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1 以下の問い[1]〜[92]に対する解答を、それぞれの問いの選択肢の中から1つ選び、そ の番号を解答用紙の所定の欄にマークせよ。 [1] ある生物のゲノム DNA を抽出してその塩基組成を調べたところ、シトシン塩基 の数の割合は 28%であった。このゲノム DNA が含むチミン塩基数の割合として最も適 当なものを選べ。 1) 22% 2) 28% 3) 44% 4) 72% 5) 78% [2] 二重らせん構造をとる B DNA において、らせんの一巻は 10 塩基対からなり、 となりあう塩基対の間隔は 0.34 nm、らせんの幅(直径)2 nm である。コドンが DNA 上に連続して存在する場合、分子量 33,000 のタンパク質をコードする B DNA の全長 として最も適当なものを選べ。ただし 1 アミノ酸残基の平均分子量を 110 とする。 1) 0.8 × 10 2 nm 2) 1.0 × 10 2 nm 3) 1.8 × 10 2 nm 4) 3.1 × 10 2 nm 5) 3.4 × 10 2 nm [3] 精製したプラスミド DNA を脱イオン水で 10 倍に希釈し、 260 nm の吸光度を測定 したところ、吸光度は 0.66 であった。精製されたプラスミド DNA 量として最も適当な ものを選べ。ただし、精製したプラスミド DNA の体積は 100 μL であり、260 nm の吸 光度 1.0 50 μg DNA/mL に相当する。また、精製したプラスミド DNA に夾雑物は含 まれていないものとする。 1) 3.3 mg 2) 330 μg 3) 33 μg 4) 3.3 μg 5) 0.33 μg [4] [3]において、精製したプラスミド DNA の大きさは 10 キロ塩基対である。精製 したプラスミド DNA のモル数として最も適当なものを選べ。ただし、DNA 1 塩基対の 分子量を 660 として計算せよ。 1) 5.0 × 10 -8 2) 5.0 × 10 -9 3) 5.0 × 10 -10 4) 5.0 × 10 -11 5) 5.0 × 10 -12 [5] 2 キロ塩基対と 3 キロ塩基対の長さの DNA 断片を電気泳動で分離するために使用 するゲルとして、最も適当なものを選べ。 1) 濃度 1.5%のアガロースゲル 2) 濃度 0.3%のアガロースゲル 3) 濃度 20%のアガロースゲル 4) 濃度 12%のポリアクリルアミドゲル 5) 濃度 5%のポリアクリルアミドゲル

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以下の問い[1]〜[92]に対する解答を、それぞれの問いの選択肢の中から1つ選び、その番号を解答用紙の所定の欄にマークせよ。 [1] ある生物のゲノム DNA を抽出してその塩基組成を調べたところ、シトシン塩基の数の割合は 28%であった。このゲノム DNA が含むチミン塩基数の割合として最も適当なものを選べ。 1) 22% 2) 28% 3) 44% 4) 72% 5) 78% [2] 二重らせん構造をとる B 型 DNA において、らせんの一巻は 10 塩基対からなり、となりあう塩基対の間隔は 0.34 nm、らせんの幅(直径)は 2 nmである。コドンが DNA上に連続して存在する場合、分子量 33,000のタンパク質をコードする B型 DNAの全長として最も適当なものを選べ。ただし 1アミノ酸残基の平均分子量を 110とする。 1) 0.8 × 102 nm 2) 1.0 × 102 nm 3) 1.8 × 102 nm 4) 3.1 × 102 nm 5) 3.4 × 102 nm [3] 精製したプラスミド DNAを脱イオン水で 10倍に希釈し、260 nmの吸光度を測定したところ、吸光度は 0.66であった。精製されたプラスミド DNA量として最も適当なものを選べ。ただし、精製したプラスミド DNAの体積は 100 µLであり、260 nmの吸光度 1.0は 50 µg DNA/mLに相当する。また、精製したプラスミド DNAに夾雑物は含まれていないものとする。 1) 3.3 mg 2) 330 µg 3) 33 µg 4) 3.3 µg 5) 0.33 µg [4] [3]において、精製したプラスミド DNA の大きさは 10 キロ塩基対である。精製したプラスミド DNAのモル数として最も適当なものを選べ。ただし、DNA 1塩基対の分子量を 660として計算せよ。 1) 5.0 × 10-8 2) 5.0 × 10-9 3) 5.0 × 10-10 4) 5.0 × 10-11 5) 5.0 × 10-12 [5] 2キロ塩基対と 3キロ塩基対の長さのDNA断片を電気泳動で分離するために使用するゲルとして、最も適当なものを選べ。 1) 濃度 1.5%のアガロースゲル 2) 濃度 0.3%のアガロースゲル 3) 濃度 20%のアガロースゲル 4) 濃度 12%のポリアクリルアミドゲル 5) 濃度 5%のポリアクリルアミドゲル

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[6] 図に示された塩基配列をもつ2本鎖DNA、A〜Cをそれぞれ溶かした同じモル濃度の水溶液がある。これらの水溶液の温度を徐々に上げてゆくと、それぞれのDNAは1本鎖へ解離する。1本鎖に解離する温度が低いものから高いものへと並べた順番として、最も適当なものを選べ。

