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平成29年度非化石エネルギー等導入促進対策調査等事業 (水素燃料電池式フォークリフト等の規制基準調査) 報 告 書 平成 30 3 高圧ガス保安協会

平成29年度非化石エネルギー等導入促進対策調査等 …平成29年度非化石エネルギー等導入促進対策調査等事業 (水素燃料電池式フォークリフト等の規制基準調査)

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平成29年度非化石エネルギー等導入促進対策調査等事業

(水素燃料電池式フォークリフト等の規制基準調査)

報 告 書

平成 30 年 3 月

高圧ガス保安協会

目次

0. 用語の定義 ..................................................................................................................... 1

1. 調査目的 ......................................................................................................................... 3

2. 調査内容 ......................................................................................................................... 3

3. 現地調査先 ..................................................................................................................... 4

4. FCFL 利用の現状と課題 ................................................................................................ 6

4.1 FCFL 利用の現状 ..................................................................................................... 6

4.2 FCFL 利用の課題 ................................................................................................... 16

5. FCV 用規制と FCFL 用規制の比較 ............................................................................. 23

5.1 国内における FCV 用規制と FCFL 用規制の比較 ................................................. 23

5.2 北米における FCV 用規制と FCFL 用規制の比較 ................................................. 39

6. 国内外に立地する FCV 用水素ステーションを含め既存の水素供給設備の材料、設計、

建設、整備等に関する規制・運用面における相違の有無 .................................................. 44

6.1 材料に関する規制・運用面における相違 ............................................................... 44

6.2 設計に関する規制・運用面における相違 ............................................................... 44

6.3 建設に関する規制・運用面における相違 ............................................................... 45

6.4 整備に関する規制・運用面における相違 ............................................................... 46

6.5 その他の規制・運用面における相違 ...................................................................... 48

7. 水素利用に係る技術基準の見直し要否を含めた規制基準に関する考察 ...................... 50

7.1 過去の事故事例 ...................................................................................................... 50

7.2 圧縮水素スタンドの製造設備の仕様 ...................................................................... 50

7.3 圧縮水素スタンドの立地 ........................................................................................ 51

7.4 圧縮水素スタンドで充塡する対象 .......................................................................... 51

7.5 その他 ..................................................................................................................... 51

8. まとめ .......................................................................................................................... 52

8.1 FCFL に係る規制基準について .............................................................................. 52

8.2 FCFL 用の圧縮水素スタンド等に係る規制基準について ...................................... 52

1

0. 用語の定義

本報告書では、必要に応じて以下の略称等を使用する場合がある。

ただし、経済産業省の仕様書や各種資料等を引用する場合は、その仕様書や資料等に基

づくことを原則とするため、用語の不整合が生じる場合がある。

圧縮水素スタンド等 :圧縮水素スタンド及び移動式圧縮水素スタンド

一般則 :一般高圧ガス保安規則

高圧ガス保安室 :経済産業省産業保安グループ高圧ガス保安室

郊外型 :保安物件に対し所定の設備距離を確保することが要求される

ハード基準により設置された定置式製造設備である圧縮水素

スタンド

コンビ則 :コンビナート等保安規則

ソフト基準 :製造の方法に係る技術上の基準

大臣認定試験者 :一般高圧ガス保安規則第 6 条第 1 項第 11 号等の規定による

試験を行う者

大臣認定品 :大臣認定試験者が製造し、試験等を行い、その試験等に関する

記録によって、認定試験者の製造した機器が所定の試験に合格

したもの

都市型 :保安物件に対し所定の設備距離を確保することは要求されないが、

その代わり種々の保安設備を要求されるハード基準により設置

された定置式製造設備である圧縮水素スタンド

ハード基準 :製造のための施設の位置、構造及び設備に係る技術上の基準

プレクール :燃料装置用容器に圧縮水素を充塡する前に、当該圧縮水素を

冷却(水素圧縮機に係る冷却器による冷却を除く。)すること

保安課 :経済産業省産業保安グループ保安課

法 :高圧ガス保安法

容器則細目告示 :容器保安規則に基づき表示等の細目、容器再検査の方法等を

定める告示

容器則 :容器保安規則

ABSA :Alberta Boilers Safety Association

CE :コールド・エバポレーター

CHIC :CAN/BNQ 1784-000/2007 Canadian Hydrogen Installation Code

CNG :圧縮天然ガス

CNR :Canadian Registration Number(カナダ登録番号)

CSA :Canadian Standards Association(カナダ規格協会)

FC :燃料電池

2

FCFL :燃料電池フォークリフト

FCV :燃料電池自動車

FL :フォークリフト

FRP 複合容器 :繊維強化プラスチック複合容器

ICC :International Code Council(国際基準評議会)

IFC :International Fire Code

ITA :Industrial Truck Association

LNG :液化天然ガス

NFPA :National Fire Protection Association(全米防火協会)

NFPA2 :Hydrogen Technologies Code

NREL :National Renewable Energy Laboratry

NRTL :Nationally Recognized Testing Laboratory

POS システム :販売時点情報管理

3

1. 調査目的

高圧ガスを使用する新エネルギー利用システムの安全な普及のためには、高圧ガス保安

法に基づく適切な規制を行うことが不可欠である。そのため、国際的な規制制度との調和

等も勘案し、必要な技術基準策定のための検討を行い、新エネルギーシステムの安全な実

用化を推進することを目的とする。

2. 調査内容

排ガスが出ないなど環境性に優れ、短い充塡時間による作業効率も高く、さらにバッテ

リー交換方式に比して省スペース化が可能といった特徴を持つ FCFL は、現在米国におい

ては 1 万数千台以上利用されており、今後世界で広く利用される可能性が高い。

我が国での FCFL の普及については、日本の場合、水素を利用する際には 70MPa の乗

用車による利用を意図した技術開発とともに、その利用を促進するための種々の規制緩和

が実施され適切な規制基準が適用されているところ、倉庫や工場などの事業所内で自己利

用する FCFL に充塡するための 35MPa の水素利用については規制基準を分けた方が合理

的となる可能性も考えられるため、国内外の FCFL 利用の現状調査と課題、FCV 用規制と

の比較等について調査(現地調査及び文献、インターネット等による調査を併用。)を行い、

現在の高圧ガス保安法令における水素利用に係る技術基準の見直し要否を含めた規制基準

に関する提言を行う。

更に、FCFL の普及に伴い、関連してこれらに水素を供給する充塡設備等につき、国内外

に立地する FCV 用水素ステーションを含め既存の水素供給設備の材料、設計、建設、整備

等に関する規制.運用面における相違(詳細は、高圧ガス保安室と相談。)の有無を検証し、

必要により上記規制基準に関する提言に反映する。

4

3. 現地調査先

次の FCFL を利用している事業者、FCFL を製造している事業者、FCV/FCFL 等に関係

する設備を設計・製造又は運用をしている事業者及び規制当局(国外に限る。)を訪問し、

現地調査を実施した。(国内の一部事業者は、訪問に代えてメールにより調査を実施した。)

また、FCFL に係る国内外の関係者が多く集まるセミナーに参加し、情報収集を実施した。

表 3-1 国内の現地調査先

訪問年月日 調査先の区分 調査先の名称

平成 30 年 1 月 9 日 FCFL を製造している事業者 株式会社豊田自動織機

高浜工場

平成 30 年 1 月 11 日 FCFL を利用している事業者 関西エアポート株式会社

(関西国際空港)

平成 30 年 1 月 11 日

及び 12 日

FCV/FCFL 等に関係する設備を設計・

製造又は運用をしている事業者

岩谷産業株式会社

大阪本社

平成 30 年 1 月 12 日 FCV/FCFL 等に関係する設備を設計・

製造又は運用をしている事業者

株式会社フジキン

大阪工場 柏原

平成 30 年 1 月 12 日 FCV/FCFL 等に関係する設備を設計・

製造又は運用をしている事業者

サムテック株式会社

羽曳野第 3 工場

平成 30 年 2 月 19 日 FCFL を含めた水素・燃料電池の関係者 水素・燃料電池関連製品

等開発促進セミナー

平成 30 年 2 月 28 日

から 3 月 2 日まで

FCFL を含めた水素・燃料電池の関係者 第 14 回水素・燃料電池展

(FC EXPO 2018)

(メールにより調査) FCV/FCFL 等に関係する設備を設計・

製造又は運用をしている事業者

株式会社鈴木商館

豊田事業所

5

表 3-2 国外の現地調査先

訪問年月日 調査先の区分 調査先の名称

平成 30 年 2 月 5 日 FCFL を利用している事業者 Walmart Balzac

Distribution Centre

平成 30 年 2 月 5 日 FCV/FCFL 等に関係する設備を設計・

製造又は運用をしている事業者(カナダ

の水素ステーションに係る規制内容の

ヒアリング先として、地元の規制当局

(Rocky view County)より紹介された

事業者)

SGS Canada Inc.

平成 30 年 2 月 5 日 規制当局 City of Calgary

Province of Alberta

平成 30 年 2 月 7 日 FCV/FCFL 等に関係する設備を設計・

製造又は運用をしている事業者(アメリ

カの水素ステーションに係る規制内容

について知見を有する担当部署を含む)

Air Products and

Chemicals, Inc.

平成 30 年 2 月 8 日 保安課の指定した米国連邦政府の関係

機関等

General Electric

Company(GE)

平成 30 年 2 月 8 日 保安課の指定した米国連邦政府の関係

機関等

The American

Petroleum

Institute(API)

平成 30 年 2 月 9 日 保安課の指定した米国連邦政府の関係

機関等

United States

Department of

Labor,

Occupational

Safety and Health

Administration

(OSHA)

平成 30 年 2 月 9 日 保安課の指定した米国連邦政府の関係

機関等

The American

Chemistry Council

(ACC)

6

4. FCFL 利用の現状と課題

現地調査及び文献、インターネット等による調査から、次のような FCFL 利用の現状と

課題が確認された。

4.1 FCFL 利用の現状

FL の世界市場(2016 年)をみると、図 4.1-1 に示すとおり 100 万台を超える市場とな

っている。2017 年は 130 万台を超える見込みである。過去 5 年間の推移をみても、表 4.1-1

に示すとおりいずれの年も前年度比 100%を超えており、堅調に成長している市場といえる。

FL の国内市場を(2016 年)をみると、図 4.1-1 に示すとおりおよそ 8 万台の規模がある。

2017 年は 8 万 1 千台を見込んいる。こちらも過去 5 年間の推移をみても、表 4.1-1 に示す

とおり堅調に推移している市場と言える。

FL は、ITA 規格に基づくと図 4.1-1 に示すように分類できる。日本ではカウンタが多く

利用されているが、欧米ではリーチ及びローリフトが多く利用されているという地域差が

あるが、動力源は地域差がなく電動式又はエンジン式が多く、FCFL は極めて少ない。

図 4.1-1 フォークリフトの種類(株式会社豊田自動織機 提供)

7

表 4.1-1 FL 市場の推移(株式会社豊田自動織機 提供)

2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年

世界市場 1,007 千台

(107%)

1,085 千台

(108%)

1,098 千台

(101%)

1,180 千台

(108%)

1,365 千台

(116%)

国内市場 72 千台

(-)

77 千台

(107%)

81 千台

(105%)

78 千台

(98%)

81 千台

(104%)

注記 1:2013 年~2016 年までは実績、2017 年は見込み

2:括弧内比率は対前年比、うち(-)はデータなし

しかしながら、北米市場においては図 4.1-2 に示すとおり FCFL の導入が加速しており、

2017 年の導入予定分を含めると累計で 1 万 5 千台を超えている。2016 年末をもって国か

らの補助・支援(税還付)が終わったにもかかわらず、2017 年度以降も順調に増加する見

込みである。

導入企業を見ると特に大企業の導入が加速しており、6,000 台(推定)を導入(予定を含

む。)している企業もある。導入サイトの分布を見ると大消費地の近郊で導入が加速してい

る。また、1 事業所で 100 台以上の大規模導入を行っているケースが多い。

図 4.1-2 北米市場における FCFL 普及状況(株式会社豊田自動織機 提供)

8

Walmart は、2005 年に「再生可能エネルギーを 100%とする。産業廃棄物をゼロとする。

人と環境を持続させる製品を販売する。」の持続可能性を社是とすることを発表して以来、

全社で取り組みを進め、太陽光や風力等と比較検討した結果、 も持続可能性が高いもの

として FC を選定した。そして 2010 年 Balzac の生鮮食品配送センターに液化水素を利用

した水素インフラ(ディスペンサーは、屋内に 2 ヶ所)を整備するとともに、およそ 70 台

の FCFL を導入した。(Balzac の生鮮食品配送センター内で使用する FL は、すべて FCFL

とした。)なお、Walmart は FCFL の導入をさらに進めており、2018 年 2 月現在、Balzac

の生鮮食品配送センターでは 140 台を超える FCFL を稼働させるとともに、他の工場でも

FCFL の導入を進めている。

またその他にも、BMW サウスカロライナ工場では、屋外に蓄圧器と液化水素貯槽等を、

屋内に 6 か所のディスペンサーを設置し、FC ユニットを有する牽引車及び FCFL をあわせ

て合計 275 台を利用している。

図 4.1-3 北米における大規模導入の事例(PlugPower 社ウェブサイトより)

9

一方で国内市場は、開発や実証試験等の過程を経て、2016 年 11 月から販売が開始され

たばかりであり、本格的な普及には至っていない。

現在、国内で販売されている FCFL の主要諸元を図 4.1-4 に、その FCFL に搭載してい

る FC ユニットの概要を図 4.1-5 に示す。

図 4.1-4 国内で販売されている FCFL の主要諸元(株式会社豊田自動織機 提供)

図 4.1-5 国内で販売されている FCFL に搭載されている FC ユニットの概要

(株式会社豊田自動織機 提供)

10

次に国内の導入状況を図 4.1-6 に示す。

図 4.1-6 国内市場における FCFL 普及状況(株式会社豊田自動織機 提供)

大規模導入事例として、液化水素貯槽を設置するとともに、ディスペンサーを 3 台設置

し1日あたり延べ 200 台の充塡を可能とするインフラを既に整備した事例がある。2017 年

12 月末時点で導入された FCFL は 6 台である。

図 4.1-7 国内における大規模導入の事例(株式会社豊田自動織機 提供)

11

コスト削減を検証するために、FCV 用と FCFL 用の水素供給設備を併設した事例がある。

2017 年 12 月末時点で導入された FCFL は 2 台である。

図 4.1-8 国内における FCV 用と FCFL 用の水素供給設備併設の事例

(株式会社豊田自動織機 提供)

FCFL を利用する各事業所で水素供給設備を設置するのではなく、簡易型水素充塡車を利

用して、地域での連携を試みている事例もある。2017 年 12 月末時点で導入された FCFL

は 12 台である。

神奈川県プレスリリース http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/887491.pdf をもとに改変・作成

図 4.1-9 国内における簡易型水素充塡者の活用による地域連携の事例

(株式会社豊田自動織機 提供)

12

神奈川県では、今後の FCFL の普及を期待し、水素・燃料電池関連製品等開発促進セミ

ナーを開催し、行政の取組み、FCFL メーカの取組み及び FCFL インフラ事業者の取組み

を紹介していた。そのプログラムは、次のとおり。

神奈川県の水素社会実現に向けた取組み

講師:神奈川県産業労働局産業部エネルギー課

燃料電池フォークリフトの普及に向けて

講師:株式会社豊田自動織機 産業用 FC プロジェクト

燃料電池フォークリフト用水素充填設備について

講師:株式会社鈴木商館 豊田事業所

国内外の水素・燃料電池に係る関係者が多く集まる第 14 回水素燃料電池展(FC EXPO

2018)では、少なくとも次の講演の中で FCFL 又は FCFL 用の設備について触れられてい

た。また、FCFL 及び FCFL 用の設備も展示され、多くの関係者が集まっていた。

【FCFL について触れていた講演】

基調講演・U.S.Department of Energy

「米国エネルギー省の水素・燃料電池分野における 新の取組み」

専門技術セミナー(FC-7)・Navigant Research

「米国の燃料電池ビジネスとフォークリフト業界におけるその実現化の可能性」

専門技術セミナー(FC-8)・株式会社豊田自動織機

「燃料電池フォークリフトの取組み」

専門技術セミナー(FC-10)・岩谷産業株式会社

「多様化する燃料電池車両に対する水素インフラ事業者の取組み」

専門技術セミナー(FC-10)・HySUT

「次世代水素ステーションに向けた技術開発状況について」

専門技術セミナー(FC-10)・Nel Ltd.

