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( 1 )第 1372 号 〔昭和 42 年 3 月 4 日第 3 種郵便物認可〕平成 30 年 11 月 5 日 〒1138621 東京都文京区本駒込22816 電話 0339462121(代) FAX 0339466295 E-mail [email protected] http://www.med.or.jp/ 毎月2回 5日・20日発行 定価 2,400円/年(郵税共) No. 1372 2018. 11. 5 定例記者会見 ………………… 2面 「防災推進国民大会 2018」でセッションを 開催 …………… 3面 横倉会長が国連総会 ハイレベル会合で 演説 …………… 7面 24 10 12 10 日本医師会・日本医学会合同公開フォーラムが 10月13 日、「HPVワクチンについて 考える」をテーマに日医会館大講堂で開催され、有識者による8題の講演が行われた。 今回のフォーラムを受けて、日医では、HPVワクチン接種に対する多様な意見も 踏まえ、引き続き正確な情報を国民に提供していくこととしている。 「医師の働き方改革」 「控除対象外消費税」の 問題解決に向けた協力を要請 横倉会長が根本厚労大臣と初会談 姿26 12 50 調調調調46 調20 16 18 90 姿

2018. 11. 5 No. 「HPVワクチンについて考える」 日 … › nichiionline › paper › pdf › n1372.pdf平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕 日医ニュース

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Page 1: 2018. 11. 5 No. 「HPVワクチンについて考える」 日 … › nichiionline › paper › pdf › n1372.pdf平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕 日医ニュース

(1)第1372号 日 医 ニ ュ ー ス 〔昭和42年3月4日第3種郵便物認可〕平成30年11月5日

〒113-8621 東京都文京区本駒込2-28-16電話 03-3946-2121(代)FAX 03-3946-6295E-mail [email protected]://www.med.or.jp/

発行所

毎月2回 5日・20日発行 定価 2,400円/年(郵税共)No. 13722018. 11. 5

●定例記者会見 ………………… 2面●「防災推進国民大会 2018」でセッションを 開催 …………… 3面●横倉会長が国連総会 ハイレベル会合で 演説 …………… 7面

導入に携わった他、平成

24年には復興大臣兼福島

再生担当として、東日本

大震災の被災地復興に努

め、今回、第4次安倍改

造内閣発足に伴い、厚労

大臣に就任した。

初会談で、横倉会長は

大臣就任に対する祝意を

伝えた上で、医療界にと

っての直近の課題とし

て、「医師の働き方改革」

「控除対象外消費税」を

挙げ、その解決に向けた

協力を要請。

根本厚労大臣は、「難

しい問題ではあるが、そ

の解決に努めていきた

い」と応じた。

また、両者は、今後も

国民の医療を守るために

協力していくことを確認

した。

横倉義武会長は10月12

日、日医会館を訪れた根

本匠厚生労働大臣と初会

談を行った。

根本厚労大臣は東大経

済学部卒業後に建設省に

入省。平成5年に衆議院

議員に初当選した後、平

成10年に厚生政務次官に

就任し、介護保険制度の

 日本医師会・日本医学会合同公開フォーラムが10月13日、「HPVワクチンについて考える」をテーマに日医会館大講堂で開催され、有識者による8題の講演が行われた。 今回のフォーラムを受けて、日医では、HPVワクチン接種に対する多様な意見も踏まえ、引き続き正確な情報を国民に提供していくこととしている。

