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2025年の崖問題とDX推進に向けた政策展開 令和元年5月 経済産業省 商務情報政策局 成田達治

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2025年の崖問題とDX推進に向けた政策展開

令和元年5月経済産業省 商務情報政策局

成田達治

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デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義

1

本資料では、DXの定義は以下のとおりとする。

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”

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「DXレポート」の概要(2018年9月7日公表)

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検討の背景と議論のスコープ

3

あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている。

このような中で、我が国企業においては、DXを進めるべく、ある程度の投資は行われるものの実際のビジネス変革には繋がっていないというのが多くの企業の現状である。

今後DXを本格的に展開していく上では、DXによりビジネスをどう変えるかといった経営戦略の方向性を定めていくという課題もあるが、これまでの既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、

① 新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうといった問題や、既存システムの維持、保守に資金や人材を割かれ、新たなデジタル技術を活用したIT投資にリソースを振り向けることができないといった問題

② ますます維持・保守コストが高騰する(技術的負債の増大)

③ 既存システムを維持・保守できる人材が枯渇し、セキュリティ上のリスクも高まることも懸念

全体を見た場合、これらの問題を抱えている企業は少なくないものと考えられる。

もちろん、ITシステムの見直しは、デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかという経営戦略が必要であり、それを実行する上での体制や企業組織内の仕組みの構築等が不可欠である。このため、これらの点についても議論を行うこととした。

⇒DXを実現していく上でのITシステムに関する現状の課題やその対応策を中心に議論

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DXを実行する上での経営戦略における現状と課題 DXを実行するに当たっては、新たなデジタル技術を活用して、どのようにビジネスを変革していくかの経営戦略そのものが不可欠である。

しかしながら、DXの必要性に対する認識は高まっているものの、ビジネスをどのように変革していくかの具体的な方向性を模索している企業が多いのが現状と思われる。

こうした中で、例えば、経営者からビジネスをどのように変えるかについての明確な指示が示されないまま「AIを使って何かできないか」といった指示が出され、PoCが繰り返されるものの、ビジネスの改革に繋がらないといったケースも多いとの指摘がなされている。

(出典)DXに向けた研究会 デル株式会社説明資料より

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既存システムの現状と課題 ITシステムが、技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっている「レガシーシステム」となり、DXの足かせになっている状態(戦略的なIT投資に資金・人材を振り向けられていない)が多数みられる。

DXを進める上で、データを最大限活用すべく新たなデジタル技術を適用していくためには、既存のシステムをそれに適合するように見直していくことが不可欠である。

17.2 50.0 30.0 2.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1.強く感じる 2.ある程度、感じる 3.あまり感じない 4.全く感じない 5.その他

13.5

45.5

14.3

10.9

11.1

0

6.8

35.7

40.9

45.5

36.5

43.5

11.1

38.1

52.3

35.7

25.5

9.1

27

26.1

44.4

28.6

25

14.3

19.2

0

20.6

19.6

33.3

28.6

15.9

14.3

1.6

4.8

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

合計

建築・土木

素材製造

機械器具製造

商社・流通

金融

社会インフラ

サービス

約8割の企業がレガシーシステムを抱えている 約7割の企業が、レガシーシステムが、DXの足かせになっていると感じている

(出典)一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「デジタル化の進展に対する意識調査」(平成29年)を基に作成

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【参考】 既存システムがDXの足かせとなっている理由

レガシーシステムが足かせと感じる理由は?

49

46

45

39

38

37

35

35

22

4

3

0 10 20 30 40 50 60

9.ドキュメントが整備されていないため調査に時間を要する

2.レガシーシステムとのデータ連携が困難

10.影響が多岐にわたるため試験に時間を要する

3.技術的な制約や性能の限界がある

4.有識者がいない、ブラックボックス化しているため触れた…

8.維持・運用費が高く、改修コストを捻出しにくい

1.分析に必要なデータが不足している、ない

6.特定メーカーの製品・技術の制約があり、多大な改修コス…

7.特定技術に関する技術者を確保するのに、多大なコストが…

5.メーカーのサポートが切れており触れたくない

11.その他

【Q.23-2】:足かせになっていると感じる理由をご選択ください。(いくつでも)(N=99)

(出典)一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「デジタル化の進展に対する意識調査」(平成29年)より

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既存システムの問題点

(出典)DXに向けた研究会 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会説明資料より

問題の本質1)「自社システムの中身が、ブラックボックスになってしまった」

ブラックボックス化

技術の老朽化 システムの肥大化・複雑化

システムの全貌と機能の意義が分からない状態

不十分なマネジメント不十分なマネジメント不十分なマネジメントインフラミドルウェア

アプリケーション

インフラミドルウェア

アプリケーション

インフラミドルウェア

アプリケーション

古いシステム モダナイズ後システム 再レガシー化

ブラックボックス化を招くマネジメントの問題

ブラックボックス化した領域凡例

問題の本質2)「不十分なマネジメントが、再びブラックボックスを引き起こす」

【「レガシーシステム問題」の本質(仮説)】システムのブラックボックス化がレガシー問題の本質

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既存システムの問題点の背景

我が国では、ユーザ企業よりもベンダー企業の方にITエンジニアの多くが所属している。諸外国の場合

ユーザー企業

ノウハウ

ITエンジニア

• ITエンジニアがユーザ企業に多い• ノウハウが社内に蓄積しやすい• 他のエンジニアへのノウハウの伝播が容易

我が国の場合

ユーザー企業

ITエンジニア

• ITエンジニアがベンダー企業に多い• ノウハウがユーザ企業側に残りづらい• 現場で作業をしている下請け企業にノウハウが蓄積

ベンダー企業

ITエンジニア

ノウハウ

発注

納品

ノウハウ

ノウハウITエンジニア

多重下請け構造

◆ 有識者の退職等によるノウハウの喪失国内企業では、大規模なシステム開発を行ってきた人材の定年退職の時期(2007年)が過ぎ、人材に属していたノウハウが失われ、システムのブラックボックス化が進展している。