「競争力のある水素ソリューションの幅広い適応性」

13

写真 4.1-1 FCFL 対応簡易水素充塡車(環境省委託実証の試作品)の展示

(第 14 回水素・燃料電池展(FC EXPO 2018) 岩谷産業株式会社提供)

写真 4.1-2 FCFL 対応簡易水素充塡車(環境省委託実証の試作品)の展示

(第 14 回水素・燃料電池展(FC EXPO 2018) 岩谷産業株式会社提供)

14

写真 4.1-3 FCFL 及び FCFL 用簡易水素充填機の展示

(第 14 回水素・燃料電池展(FC EXPO 2018) 株式会社鈴木商館提供)

写真 4.1-4 FCFL 及び FCFL 用簡易水素充填機のプレゼンテーション

(第 14 回水素・燃料電池展(FC EXPO 2018) 株式会社鈴木商館提供)

15

写真 4.1-5 FCFL 及び FCFL 用ディスペンサーの展示

(第 14 回水素・燃料電池展(FC EXPO 2018) 株式会社タツノ提供)

写真 4.1-6 FCFL 用ディスペンサーの展示

(第 14 回水素・燃料電池展(FC EXPO 2018) 株式会社タツノ提供)

16

4.2 FCFL 利用の課題

国内の現地調査において、関係事業者にヒアリングを実施した結果、今後国内でも北米

のように FCFL の普及を進めるため、次のような課題があると事業者が認識していること

が分かった。それらを大別すると表 4.2-1 に示すように「FCFL の有する課題」及び「FCFL

用圧縮水素スタンドの有する課題」に分けることができる。それぞれの詳細を以下に記す。

表 4.2-1 FCFL 利用の課題

FCFL の有する課題 FCFL 用の圧縮水素スタンドの有する課題

① 車種拡大

② FC ユニットの多用途展開

③ FC ユニットのリユース

④ 使用できる容器の種類及び鋼材の

拡大

① 規制基準の基本思想

② コスト

③ レイアウトの制約

④ 保安管理体制

⑤ 保安検査に要する時間

⑥ 水素供給設備に係る制約

(1) FCFL の有する課題

① 車種の拡充

現在、国内で市販されている FCFL は1車種(カウンタ・定格荷重 2.5t)のみである。

幅広いユーザのニーズに対応していくためリーチやローリフト又は現在の車種と同じカ

ウンタでも定格荷重が異なるもの(例えば、定格荷重 1.8t 又は 3.0t 等)をラインナップ

に加える等、車種を拡充していく必要がある。(図 4.1-1 及び図 4.1-4 を参照)

ただし、この課題は主として規制基準の課題ではなく、事業者側の課題といえる。事

業者は現に開発を進めており、市場の拡大とあわせて解決していく課題と考えられる。

車種の拡充に向けた動きの例として、例えば国際物流展 2016 において、フォークリフト

用の FC ユニットを改造し、新型電動式トーイングに搭載した FC トーイング・コンセプ

トカーが展示されたことが挙げられる。

② FC ユニットの多用途展開

現在の FL は、前述のとおり電動式又はエンジン式が大半である。既存の FL ユーザが

FCFL に乗り換えやすくするためには、FC ユニットの多用途展開を推進し、電動式又は

エンジン式の既存車両 FL と同様に、幅広いユーザのニーズに対応するとともに、コスト

低減を進める必要があるとの意見があった。

なお、この課題も①と同じ主として規制基準の課題ではなく、事業者側の課題といえ、

現在、国内で市販されている FCFL も図 4.1-4 及び図 4.1-5 に示すとおり、電動式に搭載

された鉛バッテリーと同等の寸法、重量の FC ユニットを開発し、既存の電動式ベース車

両への搭載互換性を実現している。

17

図 4.2-1 FC トーイング・コンセプトカー(株式会社豊田自動織機 提供)

