105
平成21年度 北米における水素ステーションの 技術動向調査報告書 平成22年3月 財団法人 エンジニアリング振興協会

平成21年度 北米における水素ステーションの 技術動向調査報 …...1 平成21年度 北米における水素ステーションの 技術動向調査報告書

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 1

    平成21年度

    北米における水素ステーションの

    技術動向調査報告書

    平成22年3月

    財団法人 エンジニアリング振興協会

  • は じ め に

    水素社会の実現に向けての動きが着実に進んでいる。米国では「水素燃料イニシア

    ティブ」が開始され、実用化に向けた研究開発が強化されている。欧州でも「水素・

    燃料電池技術プラットフォーム会議」を立ち上げ、官民が協同して水素エネルギー実

    現のための議論が進められている。

    わが国でも、経済産業省の補助事業として 2002年度から水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC-1プロジェクト)が開始され、現在第二期の活動(JHFC-2プロジェクト)が進められている。

    燃料電池自動車に水素を供給するためには、水素ステーションの整備・展開という

    社会全体的な取り組みが必要となってくる。このためには水素の製造・供給技術の確

    立が必要であり、これらの技術に関する実証研究が進められている。JHFC-1プロジェクトでは 35MPaの充填圧力での実証試験が行われたが、JHFC-2プロジェクトでは燃料電池自動車の航続距離の伸長を図るため、より高圧の 70MPaの充填圧力での実証試験が行われている。欧米ではすでに 70 MPa充填を採用したパブリックの水素ステーションが稼動して実証試験が進められており、実証データ収集とノウハウの蓄

    積が進められている。

    こうしたことから、欧米の先進事例や既存の水素ステーションの現状・普及政策を

    把握・分析し、わが国の JHFC-2 プロジェクトの実証試験に活かすために、平成 21年度は国際 WG(WG5)の活動として、欧米の主な水素ステーションを訪問調査するとともに政府や関係企業の専門家と意見交換を行った。具体的には、ふたつの調査

    団を組織し、その一方を財団法人エンジニアリング振興協会が中心となりカナダ・北

    米西海岸地域での調査を実施し、もう一方を財団法人日本自動車研究所が中心となり

    欧州米国東海岸での調査を実施した。本書は財団法人エンジニアリング振興協会が中

    心となって実施した調査結果を取りまとめたものである。

    本報告書が、わが国の水素エネルギーの普及のー助になれば幸いである。

    平成 22年 3月 財団法人 エンジニアリング振興協会

  • 目 次

    1 ブリティッシュ・コロンビア州政府 ........................................................................................................ 1

    2 BC Transit ................................................................................................................................................... 5

    3 Air Liquide ................................................................................................................................................. 10

    4 カリフォルニア燃料電池パートナーシップ(CaFCP) ................................................................. 14

    5 カリフォルニア大気資源局(CARB) ................................................................................................ 27

    6 AC Transit ................................................................................................................................................. 37

    7 Shell サンタモニカ水素ステーション ................................................................................................ 50

    8 カリフォルニア州南海岸大気保全管理区(SCAQMD) ............................................................ 57

    9 Clean Energy ステーション .................................................................................................................. 71

    10 Fuel Cell Seminar & Exposition 2009 ............................................................................................. 79

    11 まとめ .......................................................................................................................................................... 88

    12 参加者の所感 .......................................................................................................................................... 94

  • 1

    調査の日程

    日付 調査先・移動 宿泊地

    11月9日(月) 移動 東京/成田 → ビクトリア ビクトリア

    10日(火)

    ① ブリティッシュ・コロンビア州政府

    ② BC Transit ③ Air Liquide

    移動 ビクトリア → サンフランシスコ

    サンフランシスコ

    11日(水)

    移動 サンフランシスコ → サクラメント ④ カリフォルニア燃料電池パートナーシップ(CaFCP)

    ⑤ カリフォルニア大気資源局(CARB)

    移動 サクラメント → サンフランシスコ

    サンフランシスコ

    12日(木) ⑥ AC Transit

    移動 サンフランシスコ → ロサンゼルス ロサンゼルス

    13日(金) ⑦ Shell サンタモニカ水素ステーション

    ⑧ カリフォルニア州南海岸大気保全管理区(SCAQMD) ロサンゼルス

    14日(土) 資料整理・打ち合わせ ロサンゼルス

    15日(日) 資料整理・打ち合わせ ロサンゼルス

    16日(月) ⑨ Clean Energy ステーション

    移動 ロサンゼルス → パームスプリングス パームスプリングス

    17日(火) ⑩ Fuel Cell Seminar パームスプリングス

    18日(水) ⑩ Fuel Cell Seminar パームスプリングス

    19日(木) ⑩ Fuel Cell Seminar

    サンフランシスコ 移動 パームスプリングス → サンフランシスコ

    20日(金) 移動 サンフランシスコ → 機内

    21日(土) → 東京/成田 ---

  • 2

    訪問先一覧

    調査先 概要

    ブリティッシュ・コロンビア州政

    府 FCバスプロジェクトやカナダ水素ハイウエイなどの政策を推進

    BC Transit ウィスラーで 20台の FCバスの運用を開始。

    Air Liquide ウィスラーに世界最大の水素ステーションを建設。

    カリフォルニア燃料電池パート

    ナーシップ(CaFCP) FCV/FCバスの実証を 1999年より開始。2009年 2月に水素ステーション展開のためのアクションプランを発表した。

    カリフォルニア大気資源局

    (CARB) ZEV プログラムを推進し、その一環として FCV や FC バスの導入、水素エネルギーの導入を実施している。

    AC Transit FC バスを運用中。オークランドステーションを改修するとともに、エモリービルに FC バス・FCV 両用ステーションを建設する予定。

    Shellサンタモニカ水素ステーション

    一般ガソリンスタンドとの併用ステーション(35MPa 用)。キャノピー上に水電解装置等を設置。一般アクセス可能。

    カリフォルニア州南海岸大気

    保全管理区(SCAQMD) Five Cities Programにおいて、水素ステーション 5カ所を運営中。ステーションの助成にも積極的。

    Clean Energy ステーション GM のドライブウエイプロジェクト用ステーション(70MPa 用)。プレクールも実施。短期間で建設した。

    Fuel Cell Seminar 燃料電池関連のセミナー。各国の燃料電池関連の技術動向に

    ついて報告あり。燃料電池自動車の運転試乗あり。

  • 3

    調査参加者

    氏名 所属

    岡崎 健 [団 長] 東京工業大学 大学院 理工学研究科 工学系長・工学部長

    田島 正喜 東京ガス株式会社 技術開発本部 技術戦略部 水素ビジネスプロジェクトグループ マネージャー

    久保田 泰宏 新日本石油株式会社 新エネルギーシステム事業本部 FC・ソーラー事業部 FC開発グループ

    古田 博貴 東京ガス株式会社 技術開発本部 技術戦略部 水素ビジネスプロジェクトグループ チームリーダー

    岡田 耕治 東邦ガス株式会社 技術開発本部 技術研究所 環境・新エネルギーグループ 次長

    山口 則和 大陽日酸株式会社 開発・エンジニアリング本部 水素プロジェクト統括部 技術部技術課

    手塚 俊雄 (財)石油産業活性化センター 新燃料部 JHFCプロジェクト担当

    石倉 威文 (社)日本ガス協会 技術開発部 燃料電池・水素プロジェクトグループ

    丸田 昭輝 株式会社テクノバ 調査研究第一部 主査

    戸室 仁一 財団法人 エンジニアリング振興協会 水素プロジェクト室 室長代理

    カリフォルニア州南海岸大気保全管理区(SCAQMD)にて

  • 4

    図表の出所

    特に断りがない限り、訪問調査時でのプレゼンテーション資料や現地で撮影し

    た写真を用いた(プレゼンテーション資料は、翻訳・サイズを修正している場合が

    ある)。 それ以外の場合は、出所を明記した。

  • 2

    本 編

  • 1

    1 ブリティッシュ・コロンビア州政府

    訪問先 ブリティッシュ・コロンビア州政府(BC州) 住所:(BC Transit と合同会合)

    訪問日時 2009年 11月 10日(火)9:00~12:00 対応者 Nathan Popp

    Senior Project Manager Climate Action Program, Ministry of Transportation

    Heather Bauer Research Analyst, International Relations, Climate Action Secretariat, Ministry of Environment

    (1) 背景と政策目標

    • この 20世紀で、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)1の気温は0.6~1.7度上昇した(図 1-1)。気温上昇の度合いは北部ほど大きい。

    図 1-1.20世紀におけるブリティッシュ・コロンビア州 の気温上昇割合

    • BC 州においては、交通部門からのGHG排出量が 36%と、最大の排出部門である。この割合はカナダ平均

    (25~28%)よりも高い。

    図 1-2.BC州の部門別 GHG排出割合

    1 ブリティッシュ・コロンビア州は人口約 425万人で、カナダ 10州のうち、オンタリオ州(人口 1254万人、州都:トロント)、ケベック州(760万人、州都:モントリオール)に次ぐ人口を擁する。州都はビクトリアで、バンクーバーが最大都市(人口 212万人)。

  • 2

    • BC州の温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標(図 1-3):

    - 2007年比で、州全体として 2020年までに 33%削減、2050年までに 80%削減を目指す(中間目標として、2012年までに 6%削減、2016年までに 18%削減を目指す)。