◆ 業務に合わせたスクラッチ開発多用によるブラックボックス化国内にはスクラッチ開発や汎用パッケージでもカスタマイズを好むユーザ企業が多い。このため、個々のシステムに独自ノウハウが存在するようになってしまう。何らかの理由でこれが消失したときにブラックボックス化してしまう。

◆ ユーザ企業とベンダー企業の関係がレガシー化の一因

(出典)DXに向けた研究会 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会説明資料を基に作成

◆ 事業部ごとの最適化を優先し、全社最適に向けたデータ利活用が困難に各事業の個別最適化を優先しシステムが複雑となり、企業全体での情報管理・データ管理が困難に。

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既存システムの問題の難解さ

9

ユーザ企業側に認識があっても、レガシー問題に対する改修プロジェクトは自社経営陣の理解を得難く、開始しにくい。実行の決め手は、将来事業がなくなるのではという強い危機感。• 将来的なリスクはあっても説明しにくい。現状は問題なく稼働しているため、誰も困っていない。結果として問題を先送りにしてしまう。

◆ モダナイゼーションプロジェクトの起案の難しさ

◆ ユーザ企業にとり、レガシー問題は発見されにくく、潜在的ユーザ企業は、自身がレガシー問題を抱えていることに気付きづらい特徴がある。• メンテナンスを行わず日常的に活用できている間はレガシーであることは自覚できない。ハードウェアやパッケージの維持限界が来たときにはじめて発覚する

• レガシー問題を自覚している場合であっても、根本的な解消には、長時間と大きな費用を要する上、手戻り等の失敗のリスクもある中で、刷新に着手しにくい。

◆ レガシー問題の発見は、ベンダー企業にも容易ではないベンダー企業からみても、新規案件として改修を受注する段階ではレガシー問題を抱えているシステムかどうかは判断しにくい。• ユーザ企業に自覚がないため、RFP(Request For Proposal、提案依頼書)に特に記載がない。• ベンダー側では、レガシー問題前提の見積もりはされず、開発を開始後にはじめて発覚する。レガシー問題への対応作業は莫大で長期にわたり、大きな赤字案件になる。(係争や訴訟に発展する可能性も)

• ユーザ企業のシステムが複数のベンダー企業により構築されている場合が多いため、1つのベンダー企業がシステムの仕様の違いやデータを完全に取得できず、複数のベンダー企業が関わるシステム全体を俯瞰することができないといった問題もある。

(出典)DXに向けた研究会 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会説明資料を基に作成

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既存システムの運用・保守に割かれてしまう資金・人材(1/2)

IT関連費用の80%は現行ビジネスの維持・運営(ラン・ザ・ビジネス)に割り当てられている。この結果、戦略的なIT投資に資金・人材を振り向けられていない。

(出典)一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書 2017」より

ラン・ザ・ビジネスとバリューアップのIT予算比は80:20

ラン・ザ・ビジネス予算90%以上の企業が約40%で大多数

IT投資における日米比較

(出典)一般社団法人電子情報技術産業協会「2017年国内企業の「IT経営」に関する調査」(2018年1月)より

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既存システムの運用・保守に割かれてしまう資金・人材(2/2) 技術的負債(Technical debt)とは、短期的な観点でシステムを開発し、結果として、長期的に保守費や運用費が高騰している状態のことを指す。本来不必要だった運用保守費を支払い続けることを意味し、一種の負債ととらえている。

既存システムを放置した場合、技術的負債が増大することが懸念される。

ITシステムの変遷

ホスト オープン(オンプレ)

メインフレームハードウェア(IA)

オペレーティングシステム(Linux)ミドルウェア(OSS)

アプリケーション(Java)

IaaS/コンテナ/仮想マシン

ミドルウェア

アプリケーション(マイクロサービス・API)

1990年代オープン化

2010年代クラウド化

クラウド

技術的負債の類型

タイプ1|メインフレーム温存メインフレームがそのまま残っている場合で、アプリの拡張やデータの抽出が高コストになっている状態。銀行などにみられる。

タイプ2|中途半端なオープン化メインフレームをオープン化したものの、アプリがCOBOLのまま残存し、表形式データがテキストファイル形式で管理されていたり、Java等で再構築しても機能不足していたりする状態。

メインフレーム メインフレーム資産

ハードウェア(IA) IaaS/仮想マシン

オペレーティングシステム(Linux)

ミドルウェア(OSS)

アプリケーション(Java)

タイプ3|オンプレの単純なクラウド化オンプレのシステムをそのままクラウド環境に移行したため、クラウドの利点を最大限活用できていない。

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【参考】負債を解消し、デジタルトランスフォーメーションにつなげるためには

情報資産の現状を分析・評価し、仕分けを実施しながら、戦略的なシステム刷新を推進する

機能ごとに右の4象限(案)で評価し、今後のシステム再構築をプランニングする

A:頻繁に変更が発生する機能はクラウド上で再構築

B:変更されたり、新たに必要な機能は適宜クラウドへ追加

C:肥大化したシステムの中に不要な機能があれば廃棄

D:あまり更新が発生しない機能は塩漬け レガシーシステム

C. 機能縮小・廃棄

A. 機能分割・刷新

(クラウド上で再構築)

D. 現状維持(塩漬け)

B. 機能追加(クラウド上で機能追加)

DB

物理サーバ/仮想マシン

FW/MF

■ ▲ ● ◆

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2025年従来ITサービス市場:デジタル市場

=6:4

メインフレーム担い手の退職・高齢化

2014年WinXPサポート終了

2025年SAP ERPサポート終了

2024年固定電話網PSTN終了

人材面

2020年 2025年現在

2015年IT人材不足約17万人

2025年IT人材不足約43万人まで拡大

2020年5G実用化

技術面

その他

DXを推進しない場合の影響(2025年の崖)