「医師の働き方改革」 「控除対象外消費税」の     問題解決に向けた協力を要請

横倉会長が根本厚労大臣と初会談

門田守人日本医学会

長、釜

敏常任理事の総

合司会で開会。冒頭のあ

いさつで横倉義武会長

は、HPVワクチンの積

極的接種勧奨の差し控え

が実施されて以降、①ワ

クチン接種後に多様な症

状を訴える患者の診療支

援と救済を最優先に取り

組むべきとの考えの下、

本ワクチンの取り扱いに

ついて、厚生労働省と継

続的に対応を協議した結

果、予防接種法に基づく

健康被害救済の着実な実

施などの取り組みが進め

られている②患者やその

保護者に対する支援体制

の充実を目的として、現

場で対応に当たる医療機

関等を対象に、診療に際

しての基本姿勢や対応等

を示した「診療の手引き」

(平成26年12月)を作成し

─ことなどを説明。

その上で横倉会長は、

「現在、子宮頸がん患者

数は年間約10000

人、死亡者数は約300

0人で年々増加傾向にあ

るが、医師だけでなく、

国民、特に接種対象とな

る方々やその保護者の

方々に、蓄積された科学

的エビデンスを基にHP

Vワクチンを理解して頂

くことが重要になる」と

し、本フォーラムがその

契機となるよう期待を寄

せた。

続いて、釜

常任理事

が「序論」として、WH

O推奨予防接種と世界に

おける公的予防接種の実

施状況やワクチンを巡る

課題、HPVワクチンに

係るこれまでの経緯等を

説明した後、シンポジウ

ムが行われた。

HPVワクチン接種

の重要性を指摘する

意見が相次ぐ

宮城悦子横浜市立大学

医学部産婦人科主任教授

は、日本において子宮頸

がんによる死亡者数や患

者が若年層で増加傾向に

あることを問題視。その

予防のためにも、①HP

V感染と子宮頸がんの関

連について、思春期から

成人まで継続的な教育・

啓発を行う②HPVワク

チンの効果と安全性を国

民に伝えていく

─こと

が最重要課題であるとし

て、理解と協力を求めた。

シャロン・ハンリー北

海道大学大学院医学研究

院生殖・発達医学分野産

婦人科学教室特任講師

は、「HPVワクチンの

接種勧奨差し控えによっ

て、今後50年間に700

0人の予防可能な子宮頸

がん死亡者が見込まれ

る」などの自身の研究結

果を報告。HPVワクチ

ンへの国民の信頼を再び

得るためには、政府から

の強力なサポートやさま

ざまな団体の協力が不可

欠とするとともに、「自

然災害は防ぐことができ

ないが、子宮頸がんは検

診やワクチンで防ぐこと

ができる」と強調した。

祖父江友孝大阪大学大

学院医学系研究科環境医

学教授は、「全国疫学調

査」などの結果を紹介。

「接種歴のない者でも〝多

様な症状〟を有する者が

一定数存在した」とする

一方、「これまでの調査

はHPVワクチン接種と

〝多様な症状〟との因果

関係に言及する調査では

ない。因果関係を明らか

にするためには、データ

収集可能な仕組みの構築

が必要」との考えを示し

た。牛

田享宏愛知医科大学

医学部学際的

痛みセンター

教授は、HP

Vワクチン接

種後に痛みな

どが生じて受

診した46人の

患者に対する分類調査の

結果について、「接種の

関与が否定できない症例

も接種と無関係の症例と

遜色ない改善が得られる

一方、改善が得られない

ケースも20%以上見られ

たこと」などを報告。慢

性痛に関しては、身体治

療や体づくり、教育を行

うことで恐怖や不安のな

い状態にすることが重要

とした。

奥山伸彦JR東京総合

病院前副院長は、HPV

ワクチン接種と接種後の

〝多様な症状〟の医学的

因果関係は肯定も否定も

できないとした上で、今

後求められる診療体制と

して、「小児科医の積極

的参加」「一人の主治医

による切れ目のない診

療」「情報共有や教育・

医療負担を含めた社会的

支援」「担当医に対する

相談窓口の整備」「地域

医師会と小児科関連学会

によるサポート体制」を

挙げた。

榎本隆之新潟大学大学

院医歯学総合研究科産科

婦人科学教授は、日本に

おけるHPVワクチンの

有効性を検証した結果、

「HPV感染率の減少(H

PV16/18型)」への有

効率は90%を超えていた

ことなどを報告。「HP

V感染は子宮頸がんだけ

でなく、男女共に、さま

ざまな部位でのがん発生

の原因になる他、前がん

病変の際に行う円錐切除

術は早産のリスクを伴う

ため、出産を控える若い

女性にはワクチンによる

予防が重要になる」と述

べた上で、積極的勧奨差

し控え世代への救済措置

と共に、男子への接種、

検診受診勧奨の強化を求

めた。

及川馨日本小児科医会

業務執行理事・公衆衛生

担当は、HPVワクチン

接種により多くの人々が

その恩恵を受けてきたに

もかかわらず、そのリス

クのみが顕著化している

現状を危惧。接種後の健

康被害対策として、予防

接種制度とは別の補償、

または支援制度の早急な

確立を求めた。

その後、フロアとの質

疑応答が行われ、門田日

本医学会長が、「今回の

テーマは非常に重要なテ

ーマであり、国民一人ひ

とりの意見が求められて

いる。国民と共に存在す

るという姿勢の下、今後

もこの問題に関する議論

への国民の皆様の積極的

な参加を期待している」

と総括し、終了となった。

「HPVワクチンについて考える」

             

をテーマに開催

日本医師会・日本医学会合同公開フォーラム

Page 2: 2018. 11. 5 No. 「HPVワクチンについて考える」 日 … › nichiionline › paper › pdf › n1372.pdf平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕 日医ニュース

