71
平成29年度 質の高いエネルギーインフラシステム海外展開促進事業 (円借款・民活インフラ案件形成等調査) ガーナ共和国:テマ港洋上火力発電・海水淡水化事業調査報告書 平成 30 年 2 月 委託先 : 三菱重工業株式会社

平成29年度 ガーナ共和国:テマ港洋上火力発電・海水淡水化事業調査報告書 · 本報告書は、経済産業省から三菱重工業株式会社が平成29年度の事業として受託した「平成29年度質

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

i

平成29年度

質の高いエネルギーインフラシステム海外展開促進事業

(円借款・民活インフラ案件形成等調査)

ガーナ共和国:テマ港洋上火力発電・海水淡水化事業調査報告書

平成 30 年 2 月

経 済 産 業 省

委託先 : 三菱重工業株式会社

ii

ま え が き

本報告書は、経済産業省から三菱重工業株式会社が平成29年度の事業として受託した「平成29年度質

の高いエネルギーインフラシステム海外展開促進事業(円借款・民活インフラ案件形成等調査)」の成果をと

りまとめたものです。

本調査「ガーナ共和国:テマ港洋上火力発電・海水淡水化事業調査報告書」は、ガーナ共和国・テマ港に

おいて、電力・上水の需給ギャップという固有の問題を解決するために、洋上火力発電・海水淡水化設備を使

用した電力・上水供給事業プロジェクトの実現可能性を調査したものです。

ガーナ共和国は、急速な人口増加と安定的な民主政治を背景にアフリカ地域の中で有数の経済発展を遂げて

います。一方で、経済発展に対して電力・水セクターの公共整備予算及び技術・管理体制が追い付かず、沿岸

地方都市等で、電力・水への安定的なアクセスが困難な国民・企業等が散在しています。

洋上火力発電・海水淡水化設備は、洋上に係留するバージ上に、火力発電設備と海水淡水化装置を搭載し、

燃料と海水から電力・上水を供給するもので、世界に先駆けて提案するものです。この設備は造船所で機器を

バージ上に設置した状態で搬入し、現地工事はバージの係留と送電線、上水受入設備との接続等わずかであり、

発展途上国で問題になりがちな土地収用の問題、現地土木工事の遅滞のようなリスクが少なく、短期間で電

力・上水供給を開始することができます。

本調査では、この設備を用いた電力・上水供給事業について、ガーナ共和国側の需給情報、経済状況、関心

度等を聴取、協議し、事業成立可能性を検討しました。

本報告が上記プロジェクト実現の一助となり、加えて我が国関係者の方々のご参考になることを希望します。

平成 30 年 2 月

三菱重工業株式会社

iii

プロジェクト地図

出典:Google Map (2018)

テマ港

iv

略語表

略語 正式名称 日本語訳

GDP Gross Domestic Product 国内総生産

NPP New Patriotic Party (ガーナ)新愛国党

USAID United States Agency for International

Development

米国国際開発庁

AU African Union アフリカ連合

ECOWAS Economic Community of West African States 西アフリカ諸国経済共同体

OECD Organisation for Economic Co-operation and

Development

経済協力開発機構

METI Ministry of Economy, Trade and Industry 経済産業省

JETRO Japan External Trade Organization 日本貿易振興機構

JICA Japan International Cooperation Agency 国際協力機構

JBIC Japan Bank of International Cooperation 国際協力銀行

SPC Special Purpose Company 特別目的会社

RO Reverse Osmosis 逆浸透

PFD Process Flow Diagram プロセスフロー図

SDI Silt Density Index シルト密度指数

UF Ultrafiltration 限外ろ過

FRP Fiber Reinforced Plastics 繊維強化プラスチック

LNG Liquefied Natural Gas 液化天然ガス

ReGAS Regasification 再ガス化

GTCC Gas Turbine Combined Cycle ガスタービン複合発電

STEP Special Terms for Economic Partnership 本邦技術活用条件

PPP Public Private Partnership 官民のパートナーシップ

PPA Power Purchase Agreement 電力購入契約

WPA Water Purchase Agreement 上水購入契約

IPP Independent Power Producer 独立発電事業者

IWP Independent Water Producer 独立上水事業者

CAPEX Capital Expenditure 資本的支出

OPEX Operating Expenditure 運用費

FIRR Financial Internal Rate of Return 財務的内部収益率

EIRR Economic Internal Rate of Return 経済的内部収益率

FEED Front End Engineering Design 基本設計

EPC Engineering, Procurement & Construction 設計・調達・建設

v

O&M Operation & Maintenance 運転・維持

IMF International Monetary Fund 国際通貨基金

ECF Extended Credit Facility 拡大クレジット・ファシリテ

vi

目次

まえがき

プロジェクト地図

略語表

目次

要約

第 1 章 ガーナ共和国・セクターの概要

(1)ガーナ共和国の経済・財政事情 ················································· 1-1

(2)プロジェクトの対象セクターの概要 ············································· 1-1

(3)対象地域の状況 ······························································· 1-1

第 2 章 調査方法

(1) 調査内容 ···································································· 2-1

(2) 調査方法・体制 ······························································ 2-1

(3) 調査スケジュール ···························································· 2-2

第 3 章 プロジェクトの内容及び技術的側面の検討

(1) プロジェクトの背景・必要性等 ················································ 3-1

(2) プロジェクト内容に関する基本方針・決定等 ···································· 3-1

(3) プロジェクトの概要 ·························································· 3-1

(4) 必要となる各種検討項目 ······················································ 3-3

(5) プロジェクトの実施に伴う日本のエネルギー安定供給への効果 ··················· 3-20

第 4 章 環境社会的側面の検討

(1) 環境社会面における現状分析 ·················································· 4-1

(2) プロジェクトの実施に伴う環境社会面への影響 ·································· 4-1

(3) ガーナ共和国の環境社会配慮関連法規の概要及びそのクリアに必要な措置 ·········· 4-1

第 5 章 財務的・経済的実行可能性

(1) 事業費の積算 ································································ 5-1

(2) 予備的な財務・経済分析の結果概要 ············································· 5-2

第 6 章 プロジェクトの実施スケジュール ........................................ 6-1

第 7 章 ガーナ共和国実施機関の実施能力

(1) ガーナ共和国実施機関の概要 ·················································· 7-1

(2) ガーナ共和国におけるプロジェクト実施のための組織体制 ························ 7-1

(3) ガーナ共和国実施機関の能力評価と対応策 ······································ 7-3

第 8 章 日本企業の技術面等での優位性<円借款案件とする場合>

(1) プロジェクトにおける日本企業の国際競争力と受注の可能性 ······················ 8-1

vii

(2) 本邦調達が見込まれる主な資機材の内容及び金額 ································ 8-1

(3) 日本企業の受注を促進するために必要な施策 ···································· 8-1

第 9 章 日本企業の技術面等での優位性<民活インフラ案件とする場合>>

(1) 想定される日本企業の参画形態(出資、資機材供給、施設の運営管理等) ·········· 9-1

(2) プロジェクト実施に際しての日本企業の優位性(技術面、経済面) ················ 9-1

(3) 日本企業の受注を促進するために必要な施策 ···································· 9-2

第 10 章 プロジェクトの資金調達の見通し<円借款案件とする場合>

(1) ガーナ共和国政府・機関の資金調達に関する考え方 ····························· 10-1

(2) 資金調達に伴う関連機関の動向 ··············································· 10-1

(3) プロジェクトに関する資金調達の見通し及び円借款要請の現状・可能性 ··········· 10-2

第 11 章 プロジェクトの資金調達の見通し<民活インフラ案件とする場合>

(1) 資金ソース及び資金調達計画の検討 ··········································· 11-1

(2) 資金調達の実現可能性 ······················································· 11-1

(3) キャッシュ・フロー分析 ······················································ 11-1

第 12 章 案件実現に向けた課題とアクションプラン<円借款案件とする場合>

(1) 円借款要請に向けた取組状況 ················································· 12-1

(2) 今後の円借款要請・供与に向けて必要となる措置 ······························· 12-1

(3) 円借款要請に向けた具体的課題とアクションプラン ····························· 12-1

第 13 章 案件実現に向けた課題とアクションプラン<民活インフラ案件とする場合>

(1) プロジェクトの実現に向けた本邦企業の取組状況 ······························· 13-1

(2) プロジェクトの実現に向けたガーナ共和国の関係官庁・実施機関の取り組み状況 ··· 13-1

(3) ガーナ共和国の法的・財務的制約等の有無 ····································· 13-1

(4) 更なる詳細分析が必要な項目 ················································· 13-1

添付資料

(1) 三菱重工グループの納入実績 ·················································· A-1

(2) METITO 社概要 ································································ A-4

(3) 面談リスト ································································· A-12

viii

要約

ガーナ共和国は、急速な人口増加と安定的な民主政治を背景にアフリカ地域の中で有数の経済発展を

遂げている。一方で、経済発展に対して電力・水セクターの公共整備予算及び技術・管理体制が追い付

かず、沿岸地方都市等で、電力・水への安定的なアクセスが困難な国民・企業等が散在している。

洋上火力発電・海水淡水化設備は、洋上に係留するバージ上に、火力発電設備と海水淡水化装置を搭

載し、燃料と海水から電力・上水を供給するもので、世界に先例はない。この設備は造船所で機器をバ

ージ上に設置した状態で搬入し、現地工事はバージの係留と送電線、上水受入設備との接続等わずかで

ある。発展途上国で問題になりがちな土地収用の問題、現地土木工事の遅滞のようなリスクが少なく、

短期間で電力・上水供給を開始することができる。

本調査では、この設備を用いた電力・上水供給事業について、ガーナ共和国側の需給情報、経済状況、

関心度等を聴取、協議し、事業成立可能性を検討した。

事業実施地点は、ガーナ共和国側のニーズにもよるが、可能性の高い典型的な場所として、首都アク

ラの外港で重工業地域もあるテマ港周辺の海岸を候補として想定する。

想定される設備設置候補地域

出典:United Nations Office Project Services

「Environmental Sensitivity Map for Coastal Areas of Ghana」(2004)

を基に三菱重工業作成

ガーナ共和国側にビジネススキーム、典型的仕様を示すために下記2ケースを設定した。

設置候補地

テマ港

ix

① <円借款案件> 緊急/仮設対応用小規模設備

送電電力 4,300kW、海水淡水化能力 10,000m3/日

初期設備費 6,000 万米ドル程度

② <民活インフラ案件> 電力・上水設備供給用大規模設備

送電電力 33,000kW、海水淡水化能力 50,000m3/日

事業総額 6億米ドル(20 年間)程度

小規模設備イメージ図 大規模設備イメージ図

出典:三菱重工業作成 出典:三菱重工業作成

それぞれのケースの予備的な財務・経済分析を実施した。

<円借款案件>では、公営事業となるので、事業期間 20 年の FIRR(財務的内部収益率)がゼロ以上と

なることを事業成立条件とし、諸仮定のもと、電力・水の設定料金を計算した。CAPEX 分のファイナンス

について、(a)日本政府の無償供与を想定した場合、電力料金 0.15 米ドル/kWh、上水料金は 1.0 米ドル

/m3となり、現状の他の発電事業者(IPP)、上水供給事業者(IWP)の供給価格と競合できる料金レベルにす

ることができると考えられる。(b) STEP 円借款活用の場合には、主に減価償却費の算入のために設定料

金は高くなり、電力料金 0.26 米ドル/kWh、上水料金は 1.7 米ドル/m3となった。

<民活インフラ案件>では、民間事業として、事業期間 20 年の FIRR が金利を上回ることを事業成立条

件とし、諸仮定のもと、電力・上水の設定料金を計算した結果、電力料金 0.25 米ドル/kWh、上水料金は

1.7 米ドル/m3となった。規模のメリット、高効率化・ガス燃料使用による燃料費低減等により、金利以

上の EIRR を確保しつつも、STEP 円借款活用の場合と同等の設定料金となっており、料金がガーナ共和国

政府関係者やオフテイカーに許容されることが必要である。

現地調査でガーナ共和国政府関係者と面談・協議した結果、示したビジネススキーム、仕様に一定の

関心を示した関係者がいる。プロジェクトを進めるためには、電力・上水の需要の精査と候補地の選定、

ガーナ共和国政府、国営の電力・水供給事業者の財務状況の改善等の課題の解決が必要であるが、その

上で、ガーナ共和国政府側から主体的に要請があれば、日系企業による質の高いインフラ輸出及びサブ

サハラ地域での事業機会になる可能性はある。

1-1

第1章 ガーナ共和国・セクターの概要

(1) ガーナ共和国の経済・財政事情

ガーナ共和国はサブサハラ地域に所在し、一人当たり国民総所得が 1,480 米ドルの低中所得国に該当する。

過去 10 年間(2005 年~2015 年)で GDP が 249.8%増加(2015 年時点:375.43 億米ドル)、人口が 28.1%増加

(2015 年時点:2,740.98 万人)とアフリカ大陸全体でも上位の急速な社会経済発展を遂げている。ガーナ経

済は農業・鉱業等に依存する典型的な一次産品依存型で、農業は GDP の約 20%、雇用の約半数を占める。主

要輸出品は金、石油、カカオ豆、木材が上位を占めており、国際市況及び天候の影響を受けやすい。なお、石

油の商業生産は 2010 年 12 月に開始した。それ以前の 1990 年代には金やカカオの国際価格の低迷や原油の輸

入価格高騰により拡大重債務貧困国イニシアティブ適用による債務救済を申請したことがある。(出典:外務

省ウェブサイトガーナ共和国基礎データ、2018 年)