電力法的分離 ガス法的分離

2020年Win7サポート終了

ソフトウエアのアドオン・カスタマイズの積み重ねによる一層の複雑化

・先端IT人材の供給不足・古いプログラミング言語を知る人材の供給不可PCネイティブの1960年代世代が経営トップに

基幹系システム21年以上が2割

AI:一般利用進展2020年以降自動運転実用化

各領域のつながりアジャイル開発が主流に

基幹系システム21年以上が6割

膨大になるデータの扱いが困難に

経営面

既存システムのブラックボックス状態を解消しつつ、データ活用ができない場合、1)データを活用しきれず、DXを実現できないため、

市場の変化に対応して、ビジネス・モデルを柔軟・迅速に変更することができず→ デジタル競争の敗者に

2)システムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上に(技術的負債)3)保守運用の担い手不在で、サイバーセキュリティや事故・災害による

システムトラブルやデータ滅失等のリスクの高まり

2025年の崖

東京五輪

2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必

要がある

2017年従来ITサービス市場:デジタル市場

=9:1

システム全体の見直しが必要

システム全体の見直しが必要

システム全体の見直しが必要

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システム刷新:経営判断/先行実施期間【~2020】「見える化」指標による診断・仕分け「DX推進システムガイドライン」を踏まえたプランニングや体制構築システム刷新計画策定共通プラットフォームの検討 等

システム刷新集中期間(DXファースト期間)【2021~2025】経営戦略を踏まえたシステム刷新を経営の最優先課題とし、計画的なシステム刷新を断行(業種・企業ごとの特性に応じた形で実施)不要なシステムの廃棄、マイクロサービスの活用による段階的な刷新、協調領域の共通プラットフォーム活用等により、リスクを低減

DX先行実施:新たなデジタル技術の活用による新たなビジネス・モデルの創出【2018~、できるものからDX実施】

2020年 2025年現在

対策

2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするもの等を仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、DXを実現することにより、2030年実質GDP130兆円超の押上げを実現

2017年(IT人材分布比率)ユーザ(情シス) : ベンダ=3:7

(IT人材分布比率)ユーザ(全部門):ベンダ=5:5(欧州並み)

2017年(IT予算比率)ラン・ザ・ビジネス:バリューアップ=8:2

人材面

経営面

(IT予算比率)ラン・ザ・ビジネス : バリューアップ=6:4

※GDPに占めるIT投資額は現在の1.5倍

2017年(IT人材平均年収)約600万円

(IT人材平均年収)2017年時点の2倍程度(米国並み)

追加的サービスにおけるシステム全体の整合性を確認する期間

数か月サービス追加にかかるリリース作業にかかる期間

数日間

その他 2017年IT産業の年平均成長率 1% IT産業の年平均成長率6%

ユーザ企業のあらゆる事業部門で、デジタル技術を活用し、事業のデジタル化を実現できる人材を育成

既存システムの維持・保守業務から最先端のデジタル技術分野にシフト

ITシステム刷新の見通し明確化(DX実現シナリオ)①

既存システムを刷新し、データをフルに活用した本格的なDXを実行1)顧客、市場の変化に迅速・柔軟に対応しつつ、2)クラウド、モバイル、AI等のデジタル技術を、マイクロサービス、アジャイル等の手法で迅速に取り入れ、3)素早く新たな製品、サービス、ビジネス・モデルを国際市場に展開 ⇒ あらゆるユーザ企業が”デジタル企業”に。

展望

マイクロサービスの導入やテスト環境の自動化により、開発の効率化やリリース作業の短縮化

既存システム

技術的負債を解消しつつ、クラウドや共通PFの活用により投資を効率化新たなデジタル技術の活用によりビジネス上投資効果の高い分野に資金をシフト

デジタル技術を活用した新規市場の開拓、社会基盤のデジタル化 14

先行実施できる企業は早期刷新でアドバンテージを獲得

ブラックボックス状態を解消し既存システム上のデータを

活用した本格的なDXが可能に↓

新たなデジタル技術を導入し、迅速なビジネス・モデル変革

を実現

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ユーザ:技術的負債※を解消し、人材・資金を維持・保守業務から新たなデジタル技術の活用にシフトデータ活用等を通じて、スピーディな方針転換やグローバル展開への対応を可能にデジタルネイティブ世代の人材を中心とした新ビジネス創出へ

ベンダー:既存システムの維持・保守業務から、最先端のデジタル技術分野に人材・資金をシフト受託型から、AI、アジャイル、マイクロサービス等の最先端技術を駆使したクラウドベースのアプリケーション提供型ビジネス・モデルに転換ユーザにおける開発サポートにおいては、プロフィットシェアできるパートナーの関係に

実質GDP130兆円超の押上げ(2030年)【Connected Industriesの深化】

新たなユーザ・ベンダーの関係の構築

※技術的負債(Technical debt):短期的な観点でシステムを開発し、結果として、長期的に保守費や運用費が高騰している状態

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ITシステム刷新の見通し明確化(DX実現シナリオ)②

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5つの対応策について

1 「DX推進システムガイドライン」の策定•既存システムの刷新や新たなデジタル技術を活用するに当たっての「体制のあり方」、「実行プロセス」等を提示

•経営者、取締役会、株主等のチェック・リストとして活用→コーポレートガバナンスのガイダンスや「攻めのIT経営銘柄」とも連動

2 「見える化」指標、中立的な診断スキームの構築経営者自らが、ITシステムの現状と問題点を把握し、適切にガバナンスできるよう、•「見える化」指標の策定-技術的負債の度合い、データ活用のしやすさ等の情報資産の現状

-システム刷新のための体制や実行プロセスの現状•中立的で簡易な診断スキームの構築

3 DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策

•刷新後のシステムが実現すべきゴールイメージ(変化に迅速に追従できるシステムに)の共有(ガイドラインでチェック)

•不要なシステムは廃棄し、刷新前に軽量化(ガイドラインでチェック)

•刷新におけるマイクロサービス等の活用を実証(細分化により大規模・長期に伴うリスクを回避)

•協調領域における共通プラットフォームの構築(割り勘効果)(実証)