③ FC ユニットのリユース

法第 49 条第 2 項に定める容器再検査の規格(詳細は、容器則第 26 条第 3 項及び容

器則細目告示第 22 条第 2 項を参照)により、FCFL に装置されている容器は、車両と

高圧ガス容器は1対1で紐付けされており、故障等により FCFL が使用不能となった

場合、FC ユニットに搭載された高圧水素容器の充塡可能期間が残存していたとしても、

別の車両に当該 FC ユニットを載せ替えることができない。

コスト低減を進めるとともにユーザの利便性を高めるため、例えば FC ユニットに異

常のない車両故障が発生して使用不能となった場合であって、かつ、当該 FC ユニット

が車両から外された後も適切に管理されている場合は、FC ユニットを載せ替えること

を可能とすることは出来ないかという意見があった。

④ 使用できる容器の種類及び鋼材の拡大

前述のとおり容器則第 2 条第 13 号では、圧縮水素自動車燃料装置用容器は FRP 複

合容器と規定されている。そのため FRP 複合容器を搭載しているが、FRP 複合容器は

継目なし容器と比較し軽量であるため、FCFL を安定させるための車両重量が不足し、

別にウエイトを載せている。

コスト低減を進めるため、例えば使用できる容器の種類及び鋼材を拡大し、低合金

鋼製の継目なし容器の利用を可能とすることは出来ないかという意見があった。

18

(2) FCFL 用圧縮水素スタンドの有する課題

① 規制基準の基本思想

FCV をターゲットとした商用の圧縮水素スタンドと、FCFL をターゲットとした圧縮

水素スタンドは、表 4.2-2 に示すとおり、その設計仕様、立地、充塡の対象等が異なる。

表 4.2-2 FCV 用の圧縮水素スタンドと FCFL 用の圧縮水素スタンドの差異

項目 FCV 用の圧縮水素スタンド FCFL 用の圧縮水素スタンド

常用の圧力 82MPa 以下 45MPa 以下

プレクール あり なし

立地 不特定多数が使用する公道等に隣接

した場所

従業員等の限定された者しかいない

事業所の敷地内

充塡の対象 不特定多数の一般ユーザが所有する

FCV

事業所で使用され、その管理状況も

把握している FCFL

しかしながら、上記のいずれも一般則第 2 条で定義する圧縮水素スタンド等に該当す

るため、その規制基準も同じになっている。現在の規制基準は FCV をターゲットとした

商用の圧縮水素スタンド等を前提としているため、FCFL をターゲットとした圧縮水素ス

タンド等から見ると、厳しすぎる規制基準となっているとの意見があった。

② コスト

前述のとおり、圧縮水素スタンド等に係る規制基準は、FCV をターゲットとした商用

の圧縮水素スタンドを前提としており、常用の圧力が 82MPa 以下と高く、かつ、プレク

ールをするため温度変化も大きいので、他の高圧ガス製造設備とは別に規制基準が定め

られ、この規制基準に適合するため、導入コストが高くなっていると言われている。

この規制基準のうち、FCFL に充塡するための設備について、常用の圧力が 45MPa 以

下であって、かつ、プレクールも有しないものを前提として規制を緩和した場合、その

導入コストを下げることにつながる可能性が高い項目として次の 4 つが挙げられた。

a 高圧ガス設備に使用する材料

b ねじ接合継手の型式の制限

c 大臣認定品の扱い

d 蓄圧器を製造する際の適用規則

それぞれの意見の詳細を、表 4.2-3 に示す。

19

表 4.2-3 導入コストに対する主な意見

意見 意見の詳細

a 高圧ガス設備に

使用する材料

圧縮水素スタンド等で使用する高圧ガス設備に使用する材料については、次の規定がある。

高圧ガス設備(常用の圧力が 20MPa を超える圧縮水素が通る部分に限る。)には、耐水素劣化特性を有し

ている規格材料等であって、ニッケル当量及び絞りが所定の値以上である材料を使用すること。

市販の鋼材ではその規定を満足できないことから、圧縮水素スタンド等で使用される高圧ガス設備に使用する

材料は特別に発注となり、かつ、その時の必要量に係わらず一定量以上でしか注文できないため、在庫管理も

必要となりコストアップにつながっている。また、棒材及び線材は例示されているが、角材や六角材は例示さ

れていないため、加工にも工数を要し、納期は長くなり、コストアップにもつながっている。

圧縮水素スタンドにおける高圧ガス設備の使用実績も積み重ねられていることから、材料を制限する常用の圧

力が 20MPa であることが適切か(例えば常用の圧力が 45MPa を超えるに変更できないか)改めて検証しては

どうかという意見があった。

b ねじ接合継手の

型式の制限

都市型の圧縮水素スタンドでは、配管、管継手及びバルブの接合について、次の規定がある。

圧縮水素及び液化水素のガス設備に係る配管、管継手及びバルブの接合は、溶接により行うこと。ただし、

溶接によることが適当でない場合は、保安上必要な強度を有するフランジ接合又はねじ接合継手による接

合をもって代えることができる。

ねじ接合継手については、例示基準 26.保安上必要な強度を有するフランジ接合又はねじ接合継手で、圧縮水

素スタンドで使用できる型式としてコーン・スレッド型式が例示されている。例示基準以外の型式も技術的要

件を満足していることを示せば使用できることにはなっているが、実際には例示基準以外の型式を採用するた

めには許可を受ける際に多大な労力を必要とし、事実上、困難である。また、コーン・スレッド型式は適切な

施工が難しく、かつ、運用開始後の管理も手間がかかるため、コストアップにつながっている。

FCFL 用の圧縮水素スタンドは、圧力も低いことから、ねじ接合継手の型式を制限する必要はないのではない

かという意見があった。

20

意見 意見の詳細

c 大臣認定品の扱い 圧縮水素スタンド等で使用する高圧ガス設備は、その認定を受けた大臣認定試験者がいない(第 7 条の 3 で認

定を取得している事業者がいない)ため、大臣認定品を使用することが出来ない。そのため、他の高圧ガス製

造施設に使用する高圧ガス設備と比較して、コストが高くなり、また納期も長くなることが、圧縮水素スタン

ドの導入コストを高くしている。

例えば、FCFL 用の圧縮水素スタンドについては現在の大臣認定品を使用することが出来るようにならないか

という意見があった。

或いは、常用の圧力が 20MPa 以下である高圧ガス設備については、上記の材料規制がないことから、圧縮水素

スタンドでもその他の高圧ガス製造施設であっても同じ仕様とできるため、現在の大臣認定品を使用すること

が出来るようにならないかという意見があった。

d 蓄圧器を製造する際の

適用規則

圧縮水素スタンド等で使用される蓄圧器は、省令上の規制はないが、高圧ガス保安室のご指導により容器則の

容器ではなく、高圧ガス設備(特定設備)を使用することが求められている。現在の圧縮水素スタンド等の基

準が整備される前は、容器則の容器を蓄圧器としてい使用した実績があり、また圧縮水素スタンド等以外の高

圧ガス製造施設では容器則の容器を中間タンクのように使用している事例は多くある。FRP 複合容器の場合、

高圧ガス設備(特定設備)として製作する場合と容器則の容器として製作する場合を比較すると、圧力や容積

等が同じ仕様であっても、その製造工程で必要な検査が異なり、高圧ガス設備(特定設備)として製造するこ

とが導入コストを高くしている一因となっている。

容器則に基づき製造した容器を圧縮水素スタンド等の蓄圧器として使用できるようにならないかという意見が

あった。

21

③ レイアウトの制約

商用の圧縮水素スタンドに限らず、高圧ガスの定置式製造設備では、可燃性ガスにつ

いて次の規定があり、圧縮水素の製造設備を室に設置することは難しい状況にある。

可燃性ガスの製造設備を設置する室は、当該ガスが漏えいしたときに滞留しない

ような構造とすること。

しかしながら、食品関係や製薬関係の事業所において利用される FL は、屋内で利用さ

れるものが多く、水素を充塡するために屋外にでることは衛生面から難しく、屋内にデ

ィスペンサーが置けないと導入してもらえない事業所は多いとの意見があった。

前述のとおり FCFL に充塡するための設備は、常用の圧力が 45MPa 以下であって、

かつ、プレクールも有しないものを想定しているため、一定の要件を満足した場合は、

商用の水素スタンドより必要となる保安設備等を緩和し、ディスペンサーを屋内に設置

しやすい技術基準を整備出来ないかという意見があった。

④ 保安管理体制

FCFL の導入台数や稼働率にもよるが、数台以上の FCFL を導入した事業所に設置す

る製造設備は、その処理能力から保安統括者等の選任が求められる事業所となる場合が

多いことが想定される。

しかしながら、今後 FCFL の導入ターゲットと目されている物流業者、飲料メーカ又

は食品関係や製薬関係の事業所等では、その他の高圧ガス製造設備がなく、高圧ガスに

係る所定の資格や製造の経験を有している者がいない場合が多く、ユーザ自らが保安管

理体制を確立することは困難と思われるとの意見があった。これらの事業者は作業を効

率的に進めるために FL を利用するのであり、その利用に際し高圧ガスに係る所定の資格

や製造の経験を有している者が必要で、かつ、保安管理体制を確立しなければならない

場合、FCFL を導入してもらえないことが想定されるとの意見があった。現に進められて

いる実証事業においても、ユーザには所定の資格及び経験を有する者がいないことから、

高圧ガスを供給する事業者が許可を受け、保安統括者等を選任し、FCFL への充塡を行っ

ている例が見受けられる。この場合、ユーザが FCFL の稼働率や作業予定に応じて水素

を自ら充塡することが出来ない点は、FCFL の導入台数が増え、稼働率があがるにつれて

ネックになってきているとの意見もあった。

例えば、蓄圧器とディスペンサーの間の配管に、所定のバルブを設けた場合は、その

バルブまでの製造設備は高圧ガスを供給する事業者が許可を受け、ディスペンサーのみ

ユーザが届け出ることができることを明確にしてほしいとの意見があった。なお、これ

は現在の規制上も可能な話であるが、認めなかった行政機関があったので、意見として

ここに記載した。

⑤ 保安検査に要する時間

FCFL は、物流に係る作業を効率的に行うために利用されており、事業者によっては

24 時間 365 日の稼働を前提としている。そのため、保安検査に日数を要し、その間は設

22

備が使用できないとなれば、導入を見送る事業者が多いことが想定される。

例えば、運転中保安検査が行えるように保安検査基準を整備してほしいとの意見があ

った。

⑥ 水素供給設備に係る制約

現在の圧縮水素スタンドの基準は、FCV に充塡することを前提として整備されてきた

ため、常用の圧力が 82MPa であっても保安を確保することができる基準となっている。

ただし、一般則第 2 条で定めるの圧縮水素スタンドの定義では、常用の圧力について言

及していない。そのため常用の圧力が低い場合であっても、圧縮水素を燃料として使用

する車両に固定した燃料装置用容器に充塡するための設備は、圧縮水素スタンドに該当

する。例えば市場に多く出ている 高充填圧力が 19.8MPa の圧縮水素を充塡した容器を

用いて、差圧を利用して充塡する簡易的な圧縮水素スタンドを構築した場合でも、緊急

遮断弁等の保安設備を有することが求められる。同じ圧縮水素を充塡する場合であって

も、圧縮水素を燃料として使用する車両に固定した燃料装置用容器以外に充塡する場合

は求められないこうした保安設備は過剰ではないかという意見があった。

23

5. FCV 用規制と FCFL 用規制の比較

5.1 国内における FCV 用規制と FCFL 用規制の比較

国内では FCV 用規制と FCFL 用規制を分けておらず、いずれに水素を充塡するための

製造設備であっても、表 5.1-1 に示すハード基準に適合することが求められる。また、表

5.1-2 に示すソフト基準に従って水素を充塡しなければならない。

なおここでいう「その他」とは、例えば圧縮水素スタンドに係る技術上の基準が法令上

に整備される前に一般則第 6 条第 1 項の技術上の基準等により許可を受けた等、諸般の事

情により圧縮水素スタンドの技術上の基準により許可を受けていないが、FCV に水素を充

塡している事業者をいう。

また、コンビ則適用の圧縮水素スタンドはその事例が少ないことから、ここでは一般則

適用となる定置式製造設備に係るハード基準及びソフト基準を比較した結果を表 5.1-3 及

び表 5.1-4 に示す。

24

表 5.1-1 FCV 及び FCFL に水素を充塡するための製造設備に係るハード基準

事業者の区分 ハード基準

製造者 適用規則 製造設備 処理能力 その他 郊外型 都市型

第 1 種

製造者

コンビ則 定置式 100 ㎥以上 A 第 5 条第 1 項 B 第 7 条の 3 第 1 項 C 第 7 条の 3 第 2 項

一般則 D 第 6 条第 1 項 E 第 7 条の 3 第 1 項 F 第 7 条の 3 第 2 項

移動式 G 第 8 条第 1 項 H 第 8 条の 2 第 1 項

第 2 種

製造者

定置式 100 ㎥未満

30 ㎥以上

I 第 11 条第 1 項

(第 6 条第 1 項)

J 第 11 条第 5 号

(第 7 条の 3 第 1 項)

K 第 11 条第 5 号

(第 7 条の 3 第 2 項)

30 ㎥未満 L 第 12 条第 1 項第 1 号 M 第 12 条の 2 第 1 項 N 第 12 条の 2 第 2 項

移動式 100 ㎥未満

30 ㎥以上

O 第 11 条第 6 号

(第 8 条第 1 項)

P 第 11 条第 7 号

(第 8 条の 2 第 1 項)

30 ㎥未満 Q 第 12 条第 1 項第 2 号 R 第 12 条の 3 第 1 項

25

表 5.1-2 FCV 及び FCFL に水素を充塡する場合のソフト基準

事業者の区分 ソフト基準

製造者 適用規則 製造設備 処理能力 その他 郊外型 都市型

第 1 種

製造者

コンビ則 定置式 100 ㎥以上 A 第 5 条第 2 項 B 第 7 条の 3 第 3 項 C 第 7 条の 3 第 3 項

一般則 D 第 6 条第 2 項 E 第 7 条の 3 第 3 項 F 第 7 条の 3 第 3 項

移動式 G 第 8 条第 2 項 H 第 8 条の 2 第 2 項

第 2 種

製造者

定置式 100 ㎥未満

30 ㎥以上

I 第 11 条第 2 項

(第 6 条第 2 項)

J 第 11 条第 5 号

(第 7 条の 3 第 3 項)

K 第 11 条第 5 号

(第 7 条の 3 第 3 項)

30 ㎥未満 L 第 12 条第 2 項 M 第 12 条の 2 第 3 項 N 第 12 条の 2 第 3 項

移動式 100 ㎥未満

30 ㎥以上

O 第 11 条第 6 号

(第 8 条第 2 項)

P 第 11 条第 7 号

(第 8 条の 2 第 2 項)

30 ㎥未満 Q 第 12 条第 2 項 R 第 12 条の 3 第 2 項

26

表 5.1-3 一般則適用となる FCV 及び FCFL に水素を充塡するための定置式製造設備に係るハード基準の項目

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

境界線・警戒標 ●(1) ●(6-1-1) ●(6-1-1) ●(6-1-1) ●(6-1-1) ●(6-1-1)

設備距離 ●(2) ●(6-1-2) ▲(2)

火気取扱施設 ●(3) ●(6-1-3)

可燃性ガスの設備間距離 ●(4)

可燃性ガスの貯槽間距離 ●(5) ●(6-1-5)

可燃性ガス貯槽の表示 ●(6) ●(6-1-6) ●(6-1-6) ●(6-1-6) ●(6-1-6) ●(6-1-6)

防液堤 ●(7) ●(6-1-7) ●(6-1-7)

防液堤内外の設置制限 ●(8) ●(6-1-8) ●(6-1-8)

滞留しない構造 ●(9) ●(6-1-9) ●(6-1-9) ●(6-1-9) ●(6-1-9) ●(6-1-9)

ガス設備の気密な構造 ●(10) ●(6-1-10) ●(6-1-10) ●(6-1-10) ●(6-1-10) ●(6-1-10)

耐圧試験 ●(11) ●(6-1-11) ●(6-1-11) ●(6-1-11) ●(6-1-11) ●(6-1-11)

気密試験 ●(12) ●(6-1-12) ●(6-1-12) ●(6-1-12) ●(6-1-12) ●(6-1-12)

肉厚強度 ●(13) ●(6-1-13) ●(6-1-13) ●(6-1-13) ●(6-1-13) ●(6-1-13)

材料規制 ●(14) ●(6-1-14) ●(6-1-14) ●(6-1-14) ●(6-1-14)

27

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

高圧ガス設備等の基礎 ●(15) ●(6-1-15)

沈下測定 ●(16) ●(6-1-16) ●(6-1-16) ●(6-1-16) ●(6-1-16) ●(6-1-16)

耐震設計 ●(17) ●(6-1-17) ●(6-1-17)

温度計 ●(18) ●(6-1-18) ●(6-1-18) ●(6-1-18) ●(6-1-18)

圧力計、安全装置 ●(19) ●(6-1-19) ●(6-1-19) ●(6-1-19) ●(6-1-19) ●(6-1-19)

安全装置の放出管 ●(20) ●(6-1-20) ●(6-1-20) ●(6-1-20) ●(6-1-20)

負圧防止措置 ●(21) ●(6-1-21) ●(6-1-21)

貯槽の液面計 ●(22) ●(6-1-22) ●(6-1-22) ●(6-1-22) ●(6-1-22) ●(6-1-22)

特殊高圧ガス等の製造設備の構

●(23) ●(6-1-23)

2 以上のバルブ ●(24) ●(6-1-24) ●(6-1-24)

緊急遮断装置 ●(25) ●(6-1-25) ●(6-1-25)

防爆構造 ●(26) ●(6-1-26) ●(6-1-26) ●(6-1-26) ●(6-1-26) ●(6-1-26)

保安電力等 ●(27) ●(6-1-27) ●(6-1-27) ●(6-1-27) ●(6-1-27)

圧縮アセチレンガス容器の破裂

防止

●(28)

28

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

三フッ化窒素容器の破裂防止 ●(28 の 2)

圧縮機と圧縮アセチレンガスの

容器等に係る障壁

●(29)

圧縮機と 10MPa 以上の容器等

に係る障壁

●(30)

ガス漏えい検知・警報設備 ●(31) ●(6-1-31)

貯槽の温度上昇防止措置 ●(32) ●(6-1-32) ●(6-1-32)

毒性ガスの製造施設の識別 ●(33) ●(6-1-33)

毒性ガスのガス設備に係る接合 ●(35) ●(6-1-35)

特殊高圧ガス等に係る配管の二

重管等

●(36) ●(6-1-36)

特殊高圧ガス等の除害 ●(37) ●(6-1-37)

可燃性ガスの製造設備の静電気

除去

●(38) ●(6-1-38) ●(6-1-38) ●(6-1-38) ●(6-1-38) ●(6-1-38)

29

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

可燃性ガス、酸素及び三フッ化

窒素の製造施設に係る防消火設

●(39) ●(6-1-39) ●(6-1-39) ●(6-1-39)

特定不活性ガスの製造施設に係

る防消火設備

●(39 の 2) ●(6-1-39 の 2)

通報設備 ●(40) ●(6-1-40)

バルブ等の適切な操作措置 ●(41) ●(6-1-41) ●(6-1-41) ●(6-1-41) ●(6-1-41)

容器置場 ●(42) ●(6-1-42)

導管 ●(43)

地盤面下に高圧ガス設備を設置

した室の構造等

●(1 の 2) ●(7 の 3-1-1

の 2)

液化水素の貯槽を設置した室の

防水措置

●(1 の 3) ●(7 の 3-1-1

の 3)

貯槽内の液化水素の温度上昇防

止の措置

●(1 の 4) ●(7 の 3-1-1

の 4)

30

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

ディスペンサーの設備距離、道

路境界線までの距離

●(2) ▲(3)

受入配管の供給遮断措置 ●(3) ●(5) ●(7 の 3-1-3) ●(7 の 3-2-5)

圧縮水素貯槽、液化水素貯槽、

蓄圧器の 2 以上の遮断装置

●(4) ●(7)

ディスペンサーの過充塡防止措

●(5) ●(8) ▲(7 の 3-1-5) ▲(7 の 3-2-8)

配管の設置条件 ●(6) ●(9) ●(7 の 3-1-6) ●(7 の 3-2-9)

ガス漏えい検知警報設備 ●(7) ●(7 の 3-1-7)

キャノピーの構造 ●(8) ●(24) ●(7 の 3-1-8) ●(7 の 3-2-24)

車両と貯槽の間の距離 ●(9) ●(26) ●(7 の 3-1-9) ●(7 の 3-2-26)

火気取扱施設までの距離 ●(10) ●(27) ●(7 の 3-1-10) ●(7 の 3-2-27)

充塡設備の過充塡防止措置 ●(11) ●(28) ▲(7 の 3-1-11) ▲(7 の 3-2-28)

他の可燃性ガス製造設備までの

距離

●(12) ●(29)

31

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

CNG スタンドの処理設備等へ

の距離

●(12 の 2) ●(29 の 2)

配管の過流防止措置 ●(13)

常用圧力の高い蓄圧器からの圧

縮水素流入防止措置

●(14) ●(34) ●(7 の 3-1-14) ●(7 の 3-2-34)

複合構造の蓄圧器の基準 ●(15) ●(36) ●(7 の 3-1-15) ●(7 の 3-2-36)

圧縮機と圧縮ガスを容器に充塡

する場所等との間の障壁

●(16)

水電解水素発生昇圧装置に講じ

た爆発、漏えい、損傷等を防止

するための措置

●(17) ●(7 の 3-1-17) ▲(7 の 3-1-17) ●(7 の 3-1-17)

液化水素貯槽及び可燃性ガス貯

槽の貯槽間距離

●(1 の 2)

高圧ガス設備及び液化水素貯槽

の基礎

●(1 の 3)

敷地境界線までの距離 ●(2) ▲(2)

32

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

付属冷凍設備の設備距離 ●(2 の 2)

ディスペンサーの道路境界線ま

での距離

●(3) ▲(3)

圧縮水素スタンドの周囲の防火

●(4)

圧縮機の爆発、漏えい、損傷防

止措置

●(6) ●(7 の 3-2-6)

蓄圧器に圧力リリーフ弁の設置 ●(10)

液化水素貯槽の安全装置、圧力

リリーフ弁の設置

●(10 の 2)

送ガス蒸発器にかかる遮断措置 ●(10 の 3)

安全装置、圧力リリーフ弁の放

出管

●(11)

蓄圧器出口の過流防止措置 ●(12)

圧縮水素の供給遮断装置のフレ

ーム内の固定

●(13)

33

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

配管、管継手の溶接構造 ●(14) ●(7 の 3-2-14)

移動式製造設備の停車位置の温

度上昇防止措置

●(15)

ガス漏えい検知警報設備及び自

動運転停止装置

●(16) ●(7 の 3-2-16)

感震器及び自動運転停止装置 ●(17)

ディスペンサー周囲の火炎検知

及び自動運転停止装置

●(18) ●(7 の 3-2-18)

蓄圧器の火炎検知及び自動運転

停止装置

●(19) ●(7 の 3-2-19)

蓄圧器の温度上昇検知及び自動

運転停止装置

●(20) ●(7 の 3-2-20)

手動起動装置の設置 ●(21) ●(6)

自動運転停止時の措置 ●(22) ●(7)

車両衝突のおそれのない場所へ

の設置

●(23) ●(7 の 3-2-23)

34

製造者 第 1 種 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 100 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型 都市型 その他 郊外型 都市型

識別記号 D、I E、J F、K L M N

適用条項号

基準の項目

第 6 条第 1 項 第 7 条の 3

第 1 項

第 7 条の 3

第 2 項

第 12 条第 1 項

第 1 号

第 12 条の 2

第 1 項

第 12 条の 2

第 2 項

ホースの誤発進による破損防止 ●(25) ●(7 の 3-2-25)