経済発展の背景には、安定的な民主主義制度の存在が挙げられる。1992 年以降平和裡に大統領選挙は行わ

れ、2001 年1月には選挙による与野党間の政権交代が実現されている。現大統領である NPP のアクフォ=ア

ド(Akufo-Addo)氏は 2016 年 12 月の大統領選挙で勝利し、この際も与野党間で政権が交代した。現在、国際通

貨基金の財政支援プログラムや USAID 等の支援の下、エネルギーセクターを中心とした抜本的な財政健全化と、

「One District, One Factory」を標題に掲げた地方経済振興策が計画されている。

ガーナ共和国は非同盟中立を基調に、AU 及び ECOWAS の主要メンバー(2014 年には ECOWAS 議長国,2007 年

には AU 議長国)として近隣諸国との関係を重視している。主な輸出先はインド、スイス、中国、オランダ、

フランス、主な輸入先は中国、オランダ、米国、インド、フランスとなっており、輸入品は機械類、石油、食

料品が上位を占める。また、二国間援助の主要ドナーである米国、英国、カナダ、フランス、デンマーク、日

本等からの支援を受けているほか、近年ではボーキサイト権益を担保にした中国からの積極的な外貨借入も実

施しており、緊密な関係になっている。

(2) プロジェクトの対象セクターの概要

ガーナ共和国の電力・水分野の政府公共投資予算は上記需要拡大に追いついておらず、電力・水需給ギャッ

プは拡大傾向にある。World Bank Data及び OECD Staticsによればガーナ共和国国民の電力アクセス率は78.3%

(2014 年時点)、上水アクセス率は 80%(2014 年時点)である。特に人口・産業集積地である同国首都アク

ラ近郊では慢性的な停電・停水等が前政権以降の重要な課題となっている。また、同国政府は隣国トーゴ共和

国等 ECOWAS 諸国に対して送配電網連携等による緊急電力の共有に係る声明を発表しており、電力供給体制の

整備が必要となる。問題解決に向けて、USAID が、Electricity Company of Ghana、Ghana Water Company 等

の公社に対する改革支援等が実施している。電力・上水供給体制の改善のために、今後更なる民間資本活用に

よる IPP・IWP を活用した効率的な電力・上水供給の増加が期待されている。

(3) 対象地域の状況

ガーナ共和国には、同国南東部に位置するテマ港と、南西部に位置するタコラジ・セコンジ港の2港の国際

港が存在する。Ghana Investment Promotion Centre「Investing in Ghana 2017」によれば、テマ港ではガー

ナ共和国の輸出入の約 80%が取り扱われている。

テマ港はガーナ共和国首都アクラから 24km 南東に位置する。現状、全長 5km の防波堤のほか、12 個の外航

1-2

船用バース、1個のオイルタンカー船用バース等が設置されており、また隣接して魚類加工場やセメント加工

設備、穀物貯蔵塔などがある。調査時点においては、港湾運営主体である Meridian Port Services による、

物流量の増加に対応した大規模拡張工事が 2019 年 6 月竣工を目指して実施されていた。

また Ghana Free Zone Boardによると、テマ港周辺には総面積480ヘクタールのTema Export Processing Zone

が設置され、製造業、サービス業、輸出貿易業などの誘致が行われている。税免除や検疫サービス、入出国手

続き等の手続きをワンストップサービスで受けるなどの便宜を進出事業者は享受することができることとな

っており、中国のセラミック加工工場等の進出が計画されているとのことだった。

Ghana Free Zone Board の説明では、現状は週2回程度の計画的な停電・停水が発生しており、それも一因

となって誘致が進まず、計画区域内には土地造成に着手できていない場所もあるとのことであった。

現地調査時に撮影したテマ周辺の写真を図 1.1~図 1.4 に示す。

図 1.1 テマ重工業地域 図 1.2 テマ重工業地域(未造成地)

調査団撮影 調査団撮影

図 1.3 テマ港周辺 図 1.4 テマ港周辺

調査団撮影 調査団撮影

2-1

第2章 調査方法

(1) 調査内容

1)対象セクターの現状及び需給予測に係る調査

電力・水需給に係る現状を整理し、需給予測のための調査を行う。

2) 要求仕様の検討

ガーナ共和国政府機関、実行機関等と協議を行い、テマ港港湾区域に導入する洋上火力発電・海水淡

水化設備の要求仕様を整理する。

3) 概略設計及び事業費算出

1)及び 2)の調査結果を考慮して、火力発電設備、海水淡水化設備の仕様・容量を検討し、搭載する

バージを含む概略設計を行う。また、概略設計に基づき、概算事業費を算出等の検討を実施する。

4) ファイナンススキーム・事業性評価

1)から 3)の調査結果を踏まえ、事業全体のキャッシュフローにつき検討する。①円借款方式とする

場合、②民活インフラ方式とする場合の事業性を評価する。

5) 環境・社会配慮に係る調査

法制度、事業候補地の環境に係る調査を行い、環境・社会配慮面での課題と今後必要となる手続き、

調査手法を整理する。

6) 事業プロモーション

事業実施スケジュール、実施に係る課題を整理し、ガーナ共和国政府関係者との間で今後の事業の取

りすすめに係る協議を行う。

(2) 調査方法・体制

国内調査(文献等調査)及び現地調査(2回程度)を実施する。

経済産業省(METI)、現地政府機関、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)、独立行政法人国際協力

機構(JICA)等への報告を行う。

三菱重工業株式会社が経済産業省から委託を受け、調査の一部を株式会社野村総合研究所に再委託し

て調査を実施する。現地調査は、委託先及び再委託先の社員が実施し、ガーナ共和国政府関係者等と、

協議を実施する。

2-2

(3) 調査スケジュール

調査スケジュールを表 2.1 に示す。

表 2.1 調査スケジュール

平成29年

8月 9月 10月 11月 12月

平成30年

1月 2月

(国内調査)

① 対象セクターの現状及び需

給予測に関する調査

② 要求仕様の検討

③ 概略設計及び事業費算出

④ ファイナンススキーム・事

業性評価

⑤ 環境社会配慮に関する調査

⑥ 事業プロモーション

経済産業省、JICA、

駐日大使館等協議

報告書作成

(現地調査)

第1次現地調査

第2次現地調査

3-1

第 3 章 プロジェクトの内容及び技術的側面の検討

(1) プロジェクトの背景・必要性等

第 1章記載のとおり、急速な人口増加と安定的な民主政治を背景にアフリカ地域において有数の経済

発展を遂げるガーナ共和国においては、同経済発展に対して電力・水セクターの公共整備予算及び技

術・管理体制が追い付かないことを背景に、沿岸地方都市等において、安定的な電力・水へのアクセス

が困難な国民・企業等が散在しており、経済成長を妨げる要因となっている。

外貨獲得を目的として政府機関 Ghana Free Zone Board が推進する Export Processing Zone の中で

最大規模を有するテマ港周辺地域については、今後民間企業誘致や事業拡張などを実施していくにあた

り、安定的な給電・給水のための基礎インフラの整備が必要である。電力・上水インフラ整備の一環で

ある洋上火力発電・海水淡水化設備を用いた電力・上水供給事業の可能性を検討する本調査において、

同事業導入と具現化の可能性が示されれば、ガーナ共和国の経済成長に資すると考えられる。

(2) プロジェクトの内容に関する基本方針・決定等

本調査の基本方針としてはガーナ共和国側の国民経済に対する裨益性が確認されることと、ガーナ共

和国及び日本両国での社会経済的合理性が存在することを前提としている。

本調査は、洋上火力発電・海水淡水化設備を用いた電力・上水供給事業の可能性を調査するもので、

ガーナ共和国側からの電力・上水の需要情報に基づき、供給設備である洋上火力発電・海水淡水化設備

とそれを用いた事業を計画する。洋上火力発電・海水淡水化設備は世界において全体の組合せでの実績

は無いことからも、現時点では、初期段階として小規模設備で公的機関が運営する検証的なプロジェク

トを<円借款案件>として実施して「融資可能な」実績条件を満たした後に、次段階として大規模設備で

民間が運営する<民活インフラ案件>を実施するというステップを想定して事業成立可能性検討を行う。

(3) プロジェクトの概要

洋上火力発電・海水淡水化設備は、洋上に係留するバージ上に、火力発電設備と海水淡水化装置を搭

載し、燃料と海水から、電力・上水を供給するものである。陸上に火力発電設備、海水淡水化設備それ

ぞれを設置したものはあるが、この設備は造船所で機器をバージ上に設置した状態で搬入し、現地工事

はバージの係留と送電線、上水受入設備との接続等わずかである。発展途上国で問題になりがちな、土

地収用の問題、現地土木工事の遅滞のようなリスクが少なく、短期間で電力・上水供給を開始すること

ができる。本調査では、この設備を用いた電力・上水供給事業について、ガーナ共和国側の需給情報、

経済状況、関心度等を聴取、協議した上で、事業成立可能性を検討する。

事業規模については、前項に記載の①小規模設備で公的機関が運営する<円借款案件>で、初期設備費

60 億円程度、②大規模設備で民間が運営する<民活インフラ案件>で事業総額 600 億円(20 年間)程度と

なる。

事業実施地点は、ガーナ共和国側のニーズにもよるが、可能性の高い典型的な場所として、首都アク

ラの外港で重工業地域もあるテマ港周辺の海岸を候補として想定する。(図 3.1)

3-2

図 3.1 想定される設置候補地域

出典:United Nations Office Project Services

「Environmental Sensitivity Map for Coastal Areas of Ghana」(2004)

を基に三菱重工業作成

設置候補地域

テマ港

3-3

(4) 必要となる各種検討項目

1) 要求仕様の検討

ガーナ共和国側にニーズを調査するにあたり、典型的仕様、ビジネススキームを示す必要があるため、

以下の2ケースの代表仕様を設定する。

① 緊急/仮設対応用小規模設備(図 3.2)

発電設備 ディーゼルエンジン

燃料 重油

送電電力 4,300kW

海水淡水化能力 10,000m3/日

ファイナンス <円借款案件>

所有・運営者 ガーナ国政府機関

図 3.2 緊急/仮設対応用小規模設備イメージ図

三菱重工業作成

② 電力・上水設備供給用大規模設備(図 3.3)

発電設備 ガスタービン複合発電

燃料 液化天然ガス(LNG)

送電電力 33,000kW

海水淡水化能力 50,000m3/日

ファイナンス <民活インフラ案件>

所有・運営者 民間事業者主導、公的機関参加の特別目的会社(SPC)