•コネクテッド・インダストリーズ税制(2020年度まで)

4 ユーザ企業・ベンダー企業間の新たな関係•システム再構築やアジャイル開発に適した契約ガイドラインの見直し

•技術研究組合の活用検討(アプリケーション提供型への活用など)

•モデル契約にトラブル後の対応としてADRの活用を促進

5 DX人材の育成・確保•レガシーシステムの維持・保守業務から解放し、DX分野に人材をシフト

•アジャイル開発の実践による事業部門人材のIT人材化•スキル標準、講座認定制度による人材育成

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1.「DX推進ガイドライン」の策定(2018年12月12日公表)

17

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企業の課題

DXを巡る現状 多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、データやデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するデジタルトランスフォーメーション(DX)※の必要性について理解しているが・・・

多くの我が国企業においては、PoCを繰り返すものの、実際のビジネス変革には繋がっていない。

※デジタルトランスフォーメーション(DX):企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

ビジョンの欠如(どういった価値を生み出すのか)

変革を支える仕組みの欠如(組織/人材、プロセスをどう変えるべきか)

既存ITシステムの制約(個別最適、ブラックボックス)

既存事業とのコンフリクト(現場の反発)

産業構造の組み替え(ディスラプターの出現)

産業の横の広がり(業際市場拡大)

エコシステム(自前主義からの脱却)

技術の飛躍的進歩(クラウド、AI, ブロックチェーン)

顧客接点のビジネスモデル(ユーザエクスペリエンス)

データ量の増加(データ駆動型ビジネス)

外部環境

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(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築

(2)-2 実行プロセス(2)-1 体制・仕組み

(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み

「DX推進ガイドライン」のポイント

1.経営戦略・ビジョンの提示危機の共有、価値の明確化、自社の方向性提示

3.DX推進のための体制整備マインドセット、DX推進体制、人材確保・育成

4.投資等の意思決定のあり方ROIを求めすぎて挑戦を阻害していないか

9.事業部門のオーナーシップと要件定義能力

事業部門の責任範囲、ソーシング戦略

6.全社的なITシステムの構築のための体制組織横断、アーキテクト人材

7.8.全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス

全社最適、システム連携基盤

10.IT資産の分析・評価現状のIT資産の棚卸

11.IT資産の仕分けとプランニング

競争領域の特定、共通PF利用、廃棄

12.刷新後のITシステム:変化への追従力

再レガシー化の防止

2.経営トップのコミットメントビジネスそのもの、仕事の仕方、企業文化の改革へ

5.DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力経営環境変化に応じた事業ポートフォリオの見直し

『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン』(DX推進ガイドライン)は、DXの実現やその基盤となるITシステムの構築を行っていく上で経営者が押さえるべき事項を明確にすること、取締役会や株主がDXの取組をチェックする上で活用できるものとすることを目的に策定

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評価のポイント

その他のポイント ROEスクリーニング要件(3年平均)は引き続き「マイナスでないこと」とし、

ROEが高い企業を加点方式により評価

攻めのIT経営に積極的な企業を広く公表する観点から、原則、回答企業名を公表(非公表の希望があれば非公開)

回答企業全社に対して、評価結果のフィードバックを実施 (5月以降実施予定)

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する取組を高く評価※経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」と連携することにより、DXを推進する取組を高く評価

「DXグランプリ(仮称)」の選定※銘柄選定企業の中から業種の枠を超えて、

“デジタル時代を先導する企業”を「DXグランプリ(仮称)」として選定予定

【参考】 「攻めのIT経営銘柄2019」のポイント

NEWDX

グランプリ

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21(出典)攻めのIT経営銘柄2019レポート<https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/report2019.pdf>より抜粋

【参考】 「攻めのIT経営銘柄2019」選定企業(1/2)証券コード

企業名 業種

1928 積水ハウス株式会社 建設業

2502 アサヒグループホールディングス株式会社 食料品

3401 帝人株式会社 繊維製品

8113 ユニ・チャーム株式会社 化学

4523 エーザイ株式会社 医薬品

5020 JXTGホールディングス株式会社 石油・石炭製品

5108 株式会社ブリヂストン ゴム製品

5411 JFEホールディングス株式会社 鉄鋼

6301 株式会社小松製作所 機械

6501 株式会社日立製作所 電気機器

6702 富士通株式会社 電気機器

7911 凸版印刷株式会社 その他製品

7912 大日本印刷株式会社 その他製品

9503 関西電力株式会社 電気・ガス業

9020 東日本旅客鉄道株式会社 陸運業

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22(出典)攻めのIT経営銘柄2019レポート<https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/report2019.pdf>より抜粋

証券コード

企業名 業種

9202 ANAホールディングス株式会社 空運業

4689 ヤフー株式会社 情報・通信業

4739 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 情報・通信業

8031 三井物産株式会社 卸売業

8174 日本瓦斯株式会社 小売業

8252 株式会社丸井グループ 小売業

8316 株式会社三井住友フィナンシャルグループ 銀行業

8601 株式会社大和証券グループ本社 証券、商品先物取引業

8725 MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社

保険業

8439 東京センチュリー株式会社 その他金融業

8801 三井不動産株式会社 不動産業

8802 三菱地所株式会社 不動産業

2168 株式会社パソナグループ サービス業

2432 株式会社ディー・エヌ・エー サービス業

【参考】 「攻めのIT経営銘柄2019」選定企業(2/2)

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23(出典)攻めのIT経営銘柄2019レポート<https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/report2019.pdf>より抜粋

【参考】 「DXグランプリ企業」の取組紹介(1/2)ANAホールディングス株式会社(空運業/9202)

革新的技術とオープンイノベーションを最大限活用したデジタルトランスフォーメーションにより、エアラインならではの発想と行動力で「Society5.0」を実現

ANA 取締役常務執行役員三浦明彦

ANAグループは、人財とデジタルの融合を通じた「人の幸せ」を追求しています。デジタルイノベーションによる顧客価値創造の進化や従業員の革新的な生産性向上に着実に取り組んでいます。更には、当社が保有する有形・無形資産を活用し、オープンイノベーションによるビジネス革新も一層強化していきます。デジタルトランスフォーメーションを強力に推し進め、SDGsの達成に貢献する超スマート社会において、世界のリーディングエアラインを目指します。