圧縮機、蓄圧器、液化水素貯槽、

送ガス蒸発器とディスペンサー

との間の障壁

●(30)

消火設備 ●(31) ●(7 の 3-2-31)

圧縮水素スタンドの通報設備 ●(32)

圧縮水素スタンドの容器置場 ●(33) ●(7 の 3-2-33)

※「へ」のみ

蓄圧器内の圧縮水素の安全放出

措置

●(35)

液化水素の通る部分の同一の基

●(37)

圧縮水素貯槽、蓄圧器の遮断装

●(4) ●(4)

圧縮機、蓄圧器とディスペンサ

ーとの間の障壁

●(5)

注記 1:「型」、「識別記号」及び「適用条項号」の詳細は、表 5.1-1 による。

35

注記 2:表中の「●」は技術上の基準の適用を表し、「▲」は圧縮水素スタンドの処理能力又は貯蔵能力が 0 ㎥であり、かつ、常用の圧力が

20MPa 以下の場合はこの基準の適用がないことを表す。

注記 3:表中の数字で、例えば(2)は、その列の技術上の基準の規定されている号を表す。

注記 4:表中の数字で、例えば(6-1-1)は、一般則第 6 条第 1 項第 1 号を表し、各スタンドの技術上の基準の第 1 号の準用先を表す。

注記 5:表中の色塗りは、同色のもの同士が類似した技術上の基準であることを表す。

36

表 5.1-4 一般則適用となる FCV 及び FCFL に水素を充塡するための定置式製造設備に係るソフト基準の項目

製造者 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型、都市型 その他 郊外型、都市型

識別記号 D、I E、F、J、K L M、N

適用条項号

基準の項目

第 6 条

第 2 項

第 7 条の 3

第 3 項

第 12 条

第 2 項

第 12 条の 2

第 3 項

安全弁の止め弁の全開措置 ●(1 イ) ●(6-2-1 イ) ●(6-2-1 イ) ●(6-2-1 イ)

空気分離装置内の不純物 ●(1 ロ)

可燃性ガス中の酸素の容量が 4%以上の

もの等の圧縮禁止

●(1 ハ) ●(6-2-1 ハ) ●(6-2-1 ハ) ●(6-2-1 ハ)

2.5MPa を超える圧縮アセチレンガス ●(1 ニ) ●(6-2-1 ニ)

空気圧縮機を利用するアキュムレータ

設備

●(1 ホ)

三フッ化窒素の充填容器等のバルブ ●(1 ヘ) ●(6-2-1 ヘ)

貯槽への充塡の際の 90%制限 ●(6-2-2 イ)

継目なし容器への充塡 ●(2 ロ) ●(6-2-2 ロ)

車両からの受け払い時の車止め ●(6-2-2 ハ) ●(6-2-2 ハ)

アセチレンの容器への充塡 ●(2 ニ) ●(6-2-2 ニ)

酸化エチレンの貯槽又は容器への充塡 ●(2 ホ) ●(6-2-2 ホ)

酸素又は三フッ化窒素の容器への充塡 ●(2 ヘ)

37

製造者 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型、都市型 その他 郊外型、都市型

識別記号 D、I E、F、J、K L M、N

適用条項号

基準の項目

第 6 条

第 2 項

第 7 条の 3

第 3 項

第 12 条

第 2 項

第 12 条の 2

第 3 項

三フッ化窒素を容器に充塡する場所 ●(2 ト) ●(6-2-2 ト)

充塡容器等、バルブ又は充塡用枝管の加

●(2 チ)

再充塡禁止容器への充塡期限制限 ●(2 リ)

一般複合容器等への充塡期限制限 ●(6-2-2 ヌ) ●(6-2-2 ヌ)

圧縮運送自動車用容器への充塡 ●(2 ル)

充塡後の高圧ガスの漏洩・爆発防止 ●(3) ●(6-2-3)

※「イからハまで及び

ホ」のみ

日常点検 ●(4) ●(6-2-4) ●(6-2-4) ●(6-2-4)

修理清掃時の基準 ●(5) ●(6-2-5) ●(6-2-5) ●(6-2-5)

バルブ操作時の措置 ●(6) ●(6-2-6) ●(6-2-6) ●(6-2-6)

エアゾールの製造 ●(7) ●(6-2-7)

容器置場、充塡容器等の基準 ●(8) ●(6-2-8) ●(6-2-8)

圧縮水素の充塡後の誤発進防止 ●(2) ●(7 の 3-3-2)

圧縮水素の充塡時の有害物質 ●(3) ●(7 の 3-3-3)

38

製造者 第 1 種、第 2 種 第 1 種、第 2 種 第 2 種 第 2 種

処理能力 30 ㎥以上 30 ㎥以上 30 ㎥未満 30 ㎥未満

型 その他 郊外型、都市型 その他 郊外型、都市型

識別記号 D、I E、F、J、K L M、N

適用条項号

基準の項目

第 6 条

第 2 項

第 7 条の 3

第 3 項

第 12 条

第 2 項

第 12 条の 2

第 3 項

圧縮水素の充塡時の流量制限 ●(4) ●(7 の 3-3-4)

充塡ノズルの凍結時の接続禁止 ●(5) ●(7 の 3-3-5)

二重殻真空断熱式構造の液化水素貯槽

の真空度

●(6)

移動式製造設備等の放出配管の接続 ●(7)

火気取扱施設等から5m以内の充塡禁

●(2)

容器に充塡する場所の制限 ●(1)

酸素又は三フッ化窒素の容器への充塡 ●(3)

充塡容器等、バルブ又は充塡用枝管の加

●(4)

シアン化水素の移充塡 ●(5)

注記 1:「型」、「識別記号」及び「適用条項号」の詳細は、表 5.1-1 による。

注記 2:表中の数で例えば(2)は、その列の技術上の基準の規定されている号を表す。

注記 3:表中の数字で例えば(6-1-1)は、一般則第 6 条第 1 項第 1 号を表し、各スタンドの技術上の基準の第 1 号の準用先を表す。

39

5.2 北米における FCV 用規制と FCFL 用規制の比較

現地調査、アメリカ在住のコンサルタントによる調査及び文献、インターネット等によ

る調査から、北米における FCV 用規制と FCFL 用規制についての情報が得られたので、カ

ナダ及びアメリカについて、それぞれ比較した。

(1) カナダにおける FCV 用規制と FCFL 用規制の比較

1) 規制の枠組み

連邦政府は、水素ステーションの規制に関与していない。

州政府は、水素ステーションの工事許可を出す機関ではない。しかしながら、州内の

安全について責任を有しており、Safety Codes Act に基づき安全に関する方針を作成し、

その方針を独立機関である Safety Code Council に提出するとともに、運用状況について

監査を受ける。そのため、州内で圧力容器や配管を施工する事業者に対する 低限の要

求事項を決定し、その要求事項を満足する事業者を認定している。また、水素ステーシ

ョンに関する規格をリストアップしている。

地元当局(市や州の出先機関)は、水素ステーションの工事許可を出す機関である。

工事許可に際して、例えば次を確認している。

申請をした事業者が、州政府の認定を得ていること

水素ステーションの設計基準等が、技術的に妥当であること

圧力容器や配管等が、CRN を有していること

水素ステーションの設計基準等は、その仕様や建設予定地の環境等を勘案して事業者

のエンジニアが提案する。その提案が技術的に妥当であるか、州政府がリストアップし

た規格を参考としながら確認している。地元当局(市や州の出先機関)は、工事許可に

際して、必要と判断した場合 Administration Items Regulation に基づき、事業者に対し

その工事に適切なエンジニアを雇い、担当させることを求める権限を有している。

また、規制という意味合いではないが、保険会社が安全に対して強い発言権を有して

おり、事業者に対して対策を求めることもある。

以上より、案件ごとに審査されるため、FCV 用規制と FCFL 用規制を単純に比較する

ことは出来ない。

2) 規制の実例

アルバータ州政府は、州内のガスの安全性に関する基準や適用規則の説明のため会報

STANDATA を発行している。また州内で圧力容器や配管を施工する事業者に対する 低

限の要求事項を決定し、その要求事項を満足する事業者を認定している。ただし、水素

ステーションに関する規格は、現時点ではリストアップしていない。これに関連し、2017

年 11 月の安全基準審査会では、次のような議論があった模様。

水素ステーションに関する規格がリストアップされていないため、認可を行うに

あたり混乱が生じている。

40

行政担当官からは、ABSA が作成を進めている圧縮天然ガス/水素ステーション

の設計、建設及び検査に係る規格である AB273 の案を水素ステーションに関する

規格としてリストアップしてはどうかという意見も出ている。

現行の規制は、その対象を幅広く規定しているので、水素ステーションの認可も

行えるものと考えるが、水素ステーションに関する規格について、継続して議論

をする必要がある。

また、圧力容器又は配管等は ABSA の検査や承認を受けて CRN を有していることが

求められる。

アルバータ州内の地元当局であるロッキー・ビュー・カウンティ―(Municipal district)

は、ウォルマート・バルザック配送センターの FCFL 用水素ステーションの工事許可を

出した実績がある。事業者が州政府の認定を受けていることを確認し、また、使用する

圧力容器等は CNR が付与さていることを確認した。ただし、水素ステーションに関する

推奨規格は決めていないため、事業者の提案した設計基準が技術的に妥当であることは、

CSA 規格(例えば、CSA B51 や CHIC)や ASME 規格(例えば、ASME B31.3)等を

参考にするとともに、コンサルティング会社のエンジニアも活用して確認した。安全対

策として、例えば、ディスペンサー周辺にはガス漏えい検知器や火炎検知器を設置した。

また、ディスペンサーに車両が衝突することを防止するための柵を設置した。なお、屋

内にディスペンサーを設置するため特に求めた安全対策は、緊急遮断弁を屋外から屋内

に引き込む配管の屋外側に設置するとともに、ディスペンサーの上部に設置されたガス

漏えい検知器又は火炎検知器が作動した場合には、水素の供給を止める措置であった。

同じくアルバータ州内の地元当局であるカルガリー(city)は、これまでに水素ステー

ションを審査した実績はない。ただし、前述のウォルマートが FCFL の更なる活用を計

画していることを受けて準備を進めており、水素ステーションに関する規格として CHIC

を推奨している。ただし、当該規格は屋内にディスペンサーを設置することに言及して

いないので、屋内にディスペンサーを設置する場合は、個別に判断することになるであ

ろうとの見解であった。

41

(2) アメリカにおける FCV 用規制と FCFL 用規制の比較

1) 規制の枠組み

連邦政府は、水素ステーションの規制に関与していない。

州政府は、水素ステーションの規制に関与し、工事許可を出す機関となることもある。

ただし、規制に関与していない州も多い。

地元当局(市の消防が担当することが多い)は、州が関与しない場合に水素ステーシ

ョンの工事許可を出す機関となる。

州政府又は地元当局は、水素ステーションの設計基準等について、水素が可燃性ガス

であることから、ICC の規格である IFC 又は NFPA の規格である NFPA1 の内容を参考

として制定された州政府または地元当局の消防法で規制することが多い。ただし詳細は、

その仕様や建設予定地の環境等を勘案して案件ごとに調整される。

IFC 及び NFPA1 は、いずれも水素に関連して NFPA2 を参照している。また NFPA2

は ASME や ASTM 等、他の規格を参照している。

そのため水素ステーションに関連する規制や規格は、その一例を図 5.2-1 に示すように

多岐に亘る。

また、規制という意味合いではないが、保険会社が安全に対して強い発言権を有して

おり、事業者に対して対策を求めることもある。

一般に FCV 用の水素ステーションは、担当する規制当局、建設地又は想定している使

用状況に応じて適用する基準等が全く異なるので、求められる安全対策も違う。

一方で FCFL 用の水素ステーションは、工場の中に設置されるという共通項があり、

使用状況も似たような状況が想定されることから、担当する規制当局がどこであれ、

NFPA 規格である NFPA2 を基本として調整されることが多い。

以上より、案件ごとに審査されるため、FCV 用規制と FCFL 用規制を単純に比較する

ことは出来ない。ただし、FCV が案件ごとに大きく異なるのに対し、FCFL 用規制は

NFPA 規格である NFPA2 が基本となるため、別の枠組みで規制されていると言える状況

にある。

42

図 5.2-1 水素ステーションに関連する規制や規格の一例

43

2) 規制の実例

ペンシルベニア州政府は、水素ステーションの規制に関与していない。

ペンシルベニア州内の地元当局(市の消防等)は、水素ステーションの工事許可を出

す機関となる。水素ステーションの設計基準等は、その仕様や建設予定地の環境等を勘

案して案件ごとに調整されるが、地元当局の他に保険会社もその調整に加わる。

FCV 用の水素ステーションは、同じ州内であっても、担当する規制当局、建設地又は

想定している使用状況に応じて適用する設計基準等が全く異なる。例えば、貯槽、ポン

プ、圧縮機、蒸発器又は蓄圧器等は、簡単な柵で囲えばよい場合が多いが、障壁で囲う

ことを求められた場合もある。

FCFL 用の水素ステーションは、これまでの州内実績を見ると NFPA 2 を適用する設

計基準等としており、NFPA2で規定されていない特別な安全対策を採用した事例はない。

44

6. 国内外に立地する FCV 用水素ステーションを含め既存の水素供給設備の材料、設計、

建設、整備等に関する規制・運用面における相違の有無

現地調査、アメリカ在住のコンサルタントによる調査及び文献、インターネット等によ

る調査から、次のような国内外の水素供給設備の材料、設計、建設、整備等に関する規制・

運用面における相違の有無が確認された。

6.1 材料に関する規制・運用面における相違

日本では、機能性基準に適合すると評価される材料を使用することが出来る。ただし、

例示基準のとおりとしている場合が多い。そのためステンレス鋼(SUS316 又は

SUS316L)を使用し、その中でも常用の圧力が 20MPa を超える圧縮水素が通る部分

は一定以上のニッケル当量や絞りを満足するものを使用していることが多い。

カナダでは、5.2 に記載のとおり、案件ごとに適用する基準が違うため一概には言え

ないが、事業者にヒアリングを行った範囲では、ステンレス鋼(TYPE 316)を使用す

るとのこと。日本のように一定以上のニッケル当量や絞りを求めてはいないが、特に問

題は生じていないとのこと。

アメリカでは、5.2 に記載のとおり、案件ごとに適用する基準が違うため一概には言

えないが、事業者にヒアリングを行った範囲では、ステンレス鋼(TYPE 316)を使用

することが多いとのこと。また、圧力が低い部分にはステンレス鋼(TYPE 304)も使

用しているとのこと。日本のように一定以上のニッケル当量や絞りを求めてはいないが、

特に問題は生じていないとのこと。

従って、材料に関する規制・運用面における相違があると言える。ただし、日本及び

アメリカで FCV 用水素ステーションを建設した実績を有する事業者からは、機器にか

かる費用は日本の方がやや高いという程度であり、材料に関する規制・運用面における

相違によるコストへの影響は限定的とのこと意見があった。

6.2 設計に関する規制・運用面における相違

日本、カナダ及びアメリカでは、機器(貯槽、圧縮機、蒸発器、蓄圧器又は配管等)