日 医 ニ ュ ー ス 第1372号(2)平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕

■■■■■■■■

経済財政諮問会議及び

財政審等の議論に対する

日医の見解を示す

10月10日

かにした。

横倉会長は、まず、経

済財政諮問会議(10月5

日開催)において、民間

議員から「予防・健康づ

くりの推進」に関して、

「予防・健康づくりの要

となる、糖尿病腎症重症

化予防にかかる埼玉県方

式、特定健診・特定保健

指導事業の医師会モデル

を含む生活習慣病・認知

横倉義武会長は、経済

財政諮問会議や財政制度

等審議会において、社会

保障制度改革に関する議

論が開始されたことを受

けて、日医の見解を明ら

症対策について、先進・

優良事例の全国展開を実

現すべき」「人生の最終

段階における医療・ケア

の在り方について、人生

の節目で関係者が十分話

し合うプロセスや住み慣

れた場所での在宅看取り

を促進すべき」という医

師会との協力を求める提

言が出されたことに対し

て、日医としても引き続

き関係者と協力しなが

ら、積極的に推進してい

く考えを明示。

ただし、民間議員から

「社会保障関係費につい

て5000億円を下回る

よう抑えるべきところは

抑えるべき」との意見が

出されたことに関して

は、「来年は消費税率が

10%に引き上げられる予

定であるが、増税の結果

として安心して社会保障

を受けられるようになっ

たという成功体験を持て

ることが重要であり、過

度な抑制をすべきではな

い」とした。

一方、財務省の財政制

度等審議会財政制度分科

会(10月9日開催)に関

しては、当日提示された

社会保障費の抑制策に向

けた改革案の主な項目に

ついて、日医の考えを説

明した。

「予防医療等による医

療費や介護費の節減効果

は定量的に明らかではな

く、一部にはむしろ増大

させるとの指摘もある」

という記述については、

日本健康会議等の取り組

みを改めて説明。「こう

した取り組みにより、2

017年度の医療費は既

に2011年の予測より

5兆円以上も下回ってお

り、特に、糖尿病予防の

医療費削減効果は明らか

である」とするとともに、

「今回の財政審の主張は

現在進められている地域

での健康づくりの活動に

水を差すものであり、強

い怒りを感じる」と指摘

した。

また、全国紙の記事を

引用した資料について

も、「予防医療は、国民

横倉義武会長は10月17

日、安倍晋三内閣総理大

臣が10月15日に開催され

た臨時閣議において、「消

費税率を法律で定められ

たとおり、平成31年10月

1日に10%に引き上げる

予定である」と表明した

ことを受けて、コメント

を公表し、これを支持す

る考えを示した。

コメントの中では、ま

ず、日医が「今後の経済

財政動向等についての集

中点検会合」(2013

年8月開催)、「今後の経

済財政動向等についての

点検会合」(2014年

11月開催)において、「消

費税率を引き上げて社会

保障の充実の財源とする

ことは、『社会保障と税

の一体改革』での国民と

の約束であり、その約束

はきちんと守るべきであ

る」と繰り返し主張して

きたことを説明し、今回

の安倍総理の表明を支持

するとした。

また、安倍総理が「お

年寄りも若者も安心でき

る全世代型の社会保障制

度へと、大きく転換し、

同時に財政健全化も確実

に進めていきます」と述

べたことにも言及。

昨年9月の定例記者会

見で、「受益と負担の関

係を明確にしつつ、増税

の結果として安心して社

会保障を受けられるよう

になったという成功体験

を持てることも重要であ

ると考えている」と述べ

るなど、増税分の使い道

を見直し、教育の無償化

等、全世代型社会保障の

実現を目指すことに理解

を示してきたとする一

方、「全世代型の社会保

障の中でも当初予定され

ていた医療財源はしっか

りと確保しなければなら

ない」と強調。「税負担

があっても安心して医療

を始めとする社会保障が

受けられるようになった

という成功体験が得られ

れば、今後、受益と負担

の関係を明確にしつつ、

社会保障財源負担への国

民の理解も得やすくな

る」とした。

加えて、いわゆる控除

対象外消費税の問題にも

触れ、8月29日の合同記

者会見で公表した三師会

と四病院団体協議会によ

る「控除対象外消費税問

題解消のための新たな税

制上の仕組みについての

提言」の実現を求めた。

また、横倉会長は、「人

口が減少していく中で、

持続可能な社会保障のあ

り方を考える必要があ

り、皆で知恵を絞って考

えていかなくてはならな

い」と指摘。

「健康寿命の延伸や日

本健康会議での取り組み

などを通じて、持続可能

な医療保険制度とし、国

民にとって必要とする医

療が過不足なく受けられ

る社会になるよう、引き

続き努力していく」とし

ている。

横倉会長

安倍総理の 消費税率引き上げ表明を 支持する考えを示す

に健康長寿という何物に

も代えがたい便益をもた

らします。国・地方自治

体や医療従事者は今後も

引き続き予防医療を積極

的に推進すべきだと考え

ています」という結論が

削除されており、大変恣し

意い

的だと批判した。

加えて、健康寿命の延

伸による高齢者の就労増

がもたらす可処分所得の

増加額は年間約2400

億円にも上るとの試算も

あること(図)を紹介。「国

民の幸せのために予防に

た」とした上で、「多額

の公費による支出があっ

たにもかかわらず、死亡

時に更に多額の遺産を残

された場合などは、その

検討をしていくことも一

つの方法なのではない

か」と述べた。

更に、「高額医療機器の

配置の適正化」について

は、「国公立病院や大学

病院などが同一医療圏に

ありながら、バラバラの

経営や補助金で高額な医

療機器の重複投資を繰り

返してきた例も散見され

ており、地域医療対策協

議会もしくは地方厚生局

単位程度で協議会を設け

るなどして検討の上、一

定の規制をかけることも

一つの方法」とするとと

もに、「その際には、重

粒子線、陽子線を始めと

した超高額医療機器に限

定すべきであり、MRI

やCTにまで規制を掛け

るべきではない」とした。

その上で、横倉会長は、

「財政審は負担の増加と

給付の抑制のみを主張し

ているが、財務省は、社

会保障の抑制策を考える

前に、まずは446兆円

超にも上る企業の内部留

保を活用して国の財政に

寄与するような提言をす

べき」と強調し、204

0年に向けた社会保障の

あり方については、しっ

かりとした議論の場をつ

くり、国民全体で合意の

上、納得を得られる負担

と給付を導き出すことを

求めた。

費用が掛かるのであれ

ば、国はその財源をしっ

かりと確保すべきであ

り、財務省はその支援を

きちんと行う必要があ

る」とするとともに、「高

齢になっても生きがいを

持って生き生きと働き続

けられるよう支援してい

くことこそ、医師、更に

は医師会の役割である」

とし、引き続き、その責

務を担っていくとした。

その他、「改革工程表」

に示されている「外来診

療における窓口負担のあ

り方」「費用

対効果評価の

活用」「医療

費適正化に向

けた地域別の

診療報酬」「高

齢化や支え手

の減少におけ

る給付と負担

のバランス」

については、

改めて日医の

考えを説明す

るとともに、

「応

担」

「高額医療機

器の配置の適

正化」につい

ても言及。「応

能負担」につ

いては、「日

医は以前から

社会保障の理

念に基づき、

所得や金融資

産の多寡に応

じた応能負担

を行うべきと

主張してき

図 健康寿命の延伸に伴う高齢者の就労増による財政効果※内閣府 経済・財政一体改革推進委員会「経済・財政一体改革の中間評価(参考資料)」(2018 年 3 月 29 日) (http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/report_20180329_3.pdf)24 頁より作成

健康寿命の延伸による高齢者の就労増がもたらす可処分所得の増加額

(年間) 約2,400億円(推計方法)

健康寿命が1歳延伸したことによる就労率の上昇(0.622%) × 2020年の65 ~ 74歳人口(1,747万人)× 65 ~ 69歳賃金(182,300円/月) × 12カ月 = 約2,400億円

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(3)第1372号 日 医 ニ ュ ー ス 〔第3種郵便物認可〕平成30年11月5日

日本医師会JMAT研

修基本編が10月14日、都

道府県医師会、日本災害

医学会の協力の下、日医

会館小講堂で開催され、

117名が参加した。

本研修は、「災害時に

被災地内外から派遣され

るJMATとして、一体

的・組織的な医療支援活

動を行えるようにする」

「被災地のコーディネー

ト機能に従って、適切な

災害医療活動が行えるよ

う、災害医療に関する基

本的な知識・知見を身に

つける」「自地域で災害

が発生した時は、地域防

災計画や所属医師会のマ

ニュアル等に従って、『被

災地JMAT』

としての活動を

迅速に行えるよ

うにする」

ことを目的とし

て、初めて実施

されたものであ

る。冒

頭あいさつ

した横倉義武会

長(中川俊男副

会長代読)は、

①日医で基本編

の研修コースを

試みた上で、各都道府県

医師会等でこれをモデル

とした研修を実施しても

らうことで、JMATの

すそ野を広げる②研修を

通じて出された課題や提

案を基に、会内の救急災

害医療対策委員会でプロ

グラムの見直しを図り、

充実に努める

─との日

医の方針を説明。本日の

成果が、全国のJMAT

体制の強化に寄与するこ

とに期待を寄せた。

当日は、宮城県、東京

都、兵庫県の各医師会、

日本災害医学会の役職員

や関係者がファシリテー

ターとして、各グループ

に分かれた受講者の中に

入り、講義(座学)とと

もに、本部機能(被災地

の医師会との調整等)、

被災地における活動、情

報の共有・記録、日医へ

の情報発信、全国の医師

会との情報共有、熱傷・

外傷の処置などの実習が

行われた(写真)。

なお、今後は11月4日

に「総括JMAT編」の

研修を、東日本向けに日

医で、来年の2月から3

月にかけては西日本向け

に外部で2回、それぞれ

開催する予定となってい

る。

全国のJMAT体制の強化を目指し

日本医師会JMAT研修基本編を開催

日医は10月13日、「防

災推進国民大会201

8」(14日まで開催)の

会場内で「災害医療対策

から見た〝レジリエンス〟

の強化」をテーマとした

セッションを行った。

今回のセッションは、

災害対策の充実を図ると

ともに、医師会活動に対

する市民や防災関係者の

理解を得ることを目的と

して行われたものであ

り、「防災推進国民大会」

で日医がセッションを行

うのは初めてのこととな

る。石

川広己常任理事は、

災害への備えこそがソフ

トパワーによるナショナ

ルレジリエンスであり、

地域包括ケアシステムを

構築していく上でも防災

の視点が欠かせないと強

調。JMATのレベルア

ップを図るため、今年初

めて研修会を開催するこ

とを報告するとともに、

今後の被災地支援におい

ては、まず、「先遣JM

AT」を派遣して情報収

集を行い、その後に「統

括JMAT」を派遣し、

被災地の医師会と連携し

ながら効果的なJMAT

活動をしていく考えを示

した。

登米祐也宮城

県医師会常任理

事は、東日本大

震災の経験を踏

まえ、避けられ

た死を防ぐため

にも、要救護者

の早期の把握が

不可欠であると

指摘。その他、

災害に強いまち

づくりを進める

ため、県民にか

かりつけ医をも

つことを呼び掛

けていることな

どを紹介した。

永田壮一上益

城郡医師会顧問

は、熊本地震か

らの地元医療機

関復興への取り組みを報

告。復興を進めるために

必要なこととして、被災

地医療機関会議

を速やかに招集

することを挙げ

るとともに、医

師会に対しては

「医療者の生活

援助」「診療・

看護への援助」

にも取り組んで

欲しいとした。

掛川市の大東

地域の連携を考

える会「つなぐ

会」実行委員会

は、医療、介護

など関係者が日

頃の連携をスム

ーズに行えるよ

うに設けられた

同会の活動を紹

介。災害時の具体的な連

携や情報の受信・発信方

法が確立されていないこ

とが今後の課題とすると

ともに、SNSの活用を

検討中であることを報告

した。

大友康裕日本災害医学

会理事は、阪神・淡路大

震災以降の大規模災害の

経験を基に、DMATや

DHEAT等がつくられ

てきたことを時系列で説

明。今年7月の西日本豪

雨災害の際に設けられた

「倉敷地域災害保健復興

連絡会議」は、今後、J

MAT等から地元の医療

機関に医療提供機能を引

き継ぐ際のモデルになる

とした。

その後のディスカッシ

ョンでは、「これまでに

得られた経験が、全国で

情報共有できていないの

日医「防災推進国民大会 2018」で 「災害医療対策から見た“レジリエンス”の強化」をテーマに セッションを開催

ではないか」「災害発生

初期においても慢性期医

療のニーズがあることを

認識すべき」との意見が

出された他、「避難所の

つくり方」「厚生労働省

が、医療機関に災害時に

も診療を続けられるよ

う、『業務継続計画』の

策定を求めていること」

などについて、活発な意

見交換が行われた。

平成30年7月豪雨災害支援のため3億円を超える支援金が集まる

 平成30年7月豪雨で被災した医療機関及び地元医師会を支援するため、日医が全国の医師会及び会員等に対し依頼していた支援金の総額が331,899,062円(10月15日現在)となり、その中には台湾医師会並びに台北市医師会からの多額の支援金も含まれることが、10月16日に開催された平成30年度第8回理事会で報告された。 寄せられた支援金については、岡山・広島両県医師会に116,000,000円を、愛媛県医師会に70,000,000円をそれぞれ配賦する他、29,899,062円については今後の災害支援に向けて、日医の災害対策積立資産に繰り入れることとなった。

多額の支援に感謝 横倉会長 横倉義武会長は、「急なご依頼であったにもかかわらず、都道府県医師会始め多くの方々に多額の支援金を頂き、深く感謝申し上げる。日医は今後も被災地の復興のため、できる限りの支援をしていきたい」としている。

