礎研究

39.8%

応用研究

44.7%

開発研究

15.5%

理系

回答者206人

実績あり

25.8%

実績なし

74.2%

文系

回答者236人

産学連携

実績あり

64.6%

実績なし

35.4%

理系

回答者206人

産学連携

文系

回答者236人

500万円未満

75.0%

500~2000万円

22.5%

2000~5000万円

1.7%

5000万円以上

0.8%理系

回答者206人

500万円未満

31.1%

500~2000万円

54.4%

2000~5000万円

12.6%

5000万円以上

1.9%

連携研究は、文系の経験者は少ない

必要あり

51.7%

必要なし

48.3%

文系

回答者236人

研究評価

必要あり

57.3%

必要なし

42.7%

理系

回答者206人

研究評価

27

文理の研究活動に対する意識の違い<まとめ>

理系多くが応用研究を志向し、また、連携

研究を経験している。

研究活動を担えるポスドク・助手等の人材不足を感じている。

学生への教育活動へ割く時間は、研究活動の足かせとは思っていない。

必要性を明らかにして、文理の連携へ自らアプローチ。

プロジェクト実施中の研究支援(研究人材、研究インフラなど)が必要。

文系基礎研究志向が強く、基本的に自分自

身で研究に取り組むため、連携研究の経験者は少ない。

講義や学内の組織運営へ時間を費やすことは、そのまま研究時間を減らすことを意味しており、「研究時間」不足の意識が強い。

必要性とメリットの認知が必要。

連携に慣れていないため、コーディネーター等による事前の研究支援が必要。

28

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文理連携研究に対する意識<文理連携研究の実績とニーズ>

文理連携研究の経験は、約8人に1人の割合と少ない。

29

実績あり

11.5%

実績なし

88.5%

文系

回答者244人

文理連携

実績あり

14.2%

実績なし

85.8%

理系

回答者232人

文理連携

65%の研究者が、新たな文理連携研究を実施したいと回答

実施した

62.7%

実施した

くない

37.3%

文系

回答者244人

文理連携

実施した

66.8%

実施した

くない

33.2%

理系

回答者232人

文理連携

文理連携研究に対する意識<文理連携研究を実施したい理由>

連携しないと解決できない課題がある、との回答が最も多い。

30

62.1

61.4

40.5

38.6

22.9

15.7

3.9

5.2

3.3

文理で連携しないと解決できない

自分の分野に新概念を提唱できる

成果を社会還元できる機会が増

社会的なニーズの把握ができる

自分のスキルアップに繋がる

公的資金の獲得機会が増

研究業績として評価される

連携先の機器、図書等を利用できる

その他

文系 [%]

文理連携を実施したい

と回答153人

のべ回答数388

(回答は3つまで)

61.9

54.8

43.2

37.4

23.2

12.9

7.1

3.2

5.2

理系[%]

文理連携を実施したい

と回答155人

のべ回答数386

(回答は3つまで)

Page 16: 20130927 kura研究会(配布)

文理連携研究に対する意識<文理連携研究を実施したくない理由>

連携研究を行う時間が取れない、との回答が最も多い。

31

49.5

41.8

35.2

24.2

15.4

18.7

17.6

16.5

12.1

6.6

6.6

5.5

0.0

1.1

1.1

12.1

研究を行う時間が取れない

文理で連携する必要がない

きっかけ、連携相手がない

対象の大きさや重点ポイントが異なる

文理連携を行う方法が分からない

文理連携を支援する制度・体制が弱い

研究に専念させる研究人材がいない

フロンティアを拓く成果が期待できない

研究を行う資金がない

連携相手と時間感覚に隔たりがある

研究を行う研究スペースがない

日本では文理連携は評価されない

成果の分配や発表の際トラブルとなる

研究を行う機器、図書等がない

作業者扱いされることが多い

その他

文系 [%]

文理連携を実施したく

ないと回答91人

のべ回答数240

(回答は3つまで)