図 3.3 電力・上水設備供給用大規模設備イメージ図

三菱重工業作成

現地調査にて上記の典型的仕様を示した上で、プロジェクトへの関心についてガーナ共和国側と協議

した。さまざまな見解があったが、サイト・規模の特定にはいたっておらず、設定した典型的仕様にて、

技術仕様の検討を進めることとした。

3-4

2) 緊急/仮設対応用小規模設備の仕様検討

緊急/仮設対応用小規模設備は、電力インフラ・上水インフラが整っていない、または、災害等によ

り一時的に電力・上水共有が滞っている地域に設置して、政府機関が保有・運営するものを想定してい

る。

緊急/仮設対応という用途から、発電設備の燃料は既存インフラが無くても流通が容易な重油とする。

海水淡水化設備の規模については、需要に合わせてコンテナの数を調整することにより比較的自由に

調整できるが、基準の規模として、10,000m3/日とする。

発電設備の規模は、海水淡水化設備の必要動力をまかなった上で余剰分を系統に供給することとなる。

供給電力も需要に合わせて調整可能であるが、重油焚きディーゼルエンジンの既存ラインナップの単機

容量から、発電容量 5,880kW、海水淡水化動力を差し引いた系統への送電電力を 4,300kW とする。

① 発電設備の計画

発電設備は重油焚きディーゼルエンジンとし、三菱重工グループの KU シリーズの 18KU30A を選定す

る。KU シリーズは、三菱重工グループである三菱重工エンジン&ターボチャージャーの製品であり、

低コストの発電、安定したエネルギー供給、環境要件を反映したシステムを実現している。KU シリー

ズの仕様と外観を図 3.4 に、そのうち図 3.5 に 18KU30A の外観と仕様を、図 3.6 に KU シリーズエンジ

ンに必要な燃料性状を示す。

図 3.4 KU シリーズの仕様と外観

三菱重工業作成

3-5

図 3.5 18KU30A の外観と仕様

三菱重工業作成

図 3.6 KU シリーズエンジンに必要な燃料性状

三菱重工業作成

3-6

② 海水淡水化設備の計画

逆浸透(RO)膜方式海水淡水化設備について、計画概要を以下に説明する。

(i)基本プロセスフロー

RO 膜方式海水淡水化設備の PFD を図 3.7 に示す。また、各流量を表 3.1 に示す。三菱重工業も出資

する Metito 社(添付資料参照)により設計された、コンテナ収納方式の汎用設備を採用した。

表 3.1 プロセス流量一覧(10,000m3/日)

No. 項 目 単位 流 量 備 考

1 原海水 m3/h 984 取水

2 飲料水 m3/h 417 10,000m3/日

3 UF 膜逆洗水 m3/h 58

4 RO 膜ブライン m3/h 509 海水濃縮水

三菱重工業作成

(ii)プロセス概要

RO 膜方式海水淡水化設備のプロセスについて、概要を説明する。

(a) 全体構成

原海水は RO 膜法により脱塩、淡水化される。プロセスは、前処理設備、脱塩設備、後処理設

備から構成される。

(b) 前処理設備

原海水には、配管、槽、機器等への水生生物付着防止のため、電気分解装置により発生させた

次亜塩素酸を取水口付近で注入する。この原海水は、UF 膜ろ過装置に送水される。UF 膜ろ過装置

において濁質が除去され、RO 膜に供給可能な SDI 値(約 4以下)にまで処理される。このろ過さ

れた海水は、脱塩設備(RO 膜ユニット)へ送水される。UF 膜ろ過装置には逆洗設備が備えられ、

定期的な逆洗により濁質を系外へ排出し、ろ過性能の再生が行われる。定期的な UF 膜の薬品洗浄

のために、薬品洗浄システムも備えられる。

(c) 脱塩設備(RO 膜ユニット)

各 RO 膜ユニットは、高圧ポンプ、エネルギー回収装置、RO 膜から構成される。RO ユニットに

おいて、前処理設備から送水された海水は、高圧ポンプ、エネルギー回収装置で RO 膜ろ過に必要

な圧力まで昇圧される。エネルギー回収装置では、RO 膜ブライン(海水濃縮水)の圧力からエネ

ルギーを回収される。この RO 膜を透過し、脱塩された淡水は、後処理設備に送水される。

(d) 後処理設備

後処理設備で硬度成分であるライム(Ca(OH)2)と次亜塩素酸が注入され、飲料水化される。

(iii) 配置計画

コンテナ収納方式の汎用設備(2000m3/日/コンテナ)を主に船上に配置している。飲料水タンク

等タンクとその付帯装置を船体内に配置することで、限られた空間の有効活用を図っている。

3-7

3-8

③ バージ及び総合配置の計画

バージに発電プラント及び海水淡水化プラントを搭載した洋上火力発電・海水淡水化設備は、浮

体上に①発電プラント、②海水淡水化装置、③オペレーション室や人員のオフィスと関連設備を基

本としてその他④LNG/燃料油貯留槽、⑤燃料荷役設備(Loading Unit)⑥LNG の Regas 装置、を搭

載し洋上に係留して発電及び上水の製造供給を行うプラントであり、海水淡水化プラントに必須と

なる電源を確保すると同時に、設置地域の電力需要に合わせて余剰電力を共有することが可能であ

る。設置場所によっては、既存のガス/燃料油導管や燃料貯留設備が備わっている場合もあり、こ

の場合は④~⑥を搭載しないケースも想定される。浮体式にすることで、これまでの陸上に設置さ

れた発電プラント及び海水淡水化設備に比べて土地収用の最小化、建造期間や現地工事の短縮化、

これに伴う優れた経済性などの特長がある。バージ仕様の最適設計により、水深 7~8mの浅い沿岸

部にも設置可能であり、電力及び上水需要の変化に伴う再配置も容易である。

今回緊急/仮設対応用小規模設備として試設計した洋上火力発電・海水淡水化設備の全体図を図

3.8 に、3D 外観図を図 3.9 に、試設計を反映した設置イメージ図を図 3.10 に示す。

試設計の結果、バージの主寸法は以下の通りとなった。

船長 x 船幅 x 深さ : 約 76.0m x 39.0 m x 5.0m

バージのデッキ上に上述した発電プラントの発電機エンジン部分とコントロールルームを含む

オフィスビル(左側:船尾側)及び海水淡水化プラント(右側:船首側)を配置し、さらに物資の

ハンドリング用クレーンを配置した。要素機器の向きの工夫や、補機・タンク類をなるべく船体内

に設置することにより、バージ全体の寸法の最適化を図っている。各種タンクの容量について、上

水は既存の系統に連続的に共有が可能と想定し本プラント上では4時間分の飲料水を貯留できる容

量とし、発電用燃料油は毎週補給可能であるとの前提で定格発電1週間分を確保できる容量とした。

係留方式としては、比較的海気象の穏やかな港湾内の設置を前提とし繊維ロープによる多点係留に

てバージの動揺や変位に対応可能と想定したが、設置場所の気象条件や地理的条件に応じて、バー

ジの同様やプラント稼動条件を考慮しながら、パイル式(杭打ち方式)や係船索による係留などを

採用する。

3-9

図 3.8 小規模洋上火力発電・海水淡水化設備の設計例

三菱重工業作成

3-10

図 3.9 小規模洋上火力発電・海水淡水化設備の 3D 外観図

三菱重工業作成

3-11

図 3.10 小規模洋上火力発電・設置イメージ図

三菱重工業作成

3-12

3) 電力・上水設備供給用大規模設備の仕様検討

電力・上水設備供給用大規模設備は、民間主体の IPP・IWP に使用することを想定し、まとまった電

力・上水需要が見込める地域で、高稼働率で運用するものとし、民間事業者主導、公的機関参加の SPC

が所有・運営することとする。

燃料は、廉価が見込まれ CO2排出量の少ない LNG とし、発電設備は、発電コストが下げられるように、

高効率のガスタービン-蒸気タービン複合発電システム(GTCC)とする。天然ガス焚き GTCC の既存ライ

ンナップ、ガーナ共和国での大気温度・海水温度条件を考慮して、定格発電出力を 41,000kW とする。

海水淡水化設備の規模については、需要に合わせて自由に調整できるが、基準の規模として、

50,000m3/日とする。コンテナ方式とすると、50,000m3/日で 25 基以上の RO コンテナが必要となって配

置が冗長になり、バージサイズが大きくなって CAPEX 増大にもつながるので、コンテナよりも大きな単

位でのモジュール構成とする。

送電電力は、海水淡水化設備の必要動力をまかなった上で余剰分とし、33,000kW を系統に供給する

こととする。

① 発電設備の計画

発電設備は天然ガス焚き GTCC とし、ガスタービンは三菱重工グループの H-25 を選定する。H-25 は、

1988 年以来、ユーティリティおよび産業用として使用されている高性能ガスタービンで、60Hz/50Hz

発電ニーズに対応し、蒸留ガスから天然ガスまで幅広い燃料の使用が可能な、三菱日立パワーシステム

ズ社のラインナップの一つである。コンバインドサイクル発電プラントを構築することにより、さらに

高いエネルギー効率の達成が可能である。

H-25 ガスタービンの外観を図 3.11 に、コンバインドサイクルのシステム構成例を図 3.12 に、性能

の例を表 3.2 に示す。

図 3.11 H-25 ガスタービンの外観 図 3.12 コンバインドサイクルシステム構成例

三菱重工業作成 三菱重工業作成

3-13

表 3.2 コンバインドサイクルシステムの性能例

コンバインドサイクル形式 一軸形

ガスタービン形式 H-25

廃熱回収ボイラ形式 複圧式

蒸気タービン形式 混圧蒸気タービン

燃料 ガス燃料

大気条件 大気圧 1,013hPa

大気温度 15℃/相対湿度 60%

発電機出力 43.8MW

発電端効率(HHV) 50.2%

三菱重工業作成

② 海水淡水化設備の計画

RO 膜方式海水淡水化設備のプロセスについて、概要を説明する。

(i) 基本プロセスフロー

RO 膜方式海水淡水化設備の PFD を図 3.13 に示す。また、各流量を表 3.3 に示す。三菱重工業も

出資する Metito 社(添付資料参照)により設計された。

表 3.3 プロセス流量一覧(50,000m3/日)

No. 項 目 単位 流 量 備 考

1 原海水 m3/h 4,906 取水

2 飲料水 m3/h 2,084 50,000m3/日

3 UF 膜逆洗水 m3/h 276

4 RO 膜ブライン m3/h 2,546 海水濃縮水

三菱重工業作成

(ii) プロセス概要

RO 膜方式海水淡水化設備のプロセスについて、概要を説明する。

(a)全体構成

原海水は RO 膜法により脱塩、淡水化される。プロセスは、前処理設備、脱塩設備、後処理設備か

ら構成される。

(b)前処理設備

原海水には、配管、槽、機器等への水生生物付着防止のため、電気分解装置により発生させた次亜

塩素酸を取水口付近で注入する。この原海水は、UF 膜ろ過装置に送水される。UF 膜ろ過装置におい

て濁質が除去され、RO 膜に供給可能な SDI 値(約 4以下)にまで処理される。このろ過された海水は、

脱塩設備(RO 膜ユニット)へ送水される。UF 膜ろ過装置には逆洗設備が備えられ、定期的な逆洗に

3-14

より濁質を系外へ排出し、ろ過性能の再生が行われる。定期的な UF 膜の薬品洗浄のために、薬品洗

浄システムも備えられる。

(c)脱塩設備(RO 膜ユニット)