5´ GGCCGCCAGGGCGCTGCAGCGCGCGACCGGCACCGG 3´ 3´ CCGGCGGTCCCGCGACGTCGCGCGCTGGCCGTGGCC 5´ 5´ AACTGTCAAGTAGCTACAGTAATCGACTTACATAAT 3´ 3´ TTGACAGTTCATCGATGTCATTAGCTGAATGTATTA 5´ 5´ AACTGTCAAGTAGCTACAGTAATCGA 3´ 3´ TTGACAGTTCATCGATGTCATTAGCT 5´ 低 高 1) A、B、C 2) A、C、B 3) B、A、C 4) B、C、A 5) C、B、A [7] アラニン、セリン、バリンそれぞれのアミノ酸側鎖に含まれる炭素原子数の合計として最も適当な数を選べ。 1) 4 2) 5 3) 6 4) 7 5) 8 [8] 非極性アミノ酸として最も適当なものを選べ。 1) アラニン 2) チロシン 3) トレオニン 4) セリン 5) グルタミン [9] 塩基性アミノ酸として最も適当なものを選べ。 1) リシン 2) アスパラギン 3) ロイシン 4) バリン 5) グルタミン酸 [10] ヌクレオソームが重なり合って凝縮した構造を形成するのに必要なリンカーヒストンとして最も適当なものを選べ。 1) H1 2) H2A 3) H2B 4) H3 5) H4

B

C

A

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[11] 次の配列はあるタンパク質をコードする DNAの最後の部分を含んでいる。スペースはコドンの区切りを示している。

1 5 10 15 20 25 30 5´ TGG GCT AAG TTA GGC TCA AGA TTA TGA CTAGGC 3´

この配列のある場所に Gが1つ挿入されたら、コードされているタンパク質が 6アミノ酸残基短くなった。またある場所の 1塩基対が欠失したら、コードされているタンパク質が 1アミノ酸残基長くなった。挿入と欠失の位置の組み合わせとして最も適当なものを選べ。

挿入 欠失

1) 1番目の Tと 2番目の Gの間 5番目の C 2) 10番目の Tと 11番目の Tの間 9番目の G 3) 16番目の Tと 17番目の Cの間 20番目の G 4) 5番目の Cと 6番目の Tの間 26番目の G 5) 11番目の Tと 12番目の Aの間 12番目の A [12] タンパク質、ペプチド、アミノ酸に関する記述として最も適当なものを選べ。 1) ペプチド鎖を切断する酵素を制限酵素という。 2) システインはチオール基(SH基)をもち、それを介してもう一つのシステインと結合をつくることができる。

3) グリシンには鏡像異性体が存在する。 4) タンパク質はアミノ酸がホスホジエステル結合でつながったポリマーである。 5) グリシンはうまみ成分として知られている。 [13] ある酵素Xの精製標品を、SDSを含むサンプルバッファーで煮沸処理し、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動にかけ、適当な色素でタンパク質を染色した。下図はその結果を模式的に表したものである。煮沸処理時に適当な濃度の2-メルカプトエタノールあるいはDTT(ジチオトレイトール)を精製標品に加えた場合には、B、Cという2本のバンドが検出され(レーン2)、加えない場合には、Aという1本のバンドが検出された(レーン1)。以上の結果から考えられるXに関する記述として、最も適当なものを選べ。 1) 2種類のポリペプチド鎖がジスルフィド結合によって共有結合している。 2) 2種類のポリペプチド鎖が疎水結合している。 3) 2種類のポリペプチド鎖が水素結合している。 4) 分子内にジスルフィド結合をもつ単一のポリペプチド鎖である。 5) 自己切断する酵素活性をもつ単一のポリペプチド鎖である。

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[14] タンパク質の高次構造に関する記述として適当でないものを選べ。

1) 一次構造とはアミノ酸が特定の配列で繋がった構造である。 2) 二次構造とはポリペプチド鎖の側鎖同士の原子間相互作用によって形成される、αヘリックスやβシートなどの構造である。

3) 三次構造は、ポリペプチド鎖の側鎖同士のジスルフィド結合や疎水性相互作用などによって形成される。

4) 四次構造とは、2つ以上のポリペプチド鎖が集合して機能する巨大分子構造である。 5) タンパク質の高次構造を解析する手法として X線結晶構造解析や核磁気共鳴法などがある。

[15] 次の文の空欄に当てはまる数字として最も適当なものを選べ。 タンパク質中のαヘリックスは、( ア )アミノ酸残基ごとに 1 回転する規則正しいらせん構造である。 1) 3.6 2) 6.0 3) 7.2 4) 8.0 5) 10.4 [16] 動植物のタンパク質は、特定のアミノ酸残基が翻訳後修飾を受ける場合がある。タンパク質の翻訳後修飾として適当でないものを選べ。 1) 硫酸化 2) リン酸化 3) ヒドロキシル化 4) アセチル化 5) 塩素化 [17] タンパク質合成およびリボソームに関する記述として適当でないものを選べ。 1) リボソームはタンパク質と RNAから構成される。 2) 1本の mRNAに複数のリボソームが結合できる。 3) リボソームは大サブユニットと小サブユニットからなる。 4) メチオニンを指定するコドンは AUGのみである。 5) 終止コドンを認識する tRNAが存在する。 [18] 小胞体への輸送を誘導する一般的なシグナル配列の特徴として、最も適当なものを選べ。 1) 酸性のアミノ酸に富んでいる。 2) 塩基性のアミノ酸に富んでいる。 3) 親水性のアミノ酸が多く、しばしば連続している。 4) 疎水性のアミノ酸が多く、しばしば連続している。 5) マンノースが付加されている。 [19] 糖に関する記述として最も適当なものを選べ。 1) グルコースはアルデヒド基をもたない。 2) アミノ酸と結合した糖をアミノ糖と呼ぶ。 3) デオキシリボースは DNAの構成成分である。 4) 多糖は単糖がエステル結合で結びついたものである。 5) 植物の細胞壁の主な構造支持成分はキチンである。

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[20] 糖鎖付加に関する記述として最も適当なものを選べ。 1) 細胞内での糖鎖付加はリソソームでのみ行われる。 2) N-グリコシル化はタンパク質のアスパラギン酸に糖を付加する反応である。 3) N-グリコシル化では脂質に結合した糖がタンパク質に転移する。 4) 糖は必ずひとつずつ付加され、前もって作られたオリゴ糖がまとめて付加されることはない。