防災推進国民大会とは自助・共助の重要性が国際的な共通認識とされた「仙台防災枠組2015─2030」(2015年3月「第3回国連防災世界会議」にて採択)を踏まえて発足した防災推進国民会議(横倉義武会長が議員を務める)、防災推進協議会、内閣府の三者主催によるイベント。

国民の防災に関する意識向上を目的とし、さまざまな省庁、地方自治体等の公的機関、団体、企業、非営利法人が出展、セッションを行う。今回で3回目の開催であり、日医はこれまでポスターセッションに出展してきた。

キーワード

Page 4: 2018. 11. 5 No. 「HPVワクチンについて考える」 日 … › nichiionline › paper › pdf › n1372.pdf平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕 日医ニュース

日 医 ニ ュ ー ス 第1372号(4)平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕

第62回社会保険指導者

講習会(日医・厚生労働

省共催)が、「わかりや

すい感覚器疾患」をテー

マとして、10月3、4の

両日、日医会館大講堂で

開催され、2日間合計で

延べ524名の参加があ

った。

松本吉郎常任理事の司

会で開会。冒頭のあいさ

つで横倉義武会長(今村

聡副会長代読)は、「感

覚器の障害による損失は

健常人にはおよそ想像で

きないものであり、超高

齢社会に突入しているわ

が国において、高齢者に

高い頻度で

起きる感覚

器疾患への

理解を深め

ることは、

健康長寿社

会の実現を

目指す上で

極めて重要

な課題であ

る」と強調

した。

また、会

長として4

期目を迎え、

「全国をく

まなく網羅

する医師会

組織は、わ

が国の重要

なインフラであり、医療

は社会的共通資本である

との思いに改めて至っ

た」と述べ、今後は、社

会保障制度の安定性と持

続可能性を高めるために

も、(1)プロフェッシ

ョナル・オートノミーに

基づく医師の働き方改

革、(2)かかりつけ医

機能の拡充による地域医

療の強化、(3)経済、

財政、社会保障を一体的

に考えた国づくり

─等

について、医療界を挙げ

て自ら変革に取り組んで

いく必要があるとした。

その他、自然災害や東

京オリンピック・パラリ

ンピック、少子化等への

対策の重要性にも触れ、

地域住民とのつながりを

大切にしながら、かかり

つけ医機能の拡充を図る

など、継続的で包括的な

保健・医療・福祉の実践

を目指した地域医療を確

立することで、医療に対

する国民の信頼に応え続

けていく決意を示した。

樽見

樹厚労省保険局

長のあいさつに続いて、

2日間にわたって、感覚

器障害の分類と疫学、視

覚障害とその診かた、嗅

覚・味覚障害の診かたと

最新治療、めまい・平衡

障害の診かたと最新治療

等に関する講演と質疑応

答が行われた。

2日目の午後に行われ

た厚労省関係の講演で

は、まず、吉田学厚労省

医政局長が、「質が高く

効率的な医療提供体制の

実現に向けて」と題して、

①医師偏在対策の推進②

医師の働き方改革の推進

③地域医療構想の実現

─について概説した。

①では、「国民皆が住

んでいる地域で医療を受

けられる体制が必要であ

る」とした上で、医師の

モチベーションへの配慮

及び都道府県(行政)だ

けでなく、関係者が一体

となった取り組みが必要

と指摘した。

②では、医師の長時間

労働は常態化しており、

医療安全の観点からも働

き方改革は必要との認識

を示した。

③では、「地域ごとの

医療機能の見直しを行う

べきであり、在宅や介護

も絡めた議論も必要」と

述べ、都道府県にはビジ

ョンの提示と関係者間の

調整が求められるとした。

続いて、森光敬子厚労

省保険局医療課長が、「医

療と社会の変革に対応す

る制度を目指して─制度

の概要、平成30年度診療

報酬改定を中心に─」と

題して、①日本の医療を

取り巻く現状②平成30年

度診療報酬改定の概要③

医療技術の評価④新しい

技術のインパクト

─に

ついて解説した。

①では、日本の医療制

度が直面する主な課題と

して、「高齢化の進展と

医療ニーズの変化」を挙

げ、高齢化は地域差が大

きいことや近年の疾病構

造の変化を説明した。

また、人口減少・少子

化が進み、医療費負担や

医療等のサービスの「支

え手」が減っていく中で、

どう効率的な医療を提供

していくかがポイントと

の見方を示した他、医療

の高度化への対応も大き

「わかりやすい感覚器疾患」をテーマに開催

第62回社会保険指導者講習会

日、日医会館小講堂で開

催された。

石川広己常任理事の司

会で開会。冒頭、あいさ

つに立った横倉義武会長

は、「日医IT化宣言2

016」に基づき、日医

が医療等分野専用のネッ

トワーク構築等に積極的

に取り組んでいることを

強調した。

また、今年5月に施行

された「医療分野の研究

開発に資す

るための匿

名加工医療

情報に関す

る法律(以

下、次世代

法)」では、

改正個人情

報保護法施

行によって

要配慮個人

情報となっ

た医療情報

の取得時、

第三者提供

時において

原則必要と

なる本人同

意を、本人

が拒否しなければ同意し

たとみなして(オプトア

ウト)、複数の医療機関

などから医療情報を収集

し、匿名加工を行った上

で、研究・開発などを行

う第三者への提供が可能

となったことに言及。「こ

の事業を担うための一般

財団法人を新たに立ち上

げて認定申請を行う予定

である」と述べ、今後も

適切な方向に施策を進め

ていけるよう、活発な協

議を求めた。

議事では、「次世代医

療基盤法への対応」につ

いて、藤本康二内閣官房

内閣審議官健康・医療戦

略室次長と石川常任理事

が講演した。

藤本次長は次世代医療

基盤法について、①医療

情報の管理や匿名化を適

正かつ確実に行う事業者

を認定する仕組みを設け

る②本事業に参加する医

療機関等は患者に書面で

通知し、本人が拒否しな

い場合、医療情報を認定

事業者に提供できる③認

定事業者は匿名加工した

データを利活用者のニー

ズに応じて提供できる

─などの全体像を説明

した上で、「医療機関に

は全体としての研究開発

を進める仕組みに参加す

る意欲を持って頂き、日

本の医療を進めていくと

いう国民の理解の下で本

制度を育てて欲しい」と

要望した。

石川常任理事は、日医

における次世代医療基盤

法への対応として、

平成30年度都道府県医師会情報システム担当理事連絡協議会

次世代医療基盤法への対応などについて 解説

な課題であるとした。

②では、平成30年度診

療報酬改定の狙いや具体

的な内容を説明した(本

誌1358号参照)。

③では、新規医療技術

が保険適用されるまでの

基本的な流れやその評価

について説明するととも

に、④では、がんゲノム

医療について最新の状況

を紹介した。

講習会の最後には、今

村副会長が講演及び本講

習会の総括を行った。

講演では、主に控除対

象外消費税問題の解消に

向けた取り組みや現況等

を解説。診療報酬による

補てん状況の集計ミス等

を踏まえ、今後は消費税

率の変更の有無にかかわ

らず、定期的な検証を求

めているとした上で、「年

末の税制改正大綱の決定

に向け、三師会・四病院

団体協議会合同提言に凝

縮された医療界の望む姿

での対応の実現を目指

し、医療界一丸となって

要望活動を展開していき

たい」と述べ、参加者に

理解と支援を求めた。

平成30年度都道府県医

師会情報システム担当理

事連絡協議会が10月10

日 

本 

医 

師 

ダイヤルイン

総務課(人事・労務)