    - BC 州の電源構成では、大部分が水力なので(図 1-4)、GHG 削減余地は少ない。運輸部門からの削減が必要である。

    - 2050年の BC州の GHG削減目標(80%削減)が要求する GHG排出量は、現在の運輸部門由来 GHG 排出量(2400 万トン)よりも少ない。運輸部門からの GHGの大幅な削減が必要である。

    - 運輸部門の GHG 排出量は 2400 万トンで、うち乗用車が 40%、大型車が27%、鉄道が 2%、航空機が 7%、船舶が 11%、オフロード車両が 15%であり、乗用車に由来する GHG排出量が大きい。

    図 1-3.BC州の GHG削減目標

    図 1-4.BC州の電源構成

  • 3

    • BC州政府は GHG削減のために、以下のイニシアティブを実施している。

    - 炭素税(現在 10ドル/トンだが、2012年には 30ドル/トンになる)2

    - 炭素取引(Cap & Trade): 米国・カナダの西海岸州で「Western Climate Initiative」3を結成、C&Tの枠組みを議論中。

    - 自動車からのGHG排出量規制(カリフォルニア州と同レベルの規制を 2009年より導入。2016年には 2004年比で‐30%を達成のこと)

    - 低炭素ファンド

    - コミュニティの排出量目標

    • 2020年までに BC州の公共交通の利用者を 2倍する(図 1-5)。そのために、以下のような政策を推進している(これにより 470万トンの GHGを削減)。

    - バンクーバー空港から市内までの、高速バス路線の新設

    - シーバスの増設

    - FCバス(ウィスラー)の導入

    図 1-5.BC州における公共交通部門の利用者拡大目標

    2 10ドル/トンの場合、ガソリンでは 1リットルあたり 2.41セント、ディーゼルでは 2.76セントとなる。「British Columbia Carbon Tax」(2008年 2月) < http://www.sbr.gov.bc.ca/documents_library/notices/British_Columbia_Carbon_Tax.pdf > 参照。

    3 パートナーはアリゾナ州、カリフォルニア州、モンタナ州、ニューメキシコ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州(以上米国)、ブリティッシュ・コロンビア州、マニトバ州、ケベック州(以上カ

    ナダ)。またオブザーバーとしてアラスカ州、コロラド州、アイダホ州、カンザス州、ネバダ州、ワ

    イオミング州(以上米国)、サスカチュワン州(以上カナダ)、バハ・カリフォルニア州、チワワ州、

    コアウイラ州、ヌエボ・レオン州、ソノラ州、タマウリパス州(以上メキシコ)。 < http://www.westernclimateinitiative.org/ >参照。

  • 4

    (2) ディスカッション

    • BC Transitの FCバス(ウィスラー、20台)へのサポートは、5年間で 8800万ドル(建設・運用コスト含める)。

    - BC Transit負担: 3500万ドル(通常のディーゼルバスの導入・運用 のコスト相当分)

    - 州・連邦政府負担: 5300万ドル(差額相当分)

    • 運輸省はウィスラーFC バスプロジェクトを支援しているが、FC フォークリフトやそのほかの初期市場(バックアップ電源など)は、BC州エネルギー省やそのほかの州政府が支援している。

    • 連邦政府レベルでも、FC・水素関連に対して以下のような支援機関・ファンドがある: - National Research Council(カナダ国立研究機構、NRC) - Natural Resources Canada(天然資源省) - Sustainable Development Technology Canada(SDTC) - Federal Clean Energy Fund

  • 5

    2 BC Transit BC トランジット

    訪問先 BC Transit 住所:520 Gorge Road East, Victoria, BC, Canada, V8W 2P3

    訪問日時 2009年 11月 10日(火)9:00~12:00 対応者 Manuel Achadinha

    President & CEO Stephen Brydon

    Manager, Climate Action Ben Herlinger EIT

    Sustainable Transportation Engineer 他 3名

    (1) BC Transit の概要

    • BC Transitは、BC州政府が所有する公共バス会社である。

    - バンクーバー地域以外の BC州全土でバスを運用している(バンクーバー地域の公共バスは BT Transitではなく TransLink社が管轄している。ただし両者は協力して交通部門の低炭素化に取り組んでいる)。

    - 利用者数: 5000万人/年。

    - バス所有台数: 1,000台(アセットはバスのみ)。

    - 2020 年までに公共バス利用者数を 2 倍にするという目標がある(BC 州政府の目標)4。

    • 環境面における BC Transitの主な取り組みは以下の通り。

    - ビクトリア地域ラピッドトランジット(Victoria Regional Rapid Transit)

    - 2010年オリンピック/パラリンピック

    - 北米で最初のハイブリッド式二階建てバスの導入(英国 Alexander Dennis社の二階建てハイブリッドバスの導入)

    - 燃料電池バスフリート

    - カナダ水素ハイウエイ

    • BC Transit は水素バスアライアンス(欧州 HyFleet:CUTE、ロンドン UK Transit、AC Transitなどと協力)のメンバーである。

    • Partnership for Carbon Neutralityに参画している。 西海岸の米国 7州とカナダ 3州が参加。

    4 P.4参照。

  • 6

    (2) BC Transit による FC バスデモンストレーション

    • 20 台の FC バス(12m 長)をウィスラーに導入し、通常の公共バスサービスに使用する。FCバスの構成を表 2-1に、外観と内部構造を図 2-1に示す。

    表 2-1.新規に導入される FCバスの構成 車体 New Flyer製 H40LFR 乗員 60人(着席、立ち乗り) 航続距離 400~450 km FC スタック Ballard HD6(150 kW)(図 2-2参照) ドライブトレイン ISE製 ThunderVolt ハイブリッドパワートレイン

    (図 2-4参照) 水素容器 Dynetek 製“Dynecell”タンク(35 MPa)×6 本(ルー

    フに設置)、水素量:45kg 二次電池 Valence Li phosphate電池(614 V、47 kWh)

    図 2-1.新規に導入される FCバス

    電池

    ドライブトレイン FCシステム

    冷却ファン

    水素タンク

    リチウムイオン電池

    ISE製ドライブトレインBallard製 FCシステム

    FCシステム・電気系冷却装置

    水素タンク

  • 7

    図 2-2.Ballard製 HD6(150 kW)

    図 2-3.New Flyerでの車体製造

    図 2-4.ISEにおけるインテグレーション

  • 8

    • FCバスは、2010年オリンピックのためだけではなく、2014年まで運用を行うことを想定している。

    - バスの寿命についても確認する(ただし、動力関係のシステムは交換も検討する)。

    - 全 20台の FCバスは、2010年 1月までにウィスラーに配備された。水素ステーションも 2009年 12月に完成し、2010年 1月に稼働している5。

    - 20 台が導入されれば、ウィスラーで稼働する 28 台の路線バスの約 2/3 がFCバスになる。2014年には全台を FCバスにしたい(注:オリンピック時には 135台のバスが稼働する)。

    - FCバスは、毎日 20時間の稼働を目指す。

    • プレプロダクションバス(テスト用)は 2008 年 10 月に導入した。プレプロダクションバスの走行性能結果を表 2-2に示す。

    表 2-2.プレプロダクションバスの走行性能結果 走行距離 160 ~525km/日(平均 309 km/日)、全走行距離 8650 km 運用時間 6.31~16.25 h/日(平均 12.5 h/日)、全運用時間 338 時間 燃費 6.33~11.71 kg/100 km

    (平均 8.35 kg/100km=ディーゼル換算 35L/100km) (参)ディーゼルバスの燃費は 50~55 L/100 km

    その他 ・ 登坂にパワーが不足している。 ・ バッテリーはCobasys製NiMHを採用したが、同社がGMに買収され、バス用には電池を供給しなくなったため、プロ

    ダクションモデルではリチウムイオン電池を使用する。 ・ プロダクションモデルの燃費は10~12 kg/100km程度になる見通し。

    • FC バスが導入されるウィスラーは、FC システムにとっては過酷な環境である。

    - 気温幅は‐20℃(冬)~40℃(夏)と広く、春にはダストが多い(氷河からのダスト)。

    - 暖気のため、冬季の夜間はすべてのバス(現状のディーゼルでも)を電気ヒーターで保温する必要がある。

    5 水素ステーションに関しては、P.10参照。

  • 9

    (3) ディスカッション

    ① BC Transitの取り組み

    • Environment Teamを 2008年 10月に設置した。カーボンオフセットやキャップアンドトレードについて議論を進めている。カナダ(BC 州)では 2010年から炭素 1 トンあたり 25 ドルのオフセットが必要になるが、BC Transitは本業のバス部門での対応は免除されている(公共交通なので)。その代り、

    管理部門でのオフセットを要求されている。

    ② FCバスの導入と運用

    • FCバスの導入を増やして、現在の FCバスの価格(200万ドル)を 100万ドル以下に押し下げなければならない。

    - 北米の大手バス車体会社(New Flyer、Novaなど)は、なぜかカナダに本社がある。米国の公共バス機関がバスを購入する時には、政府から 80%の補助金でるので、市場はきわめていびつであり(カナダにはそのような購入

    補助金はない)、また新規のイノベーションを生み出す力に欠けている。

    • ビクトリア地域にも水素ステーションが1か所ある(2005年オープン)。FCVとして、Fordの Focusが業務用に利用されているが、現在はサポートが得られていない状態である。

    • 水素源に関して:

    - 初期的なWell-to-Wheel分析では、既存のディーゼルバスと比較して GHG排出量は 62%削減可能となった。ただし、BC州は再生可能エネルギー(水力)の点で恵まれているので、今後州内での水素調達(例.水力利用水電解