5) 糖鎖付加酵素は細胞質にはないので、細胞質には糖が付加したタンパク質は存在しない。

[21] 次の文章の空欄に当てはまるアミノ酸の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 真核細胞の分泌タンパク質や膜タンパク質の多くはグリコシル化される。O結合型オリゴ糖の結びつきで最も多いのは、ある種の二糖のコアが( ア )の-OH 基にグリコシド結合するものである。 1) アスパラギンまたはチロシン 2) セリンまたはトレオニン 3) グルタミンまたはリシン 4) グルタミンまたはアスパラギン 5) チロシンまたはフェニルアラニン [22] 原核生物として最も適当なものを選べ。 1) 枯草菌 2) バクテリオファージ 3) 珪藻 4) ミドリムシ 5) クラミドモナス [23] 脊椎動物に最も近縁と考えられている動物として最も適当なものを選べ。 1) 線虫 2) プラナリア 3) ショウジョウバエ 4) ホヤ 5) ヒトデ [24] ゲノムサイズが小さい順に並べた順番として最も適当なものを選べ。

ゲノムサイズ小 ゲノムサイズ大

1) コムギ 線虫 マウス 2) トウモロコシ シロイヌナズナ ショウジョウバエ 3) 出芽酵母 大腸菌 線虫 4) 出芽酵母 ショウジョウバエ ヒト 5) 大腸菌 マイコプラズマ シロイヌナズナ

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[25] 次のモデル生物の中から世代交代の最も速いものを選べ。 1) ショウジョウバエ (Drosophila melanogaster) 2) シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) 3) 線虫 (Caenorhabditis elegans) 4) アフリカツメガエル (Xenopus laevis) 5) ゼブラフィッシュ (Danio rerio) [26] 鳥類と哺乳類の発生で共通するものを選べ。 1) 三胚葉 2) 栄養芽細胞 3) 全割 4) 卵黄嚢 5) 成虫原基 [27] 個体の年間エネルギー消費量に占める、ホメオスタシスの調節に消費されるエネルギーの割合が最も大きい動物として適当なものを選べ。 1) 淡水クラゲ 2) 熱帯森林のトカゲ 3) プラナリア 4) 砂漠の鳥 5) 砂漠の昆虫 [28] iPS細胞に関する記述として最も適当なものを選べ。 1) 特定の細胞種にのみ分化できる。 2) 特定の細胞種からしか確立できない。 3) 特定の遺伝子群を体細胞に導入することで得られた。 4) 一定の回数細胞分裂した後、増殖が停止する。 5) ヒトの細胞からしか樹立できない。 [29] 下の系統樹に関する記述として適当でないものを選べ。

1) 分類群 Bと Cを姉妹群と呼ぶ。 2) 分岐点①は分類群 A-Gの共通祖先を表す。 3) 分類群 Cよりも分類群 Bの方が分類群 Aに近縁である。 4) 分類群 Gは最も初期に分岐した系統である。 5) ②のような多分岐は分類群 D、E、F間の進化関係が不明確な場合にも用いられる。

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[30] 原核生物に存在する細胞内構造体として最も適当なものを選べ。 1) 小胞体 2) ゴルジ体 3) リボソーム 4) 核膜 5) 中心体 [31] リソソームの機能として最も適当なものを選べ。 1) タンパク質の分解 2) 光合成による ATPの合成 3) 糖鎖付加 4) DNAの合成 5) エンドサイトーシス [32] 細胞骨格に関する記述として誤っているものを選べ。 1) 動物細胞の核膜の内側表面はラミンからなる中間径フィラメントに覆われている。 2) 繊毛と鞭毛はダイニンで動く微小管を含む。 3) 動物細胞の形状変化や移動には細胞表層のアクチン細胞骨格が強く関与する。 4) アクチン単量体には GTP結合部位がある。 5) アクチンフィラメント、微小管共に極性を持つ。 [33] 次の文章の空欄に当てはまる用語の組み合わせとして、最も適当なものを選べ。 動物の上皮細胞では、隣接する細胞同士は( ア )によって互いに緊密に接着し、体液の漏れを防いでいる。また( イ )によって隣接する細胞の中間径フィラメント同士をつなぎ止め、細胞同士をつないでいる。加えて( ウ )は隣接する細胞同士が細胞質によって通じるチャネルを形成する。 1) ア 密着結合(タイトジャンクション) イ デスモソーム ウ ギャップ構造 2) ア 密着結合(タイトジャンクション) イ デスモソーム ウ 原形質連絡 3) ア デスモソーム イ 密着結合(タイトジャンクション) ウ ギャップ構造 4) ア デスモソーム イ 密着結合(タイトジャンクション) ウ 原形質連絡 5) ア ギャップ構造 イ 密着結合(タイトジャンクション) ウ 原形質連絡 [34] 次の文章の空欄に当てはまる用語の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 濃度勾配に逆らう溶質の輸送は能動輸送と呼ばれ、一次輸送体として( ア )が関与する。能動輸送を引き起こす動物細胞の主要な( ア )は( イ )であり、陸上植物では( ウ )である。 ア イ ウ 1) 電位依存性イオンチャネル カルシウムチャネル カリウムチャネル 2) 電位依存性イオンチャネル カリウムチャネル プロトンポンプ 3) 起電性イオンポンプ ナトリウム-カリウム

ポンプ アクアポリン

4) 起電性イオンポンプ ナトリウム-カリウムポンプ

プロトンポンプ

5) 起電性イオンポンプ プロトンポンプ ナトリウム-カリウムポンプ

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[35] ポルフィリンや類似化合物を基本骨格とする金属錯体は、動植物の生理機能において重要な役割を果たす有機化合物である。化合物名(A)、(B)と配位イオン(ア)〜(ウ)の組み合わせとして最も適当なものを選べ。