03―3942―6493・総務課

03―3942―6481/

03―3942―6477・施設課

03―3942―7027・経理課

03―3942―6486・広報課

03―3942―6483・情報システム課

03―3942―6135・医療保険課

03―3942―6490

介護保険課

03―3942―6491・年金・税制課

03―3942―6487・生涯教育課

03―3942―6139・編集企画室

03―3942―6488・日本医学会

03―3942―6140・情報サービス課 03―3942―6482・医学図書館

03―3942―6492・国際課

03―3942―6489

総合医療政策課

03―3942―6514・医事法・医療安全課

03―3942―6506/03―3942―6484・地域医療課

03―3942―6137・健康医療第一課

03―3942―6138・健康医療第二課

03―3942―8181・感染症危機管理対策室

03―3942―6485

医賠責対策課

03―3942―6136・日医総研

03―3942―7215・女性医師バンク

03―3942―6512・治験促進センター

03―5319―3781・電子認証センター

03―3942―7050(防災センター

03―3942―6516・日本医師連盟

03―3947―7815)

Page 5: 2018. 11. 5 No. 「HPVワクチンについて考える」 日 … › nichiionline › paper › pdf › n1372.pdf平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕 日医ニュース

(5)第1372号 日 医 ニ ュ ー ス 〔第3種郵便物認可〕平成30年11月5日

日医及び日本医師会

ORCA管理機構株式会

社による個々人の「生涯

保健情報統合基盤」の構

築を説明。診療所のレセ

プトや電子カルテを中心

に、医療・健診・介護・

死亡・生活など幅広い情

報を収集する予定であ

り、これらを運用する一

般財団法人を日医と医療

関連団体等で設立し、認

定事業者を目指すとした。

更に、「全国の個々の

診療所から情報収集する

には限界があるので、地

域医療連携の普及を支援

しつつ、地域単位で情報

収集を進めている」と述

べ、滋賀・熊本・沖縄各

県医師会における情報収

集の取り組みを紹介した。

また、同常任理事は、

「医療セプターの運営」

について概説。情報通信、

金融、航空、鉄道、電力

などの重要インフラ事業

者等の情報共有・分析機

能等を担う組織であるセ

プターのうち、医療分野

に関しては、現在、日医、

日本歯科医師会、日本薬

剤師会、日本看護協会な

ど17機関から構成され、

事務局は日医が担うこと

となった(本紙第137

0号既報)とし、「今後

も医療関係団体並びに都

道府県・郡市区等医師会

と共に医療機関における

情報セキュリティを推進

していきたい」との姿勢

を示した。

続いて「医師資格証の

普及」については、長島

公之常任理事が報告。医

師資格証は医療機関採用

時の資格確認や、災害時

等の緊急時の身分証、「J

AL 

DOCTOR」登

録制度の他、講習会受付

やログイン認証、HPK

I電子署名などITでの

利用も可能であるが、発

6・

7%、全医師数の3・

8%にとどまっていると

して、今後は保険医登録

の申請手続き代替や海外

での資格証明などを目指

すとともに、IT利用に

関する診療報酬上の評価

等を求め、利用価値と活

用の場面を増やしていく

と強調した。

また、長島常任理事は、

地域医療介護総合確保基

金におけるサーバー更新

費について、既存のネッ

トワーク機能の追加や拡

充のための更新であれば

対象となることを解説し

た。こ

の他、事務局より、

日医テレビ会議システム

のライセンス拡張と、来

年3月2、3の両日開催

される予定の「平成30年

度日本医師会医療情報シ

ステム協議会」について

説明を行った。

質疑応答では、各都道

府県医師会から事前に寄

せられた質問や会場から

の質問に石川・長島両常

任理事らが回答するとと

もに、羽鳥裕常任理事が

AIに関する国の審議会

の検討状況について報告

した。

なお、当日は、会場で

57名が参加した他、29道

府県医師会にテレビ会議

システムで配信を行っ

た。

第40回産業保健活動推

進全国会議が10月11日、

日医会館大講堂で開催さ

れた。

冒頭、あいさつで根本

匠厚生労働大臣(椎葉茂

樹厚労省労働基準局安全

衛生部長代読)は、「産

業保健活動に期待される

役割は、労

働現場にお

ける健康管

理、作業管

理等に集約

されるが、

平成29年3

月に閣議決

定された働

き方改革実

行計画では、

『産業医・

産業保健機

能の強化』

『治療と仕

事の両立支

援』を推進

することが

求められている」と指摘。

また、本年6月に成立

した働き方改革関連法の

中で産業医による面接指

導や健康相談等を確実に

実施する仕組みの構築等

と共に、産業医学の専門

的立場から、より効果的

な活動が行いやすい環境

整備が労働安全衛生法の

改正に盛り込まれた他、

メンタルヘルス対策や治

療と職業生活の両立支援

に取り組む企業への支援

の推進が求められている

ことを紹介。「厚労省と

しては、多様な働き方が

できる社会の実現のため

にも、それらの対策の実

効性を上げることが不可

欠であると考えている」

として、理解と協力を求

めた。

横倉義武会長はあいさ

つで、「産業保健活動の

推進は労働者の健康の保

持増進を通じ、わが国の

持続可能な社会の構築に

貢献するものと確信して

いる」とするとともに、

働き方改革関連法が成立

し、多様な働き方を実現

する働き方改革を総合的

に実現するための措置が

講じられたこと、また、

本年4月からは労働災害

を減少させるために国が

重点的に取り組む事項を

定めた第13次労働災害防

止計画が始まったことに

言及。「これらの状況か

らも産業保健機能の重要

性がこれまで以上に高ま

ることは明らかだ」とし

て、産業医及び産業保健

活動総合支援事業の果た

す役割に期待感を示し

た。続

いて、有賀徹労働者

健康安全機構理事長並び

に清水英佑産業医学振興

財団理事長よりあいさつ

が行われた。

その後、活動事例報告

として、萩野とも子岩手

産業保健総合支援センタ

ー産業保健専門職が「両

立支援に係る取組」、小

山善子石川産業保健総合

支援センター所長が「メ

ンタルヘルス対策支援に

係る取組」、長谷川邦夫

新潟地域産業保健センタ

ーコーディネ

ーター及び翁

長英好那覇地

域産業保健セ

ンターコーデ

ィネーター

が、それぞれ

の地域産業保健センター

の活動について紹介した。

次に、松本吉郎常任理

事の司会の下、説明・報

告が行われ、神ノ田昌博

厚労省労働基準局安全衛

生部労働衛生課長は、「最

近の労働衛生行政の動向

について」と題して講演

を行った。

同課長はまず、「働き

方改革の背景」を報告し

た上で、「産業医・産業

保健機能の強化」として、

働き方改革関連法や労働

安全衛生法改正の概要を

解説するとともに、「治

療と職業生活の両立支

援」と「メンタルヘルス

対策」等について説明し、

理解を求めた。

続いて、産業医の組織

化について、徳竹英一埼

玉県医師会常任理事が同

県医師会における産業医

委嘱契約システム等、松

本雅彦同県医師会産業保

健委員会委員長が大宮医

師会産業医会の取り組

み、次いで池田久基岐阜

県医師会副会長が産業保

健活動における取り組み

について、それぞれ紹介

した。

更に、及川桂産業医学

振興財団事務局長が産業

医需要供給実態調査事業

について、松本常任理事

が、「認定産業医に関す

る組織活動実態調査」結

果から見る都道府県医師

会の「組織化」に向けた

取り組み状況について、

それぞれ報告した。

協議では、堀江正知日

医産業保健委員会副委員

長の司会の下、神ノ田労

働衛生課長、大西洋英労

働者健康安全機構理事、

松本常任理事、及川産業

医学振興財団事務局長の

4氏が、埼玉県(大宮)・

愛知県・滋賀県・岡山県

の各医師会から事前に寄

せられていた、①地域産

業保健センター事業の支

援対象に関する取り扱い

②治療と就労の両立支援

③ストレスチェック制度

④定期健康診断後の事後

処置⑤がん治療と就労に

おける個別調整支援活動

の実情と対策

─等に関

する質問・要望に対し

て、それぞれ回答した。

また、総括産業医の有

無の確認や平成30年診療

報酬改定で新設された

「療養・就労両立支援指

導料」など、今後の課題

についても認識を新たに

した。

産業保健総合支援事業と

産業医の組織化を巡って

第40回産業保健活動推進全国会議

感染します こんな症状 妊婦さんは要注意風しんは、患者のせき・くしゃみ・会話などによって空気中に飛び散った病原体を吸入することにより、ヒトからヒトへ感染する病気です。