    や工業用オフガス利用)を検討したい。

    - Well-to-Wheel分析には、米国 GREETモデルをカナダの気候用に修正した「GHGenius」モデル(NRC)を利用している。

  • 10

    3 Air Liquide(ウィスラー水素ステーション)

    訪問先 Air Liquide 住所:(BC Transit との合同会合)

    訪問日時 2009年 11月 10日(火)9:00~12:00 対応者 Bruno Forget

    Project Engineer, Hydrogen Energy

    (1) Air Liquide の概要

    • Air Liquideの 2008年度売上は 131億ユーロ。

    • Air Liquideは過去 40年間、水素ビジネスを行ってきた。

    - 水素製造サイトは世界 200か所。95%は天然ガス改質である。

    - 過去 3年間で 5億ユーロ相当を投資している。

    • 世界 12カ所に水素パイプラインを有する。総延長 1700 km超。

    • Air Liquideは、GMのドライブウエイプロジェクトに参加し、水素ステーションを供給している(図 3-1)。

    - 最初の水素ステーションを 2005年にレーク・ジャクソンに、続くステーションを 2007年にカパスケーシング(GM研究所)に建設した。

    - 2008~2009 年に急速充填可能なステーションを 7 カ所建設した(70MPa用、プレクールを利用し、水素 5kgを 5分で充填可能)。FCVは 3台まで連続充填可能である。

    図 3-1.Air Liquideによる GM用水素ステーション

  • 11

    (2) ウィスラー水素ステーションの概要

    • ウィスラー水素ステーションは 2009年 12月に完成し、2010年 1月にオープンした(正式な開所は 1月 22日)。

    - 稼働は 24時間/365日(運用率 99.9%)を目指す。リモート監視を実施している。

    - 設計供給能力は 1000 kg/日(470Nm3/h)で、世界最大の FCV・FCB用ステーションとなる6。実運用では 500~700 kg/日程度となる見通し。

    図 3-2.ウィスラー水素ステーションの外観

    • 水素は Air Liquide(ケベック州)から購入している。

    - 水電解(水力発電を利用)で製造した水素を液化し、3週間に 2回程度輸送している。

    - 輸送用トレーラーの容量は 3.5トンで、輸送距離は 5000km7である。

    - 将来は BC州内で水素を電解で製造する計画がある。

    6 ベルリン CEPステーションの水素供給能力は 400 kg/日。 7 輸送途中でかなりのボイルオフロスが発生するであろうし、またクライオポンプの冷却でも水素を消費してしまうが、水力由来水素のため、エネルギー効率はさほど重視していないと思われる。

    ディスペンサ 液体水素タンク液体水素タンク

    クライオポンプ

    気化器

  • 12

    • ウィスラー水素ステーションの水素設備の概要を図 3-3に示す。

    - 輸送されてきた水素は、液体水素で貯蔵している(貯蔵容量 10トン)。BOGは回収し、蓄圧器に貯蔵する。

    - クライオポンプ(3台並列、容量 20L/min)で 45MPaに圧縮する。クライオポンプの冷却に 5~10 分かかるが、その分のロスは特に問題ないと考えている。

    - 蓄圧器は鋼製(30フィート長、6本)。

    • 充填方法:

    - 充填(35 MPa)は、蓄圧器からのカスケード充填と、クライオポンプ(+気化器)からの直接充填の 2通りを考えている(バッファータンクからの差圧充填と直接充填を、PLC コントロールにより最適に切り替えながら充填を行う)。

    - 充填速度は 45 kg/10分を目指す。

    - 流量のコントロールは PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を使用し、クライオポンプとディスペンサの両方を制御している。液体水素(ク

    ライオポンプ)だから、圧縮水素よりも制御が容易である。

    - コミュニケーションは有線を採用している。

    図 3-3.ウィスラー水素ステーションの構成

    気化器

    ディスペンサ

    蓄圧器BoG回収

    クライオポンプ

  • 13

    (3) ディスカッション

    • テスト段階では、モバイル水素ステーションも活用した(図 3-4)。

    図 3-4.モバイル水素ステーション

    • ステーションの基準はカナダの基準によるが、地域によって方針がかなり違う。BC州は、規制当局が一括されており、水素ステーションの設置が他の週よりも容易である。

    • 配管材料には、通常のステンレス(ただし Ni含有量 12%以上)を採用している。

  • 14

    4 カリフォルニア燃料電池パートナーシップ(CaFCP)

    訪問先 カリフォルニア燃料電池パートナーシップ(CaFCP) 住所:3300 Industrial Blvd. Suite1000, W. Sacramento, California

    訪問日時 2009年 11月 11日(水)9:30~17:00 対応者 Catherine Dunwoody

    Executive Director Chris White

    Communications Director Bill Elrick

    Technical Program Manager 他 2名

    (1) CaFCP について

    • カリフォルニア燃料電池パートナーシップ(CaFCP)は、1999年にスタートした、世界最初の燃料電池デモンストレーションプロジェクトである8。

    - 当初は 2003年までの予定であったが、その後 2007年まで延長され、この2006年 10月には、2012年まで延長されることが発表された。

    • 現状で、CaFCPに参画している水素ステーションは 21カ所である9。

    - これまでに 300 台の FCV・FC バスが運用され、総走行距離は 280 万マイルに達している。

    - CaFCP は、地域に導入される車両(水素需要)に合わせて水素ステーション(水素供給)を設置するためのコーディネーションを行なっている。また、

    すべての水素ステーションは、必ずしも CaFCPで設置・管理しているわけでない。

    - CaFCP では、FCV 利用者をホームページで紹介するなどして、一般へのPRに努めている。

    - また CaFCPでは、充填コミュニケーションなどの基準標準策定で貢献してきた。

    8 CaFCPは、DaimlerChrysler、Ford、CARBのイニシアティブでスタートした。発足当初のメンバーは、DaimlerChrysler、Ford、Ballard、ARCO(現 BP)、Shell、ChevronTexaco(現 Chevron)、CARB、California Energy Commission(カリフォルニア州エネルギー委員会)である。メンバーシップは、フルメンバー(Full Partner)とアソシエートメンバー(Associate Member)に分かれる。フルメンバーは運営費を負担し、運営チームに出席できる。アソシエイト・パートナーには資

    金負担はないが、プロジェクトの運営には関与しない。 9 CaFCP< http://www.fuelcellpartnership.org/stationmap >参照。

  • 15

    (2) CaFCP のアクションプラン

    ① アクションプラン

    • CaFCPは、2009年 2月に「アクションプラン(Action Plan)」を発表、将来の FCV 導入拡大と水素需要拡大のために、水素ステーションの設置拡大が必要と主張している。

    - 自動車メーカーにアンケートを行った結果、今後 FCV が 2014 年までに4,300台、2017年までに 49,600導入される見通しである(表 4-1)。

    - この普及シナリオは、経済危機発生前に自動車各社に行ったアンケートに基づくため、現在は状況が変わっている可能性がある。本年に実施するアンケ

    ートで再確認する10。

    - サンフランシスコ湾岸エリアでは 2014年までに FCバス 60台程度と FCV 700台程度が導入される見込みである。FC バスの導入では AC Transit がリードすると期待される11。

    - サクラメント地域は、規制・基準・標準の策定を行う。特にカリフォルニア州は、水素を自動車用燃料として法律で位置づけた最初の州であり、販売の

    ために水素の計量技術を開発中である。サクラメント地域の水素ステーショ

    ンはそのための技術開発に貢献することになる。

    表 4-1.カリフォルニアにおける FCV・FCバス導入台数見込み 2009年 2010年 2011年 2012-14年 2015-17年北部カリフォルニア (サンフランシスコ) 60 60 70 870 8,450

    南部カリフォルニア サンタモニカ アーバイン トーランス ニューポートビーチ その他の地域

    1403030201050

    3109070456060

    640170140110100120

    3,440 900 770 570 560 640

    41,150

    合計 200 370 710 4,300 49,600

    10 2012年以降に大幅に水素供給が不足するとの見通しを掲げているが、この数字見通しには懐疑的な面があることを CaFCPも認めている。これは、アクションプラン予算について政府側のコミットを取れていないことも一因と思われる。

    11 AC Transitに関しては P.39参照。

  • 16

    - 2012年までの FCV・FCバスの水素需要を賄うため、2012年までに一般向けステーションを 40カ所新設する必要がある(既存の 6か所を含めて合計で 46カ所)。なお、水素需要量の計算では、各 FCVは 1日 1 kgを消費すると仮定している(表 4-2)。

    表 4-2.カリフォルニアにおけるステーションの展開計画

    2009年 2010年 2011年 2012年 北部カリフォルニア サンフランシスコ

    サクラメント

    南部カリフォルニア

    LA市内

    サンタモニカ

    アーバイン

    トーランス

    ニューポートビーチ

    バーバンク

    その他の南カリフォ ルニア

    新設ステーション合計 10か所 9か所 11か所 10か所

    注: 移動式(50 kg/日) 固定式(100 kg/日) 固定式(200 kg/日)

    固定式(400 kg/日) 固定式(1000 kg/日)

    固定式(FCB 400 kg/日、FCV 60 kg/日)

    出所:CaFCP「Hydrogen Fuel Cell Vehicle and Station Deployment Plan: A Strategy for Meeting the Challenge Ahead Action Plan」

  • 17

    図 4-1.南カリフォルニア地域における水素コミュニティ展開のイメージ(2014年まで)