経営企画にイノベーション戦略機能を新設し、既存ITとイノベーション機能を経営企画とITを担当する役員がリードしています。基幹システムの刷新とイノベーションの掛け合わせでDXを加速します。また、デジタル・デザイン・ラボは、デジタル技術も活用した新規事業の創出を推進しています。

イノベーション別枠予算や高速意思決定プロセス、デジタル人財の採用強化・育成など、イノベーション創出に向けたチャレンジ活動を機動的に支援する環境を整備しています。

VCやスタートアップ、産学官連携など協創パートナーを段階的に拡大しています。共創空間である「Innovation Garage」も新設し、更なるオープンイノベーションを加速していきます。 Innovation Garage

全社横断型イノベーション推進を支える組織・仕組み・人財

審査員推薦コメント 空港のスマート化、デジタルサービスプラットフォーム、アバター推進、全社イノベーションへの取組が本格的で画期的。その実効性を高く評価した。 空港における簡単・便利でストレスフリーな顧客体験価値の提供、人と技術の融合・役割分担の見直しによる空港オペレーションの革新的生産性

向上、ANA AVATAR VISION等未来志向で面白い試みが多く、また競争優位性にもつながると感じた。 レガシー刷新もほぼ終えている。Society5.0をうたうなど、DXへの経営ビジョンが明確。

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24(出典)攻めのIT経営銘柄2019レポート<https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/report2019.pdf>より抜粋

【参考】 「DXグランプリ企業」の取組紹介(2/2)データの価値と新技術の可能性を追求し、「人財×デジタルの融合」で抜本的に働き方、サービス、事業を変える

お客様・社会、従業員に優しい空港の実現に向け、新技術を駆使し、産学官が連携した実証実験を通して、オープンイノベーションを進めています。お客様との接点となる空港ターミナル内では、顔認証を利用したスマート搭乗モデルや、画像認識を活用した保安検査場の待ち時間予測による、顧客体験価値の向上を目指しています。従業員がオペレーションを行う空港駐機エリアやバックヤードでは、空港内車両の自動化、リモコン式牽引車、ロボットによる手荷物業務の省力化等、新技術を駆使した革新的な生産性向上に取り組んでいます。九州佐賀国際空港を総合的実証実験空港に設定し、「人と技術の融合・役割分担の見直し」によるSimpleで

Smartな空港の実現を加速していきます。

SimpleでSmartな空港の実現に向けて

SimpleでSmartな空港の実現に向けてhttps://www.ana.co.jp/group/pr/201903/20190326.html

お客様向けデジタルサービスプラットフォームの整備顧客情報を一元管理するお客様情報基盤(CE基盤)を全社横断で構築しました。CE基盤は、データベース仮想化技術により、散在していた基幹システムのデータを統合化し、顧客情報の一元管理やカルテ化を実現しています。デザイン思考による目指す顧客旅行体験(ANAジャーニーマップ)に基づき、CE基盤を活用して、全ての顧客接点におけるパーソナライズ化されたスマートで快適なサービスを創出していきます。更に、旅行体験価値を高める様々なデジタルサービスとの連携によるプラットフォーム化により、顧客の期待を超えたサービスの実現も目指していきます。リアルのサービス力とデジタルの革新力の相乗効果により他社を凌駕し、持続的な5スターエアラインとしての地位を確立していきます。 お客様向けデジタルサービスプラットフォーム

攻めのIT経営・5つの評価軸別取組状況ANA AVATAR VISION

遠隔地に置かれたロボットに意識、技能、存在感を瞬間移動させ、自分の分身のように「見て(視覚)」「聞いて(聴覚)」「触る(触覚)」ことで、リアルタイムなコミュニケーションおよび作業を実現するANA AVATARプロジェクトを推進しています。米国XPRIZE財団の国際賞金レースに採択され、国内外約50の企業・研究機関とのオープンイノベーションを通じ、最先端のロボット工学・IoT・通信技術を融合させていきます。年間の航空利用者は世界の人口の約6%にすぎません。すべての制約を超えて残り94%の人々がつながるAVATAR前提社会を実現することで、SDGsに掲げられた17項目の目標達成ならびに夢にあふれる未来づくりに貢献していきます。

https://ana-avatar.com/

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2.「DX推進指標」の策定

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「DX推進指標」の狙い DX推進に向けては、経営者自らがリーダーシップを取り、データとデジタル技術の活用により自社が置かれている経営危機を的確に把握し、それを乗り越えるためにDXで目指すべき方向性を示し、全社的なベクトルを合わせて取り組むための持続的な経営改革を進めることが重要となる。

本指標は、そうした経営改革、すなわちDXを推進する上で、気付きの機会を提供し、アクションにつなげていくためのツールとして位置づけられる。

① DXの取組について、あるべき姿と現状とのギャップ、あるべき姿に向けた対応策が明確になり、CEOと事業部門、DX推進部門、情報システム部門に共有される。

② 現状を放置した場合の経営リスクと、対応した場合の経営メリットが明確になるので、その後の経営上のアクションを促すことにつながる。

③ CEOが理解できる報告レベルとする。

④ 診断結果のデータが多数集まれば、業界内での自社の位置づけ等を経営者に示すことも可能になる。

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「DX推進指標」の位置づけ 「DX推進指標」を用いた自己診断は、健康診断であれば、いわば、問診票や血液検査レベルのものである。

それによる自己診断の結果を踏まえ、自社の遅れている部分、弱い部分、あるいは伸ばしていきたい部分を認識の上、必要に応じて、各民間企業による詳細診断、健康診断で言えば、人間ドック・精密検査や専門医による治療につなげていくことができる。

