Upload
others
View
15
Download
1
Embed Size (px)
Citation preview
2PA20 回路シミュレーターによるペロブスカイト型太陽電池ヒステリシスの解析 産総研省エネ 1 ○豊島安健 1
Analysis of I-V Curve Hysteresis in Perovskite Photovoltaic Cell by Spice Simulator AIST-iECO.1 ○Yasutake TOYOSHIMA1
回路シミュレーターは設計された電子回路の動作をコンピューター上で確認する目的で古くから用いられているソ
フトウエアである。この回路シミュレーターを用いて、近年注目されている鉛ペロブスカイト型の太陽電池に頻繁に見
られる I-V特性のヒステリシスを、比較的簡単な等価回路により再現できることが、ごく最近、報告された[1]。 ここでは容易に入手できるフリーの回路シミュレーターLTSpice[2]を用いてこのヒステリシスを再現させた等価回
路(図1)を構築するとともに、その主な要因であるやや大きすぎる印象のある容量(C2)に関し、発生する光電流に
分布を考える(図2の I2)ことで、C2を小さくしても、ほぼ同等のヒステリシスが再現できること(図3)が示せた。 [1]L. Cojocaru et al., Chem. Lett. 2015, 44, 1750–1752 | doi:10.1246/cl.150933 [2]Linear Technology社LT Spice IV:http://www.linear-tech.co.jp/
図1 文献[1]の等価回路 図2 電流分布を想定した場合 図3 算出された2つの I-V特性
文献値の再現
基本:ヒステリシスの大小はC2の容量に大きく依存する
-0.030
-0.020
-0.010
0.000
0.010
0.020
0.030
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2
48mA
24mA
12mA
電流源容量の影響
下側の電流を減らすとヒステリシスが増大するが逆に電流を増加させるとヒステリシスは解消する
-0.010
-0.005
0.000
0.005
0.010
0.015
0.020
0.025
0.030
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2
容量を小さくしても、ほぼ再現できる(2)
18mA
電流源 減(24mA → 23.5mA)
スキャン速度 増(1.4V/14ms → 1.4V/6ms)
容量 減(0.25mF → 0.1mF)
下側の電流源I2の電流量を少し減らせば、下側のC2の容量を減らしても、類似のヒステリシスが再現される
単なる電流減では形状が変化(24mA → 18mA)
変更した回路定数
I2の電流値を減少させることでもヒステリシスは増大する
下側の電流源(I2)の電流を減少
R2の抵抗値を上側と同じに大きくすると、この傾向が明確になる
下側の電流源(I2)の電流を減少
しかし、全体の電流値の増減はヒステリシスに影響しない(上下に平行移動するのみ)
全体の電流値を減少
ヒステリシス形状の検討回路に電流源は必ずしも必要でない
電流源を二分割するモデルの解釈について
op
太陽電池の電流-電圧特性
光
光が充分照射される部分とその後ろで光が届かない部分の二つに分けて考える
さらに、後ろの部分の質が悪く電流の損失が大きい(シャント抵抗が小さい)
(秋の応用物理学会)前回までのまとめ
ペロブスカイト太陽電池で見られるIV特性ヒステリシスについて
既報にある回路モデルを用いて、回路シミュレーターを用いて検討した
・回路モデルでの分散定数の選択はユニークとはならない(ただし、スキャン速度などのIVスキャンの条件変化に伴うヒステリシスの変化まで正確に再現できればユニークに定まる可能性は否定できないが)
・上記の修正回路モデルは、ペロブスカイト層の不均一性にヒステリシスの原因があることを示唆している(依然としてその一方に異様に大きな容量が想定されている)
これが現実にあり得るのか、検討を行なった
容量の大きさ(250μF)の妥当性の検討
キャパシタの容量: C[F] = ε0 εR S[m2]/d[m]比誘電率 電極面積 電極間隔
真空の誘電率 ~ 10-11 F/m
電極面積 1cm2 電極間隔 1nm とすると、真空で C = 1μFとなる
一般的な強誘電体の比誘電率:最大で3000程度⇒ C=3000μFまで可能?
しかし、一般的な絶縁破壊電界 10kV/mm程度= 10mV/nmこの太陽電池では最大1V前後の電圧が発生するからそれに耐えるためには、最低でも百倍の1Vの耐圧(=100nn)が必要⇒ 実現できる容量も百分の一となって 30μFが上限となる
平板でなく、凹凸による電極面積の増大を想定する?⇒ 突起部への電界集中で、絶縁破壊が起こりやすくなるため不可能
250μFの容量は大きすぎて、非現実的な可能性が高い
強誘電体 : 自発分極
内部電位
自発分極の影響でバンドが折れ曲がる
直感的な説明だが定量化が課題
このモデルから予想されるヒステリシス低減方法
・自発分極を電流の流れる方向と直交させる(面内に寝かせる:手段が?)
・粒径(ドメイン)を小さくして自発分極を細分化する(メゾスコピック型でヒステリシスが小さいことと合致)(プラナー型で貧溶媒による微粒化で性能向上とも相関?)
-・ー課題-・-まず影響の定量化-・--・--・-