感染から2~3週間で発症し、症状としては発熱、全身の発疹、リンパ節の腫れなどが見られます。成人が発症すると小児より重症化することがありますので、症状が疑われる場合には、早めにかかりつけ医に相談してください。

妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染してしまうと、胎児に影響を与え、出生児にさまざまな障がいを引き起こす可能性があります。しかし、妊娠中はワクチン接種を受けることができませんので、周りの人が気をつけてあげましょう。

風しんは、ワクチンを接種することで防ぐことができる病気です。今、日本では30~50歳代の男性の約2割が風しんに対する免疫をもっていないと言われています。これらの方を含めて、これまでにワクチン接種を受けていない方は、家族や職場の方にうつさないようにするためにも、早めに接種を受けましょう。接種を希望される方は、お気軽にご相談ください。 院長

あなただけでなく、大切な人を守るために

風しんのワクチン接種を受けましょう! 風しんは感染する病気です

風しんウイルス提供元「国立感染症研究所」

日本医師会ホームページ内コンテンツ

健康の森「風しん」http://www.med.or.jp/forest/check/fushin/01.html

ご活用下さい!

ポスターは日医ホームページ( http://www.med.or.jp/people/health/kansen/001484.html)からダウンロードできます。

→ 日 

本 

医 

師 

ダイヤルイン

総務課(人事・労務)

03―3942―6493・総務課

03―3942―6481/

03―3942―6477・施設課

03―3942―7027・経理課

03―3942―6486・広報課

03―3942―6483・情報システム課

03―3942―6135・医療保険課

03―3942―6490

介護保険課

03―3942―6491・年金・税制課

03―3942―6487・生涯教育課

03―3942―6139・編集企画室

03―3942―6488・日本医学会

03―3942―6140・情報サービス課

03―3942―6482・医学図書館

03―3942―6492・国際課

03―3942―6489

総合医療政策課

03―3942―6514・医事法・医療安全課

03―3942―6506/03―3942―6484・地域医療課

03―3942―6137・健康医療第一課

03―3942―6138・健康医療第二課

03―3942―8181・感染症危機管理対策室

03―3942―6485

医賠責対策課

03―3942―6136・日医総研

03―3942―7215・女性医師バンク

03―3942―6512・治験促進センター

03―5319―3781・電子認証センター

03―3942―7050(防災センター

03―3942―6516・日本医師連盟

03―3947―7815)

Page 6: 2018. 11. 5 No. 「HPVワクチンについて考える」 日 … › nichiionline › paper › pdf › n1372.pdf平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕 日医ニュース

日 医 ニ ュ ー ス 第1372号(6)平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕

雄参与(WMA医の倫理

委員会・社会医学委員会

アドバイザー)、澤倫太

郎日医総研研究部長の

他、都道府県医師会、日

医ジュニアドクターズネ

ットワーク(JMA─

DN)より、総勢26名が

参加した。

横倉会長は、総会に先

立ち、1日には役員会議

に出席し、国連総会にお

けるNCDsに関するハ

イレベル会合において、

WMA会長として演説を

行ったこと(7面参照)

を報告した他、同日に開

催されたJDNミーティ

ングでは、各国のJDN

メンバーと懇談を行った。

2日には、アイスラン

ド医師会のジョン・スネ

ーデル元WMA会長、レ

イニュー・アリングリム

ソン会長と共に、アイス

ランドのグズニ・ヨハン

作業部会」に出席した。

引き続きUHCの推進

に取り組む姿勢を示す

─横倉会長

グズニ大統領臨席の

下、5日には総会式典が

開催され、横倉会長が第

68代WMA会長の退任あ

いさつを行った。

その中では、1年間の

活動を振り返り、さまざ

まな国の会議への出席、

UHCフォーラム201

7、WHOテドロス事務

局長とのUHCの推進を

テーマとした覚書の締結

などに触れるとともに、

日本の医療状況の推移か

ら、UHCの達成には時

間を要すると指摘。20

19年にはG20が開催さ

れる日本において、H20

(Health Profession

)会

合を開催予定であること

を報告した。

更に、今後も、レオニ

ード・エイデルマンWM

A新会長やオトマー・ク

ロイバー事務総長と共に

UHCの推進に取り組ん

でいく考えを示した。

あいさつ終了後には、

アーディス・ホヴェン議

長より元WMA会長メダ

ルが贈られた。

なお、第69代WMA会

長にはエイデルマンイス

ラエル医師会元会長が就

任し、横倉会長は201

9年10月までの1年間、

WMA前会長を務めるこ

とになる。

また、2019年から

20年のWMA会長選挙で

は、ミゲル・ジョルジュ

ブラジル医師会理事が選

出された。

議事では、日医から提

案した「母子健康手帳の

開発と普及に関するWM

A声明」が採択された。

その他、総会開催期間

中、アジア大洋州医師会

連合(CMAAO)加盟

医師会参加者と意見交換

を行った。

総会における主な議事

内容は以下のとおりであ

る。

日医提案の「母子健康手帳の開発と普及に関する WMA声明」を採択

世界医師会(WMA)レイキャビク総会世界医師会(WMA)

レイキャビク総会が、ア

イスランドのレイキャビ

クにおいて、10月3日か

ら6日にかけて開催さ

れ、40医師会及び赤十字

国際委員会等から約24

0名が参加した。

日本からは、横倉義武

会長(WMA会長)、WM

A理事として松原謙二副

会長、道永麻里常任理事、

星北斗参与の他、畔柳達

ティアゴ理事会(チリ)、

10月トビリシ理事会(ジ

ョージア)

2020年:4月ポル

ト理事会(ポルトガル)、

10月コルドバ総会(スペ

イン)

2021年:4月理事

会(開催地未定)、10月

ロンドン総会(イギリス)

2022年:4月パリ

理事会(フランス)、10

月ベルリン総会(ドイツ)

2023年:4月理事

会(開催地未定)、10月

キガリ総会(ルワンダ)

②加盟医師会

総会開催中、カナダ医

師会が脱退したことによ

り、113加盟医師会と

なった。

③WMA新地域「東地中

海」に関するWMA定款

細則改訂

WMAの地域は、ヨー

ロッパ、アジア、大洋州、

ラテンアメリカ及びカリ

ブ海、アフリカ、北米、

東地中海の7つとなった。

(4)学術集会(WM

A医の倫理会議)

WMA医の倫理会議と

の合同プログラムとし

て、学術集会が4日に開

催された。

「安楽死と医師の支援

を受けてなされる自殺:

終末期に関するWMA地

域会議報告」セッション

では、昨年9月のCMA

AO東京総会で議論され

た終末期に関するアジア

各国の見解について、畔

柳参与が報告を行った。

(5)その他

レイキャビク滞在中

に、北川靖彦在アイスラ

ンド日本国大使の招待に

よる夕食会に参加し、懇

談を行った。

(1)医の倫理関係

採択文書

「医学的妊娠中絶に関

するWMA声明修正」

「遠隔医療の倫理に関

するWMA声明修正」

「重大な刑事犯罪で起

訴を免れた医師の免許交

付に関するWMA声明修

正」

「バイオ医薬品に関す

るWMA声明修正」

「死刑に医師が参加す

ることを禁止するWMA

決議」

作業部会設置

日本が「生殖技術」に

関する作業部会のメンバ

ーとなった。

(2)社会医学関係

採択文書

「医療ツーリズムに関

するWMA声明」

「医療における男女の

平等に関するWMA声明」

「プロフェッショナ

ル・オートノミーと臨床

上の独立性に関するWM

Aソウル宣言修正」

「持続可能な開発に関

するWMA声明」

「鳥インフルエンザと

パンデミック・インフル

エンザに関するWMA声

明」

「核兵器に関するWM

A声明修正」

「環境悪化と化学物質

の健全な管理に関するW

MA声明修正」

ネソン大統領と面談し、

総会に合わせて2日から

4日に開催されたWMA

医の倫理会議の開会に際

しては、WMA会長とし

てあいさつを行った。

また、道永常任理事が、

「遺伝学と医療に関する

作業部会」「アドボカシ

ーに関する作業部会」「医

の国際倫理綱領に関する

「母子健康手帳の開発

と普及に関するWMA声

明」松

原副会長は、母子健

康手帳の英語版を参考資

料として配布した上で、

日本発祥の母子健康手帳

が母と子と家族の健康増

進に大きく貢献してきた

ものであることを説明。

各国の状況に応じた母子

健康手帳の普及を自国の

保健当局、医療機関へ働

き掛けることを呼び掛

け、採択された(9月13

日、WHOは「母子の健

康に関わる家庭用記録に

関するガイドライン」を

公表し、今後、世界の全

ての国で活用していくこ

とを推奨している)。

「移民に関するWMA

決議」

作業部会設置

日本が「疑似科学、疑

似療法、医療への侵害及

びカルト団体」に関する

作業部会のメンバーとな

った。

WMA災害医療に関する

ネットワーク

星参与より、9月のC

MAAOマレーシア総会

において、災害の多いC

MAAO地域において災

害医療に関する取り組み

の検討を開始することに

合意したことを報告。更

に、CMAAOでの取り

組みを基に、WMAへ示

していく意向を説明した。

(3)財務企画関係

①今後の会議開催日程

2019年:4月サン

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Page 7: 2018. 11. 5 No. 「HPVワクチンについて考える」 日 … › nichiionline › paper › pdf › n1372.pdf平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕 日医ニュース

(7)第1372号 日 医 ニ ュ ー ス 〔第3種郵便物認可〕平成30年11月5日

れぞれスピーチを行った。

横倉会長は、「精神保

健とWell-being

」をテー

マに、日本における認知

症の状況と地域社会で支

えていく取り組み、学校

保健、食育を通じた小児

の肥満予防の重要性につ

いて言及。更に、認知症

を含めたNCD対策には

健康促進、予防、専門的

治療、リハビリなど、医

師主導のプライマリケ

ア・システムを土台とし

た強力な保健医療システ

ムを構築することが求め

られ、そのためには医療

分野により多くの投資が

必要であることを強調し

た。そ

の他、26日に

は日本が共同議長

国を務める「結核

の終焉:世界的流

行への緊急グロー

バル対策」をテー

マとした「結核に

関する国連総会ハ

イレベル会合」に

出席した。

同会合は、マリ

ア・フェルナン

ダ・エスピノサ・

ガルセス国連総会

議長(ベルギー)

のあいさつで開会

し、アミーナ・モ

ハメッド国連副事

務総長(ナイジェリア)、

テドロス・アダノムWH

O事務局長らのあいさつ

の後、全体会議において

各国の首脳及び保健大臣

が自国における結核対策

について、財政面、制度

面での対策を報告した。

また、夕方には、タイ、

日本、ウルグアイ共催に

よるUHC2030(U

HCの推進を〝Global

Movement

〟と位置づけ、

日本を含む77カ国、WH

O、世界銀行、ユニセフ

などの国際機関等が活動

のパートナーとなってい

る)のサイドイベントが

開催され、SDGs(持

続可能な開発目標)の目

標年である2030

年までにUHCを達

成するための各国及

びパートナーの協

力、政治的な推進力

の醸成等の議論が行

われた。

横倉会長は、ニューヨ

ーク滞在中、米国日本人

医師会のロバート柳沢会

長(マウントサイナイ医

科大学内分泌科教授)、

本間俊一前会長(コロン

ビア大学循環器内科教

授)、加納真紀副会長、

加納良雄事務局長らとも

面会し、日米の医療事情

について懇談を行った。

28日には、ワシントン

DCを訪問し、カンザス

州出身元海兵隊大尉で共

和党のパット・ロバーツ

上院議員と面談した他、

第3回日米グローバルヘ

ルス協力対話にも出席

し、両国の医療における

課題について、意見交換

を行った。

また、「効果的な医療

システムの構築」のセッ

ションが、全米医学研究

所のビクター・ザウ所長

が議長を務めて開催さ

れ、日米の専門家による

議論が行われた。

その他、横倉会長は、

米国のロビイストである

ロイ・ファウチ氏の夕食

会にも出席。在アメリカ

日本国大使館相川一俊特

命全権公使、ルイジアナ

州出身共和党のビル・キ

ャシディ上院議員らと、

両国の医療における課題

について懇談した。

横倉義武会長は9月27

日、国連総会議長からの

要請を受け、ニューヨー

クで行われた「NCDs

に関する第3回国連総会

ハイレベル会合」に出席

し、世界医師会(WMA)

会長として演説を行った。

同会合の今回のテーマ

は、「エビデンスベース

のベストプラクティス、

科学的知識及び過去の教

訓の共有を含め、各国で

のUHC達成のための政

策策定におけるNCD

(非感染性疾患)の予防

と管理のための保健シス

テム強化と資金調達」で

あり、2011年、20

14年の前2回のハイレ

ベル会合で

掲げられた

捗、及び予

防と治療を

通じてNC

Dによる早

期死亡率の

3分の1減

少という目

標を含む、

持続可能な

開発のため

の2030

アジェンダ

の関連目標

の進捗の評

価に貢献す

る機会となった。

パネル1では、ザンビ

ア共和国のエドガー・ル

ング大統領、セントクリ

ストファー・ネーヴィス

のティモシー・ハリス首

相の共同議長の下、元ニ

ューヨーク市長でWHO

のNCDs特使を務める

マイケル・ブルーンバー

グ氏が基調講演を行った。

次いで、パネリストと

して、横倉WMA会長、

サニア・ニシュター氏(パ

キスタン、NCDsに関

するWHO独立ハイレベ

ル委員会共同議長)、ゾレ

カ・マンデラ氏(南アフ

リカ、ネルソン・マンデ

ラ元大統領の孫)が、そ

結核、NCDsに関する

     国連総会ハイレベル会合で演説

横倉会長

左からマンデラ氏、ニシュター氏、ルング大統領、ハリス首相(右から2人目)と

Page 8: 2018. 11. 5 No. 「HPVワクチンについて考える」 日 … › nichiionline › paper › pdf › n1372.pdf平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕 日医ニュース