(問診票レベル) (血液検査レベル)

戦略コンサル・ITベンダー各社による詳細診断

(人間ドック・精密検査)

各社支援によるITシステムの構築・改修・刷新(専門医による治療)

「DX推進指標」を用いた自己診断 各社/各団体による詳細診断

「DX推進指標」を用いた自己診断

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「DX推進指標」策定に向けた検討経緯

検討のための体制として、平成30年12月に『「見える化」指標、診断スキーム構築に向けた全体会議』(以下「全体会議」)を、その下部検討体制として、平成31年1月に『「見える化」指標、診断スキーム構築に向けたワーキンググループ』(以下「ワーキンググループ」)を、それぞれ設置。

「全体会議」においては、学識者に加え、コンサルティング・ファームやITベンダーを中心とした20名程度の有識者に、「ワーキンググループ」においては、学識者に加え、ユーザ企業を中心とした10名程度の有識者に参集いただき議論。

全体会議及びワーキンググループを平成31年3月まで実施し、「DX推進指標」とそのガイダンスの試行版を策定。

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「DX推進指標」の使い方 本指標の活用方法としては、自己診断を基本とし、経営層以下関係者(経営幹部や事業部門、IT部門等)がDXを推進するに当たっての課題に対する気付きの機会となるようにすることを想定している。

① 認識共有・啓発 経営課題としての「DX」と「その基盤としてのITシステムの構築」に関して、経営者や事業部門、IT部門などの関係者が集まって議論しながら、関係者の間での認識の共有を図り、今後の方向性の議論を活性化すること

② 方向性提示 自社のポジションを認識した上で、あるべき姿を目指すために次に何をするべきか、経営のアクションの気付きとして利用すること

③ 進捗管理 診断結果に基づいて、アクションプランを作り、アクションにつなげる。その上で、翌年度に再度診断を行って、達成度合いを継続的に評価することにより、DXを推進する取組の経年変化を把握し、自社のDXへの取組の進捗を管理すること

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30

DXを巡る現状と課題(1/2)No. 分類 項目 主要なコメント

1 経営戦略・ビジョンの提示 ビジョンの提示 ビジョンがはっきりしないケースも多い。

2 価値の明確化 価値の明確化がスタート地点。Howから入らず、Whatを語れる人が必要。

3DXはこれまでのIT化とは違い、顧客視点でビジネス価値を出すところまでいかないといけない。

4なぜDXなのか なぜDXをするのか、Whyが明確でないケースが多い。これが、経営層や現場に腹落ち

されていないと、コミットメントが弱く途中で前に進まなくなる。

5 経営トップのコミットメント コミットメントの範囲 号令をかけるだけではなく、独立組織の設立、権限委譲、優秀な人材のアサイン、新しい組織での人事評価のあり方(キャリアパスを含む)、予算配分まで含むべき

6

組織を立ち上げてみたが組織のゴールが見えない(ちゃんとしたKPIがない)というものや、既存事業部からの反発が大きくてつぶされるというものがある。また、経営者自身が成果が出なくても我慢することが大事。

7RPAの活用が盛んだが、業務の効率化で留まり、業務プロセスの見直しに繋がっていない。経営トップが現場の抵抗を抑えて、業務プロセスの改革まで繋げる必要がある。

8社内に専門組織を作るとカニバリが発生する可能性があるが、それを受け入れるトップの覚悟が必要。

9DX推進のための体制整備(マインドセットや文化の変革)

スピード 「実行のストラテジー」→「予算割り振り」を環境変化に応じて迅速に変化させることが必要。それを実現するためのプロセス、プロジェクト管理、評価がDXの本質。

10失敗を許容し、失敗から学び、挑戦を評価

小さくプロジェクトを動かす、失敗を許容するといった仕組みが重要。また、失敗から学習する仕組みが重要。

11 実験型のために、進捗度をタイムリーに測る新しいKPIを用意する必要あり。

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31

DXを巡る現状と課題(2/2)No. 分類 項目 主要なコメント

12DX推進のための体制整備(推進・サポート体制)

社長直轄、経営・事業部門・IT部門の連携

経営、事業部門、IT部門が一体となって動くことが、クリティカルサクセスファクター。

13IT部門の関わり ビジネスの価値をどうするか、経営方針を決めるときにIT部門が入っていないとダメ。

後から知らされると丸投げになる。

14DX推進のための体制整備(人材)

人材の融合 DXで何をやるかの解を出すには、技術で何ができるかをわかっている人と事業をわかってアイデアを出せる人の組合せが重要。

15

全社的なITシステムの構築のための体制

横断型組織、それをリードする人材

新規ビジネス創出に向けた投資の必要性を理解し、そのために何を削減して費用を生み出すかという発想が必要。そのためには、部門を超えた判断が必要であり、IT投資について、横串的に全体最適に向けたガバナンスが効いた体制とする必要がある。

16全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス

データ活用 どんなデータがどこにあるかをわかっている人とデータを利用する人が連携できていることが必要。

17データを全数、リアルタイムで使いたいものは何か、それが使えているかは経営者にとって重要。

18スピード・アジリティ IT部分について経営者に意識してほしい点は、システムが経営に影響するということ、

ビジネス変化に迅速に対応するためにデリバリースピードの体制が重要であること。

19システム間連携 スピードを意識しつつ、データを全体最適で活用するため、社内API等の活用により、

システム間を連携させることが必要。

20 IT資産の分析・評価 アプリケーション利用状況 システムの利用状況をアプリケーション単位で把握できているか。

21 IT資産の仕分けとプランニング トップダウンで機能圧縮 現状担保型ではROIが出ず、トップダウンで機能圧縮することが必要。

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32

「DX推進指標」の構成 本指標は、「①DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標」と、「②DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標」より構成される。

キークエスチョン(経営者が自ら回答することが望ましいもの)

サブクエスチョン(経営者が経営幹部、事業部門、IT部門等と議論しながら回答するもの)