    • 40 か所のステーションを建設するために、2012 年までの 4 年間で総額 1 億8000万ドルの投資(官・民合計)が必要であると見込まれる(表 4-3)。

    - ステーションの建設には平均 2年ほどかかるので、運用は 2009~2014年に順次始まることになる。

    - ステーション建設費の 70%程度は連邦政府・カリフォルニア州が負担すべきと考える。

    表 4-3.水素ステーションの展開のイメージ(2012年までの助成ステーション) 2009 2010 2011 2012

    新規ステーション設置数 10 9 11 10

    ①全ステーションコスト[mil ドル] 30.8 37.5 51.2 59.5

    ②うち政府助成額[mil ドル] (助成割合)

    23.4(76%)

    27.2 (73%)

    35.9 (70%)

    31.1(52%)

    ③規制・広報関連コスト(政府負担)[mil ドル] 1.0 0.5 0.5 0.5

    ④累積ステーションコスト(①+③の累計)[mil ドル] 31.8 68.8 121.5 181.5

    ⑤累積政府助成額(②+③の累計)[mil ドル] 24.4 52.1 88.5 120.1

  • 18

    • ステーションコスト試算における仮定を表 4-4に示す。

    - 2009 年に計画されているステーションの建設が始まる 2012 年には、ステーションコストは 20%ほど低減すると仮定した。

    - ステーションコスト(内訳)に関しては、CaFCP 参加ステーションにアンケートを取って、情報を分析している(機密情報なので公表できない)。

    表 4-4.アクションプランにおける投資額試算の前提:水素ステーションコスト 2009~2011年 2012年以降

    ステーション種類 平均設備資本コスト

    平均運用・

    維持コスト 平均設備

    資本コスト 平均運用・

    維持コスト

    移動式(50 kg/日) $1.5m $310k

    固定式(100 kg/日) $3.0m $490k $2.4m $418k

    固定式(200 kg/日) $3.5m $650k $2.8m $566k

    固定式(400 kg/日) $4.0m $880k $3.2m $714k

    固定式(1,000 kg/日) $5.5m $1.0m

    固定式(FCB 400 kg/日、FCB 60kg/日) $5.5m $990k 注:設備資本コスト(CapEx)には、土地整備、エンジニアリング、許認可取得作業費用を含む。

    運用・維持コスト(O&M)には、メンテナンス、保険、税金、土地リース費用を含む。

    • ステーションビジネスモデルはまだ描き切れていない(表 4-5)。

    表 4-5.ステーションビジネスモデルの検討事項 コスト 収入 ・設備投資 ・燃料製造 ・運用・メンテナンス費用 ・電気代 ・修理 ・土地代 ・税金、許認可費用 ・保険

    ・燃料販売 ・税控除 ・保険控除(集団割引) ・助成 ・金銭以外の利益 -PR効果 -リーダーシップの発揮 -技術開発 ・その他

  • 19

    ② アクションプランの実行

    • 水素ステーションの展開こそがアクションプランの中心である。

    - 現在のデモンストレーション用ステーションではなく、より毎日の運用に耐えられる水素ステーションを設置しなければならない。

    - 水素の批判者は、①高コスト、②大量入手が困難、③安全な貯蔵が困難、④液体燃料への競争力がない、と主張しているが12、②~④は間違いである。

    コスト(水素ステーション設置・運用コスト)についてのみ対応が必要であ

    る。この事実を連邦・州政府に説明し、ファンドを確保することが重要であ

    る。

    • アクションプラン発表以来、カリフォルニアの 7つのステーションへのファンドが決まった。うち 5つは南カリフォルニア地域である。

    • 数か所の大規模ステーション(1000 kg /日)と、多くの小規模ステーションを展開する計画である。

    図 4-2.アクションプランと 2010年におけるステーション整備計画

    12 例えば、チューDOE長官は 2009年 5月 14日の「MIT Technology Review誌」で、水素に対して「4 miracles」として知られる発言をして、米国の水素燃料電池関係者に波紋を投げた。 『一時期は盛り上がっていたと思うが、私自身は常に懐疑的であった。なぜなら水素の主な製造方

    法は天然ガスの改質であるが、それは理想的な水素源でない。重要な燃料である天然ガスのエネル

    ギーのいく分かを失っている。これが第一の問題である。他の問題は、特に自動車に対しては、ま

    だ良い貯蔵メカニズムがないことだ。圧縮水素は最善のメカニズムだがかなりのボリュームを要す

    る。我々は貯蔵の高密度化について成功していない。他の問題として、燃料電池はまだ実現してい

    ない。またインフラも整備されていない。つまりこの 4つが同時に起こらなければならない。そのために、(この技術は)常に「遠い将来技術」であった。展開のためにはこの 4つのブレークスルーが必要であり、それは起こりそうもない』出所: http://beta.technologyreview.com/business/22651/

    アクションプラン発表後に設置が決まったステーション

  • 20

    ③ トラッキングツール

    • 水素ステーション設置の「計画」と「現実」を比較し、水素需要のアンバランスを把握するために、「トラッキングツール」を開発した(図 4-3)。

    - 現在のステーション設置計画に基づくと、南カリフォルニア地域では、2011年までは FCVの水素需要を十分に賄えるが、2012年以降に水素供給が大幅に不足する。

    図 4-3.トラッキングツール: 2014年までの水素需給予測

    (1,000)

    (800)

    (600)

    (400)

    (200)

    0

    200

    400

    2009 2010 2011 2012 2013 2014

    LDV

    kg/

    day

    Santa Monica Irvine Torrance Newport BeachOther SoCAL Sacramento San FranciscoSanta Monica Irvine Torrance Newport BeachOther SoCAL Sacramento San Francisco

    供給 不足

    Year 2009 2010 2011 2012 2013 2014

    Demand (kg/day) 193 370 712

    Total Online (kg/day) 425 525 1245 2905 6265 9365

    Supply/ Demand 220% 142% 175% 67% 145% 217%

    Demand (kg/day) 193 370 712

    Existing Stations Supply (kg/day) 267 155 125 0 0 0

    Funded Stations Supply (kg/day) 30 710 710 710 710 30

    Supply/ Demand 154% 234% 117% 16% 16% 1%

    104 495 123 -3597 -3597 -4277Supply Gap (kg/day)

    TOTAL

    AP Targets

    4307

    ACTUAL (Supply

    online and projected

    online)

    4307

    供給不足

  • 21

    • 2050年に GHGを 80%削減しなければならないことを考えると、アクションは今からでも決して遅くはない(図 4-4)。

    図 4-4.2050年に向かって

    (3) ディスカッション

    ① アクションプランの目的

    • 「アクションプラン」の目的は、州政府(特にカリフォルニアエネルギー委員会:CEC)に対するファンドの確保である。

    • シュワルツネッガー知事は、強力なサポーターの一人である。

    - カリフォルニア州は経済危機にあり、議会が予算をカットしがちである。

    - シュワルツネッガー知事の次の知事候補に対する PR活動を始めている。

    - DOE はチュー長官によって水素関連予算削減の危機があったが、議会の反対によって、予算がほぼ復活した13。

    • 連邦政府のステーション建設助成は通常 50%であるが、CARBは 70%までの助成を行うという公募を行った(ただし上限あり)。また残りの 30%も、他のファンドを組み合わせてもよい。

    • CaFCPのアクションプランは、自動車メーカーの FCV導入台数に基づいたステーション配備計画である。

    - カリフォルニアのみを対象としており、その点では DOE が作成しているFCV 普及のシナリオ(オークリッジ国立研究所が主に作成)とは決して同じではないが、一部を担うことになる。矛盾はない。

    13 チューDOE長官の強い意向を受け、DOEは 2010年度予算(2009年 10月~2010年 9月)において、エネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)の水素関連予算を 6820万ドル(2009年実績は約 2億ドル)に減額して 要求した(2009年 5月)。その後、議会によって復活し、1億 7400万ドルとし、オバマ大統領の署名(2010年 10月末)で確定した。

  • 22

    ② アクションプランにおける水素ステーションの展開

    • アクションプランでは、将来のステーション技術(水素源、輸送・貯蔵方法)を特定していない。CaFCP に参加している企業でもいろいろな意見があるので、台数だけ発表している。

    • 大規模ステーションと小規模のサテライトステーションを展開するという考え方もあるが、むしろコストアップになるのではないか。カリフォルニアでは、

    通常の商業規模のステーション(200~400 kg/日、将来は拡大して 1000kg/日)を増やすことを考えている。

    - 2014~2017年までは、主力は 200~400 kg/日のステーションになる。

    - 商用ステーションの規模としては、400~500kg/日(約 200Nm3/h)が下限でと思われる。

    - 米国でも、現在は基本的には差圧充填を採用している。商用ステーションは直接充填になる可能性もあり、様々な方式が並列すると思われる。

    ③ 水素ステーションの許認可関係

    • 水素ステーションの普及のためには、ローカルの行政担当者の教育が重要である。カリフォルニア州では、州のコード(規制、基準)よりも、郡・市などの

    地域のコードが重視される。

    • ステーション建設は、基準を満たすだけではなく、地元に対して消防訓練や住民への公聴会・説明会等を行い、理解を得る必要がある。また景観にも配慮す

    るため、地元自治体からから認可を得るのに 7~8ヶ月かかることもある。

    - 一応、米国には FSTEP(Fire Service Training and Education Program)という連邦レベルの基準があるが、最後は地域の消防署がステーション建設

