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1 新規ペロブスカイト材料による高性能 太陽電池およびトランジスタの開発 九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 准教授 松島 敏則

新規ペロブスカイト材料による高性能 太陽電池および ......1 新規ペロブスカイト材料による高性能 太陽電池およびトランジスタの開発

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  • 1

    新規ペロブスカイト材料による高性能太陽電池およびトランジスタの開発

    九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所准教授 松島 敏則

  • 2

    本日の発表内容1高効率・高耐久性のペロブスカイト太陽電池

    【新技術の概要】

    【新技術の特徴】

    【想定される用途】

    有機無機ペロブスカイトに0.5%のベンゾキノンを添加すると太陽電池特性が向上する。

    ・前駆体溶液に混ぜるだけ・耐久性が向上する・光電変換効率も向上

    ・高効率・高耐久性の光電変換システム・ポストシリコン太陽電池・他のペロブスカイトデバイスにも応用可能

  • 3

    ペロブスカイト太陽電池の耐久性に問題

    光CH3NH3PbI3 CH3NH3I, PbI2, Pb

    劣化の原因

    Benzoquinone (BQ)Pb2+ (PbI2) Pb

    還元マイルドな酸化剤

  • 4

    ベンゾキノンの導入により耐久性が約2倍に向上白色LED (100 mW/cm2)

    LT80 (h)

  • 5

    0 400 800 1200 1600 200018

    19

    20

    21

    22

    JSC (mA cm-2)

    VOC (V) FF (%)

    Time (h)

    0.80

    0.85

    0.90

    0.95

    1.00

    0.60

    0.65

    0.70

    0.75

    0.80

    11

    12

    13

    14

    15

    疑似太陽光(AM 1.5G, 100 mW cm-2)

    半減寿命10,000時間!

  • 6

    ベンゾキノンの導入により金属鉛の生成が抑制

    0 200 400 600 800 1000100

    101

    102

    103

    104

    Total ions of w/o BQ CH3NH3 of w/o BQ Pb of w/o BQ Total ions of with BQ CH3NH3 of with BQ Pb of with BQ

    Cou

    nts

    per s

    econ

    d

    Sputtering time (s)150 145 140 1350

    1x104

    2x104

    3x104 w/o BQ with BQ

    Cou

    nts

    per s

    econ

    d

    Binding energy (eV)

    Pb0

    Pb-I

    TOF-SIMS XPS

    Pb0

    Pb-I

  • 7

    ベンゾキノンの導入により光電変換効率が約1.5倍に向上

  • 8

    BQ

    Perovskite filmPrecursor solution

    10 20 30 40 50 60

    w/o BQ

    1/1000 BQ

    1/200 BQ

    1/100 BQ

    1/20 BQ

    2 (degree)

    Inte

    nsity

    No BQ 0.5% BQ 5% BQBigger grains

    ベンゾキノンとペロブスカイト前駆体との相互作用

    粒界にベンゾキノンが存在

  • 9

    従来技術

    • 従来技術ではベンゾキノンは用いられていない。• デバイス構造や成膜プロセスの最適化などにより

    高耐久性化。

    新技術(ベンゾキノン)の特徴

    • ペロブスカイトをスピンコートする際の前駆体溶液にベンゾキノンを混ぜるだけ。

    • ペロブスカイト太陽電池の耐久性を向上させることができる。

    • 光電変換効率も向上。

  • 10

    想定される用途

    • 高効率・高耐久性のペロブスカイト太陽電池• ポストシリコン太陽電池• 他のペロブスカイトデバイスにも応用可能

    実用化に向けた課題

    • さらに光電変換効率と耐久性を向上• 鉛フリーペロブスカイト太陽電池の開発(スズ系太陽電池:1000時間光照射を行っても効

    率に大きな変化は見られない)

  • 11

    企業への期待

    • ペロブスカイト太陽電池に関する共同研究• 当該特許の独占実施許諾

    本技術に関する知的財産権

    • 発明の名称 :混合物、機能層、光電変換素子およびペロブスカイト安定化剤

    • 出願番号 :特願2015-192501、PCT/JP2016/78356• 出願人 :九州大学• 発明者 :シン センコウ、松島 敏則、安達 千波矢

  • 12

    本日の発表内容2高キャリア移動度のペロブスカイトトランジスタ

    【新技術の概要】

    【新技術の特徴】

    【想定される用途】

    NH3I末端を持つ自己組織化単分子膜(NH3I-SAM)により基板の表面修飾を行うと、ペロブスカイトトランジスタ特性が向上する。

    ・キャリア移動度が向上する。・ヒステリシスが消失する・トランジスタ用の新規半導体

    ・ディスプレイの駆動回路、RFIDタグ、センサーなど

  • 13

    ペロブスカイトを半導体としたトランジスタ有機半導体 無機半導体 ペロブスカイト

    溶液プロセス性 〇 × 〇

    材料コスト × 〇 〇

    フレキシブル性 〇 × 〇

    キャリア移動度 × 〇 〇

    発光波長の可変性 〇 × 〇

    発光半値幅の狭さ × 〇 〇

    耐久性 △ 〇 ?

    低コスト・フレキシブル・高速動作のトランジスタ用の半導体材料

    報告があるホール移動度は2.6 cm2 V-1 s-1

  • 14

    ペロブスカイトトランジスタの問題点と解決策

    SnI2 +

    (C6H5C2H4NH3)2SnI4(PEASnI4)

    NH3I末端を持つ自己組織化単分子膜(NH3I-SAM)

    SiO2

    NH3I NH3I NH3I

    構造の乱れ 構造の乱れが緩和

  • 15

    基板の表面修飾の効果

    大きなヒステリシス

    ヒステリシスが消失

    ホール移動度が5倍に

  • 16

    従来よりも10倍高いホール移動度

    ホール移動度: 26 cm2 V-1 s-1

    電子移動度: 4.6 cm2 V-1 s-1

    ヒステリシスなし 良好なバイアス安定性

    ペロブスカイトでは世界最高

  • 17

    従来技術

    • 表面処理がない基板にペロブスカイトをスピンコートすると、低品質なペロブスカイトしか得られなかった。

    新技術(NH3I-SAM)の特徴

    • 自己組織化単分子膜で表面処理を行うだけで、キャリア移動度が大幅に向上。

    • ヒステリシスが消失。• 大面積トランジスタの作製に有効。

  • 18

    想定される用途

    • ディスプレイの駆動回路• RFIDタグ• センサー

    実用化に向けた課題

    • さらに移動度を向上• バランスが取れたキャリア移動度• 大気安定性の確保

  • 19

    企業への期待

    • ペロブスカイトトランジスタに関する共同研究• 当該特許の独占実施許諾

    本技術に関する知的財産権

    • 発明の名称 : 2次元ペロブスカイト形成用材料、積層体、素子およびトランジスタ

    • 出願番号 : 特願2015-224923、PCT/JP2016/ 83932• 出願人 : 九州大学• 発明者 : 松島 敏則、シン センコウ、安達 千波矢

  • 20

    お問い合わせ先

    九州大学

    最先端有機光エレクトロニクス研究センター

    学術研究員

    JST ERATO 安達分子エキシトン工学PJ

    研究推進主任

    工藤真弓

    TEL 092-802-6920

    FAX 092-802-6924

    e-mail [email protected]