(A)ヘモグロビン (ア)Fe2+ (B)クロロフィル (イ)Mg2+ (ウ)Zn2+

1) A-ア、 B-ア 2) A-ア、 B-イ 3) A-イ、 B-ア 4) A-イ、 B-イ 5) A-イ、 B-ウ [36] 誤っている記述を選べ。 1) Protein kinaseはタンパク質リン酸化酵素のことである。 2) Protein phosphataseはタンパク質脱リン酸化酵素のことである。 3) Kinetochoreとは動原体のことである。 4) ATPは adenine 5-triphosphateの略である。 5) NAD+は酸化還元に関わる。 [37] 放射性同位元素を半減期の短い順に並べた順番として最も適当なものを選べ。 半減期 短 長 1) 32P 14C 3H 35S 2) 32P 35S 3H 14C 3) 35S 32P 14C 3H 4) 3H 32P 35S 14C 5) 3H 35S 32P 14C [38] 正立顕微鏡の右図の位置の開口絞りを絞ったときに起こる視野内の見え方の変化として、最も適当なものを選べ。 1) 焦点が緩やかに変化する。 2) 明暗が少し変わると共にコントラストがはっきりする。

3) 赤みがかった色から緑がかった色へと変化する。

4) 視野内の画像が緩やかに拡大(ズーム)する。 5) 視野の大きさが変化する。

図削除

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[39] 共焦点レーザー顕微鏡を用いると、蛍光像がぼやけずに鮮明に観察できる。その理由として最も適当なものを選べ。 1) 対物レンズの焦点位置でのみ蛍光が励起できる特殊なレーザーを照射して観察するため。

2) 互いに直交した振動方向をもつ 2 つの直線偏光を照射してコントラストを強めるため。

3) 試料の横側から対物レンズの焦点面にのみシート状の励起光を照射しているため。 4) 検出部のピンホールによって焦点位置から発せられる蛍光以外の光を遮っているため。

5) 励起光束の周囲に脱励起光を照射して極めて狭い範囲のみを励起するため。 [40] 次は蛍光顕微鏡の光源から出た光が、カメラに到達するまでの光路を示している。空欄に当てはまる用語の組合せとして最も適当なものを選べ。 光源→( ア )→( イ )→( ウ )→試料→( ウ )→( イ )→( エ )→カメラ ア イ ウ エ 1) 励起フィルター ダイクロイックミラー 対物レンズ 吸収フィルター 2) 励起フィルター 対物レンズ ダイクロイックミラー 吸収フィルター 3) 吸収フィルター ダイクロイックミラー 対物レンズ 励起フィルター 4) 吸収フィルター 対物レンズ ダイクロイックミラー 励起フィルター 5) 吸収フィルター 対物レンズ ダイクロイックミラー NDフィルター [41] クロマトグラフィーに関する記述として適当でないものを選べ。 1) 等電点が 7のタンパク質でもイオン交換クロマトグラフィーで分離できる。 2) 陽イオン交換体のビーズは中性の緩衝液中では正電荷を帯びている。 3) ゲル濾過クロマトグラフィーでは分子の大きいものから順に溶出される。 4) 免疫沈降法はアフィニティークロマトグラフィーの一種である。 5) 一般的に最も精製効率が高いのはアフィニティークロマトグラフィーである。 [42] 分析装置には測定後に試料が回収できるものと、試料が失われて回収できないものとがあり、前者を特に非破壊測定装置と呼ぶ。(ア)〜(エ)の分析装置の中から非破壊測定装置を選んだ組み合せとして最も適当ものを選べ。 (ア)質量分析装置 (イ)プロテインシークエンサ (ウ)X線結晶構造解析装置 (エ)核磁気共鳴装置 1) ア、イ 2) ア、ウ 3) イ、ウ 4) ウ、エ 5) イ、エ

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[43] タンパク質の解析法に関する記述として最も適当なものを選べ。 1) タンパク質の定量に ELISA法を用いることができる。 2) 塩析は分子サイズによってタンパク質を精製する方法である。 3) 質量分析装置ではペプチドのアミノ酸配列を決定できない。 4) タンパク質の 280 nmにおける吸光係数はタンパク質のアミノ酸組成に依存しない。 5) NMR(核磁気共鳴)によりタンパク質の構造を決定するためには、試料はタンパク質の結晶でなければならない。

[44] 次は cDNAライブラリー作製の手順の一部を簡略化して示している。空欄に当てはまる操作の組み合わせとして最も適当なものを選べ。

ポリ Tプライマーの添加→( ア )→( イ )→( ウ ) (A)RNアーゼ Hによる RNA分解 (B)DNAポリメラーゼによる DNA鎖合成 (C)逆転写酵素による DNA鎖合成 ア イ ウ 1) B C A 2) C B A 3) A B C 4) B A C 5) C A B [45] ヒトにおけるトリグリセリドの消化、吸収に関する記述として誤っているものを選べ。 1) リパーゼで分解される。 2) 分解されて脂肪酸とモノグリセリドになる。 3) 胃で吸収される。 4) 吸収された後トリグリセリドに再構成される。 5) キロミクロンを形成する材料となる。 [46] ヒトのニューロンに関する記述として最も適当なものを選べ。 1) 大脳皮質にはプルキンエ細胞と呼ばれる細胞がある。 2) 運動ニューロンは光や音などの外部の刺激の情報を伝達する。 3) 多くのニューロンはシナプス細胞と呼ばれる支持細胞を必要としている。 4) 脳内のほとんどのニューロンは介在ニューロンである。 5) シュワン細胞は中枢神経系に存在するグリア細胞である。