日 医 ニ ュ ー ス 第1372号(8)平成30年11月5日〔第3種郵便物認可〕

日医及び日本在宅ケア

アライアンス主催の「国

際在宅医療会議」が9月

29日、在宅医療推進にお

ける課題をアジア諸国の

国々と共有し、その解決

に向けた意見交換を行う

ことを目的として、日医

会館大講堂で開催され

た。冒

頭のあいさつで横倉

義武会長(今村聡副会長

代読)は、「地域包括ケ

アシステム」の構築に当

たっては、入院医療・外

来医療・在宅医療

が過不足なく提供

できる体制を整備

することが、住み

慣れた地域で暮ら

す患者の安心と安

全を守ることにつ

ながるとの考えを

示した上で、本会

議を通じてお互い

に学び合い、世界

における在宅医療

がより一層推進さ

れることに期待を

寄せた。

続いて、田村憲

久衆議院議員、鈴

木俊彦厚生労働事

務次官、鳥羽研二

国立長寿医療研究

センター理事長、

堀憲郎日本歯科医

師会会長(佐藤保同副会

長代読)、山本信夫日本

薬剤師会会長、福井トシ

子日本看護協会会長(齋

藤訓子同副会長代読)か

ら来賓祝辞が述べられ

た。

基調講演

続いて、今村副会長を

座長とした基調講演に移

り、新田國夫日本在宅ケ

アアライアンス議長は、

「持続可能かつ豊かな高

齢社会の実現に向けて」

と題して、2010年に

総人口に占める65歳以上

人口が21%を超えて超高

齢社会に突入し、202

5年には約30%に達する

日本と同様、アジア諸国

にとってもこれからの高

齢社会への対応が重要な

課題となっていると指

摘。変容する日本社会で

は、従来の根治治療から

「治し支える医療」へと

パラダイム転換が図られ

ようとしており、病院医

療と在宅医療が補完し合

いながら地域全体を守っ

ていかなければならない

とし、在宅医療において

は、総合的に診る「かか

りつけ医」の重要性が増

すと強調した。

シンポジウム「自国にお

ける地域医療の現状(Cur-

rent condition of pri-m

ary health care

)」

シンポジウムでは、韓

国のJaewook

Choi

氏が

「韓国におけるプライマ

リ・ヘルス・ケアと在宅

医療の現状」、ミャンマ

ーのZay

Yar Aung

氏が

「ミャンマーにおける医

療サービス:現在と未

来」、タイのNart Fongsmut

氏が「高齢化が進むタイ

その行く末とは」、台

湾のWei-Chang Wang

氏が

「台湾の在宅統合医療」、

香港のTung Wai Auyeung

氏が「2028年の高齢

者ケアはどうあるべき

か?」と題し、それぞれ

の現状と課題等について

説明した。

パネルディスカッション1

「Social System

パネルディスカッショ

ン1では、〝多死社会、

少子化、社会保障制度、

病診連携〟をキーワード

に、迫井正深厚労省大臣

官房審議官が「社会保障

に係る課題と在宅医療」、

鈴木邦彦志村大宮病院理

事長(前日医常任理事)

が「在宅医療における医

師会とかかりつけ医の役

割」、田中滋埼玉県立大

学理事長が「地域包括ケ

アシステムの深化と今後

の展望」と題してそれぞ

れ講演を行った後、海外

からの5氏が加わって、

エイジング・イン・プレ

イス(地域居住)や医療

提供体制とマンパワーの

配置などの問題をめぐっ

て総合討論が行われた。

パネルディスカッション2

「Community Practice

パネルディスカッショ

クロージングセレモニー

(閉会式)

閉会式では、新田日本

在宅ケアアライアンス議

長が、地域における「か

かりつけ医」を基本とし

て、①市民と共に、暮ら

しの中で「生と死」を見

つめる在宅医療を実践②

多職種が協同し、地域の

社会資源と連携した、地

域完結型医療の普及に寄

与③学術的にも在宅医療

を確立し、その担い手を

養成④在宅医療を位置づ

けた地域包括ケアシステ

ムを基盤とする、地域完

結型医療を国内外に向け

て発信

─するという

「東京宣言」を読み上げ

て、盛会裏に閉会した。

参加者は220名。

なお、前日の28日には、

都内で、140名の参加

社会保険料控除証明書の確認を

本年1月~11月初めに

掛金を納付された加入員

及び特定加入員には、10

月下旬、社会保険料控除

証明書を送付したので、

確認をお願いしたい。

国民年金基金の掛金

は、全額社会保険料控除

の対象となり、所得税・

住民税が軽減される大き

なメリットがある。年末

調整や確定申告の際に

は、忘れずに利用して頂

きたい。

また、証明書には納付

状況や受け取り予定年金

額も記載されているの

で、併せて確認をお願い

したい。

なお、初回の掛金引き

落としが12月の加入員及

び特定加入員には、後日、

社会保険料控除証明書が

送付されるので、しばら

くお待ち頂きたい。

問い合わせは、基金事

務局(

0120─

70

0650)まで。

国際在宅医療会議

「超高齢社会における

医療システムのあり方と在宅医療

│持続可能かつ豊かな高齢社会の実現に向けて│」を

テーマに開催

日医は9月28日に日本

医学会の協力の下、検

討・準備を進めてきた英

文医学総合ジャーナル

『JMA Journal

』を創刊し

た。創

刊号には、山中伸弥

京都大学iPS細胞研究

所所長・教授による「人

工多能性幹細胞(iPS

細胞)技術の臨床への応

『JMA Journal』を創刊英文医学総合ジャーナル

用」についてのレビュ

ー論文をはじめ、日本

のトップの研究者らの

論文が10本掲載されて

いる。

本ジャーナルはオン

ライン・ジャーナルで

日医のウェブサイト

(http://www.jmaj.jp

より全文を無料で読むこ

とができるが、創刊号と

次号(来年3月発行予定)

については冊子での発行

も行うことになっている。

本ジャーナルの創刊を

受けて、横倉義武会長は、

「山中教授をはじめ日本

のトップの研究者の投稿

が掲載されるなど、良い

スタートを切ることがで

きた。世界中に優れた論

文を広めるためにも、

『JMA Journal

』が国際的

に評価の高い雑誌になる

よう、努めていきたい」

としている。

なお、本ジャーナルで

はピア・レビュー誌とし

て広く投稿論文を募集し

ている。対象領域は、臨

床医学、基礎医学、公衆衛

生学など、医学に関する

全領域で、医療政策やオ

ピニオン等の投稿も受け

付けている。

問い合わせは日医国際

課(e-mail

:jmaintl@

po.med.or.jp

)まで。

Japan Medical AssociationThe Japanese Association of Medical Sciences

https://www.jmaj.jp

ISSN 2433-328X

Volume 1 Issue 1September 2018

Volum

e 1 Issue 1 2018

JMAJournal表紙_01_01.indd 1 2018/09/27 9:19:55

者を得て、[Pre-Congress

「日本の在宅医療の歴史

と今後の展望」として、

太田秀樹日本在宅ケアア

ライアンス共同事務局長

/全国在宅療養支援診療

所連絡会事務局長、苛原

実同共同事務局長/在宅

ケアを支える診療所・市

民全国ネットワーク会長

による講演の後、レセプ

ションが行われた。

ン2では、〝多職種協働、

病診連携、

在宅療養、

End-of Life Care

〟をキ

ーワードに、織田正道全

日本病院協会副会長が

「入院と在宅医療のシー

ムレスな連携」、篠原彰

静岡県医師会顧問が「静

岡県医師会における在宅

医療推進の取組み~静岡

県在宅医療推進センター

事業~」、佐藤美穗子日

本在宅ケアアライアンス

副議長/日本訪問看護財

団常務理事が「訪問看護

の機能~医療とケアの架

け橋~」と題してそれぞ

れ講演した。

その後の総合討論で

は、海外からの5氏が加

わって、終末期医療やA

CP(アドバンス・ケア・

プランニング)、各国の

死生観などに関して、議

論が交わされた。