を設計する規格・基準が異なるため、設計に関する規制・運用面における相違があると

言える。ただし、機器を使用するに際しては、設計規格に適合しているとともに、なに

かしらの認証を要求されることは同じであり、その点では相違がないともいえる。

日本では完成検査で技術上の基準に適合していること示すこと、又は、高圧ガス設備

試験を受けたものを使用すること等を求められる。また特定設備検査、容器検査や附属

品検査を受けることが求められるものもある。

カナダでは、CRN を有していることが求められる。

アメリカでは、NRTL の規格を満足して承認リストに掲載された機器を使用するか、

又は、規制当局の認定を受けた機器を使用することを求められることが多いとのこと。

45

ただし、NRTL のリストに載せるためには費用がかかること及び NRTL の規格は改訂

されることもあるので、多くの企業は自社の製品を掲載していない。また後者は、規制

当局によっては水素ステーションに係る経験が乏しいことから、認定を受けることが難

しく、その認定のプロセスにおいて、メーカとして負担の大きい条件を付加されること

がある。或いは、認定を拒否されることもある。

また、保安のための措置(敷地境界距離、火気離隔距離、障壁、インターロック機構

又は防火設備等)については、日本では技術上の基準で定められているが、カナダ及び

アメリカでは 5.2 に記載のとおり、案件ごとに適用する基準が異なるため、設計に関す

る規制・運用面における相違があると言える。

これに関連し、日本及びアメリカで FCV 用水素ステーションを建設した実績を有す

る事業者から、日本の保安のための措置は画一的で、立地条件等によっては、規定され

た距離を確保するために受けるレイアウト上の制約、障壁を必要とする条件又は防火設

備(特に防火用水供給設備)等が過剰であるので、FCV 用水素ステーションのコスト

アップの要因になっているのではないかとの意見があった。

一方で、アメリカ在住のコンサルタントによる調査によると、アメリカでも規制当局

によっては審査の過程において、フル装備の消火設備等のコストアップにつながる追加

の措置を求めることがあるとの情報もあり、規制当局によって相当の温度差がある模様。

6.3 建設に関する規制・運用面における相違

日本、カナダ及びアメリカのいずれの国においても、水素ステーションの建設に関し

て複数の規制があり、単純な比較は困難である。いずれも複数の規制をクリアする必要

がある。同一ではないという意味では、建設に関する規制・運用面における相違がある

と言える。

これに関連し、日本及びアメリカで FCV 用水素ステーションを建設した実績を有す

る事業者から、FCV 用水素ステーションを建設する許可を得ることができる立地条件

等は、日本とアメリカで大きく異なるという意見があった。日本では、一般則に規定さ

れた技術上の基準を満足すれば東京、名古屋や大阪といった大都市の中心街でも FCV

用水素ステーションを建設する許可を得ることが出来るのに対し、アメリカでは、5.2

に記載のとおり案件ごとに審査されるため、基本的に大都市の中心街に FCV 用水素ス

テーションを建設する許可を得ることは難しいとのこと。例えば、ニューヨークシティ

の中心街に建設しようとした場合は、特例対応が必要となり、許可を受けることが非常

に困難とのこと。

また、同事業者によると、FCV 用水素ステーションの建設に要するコストで も異

なる点は、日本では FCV 用水素ステーションの従業員用の事務所棟を建設し、そこに

制御盤を設置しなければならない点だったとのこと。この事務所棟の建設にかかるコス

46

トは、事務所棟そのものに加えて、事務所棟内で使用される電気設備を防爆にする必要

がある等、付帯設備を含めると決して安くないコストを要したとのこと。アメリカの

FCV 用水素ステーションは、セルフ充塡のため、水素ステーションの従業員が常駐し

ないので、日本のような事務所棟は不要であり、また、制御盤の機能はディスペンサー

に持たせているとのこと。ただし、アメリカの FCV 用水素ステーションの多くは、ガ

ソリンスタンドに併設されており、支払い関係をサポートする係員がいるため、完全に

無人ではないことが多いが、その係員は水素供給設備についての訓練は受けていないの

で、技術的なサポートは出来ないとのこと。

この他にも、FCV 用水素ステーションの建設中に行われる検査の回数が多く、それ

に対応するために人も時間もかかるため、コストが高くなっているのではないかとの意

見があった。ただし、高圧ガス保安法にかかる建設中の検査は、完成検査(事業者の設

備や段取りに応じ、1 日から 3 日程度で実施)しかないため、他法令の検査も含めての

意見と思われる。

6.4 整備に関する規制・運用面における相違

日本、カナダ及びアメリカのいずれの国においても、規制面でいうとオンサイト型も

オフサイト型も認められており、また、液化水素も圧縮水素も利用可能である。従って、

整備に関する規制における相違はないと言える。ただし運用面では、次のような相違が

あることが確認された。

日本では、FCV 用水素ステーションの立地条件や運営する事業者の特性に応じて、

オンサイト型とオフサイト型が混在している。また、いずれの場合であっても、水素ス

テーションの全ての設備は、水素ステーションを運営する事業者の所有となっている。

アメリカでは、FCV 用水素ステーションの多くは、オフサイトである。圧縮水素又

は液化水素のいずれを選択するかは、水素の消費量や事業者の特性を踏まえて決定され

る。オンサイト型は、水素ステーションを運営する事業者の要望で行う場合もあるが、

費用が高くなることもありよほどの事情がない限り求められることはないとのこと。参

考として、NREL が公表しているカリフォルニア州の商用水素ステーション(開業済

み)の整備費用を図 6.4-1 に示す。他と比較して圧倒的に高く、唯一 450 万アメリカド

ル(およそ 4 億 7 千 7 百万円)を超えているものが、オンサイト型である。費用が高

くなった主な要因は、改質にかかる設備の導入費用の模様。

47

図 6.4-1 カリフォルニア州の商用水素ステーションの整備費

(NREL のウェブサイトより)

またアメリカでは、FCFL 用水素ステーションもオフサイト型が多いとのこと。圧縮

水素又は液化水素のいずれを選択するかは、水素の消費量や事業者の特性を踏まえて決

定される。小規模な顧客に対し圧縮水素を使用した設備を導入して圧縮水素を配送する

こともあるが、FCFL は規模が大きく稼働時間の長い工場で採用されることが多いので、

液化水素を利用する場合が多いとのこと。液化水素を利用する場合、液化水素貯槽及び

蒸発器等はガスを供給する事業者の所有で、そこからリースする契約となるとのこと。

(ガスの供給事業者が供給契約を一定期間以上確保するための商習慣に加え、FCFL ユ

ーザが大型投資を好まないことが背景にある模様。)FCFL 用水素ステーションの多く

は、FCFL を使用する工場を新設するときに導入されることが多く、その導入費用は

100 万アメリカドル(およそ 1 億 6 百万円)程度とのこと。このとき、液化水素貯槽及

び蒸発器に係るコストは、水素ステーションの整備費用には含まれないので、整備費用

を比較する場合には注意する必要があるとのこと。

カナダでも、FCFL 用水素ステーションはオフサイト型が多いとのこと。圧縮水素又

は液化水素のいずれを選択するかも、アメリカと同じ理由から液化水素を利用すること

が多く、液化水素貯槽及び蒸発器もガスを供給する事業者の所有で、そこからリースす

る契約となるとのこと。なお現地調査において、FCFL 用水素ステーションの水素供給

設備(リース契約である液化水素貯槽や蒸発器等を除く。)に係る費用は、37 万 5 千カ

ナダドル(およそ 3 千 1 百万円)程度であった事例があるとの情報提供があった。

48

6.5 その他の規制・運用面における相違

この他の規制・運用面における相違として、次のような情報提供や意見があった。

FCV 用水素ステーションの整備に係る補助金制度について、日本にもアメリカにも

制度はあるが、日本の補助金の対象となる FCV 用水素ステーションは、その要件が

画一的で、立地条件や想定している使用状況に応じた 適な設計を妨げていること

が日本の FCV 用水素ステーションの整備費を高くしている一因ではないか。

FCV 用水素ステーションでの料金支払いについて、日本とは異なり、アメリカでは

従業員が常駐しないため、POS システムが用いられているが、既にネットワークを

確立しているガソリンスタンドの POS システムを活用していないこともあり、適切

なクレジットカードや支払い用カードであっても POS システムが受け付けないこと

がよくあり、また、時には間違った金額を請求したり、領収書が出なかったりする

こともあるので、その信頼性向上が課題となっている。

FCV 用水素ステーションで使用する充塡用のノズルについて、アメリカではセルフ

充塡に起因する次のトラブルが大きな問題となっている。

充塡後のノズル凍結

落下によるノズル本体又は赤外線通信システムの損傷

写真 6.5-1 充塡後に凍結したノズル 写真 6.5-2 落下により損傷したノズル

49

FCV 用水素ステーションの信頼度について、アメリカでも水素ステーションの数が

限定的なので、その信頼度を向上させるために、例えば、カリフォルニアでは次の

ような取り組みが行われている。

カリフォルニア州政府は、既に運営している水素ステーションの近くに、新た

な水素ステーションを整備するように注力

CALIFORNIA FUEL CELL PARTNERSHIP は、FCV ドライバーが水素ステ

ーションの運営状況をウェブサイト又はスマートフォン用アプリケーションで

確認できるよう The Stasion Operational Status System(SOSS)により情報

提供

図 6.5-1 SOSS のウェブサイトとスマートフォン用アプリケーションの画面例

FCFL 用水素ステーションの充塡作業について、カナダ及びアメリカのいずれにおい

ても、FCFL を操作するオペレータが自ら充塡しており、その教育は自社で実施して

いるが、特にトラブルは発生していない。

FCFL 用水素ステーションの事故ついて、カナダ及びアメリカのいずれにおいても、

マイナーな水素漏えいはあるが、事故は発生していない。

(ここでいう事故とは、カナダ及びアメリカのヒアリング対象者が用いた言葉で

あり、日本の定義に基づくものではない。)

50

7. 水素利用に係る技術基準の見直し要否を含めた規制基準に関する考察

7.1 過去の事故事例

平成 23 年から平成 27 年までに国内で発生した圧縮水素スタンドの事故について確認す

ると、平成 23 年から平成 26 年までは 1 年あたり 1 件から 6 件で推移していたが、平成 27

年は 11 件発生し、過去 4 年間の 大件数の約 1.8 倍に増加した。11 件という多くの事故が

発生した平成 27 年の事故の事故発生事象をみると、いずれも漏えいであった。平成 27 年

に発生した事故の漏えい部位の常用の圧力及び常用の温度の統計を表 7-1 に示す。

表 7-1 平成 27 年に発生した圧縮水素スタンドにおける漏えい部位の

常用の圧力と常用の温度の統計

常用の温度:

t(℃)

常用の

圧力:P(MPa)

t<

-40

-40≦t<

-10

-10≦t≦

40

40<t≦

150 t>150

温度

不明 合計

P≧70 4 1 3 8

40<P<70 1 1

20<P≦40 1 1

0<P≦20 1 1

P=0 0

合計 0 4 3 3 1 0 11

11 件の漏えい事故のうち、全体の 7 割を超える 8 件の漏えい事故が常用の圧力が 70MPa

以上の部位で発生している。

一方、常用の圧力が 40MPa を超え 70MPa 未満の部位、20MPa を超え 40MPa 以下の部

位及び常用の圧力が 20MPa 以下の部位では、それぞれ 1 件と少ないことも分かる。

7.2 圧縮水素スタンドの製造設備の仕様

FCV 用の圧縮水素スタンドは、常用の圧力が 82MPa と高圧である。そのため 20MPa

を超える圧縮水素が通る部分については材料の制約がある。これらの設備については、大

臣認定を取得した事業者がないので、大臣認定品は使用できない。また、その高圧の水素

をガソリン車の給油時間と同程度の短時間で充塡するため、プレクールを用いている。

一方、FCFL 用の圧縮水素スタンドは、常用の圧力が 45MPa と FCV と比較した場合、

その圧力は低いが、20MPa を超える圧縮水素が通る部分については FCV 用と同様に材料

の制約がある。大臣認定品についても同様で使用できない。ただし、プレクールは用いな

いので冷凍設備は必要ない。

水素の消費量が少ない場合は、常用の圧力が 20MPa と更に低い圧力の設備を使用するこ

51

ともある。この場合、市場に多く出ている 高充塡圧力が 19.6MPa の一般継目なし容器に

充塡された圧縮水素を、その差圧により FCFL の燃料装置用容器に充塡することも考えら

れるが、この設備も圧縮水素スタンド等の定義に該当するため、定置式製造設備(CE、CNG

スタンド、LNG スタンド及び圧縮水素スタンドを除く。)又は移動式製造設備(圧縮水素

スタンドを除く。)で使用する高圧ガス設備と同じ材料を使用することが出来るが、適用条

項の関係から、大臣認定品を使用することが出来ない。

以上より、現在の基準ではいずれも圧縮水素スタンドに該当するが、その製造設備の仕

様は、大きく異なると言える。

7.3 圧縮水素スタンドの立地

FCV 用の圧縮水素スタンドは、公道を走行する FCV が顧客になるため、公道に面してい

る。また一定のニーズが見込まれるところに立地するため、交通量の多いところや都市部

に立地しているものが多い。そのため周囲に不特定多数の人間がいることが多い。

一方で FCFL 用の圧縮水素スタンドは、その事業所で使用する FCFL に充塡するため、

事業所内に設置される。そのため周囲には事業所の従業員や協力会社の社員等がいること

は想定されるが、不特定多数の人間がいることは考えにくい。

以上より、立地条件は大きく異なると言える。

7.4 圧縮水素スタンドで充塡する対象

FCV 用の圧縮水素スタンドは、不特定多数の顧客に充塡する。FCV の使用状況や FCV

のドライバーについて、なんら情報を把握できる立場にない。

一方で、FCFL 用の圧縮水素スタンドは、事業所で使用する FCFL に充塡する。FCFL

の使用状況及び FCFL を操作する者について、十分に情報を把握できる立場にある。

以上より、充塡する対象は大きく異なると言える。

7.5 その他

製造工程中の FCV 又は FCFL に対する充塡は、工場内で行われる。また、充塡する対象

も限定的である。従って、立地及び充塡する対象については FCFL 用の圧縮水素スタンド

と同じ状況にある。

ただし、製造工程中の FCV に充塡する製造設備については、FCV 用ステーションと同じ

仕様(常用の圧力 82MPa であって、かつ、プレクールを用いる)となることも考えられる

が、出荷時に必ず満充塡する必要はないので、FCFL 用の圧縮水素スタンドと同じ仕様(常

用の圧力が 45MPa であって、かつ、プレクールは用いない)となることも考えられる。

52

8. まとめ

水素利用に係る技術基準の見直し要否を含めた規制基準に関して、次を提言する。

8.1 FCFL に係る規制基準について

FCFLに搭載したFCユニットのリユースについて、検討する必要があるのではないか。

(規制改革実施計画(平成 29 年 6 月 9 日閣議決定)⑦次世代自動車(燃料電池自動車)