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[47] Gタンパク質共役型受容体は、三量体 Gタンパク質のα、β、γサブユニットと複合体を形成する。次の文章は、リガンドとの結合によって、Gタンパク質共役型受容体が活性化されたときに起こる現象に関する記述である。空欄に当てはまる用語の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 ( ア )サブユニットに結合していた( イ )が解離し、代わりに( ウ )が結合する。この( イ )と( ウ )の交換により( ア )サブユニットの立体構造が変化し、( ア )サブユニットが標的と相互作用できるようになる。 ア イ ウ 1) α GTP GDP 2) β GTP GDP 3) γ GTP GDP 4) α GDP GTP 5) β GDP GTP [48] 構造的にペプチド、タンパク質ではないホルモンとして最も適当なものを選べ。 1) 神経成長因子 2) インスリン 3) 上皮増殖因子 4) 甲状腺ホルモン 5) 成長ホルモン [49] ホルモンに関する記述として誤っているものを選べ。 1) インスリンは血糖値を上昇させる。 2) 驚いた時には副腎髄質からアドレナリンとノルアドレナリンが分泌される。 3) 血糖値が低下するとすい臓からグルカゴンが放出される。 4) プロラクチンは母乳の生産と分泌を促進する。 5) メラトニンは生物リズムに関与する。 [50] 花成ホルモンに関する記述として誤っているものを選べ。 1) 茎頂分裂組織で作用する。 2) 維管束を移動する。 3) 主に葉で作られる。 4) タンパク質である。 5) つぼみの開花を促進する。 [51] 植物の光受容体であるフォトトロピンが仲介する現象の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 (ア)概日リズム、(イ)気孔開口、(ウ)光屈性、(エ)種子の光発芽 1) ア、イ 2) ア、イ、ウ 3) イ、ウ 4) イ、ウ、エ 5) ウ、エ

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[52] 植物が根から吸収し、比較的大量に必要とする必須元素の組み合わせとして、最も適当なものを選べ。 1) 窒素、リン、カリウム 2) 窒素、炭素、カルシウム 3) 炭素、酸素、カリウム 4) 炭素、リン、カルシウム 5) 窒素、炭素、酸素 [53] 維管束植物の光周性に関する記述として最も適当な組み合わせを選べ。 (ア)光受容体フィトクロムが関与している。 (イ)ある一定時間より明期が長い時に発芽する植物は「長日植物」と呼ばれている。 (ウ)一般的に決定要因は「夜」の長さではなく「昼」の長さである。 (エ)花芽の形成が光周性に支配される植物がある。 1) ア、イ 2) ア、ウ 3) ア、エ 4) イ、ウ 5) ウ、エ [54] 次の文章は気孔の開閉に関する記述である。空欄に当てはまる語の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 気孔は孔辺細胞の体積が増加すると( ア )。その体積増加には、孔辺細胞内への( イ )イオンの取り込みと、それに伴う( ウ )が関係している。 1) ア 開く イ カリウム ウ 浸透圧上昇 2) ア 閉じる イ カリウム ウ 浸透圧低下 3) ア 開く イ ナトリウム ウ 浸透圧上昇 4) ア 閉じる イ ナトリウム ウ 浸透圧低下 5) ア 閉じる イ カルシウム ウ 浸透圧低下 [55] マウスの性染色体上にある遺伝子の発現量調節機構に関する記述として、最も適当なものを選べ。 1) 雄の X染色体の発現量が 2倍に高められる。 2) 雌の 2本の X染色体の発現量がともに半分になる。 3) 雌の X染色体のうち父親由来の X染色体が常に不活化される。 4) 雌の X染色体のうち母親由来の X染色体が常に不活化される。 5) 雌の X染色体のうち細胞ごとにランダムに選ばれた1本の染色体が不活化される。 [56] 脊椎動物細胞における DNAメチル化に関する記述として、最も適当なものを選べ。 1) DNAメチル化はチミンの 5´側に隣接するグアニンに限られ、遺伝子発現を促進する。 2) DNAメチル化はグアニンの 5´側に隣接するシトシンに限られ、遺伝子発現を抑制する。

3) DNAメチル化はシトシンの 5´側に隣接するアデニンに限られ、遺伝子発現を促進する。

4) DNAメチル化はアデニンの 5´側に隣接するチミンに限られ、遺伝子発現を抑制する。 5) DNAメチル化はチミンの 5´側に隣接するシトシンに限られ、遺伝子発現を促進する。

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[57] 核内 mRNA前駆体の RNAスプライシングに関する記述として、適当でないものを選べ。 1) RNAスプライシングによって一次転写産物からイントロンが取り除かれる。 2) RNAスプライシングは RNAポリメラーゼが転写を続けている時に始まる。 3) 真核生物には RNAスプライシングを受けない遺伝子が存在する。 4) イントロンの除去に必要な配列はすべてエキソン領域に存在する。 5) イントロンの除去の際に、投げ縄構造とよばれる分枝構造ができる。 [58] RNAポリメラーゼ IIによる真核生物の核ゲノム遺伝子の転写に関する記述として、誤っているものを選べ。 1) コアヒストンの様々な修飾は転写調節と関連する。 2) クロマチン再構成因子は、転写装置のプロモーターへのアクセスを制御している。 3) エンハンサーは、どの生物種でも必ずプロモーターの上流に存在する。 4) DNAのメチル化は多くの場合転写抑制と関連する。 5) RNAポリメラーゼ IIは様々な低分子 RNAの転写も行っている。 [59] 動物では細胞外環境に由来する様々な因子により転写調節が行われる。そのような因子が直接 DNA結合能を持つ転写因子に結合して転写調節を行う機構として、最も適当なものを選べ。 1) Notchシグナル伝達系 2) TGFβファミリーシグナル伝達系 3) ステロイドホルモン−核内受容体系 4) Wntシグナル伝達系 5) Shhシグナル伝達系 [60] ショウジョウバエの胚発生における形態形成制御機構に関する記述として適当でないものを選べ。 1) 前後極性決定機構の発動開始は母性因子による。 2) 分節遺伝子群によって前後軸に沿った分節形成が制御される。 3) 分節遺伝子の機能の一つは、ホメオティック遺伝子の位置特異的な発現の制御である。