36.4

37.7

35.1

48.1

31.2

22.1

18.2

13.0

10.4

9.1

6.5

3.9

3.9

2.6

1.3

9.1

理系[%]

文理連携を実施したく

ないと回答77人

のべ回答数222

(回答は3つまで)

文理連携研究に対する意識<新たな文理連携研究の構想提案>

文理連携研究を実施した研究者のうち、約半数は、「自ら研究構想を提案できない」、と回答。

32

構想でき

49.0%

構想でき

ない

51.0%

文系

文理連携を実施したい

と回答153人

文理連携の構想提案

構想でき

47.7%

構想でき

ない

52.3%

理系

文理連携を実施したい

と回答155人

文理連携の構想提案

文理連携の経験者は、リーダーとして新たな構想提案が可能と回答する割合が増える。

構想でき

44.1%構想でき

ない

55.9%

実績なし

文理連携を実施したい

/実績なしと回答者254人

文理連携の構想提案

構想でき

68.5%

構想でき

ない

31.5%

実績あり

文理連携を実施したい

/実績ありと回答者54人

文理連携の構想提案

Page 17: 20130927 kura研究会(配布)

(1)目標共有型

・もともと文理一体となって大きな社会的課題の解決へと向かい続けている。

臨床医療、応用脳科学、福祉など

(2)文理一体型

・もともと文理一体となった分野・人材の追究から始まり、新たな価値創造へと向かっている。

デジタル・アーカイブ、表現科学、感性科学など

(3)文理協力型

・将来にリスクが大きくなる社会的課題に対して、先鋭化した文理がお互いの足りない所を補足して協力を進める。

エネルギー政策、持続的産業経済など

(4)文理共存型

・個人的な繋がりから、全く連携のなかった文理分野の共存が始まり、新たな価値創造へと向かっている。

バイオ・アート、ロボット・アートなど

スペシャリスト人材(混在)

文理融合人材

課題解決型 価値創造型

文理融合の研究テーマの分類

文理融合プロジェクトのテーマを、4つの類型に分類

33

34

文系研究者の実施ニーズの強い分野: 「医学等」(20.9%)、「機械・電気電子工学」(15.0%)、「生物学」(15.0%)、 「数学」(12.4%)。理系研究者の実施ニーズの強い分野: 「経済学」(18.7%)、「心理学」(18.7%)、 「社会学」(17.4%)、「経営学」(14.2%)。

文理連携研究ニーズの強い分野

20.9

15.0

15.0

12.4

11.1

11.1

6.5

5.2

5.2

3.9

3.3

3.3

8.5

医学・歯学・看護学

機械・電気電子工学

生物学

数学

土木工学・建築学

農学・林学・水産学

物理学

材料工学

薬学

化学

天文・地球惑星科学

畜産学・獣医学

その他理

文系[%]

文理連携を実施

したいと回答153人

18.7

18.7

17.4

14.2

12.3

11.0

9.0

7.7

6.5

5.2

4.5

3.2

3.2

1.3

4.5

経済学

心理学

社会学

経営学

教育学

哲学

芸術学

文化人類学

言語学

人文地理学

法学

史学

政治学

文学

その他文

理系[%]