関連規制の見直し No.58 充てん可能期間中の容器を搭載している燃料電池産業車両用

電源ユニットのリユースの許容)

FCFL の燃料装置用容器に使用できる容器の種類及び鋼材の拡大について、検討する必

要があるのではないか。

8.2 FCFL 用の圧縮水素スタンド等に係る規制基準について

FCV 用の圧縮水素スタンド等に係る規制基準と FCFL 用の圧縮水素スタンド等に係る

規制基準は、分けたほうが合理的と考える。

FCFL 用の圧縮水素スタンド等は、常用の圧力が低く(45MPa 以下)、かつ、プレク

ールの設備を有しないことを想定しているため、それらを前提条件に付し、その上で

立地や充塡の対象を勘案した相応の規制基準としてはどうか。

FCFL 用の圧縮水素スタンドは、高圧ガス設備の外面から事業所の敷地境界までで、

第 1 種設備距離を確保すること(万が一のことがあっても、事業所の外部に対し

影響を及ぼさないこと)を前提として、第 7 条の 3 第 1 項の基準(ハード基準)

を基本としつつ、距離規制等を緩和。

FCFL 用の移動式圧縮水素スタンドは、第 8 条の 2 第 2 項の基準(ソフト基準)

の考え方を踏襲し、ソフト基準で前提条件を確保。

FCFL 用の圧縮水素スタンド等は、製造工程中の FCV 又は FCFL に充塡する製造

設備として利用されることも想定。(ただし、製造工程中の FCV に充塡する製造

設備のうち、常用の圧力が 45MPa を超え、かつ、プレクールを用いるものを除く。)

保安管理体制及び保安検査の方法については、FCFL 用の圧縮水素スタンドの新た

な技術上の基準、その使用状況及び事業者の要望等を踏まえ、別に検討。

なお、第 1 種設備距離を確保できない場合の FCFL 用の圧縮水素スタンド等の規

制基準(現在の第 7 条の 3 第 2 項、いわゆる都市型スタンドの基準)については、

そのリスクを詳細に評価し、事業者の要望等を踏まえ、別に検討。

当該製造設備内の圧縮水素の常用の圧力が 20MPa 以下である圧縮水素の製造設備は、

高圧ガス設備の材料の制限がなく、また、FCV 又は FCFL のいずれに充塡する場合で

あっても過充塡となる恐れがないことから、圧縮水素スタンド等として規制するする

必要はなく、定置式製造設備(CE、CNG スタンド、LNG スタンド及び圧縮水素スタ

ンドを除く。)又は移動式製造設備(圧縮水素スタンドを除く。)として扱ってよいの

53

ではないか。

上記を踏まえ、例えば圧縮水素スタンド等の定義を表 8.2-1 に示すとおり見直し、圧縮

水素スタンド等を表 8.2-2 に示すように分類して規制することにより、保安を確保しつ

つ、かつ、コストの 適化を図ることが出来るのではないか。

新たに技術上の基準を設ける簡易圧縮水素スタンド及び移動式簡易圧縮水素スタンド

に係る技術上の基準の基本的な考え方は、表 8.2-3 のとおり。

表 8.2-3 の基本的な考え方に基づき、第 7 条の 3 第 1 項(ハード基準)及び第 3 項(ソ

フト基準)の各条項号を簡易型圧縮水素スタンドに準用する必要性の検討(論点の整

理)をした結果は、表 8.2-4(ハード基準)及び表 8.2-5(ソフト基準)のとおり。

54

表 8.2-1 圧縮水素スタンド等の定義見直し(案)

現行 見直し(案)

一般則 (用語の定義)第 2 条 一般則 (用語の定義)第 2 条

第 25 号 圧縮水素スタンド

圧縮水素を燃料として使用する車

両に固定した燃料装置用容器に当

該圧縮水素を充塡するための処理

設備を有する定置式製造設備

第 25 号 圧縮水素スタンド

圧縮水素を燃料として使用する車両に固定した燃料

装置用容器に当該圧縮水素を充塡するための処理設

備を有する定置式製造設備(当該製造設備内の圧縮水

素の常用の圧力が 20MPa 以下のものを除く。)

第 26 号 移動式圧縮水素スタンド

圧縮水素を燃料として使用する車

両に固定した燃料装置用容器に当

該圧縮水素を充塡するための処理

設備を有する移動式製造設備

第 26 号 移動式圧縮水素スタンド

圧縮水素を燃料として使用する車両に固定した燃料

装置用容器に当該圧縮水素を充塡するための処理設

備を有する移動式製造設備(当該製造設備内の圧縮水

素の常用の圧力が 20MPa 以下のものを除く。)

(新設) 第 27 号 簡易圧縮水素スタンド

圧縮水素スタンドのうち、当該製造設備内の圧縮水素

の常用の圧力が 45MPa 以下であって、かつ、圧縮水

素を冷却(圧縮機に係る熱交換器による冷却を除く。)

することなく充塡するもの

(新設) 第 28 号 簡易移動式圧縮水素スタンド

移動式圧縮水素スタンドのうち、当該製造設備内の圧

縮水素の常用の圧力が 45MPa 以下であって、かつ、

圧縮水素を冷却(圧縮機に係る熱交換器による冷却を

除く。)することなく充塡するもの

55

表 8.2-2 圧縮水素スタンド等の分類及び規制基準(案)

分類 主たる対象 主な仕様 ハード基準 ソフト基準

圧縮水素

スタンド

FCV に充塡する

商用のスタンド

常用の圧力

82MPa 以下

プレクール

あり

【第 1 種製造者】

第 7 条の 3 第 1 項又は第 2 項

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

第 11 条第 5 号

(第 7 条の 3 第 1 項又は第 2 項)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

第 12 条の 2 第 1 項又は第 2 項

【第 1 種製造者】

第 7 条の 3 第 3 項

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

第 11 条第 5 号

(第 7 条の 3 第 3 項)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

第 12 条の 2 第 3 項

移動式

圧縮水素

スタンド

FCV に充塡する

商用のスタンド

常用の圧力

82MPa 以下

プレクール

あり

【第 1 種製造者】

第 8 条の 2 第 1 項

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

第 11 条第 7 号

(第 8 条の 2 第 1 項)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

第 12 条の 3 第 1 項

【第 1 種製造者】

第 8 条の 2 第 2 項

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

第 11 条第 7 号

(第 8 条の 2 第 2 項)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

第 12 条の 3 第 2 項

簡易

圧縮水素

スタンド

事業所で使用する

FCFL に充塡する

スタンド

製造工程の FCV/

FCFL に充塡する

スタンド

常用の圧力

45MPa 以下

プレクール

なし

【第 1 種製造者】

新設(第 7 条の 3 第 1 項を参考)

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

新設(第 7 条の 3 第 1 項を参考)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

新設(第 12 条の 2 第 1 項を参考)

【第 1 種製造者】

新設(第 7 条の 3 第 3 項を参考)

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

新設(第 7 条の 3 第 3 項を参考)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

新設(第 12 条の 2 第 3 項を参考)

56

分類 主たる対象 主な仕様 ハード基準 ソフト基準

簡易

移動式

圧縮水素

スタンド

事業所で使用する

FCFL に充塡する

スタンド

製造工程の FCV/

FCFL に充塡する

スタンド

常用の圧力

45MPa 以下

プレクール

なし

【第 1 種製造者】

新設(第 8 条の 2 第 1 項を参考)

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

新設(第 11 条第 7 号(第 8 条の 2

第 1 項)を参考)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

新設(第 12 条の 3 第 1 項を参考)

【第 1 種製造者】

新設(第 8 条の 2 第 2 項を参考)

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

新設(第 11 条第 7 号(第 8 条の 2

第 2 項)を参考)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

新設(第 12 条の 3 第 2 項を参考)

上記に該当

しない

圧縮水素の

定置式

製造設備

FCV への緊急充塡

又は走行距離や利用

時間が限定的な

FCV/FCFL に

充塡する設備

FCV/FCFL の製造

工程で充塡する設備

常用の圧力

20MPa 以下

【第 1 種製造者】

第 6 条第 1 項

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

第 11 条第 1 号

(第 6 条第 1 項)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

第 12 条第 1 項第 1 号

【第 1 種製造者】

第 6 条第 2 項

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

第 11 条第 1 号

(第 6 条第 2 項)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

第 12 条第 2 項

上記に該当

しない

圧縮水素の

移動式

製造設備

FCV への緊急充塡

又は走行距離や利用

時間が限定的な

FCV/FCFL に

充塡する設備

FCV/FCFL の製造

工程で充塡する設備

常用の圧力

20MPa 以下

【第 1 種製造者】

第 8 条第 1 項

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

第 11 条第 6 号

(第 8 条第 1 項)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

第 12 条第 1 項第 2 号

【第 1 種製造者】

第 8 条第 2 項

【処理能力 30 ㎥以上の第 2 種製造者】

第 11 条第 6 号

(第 8 条第 2 項)

【処理能力 30 ㎥未満の第 2 種製造者】

第 12 条第 2 項

57

表 8.2-3 簡易圧縮水素スタンド及び移動式簡易圧縮水素スタンドに係る技術上の基準の基本的な考え方

スタンド

の区分

製造者

の区分 ハード基準の考え方(留意点を含む) ソフト基準の考え方

簡易

圧縮水素

スタンド

第 1 種製造者 次の 3 要件を前提にして、第 7 条の 3 第 1 項及び第 12 条の 2 第 1 項か

ら、それぞれ必要な基準のみ準用

① 常用の圧力が 45MPa 以下

② プレクールなし

③ 高圧ガス設備から事業所の敷地境界までで、第 1 種設備距離を確保

準用した基準に係る例示基準も、必要に応じて見直し

ディスペンサーを屋内に設置することを考慮

大臣認定品の取扱いは、別に検討が必要

第 1 種設備距離を確保できないスタンドの基準については、別に検討が

必要

プレクールがないことを前提

にして、第 7 条の 3 第 3 項及

び第 12 条の 2 第 3 項から、

それぞれ必要な基準のみ準用

ディスペンサーを屋内に設置

しても、今回の調査結果から、

特に上乗せすべきソフト基準

はないと想定

処理能力

30 ㎥以上の

第 2 種製造者

処理能力

30 ㎥未満の

第 2 種製造者

簡易

移動式

圧縮水素

スタンド

第 1 種製造者 次の 2 要件を前提にして、第 8 条の 2 第 1 項及び第 12 条の 3 第 1 項か

ら、それぞれ必要な基準のみ準用

① 常用の圧力が 45MPa 以下

② プレクールなし

準用した基準に係る例示基準も、必要に応じて、見直し

大臣認定品の取扱いは、別に検討が必要

プレクールがないこと及び高

圧ガス設備から事業所の敷地

境界までで、第 1 種設備距離

を確保することを前提にし

て、第 8 条の 2 第 2 項及び第

12 条の 3 第 2 項から、それぞ

れ必要な基準のみ準用

処理能力

30 ㎥以上の

第 2 種製造者

処理能力

30 ㎥未満の

第 2 種製造者

58

表 8.2-4 簡易圧縮水素スタンドに係る技術上の基準(ハード基準)の検討結果

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

第 7 条の 3 第 1 項

第 1 号

第 6 条第 1 項

第 1 号 事業所の境界線を明示し、かつ、当該事業所の外部から見やすいように警戒標を掲げ

ること。

準用

第 2 号 製造施設は、その貯蔵設備及び処理設備の外面から、第一種保安物件に対し第一種設

備距離以上、第二種保安物件に対し第二種設備距離以上の距離を有すること。

改正 製造施設は、その高圧ガス設備の

外面から、事業所敷地境界までで

第一種設備距離以上の距離を有す

ること。

この部分は規制強化

その代わりに他の距離規制等

を緩和

第 5 号 可燃性ガスの貯槽(貯蔵能力が 300 立方メートル又は 3000 キログラム以上のものに

限る。以下この号において同じ。)は、その外面から他の可燃性ガス又は酸素の貯槽に対し、

1 メートル又は当該貯槽及び他の可燃性ガス若しくは酸素の貯槽の 大直径の和の 4 分の 1

のいずれか大なるものに等しい距離以上の距離を有すること。ただし、防火上及び消火上有

効な措置を講じた場合は、この限りでない。

準用

第 6 号 可燃性ガス又は特定不活性ガスの貯槽には、可燃性ガス又は特定不活性ガスの貯槽で

あることが容易に識別することができるような措置を講ずること。

準用

第 7 号 可燃性ガス、毒性ガス又は酸素の液化ガスの貯槽(可燃性ガス又は酸素の液化ガスの 準用

59

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

貯槽にあっては貯蔵能力が 1000 トン以上のもの、毒性ガスの液化ガスの貯槽にあっては貯

蔵能力が 5 トン以上のものに限る。)の周囲には、液状の当該ガスが漏えいした場合にその

流出を防止するための措置を講ずること。

第 8 号 前号に規定する措置のうち、防液堤を設置する場合は、その内側及びその外面から

10 メートル(毒性ガスの液化ガスの貯槽に係るものにあっては、毒性ガスの種類及び貯蔵

能力に応じて経済産業大臣が定める距離)以内には、当該貯槽の付属設備その他の設備又は

施設であって経済産業大臣が定めるもの以外のものを設けないこと。

準用

第 9 号 可燃性ガス又は特定不活性ガスの製造設備を設置する室は、当該ガスが漏えいしたと

き滞留しないような構造とすること。

準用 ただし、屋内にディスペンサーを

設置する前提で例示基準を整備

(例えば、NFPA2 を参考として、

一定容積以上の部屋に設置すれば

滞留しない構造とみなす等)

第 10 号 可燃性ガス、毒性ガス及び酸素のガス設備(高圧ガス設備及び空気取入口を除く。)