4) ホメオティック遺伝子は、前後軸に沿った位置特異的な形態形成の制御を行う。 5) ホメオティック遺伝子は、ショウジョウバエに固有な形態形成遺伝子である。 [61] DNA 結合に直接関与しないタンパク質モチーフ、ドメインとして最も適当なものを選べ。 1) ヘリックス・ターン・ヘリックス 2) Igドメイン 3) 塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス 4) ロイシンジッパー 5) ジンクフィンガー

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[62] 転写は DNAのシス配列とそれらに結合するトランス因子の両者の働きで進行する。シス配列とそれに結合するトランス因子の組み合わせとして、最も適当なものを選べ。 (ア)-10、-35 配列と RNAポリメラーゼα サブユニット (イ)エンハンサーと転写制御因子 (ウ)TATA boxと TFIID (エ)シャイン・ダルガーノ(Shine-Dalgarno) 配列と RNA ポリメラーゼ 1) ア、イ 2) ア、ウ 3) ア、エ 4) イ、ウ 5) ウ、エ [63] 選択的スプライシングにより一つの遺伝子から複数種類のポリペプチド鎖が作られることがある。選択的スプライシングに関する記述として適当でないものを選べ。 1) 数十種類を超えるポリペプチド鎖が作られることがある。 2) 隣り合ったエキソンが常に相互排他的に選択される。 3) RNA結合タンパク質により活性化や抑制をうける。 4) 原核生物ではほとんど見られない。 5) 組織特異的な選択的スプライシングが多く知られている。 [64] RNA干渉に関する記述として最も適当なものを選べ。 1) RNA干渉は、高等動物でのみ起こる現象である。 2) RNA干渉は、翻訳阻害、mRNAの分解、転写の抑制等の過程で機能する。 3) RNA干渉の過程には、タンパク質因子は全く関与しない。 4) RNA干渉で機能する RNAは、その機能に転写後の加工を必要としない。 5) RNA干渉は、発生過程でのみ起きる現象である。 [65] 増殖中の動物細胞集団にある薬剤を加えて一定時間培養した後、細胞の DNA量と細胞数の関係をフローサイトメーターで測定すると、右のグラフのように変化した。この結果から読み取れることとして最も適当な記述を選べ。 1) 細胞周期が G0期で停止した。 2) 細胞周期が G1期で停止した。 3) 細胞周期が S期で停止した。 4) 細胞周期が G2期または M期で停止した。 5) 1)〜4)のどれも当てはまらない。 [66] 真核生物の細胞周期に関する記述として最も適当なものを選べ。 1) DNA合成は M期に起こる。 2) 細胞周期は S期から G0期を経て M期へと移行する。 3) G1期にはすべての染色体が正しく紡錘体に付着しているかをチェックするチェックポイントがある。

4) 姉妹染色分体の分離にはタンパク質の分解が必要である。 5) サイクリン依存キナーゼインヒビター(CKI)は増殖シグナルに応答して細胞周期の進行を促進させる。

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[67] 次の文章の空欄に当てはまる用語の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 岡崎フラグメントは DNA 複製のときに( ア )として作られる短い DNA 断片であり、後に( イ )によってつなぎ合わされる。ただし、線状の DNA 分子の末端では、岡崎フラグメントの合成を始めようにも必要なプライマーRNA を形成する余地がなく、複製するたびに DNA分子の末端部分が少しずつ失われていく。この問題を解決するために、テロメラーゼは自身のもつ( ウ )を鋳型にし、一本鎖 DNA の 3´末端に反復テロメア配列を付加する。 1) ア ラギング鎖 イ DNAヘリカーゼ ウ DNA 2) ア リーディング鎖 イ DNAヘリカーゼ ウ DNA 3) ア ラギング鎖 イ DNAリガーゼ ウ DNA 4) ア リーディング鎖 イ DNAリガーゼ ウ RNA 5) ア ラギング鎖 イ DNAリガーゼ ウ RNA [68] DNAポリメラーゼ IIIはポリメラーゼ活性とは別に 3´→5´エキソヌクレアーゼ活性を持つ。この 3´→5´エキソヌクレアーゼ活性が失われた場合に DNA複製に現れる影響として、最も適当なものを選べ。 1) DNA合成速度が上昇する。 2) DNAの 3´末端に間違ったヌクレオチドが結合しても校正されない。 3) ラギング鎖合成時に岡崎フラグメントが合成されない。 4) ラギング鎖合成時に RNAプライマーが除去されない。 5) ラギング鎖合成時にニックが修復されない。 [69] 相同組換えが関与しない現象、事柄の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 (ア)免疫グロブリン遺伝子の再編成 (イ)ノックアウトマウスの作製 (ウ)減数分裂時における交差 (エ)損傷乗り越え DNA合成 1) ア、イ 2) ア、ウ 3) ア、エ 4) ウ、エ 5) ア、イ、ウ [70] 次の文章の空欄に当てはまる用語の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 化学物質の発がん性を調べる簡便な生物検定として、( ア )要求性のネズミチフス菌を化学物質の存在下および非存在下で生育させて( ア )要求性を失った( イ )体の割合を調べる方法がある。この方法は発明者の名前に因んでエイムス試験と呼ばれている。 ア イ 1) ビタミン 復帰変異 2) グルコース 復帰変異 3) アミノ酸 復帰変異 4) ビタミン 欠失変異 5) アミノ酸 欠失変異