各 RO 膜ユニットは、高圧ポンプ、エネルギー回収装置、RO 膜から構成される。RO ユニットにおい

て、前処理設備から送水された海水は、高圧ポンプ、エネルギー回収装置で RO 膜ろ過に必要な圧力

まで昇圧される。エネルギー回収装置では、RO 膜ブライン(海水濃縮水)の圧力からエネルギーを回

収される。この RO 膜を透過し、脱塩された淡水は、後処理設備に送水される。

(d) 後処理設備

後処理設備で硬度成分であるライム(Ca(OH)2)と次亜塩素酸が注入され、飲料水化される。

(iii) 配置計画

船体計画を最適した結果、船底の軒高が高く取れたため、RO 膜ユニット、飲料水タンク等タンク及

びその付帯装置を船底に配置することで限られた空間の有効活用を図っている。同時に、RO 膜を収納

する FRP 高圧容器及び FRP 配管の紫外線劣化を防止している。

3-15

3-16

③ バージ及び総合配置の計画

電力・上水設備供給用大規模設備においても、基本的に上述した緊急/仮設対応用小規模設備と同様

の考え方に基づいて計画している。ただし、大規模設備においては、長期間常設電源として活用される

可能性が高いことを考慮し、LNG を燃料とした高効率のガスタービンコンバインドサイクル発電プラン

トを採用し、付帯設備として LNG 荷役・貯留設備、及び LNG ガス化設備を搭載している点が特徴である。

電力・上水設備供給用大規模設備を試設計した洋上火力発電・海水淡水化設備の全体図を図 3.14 に、

3D 外観図を図 3.15 に、試設計を反映した設置イメージ図を図 3.16 に示す。示す。

試設計の結果、バージの主寸法は以下の通りとなった。

船長 x 船幅 x 深さ : 約229.0m x 37.0 m x 17.5m

バージのデッキ上に上述した発電プラント(中央部)及び海水淡水化プラント(右側:船首側)を配

置し、さらに船尾部に円筒形の耐圧式 LNG タンクを設置した。発電プラントエリアと LNG タンクエリア

を隔離するため、それらの間にコントロールルームを含むオフィスビルを配置する等、安全面も考慮し

た配置としている。また、小規模設備同様、要素機器の向きの工夫や、補機・タンク類をなるべく船体

内に設置することにより、バージ全体の寸法の最適化を図っている。各種タンクの容量について、上水

は小規模設備と同様の考え方により 4時間分の精製水を貯留できる容量とした一方、発電用燃料である

LNG については、燃料油に比べて既設の供給インフラが整備されていないことやハンドリングが難しい

点を考慮し、補給インターバルを 1か月と想定して LNG タンク容量を設定した。

3-17

3-18

図 3.15 大規模洋上火力発電・海水淡水化設備の 3D 外観図

三菱重工業作成

3-19

図 3.16 大規模洋上火力発電・海水淡水化設備の 3D 外観図

三菱重工業作成

4) 製造・設置プロセス

洋上設置方式の特長のひとつは、大部分の工程を環境の整った工場・造船所で施工することで品質を

安定化させるとともに、工期遅延リスクを最小化させることである。バージを建造する造船所に、専門

の工場で組み立てた発電装置、海水淡水化装置を搬入、搭載する。予めバージ係留設備、接続する送電

線、上水の受け入れ設備を準備しておき、造船所で建造されたプラント搭載済みのバージを曳航するこ

とで、現地では係留作業および各種機器の動作確認を実施すれば、すぐにプラントを稼動させることが

できる。

5) メンテナンス計画

バージは駆動装置を持たず、固定した場所で運用する。バージの船体の定期的な点検補修が必要であ

るが、大規模設備に関しては現地に係留したまま船体の健全性の確認を実施する。発電装置、海水淡水

化設備についても、一定の運転時間毎に、点検、消耗部品の交換、補修が必要である。本設備は、メン

テナンス期間中のバックアップ設備は装備しないこととしているので、その間(典型的には年に 30 日程

度)は電力、上水の供給を停止することとなる。

3-20

6) 陸上設置設備との比較

洋上設置の火力発電、海水淡水化設備の、陸上設置設備に対する特長として、下記が挙げられる。

① 用地取得が不要

② バージ上の設備は環境の整った造船所で施工することにより、高品質が確保され、工期リスクは

低減する。

③ 現地工事が、係留設備設置、送電線、上水システムとの接続のみで少ないため、現地工事の期間・

費用のリスクが小さい。

④ 発電設備、海水淡水化設備の基礎・建屋工事、海水淡水化装置取水・排水口設置工事等の土木工

事が不要

⑤ 撤去工事が容易で、費用も小さい。

⑥ その結果、需要が変化した場合の移設が容易

一方で、陸上設置設備に対して懸念される課題として下記が挙げられる。

① バージ船体の建造費用が増加するが、陸上設置での用地取得・借上のとのトレードオフで

用地問題に関する交渉、費用、工期遅延リスクを考慮すると、洋上設置の長所がまさるサイト

は多数あると考えられる。

② バージ船体のメンテナンスが必要だが、費用・期間のインパクトは小さい。

発電設備、海水淡水化設備それぞれ、陸上設置の設備は多数の実績がある。洋上火力発電・海水淡水

化設備は、全部組み合わせたものの実績は無いが、構成要素は成熟した設備であり技術上の実証プラン

トのステップは不要と考えられるが、商用運転初号機にて実証期間を設ける程度の確認はしておくのが

よい。

洋上に設置することにより、風、波浪によるバージの搖動の影響、バージと係留設備との間の外力の

やりとり等のリスク要因が考えられ、機器の設計にリスクを考慮する必要がある。

(5) プロジェクトの実施に伴う日本のエネルギー安定供給への効果

ガーナ共和国は、石油・天然ガスを産出するエネルギー供給国である。同国は、日本への直接のエネ

ルギー資源輸出国ではないが、同国が安定に経済成長をしていくことで世界のエネルギーの安定供給に

寄与する。本プロジェクトは、ガーナ共和国での電力・上水インフラの整備を通して、同国の経済成長

に寄与し、間接的に世界及び日本のエネルギー安定供給に寄与することが期待される。

4-1

第 4 章 環境社会的側面の検討

(1) 環境社会面における現状分析

本調査で検討する電力・上水供給事業の最終的な供給先は、テマ地域の一般居住者及び Export Processing

Zone の工場等を想定する。同地域の現状については第 1章記載のとおりであり、Ghana Free Zone Board に対

するヒアリング結果によれば、現状週2回の計画的な停電・停水が実施されており、これらがテマの Export

Processing Zone への産業集積が進展しない阻害要因のひとつと考えられている。

特に、同地域の給水についてはボルタ川上流域での雨水に依存しており、天候の影響を受ける。また Premier

Resource Consulting による 2017 年 8 月付 Environmental and Social Impact Assessment Report によれば

河川流域及び海洋域の水質は同国の飲料基準となる United States Environmental Protection Agency による

Drinking Water Contaminants – Standards and Regulations の基準を満たしておらず、住民は飲料水をボト

ルウォーターに依存する状態となっている。

(2)プロジェクトの実施に伴う環境社会面への影響

本調査の対象である洋上火力発電・海水淡水化設備による電力・上水供給事業が実施されれば、供給地域の

居住者及び工場等に対して、洋上火力発電・海水淡水化設備から電力・上水が供給され、居住・事業環境の改

善が期待される。

洋上火力発電・海水淡水化設備の設置による環境影響因子は、以下のものが挙げられる。

① バージを特定の場所に長期間係留続けることによる海象(波、潮流等)に対する影響

② バージを特定の場所に長期間係留続けることによる海棲生物への影響

③ 油焚きまたは天然ガス焚き火力発電設備からの排気ガスの影響

④ 火力発電設備の騒音・振動の影響

⑤ 火力発電設備冷却用の熱交換器(空冷冷却塔または復水器)から排出される温熱の影響

⑥ 海水淡水化設備から排出される濃縮塩水の影響

⑦ 海水淡水化設備取水口付近に集まる浮遊ゴミの影響

⑧ 海水淡水化設備の騒音・振動の影響

現地調査の折に、環境影響因子を示して、ガーナ共和国の Ghana Environmental Protection Agency の専

門家と協議を行った。Ghana Environmental Protection Agency では、陸上設置の火力発電設備、陸上設置の

海水淡水化設備、洋上の特定箇所に長期間設置するディーゼル発電船について、環境影響評価を実施した実績

があり、それぞれの設備については、重大な環境影響を及ぼすことなくガーナ共和国内で実際に運用されてい

る。洋上火力発電・海水淡水化設備についても、設置に先立って、既にガーナ共和国内で実績のある環境影響

評価の手順を踏んだ上で、環境に重大な影響を及ぼすことなく運用できると考えられる。Ghana Environmental

Protection Agency の専門家から、次項以下に示す環境社会配慮法規・手続きの情報を得た。

(3)ガーナ共和国の環境社会配慮関連法規の概要及びそのクリアに必要な措置

1)ガーナ共和国における環境社会配慮手続きの概要

ガーナ共和国では、同国における環境社会への影響が懸念される事業を行う事業者は The

Environmental Protection Agency Act 1994(Act 490)及び Environmental Assessment Regulations 1999

4-2

(LI 1652)に基づく事前の環境社会配慮調査を行う義務が課されている。

ガーナ共和国における環境社会配慮手続きは以下のプロセスに基づき実施される。

① 事業及び機器に関して必要となる関連情報の収集

② 重要な事業影響者の特定の実施及び潜在的な環境社会上の影響の評価の実施

③ 重要な影響や当該影響に対する緩和措置を特定し、持続可能な環境管理の取り組みを検討する。

④ 環境監査

⑤ 環境社会配慮調査の実施

⑥ 環境社会配慮調査レビューの実施

⑦ 環境庁による環境許認可発行

上記の正式なプロセスでは、ガーナ共和国では以下アプローチに従って実施されることが一般的とさ

れる。

① 地域社会の首長や住民、特定の団体等に対するインタビューの実施

② 公聴会の実施

③ 直接対話の実施

④ 関連する主管・規制官庁等に対する個別協議の実施

⑤ 現地調査、調査およびインタビューを実施して、プロジェクト運営および期待される環境パフォー

マンスの様々な一次データおよび情報の収集の実施

⑥ 基準となる条件を確認するための環境パラメータ等の物理的測定、観察、サンプリングおよび分析

的調査の実施

the Constitution of Ghana の Article 41(k)では、全てのガーナ共和国の市民は自然環境保護及び

保障措置の履行が要請されており、本事業実施主体に関しても同様の履行が要請される。

2)ガーナ共和国における政府・行政のフレームワーク概要

本事業に関連する主要省庁及び行政機関は以下のとおりである。

① Ministry of Energy and Petroleum

Ministry of Energy and Petroleum は電力、エネルギー、石油部門の政策の策定・制定を担当する。

同省は、同分野の政策策定の他、運用、監視、評価を所管する。同省は他の省庁等と協力して政策や規

制を制定し、また同分野の支援等を実施する。後述の Energy Commission は本省庁所管の行政機関とな

る。

② Ministry of Environment, Science, Technology and Innovation

Ministry of Environment, Science, Technology and Innovation は環境、移民、科学研究、イノベ

ーション等に関する政策の策定・制定を担当する。Environmental Protection Agency は本省庁所管の

行政機関となる。

③ Environmental Protection Agency

Environmental Protection Agency は 、 Ministry of Environment, Science, Technology and