    の認可を出すので、地域との密接な協力が必要である。

    • 現在 CaFCPは、カリフォルニア食品農業局および米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)と協力して水素計量方法を研究している。

    - 水素の計量では、フローレートの大きな変化に対応できなければならない。

    - 2%の精度を確保するためには、マスフローメータ―が有望である。

  • 23

    (4) CaFCP のその他の活動

    ① 水素品質

    • CaFCPは ASTM、SAE、ISOと協力して水素品質の検査方法の確立の研究を行っている(図 4-5)。

    - 既存の 12ステーションからの水素品質を調査した。

    - 現在、パーティクルが問題となっている。現状で SAEと ISOが定めたパーティクルサイズ基準を満たしているステーションはないため、SAE と ISOはその基準を削除した。

    • パーティクルは、ノズルの着脱に伴う破片や、圧縮機の整備不良(オイル)、ポリマー材などが考えられる。また、エアロゾルも問題である(エアロゾルは、

    フィルターで除去できない)。

    • ディスペンサに 2-5μmのフィルターを設置してパーティクルを除去することを検討中している。

    図 4-5.水素品質に関する検討の例

    10 to 0.05

    Particulates exceed SAE size

    10 to 0.05

    Particulates exceed SAE size

    パーティクルの例

  • 24

    ② 車両 IDの認証システム

    • CaFCPは車両 IDの認証システム(IDフィル)を研究している(図 4-6)。

    - これは充填コミュニケーションとは別に、車両タイプの認証を充填前に自動で行うものである。認証項目としては、車両 ID、SAE J2799 認証の有無、タンクのタイプ(Type 3、Type 4)、タンク容量、など。

    - 充填直前に車両の上部あるいは下部で車両 IDの認証を行う。SAE J2601 にこの「IDフィル」を追加することも検討している。

    図 4-6.車両 IDの認証システムの検討

    ③ 教育とトレーニング

    • これまでに、3600 人の緊急対応員(消防局など)、行政官などの教育を行ってきた。

    • 基本的にカリフォルニアが中心だが、そのほかの州(フロリダ州、テキサス、ワシントン州)なとでも行ってきた。

    • 特に消防局の教育は重要。

    - 日本では、水素ステーション設置に対する消防局の許認可権限が大きくないことは驚きである。米国ではステーションの設置で地域の消防局に許認可が

    必ず必要。

    ID フィルを SEA J2601 v2に追加

    読取器

    オプション 2:RFIDアンテナを車両上部に設置

    オプション1:RFIDアンテナを車両下部に設置

    可能性のある通信項目(検討) ・シリアル番号 ・SAE J2799対応状況(Y/N) ・車両タンク種類(Type3/Type4) ・車両タンク容量 ・車両搭載タンク数 ・最大タンクの容量 ・タンク圧力 ・タンクの温度条件(要検討)

  • 25

    ④ ステーション運用状況システム(Station Operational Status System:SOSS)

    • 携帯でも確認可能な、ステーション運用状況管理システムを開発中である(図 4-7)。水素の有無やステーションの稼働状態が分かるようにしたい。

    図 4-7.ステーション運用状況システム(携帯用)

    (5) ディスカッション

    • カリフォルニアでは、トレーニングを受ければ 70MPaでもセルフ充填が可能。

    - トレーニングは、水素の基本的物性や充填デモンストレーションなど。半日~1日程度。

    - まだ各ステーションで別々にトレーニングを供給している段階。将来は、共通のトレーニング方法の開発や、共通 ID(トレーニングを証明する ID)の発行を考えている。

    • EVと比べて、水素 FCVの PRは難しい。人は簡単に EV=Zero Emissionと考えがち。実際には米国の電源構成の半分は石炭。その意味では、EVは Coaled Vehicle、あるいは Coal-Powered Vehicleである。

    • 米国では、大手の石油会社が水素ステーションから撤退した(最近では BP)。日本で、大手石油・エネルギー会社が自動車メーカー、工業ガスメーカーと協

    力して水素ステーションの普及を進めていることが非常に興味深い。

  • 26

    (6) 水素ステーション見学

    • 技術的には 10年前の技術で、現在撤去を検討している(図 4-8)。

    - CaFCP から主要なエネルギー会社が脱退し、敷地内の水素ステーションの運用も自分たちで行うことになった。

    - CaFCP敷地の近くに、新型のステーションを設置することを検討中。

    • 充填は蓄圧器からの差圧充填のみ。現状で 35 MPaのみ対応している。

    - 安全弁の元弁はなく、液体水素→→気化器→圧縮機として圧縮される。

    - 配管の溶接が多くの箇所で使用されている。また過流防止弁は見慣れなかった。

    図 4-8.CaFCP水素ステーション

    ディスペンサの表示

    液体水素タンク

    制御パネル 圧縮装置

    ディスペンサ

  • 27

    5 カリフォルニア大気資源局(CARB)

    訪問先 カリフォルニア大気資源局(California Air Resources Board:CARB) 住所:(CaFCP と合同会合)

    訪問日時 2009年 11月 11日(水)9:30~17:00 対応者 Gerhard H Achtelik, Jr.

    Manager Zero Emission Vehicle Infrastructure

    (1) カリフォルニア大気資源局(CARB)の概要

    • CARBはカリフォルニア州環境保護庁(Cal/EPA)傘下の組織で(図 5-1)、カリフォルニア州の大気質改善を通じて公衆衛生・福祉・環境の改善を目的とする

    組織である(表 5-1)。

    - Cal/EPA は、カリフォルニア州の各分野における規制当局を統括するために、1991年に設立された。

    - CARBは 1967年にカリフォルニアの大気質保全(公害抑制)のために設立された(連邦政府の EPA設立よりも 1年早い)。

    - カリフォルニアは巨大な市場なので、CARBの規制には強い権限がある。

    図 5-1.カリフォルニア州環境保護庁(Cal/EPA)の組織 出所:Cal/EPAホームページ< http://www.calepa.ca.gov/About/OfficeSec.htm >

    表 5-1.CARBの目的 ・健康な大気質を達成し、維持する ・大気汚染物質の原因とその解決策に関する研究を実施する ・カリフォルニア州の主たる大気汚染の原因である自動車によって引き起こされる深

    刻な問題に対してシステマティックに対処する14 出所:CARBホームページ

    < http://www.arb.ca.gov/html/aboutarb.htm >

    14 原文は「Systematically attack the serious problem caused by motor vehicles, which are the

    major causes of air pollution in the State」。

    州知事オフィス

    California Environmental Protection Agency (Cal/EPA)

    Air Resources

    Board (ARB)

    State Water Resources Control Board (SWRCB) Regional Water Quality

    Control Boards (RWQCBs)

    Department of Toxic

    Substances Control (DTSC)

    Office of Environmental Health Hazard Assessment

    (OEHHA)

    Department of Pesticide

    Regulation (DPR)

  • 28

    • CARBの全体的な運営や方向性は、カリフォルニア州知事によって指名された11人の理事によって決定される(表 9-2)。チェア以外は非常勤である。

    表 9-2.CARBの理事(ボードメンバー)15

    チェア(1名) 加州内の大気質管理区・規

    制区16からの代表(5名) ・南海岸大気保全管理区(1名) ・サンフランシスコベイエリア大気保全管理区(1名) ・サンディエゴ大気汚染規制区(1名) ・サンホアキン・バレー全域大気汚染規制区(1名) ・その他の管理区・規制区(1名)

    専門家(3名) ・自動車エンジニアリング分野の専門家(1名) ・科学・農業・法律分野の専門家(1名) ・物理学・外科医・健康影響分野の専門家(1名)

    一般市民(2名) 出所:CARBホームページ

    < http://www.arb.ca.gov/html/aboutarb.htm >

    (2) カリフォルニア州の水素政策

    ① カリフォルニア水素ハイウエイ・ネットワーク

    • シュワルツネッガー知事が、2004 年 4 月にブループリント「California Hydrogen Blueprint Plan」の策定を署名した。このブループリントがカリフォルニア水素ハイウエイ・ネットワーク(CA H2 Net)の基本である17。

    ② FCV(EV)普及シナリオ

    • カリフォルニア州は GHG排出量を 2050年までに 1990年比で 80%削減することを目指しており、そのためには州内の GHG 発生量の 28%を占める乗用車からの削減が不可欠と考えている。

    15 現在のボードメンバーは< http://www.arb.ca.gov/board/members.htm >参照。 16 カリフォルニア州には、35の大気質管理区・規制区がある。P.59参照。 17 カリフォルニア水素ハイウエイ・ネットワーク(CA H2 Net)は、「カリフォルニア州が環境、健康、経済に配慮しつつエネルギーセキュリティを確保し、さらにエネルギー効率と再生可能エネルギー

    利用を進める」ことを目的とするデモンストレーションプログラムである。2004年に、200人のエキスパート(行政、産業界、大学、NGO)の意見を参考に、計画のブループリントを策定した。ブループリントでは、最終的に水素ステーションを州内に 250ヶ所まで増加させる予定であり、特に州内のハイウエイ沿い 20 マイルごとにに水素ステーションを建設する方針であった。現在はむしろインフラを特定の都市部に集中して整備し、それをネットワークすることに計画を変更している。

    なお水素は、最終的には再生可能エネルギーから製造することを目標にしている。

  • 29

    • GHG排出量 80%削減のためには、2050年に向かって FCVと BEVを普及させることが必要。新車販売における代替燃料車両のシナリオを図 5-2に示す。

    図 5-2.GHG排出量 80%削減のための FCV・BEV普及シナリオ

    • FCV・FCバスの普及台数と水素ステーションの設置の見込みを図 5-3に示す。

    図 5-3.FCV・FCバスの普及台数と水素ステーションの設置の見込み

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    2000 2010 2020 2030 2040 2050

    Year

    % N

    ew v

    ehic

    le s

    ales

    HEV 4% sales in 2010 (launch in 2000) PHEV 3% sales in 2020 (launch in 2010) BEV 1% sales in 2020 (launch in 2010) FCV 3% sales in 2025 (launch in 2015)

    10 Year Sales Growth

    Conv. Veh.