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[71] DNA の点変異にはトランスバージョンとトランジションがある。例えばチミンからグアニンへの変異はトランスバージョンである。(ア)〜(エ)の中からトランスバージョンであるものを選んだ組み合わせとして最も適当なものを選べ。 (ア)チミンからシトシンへの変異 (イ)アデニンからグアニンへの変異 (ウ)チミンからアデニンへの変異 (エ)アデニンからシトシンへの変異 1) ア、イ 2) ア、ウ 3) ア、エ 4) イ、ウ 5) ウ、エ [72] バランサー染色体は、本来の染色体編成と比べて一連の領域が逆位になっており、減数分裂の際に通常の染色体と組換えを起こしにくい。このバランサー染色体の性質の利用法として最も適当なものを選べ。 1) 劣性致死変異を持つ個体を恒久的に継代する。 2) 優性変異を劣性変異に変化させる。 3) 劣性変異を優性変異に変化させる。 4) 正常な体の一部に変異組織を持った個体を作る。 5) 外来 DNAをもつ遺伝子導入個体を新規に作る。 [73] 転移 RNA(tRNA)の構造的特徴として適当でないものを選べ。 1) 標準的な tRNAの分子サイズは 76塩基である。 2) tRNAが運ぶアミノ酸残基は tRNAの 3´末端に結合する。 3) tRNAの 3´末端は必ず 5´-AAA-3´という配列である。 4) tRNAには修飾された塩基が含まれる。 5) 生物種に関わらず tRNAは似た 3次構造をとる。 [74] リボザイムの説明として最も適当なものを選べ。 1) 触媒活性をもつ RNA分子 2) RNA補酵素 3) リボソームを合成する酵素 4) RNA切断活性をもつ酵素タンパク質 5) RNA結合タンパク質 [75] 純水の水素イオン濃度は 10-7 Mである。1Lの純水に 10-4 molの水素イオンを加えた場合の pHとして最も適当な数値を選べ。 1) 3 2) 4 3) 7 4) 8 5) 11

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[76] 図はセリンプロテアーゼの活性中心で起こるアミド結合の加水分解過程の化学反応式の一部である。(A)の点線で囲まれた部分は酵素の活性中心のアミノ酸を表しており、(A)の R-CONH-R’は基質タンパク質のアミド結合を表している。また、湾曲した矢印は電子対の移動を表している。(D)の空欄( ア )に当てはまる分子として最も適当なものを選べ。 1) H2

2) NH3

3) H2O 4) R’-COOH 5) R’-COO-R [77] 図のように速度定数 k1、k2、k-1を持つ酵素反応を考える。

k1 k2 E+S ES P+E k-1

ここで E は酵素、S は基質、ES は酵素基質複合体、P は生成物を表す。それぞれの濃度を[E]、[S]、[ES]とし、反応速度が定常状態にあるとすれば、次の式が成り立つ。 k1[E][S]=k-1[ES] + k2[ES] ・・・・① 酵素の総量[E] T =[E]+[ES]とミカエリス定数 KM=(k-1+k2)/k1を用いて、①から[E]と速度定数 k1、k2、k-1を消去すると、[E] T、KM、[S]を用いて[ES]を表すことができる。[E] T、KM、[S]を用いて[ES]を表した式として最も適当なものを選べ。 1) [ES] = ([E]TS- KM)/ KM 2) [ES] = KM /[E]T[S] 3) [ES] = [E]T[S]/(KM+[S]) 4) [ES] = [E]T[S]/ KM 5) [ES] = (KM+[S]) /[E]T[S]

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[78] 酵素の競合阻害剤の説明として最も適当なものを選べ。 1) 酵素の基質結合部位に結合する阻害剤。 2) 酵素基質複合体に結合する阻害剤。 3) 酵素に可逆的に結合する阻害剤。 4) 遊離の酵素にも酵素基質複合体にも結合し、基質結合と触媒作用の両方に作用する阻害剤。

5) 基質結合部位以外の部位に結合し、基質結合に影響を与えず触媒作用に作用する阻害剤。

[79] 次の文章の空欄に当てはまる語または用語の組み合わせとして、最も適当なものを選べ。 受容体とリガンドの結合の平衡状態における反応物質と生成物質の濃度比のことを( ア )定数といい、Kd で表す。リガンド濃度を[L]、受容体濃度を[R]、リガンド−受容体複合体濃度を[LR]と表した場合、Kdは次の式で表される。

Kd = ! [!][!"]

Kdの値が( イ )ほど、受容体に結合しているリガンドの量が多くなり、リガンドの受容体へのアフィニティーが( ウ )なる。 1) ア 解離 イ 大きい ウ 低く 2) ア 解離 イ 小さい ウ 低く 3) ア 解離 イ 小さい ウ 高く 4) ア 平衡 イ 大きい ウ 高く 5) ア 平衡 イ 小さい ウ 低く [80] 下図はエネルギー代謝における解糖系の中間体の構造式である。各中間体を分解過程の順に並べた順番として最も適当なものを選べ。 A) B) C) D) 1) C→A→B→D 2) C→B→A→D 3) B→C→A→D 4) B→A→C→D 5) A→C→B→D

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[81] 右図は生体に含まれる物質の構造式である。この物質に関する記述として適当でないものを選べ。 1) 心臓病や脳卒中に関係する。 2) ホルモンの前駆体になる。 3) 動物の細胞膜にはほとんど含まれない。 4) 両親媒性の物質である。 5) HMG-CoAレダクターゼが生合成に関与する。