Innovation 所管の下、特に同国の環境分野に関する規制、保護、強化の他、地球環境問題への共通の解

決策を模索を目的とした行政機関となっている。

④ Fisheries Commission

4-3

Fisheries Commission は、ガーナ共和国の漁業資源の利用を規制および管理し、漁業および漁業資

源管理に関する政策推進や実施するための関連政策の調整が所管となっている。

⑤ Ghana Ports and Harbours Authority

Ghana Ports and Harbours Authority は、ガーナ共和国の港湾施設の建設、運営、維持、規制の実

施が所管となっている。本事業サイトとなるテマ港は本行政機関出資の合同会社により実際の運営や維

持、拡張工事等が実施されている。

⑥ Ghana Investment Promotion Centre

Ghana Investment Promotion Centre は、ガーナ共和国における、投資活動の促進、奨励、調整、

監視を行い、円滑な投資環境の整備を担う行政機関であり、投資促進のためのインセンティブスキーム、

市場の透明性確保等を他の関係省庁等と連携しながら提供している。

⑦ Ghana Grid Company Limited

Ghana Grid Company Limited は、国内の相互接続された配電網の運営を排他的に実行している公営

企業体。同社は、卸売業者から消費者への電力の送電を行う機能を担い、送電網の計画や必要な投資等

を所管の Ministry of Energy and Petroleum の指導の下実行する。

3)環境法規制

ガーナ共和国政府は、社会環境および環境に損害を与えずに持続可能な経済発展を確保するために

the National Environmental Policy を導入した。同政策では、ガーナ共和国市民の環境、生活条件、

生活の質の向上などの理念が示され、その具体的な実施のために the National Environmental Action

Plan や以下法律等が制定されている。

① the Environmental Assessment Regulations (LI 1652, 1999)

the Environmental Assessment Regulations によりガーナ共和国における環境社会配慮に関する許

認可プロセスは規定されている。同規則では、環境社会への悪影響が懸念されるすべての活動について、

活動の開始前に環境社会配慮調査の実施と Environmental Protection Agency による許可証の発行を受

ける義務が規定されている。

同規則は大きく以下 2部で構成されている。第 1部では、既存の事業および新規事業の活動に関連す

る環境許可のための環境社会配慮の許認可プロセスの要件と手順を定義する。このプロセスは、位置、

サイズ、土地利用、技術、可能な出力、一般市民の懸念に関連してアプリケーションをスクリーニング

し、評価することなどが規定されている。また第 2部では、予備的環境報告書と環境影響報告書の要件

について説明している。提案された事業の範囲と基準を概説したスコープ調査報告書が、環境影響評価

書の前に提出されなければならない。その後環境影響に関する公聴会の実施と提出が続き、18 ヶ月間有

効な環境許可が発行される。環境管理計画の形式は、当局によって決定されるものとされる。この規則

は、活動の開始の初めの年の終わりから開始して、機関に事業に関する年次環境報告書を提出するよう

要求されている。

② Fees and Charges (Amendment) Instrument 2015(LI 2228)

Fees and Charges (Amendment) Instrument は、Environmental Protection Agency による環境社会

4-4

配慮許認可付与に必要となる処理・許可手数料及び各種料金などを規定。また環境社会配慮について違

反した際の罰則金等に関する規定も含まれる。

③ その他の環境社会配慮手続きに関する関連法規等

その他の本事業の環境社会配慮手続きに関する関連法規等としては以下のものが挙げられる。

a) Environmental Assessment in Ghana, a Guide to Environmental Impact Assessment Procedures

b) General Environmental Quality Standards for Industrial or Facility Effluents, Air Quality

and Noise Levels

c) Fees and Charges Amendment Act(LI 2228)

d) National Climate Change Policy(2013)

e) The Environmental Protection Agency Act(Act 490)

4)資源管理及び汚染に関する法規

ガーナ共和国には、本事業に関する生物多様性と野生生物保護に関する法律として、the Fisheries

Act 2002(Act 625)がある。同法律は、漁業委員会の設立・運営や財政規定を義務付けている。 漁業

管理と開発を規制し、漁船、水産養殖およびレクリエーション漁業、漁船のライセンス供与に関する規

定を含む。 また漁場の設立、漁業のための方法、季節、保護措置に関する条項も含まれている。

特に、the Fisheries Act 2002(Act 625)の Section 93 において、漁業委員会に漁業資源への潜在

的な影響を及ぼす活動について説明を行い、事業実施主体による緩和策の提供、具体的には食糧や収入、

雇用等の提供が要請されている。

5)エネルギー・水に関する関連主体

The Ministry of Energy and Resources はガーナ共和国における本事業のモニタリングや政策評価

等を実施する最も重要な主体となるが、その他に同省を支える様々な関連主体が存在する。

① The Energy Commission 及び Ghana Grid Company

The Energy Commission は、the Energy Commission Act (Act 541)に基づき設立・運営されており、

同国における電源開発及び活用に関する規制に関するガーナ政府に対する政策提案の実施を所掌して

いる。同委員会は、発電、送電、卸売供給、および電力の配電ライセンスの発行、規則、基準等を制定

する。また同委員会は検査実行部署を有しており、事業者等の規制の遵守等の検査を行っている。

同国には 2008 年制定 the Electricity Transmission (Technical, Operational and Standards of

Performance) Rules、the Electricity Regulation、2009 年制定 The National Electricity Grid Code

が存在する。the Electricity Transmission Rules は自国の送電網に接続する高圧電源に関する条件、

手続き、基準、展開、操業・保守等を規定する。また the Electricity Regulation は設計、信頼性、

安全性等に関する電力市場における一般的な規制等を規定している。The National Electricity Grid

Code は、発電分野における競争を促進するために制定され、電力送電事業者および独立系事業者に対す

る指導・規制等が規定されている。the National Interconnected Transmission System (NITS)の要件、

手順、基準等が規定され、同国の公営送電事業者である Ghana Grid Company なども本規制に基づき運

営されている。

4-5

② The Public Utility Regulatory Commission

The Public Utility Regulatory Commission はタリフ水準や提供される電力・水のサービス水準等

について検査・認証などを行う行政機関であり、1997 年制定 Public Utility and Regulatory Commission

Act (Act 538)に基づき運営されている。具体的な機能としては、以下事項等が挙げられる。

a) ユーティリティー・サービスの提供に課される料金のガイドラインの提供

b) 電気と水道料金の調査と承認

c) 消費者の利益保護

d) ユーティリティー・サービスの提供に関するパフォーマンスの基準のモニタリング

e) 公益事業間の公正競争の促進

f) 消費者と公益事業者との間の苦情の受領と調査、および紛争の解決

6)海洋に関する法規

ガーナ共和国では海上安全と安全保障強化を目的とした Ghana Maritime Authority Security Act

2004 (Act 675)が存在し、同法律に基づいて、International Ship and Port Facility Security (ISPS)

Code に基づいた、船舶及び港湾設備の安全性等について規制が実施されている。同国の国際貿易港であ

るテマ港やタコラディ・セコンディ港については、同法規及び基準を遵守が義務付けられている。また、

Ghana Shipping Act, 2003 (Act 645)の規定に基づき、ガーナ国船籍の船舶保安計画と国際治安証明書

の提出、ガーナ港への入港を予定しているすべての船舶の国際船舶保安証明書と保安水準等の遵守が要

請される。両法令ともに、Ghana Maritime Authority の所管となっており書類の提出等が要請される。

本事業はテマ港での事業実施が想定されることから、上記の要請に基づいた運用の他、国際的な海事

規則に準拠した運用が求められる。

7)関連するその他のガーナ国内の法規

ガーナ共和国の法令でその他に関連性が指摘できる法令としては以下が存在する。なお、特段一定割

合の現地雇用等を要請する規定等は現時点で存在しない。

① Ghana National Fire Service Act, 1997 (Act 537), s.33(b)

② Labour Act 2009 Act 651;

③ Local Government Act 462 1993;

④ The Public Utilities Regulatory Commission (PURC), Act 538 (1997)

⑤ Electricity Transmission (Technical, Operation and Standards of Performance) Rules.

2008 L.I. 1934

⑥ L.I. 1937: Electricity Regulations, 2008

8)その他関連する国際的な法規

ガーナ共和国は様々な国際的な法規等を採択しており、International Finance Corporation

Performance Standard の遵守が求められる。同基準の構成は以下のとおり。

① 基準 1: Assessment and Management of Environmental and Social Risks and Impacts

② 基準2: Labor and Working Conditions

4-6

③ 基準3:Resource Efficiency and Pollution Prevention

④ 基準4: Community, Health Safety and Security

⑤ 基準5: Land Acquisition and Involuntary Resettlement

⑥ 基準6: Biodiversity Conservation and Sustainable Management of

Living Natural Resources

⑦ 基準7: Indigenous Peoples

⑧ 基準8: Cultural Heritage

また本事業に関連するガイドラインとしては以下が挙げられる。

① The IFC General EHS Guidelines, dated April 30th, 2007

② The IFC EHS Guidelines for Thermal Power Plants, dated December 19th, 2008

③ The IFC EHS Guidelines for Shipping, dated April 30, 2007

④ The IFC EHS Guidelines for Ports, Harbors and Terminals, dated April 30, 2007

⑤ The IFC EHS Guidelines for Electric Power Transmission and Distribution, dated April