    HEV

    FCV + BEV

    PHEV

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    2000 2010 2020 2030 2040 2050

    Year

    % N

    ew v

    ehic

    le s

    ales

    HEV 4% sales in 2010 (launch in 2000) PHEV 3% sales in 2020 (launch in 2010) BEV 1% sales in 2020 (launch in 2010) FCV 3% sales in 2025 (launch in 2015)

    10 Year Sales Growth

    HEV 4% sales in 2010 (launch in 2000) PHEV 3% sales in 2020 (launch in 2010) BEV 1% sales in 2020 (launch in 2010) FCV 3% sales in 2025 (launch in 2015)

    10 Year Sales Growth

    Conv. Veh.

    HEV

    FCV + BEV

    PHEV

    技技 術術 導導 入入 ププレレ・・ココママーーシシャャルル 初初 期期 市市 場場 リアルワールド条件での技術開

    発と実証 技術の改良と初期市場の準備(カリフォルニア州とニューヨーク州)

    他の大都市での大規模 導入による商業化

    ZEV 7,500(2014年まで)

    1100,,000000台台をを目目指指ししたた導導入入

    数千台

    数百台

    乗用車用 FCV

    FCバス

    水素ステーション

    10台程度

    最初のリテール用 ステーション

    数十カ所

    数数百百カカ所所

    数数百百台台

    数十百台

  • 30

    ③ 水素ステーションへの助成

    • カリフォルニア州(CARB)が行った公募で、現在までに決定した水素ステーションへの助成額を表 5-2に示す。

    - 助成額はステーション建設コストの 70%が基本だが、上限もある(1700万ドル、再生可能エネルギー由来の場合は 2700万ドル)。

    - 35MPa・70MPa充填対応、一般アクセスの保証、最大水素流量 4.5 kg/5分の確保などが助成の条件となっている。そのほかの仕様(充填方式、圧縮機

    タイプ、材料など)は提案者に任されている。最大流量を確保するために、

    プレクールとコミュニケーションは必須。コミュニケーションは SAE J2601に準拠。また同時に助成を受けるステーションは、充填に関する情報をカリフォルニア州(NREL)に提供しなければならない。

    - 多くのステーションは、2011年ごろに運用が始まる見込み。

    • 「全コスト」の内訳はステーションごとに異なり、一概にステーション建設費用を定義できない。コストには、水素設備(水素製造・貯蔵・供給)の他に、

    実験的な設備(フォンテインバレーの MCFC など)、ステーションの見栄え(特に地域のステーション、花壇など)、既存ステーションに併設する場合の

    改造費などが含まれている。土地代は含まない。

    • これらの助成ステーションの他に Shellが独自に設置・計画している一般向けステーションもある。

    表 5-2.カリフォルニア州が助成する水素ステーション

    場所(提案者) 州の助成 (milドル)

    全コスト (milドル)

    供給能力

    (kg/日)特徴

    Newport Beach (Shell Hydrogen)

    1.7 4.03 100 公共ステーション(充填:35 / 70 MPa)、オンサイト SMR、複数同時充填

    Fountain Valley (APCI、Orange County Sanitation District)

    2.7 8.19 100 下水汚泥消化ガスを MCFC に利用し、電力と水素を同時生産

    Harbor City (Mebtabi Station Services、APCI)

    1.7 2.47 100 Chevronガソリンスタンドに設置、 高圧で水素輸送

    Los Angeles (UCLA)

    1.7 4.32 140 研究用(サンタモニカ水素ステーションのバックアップ用)、オンサイト SMR

    Los Angeles (CSULA)

    2.7 4.4 60 エンジニアリング研究用、100%再生可能エネルギー利用(オンサイト水電解)

    San Francisco Airport(SFO、Linde)

    1.7 2.41 120 多目的用(空港内シャトルバス、LDV)、液体水素で輸送、ハイタン併用

    Emeryville (AC Transit)

    2.7 5.56 60 多目的用(FCバスとLDV)、オンサイト電解(太陽電池利用)と水素輸送の併用

  • 31

    (3) ZEV 関連プログラム

    ① ZEVプログラム

    • 現状で、2012 年の 20%の ZEV リクワイヤメントは決定しており、その達成には、ZEV(BEV、水素 FCV)、Enhanced-AT PZEV(プラグインハイブリッド)、AT PZEVまた PZEVで埋めることができる。

    • 現状の ZEV構造は複雑すぎるという反対も多く、現在 ZEVスタッフは、新たに「ZEV2」をボードに提案しているところである18。

    - ZEV2では、真に Zero Emissionではない車両(ハイブリッドなど)を ZEV法の枠から Pavley法(LEV III)に移行させる。

    - ZEVを FCV、BEVに限定することで、それらの技術の市場化を推進させることを目指す。

    図 5-4.現在の ZEV構造

    • 現在のZEVリクワイヤメントから予想されるFCV普及台数を表 5-3に示す。

    表 5-3. ZEV リクワイヤメントから予想される FCV普及台数

    18 今後、2010年中ごろまでに LEV Ⅲの基準を策定し、その後に ZEV規制の修正を提案する予定とのこと。

    50,00025,0002,500Required Vehicles

    25,0005,357250Gold Fuel Cell Vehicles

    2015-20172012-20142009-2011*Type

    50,00025,0002,500Required Vehicles

    25,0005,357250Gold Fuel Cell Vehicles

    2015-20172012-20142009-2011*Type

  • 32

    • ZEV 法に関わるクレジット数には変更はない(表 5-4)。経営が厳しいとされている米国の大手自動車メーカーも ZEV規制には従うとみている。

    表 5-4.ZEV法におけるクレジット数

    ② ZBusプログラム

    • 大手公共バス会社(200台以上)に Zero Emission Busの運用を義務付けることを検討している19。

    19 ゼロエミッションバス(Zbus)プログラムは CARBによる規制で、200台以上のバスを運用している事業者に対して、Zbus(電池、FC、トロリー)の購入(年間導入台数の 15%)を義務付けているものである。購入義務付け実施までの措置として、代替燃料バスの導入を進める「代替燃料パス」

    と、ディーゼルバスを継続して導入する代わりに Zbusデモンストレーションが義務付けられる「ディーゼルパス」が設けられており、カリフォルニア州のバス事業のデモンストレーション(Santa Clara VTA、ACトランジット、SunLineトランジット)はこの「ディーゼルパス」の一環として行われている。またこのデモンストレーションに対して、加州政府から 1430万ドル、連邦政府から 630万ドル、ベイエリア大気質管理区(BAAQMD)から 200万ドルがファンドされている(総デモンストレーション費用に対するファンド率は 54%)。 本プログラムは 2000年に採用されたが、Zbusの技術の未成熟とコスト高のために、購入義務付け実施がこれまで 2回延期されている。また現在進められているサンフランシスコ湾岸 ZEBデモンストレーション(ACトランジット主導)による 12台の FCハイブリッドバスデモンストレーションは、2006年の実施延期の条件でもある(ファンドは加州政府から 700万ドル、連邦政府から 570万ドル、ベイエリア大気質管理区(BAAQMD)から 200万ドル)。 なお 2010年 1月 29日に、購入義務付けの再延期が決定された。CARBは 2012年 7月までに公聴会を実施し、実施の再検討を行うことになっている。 CARB「Zero Emission Buses」< http://www.arb.ca.gov/msprog/bus/zeb/zeb.htm >参照。 なお CARBのプレゼンテーション(2009年 7月)では、各バスの価格は以下のようになっている。 ディーゼルバス: 380,000ドル ディーゼルハイブリッドバス: 560,000ドルCNGバス: 490,000ドル CNGハイブリッドバス: 630,000ドルバッテリ式電気バス: 1,200,000ドル FCハイブリッドバス: 2,200,000ドル

    出所:Status Report on the Zero Emission Bus Regulation, Air Resources Board Meeting, July 23, 2009 < http://www.arb.ca.gov/msprog/bus/zeb/meetings/072309/09-7-6pres.pdf >

  • 33

    (4) その他の FCV に関係する規制

    ① 水素源における再生可能エネルギーの利用義務付け

    • カリフォルニア州法 SB1505 では、水素ステーションの水素源に再生可能エネルギーの利用を義務付けている(表 5-5)。

    表 5-5.カリフォルニア州法 SB1505 セミッション削減 (ガソリン比)

    WTTでの NOx(+オゾン発生活性ガス)の 50%削減 WTWでの GHGの 30%削減 WTTでの有害物質の増加なし

    エネルギー源要求 33%の水素は再生可能エネルギー由来 対象(閾値) ・州が助成しているステーション:直ちに対応のこと

    ・州内の水素供給量が 350 万 kg/年に達した場合(FCV 換算で10,000台程度)には、全てのステーションが対応のこと ・免除規定はあるが、CARBのボードの承認必要(厳しい)