は、気密な構造とすること。

準用

第 11 号 高圧ガス設備(容器及び経済産業大臣が定めるものを除く。)は、常用の圧力の 1.5

倍以上(特定設備検査規則(昭和 51 年通商産業省令第 4 号)第 2 条第 17 号に規定する第

二種特定設備(以下単に「第二種特定設備」という。)にあっては、常用の圧力の 1.3 倍以

上)の圧力で水その他の安全な液体を使用して行う耐圧試験(液体を使用することが困難で

あると認められるときは、常用の圧力の 1.25 倍以上(第二種特定設備にあっては、常用の

圧力の 1.1 倍以上)の圧力で空気、窒素等の気体を使用して行う耐圧試験)又は経済産業大

臣がこれらと同等以上のものと認める試験(試験方法、試験設備、試験員等の状況により試

準用

60

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

験を行うことが適切であると経済産業大臣が認める者の行うものに限る。)に合格するもの

であること。ただし、特定設備検査規則第 34 条に規定する耐圧試験のうちの 1 に合格した

特定設備(特定設備検査規則第 3 条に規定する特定設備をいう。以下同じ。)又は特定設備

検査規則第 51 条の規定に基づき経済産業大臣の認可を受けて行った耐圧試験に合格した特

定設備であって、使用開始前のものについては、この限りでない。

第 12 号 高圧ガス設備(容器及び経済産業大臣が定めるものを除く。)は、常用の圧力以上の

圧力で行う気密試験又は経済産業大臣がこれらと同等以上のものと認める試験(試験方法、

試験設備、試験員等の状況により試験を行うことが適切であると経済産業大臣が認める者の

行うものに限る。)に合格するものであること。ただし、特定設備検査規則第 35 条に規定す

る気密試験に合格した特定設備又は特定設備検査規則第 51 条の規定に基づき経済産業大臣

の認可を受けて行った気密試験に合格した特定設備であって、使用開始前のものについて

は、この限りでない。

準用

第 13 号 高圧ガス設備(容器を除く。以下この号において同じ。)は、常用の圧力又は常用の

温度において発生する 大の応力に対し、当該設備の形状、寸法、常用の圧力若しくは常用

の温度における材料の許容応力、溶接継手の効率等に応じ、十分な強度を有するものであり、

又は特定設備検査規則第 12 条及び第 51 条の規定に基づく強度を有し、若しくは高圧ガス

設備の製造技術、検査技術等の状況により製造することが適切であると経済産業大臣が認め

る者の製造した常用の圧力等に応ずる十分な強度を有するものであること。

準用

第 14 号 ガス設備(可燃性ガス、毒性ガス及び酸素以外のガスにあっては高圧ガス設備に限

る。)に使用する材料は、ガスの種類、性状、温度、圧力等に応じ、当該設備の材料に及ぼ

す化学的影響及び物理的影響に対し、安全な化学的成分及び機械的性質を有するものである

準用 ただし、常用の圧力が 20MPa を

超える圧縮水素が通る部分の高圧

ガス設備について、ニッケル当量

61

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

こと や絞り等の制限を課す必要性は別

に検討

第 15 号 高圧ガス設備(配管、ポンプ、圧縮機及びこの号に規定する基礎を有する構造物上

に設置されたものを除く。)の基礎は、不同沈下等により当該高圧ガス設備に有害なひずみ

が生じないようなものであること。この場合において、貯槽(貯蔵能力が 100 立方メートル

又は 1 トン以上のものに限る。以下この号及び次号において同じ。)の支柱(支柱のない貯

槽にあつては、その底部)は、同一の基礎に緊結すること。

準用

第 16 号 貯槽は、その沈下状況を測定するための措置を講じ、経済産業大臣が定めるところ

により沈下状況を測定すること。この測定の結果、沈下していたものにあっては、その沈下

の程度に応じ適切な措置を講ずること。

準用

第 17 号 塔(反応、分離、精製、蒸留等を行う高圧ガス設備(貯槽を除く。)であつて、当該

設備の 高位の正接線から 低位の正接線までの長さが 5 メートル以上のものをいう。)、貯

槽(貯蔵能力が 300 立方メートル又は 3 トン以上のものに限る。)及び配管(経済産業大臣

が定めるものに限る。)並びにこれらの支持構造物及び基礎(以下「耐震設計構造物」とい

う。)は、耐震設計構造物の設計のための地震動(以下この号において「設計地震動」とい

う。)、設計地震動による耐震設計構造物の耐震上重要な部分に生じる応力等の計算方法(以

下この号において「耐震設計構造物の応力等の計算方法」という。)、耐震設計構造物の部材

の耐震設計用許容応力その他の経済産業大臣が定める耐震設計の基準により、地震の影響に

対して安全な構造とすること。ただし、耐震設計構造物の応力等の計算方法については、経

済産業大臣が耐震設計上適切であると認めたもの(経済産業大臣がその計算を行うに当たっ

て十分な能力を有すると認めた者による場合に限る。)によることができる。

準用

62

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

第 18 号 高圧ガス設備には、経済産業大臣が定めるところにより、温度計を設け、かつ、当

該設備内の温度が常用の温度を超えた場合に直ちに常用の温度の範囲内に戻すことができ

るような措置を講ずること。

準用

第 19 号 高圧ガス設備には、経済産業大臣が定めるところにより、圧力計を設け、かつ、当

該設備内の圧力が許容圧力を超えた場合に直ちにその圧力を許容圧力以下に戻すことがで

きる安全装置を設けること。

準用

第 20 号 前号の規定により設けた安全装置(不活性ガス(特定不活性ガスを除く。)又は空気

に係る高圧ガス設備に設けたものを除く。以下第 7 条の 3 第 2 項第 11 号及び第 8 条の 2 第

1 項第 4 号において同じ。)のうち安全弁又は破裂板には、放出管を設けること。この場合

において、放出管の開口部の位置は、放出するガスの性質に応じた適切な位置であること。

準用

第 21 号 可燃性ガス低温貯槽には、当該貯槽の内部の圧力が外部の圧力より低下することに

より当該貯槽が破壊することを防止するための措置を講ずること。

準用

第 22 号 液化ガスの貯槽には、液面計(不活性ガス(特定不活性ガスを除く。)又は酸素の超

低温貯槽以外の貯槽にあっては、丸形ガラス管液面計以外の液面計に限る。)を設けること。

この場合において、ガラス液面計を使用するときは、当該ガラス液面計にはその破損を防止

するための措置を講じ、貯槽(可燃性ガス、毒性ガス及び特定不活性ガスのものに限る。)

とガラス液面計とを接続する配管には、当該ガラス液面計の破損による液化ガスの漏えいを

防止するための措置を講ずること。

準用

第 24 号 可燃性ガス、毒性ガス又は酸素の貯槽(加圧蒸発器付き低温貯槽であって、当該貯

槽に係る配管の当該貯槽の直近の部分にバルブを設置しているものを除く。)に取り付けた

配管(当該ガスを送り出し、又は受け入れるために用いられるものに限り、かつ、貯槽と配

準用

63

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

管との接続部を含む。)には、当該貯槽の直近にバルブ(使用時以外は閉鎖しておくこと。)

を設けるほか、1 以上のバルブ(次号の規定により講ずる措置に係るバルブを除く。)を設

けること。

第 25 号 可燃性ガス、毒性ガス又は酸素の液化ガスの貯槽(内容積が 5000 リットル未満の

ものを除く。)に取り付けた配管(当該液化ガスを送り出し、又は受け入れるために用いら

れるものに限り、かつ、貯槽と配管との接続部を含む。)には、当該液化ガスが漏えいした

ときに安全に、かつ、速やかに遮断するための措置を講ずること。

準用

第 26 号 可燃性ガス(アンモニア及びブロムメチルを除く。)の高圧ガス設備に係る電気設備

は、その設置場所及び当該ガスの種類に応じた防爆性能を有する構造のものであること。

準用

第 27 号 反応、分離、精製、蒸留等を行う製造設備を自動的に制御する装置及び製造施設の

保安の確保に必要な設備であって経済産業大臣が定めるものを設置する製造施設には、停電

等により当該設備の機能が失われることのないよう措置を講ずること。

準用

第 32 号 可燃性ガス若しくは毒性ガスの貯槽又はこれらの貯槽以外の貯槽であって可燃性ガ

スの貯槽の周辺若しくは可燃性物質を取り扱う設備の周辺にあるもの及びこれらの支柱に

は、温度の上昇を防止するための措置を講ずること。

検討

第 38 号 可燃性ガス及び特定不活性ガスの製造設備には、当該製造設備に生ずる静電気を除

去する措置を講ずること。

準用

第 39 号 可燃性ガス、酸素及び三フッ化窒素の製造施設には、その規模に応じ、適切な防消

火設備を適切な箇所に設けること。

準用

第 40 号 事業所には、事業所の規模及び製造施設の態様に応じ、事業所内で緊急時に必要な

通報を速やかに行うための措置を講ずること。

準用

64

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

第 41 号 製造設備に設けたバルブ又はコック(操作ボタン等により当該バルブ又はコックを

開閉する場合にあっては、当該操作ボタン等。以下同じ。)には、作業員が当該バルブ又は

コックを適切に操作することができるような措置を講ずること。

準用

第 42 号 容器置場並びに充塡容器及び残ガス容器(以下「充塡容器等」という。)は、次に掲

げる基準に適合すること。

イ 容器置場は、明示され、かつ、その外部から見やすいように警戒標を掲げたものである

こと。

ロ 可燃性ガス及び酸素の容器置場(充塡容器等が断熱材で被覆してあるもの及びシリンダ

ーキャビネットに収納されているものを除く。)は、一階建とする。ただし、圧縮水素(充

塡圧力が 20 メガパスカルを超える充塡容器等を除く。)のみ又は酸素のみを貯蔵する容器

置場(不活性ガスを同時に貯蔵するものを含む。)にあっては、2 階建以下とする。

ハ 容器置場(貯蔵設備であるものを除く。)であって、次の表に掲げるもの以外のものは、

その外面から、第一種保安物件に対し第一種置場距離以上の距離を、第二種保安物件に対

し第二種置場距離以上の距離を有すること。

表(略)

ニ ハの表に掲げる容器置場(イ)及び(ロ)には、第一種置場距離内にある第一種保安物

件又は第二種置場距離内にある第二種保安物件に対し厚さ 12 センチメートル以上の鉄筋

コンクリート造り又はこれと同等以上の強度を有する構造の障壁を設けること。

ホ 充塡容器等(断熱材で被覆してあるものを除く。)に係る容器置場(可燃性ガス及び酸

準用

65

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

素のものに限る。)には、直射日光を遮るための措置(当該ガスが漏えいし、爆発したと

きに発生する爆風が上方向に解放されることを妨げないものに限る。)を講ずること。た

だし、充塡容器等をシリンダーキャビネットに収納した場合は、この限りでない。

ヘ 可燃性ガス及び特定不活性ガスの容器置場は、当該ガスが漏えいしたとき滞留しないよ

うな構造とすること。

ト ジシラン、ホスフィン又はモノシランの容器置場は、当該ガスが漏えいし、自然発火し

たときに安全なものであること。

チ 特殊高圧ガス、五フッ化ヒ素等、亜硫酸ガス、アンモニア、塩素、クロルメチル、酸化

エチレン、シアン化水素、ホスゲン又は硫化水素の容器置場には、当該ガスが漏えいした

ときに安全に、かつ、速やかに除害するための措置を講ずること。

リ ロただし書の 2 階建の容器置場は、ニ、ホ(2 階部分に限る。)及びヘに掲げるものの

ほか、当該容器置場に貯蔵するガスの種類に応じて、経済産業大臣が定める構造とするこ

と。

ヌ 可燃性ガス、特定不活性ガス、酸素及び三フッ化窒素の容器置場には、その規模に応じ、

適切な消火設備を適切な箇所に設けること。

第 1 号の 2 地盤面下に高圧ガス設備を設置する室の上部は、十分な強度を有し、かつ、当該室

の構造に応じ漏えいしたガスの滞留を防止するための措置を講じてあること。

準用

第 1 号の 3 地盤面下に液化水素の貯槽を設置する室には、防水措置を施すこと。 準用

第 1 号の 4 地盤面下の室に設置する液化水素の貯槽には、二重殻真空断熱式構造により、貯槽

内の液化水素の温度が常用の温度を超えて上昇しないような措置を講ずること。

準用

第 2 号 ディスペンサーは、第 6 条第 1 項第 2 号に規定する処理設備の例による距離以上の距 削除 事業所の敷地境界までで第一種設

66

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

離を有すること。また、ディスペンサー本体の外面から公道の道路境界線に対し 8 メートル(圧

縮水素スタンドの常用の圧力が 40 メガパスカル以下の場合にあっては、6 メートル)以上の

距離を有し、又はこれと同等以上の措置を講ずること。

設備距離以上の距離を確保するた

め削除

第 3 号 当該製造施設の外部から供給される圧縮水素を受け入れる配管には、緊急時に圧縮水素

の供給を遮断するための措置を講ずること。

準用

第 4 号 圧縮水素及び液化水素の貯槽(蓄圧器(圧縮水素を送り出し、又は受け入れるために用

いられるものに限る。以下同じ。)を含む。以下この号及び次項第 7 号において同じ。)に取り

付けた配管(圧縮水素若しくは液化水素を送り出し、又は受け入れるために用いられるものに

限り、貯槽と配管との接続部を含む。以下この号及び次項第 7 号において同じ。)には、これ

らの水素を送り出し、又は受け入れるとき以外は自動的に閉止することができる遮断措置を 2

以上(液化水素の貯槽に取り付けた配管にあつては、1)講ずること。

改正 液化水素の貯槽(内容積が五千リ

ットル未満のものを除く。)及び蓄

圧器(圧縮水素を送り出し、又は

受け入れるために用いられるもの

に限る。以下同じ。)に取り付けた

配管(圧縮水素若しくは液化水素

を送り出し、又は受け入れるため

に用いられるものに限り、貯槽と

配管との接続部を含む。以下この

号及び次項第 7 号において同じ。)

には、これらの水素を送り出し、

又は受け入れるとき以外は自動的

に閉止することができる遮断措置

を講ずること。

事業所の敷地境界までで第一

種設設備距離以上の距離を確

67

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

保するため、対象の変更及び

冗長化不要(第 6 条第 1 項第

25 号を参考)