30th, 2007

⑥ The IFC Workers’ accommodation

5-1

第 5 章 財務的・経済的実行可能性

(1) 事業費の積算

1) 緊急/仮設対応用小規模設備による<円借款案件>

ガーナ共和国政府関係者との協議の結果、複数の場所の候補が挙げられたが、現時点ではサイトの特定

には至っていない。地上側との接続設備、海象に対応するバージ、係留仕様等未確定の部分が多いが、当

初設定のテマ港近傍の典型的な海岸への設置を想定した概算により、CAPEX のうち設備費分を 6,000 万米

ドル、付帯工事費分を 500 万米ドルとする。初期運転資金 100 万米ドルを含め、必要な初期資金を 6,600

万米ドルとする。

OPEX のうち、大きな比率を占めるのが燃料費である。燃料である重油の価格を 60 米ドル/バレルと想

定した。重油の高位発熱量を 41.5MJ/ℓとして、重油の容積あたり価格は 0.38 米ドル/ℓとなる。

その他の OPEX として、運転員費、発電設備及び海水淡水化設備のメンテナンス費、バージ修繕、産業

廃棄物処理(原料海水に混入する浮遊物)等の固定費的メンテナンス費、上水への注入薬品費等を考慮する。

三菱重工業の経験等に基づき、想定した OPEX を表 5.1 に示す。

事業開始後の稼働率は、緊急/仮設用の用途を鑑み、50%(4,380 時間/年の運転)とした。

以上の想定の下で、年間 OPEX は 370 万米ドルとなる。

表 5.1 緊急/仮設対応用小規模設備の OPEX 想定

項目 想定値 備考

運転員費 40 万米ドル/年 年あたり

発電装置メンテナンス費 20 米ドル/MWh 発電量あたり

海水淡水化装置メンテナンス費 60 米ドル/千 m3 上水製造量あたり

上水への注入薬品費 70 米ドル/千 m3 上水製造量あたり

固定費的メンテナンス費 42 万米ドル/年 年あたり

2) 電力・上水設備供給用大規模設備による<民活インフラ案件>

テマ港近傍の典型的な海岸への設置を想定した概算により、CAPEX のうち設備費分を 2億米ドル、付帯

工事費分を 1,000 万米ドルとする。初期運転資金 100 万米ドルを含め、必要な初期資金を 2億 1,100 万米

ドルとする。

OPEX のうち燃料費は、LNG の価格を 10 米ドル/MMBtu と想定した。天然ガスの高位発熱量を 42MJ/m3Nと

して、LNG 単価は 0.40 米ドル/ m3Nとなる。その他の OPEX として、運転員費、発電設備及び海水淡水化設

備のメンテナンス費、バージ修繕、産業廃棄物処理(原料海水に混入する浮遊物)等の固定費的メンテナン

ス費、上水への注入薬品費等を考慮する。三菱重工業の経験等に基づき、想定した OPEX を表 5.2 に示す。

事業開始後の稼働率は、民間主導の電力・上水供給事業であることから、高い値を確保することが好ま

しく、80%(7,008 時間/年の運転)とした。

以上の想定の下で、年間 OPEX は 790 万米ドルとなる。

5-2

表 5.2 電力・上水設備供給用大規模設備の OPEX 想定

項目 想定値 備考

運転員費 100 万米ドル/年 年あたり

発電装置メンテナンス費 10 米ドル/MWh 発電量あたり

海水淡水化装置メンテナンス費 60 米ドル/千 m3 上水製造量あたり

上水への注入薬品費 70 米ドル/千 m3 上水製造量あたり

固定費的メンテナンス費 136 万米ドル/年 年あたり

(2) 予備的な財務・経済分析の結果概要

1) 緊急/仮設対応用小規模設備による<円借款案件>

緊急/仮設対応用小型設備はガーナ共和国政府機関または政府機関が主導する事業会社が、所有・運営

することを想定している。公営事業となるので、事業期間 20 年の FIRR がゼロ以上となることを事業成立

条件とし、電力・上水の設定料金を計算した。

CAPEX 分のファイナンスは、①日本政府の無償供与または②STEP 円借款活用とする1。ファイナンスス

キームが異なるので、EIRR は評価しない。それぞれのファイナンスキームでの主な仮定を表 5.3 に示す。

①無償供与の場合、付帯工事分の借入金の適用金利は、JBIC の実績を参考に 3%、事業会社の資金繰りを

考慮して据置期間 1年、累積金利負担の軽減を考慮して返済期間は短めの 5年とした。②STEP 円借款活

用の場合、金利は実績を参考に 0.1%、事業会社の資金繰りを考慮して据置期間 1年、返済期間は事業期

間の半分の 5年とした。事業成立条件を満たす設定料金等の計算結果を表 5.4 に示す。

表 5.3 緊急/仮設対応用小規模設備の収支計算仮定

項目|ファイナンススキーム ① 日本政府の無償供与 ② STEP 円借款活用

贈与額 (百万米ドル) 60 -

投資額 (百万米ドル) 2 2

借入額 (百万米ドル) 4 64

適用金利 3% 0.1%

据置期間 1 年 1 年

返済期間 5 年 10 年

減価償却方式 定額 20 年 定額 20 年

1 本件を STEP 円借款事業として実施しようとする場合には、OECD 輸出信用アレンジメント及び Ex Ante Guidance for Tied

Aid にて規定されている内容を考慮し、プロジェクトの商業性の有無につき慎重に確認する必要がある。

5-3

表 5.4 緊急/仮設対応用小規模設備の収支計算結果

項目|ファイナンススキーム ③ 日本政府の無償供与 ④ STEP 円借款活用

電力料金 (米ドル/kWh) 0.15 0.26

上水料金 (米ドル/m3) 1.0 1.7

営業収入(20 年平均) 473 万米ドル/年 815 万米ドル/年

営業利益率(20 年平均) 5% 6%

FIRR 20 年 0.5% 0.8%

既存の IPP、IWP からの調達価格の公表データは無いが、ガーナ共和国関係者との協議の結果から、①

日本政府の無償供与の場合には、電力料金・上水料金とも他の IPP、IWP に競合できる料金レベルにする

ことができると考えられる。②STEP 円借款活用の場合には、主に減価償却費の算入のために設定料金は

高くなる。既存の IPP、IWP に比べると安くなっているとみられるが、小口需要端の電力料金、水料金は、

国民福祉の視点から政府委員会が安く設定しており、Electric Company of Ghana、Ghana Water Company

の負担、結果としての税金からの補給額は大きくなる。

2) 電力・上水設備供給用大規模設備による<民活インフラ案件>

電力・上水設備供給用大規模設備は、民間主導の事業会社が主導して、公的機関の協力下で所有・運営

することを想定している。プロジェクトファイナンスを募ることとなり、政府保証が付くことを前提に金

利 3%/年で資金が借り入れられることとしている、事業期間 20 年の FIRR が金利を上回ることを事業成立

条件とし、電力・上水の設定料金を計算した。

主な仮定を表 5.5 に、事業成立条件を満たす設定料金、EIRR 及び FIRR(20 年)等の計算結果を表 5.6

に示す。

表 5.5 電力・上水設備供給用大規模設備の収支計算仮定

項目|ファイナンススキーム 公的金融機関による融資

投資額 (百万米ドル) 71

借入額 (百万米ドル) 140

適用金利 3%

据置期間 1 年

返済期間 10 年

減価償却方式 定額 20 年

5-4

表 5.6 電力・上水設備供給用大規模設備の収支計算結果

項目|ファイナンススキーム 公的金融機関による融資

電力料金 (米ドル/kWh) 0.25

上水料金 (米ドル/m3) 1.7

営業収入(20 年平均) 3,200 万米ドル/年

営業利益率(20 年平均) 36%

EIRR 20 年 9.3%

FIRR 20 年 4.0%

更なる細事における経済性の精査は必要になるものの、本概算のレベルでプロジェクトファイナンスが組める

程度の採算確保を前提として考慮すると、上記の電力料金、上水料金をガーナ共和国関係官庁、並びに事業関

係者が容認することが必要である。

6-1

第 6 章 プロジェクトの実施スケジュール

本プロジェクトの検討は、下記の2ステップを想定している。

① <円借款案件>日本政府の無償供与または STEP 円借款を活用した緊急/仮設対応用小規模設備による公

営の電力・上水供給事業

② <民活インフラ案件>日本政府系金融機関の融資を活用した電力・上水設備供給用大規模設備によるPPP

スキームの電力・上水供給事業

<民活インフラ案件>での、電力・上水供給事業のためには、民間事業として投資回収の期待できる事業

性が必要で、質の高い洋上火力発電・海水淡水化設備を導入して高いアベイラビリティを確保するととも

に、高稼働率・収入を維持するための、電力小売事業者(現時点では Electricity Company of Ghana)との

間で長期の PPA を締結すること、配水事業者(現時点では Ghana Water Company)との間で長期の WPA を締

結することが重要である。しかし、第 5章で既述のとおり<民活インフラ案件>で、民間事業が成立するた

めの電力・上水料金のレベルは、現時点で買い取り先の事業者にとって魅力的なものにはなっているかは

不透明で、このままでは PPA、WPA の交渉は難航すると考えられるが、経済発展等の社会情勢の変化によ

り、電力・上水が需要拡大・供給不足の局面となり、電力・上水の料金設定がガーナ共和国政府及び電力

小売・配水事業者に容認されれば、事業が成立しやすくなる。

また、設備担保という視点において現時点では一つの浮体に大型の火力発電と海水淡水化を搭載させた

設備実績が無いことから、投融資の担保に必要となる運用実績、つまりプロトタイプでないことの証明は、

洋上火力発電・海水淡水化設備全体としてでなく、浮体設備、火力発電設備、海水淡水化設備それぞれの

個々の設備の実績を積み上げた説明とそのインテグレーションの容易性や具現性等を証明することが必

要となる。他方、債務返済における担保という視点においてはガーナという地域性、そして社会インフラ

案件という公共性を考慮するとガーナ共和国政府保証が必要となる可能性が極めて高い。しかしながら、

ガーナ共和国政府関係者との協議の中でも本設備に対する実績を問う声は挙がっており、ガーナ共和国政

府の債務保証を獲得するためには、なんらかの実績提示が必要である。本設備は数年のうちに他地域で実

証実績が得られる可能性はあるが、ガーナ共和国で早期、且つ、確実にプロジェクトを実現するためには、

まず①の<円借款案件>での小規模設備の導入・検証のステップを踏むことが望ましい。

今後ガーナ共和国の社会情勢の変化に伴う電気料金、上水料金、緊急性といった周辺環境も自ずと変化

が生じていく可能性があることから、上掲のステップを踏むことで実績を提示し、その実績に基いて、ガ

ーナ共和国政府としての債務保証の供出や、投融資関係者の投融資意欲を高めることでガーナ共和国の社

会インフラの飛躍的な拡充していくことが考えられる。

以上の状況から、小規模設備での<円借款案件>について、諸条件が整うことを前提とした最短のプロジ

ェクトスケジュールイメージを以下に示す。

2017 年度 ニーズ・可能性調査 (本調査)

2018 年度上期 サイト選定

2018 年度下期~2019 年度下期 FEED

2020 年度 着工

2021~2022 年度 竣工・運転開始

6-2

<円借款案件>での事業検証を経て、2022 年度以降<民活インフラ案件>での大規模設備の具体的事業検討に

進む手順となる。

7-1

第 7 章 ガーナ共和国実施機関の概要

(1) ガーナ共和国実施機関の概要

以下のような実施機関がある。(2017 年 12 月現在)

1)エネルギー関連実施機関

Ministry of Energy and Petroleum:所管官庁

Electricity Company of Ghana Limited:電力小売会社

Ghana Grid Company Limited:送電会社

Volta River Authority:国営の発電会社

Energy Commission of Ghana:電気事業の許認可機関

2)水関連実施機関

Ministry of Water Resources, Works and Housing:所管官庁

Ghana Water Company Limited:上水供給会社

Public Utility Resources Commission:電力・上水料金の決定機関

(2) ガーナ共和国におけるプロジェクト実施のための組織体制

① <円借款案件>での小規模設備による公営事業

現状は、電力はMinistry of Energy and Petroleumの所管のもとで、国営のVolta River Authority、

民間の IPP が発電事業を行っており、上水は Ministry of Water Resources, Works and Housing

の所管のもとで、Ghana Water Company が水源確保も含めた上水供給事業を実施している。この事

業は電力と上水の両方を供給する事業となるため、既存の電力か上水のどちらかの公営会社を事業

主体とすることは難しく、両者が合弁で設立する新しい SPC を作るのがよいと考えらえる。組織体

制案を図 7.1 に示す。

SPC の機能は、洋上火力発電・海水淡水化設備の保有、設備の運用、維持管理を行って、電力・

上水の供給を行うことである。ガーナ共和国政府またはガーナ共和国政府が設立した国営会社が出

資母体となる。燃料である重油を Ghana Oil Company から調達し、発電・上水製造を行って、電力

小売会社であるElectricity Company of Ghana Limited、上水の供給会社であるGhana Water Company

に電力・上水を販売する。調達・販売に関する単価の契約は、ガーナ共和国政府の政策実行のため

の監督指導等により、SPC が過不足のない適正利潤を確保できるように設定されることが望ましい。

設備がテマ港等の港湾エリアに設置される場合には港湾管理者で Ghana Ports & Harbours

Authority が港湾エリアの占有許可が必要になる。設備の建設には無償供与、STEP 円借款活用のい

ずれの場合も、日系メーカーが洋上火力発電・海水淡水化設備の機器供給、設備全体の EPC を行う。

運用開始後の消耗部品供給を含む O&M は、EPC を実施したメーカーが主体となって実施することが、

インフラの質を維持し、公営事業が安定に営まれるために有効であると考えられる。

7-2

図 7.1 組織体制案 <円借款案件>

② <民活インフラ案件>での大規模設備による民間供給事業

電力供給事業では IPP、上水供給事業としては IWP として、それぞれ単独ではガーナ共和国内で

も実績のある事業形態である。電力と上水を同時に供給する事業として、民間主導で一部公的機関

も参加する PPP スキームとして、それぞれの供給事業に経験のある主体を集めて SPC を作るのがよ

いと考えらえる。組織体制案を図 7.2 に示す。

SPC の機能は、洋上火力発電・海水淡水化設備の保有、設備の運用、維持管理を行って、電力・

上水の供給を行うことである。

SPC への出資は、日本の民間企業・政府系機関から募る。ガーナ共和国政府の債務保証のもとで、

政府系金融機関、民間金融機関の融資を受ける。燃料である天然ガスを Ghana National Gas Company

から調達し、発電・上水製造を行って、電力小売会社である Electricity Company of Ghana Limited、

上水の供給会社である Ghana Water Company に電力・上水を販売する。調達・販売に関する単価の

契約は、SPC が持続可能な経営のできる適正利潤を確保できるように設定されることが、事業成立

のために必要で、ガーナ共和国政府の政策実行のための監督指導等による交渉への関与が望まれる。

設備がテマ港等の港湾エリアに設置される場合には港湾管理者で Ghana Ports & Harbours

Authority が港湾エリアの占有許可が必要になる。設備の建設には、SPC が、日系メーカーに設備

の EPC 及び、運用開始後の消耗部品供給を含む O&M を発注することが望まれる。

7-3

図 7.2 組織体制案 <民活インフラ案件>

(3) ガーナ共和国実施機関の能力評価と対応策

洋上火力発電・海水淡水化設備の構成要素で、ディーゼルエンジンまたは GTCC による発電は、国営

発電会社等での運転・保守・事業運営の経験はある。海水淡水化設備による上水供給については、民間

事業による IWP であるが、ガーナ共和国内での運転・保守・事業運営の実績はあり、国内に運転・保守・

事業運営を実施する能力はあると考えられる。但し、火力発電設備と海水淡水化設備の組み合わせとし

ては初のケースとなるため、運用開始初期には技術支援が望ましいとの、ガーナ政府関係者からの声が

あった。運用開始初期に短期間の日本からの技術者派遣等の措置が考えられるが、有償対応となり事業

コストを圧迫する。一方で、ガーナ共和国内の訓練された人材により、適切に運転維持管理されること

が持続的な事業運営と安定な電力・上水の供給にとって有益なので、条件が合えば JICA 技術協力プロ

ジェクトの活用も選択肢のひとつとして考えられる。

電力供給事業と上水供給事業は異なる所管官庁のもとで実施されており、電力・上水の両方を供給す

る事業を立ち上げるためには、全体を包含した管理体制・実行体制を創出する必要がある。

8-1

第 8 章 日本企業の技術面での優位性(円借款案件とする場合)