文理連携を実施

したいと回答155人

<文系研究者の実施ニーズ(多いもののみ)>

• 地域研究+土木・建築学=例:自然文化安全都市

• 法学+農・林・水産学=例:海洋管理

• 経済学+生物学=例:投資行動

• 経営学+医学=例:医療経営

• 政治学+機械・電気電子工学=例:政策科学

<理系研究者の実施ニーズ(多いもののみ)>

• 機械・電気電子工学+経済学=例:エネルギー・マネジメント

• 土木・建築学+経済学=例:震災からの復興

• 医学+社会学=例:心疾患医療

• 情報学+経済学=例:金融工学

• 健康・スポーツ学+社会学=例:予防医療

• 生物学+芸術学=例:バイオアート

• 化学+心理学=例:感性科学

• 物理学+哲学=例:存在論

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文理融合プロジェクトのマネジメント要件の例

分類 内容

ヒト プロジェクトを推進する 「研究リーダー」

文理融合に対する 「研究者の素養(好奇心など)」

プロジェクトの推進力を高める 「研究コーディネーター」

モノ 共通した情報を取得する 「計測設備・機器」

カネ プロジェクトを推進する 「研究資金」

情報 情報を共有化する 「データベース」

異分野のトピックスを知る 「交流会」

情報を共有化する 「研究ディスカッション」

外部における共通情報を収集する 「シンクタンク機能」

その他 プロジェクト推進のトラブルを避ける 「ルール」

プロジェクトの価値を押し上げる 「評価システム」

35

(1)目標共有型 (2)文理一体型

(3)文理協力型 (4)文理共存型

スペシャリスト人材(混在)

文理融合人材

課題解決型 価値創造型

文理連携研究のテーマ分類

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• 経済学+生物学=例:投資行動

• 生物学+芸術学=例:バイオアート

• 法学+農・林・水産学=例:海洋管理

• 政治学+機械・電気電子工学=例:政策科学

• 経営学+医学=例:医療経営

• 機械・電気電子工学+経済学=例:エネルギー・マネジメント

• 土木・建築学+経済学=例:震災からの復興

• 医学+社会学=例:心疾患医療

• 健康・スポーツ学+社会学=例:予防医療

• 地域研究+土木・建築学=例:自然文化安全都市

• 物理学+哲学=例:存在論

• 化学+心理学=例:感性科学

• 情報学+経済学=例:金融工学

共通の要件「研究資金」

◇有効な 「実験設備・計測機器」◆共通の 「データベース」

◇強力に推進する 「研究リーダー」◆トラブルを避ける 「ルール」

◇異分野トピックスを知る 「交流会」◆「研究コーディネーター」

◇「研究者の素養(好奇心など)」◆価値を押し上げる 「評価システム」

◇事前◆実施中

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文理連携研究の評価

• 文理連携研究は他分野との比較が困難

• 評価そのものが困難

馬場、小林:「高等研究教育機関における学際領域研究者の研究評価に関する一考察」, 研究・技術計画学会 第18回年次学術大会予稿集, pp75-78, 2003

37

文理連携研究は、経験することでさらに実施ニーズは高まる。

文理連携の研究推進に関する評価については、事前に的確な目標を設定することが極めて重要であり、その目標に対する中間・事後評価の適切な実施が大切。

矛盾

実施した

61.2%

実施した

くない

38.8%

実績なし

文理連携の実績なし

と回答者415人

文理連携

実施した

88.5%

実施した

くない

11.5%

実績あり

文理連携の実績あり

と回答者61人

文理連携

絶対評価: 社会的価値

相対評価: 比較

到達度評価: 対目標個内

集団内

社会

まとめ

38

• 文理融合プロジェクトの推進に向け、文系・理系研究者の意識の違いを分析し、文系研究者の「必要性とメリットの認知」が実施のポイントであることを明確化した。

• 文理連携研究は、成果の見通しも立たず、成功事例も少ない中での取組みとなるものの、研究者側の実施ニーズは高い。マネジメント手法を整備しつつ、事例を増やしていく戦略的な取組みが必要である。

• 文理融合プロジェクトの研究テーマを4つの類型に分類し、それぞれに重要となるマネジメント要件を示した。

• 評価については、事前に的確な目標を設定することが極めて重要であり、その目標に対する中間・事後評価の適切な実施が大切。

• 適切な連携が期待できる課題・分野の俯瞰的な抽出と、推進のシナリオ、ロードマップの構築が求められる。

今後の課題

• 文理連携研究マネジメントのフィージビリティ・スタディの開始

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3.日本の全国URAネットワークについて

39

4th Meeting (Sep. 2012, Tokyo)194 participants (67 organizations) 

3rd Meeting (Dec. 2011, Kanazawa)94 participants (39 organizations)