定性指標とし、自社の成熟度を6段階で回答する形式。

定量指標とし、自社に合った指標を選択し回答する形式。

体制KPI評価投資意思決定、予算配分

推進体制外部との連携

事業部門における人材技術を支える人材人材の融合

戦略とロードマップバリューチェーンワイド持続力

体制人材確保事業部門のオーナーシップ

IT資産の分析・評価

データ活用の人材連携プライバシー、データセキュリティIT投資の評価

(定量指標) (定量指標)

ガバナンス・体制

ビジョン経営トップのコミットメント仕組み

マインドセット、企業文化

推進・サポート体制

人材育成・確保

事業への落とし込み

DX推進の枠組み ITシステム構築の枠組み

DX推進のための経営のあり方、仕組み

DX推進の取組状況

DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築

ITシステム構築の取組状況

ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築

データ活用スピード・アジリティ全体最適

廃棄競争領域の特定非競争領域の標準化・共通化

ロードマップ

ITシステムに求められる要素

IT資産の仕分けとプランニング

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【参考】 社長自らに答えていただくべき、”Key Question”とは?■DX推進の枠組み<ビジョン>

1. データとデジタル技術を使って、変化に迅速に対応しつつ、顧客視点でどのような価値を創出するのか、社内外でビジョンを共有できているか。

2. 将来におけるディスラプションに対する危機感と、なぜビジョンの実現が必要かについて、社内外で共有できているか。

<経営トップのコミットメント>3. ビジョンの実現に向けて、ビジネスモデルや業務プロセス、企業文化を変革するために、組織整備、人材・予算の配分、プロ

ジェクト管理や人事評価の見直し等の仕組みが、経営のリーダーシップの下、明確化され、実践されているか。

<仕組み>4. 挑戦を促し失敗から学ぶプロセスをスピーディーに実行し、継続できる仕組みが構築できているか。

5. DX推進がミッションとなっている部署や人員と、その役割が明確になっているか。また、必要な権限は与えられているか。

6. DX推進に必要な人材の育成・確保に向けた取組が行われているか。

<事業への落とし込み>7. DXを通じた顧客視点での価値創出に向け、ビジネスモデルや業務プロセス、企業文化の改革に対して、(現場の抵抗

を抑えつつ、)経営者自らがリーダーシップを発揮して取り組んでいるか。

■ITシステム構築の枠組み<ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築>

8. ビジョン実現(価値の創出)のためには、既存のITシステムにどのような見直しが必要であるかを認識し、対応策が講じられているか。

<ガバナンス・体制>9. ビジョンの実現に向けて、IT投資において、技術的負債を低減しつつ、価値の創出につながる領域へ資金・人材を重点

配分できているか。 33

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定性指標における成熟度の考え方 本指標のうち定性指標においては、DX推進の成熟度を6段階で評価する。

本成熟度を利用することで、自社が現在どのレベルにいて、次にどのレベルを目指すのかを認識するとともに、次のレベルに向けて具体的なアクションにつなげることが期待される。

成熟度レベル 特性

レベル0 『未着手』 経営者は無関心か、関心があっても具体的な取組に至っていない

レベル1 『一部での散発的実施』 全社戦略が明確でない中、部門単位での試行・実施にとどまっている(例)PoCの実施において、トップの号令があったとしても、全社的な仕組みがない場合は、ただ単に失敗を繰り返すだけになってしまい、失敗から学ぶことができなくなる。

レベル2 『一部での戦略的実施』 全社戦略に基づく一部の部門での推進

レベル3 『全社戦略に基づく部門横断的推進』

全社戦略に基づく部門横断的推進全社的な取組となっていることが望ましいが、必ずしも全社で画一的な仕組みとすることを指しているわけではなく、仕組みが明確化され部門横断的に実践されていることを指す。

レベル4 『全社戦略に基づく持続的実施』

定量的な指標などによる持続的な実施持続的な実施には、同じ組織、やり方を定着させていくということ以外に、判断が誤っていた場合に積極的に組織、やり方を変えることで、継続的に改善していくということも含まれる。

レベル5 『グローバル市場におけるデジタル企業』

デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベルレベル4における特性を満たした上で、グローバル市場でも存在感を発揮し、競争上の優位性を確立している。

※ 定量指標においては、基本的に、自社がDXによって伸ばそうとしている指標を自ら選択して算出するとともに、例えば、3年後に達成を目指す当該指標に関する数値目標を立て、進捗管理を行っていくといった活用方法を想定している。

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【参考】 中立的な組織、アドバイザーの役割

中立組織ユーザ企業

団体、コンサル、ITベンダー等

必要に応じて、アドバイザーに依頼

アドバイザーによる自己診断のサポート

・Webサイトより自己診断・課題認識、対応策検討・計画立案、アクション実施・ベンチマークの活用による他社との比較(・必要に応じてアドバイザー要請)

・診断結果の分析(指標間の相関分析、業種業態毎の分析、経年分析、等)

・ベンチマーク策定・提供・先行事例の提供・指標の改善

診断結果提出

ベンチマーク提供

(先行事例の提供含む)

・自己診断におけるアドバイス

※ベンチマーク化する際に、提出された根拠の記載に照らして、レベル分けについて確認が必要と思われる場合は、ユーザ企業に適宜確認する

※ 自己診断を行う際に、ユーザ企業が診断方法についてのアドバイスが必要と考えた場合にサポートを行うのが団体やコンサル、ITベンダー等の役割。診断結果の客観性担保、お墨付き等を与えるわけではないため、特に、指標に関する専門家としての認定制度は設けない。

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「DX推進指標」公開に向けたスケジュール 『「DX推進指標」とそのガイダンス(試行版)』について、 5月から6月にかけて、数十社を目途として、試行的に活用いただき、そこでのご意見等を踏まえ、『「DX推進指標」とそのガイダンス』の最終調整を実施し、6月末に公開する予定である。

作業内容FY2018 FY2019

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

マイルストーン

指標の策定、公表

ユーザ企業向け広報活動(説明会、研修等)