第 5 号 ディスペンサーには、充塡車両に固定した容器の 高充塡圧力以下の圧力で自動的に圧

縮水素を遮断する装置を設け、かつ、漏えいを防止するための措置を講ずること。

準用

第 6 号 配管(高圧ガスが通る部分に限る。)には、次に掲げる措置を講ずること。

イ 外部からの衝撃により損傷を受けるおそれのない場所に設置すること。

ロ トレンチ内に設置する場合は、トレンチの蓋を通気性のよいものにすること。ただし、次

号に規定する設備を設けた場合は、この限りでない。

削除 事業所の敷地境界までで第一種設

設備距離以上の距離を確保するた

め削除

第 7 号 製造施設には、当該施設から漏えいする可燃性ガスが滞留するおそれのある場所に、当

該ガスの漏えいを検知し、かつ、警報するための設備を設けること。

準用

第 8 号 ディスペンサーの上部に屋根を設けるときは、不燃性又は難燃性の材料を用いるととも

に、圧縮水素が漏えいしたときに滞留しないような構造とすること。

準用

第 9 号 充塡を受ける車両は、地盤面上に設置した貯槽の外面から 3 メートル以上離れて停止さ

せるための措置を講ずること。ただし、貯槽と車両との間にガードレール等の防護措置を講じ

た場合は、この限りでない。

準用

第 10 号 圧縮水素スタンド(可燃性ガスが通る部分に限る。)は、その外面から火気(当該圧縮

水素スタンド内のものを除く。)を取り扱う施設に対し 8 メートル(常用の圧力が 40 メガパス

カル以下の可燃性ガス(液化水素を除く。)が通る部分にあっては 6 メートル、液化水素が通

る部分にあっては 2 メートル)以上の距離を有し、又は流動防止措置若しくは当該可燃性ガス

が漏えいしたときに連動装置により直ちに使用中の火気を消すための措置を講ずること。

検討 事業所の敷地境界までで第一種設

設備距離以上の距離を確保するた

め、距離又は措置について見直し

する余地があるのではないか

なお、検討する圧力の範囲は、常

68

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

用の圧力が 45MPa 以下となるこ

とに留意

第 11 号 圧縮水素を燃料として使用する車両に固定した容器に当該圧縮水素を充塡するとき

は、充塡設備に過充塡防止のための措置を講ずること。

準用

第 12 号 圧縮水素スタンドの処理設備及び貯蔵設備は、その外面から当該圧縮水素スタンド以

外の可燃性ガスの製造設備(液化石油ガススタンド、圧縮天然ガススタンド及び液化天然ガス

スタンドを除く。)の高圧ガス設備(高圧ガス設備の冷却の用に供する冷凍設備を除き、可燃

性ガスが通る部分に限る。)に対し 6 メートル以上、酸素の製造設備の高圧ガス設備(酸素が

通る部分に限る。)に対し 10 メートル以上の距離を有すること。

削除 事業所の敷地境界までで第一種設

設備距離以上の距離を確保するた

め削除

第 12 号の 2 圧縮水素スタンドの処理設備及び貯蔵設備は、その外面から圧縮天然ガススタン

ドの処理設備及び貯蔵設備に対し六メートル以上の距離を有し、又はこれと同等以上の措置を

講ずること。

削除 事業所の敷地境界までで第一種設

設備距離以上の距離を確保するた

め削除

第 13 号 充塡容器等から圧縮水素を受け入れる配管には、圧縮水素の流量が著しく増加するこ

とを防止するための措置を講ずるとともに、当該配管(常用の圧力が充塡容器等の 高充塡圧

力未満のものに限る。)には、当該配管の常用の圧力以下に減圧するための措置を講ずること。

準用

第 14 号 一の圧縮水素スタンドにおいて、常用の圧力の異なる複数の蓄圧器又は圧縮機(水電

解水素発生昇圧装置を含む。以下この号及び第 16 号並びに次項第 30 号及び第 34 号並びに第

12 条の 2 第 2 項第 5 号において同じ。)が配管(圧縮水素を送り出すために蓄圧器に取り付け

られる配管に接続されるものに限る。)で接続される場合には、当該配管に、常用の圧力が高

い蓄圧器又は圧縮機から常用の圧力が低い蓄圧器に圧縮水素が流入することを防止するため

の措置を講ずること。

準用

69

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

第 15 号 ライナーを繊維強化プラスチックで補強した構造(次項第 36 号において「複合構造」

という。)を有する圧縮水素の蓄圧器は、次に掲げる基準に適合すること。

イ ライナーに、ヘリカル巻(ライナー胴部及び鏡部に繊維をら旋状に巻き付ける方法をいう。

以下同じ。)若しくはインプレーン巻(ライナー胴部及び鏡部に繊維を直線状に巻き付ける

方法をいう。以下同じ。)により樹脂含浸連続繊維を巻き付けた構造(以下「フルラップ構

造」という。)又はフープ巻(ライナー胴部に繊維を軸とほぼ直角に巻き付ける方法をいう。

以下同じ。)のみにより樹脂含浸連続繊維を巻き付けた構造(以下「フープラップ構造」と

いう。)であること。

ロ その外部からの輻射熱、紫外線、雨水等による劣化を防止するための措置を講ずること。

準用

第 16 号 圧縮機と圧力が 10 メガパスカル以上の圧縮ガスを容器に充塡する場所又は第 1 号で

準用する第 6 条第 1 項第 42 号に規定する当該ガスの充塡容器に係る容器置場との間には、厚

さ 12 センチメートル以上の鉄筋コンクリート造り又はこれと同等以上の強度を有する構造の

障壁を設けること。

検討 事業所の敷地境界までで第一種設

設備距離以上の距離を確保するこ

とを前提としているため、圧縮機

とディスペンサー又は容器置場と

の距離が十分に確保できる場合が

多いと想定

一定の距離が確保される場合は、

不要としてよいのではないか

第 17 号 水電解水素発生昇圧装置により、圧縮水素を製造する場合は、当該水電解水素発生昇

圧装置には、爆発、漏えい、損傷等を防止するための措置を講ずること。

準用

70

表 8.2-5 簡易圧縮水素スタンドに係る技術上の基準(ソフト基準)の検討結果

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

第 7 条の 3 第 3 項

第 1 号

第 6 条第 2 項

第 1 号 高圧ガスの製造は、その発生、分離、精製、反応、混合、加圧又は減圧において、次

に掲げる基準によることにより保安上支障のない状態で行うこと。

イ 安全弁又は逃し弁に付帯して設けた止め弁は、常に全開しておくこと。ただし、安全弁

又は逃し弁の修理又は清掃のため特に必要な場合は、この限りでない。

準用

ハ 次に掲げるガスは、圧縮しないこと。

(イ) 可燃性ガス(アセチレン、エチレン及び水素を除く。以下この号において同じ。)

中の酸素の容量が全容量の 4 パーセント以上のもの

(ロ) 酸素中の可燃性ガスの容量が全容量の 4 パーセント以上のもの

(ハ) アセチレン、エチレン又は水素中の酸素の容量が全容量の 2 パーセント以上のもの

(ニ) 酸素中のアセチレン、エチレン及び水素の容量の合計が全容量の 2 パーセント以上

のもの

準用

第 2 号 高圧ガスの製造は、その充塡において、次に掲げる基準によることにより保安上支障

のない状態で行うこと。

イ 貯槽に液化ガスを充塡するときは、当該液化ガスの容量が当該貯槽の常用の温度におい

てその内容積の 90 パーセントを超えないように充塡すること。この場合において、毒性

ガスの液化ガスの貯槽については、当該九十パーセントを超えることを自動的に検知し、

準用

71

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

かつ、警報するための措置を講ずること。

ハ 車両に固定した容器(内容積が 4,000 リットル以上のものに限る。)に高圧ガスを送り

出し、又は当該容器から高圧ガスを受け入れるときは、車止めを設けること等により当該

車両を固定すること。

準用

ヌ 容器保安規則第 2 条第 11 号に規定する一般複合容器、同条第 12 号に規定する圧縮天

然ガス自動車燃料装置用容器、同条第 13 号に規定する圧縮水素自動車燃料装置用容器、

同条第 13 号の 3 に規定する国際圧縮水素自動車燃料装置用容器、同条第 13 号の 5 に規

定する圧縮水素二輪自動車燃料装置用容器、同条第 14 号に規定する液化天然ガス自動車

燃料装置用容器又は同条第十七号の二に規定する圧縮水素運送自動車用容器(以下「一般

複合容器等」という。)であつて当該容器の刻印等に示された年月から 15 年を経過したも

の(容器保安規則第 2 条第 12 号に規定する圧縮天然ガス自動車燃料装置用容器(以下単

に「圧縮天然ガス自動車燃料装置用容器」という。)、同条第 13 号に規定する圧縮水素自

動車燃料装置用容器(以下単に「圧縮水素自動車燃料装置用容器」という。)又は同条第

17 号の 2 に規定する圧縮水素運送自動車用容器(以下「圧縮水素運送自動車用容器」と

いう。)にあつては、同令第 8 条第 1 項第 10 号の充塡可能期限年月日を経過したもの、

同令第 2 条第 13 号の 3 に規定する国際圧縮水素自動車燃料装置用容器(以下単に「国際

圧縮水素自動車燃料装置用容器」という。)及び同条第 13 号の 5 に規定する圧縮水素二輪

自動車燃料装置用容器(以下単に「圧縮水素二輪自動車燃料装置用容器」という。)にあ

つては、同令第 8 条第 1 項第 10 号の充塡可能期限年月を経過したもの)には、高圧ガス

を充塡しないこと(法第 48 条第 5 項の許可に付された条件に従つて高圧ガスを充塡する

場合については、この限りでない。)。

準用

72

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

ル 国際相互承認に係る容器保安規則(平成 28 年経済産業省令第 82 号)第 2 条第 1 号に

規定する国際相互承認圧縮水素自動車燃料装置用容器(以下単に「国際相互承認圧縮水素

自動車燃料装置用容器」という。)又は同条第二号に規定する国際相互承認天然ガス自動

車燃料装置用容器(以下単に「国際相互承認天然ガス自動車燃料装置用容器」という。)

であつて当該容器を製造した月(その製造過程で行われた耐圧試験に合格した月をいう。)

の前月から起算して 15 年を経過したもの(国際相互承認天然ガス自動車燃料装置用容器

にあつては、容器製造業者が定めた月(同条第 2 号イに規定する国際相互承認圧縮天然ガ

ス自動車燃料装置用容器にあつては、20 年を超えない範囲内において容器製造業者が定

めた月)(以下単に「国際相互承認天然ガス自動車燃料装置用容器の充塡可能期限年月」

という。)を経過したもの(同条第 2 号ロに規定する国際相互承認液化天然ガス自動車燃

料装置用容器(以下単に「国際相互承認液化天然ガス自動車燃料装置用容器」という。)

であつて、容器製造業者が国際相互承認天然ガス自動車燃料装置用容器の充塡可能期限年

月を定めないものを除く。))には、高圧ガスを充塡しないこと(法第 48 条第五項の許可

に付された条件に従つて高圧ガスを充塡する場合については、この限りでない。)

第 4 号 高圧ガスの製造は、製造設備の使用開始時及び使用終了時に当該製造設備の属する製

造施設の異常の有無を点検するほか、1 日に 1 回以上製造をする高圧ガスの種類及び製造設

備の態様に応じ頻繁に製造設備の作動状況について点検し、異常のあるときは、当該設備の

補修その他の危険を防止する措置を講じてすること。

準用

第 5 号 ガス設備の修理又は清掃(以下この号において「修理等」という。)及びその後の製

造は、次に掲げる基準によることにより保安上支障のない状態で行うこと。

イ 修理等をするときは、あらかじめ、修理等の作業計画及び当該作業の責任者を定め、修

準用

73

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

理等は、当該作業計画に従い、かつ、当該責任者の監視の下に行うこと又は異常があつた

ときに直ちにその旨を当該責任者に通報するための措置を講じて行うこと。

ロ 可燃性ガス、毒性ガス、特定不活性ガス又は酸素のガス設備の修理等をするときは、危

険を防止するための措置を講ずること。

ハ 修理等のため作業員がガス設備を開放し、又はガス設備内に入るときは、危険を防止す

るための措置を講ずること。

ニ ガス設備を開放して修理等をするときは、当該ガス設備のうち開放する部分に他の部分

からガスが漏えいすることを防止するための措置を講ずること。

ホ 修理等が終了したときは、当該ガス設備が正常に作動することを確認した後でなければ

製造をしないこと。

第 6 号 製造設備に設けたバルブを操作する場合には、バルブの材質、構造及び状態を勘案し

て過大な力を加えないよう必要な措置を講ずること。

準用

第 8 号 容器置場及び充塡容器等は、次に掲げる基準に適合すること。

イ 充塡容器等は、充塡容器及び残ガス容器にそれぞれ区分して容器置場に置くこと。

ロ 可燃性ガス、毒性ガス及び酸素の充塡容器等は、それぞれ区分して容器置場に置くこと。

ハ 容器置場には、計量器等作業に必要な物以外の物を置かないこと。

ニ 容器置場(不活性ガス(特定不活性ガスを除く。)及び空気のものを除く。)の周囲 2 メ

ートル以内においては、火気の使用を禁じ、かつ、引火性又は発火性の物を置かないこと。

ただし、容器と火気又は引火性若しくは発火性の物の間を有効に遮る措置を講じた場合

は、この限りでない。

ホ 充塡容器等(圧縮水素運送自動車用容器を除く。)は、常に温度 40 度(容器保安規則第

準用

74

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

2 条第 3 号に掲げる超低温容器(以下「超低温容器」という。)又は同条第 4 号に掲げる

低温容器(以下「低温容器」という。)にあつては、容器内のガスの常用の温度のうち

高のもの。以下第 40 条第 1 項第 4 号ハ、第 49 条第 1 項第 4 号、第 50 条第 2 号及び第

60 条第 7 号において同じ。)以下に保つこと。

ヘ 圧縮水素運送自動車用容器は、常に温度 65 度以下に保つこと。

ト 充塡容器等(内容積が 5 リットル以下のものを除く。)には、転落、転倒等による衝撃

及びバルブの損傷を防止する措置を講じ、かつ、粗暴な取扱いをしないこと。

チ 可燃性ガスの容器置場には、携帯電燈以外の燈火を携えて立ち入らないこと。

第 2 号 圧縮水素の充塡は、充塡した後に容器とディスペンサーとの接続部分を外してから車両

を発車させることにより、圧縮水素が漏えいし、又は爆発しないような措置を講じること。

準用

第 3 号 圧縮水素を容器に充塡するときは、容器に有害となる量の水分及び硫化物を含まないも

のとすること。

準用

第 4 号 圧縮水素を容器に充塡するときは、圧縮水素により当該容器を損傷するおそれのある流

量で充塡しないこと。

削除

又は

準用

プレクールを使用しないため削除

又は

例示基準を見直して、適切な措置

とする

第 5 号 製造設備の冷却の用に供する冷凍設備により冷却した圧縮水素を燃料として使用する

車両に固定した容器に充塡するときは、ディスペンサーのホースの先端部に設けた充塡用のノ

ズルと当該容器との接続部が凍結した状態で接続しないこと。

削除 プレクールを使用しないため削除

第 6 号 二重殻真空断熱式構造の液化水素の貯槽を設置する場合にあっては、適切な真空度を保

つこと。

準用

75

現行の技術上の基準 準用の

要否 備考

第 7 号 移動式製造設備又は充塡容器等(以下この号において「移動設備等」という。)により

液化水素の貯槽に液化水素を受け入れる場合は、当該移動設備等の放出配管を圧縮水素スタン

ド内の放出管に接続し、気化し、及び加温した後、放出すること。この場合、危険又は損害の

発生を防止するため、適切な流量とすること。

準用