リサーチ・アドミニストレーション研究会2012年度大会(第4回)

2012年9月4日 (火)

学術総合センター

主催(大会世話役)

金沢大学 先端科学・イノベーション推進機構

東京農工大学 研究戦略センター

2nd Meeting  (Nov. 2010, Tokyo)66 participants (37 organizations)

1st Meeting(Feb. 2010, Tokyo)

48 participants

(28 organizations)

CopyrightⒸ 2012 TUAT-URAC 40

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41

欧米の大学研究マネジメントの状況

大学のプロファイリング(特徴づけ)を強く社会へ提示(水平的、垂直的)

背景は各国政府からの大学評価や基盤経費の傾斜配分強化

世界的に大学研究マネジメントのプロフェッショナル化の萌芽 (各国独自にネットワークが形成され出した)

(米国)リサーチデベロップメントプロフェッショナルズ

(ドイツ)サイエンスマネジメント/サイエンスマネージャー

(英国)リサーチマネージメント?/リサーチマネージャー?

NORDP(National Organization of

Research Development Professionals)

設立:2010年メンバー:約500名過去4回の年次大会(次回2013/5/13-15)

NetzwerkWissenschaftsmanagement

設立:2011年メンバー:約500名過去2回の年次大会(前回2012/11/15-16)

ARMA(Association of Research

Managers and Administrators)

大学研究活動向け基盤経費を傾斜配分するための評価

RAE (Research Assessment

Exercise) 2008年まで

REF (Research Excellence

Framework) 2014年から

日本のネットワーク形成に必要だろう要件

ドイツのサイエンスマネジメント・ネットワークと米国のNORDPという新たな研究マネジメント人材ネットワークを調査し、新たな人材定着のために必要とされる解決手段としてのネットワークのあり方を抽出した。

(オリジナル)の新しい分野

(対話)によるベストプラクティス探索

(オープン化)によるベストプラクティス深化

(多様性)を持ったネットワーキング

(国際化)へ向かうネットワーキング

(自律化)した個々

(キャリアパス)の支援

42

ベストプラクティスの探索と共有化

プロ化(専門職化)に向けたキャリアパス支援

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企業

社会NPO

大学

行政

43

市民団体、ボランティア、学生

教員・研究者、各種学会、日本学術会議

中央省庁、地方自治体総合科学技術会議、各種審議会、ファンディング・エージェンシー

製造業、IT、商社、金融、コンサルティング、シンクタンク、マスメディア、ベンチャー・キャピタル

社会貢献学際性

学術性論理性

規制緩和 資金

関連とのネットワーク化

ネットワーク他大学URAとの連携調査出張

44

英ケンブリッジ大学(Research Office)2013/2/4

東大山野さん

農工大丸山

早大松永さん

金大稲垣さん

東大近さん

農工大藤綱さん

金大松枝さん

農工大丸山

早大松永さん

金大稲垣さん東大

近さん

農工大藤綱さん

金大松枝さん

独シュパイヤ大学2013/2/7

Page 23: 20130927 kura研究会(配布)

全国URAネットワーク形成の旗印

45

語録

• 良いテーマの条件は永遠に変わらない

• 企画は人とのつながり

• 明日何をするの?

• ・・・・

1点、ぜひ全国URAネットワーク形成について意見交換(ブレスト)をお願いしたいです。ネットワーク化の“旗印”についてです。

URAナレッジのアーカイビングとしての書籍発行(大学という組織を越えて共同で制作!?)

参考例) 企業研究会:『R&D語録』 福井忠興

→ URA語録!?

International URA Networking Event 2020

46

全国URAネットワーク@Tokyo

東京2020オリンピック・パラリンピックに合わせ、海外のURA関連ネットワークに声掛けし、

また、ステークホルダー(大学、研究者、省庁、民間、市民など)を巻き込んだ一大イベント??

おもてなし

→ 世界をリードする!?

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ご清聴ありがとうございました。