集中的な自己診断の促進

▲6月末正式版公表プレスリリース

▲10月ベンチマーク公表

ベンチマークの策定方針検討、データ分析収集方法の検討

公表に向けた最終調整

ベンチマークとりまとめ

DX推進指標、ガイダンスの策定

結果の見せ方検討

アドバイザー向け説明会

普及促進の継続

自己診断の集中期間

Webサイトの構築

検討会 試行的診断

経営のアクションに

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3.DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策

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【対応策】 協調領域の見極め

共通プラットフォームを構築し得る具体的な分野について、例えば以下のような分野が指摘されている。⁻ 業界の中で規制に対応するための標準的・規格的・共通的な作業が多く存在する規制業種の分野⁻ 保安や環境の分野⁻ 人手不足や環境、コストダウンという観点からも、非競争領域であり協調可能性が高いとの認識がある共同配送・物流の分野

⁻ 広告・宣伝・営業等の競争領域に続く、受注やコールセンター等、個々の注文を受ける部分⁻ 人事・ロジスティクス・CRM等のERPの浸透度が低く、我が国における企業の生産性を落としている可能性のある分野

協調領域については、個社が別々にシステム開発するのではなく、業界毎や課題毎に共通のプラットフォームを構築することで早期かつ安価にシステム刷新することが可能である(割り勘効果)。ニーズのある領域を見極め構築することを目指す。

【必要性】 競争力に寄与しない非競争領域については、業界内外を含めて業務の共通化やシステムの共通化を図っていき、複数の企業が共同でシステムを構築することが、コストや失敗リスクを下げる有効な手段となり得る

38

協調領域における共通プラットフォームの構築

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共通プラットフォームの構築支援~水道分野のモデルケースを横展開へ~

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職員数の減少・ベテラン職員の退職が進展

老朽化施設が増えつつあり、維持管理コストが増加

人口減少に伴う給水収入の減少とともに、施設の最適な運用を進める必要

上水道事業が抱える課題

上水道事業が抱える課題

浄水施設①

制御機器 センサ

PLCA社製

浄水施設②

制御機器 センサ

PLCB社製

浄水施設③

制御機器 センサ

PLCC社製

A社製アプリケーション

B社製アプリケーション

C社製アプリケーション

A社物理接続仕様

A社仕様の水道事業体

B社仕様の水道事業体

C社仕様の水道事業体

アプリケーションと現場機器が密接な関係

アプリケーション

現場機器

特に小規模な水道事業体における持続可能な事業運営が困難に

しかしながら、現状はベンダー各社でデータの接続仕様が異なるため、異なるベンダーによって構築されたシステム間のデータ連携が困難

データ利活用上の課題データ利活用による課題解決の可能性

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これまでの取組 (厚労省と連携し、2016~2018年度で実証事業) 4地域の事業体や複数のベンダー参画の下、データ流通の共通ルールを定めるための検討を開始。 ベンダーロックインを外し、施設データや台帳データを活用して、AI等のアプリケーションを利用できるシステムの標準仕様を検討し、プロトタイプを構築。

A事業体監視システム

標準API

アプリケーションの利用*PFを通じ、使いたいアプリを選択

水道事業者

コールセンター(システム障害時の問い合わせ対応等)

課金管理 等

IoTGW

既存SCADA

B事業体監視システム

システムGW

台帳データ

料金データ

プラットフォームの必要機能

GW設置

A事業体事務系システム

IoTGW

既存SCADA 新SCADA

C事業体監視システム

システムGW

台帳データ

料金データ

B事業体事務系システム

水質監視AP

A社クラウド需要予測AP

台帳AP

会計AP

水質監視AP

B社クラウド需要予測AP

台帳AP

会計AP

水質監視AP

C社クラウド需要予測AP

台帳AP

会計AP

中小など監視AP

会計AP

台帳

会計

水質

水質

庁舎業務

場外業務

標準IF

データレイク必要なデータの蓄積

データをPFに接続するためのGW設置工事を実施

事業体の許可で必要なデータは自由に連携

データセキュリティ

データセキュリティ

データセキュリティ

アプリケーション管理

ログインID認証

施設台帳データの管理

データ流通管理

プラットフォーム

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2019年度構築する水道プラットフォーム(仮称)導入のメリット

① 割り勘で低コストにー システムの共有による割り勘効果ー ベンダーロックインから外れることで、コスト低減(アプリケーションにも競争が生まれコスト低減)

② システム投資(資本的支出)でなく、毎年の利用料負担(費用計上)にー IT調達を担う人材すら手当てできない事業体でも、簡単に利用可能ー ダウンサイジングに応じて柔軟にシステム・コストの低減を行うことが可能に

③ 業務の一体運営をしやすく ➜ 広域化を後押しー広域化に際しての効果的なダウンサイジングの検討が容易にー広域化した際は、システムを共有することにより、施設等の一体的運用が容易に

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こうした水道分野におけるデータ利活用に向けた協調領域におけるプラットフォーム作りの取組は、他分野でも有効と考えられる。

ただし、水道分野における取組では、① 協調領域となる情報システムを定義した上で、プラットフォーム機能を切り出し、各アプリケーションソフトウェアとのデータ流通の共通ルールを決めていく必要あり

② 既存のシステムやそのサプライヤーが存在する中、プラットフォーム機能の切り出し・データ流通の共通ルールの策定に当たっては、利害関係者との調整が非常に難しい

協調領域におけるプラットフォームの組成に当たっては情報システム・ソフトウェアに関する技術的知見を持ち、利害調整を中立的な立場から行える機能・人材が必要

他インフラ分野への横展開に向けた検討

こういった共通プラットフォーム化のニーズがある場合は、下記担当までご連絡ください。商務情報政策局 情報産業課 (担当者)佐藤、奥山 (電話)03-3501-6944

Page 45: 2025年の崖問題とDX推進に向けた政策展開ˆ田...2025 年の崖問題と DX 推進に向けた政策展開 令和元年5月 経済産業省 商務情報政策局 成田達治

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