    再生可能エネルギ

    ーの種類 バイオマス、ソーラー熱、PV、風力、地熱、バイオ燃料利用 FC、小規模水力(30 MW 以下)、発酵メタン、ランドフィルガス、波力発電、海水温度差発電、潮流発電など 電力の場合には、グリーン電力証書を活用してもよい

    ② クリーン燃料販売(Clean Fuels Outlet Regulation:CFO)

    • 全ての大手ガソリンスタンド所有者・リース者は、州内で特定の燃料の自動車の普及台数が 2万台に達したら、その燃料を提供しなければならないという規制がある。

    - 現在、「FCV普及台数が 2000台に達したら、水素を提供しなければならない」と修正を行っている(2010年 12月の制定に向かって作業中)。ただし地域を限定したり、スタンドの負荷を緩和する手段も盛り込まれる予定。

    - 今後 2010年 4月 1日のワークショップ20とその後のボード会合で方針が打ち出される。

    20 < http://www.arb.ca.gov/msprog/mailouts/msc1009/msc1009.pdf >参照。

  • 34

    ③ 低炭素燃料基準

    • 交通部門全体における炭素排出原単位(カーボンインテンシティ)を 2020年までに、2010年比(ガソリン・ディーゼル)で 10%削減する目標がある。

    - 低炭素燃料であるバイオ燃料、電力、水素、天然ガスなどの導入の促進が期待される(表 5-6)。

    - FCVや BEVも大幅に GHGを削減できる可能性があるが、絶対的な導入量が不足している。

    表 5-6.水素・電気による CO2削減効果

    ④ 水素車両の補助

    • CARBでは、水素利用自動車の普及のために、補助を行っている。

    • 自動車・シャトルバス向け:100万ドルの採択先

    - 4×Quantum Hydrogen ICE Prius(CSU Humboldt、CARB、UCLA)

    - 2×Ford HICE Shuttle Buses(East Palo Alto、San Diego)

    - 1×GM Fuel Cell Equinox(University of California Irvine)

    • 公共用バス: 700万ドルの採択先

    - Bay Area Transit Bus Demonstration(AC Transitなど)

    - SunLine Transit Bus Demonstration

    - Burbank Plug-in Fuel Cell Bus

    0%95.85Gasoline57%41.37Electricity (CA mix)64%34.90Electricity (CA marginal)65%33.09Hydrogen (CA mix)

    Reduction comparedto gasoline

    Grams of CO2 per mJof fuel energy

    Pathway

    Well-to-Wheels GHG(based on carbon intensity)

    0%95.85Gasoline57%41.37Electricity (CA mix)64%34.90Electricity (CA marginal)65%33.09Hydrogen (CA mix)

    Reduction comparedto gasoline

    Grams of CO2 per mJof fuel energy

    Pathway

    Well-to-Wheels GHG(based on carbon intensity)

  • 35

    ⑤ 代替燃料ファンド(AB118)

    • 今後 7.5年間で、1億 200万ドル/年を代替燃料の普及に投ずる。うち 4000万ドルを水素ステーションの整備に、3500 万ドルを水素基準・認証研究(特に計量方法の開発)に使用する。

    • 連邦・州政府のファンドの負担割合を増加させなければならない(今後、高コストな再生可能エネルギーの導入支援や、小規模ビジネスの補助のために)。

    ⑥ カリフォルニア州の関連法律・規制のまとめ

    • カリフォルニア州の関連法律・規制を表 5-7にまとめる。

    表 5-7.カリフォルニア州の関連法律・規制のまとめ 規制・法律 内容 ZEV規制 自動車メーカーが ZEVを生産することを要求 ZBus規制 公共バス機関が ZEBを運用することを要求 低炭素燃料基準 2020年までに交通部門の炭素排出原単位を 10%削減 クリーン燃料販売 大手ステーション所有者に代替燃料の販売を義務付け AB118 代替燃料ファンド、州政府によるインベストメントの加速 SB1505 水素源における再生可能エネルギーの利用義務付け

    (5) ディスカッション

    • 技術が違えば水素コストは当然異なり、リテール価格も異なることになろうが、現状でカリフォルニアではステーションで水素を販売できない。

    - 州法で、販売のためには計量精度が必要で、現状で水素をただしく計量する方法が確立していないためである。カリフォルニア食品農業局(California Food & Agriculture)が定める計量精度は 2%である。

    - 現状では、水素ステーションで水素を販売することは違法なので、多くのステーションは無料で充填させているか、メンバーシップ(年会費)を徴収す

    るなどの方法をとっている。

    - 水素価格目標は 5ドル/kgだが、大規模ステーションにならなければ難しい。

    • 現状で、水素ステーションのビジネスモデルを描くことは不可能。CARBはできるだけサポートしたい。

  • 36

    - CARB はカリフォルニアエネルギー委員会(CEC)から、再生可能エネルギー普及のために 1億 2000万ドル/年(7年間)の予算を確保した。再生可能エネルギー由来水素も対象になる。

    - 現在カリフォルニアでは、カリフォルニア州法(SB)1505によって、新規のス水素テーションのエネルギー(水素製造含む)の 33%を再生可能エネルギー由来とすることを定めている。

    • フォンティンバレーの水素ステーションは、下水汚泥を発酵させてメタンを生産し、MCFCで水素と電力を賄う予定。FCにはMCFC(FuelCell Energy製)を使用する。

    - コンセプト証明のためのデモンストレーションでもあるが、潜在的な市場は大きい(下水処理工場)。また自家発電設備に対する連邦政府からの補助金

    (4000ドル/kW)もあてにできるので、興味をもつ施設は多いはず。

    • カリフォルニアでは、再生可能エネルギーの展開が重要な政治的命題である。

    - 水素は、天然ガス由来でも 40%の GHG 削減に寄与するが、政治的には再生可能エネルギーに結び付けて考えなければならない。

    - 現実には、カリフォルニア州の再生可能エネルギーの導入割合はまだ非常に少ない。

    • カリフォルニアでは、35MPa充填、70MPa充填ともセルフ充填が可能で、実際に行われている。

    - ステーションのコード:NAFP 52、ICCコード

    - ミシガン州は、水素充填は専用スタッフが基本(主に雇用のため)。

  • 37

    6 AC Transit トランジット

    訪問先 AC Transit 住所:1100 Seminary Avenue, Oakland, California

    訪問日時 2009年 11月 12日(水)10:00~12:00 対応者 Jaimie Levin

    Director of Alternative Fuels Policy and Marketing

    (1) AC Tansit の概要

    • AC Transit(Alameda-Contra Costa Transit)は、サンフランシスコ湾岸の14の公共交通機関のひとつ(図 6-1)。

    - 湾東側地域(アラメダ郡、コントラ・コスタ郡)で公共バスを運行している。

    - 所有バスは 630台。年間予算は 3億 2500万ドルである。

    • 現在は、カリフォルニア燃料電池パートナーシップ(CaFCP)、米国水素協会(NHA)のメンバーである。

    - 今後導入される排出量取引(キャップ・アンド・トレード)にそなえ、自社の GHG排出量を正しく把握し、二重カウントによる不利益を予防するために、カリフォルニア気候アクションレジストリ(California Climate Action Registry)、気候レジストリ(Climate Registry)にも参加している。

    図 6-1.AC Transitの概要

    AC Transitの概要 従業員 2190人 年間予算 3億 2500万ドル 所有バス台数 630台 サービス地域 アラメダ郡、コントラ・コスタ郡

    (13市 150万人) 運行路線数 105本

    (うち26本は湾の対岸へのサービス)

    年間の利用者 延べ 6700万人 AC Transitのサービス地域

  • 38

    (2) FC バスデモンストレーション

    ① FCバスデモンストレーション(フェイズ 1)

    • AC Transitは 1999年に水素プロジェクトを始めた。

    • 公共サービス機関がFCバスデモンストレーションを実施する意義は以下のとおり。

    - 「リアルワールド」のデータが得られることは重要(UTC のラボでも実証できないことができる)。

    - PR効果が高い(1500万人が FCバスを「見た」と言っている)

    • 現在、3台の FCバスを運行している。FCバスはVan Hool製車体に UTC製燃料電池、Siemens製モーターを搭載している。インテグレーションは

    ISEが実施した(図 6-2)21。

    図 6-2.FCバス

    • フェイズ 1の成果:

    - 総走行距離 205,000 マイル、乗車人数 45.1万人。

    - ディーゼルバスより 3700kg 重いにも関わらず、エアコン利用時で 65%、エアコン不使用時で 70%も燃費が良い。

    - 天然ガス由来水素を利用した場合でも、Well-to-Wheelで GHGガス排出量を 43%削減できることが分かった(再生可能エネルギー由来水素ならば100%削減が可能)。

    - 利用者アンケートを行った結果を表 6-1に示す。

    表 6-1.利用者アンケートの結果 AC Transitの燃料電池プログラムを好評価 地域の行政機関の意見に、よい影響を与えた 代替燃料検討を重要と考える AC Transitがさらに FCバスプロジェクトを拡大することに賛成

    84% 70% 90% 81%

    21 P.49参照。

  • 39

    • これまでに、Van Hool製バス車体を用いた FCバス(ハイブリッド式)は、6台導入されている。

    - AC Transit、SunLine Transit、CT Transitは、ISEが車体のインテグレーションを行った。

    - 2009年夏から運用を始めた De Lijn(ベルギー)の FCバスは、Van Hool自身がすべてのインテグレーションを行った。車両の性能もよく、AC Transitが新規に導入する FCバスは、これと同種の車体になる22。