[82] 分子 Aが細胞の端から端まで 10 µmの距離を拡散するのに要する時間として、最も適当なものを選べ。なお分子 Aの拡散係数 Dは 5 × 10-8 cm2/秒であり、ある分子がX cmの距離を拡散するのに要する時間 t (秒)は t = X2 / 2D で表されるとする。 1) 0.01 秒 2) 0.10 秒 3) 1.00 秒 4) 10.0 秒 5) 100 秒 次の文章を読み、[83] 〜 [85]の問いに答えよ。

タンパク質結晶では、①タンパク質分子が規則正しく並んでいる。したがってタンパク質結晶に②X 線を照射すると、結晶中のタンパク質分子に属する電子によって弾性散乱された X 線がラウエの条件を満たす方向では互いに干渉して強め合い、その方向で③X線検出器上に回折斑点が記録される。 [83] 下線部①について、タンパク質結晶がもちうる結晶学的対称性としてありえないものを選べ。 1) 並進対称性 2) 2回回転対称性 3) 5回回転対称性 4) 6回回転対称性 5) 3回らせん対称性 [84] 下線部②について、タンパク質の結晶構造を原子レベルの分解能で解くための入射 X線波長として最も適当なものを選べ。 1) 0.1 nm 2) 15 nm 3) 200 nm 4) 600 nm 5) 1 mm

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[85] 下線部③に関する記述として誤っているものを選べ。ただし、X線検出器は受光面が正方形の2次元検出器(有限の大きさを持つもの)であり、その中心は入射 X 線ビームが結晶を素通りして直進してきたところにあるものとする。 1) X線検出器によって回折 X線の強度と位相の両方を測定できる。 2) X線検出器と結晶の間の距離が遠すぎると、高分解能の回折 X線データを測定できない。

3) X線検出器が測定できる回折X線の強度は、結晶構造因子の振幅の二乗に比例する。 4) 単波長の X 線を入射 X 線として用いる場合、入射 X 線に対して結晶が静止していると、結晶構造を解くために必要な回折 X線データを全て測定できるわけではない。

5) 凍結した結晶を測定試料として用いて、X 線回折実験中に結晶を低温に保つことにより、放射線損傷を抑制して精度よく回折 X線データを測定することができる。

[86] NMRに関する記述として誤っているものを選べ。 1) NMRは、外部磁場中に置かれた原子核が、固有の周波数の電磁波と相互作用しておこる共鳴現象を観測する分光法である。

2) NMRによって、生理的な条件に近い水溶液中のタンパク質の構造を解くことができる。

3) 測定に時間がかかるので、NMRでは不安定な化合物の測定は難しい。 4) 同じ原子核でもその共鳴周波数は、その原子核周囲の化学的な環境によって微妙に異なる。

5) NMRによってタンパク質の構造ゆらぎを解析することはできない。 [87] 電子顕微鏡は、電子に波としての性質があることを応用したものである。静止した状態から電位差 Vによって加速された電子の波長λを表す式として正しいものを選べ。ただし電気素量、電子の質量、プランク定数、光速をそれぞれ e, m, h, cとする。

1)

λ =heV

2)

λ =hmeV

3)

λ =h2meV

4)

λ = h 2meV

5)

λ = h 2eVm

[88] 次はタンパク質間相互作用について述べた文章である。空欄に当てはまる用語、語句の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 疎水性相互作用が形成されると、主に( ア )が変化する。疎水性相互作用形成による自由エネルギーの変化は( イ )。 ア イ 1) 内部エネルギー 温度が上がっても変わらない 2) 内部エネルギー 温度が上がると小さくなる 3) エントロピー 温度が上がっても変わらない 4) エントロピー 温度が上がると小さくなる 5) エントロピー 温度が上がると大きくなる

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[89] 次はタンパク質間相互作用について述べた文章である。空欄に当てはまる用語、語句の組み合わせとして最も適当なものを選べ。 静電相互作用が形成されると、主に( ア )が変化する。静電相互作用形成による自由エネルギー変化は( イ )。 ア イ 1) 内部エネルギー 温度が上がっても変わらない 2) 内部エネルギー 温度が上がると小さくなる 3) エントロピー 温度が上がっても変わらない 4) エントロピー 温度が上がると小さくなる 5) エントロピー 温度が上がると大きくなる [90] 化学反応を触媒するタンパク質は酵素と呼ばれる。酵素が状態 1から状態 2への化学変化を触媒する場合、酵素が化学反応に果たす役割として最も適当なものを選べ。 1) 状態1の自由エネルギーを減少させる。 2) 状態2の自由エネルギーを減少させる。 3) 状態1の自由エネルギーを増加させる。 4) 状態1と状態2の間の活性化エネルギーを減少させる。 5) 状態1と状態2の間の化学平衡を状態2の方に傾ける。 [91] 誤っている記述を選べ。 1) 気体分子が真空中を拡散するとき、内部エネルギーの総和は変化しない。 2) 体積が増加する化学反応は高圧下で抑制される。 3) 箱の中の気体を、箱を小さくすることによって圧縮する。このとき、気体の内部エネルギー和は増加し、エントロピーは変化しない。

4) 系に出入りする熱量は状態量ではないが、エントロピーは状態量である。 5) 宇宙全体のエントロピーは保存されない。 [92] 大学院入試問題を解いている時のように、ヒトが頭を使っている時、脳はエネルギーを消費している。ある受験生の脳が試験時間中、50 J/秒の一定の代謝速度でエネルギーを消費しているものとする。これだけの代謝速度を確保するために必要なエネルギーを全てグルコースの酸化反応によって得るとするならば、1時間あたりに消費すべきグルコースの質量はいくらか。最も適当な値を選べ。ただし、1 molのグルコースが酸化反応 C6H12O6 + 6O2 → 6CO2 + 6H2O によって気体の二酸化炭素と液体の水に変化するときのギブスエネルギー変化は −2828 kJ であるものとする。 1) 0.10 g 2) 0.19 g 3) 1.2 g 4) 6.1 g 5) 11.5 g