(1) プロジェクトにおける日本企業の国際競争力と受注の可能性

三菱重工グループは、洋上火力発電・海水淡水化設備の構成要素である火力発電設備、海水淡水化設

備、船舶等で多数の納入実績を有し、全体の総合エンジニアリング能力も有している。三菱重工グルー

プの納入実績の一例として、添付資料に、アフリカ大陸での火力発電設備の受注実績、三菱重工業の海

水淡水化設備の納入実績を添付資料に示す。

ディーゼルエンジンを搭載した火力発電バージは、世界のいくつかのメーカーが取り組み導入実績も

あるが、火力発電設備と解す淡水化設備を一つのバージ上搭載したものは、日本の三菱重工グループ独

自の構想である。同グループの設備を同グループ内の造船所で計画的に建造できること、また、工程上

でクリティカル(工事遅延の原因)になり易い現地での土建、据付工事がほとんどないことから納入時期

の確実性が高く、その結果として短納期での運転開始が可能となり、最終的には CAPEX が抑えられるこ

ととなる。更には、発電設備と海水淡水化設備の運転員の共通化といったコスト削減策やリロケータブ

ルな設備の強みを活かした設備のオフバランス化や緊急度の高い地域への再配備が可能といったメリ

ットを最大限に生かすことが事業運営上の強みになることが期待される。洋上火力発電・海水淡水化設

備のプロジェクトが実現すれば三菱重工グループのみで設備全体を受注することが可能であり、火力発

電設備、海水淡水化設備といった各設備や造船の技術、並びにそれらを統合するエンジニアリング能力

を全て同一グループ内で対応することが可能である。

(2) 本邦調達が見込まれる主な資機材の内容及び金額

洋上火力発電・海水淡水化設備について、受注者は経済合理的なグローバル調達を行う。小規模設備

では、発電用ディーゼルエンジンは本邦生産、海水淡水化装置の RO 膜は本邦調達の可能性が高い。海

水淡水化装置の EPC は、日本の企業・銀行が出資している海外メーカーで実施される可能性が高い。バ

ージは、本邦企業の技術指導のもと、現地に近く十分な環境の整った海外の造船所で建造される可能性

が高い。

小規模設備の CAPEX6,000 万米ドルのうち、本邦で製造されるものは最大 1,000 万米ドル程度、本邦

企業の海外生産拠点・出資先海外メーカーを含めて 3,000 万米ドル程度が期待される。国内企業が EPC

の元請けとなれば CAPEX のほぼ全額の 6,000 万米ドル程度が本邦調達となる。

小規模設備が実証されれば、大規模設備での事業への発展も含め、更なる輸出拡大効果が期待される。

現地調査で JICA 等から聴取した情報によれば、西アフリカ地域で電力・水の需給ギャップの課題を有

する国は多く、沿岸国のシエラレオネ、リベリア、ナイジェリア等で、洋上発電・海水淡水化設備とそ

れを活用した電力・上水供給事業のポテンシャル・ニーズがあると考えられる。

(3) 日本企業の受注を促進するために必要な施策

日本の企業が質の高い設備を提供可能できること、日本政府が STEP 円借款等で事業実施をサポート

するメニューがあること等、持続的な電力・上水供給事業のできる環境づくりに寄与することについて、

ガーナ共和国政府関係者の理解を醸成することが重要である。設備の品質・納期面では、日本企業が設

備全体の EPC を請け負うことで、仕様不整合・納期遅延等のリスクを低減できることを、ガーナ共和国

8-2

側にアピールする。ファイナンス面では、ガーナ共和国政府の要請に基づき条件が整えば、STEP 円借

款や融資のアレンジメントを日本側がサポートすることで、日本企業の受注が促進されると考えられる。

9-1

第 9 章 日本企業の技術面での優位性(民活インフラ案件とする場合)

(1) 想定される日本企業の参画形態

<民活インフラ案件>での大規模設備による民間供給事業の、組織体制案を図 7.2(再掲)に示す。SPC

の機能は、洋上火力発電・海水淡水化設備の保有、設備の運用、維持管理を行って、電力・上水の供給

を行うことである。出資者が、日本側が中心となって、企業及び政府系機関から募ることが考えられる。

設備の建設には、SPC が、日系メーカーに設備の EPC 及び、運用開始後の消耗部品供給を含む O&M を発

注することが望まれる。

図 7.2(再掲) 組織体制案<民活インフラ案件>

(2) プロジェクトの実施に際しての日本企業の優位性

三菱重工グループは、洋上火力発電・海水淡水化設備の構成要素である火力発電設備、海水淡水化設

備、船舶等で多数の納入実績を有し、全体の総合エンジニアリング能力も有している。

三菱重工グループの納入実績の一例として、添付資料に、アフリカ大陸での火力発電設備の受注実績、

三菱重工業の海水淡水化設備の納入実績を添付資料に示す。

ディーゼルエンジンを搭載した火力発電バージは、世界のいくつかのメーカーが取り組み導入実績も

あるが、火力発電設備と解す淡水化設備を一つのバージ上搭載したものは、日本の三菱重工グループ独

9-2

自の構想である。造船所で計画的に建造できて現地工事がほとんどなく、短納期が可能で、結果として

CAPEX が抑えられることとなり、また、発電設備と海水淡水化設備の運転員の共通化により OPEX が抑

えられること等、事業運営上の強みになることが期待される。洋上火力発電・海水淡水化設備のプロジ

ェクトが実現すれば日本の三菱重工グループが、設備全体を受注することが可能である。

(3) 日本企業の受注を促進するために必要な施策

日本の企業が質の高い設備を提供可能できること、優遇金利での政府系金融機関からの融資、事業の

安定運営のためのオフテイカー(買電主体、買水主体)への融資等、ファイナンス面での支援メニューが

ること等、持続的な事業のできる環境づくりに寄与することについて、ガーナ共和国政府関係者の理解

を醸成することが重要である。設備の品質・納期面では、日本企業が設備全体の EPC を請け負うことで、

仕様不整合・納期遅延等のリスクを低減できることを、出資者・融資者に説明する。またファイナンス

面での支援メニューを活用できるように、日本側がリードしてアレンジメントしていくことにより、日

本企業の受注が促進されると考えられる。

10-1

第 10 章 プロジェクトの資金調達の見通し(円借款案件とする場合)

(1) ガーナ共和国政府・機関の資金調達に関する考え方

ガーナ共和国全体の姿勢としては、現大統領アクフォ=アド氏の所信”We Want To Build A Ghana Beyond

Aid”(出典:ガーナ共和国大統領府ウェブサイト)の下で援助に頼らない国づくりを目指している。政府機関

Ghana Investment Promotion Centre を中心に外国からの民間投資を勧めているが、民間投資では事業成立

が難しい案件もあり、政府援助も受け入れている。中国・日本からの政府援助については、Ministry of Finance

の中に CHINA JAPAN DESK が設置されており、その部署が円借款等の受け入れ業務を行っている。

(2) 資金調達に伴う関連機関の動向

ガーナ共和国は、IMF から“雇用を確保しつつ成長を目指す 2015 年からの 3か年で 9億 1,800 万米ドル相

当の ECF(拡大クレジット・ファシリティ)”の適用を受けている。2017 年 7 月に 4回目のレビューが完了し 1

年間の適用延長が決定した。(出典:IMF プレスリリース) IMF のレビューでは、2016 年 12 月に政権交代し

た NPP 新政権下での財政改革努力は一定の評価を得ているが、継続的な課題として電力セクターの効率的な運

営が明言的に指摘されており、ガーナ共和国政府は Electric Company of Ghana の民営化等、電力を取り扱う

公営企業の改革を進めている。Electricity Company of Ghana(電力小売)、Volta River Authority(発電)の

財務構造改善に供する資金調達のため、2016 年 10 月に償還期間 10 年間、額面 22.9 億ガーナセディの政府無

保証の Energy Bond が発行された。その中で前政権下で締結された高単価の PPA のもと Electric Company of

Ghana が IPP から高価な電力を調達せざるを得ない状態は財務改善の支障の一つとなっている。現地調査で聴

取した情報によれば、上水供給でも同様に高単価の WPA のもとで、Ghana Water Company が IWP に支払遅延が

発生する事態が生じている模様である。このような状況下で、ガーナ共和国政府、公営企業にとって、買電・

買水単価を下げる取り組みは好ましいが、IMF の監視の下で財政支出を抑える必要はあり現時点では積極的な

方策に進みにくい状況である。

世界銀行 International Debt Statistics 2018 によると、ガーナ共和国の対外債務は 214 億米ドル(2016

年)で、GDP427 億米ドル(2016 年)の 50%となっている。返済はおおむね順調に行われている。2016 年は大統領

選挙の影響で財政状態が悪化したものの、IMF のレビューの通り新政権下で財政状態は回復傾向にあり、今後

2022 年まで政府負債の減少は続くと予想されている。(出典:IMF プレスリリース) 統計値の上では、ガーナ

共和国は新たな対外債務を許容する余地はあると考えられる。

10-2

(3) 資金調達の見通し及び円借款要請の現状・可能性

2003 年度以降のガーナ共和国に対する日本の政府援助(円借款、無償供与、技術協力)の推移を図 10.1 に示

す。2004 年にそれ以前の債務免除を行った後、新規円借款の供与は中断していたが、2016 年に「東部回廊ボ

ルタ川橋梁建設計画」を STEP 円借款により支援することが決定し、新規供与が再開された。2015 年度の無償

資金協力は、「アクラ中心部電力供給強化計画」で変電所等の基幹送配電施設の新設により、電力供給の強化

と送配電ロスの軽減を図るものである。(出典:JICA ウェブサイト)

ガーナ共和国政府内の一部に、<円借款案件>での電力・上水供給事業に関心を持っている部署がある。ガー

ナ共和国政府内で優先度の整理・協議が行われ、高い優先度が与えられれば、円借款の要請が行われる可能性

がある。

図 10.1 ガーナ共和国向け円借款・無償供与の推移

出典:JICA 資料に基づき三菱重工業作成

11-1

第 11 章 プロジェクトの資金調達の見通し(民活インフラ案件とする場合)

(1) 資金ソース及び資金調達計画の検討

第7章に記載のとおり、洋上火力発電・海水淡水化設備の保有、設備の運用、維持管理、電力・上水の

供給を行う SPC を設立することを想定する。第 5章の収支計算では一般的なプロジェクトにならい、借入:

資本比率を 2:1 と想定している。出資分については本邦企業を中心に募ることを計画している。出資者候

補としては、設備の EPC 供給者である、三菱重工グループ等のメーカー、海外での IPP や IWP の事業経験

のある商社等で日系コンソーシアムを組むことが考えられる。条件が合えば、JICA 等政府機関の出資の

可能性もある。現地調査時に Ghana Invest Promotion Centre から聴取した情報では、一般論としてガー

ナで事業を実施するには、10%以上の現地資本が必要とのことであった。具体的には、事業内容、事業開

始時点での現地法制に照らして検討の必要があるが、オペレータ、オフテイカー等に出資を呼び掛けるこ

とになるであろう。借入金については、世界銀行、日本の金融機関等との協調で、日本政府・政府系金融

機関として、JBIC からの融資、JICA 海外投融資等の可能性が考えられる。

いずれの場合でも、事業の収益性をはじめ、公益性、環境影響等について説明できることが必要である。

(2) 資金調達の実現可能性

JBIC はそのミッションのひとつとして、「日本の産業の国際競争力の維持および向上」を掲げている。

本プロジェクトにおいて、主要な出資者である日系コンソーシアム、EPC の受注、O&M 契約の受注等、日

本企業の裨益性が高いことは示せれば、JBIC 投資金融の活用の可能性がある。他の出資者、融資者に対

しても、事業の経済的成立性をはじめ、公益性、環境影響等について説明しなければならない。現時点で

は事業の収益性が十分であるとは言い難いが、諸条件の変化により事業収益性が確保できるようになった

時点で、出資・融資の実現性がでてくる。

(3) キャッシュ・フロー分析

第5章記載の諸仮定に基づく収支計算結果を表 5.2(再掲)に示す。プロジェクトファイナンスが組め

るレベルの採算を確保しつつ事業を進めるためには、電力料金、上水料金ともに同価格レベルでガーナ

政府や事業関係者に受け入れられるか確認が必要である。

表 5.6(再掲) 電力・上水設備供給用大規模設備の収支計算結果

項目|ファイナンススキーム 公的金融機関による融資

電力料金 (米ドル/kWh) 0.25

上水料金 (米ドル/m3) 1.7

営業収入(20 年平均) 3,200 万米ドル/年

営業利益率(20 年平均) 36%

EIRR 20 年 9.3%

FIRR 20 年 4.0%

12-1

第 12 章 案件実現に向けた課題とアクションプラン(円借款案件とする場合)

(1) 円借款要請に向けた取り組み状況

ガーナ共和国政府の関心を持っている部門に対して、2回の現地調査の際に働きかけを行なった。ガーナ共

和国側の関係者は、中長期的な視点での発電設備・上水供給設備の必要性は認識しており、洋上火力発電・海

水淡水化設備の特長も理解されているとみられるが、新政権下での財政再建がまさに進行中で、関心の関係者

は、実務的には財政再建対応の実務、例えば電力セクターの効率化推進等の業務に追われているのが現時点の

状況である。現地調査での協議の中でガーナ共和国側の関係者から出た”We need, but not now.”という言

葉が状況を示している。具体的な候補地について、ガーナ共和国側の関係者との協議の中でテマ、タコラジ等

複数の候補サイトが示されたが、電力・上水の需給状況や立地制約について検討された状態ではなく、具体化

は進んでいない。

(2) 今後の円借款要請・供与に向けて必要となる措置

財政再建の全体としては、IMF レビューで評価されているように前進しているので、一定の成果に達したら、

電源・水源計画が再び高優先度の課題になると考えられる。その時点で、ガーナ共和国政府の電力・上水部門

の実務者によるチェックが進めば、候補地も絞られてくる。そして、政府内の電力・上水部門から財務部門に

プロジェクトが提案され、ガーナ共和国内での優先度が審議される。インフラ整備の中でも道路・橋梁等のプ

ロジェクト等との競争もあり、2017 年度時点で実施中の日本政府援助のインフラ案件は、橋梁と配電設備で

ある。さらに、援助国間の競争もあり、日本が品質・費用・納期の観点で優れていることを、ガーナ共和国側

に示す必要がある。

(3) 円借款要請に向けた具体的課題とアクションプラン

円借款要請に向かう手順とともに、構想・関心の段階から、具体的なプロジェクトを組み立てる手順は必要

である。プロジェクトサイト・スコープの確保に基づく詳細なキャッシュ・フロー分析、設備仕様の決定、O&M

体制の協議を、ガーナ共和国側と日本側で進める必要がある。円借款案件であれば、両国の当事者は政府機関

となり、政府間で上記に具体化の協議をすることとなる。両国から EPC 供給者に委託して実施する FEED が具

体化の主要部分となる。

13-1

第 13 章 案件実現に向けた課題とアクションプラン(民活インフラ案件とする場合)

(1) プロジェクトの実現に向けた本邦企業の取組状況

洋上火力発電・海水淡水化設備による電力・上水供給事業について、三菱重工業は本調査にてガーナ共

和国政府関係者にニーズ調査を実施し、一部に関心があることを確認するとともに、典型的な設備につい

て、仕様面等、計画設計を実施し、提案に向けて前進した状態になっている。

<民活インフラ案件>を進める条件が整ったならば、プロジェクトサイト・スコープの確保に基づく詳細

なキャッシュ・フロー分析、設備仕様の決定、O&M 体制の協議など、両国の当事者間で具体的な詰めを行

い出資者、融資者を集めることとなる。具体化したら事業参画を検討したいという本邦企業もある。

出資者、融資者に対して、実績を示すことは大きな訴求点となり、三菱重工業では、他国、他の地域、容

量の異なる類似機種も含めて検証の機会を探していく。

(2) プロジェクトの実現に向けたガーナ共和国の関係官庁・実施機関の取り組み状況

ガーナ共和国政府は、全般的には外国からの民間投資を歓迎しており、諸条件が整えばガーナ共和国政

府の協力は期待される。但し、電力・上水供給事業では、事業自体が民間主導であっても、PPA・WPA で

の買電・買水単価の設定を介して政府または需要者に負担がかえってくるので、財政改革を進めている状

況下では、政府機関は慎重な姿勢となっているとみられる。電力・上水の需要が増加する見通しはあり、

他の手段より相対的に負担が軽くなり、安定供給等の間接的なメリットが理解されれば、ガーナ共和国政

府側で、<民活インフラ案件>が再注目される可能性はある。

(3) ガーナ共和国の法的・財務的制約等の有無

ガーナ共和国では、IMF の監視下で財政改革を進めており、新規案件での政府による支払保証の獲得は

現時点では困難である。但し、本事業の中心となる洋上火力発電設備・海水淡水化設備はリロケータブル

であり、仮に同政府が一方的に支払いや債務不履行の状況に陥った場合は、同設備を他国に移設するとい

った緊急的措置も考えられることから、陸上に設置する不動産的な設備と比較すると緊急時の対応手段の

選択肢は多いため、ガーナ共和国の財務的制約状況のもとで、事業者側からから見た案件の成立性は洋上

設置の本事業の方が高いと考えられる。

環境配慮等の法規制については、現時点で設備導入、事業実施の支障となるものは無い。環境影響評価

については、既存の火力発電 IPP、海水淡水化 IWP 等で実施されてきた環境影響評価の手順を踏むことに

なる。

(4) 更なる詳細分析が必要な項目

具体的なプロジェクトサイトが決まったら、FEED を実施し、既存インフラとの接続を含めた事業者が用

意すべき設備の仕様、スコープの確定、CAPEX、OPEX の精査、電力・上水の需給予測、売電・売水単価の見

通し等に基づき、実現可能性の高い事業計画を立案し、両国政府、出資者、融資者に魅力ある提案ができる

ようにすることが必要である。

© 2017 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved. 4

A-1

© 2017 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved. 5

A-2

© 2017 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved. 6

A-3

1.1 OVERVIEW

添付資料2 METOTO社概要

A-4

1.2 FACILITIES

A-5

1. ACHIEVEMENT

A-6

1. SCOPE

A-7

1. RECENT DESALINATION PROJECTS

ooo

ooo

ooo

A-8

ooo

oo

o

ooo

A-9

ooo

ooo

ooo

A-10

Other Recent Projects

A-11

A-12

添付資料 3 面談リスト

(1)国内官庁等

日程 面談先 摘 要

平成 29 年

8 月 22 日

JICA アフリカ第2課 委託業務の説明

情報収集

平成 29 年

8 月 25 日

JETRO 中東アフリカ課 委託業務の説明

情報収集

平成 29 年

9 月 13 日

METI 資金協力室 第1回現地調査の計画

平成 29 年

10 月 11 日

METI 資金協力室 第1回現地調査の報告

平成 29 年

10 月 17 日

在日本ガーナ大使館 大使 現地調査の報告

平成 29 年

10 月 23 日

JICA アフリカ第2課

現地調査の報告

平成 29 年

11 月 27 日

METI 資金協力室 第2回現地調査の計画

平成 29 年

12 月 13 日

METI 資金協力室 第2回現地調査の報告

METI:経済産業省、JICA:国際協力機構、JETRO:日本貿易振興機構、MHI:三菱重工業、NRI:野

村総合研究所

A-13

(2)第 1 回現地調査

現地調査期間 平成 29 年 9 月 25 日~平成 29 年 10 月 6 日

日程(現地) 面談先 摘 要

平成 29 年

9 月 26 日

JICA ガーナ事務所 委託業務の説明

情報収集

平成 29 年

9 月 27 日

在ガーナ日本国大使館 委託業務の説明

情報収集

平成 29 年

9 月 27 日

Ministry of Foreign Affairs & Regional Integration

Deputy Director - ECTIB

調査目的の説明

調査協力依頼

平成 29 年

9 月 28 日

Ghana Environmental Protection Agency

Deputy Executive Director(Field Operation)

Director/Field Operation Southern Sector

調査目的の説明・協議

情報収集

平成 29 年

9 月 29 日

Ministry of Energy

Deputy Minister (Power)

Director Generation & Transmission

調査目的の説明・協議

情報収集

平成 29 年

9 月 29 日

Ghana Investment Promotion Centre

Director Research & Business Development

Invest Promote Officer Research & Business Development

調査目的の説明・協議

情報収集

平成 29 年

9 月 29 日

Ghana Oil Company

Head of Finance

Head of Technical & Special Products

調査目的の説明

情報収集

平成 29 年

10 月 2 日

Electricity Company of Ghana

Ag. Managing Director

調査目的の説明・協議

情報収集

平成 29 年

10 月 2 日

Water Resource Commission

Director Environmental Quality

調査目的の説明

情報収集

平成 29 年

10 月 2 日

Public Utilities Regulatory Commission

Director Water

調査目的の説明

情報収集

平成 29 年

10 月 2 日

Ghana Water Company

Dep. Managing Director(Finance & Administration)

調査目的の説明・協議

情報収集

平成 29 年

10 月 2 日

Energy Commission Ghana

Ag. Director(Strategic Planning & Policy)

Director Renewable Energy

調査目的の説明・協議

情報収集

平成 29 年

10 月 3 日

Ghana Ports & Harbours Authority

Director-General

PJ Engineer

調査目的の説明・協議

情報収集

平成 29 年

10 月 4 日

Bank of Ghana

Head, Financial Stability Department

調査目的の説明

情報収集

A-14

(2)第 1 回現地調査(続き)

日程(現地) 面談先 摘 要

平成 29 年

10 月 4 日

Ghana Free Zone Board

Head of Estate & Enclave

調査目的の説明・協議

情報収集

平成 29 年

10 月 4 日

Ghana Environmental Protection Agency

Director/Field Operation Southern Sector

協議

情報収集

平成 29 年

10 月 4 日

Ministry of Finance

Principal Economic Planning Officer

Economic Officer Public Investigation Division

調査目的の説明

情報収集

平成 29 年

10 月 6 日

Ministry of Energy

Deputy Minister (Power)

協議

情報収集

平成 29 年

10 月 6 日

JICA ガーナ事務所 調査状況報告

(3)第 2 回現地調査

現地調査期間 平成 29 年 12 月 3 日~平成 29 年 12 月 7 日

日程(現地) 面談先 摘 要

平成 29 年

12 月 4 日

Ghana Free Zone Board

Head of Estate & Enclave

協議

状況聴取

平成 29 年

12 月 4 日

Ministry of Energy

Deputy Minister (Power)

協議

状況聴取

平成 29 年

12 月 4 日

Ghana Water Company Limited

Dep. Managing Director(Finance & Administration)

協議

状況聴取

平成 29 年

12 月 5 日

Ghana Water Company Limited

Managing Director

協議

状況聴取

平成 29 年

12 月 5 日

Ministry of Finance

Deputy Minister of Finance

Director Public Investment Division

協議

情報収集

平成 29 年

12 月 6 日

Ghana Environmental Protection Agency

Researcher

情報収集

平成 29 年

12 月 6 日

Electricity Company of Ghana

Ag. Managing Director

協議

状況聴取

平成 29 年

12 月 7 日

JICA ガーナ事務所 調査状況報告

情報収集