    図 6-3.Van Hool製バス車体を用いた FCバス

    ② FCバスデモンストレーション(フェイズ 2)

    • AC Transitは、FCバスプロジェクトを 2009年よりフェイズ 2へと拡大している。

    - 総予算は 5000万ドル。うち 640万ドルは連邦政府のアメリカ再生再投資法のファンドであり、ソーラー設備を設置する。

    - 12 台の新型 FC バス(ハイブリッド式)が 2009~2010 年にかけて導入される。

    - AC Transitを含むサンフランシスコ湾岸の 5機関が本プロジェクトに参加(運用、トレーニングを共同実施)。

    22 P.41参照。

    AC Transit CT Transit De Lijn

  • 40

    • フェイズ 2の新型 FCバスのシステム構成を図 6-4に示す。

    - 製造費 250万ドル。最初の車両は 2009年 12月に届けられる。全車両は 2010年 6月までに導入される。

    - 新型 FCバスは旧型 FCバスよりも 2700 kg程度軽い。通常のディーゼルバスよりも 900 kg程度重いが、燃費のさらなる改善があることが期待されている。

    - 水素貯蔵可能量を 40 kgに変更した(旧車両は 50 kg)

    - 新型バスでは、引き続き UTC 製 FC スタックを利用する。FC スタックの保証期間は 10,000時間(旧旧型 FCバス用スタックでは 4,000時間)。ただし、本格的な商用運用のためには 20,000 時間以上の耐久性が不可欠である。

    - バッテリは EnerDel 製リチウムイオン電池。リチウムイオン電池の信頼性を実証することも課題の一つである(特に熱管理が鍵)。

    - 最高速度 55mile/h(88 km/h)。登坂能力 12%。

    図 6-4.フェイズ 2の FCバスのシステム構成

    FCスタック FC スタック

    バス車両本来の電池

    冷却装置

    バス車両本来の電池モーター サーボポンプ

    モーター バッテリ バッテリ サーボポンプ

    水素貯蔵タンク エアコン 圧縮機 圧縮機 冷却装置

    ブレーキ抵抗(回生)

    ブレーキ抵抗(回生)

  • 41

    ③ 水素ステーション(エモリービル、オークランド)

    • 現在、エモリービルに新しい水素ステーションを計画中。建設は 2010年 9月より開始する予定である。

    - 現在ファンドのための提案書を Lindeと協力して見直している。

    - エモリービル水素ステーションの水素製造能力は、PV(620 kW)水電解:60 kg/日、液体水素供給:180 kg/日、液体水素輸送:180kg/日で、合計:420 kg /日。液体水素タンクからの BOGは貯蔵して利用する。

    - 6~12台/日の FCバス需要(30kg/台)を賄う予定。ただし 28台/日まで拡充可能。充填速度は 5kg/分(充填時間は 6 分程度で、ディーゼルの給油とほぼ同じになる)。

    - エモリービル水素ステーションには、一般利用可能な FCV用ディスペンサ(35MPa、70 MPa)も設置する。20 台/日可能。トヨタ、Daimler、現代が利用する見通し(同ステーションの近所にあるピクサー・アニメーショ

    ン・スタジオが所有する)。またおそらく GM、ホンダも利用する。AC Transitの敷地内にあるので、通常はゲートで閉じられている。FCV 所有者はのみがアクセス可能とする。

    - 外観にもこだわり、ガソリンスタンドではないイメージとした。

    - 将来は課金したい。その場合でも一般のドライバーは、ハイオクガソリン以上を支払いたくないと考えている。コストとの差額は行政が負担すべき。

    - FCV用 70 MPa充填にはプレクールを導入する。通信規格は SAE J2601。

    - 蓄圧器からの差圧充填と圧縮機充填の両方を実施する。

    図 6-5.AC Transitのエモリービル水素ステーション

    エモリービル水素ステーション外観(予定図)

    FCバス側 ディスペンサ

    FCV側 ディスペンサ

  • 42

    • 現在のオークランド水素ステーションも改造を計画している。

    - 現在のオークランド水素ステーション(150 kg/日)は 2005年 11月に運用を開始した。現在までの水素製造量は 50,000 kg(2009年 11月まで)。

    - 水素製造量を現在の 150 kg/日から 360 kg/日に拡大する(6~12台/日の充填が可能)。また 35 MPa充填を 5 kg/分にする。

    - 新ステーションの課題は、商業用ステーションへの準備、急速充填の実施、高エネルギー効率の達成、より小さな敷地面積、拡大可能性の確認、既存の

    ディーゼル給油設備への併設、である。

    - エネルギー効率の点では、現在のダイアフラム式圧縮機が問題。Linde製イオニックコンプレッサに興味があり、11 月末にベルリンでイオニックコンプレッサの運用実績のある Totalとディスカッションを行った。

    - 再生可能エネルギー由来水素にも着目している。現在の天然ガス由来水素でも GHG排出量削減(Well-to-Wheelベース)に貢献するが、世界の天然ガス生産国は政情が不安定な国(ロシア、イランなど)も多いことも問題であ

    る。また PVのほかに、ランドフィルメタンにも注目している。

    • 新設のエモリービル水素ステーションを加わると、AC Transit の水素製造能力は 150 kg/日から 420 kg/日に拡大する。

    • 分析・評価の点で、NREL、連邦公共交通局(Federal Transit Administration:FTA)、DOEと協力しており、運用データを提供している23。DOEは引き続き、12台の FCバスと新ステーションのデータ収集を AC Transitに要請した。

    (3) ディスカッション

    • カリフォルニア州法(SB)1505は、新規のステーションでの水素製造量の 33%を再生可能エネルギー由来とすることを定めている24。エモリービル水素ステ

    ーションでは PVを利用することした(CARBからファンドを得ている)。また、ランドフィルガス(メタン)の改質も検討している。

    • ステーション建設費:

    - 現在のオークランド水素ステーションの正確な建設費は不明。AC Transitは 200 万ドルを負担(一部は政府からのファンド)しているが、おそらくChevron はそれ以上を負担していると思われる。よってステーション少なくとも総額 400万ドル以上である。

    - エモリービル水素テーションの建設費は 600~700万ドル程度。

    23 例.「Fuel Cell Buses in U.S. Transit Fleets: Current Status 2009」 < http://www.nrel.gov/hydrogen/pdfs/46490.pdf >参照。

    24 P.34参照。

  • 43

    • 運用コスト(オークランド水素ステーション):

    - 正確な計算ではないが、おそらく 10~20ドル/kg程度。

    • 水素価格:

    - 新ステーションは一般 FCVにも水素を提供するが、計量精度の問題があり、州法により販売できない。

    - 水素の販売目標価格は 5ドル/kg程度である。ただし車両のエネルギー効率を考えれば、水素価格は 6~7ドル/ガソリン換算ガロンとなる。石油価格高騰時には 5ドル/ガロンの時もあったので、決して高くはない。

    • UTCの関わり:

    - 自動車メーカーでは、UTC のスタックを使用している FCV はなくなった(現代も自社製を使用)。しかし FCバス用ではまだ強みがある。

    - UTC は、燃料電池バスのシステム開発について知見の蓄積を有している。FCバス用スタックを製造できるのは、UTCと Ballardくらい。UTCのスタックはニアアンビエントであることが魅力的。そのため、Daimlerの FCバス(Ballard製 FCスタック)と比較しても非常に静かである。

    - その一方で、FCスタックの BoPの小型化、高耐久性化が課題である。その点でも、FCバスデモンストレーションは、リアルワールドデータを得られる点で UTCにとってもメリットがある。

    • 水素・燃料電池はまだ経済原則(需給による価格調整)が働かず、ビジネスにはなっていない。

    - 水素需要が少ないので、水素インフラが整備されないという、いわゆる鶏と卵の問題がある。

    - 日本、欧州では水素・燃料電池市場が立ち上がりつつある。ホンダは、FCX Clarityの生産ラインを作った。米国ではまだまだである。

    - 水素ステーションなどのインフラ整備は、連邦政府の責任が大きい。そのため、AC Transitは、水素・燃料電池技術のパフォーマンス、信頼性、実用性を連邦政府に PRしたい。連邦政府が、健康、クオリティオフライフ、温暖化対策の点で、水素・燃料電池技術を採用させることが最終目標である。

    - AC Transitが現在導入している燃料電池バスは 320万ドル/台(新型は 250万ドル/台)で、ディーゼルバス(40万ドル)の 6~8倍である。

    - 燃料電池バスには UTCの FCスタックを採用しているが、マニフォールドだけでも 1万 5000ドルもかかっている。似たような部品は、ホームセンターでは 100ドル程度で販売している。コスト削減が進んでいない。

  • 44

    (4) オークランド水素ステーション見学

    • オークランド水素ステーションは 2005年にオープンした(図 6-6)。

    - 総建設費は、当初は 350万ドル程度であったが(うち Chevronが 150万ドルを負担)、最終的には Chevronの持ち出しは 1000万ドルに達した模様。

    - 累積の充填回数は約 43,000回。これまで事故は起きていない。

    図 6-6.オークランド水素ステーション

    水素製造 装置 (SMR)

    圧縮機 蓄圧器

    制御室

    ディスペンサ

    AC Transit敷地

  • 45

    ① 水素製造装置

    • 水素製造装置は天然ガス改質(SMR)が 2機導入されている(図 6-7)。

    - Chevron製。水素製造量は各