33
- 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種 (1)主要 5 島における固有植物種 小笠原諸島は、わが国でも数少ない海洋島であり、高い固有性を持つ生物相の存在が特徴 である。本調査は、対象を既存の比較的新しい調査データが数多く蓄積されている聟島、弟 島、兄島、父島、母島の主要 5 島に限定し、データが比較的少ないその他属島については基 本的に対象としないこととした(一部補足的に言及)。 主要 5 島における固有種数と固有種率は、下記文中の各グラフ及び表 3-1 で示すとおりで あり、確認された維管束植物種は計 688 種で、そのうち 21.8%にあたる 150 種が固有種であ った(全種数及び固有種数の計数には、亜種及び変種も1種として取り扱った)。 ここで用いた維管束植物種リストは、平成 14 年度業務である「環境省請負業務・平成 14 年度小笠原地域自然再生推進調査」(社団法人日本林業技術協会,2003 年)で整理された維 管植物種リストに、平成 15 年度の本業務(その 1)において、さらに主要な既存文献と東京 都立大学の牧野植物標本館所蔵の植物標本及び現地調査結果を追加して、全 27 件の出典に 基づき再整理したものである。 なお、主要 5 島における固有植物種リストは表 3-2 に示すとおりであり、固有性の判断に ついては、 Kobayashi and Ono(1987)、小野・小林(1985)及び「小笠原植物図譜」(豊田, 2003 年)によった。 ①聟島 聟島は主要 5 島の中では最も小面積であるとともに、 標高 90m に満たない緩傾斜地の多い地形を示し、しか もかつての森林破壊と現在にいたるヤギの食害により、 大半が草地化した島である。 このため、兄島でも維管束植物の総確認種数は 230 を数えるが、聟島では 200 種にすぎず、固有種も 57 と少ない。 また、他島との著しい相違はシダ植物の少なさであり、 わずかに 6 種が記録されているのみである。これは陰湿 な森林環境の乏しさに起因したものと考えられる。 ②弟島 弟島は主要 5 島の中では聟島に次いで小面積である ものの、二つの大きく開いた谷地形をもち、同域には適 潤かつ土壌化の進行した立地があることから戦前は集 落が見られた。また、広根山北西に見られる巨岩堆積地 や岩峰、海食崖等もあって、維管束植物の総確認種数は、 弟島(維管束植物合計:2 66 種) 32% 68% 固有種 聟島(維管束植物合計:200種) 71% 29% 固有種

3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 3 -

3.小笠原地域における固有種の生息状況

1)固有植物種

(1)主要 5 島における固有植物種 小笠原諸島は、わが国でも数少ない海洋島であり、高い固有性を持つ生物相の存在が特徴

である。本調査は、対象を既存の比較的新しい調査データが数多く蓄積されている聟島、弟

島、兄島、父島、母島の主要 5 島に限定し、データが比較的少ないその他属島については基

本的に対象としないこととした(一部補足的に言及)。 主要 5 島における固有種数と固有種率は、下記文中の各グラフ及び表 3-1で示すとおりで

あり、確認された維管束植物種は計 688 種で、そのうち 21.8%にあたる 150 種が固有種であ

った(全種数及び固有種数の計数には、亜種及び変種も1種として取り扱った)。 ここで用いた維管束植物種リストは、平成 14 年度業務である「環境省請負業務・平成 14

年度小笠原地域自然再生推進調査」(社団法人日本林業技術協会,2003 年)で整理された維

管植物種リストに、平成 15 年度の本業務(その 1)において、さらに主要な既存文献と東京

都立大学の牧野植物標本館所蔵の植物標本及び現地調査結果を追加して、全 27 件の出典に

基づき再整理したものである。 なお、主要 5 島における固有植物種リストは表 3-2に示すとおりであり、固有性の判断に

ついては、Kobayashi and Ono(1987)、小野・小林(1985)及び「小笠原植物図譜」(豊田,2003年)によった。

①聟島

聟島は主要 5 島の中では最も小面積であるとともに、

標高 90m に満たない緩傾斜地の多い地形を示し、しか

もかつての森林破壊と現在にいたるヤギの食害により、

大半が草地化した島である。 このため、兄島でも維管束植物の総確認種数は 230 種

を数えるが、聟島では 200 種にすぎず、固有種も 57 種

と少ない。 また、他島との著しい相違はシダ植物の少なさであり、

わずかに 6 種が記録されているのみである。これは陰湿

な森林環境の乏しさに起因したものと考えられる。

②弟島 弟島は主要 5 島の中では聟島に次いで小面積である

ものの、二つの大きく開いた谷地形をもち、同域には適

潤かつ土壌化の進行した立地があることから戦前は集

落が見られた。また、広根山北西に見られる巨岩堆積地

や岩峰、海食崖等もあって、維管束植物の総確認種数は、

弟島(維管束植物合計:266種)

32%

68%

固有種

聟島(維管束植物合計:200種)

71%

29%

固有種

Page 2: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 4 -

266 種であった。そのうち、固有種は 84 種が確認され

ており、父島・兄島の乾性低木林を特徴づけているコバ

トベラ、アツバシロテツ、ムニンビャクダンといった種

を欠き、かわってヒメツバキ、コブガシ、ムニンモチと

いった種が見られる。

③兄島 兄島には乾燥した岩屑土が広く分布して乾燥傾向が

強く、他島と比較して立地環境の多様性に乏しい。また、

かつて定住者による広面積の開拓がなかったことから

外来植物や栽培起源の植物も少なく、維管束植物の総確

認種数は 230 種であった。 そのうち固有種は、約 41.3%にあたる 95 種に達し、

コバトベラ、ナガバキブシ、アツバシロテツ等の父島・

兄島に分布する 16 種をはじめ、主に乾燥立地に耐性の

ある種により特徴づけられる。

④父島 小笠原諸島最大の面積をもち、母島にみられるような

雲霧帯こそないものの標高 300m 級の主稜部があり、塩

沼地から乾燥した岩峰までの多様な立地環境が存在す

る。このため小笠原諸島の全固有種数の 8 割以上(129種)が生育し、広域分布種も多い。 また開拓や戦争等に伴う大きな人為的影響を反映し

て外来植物や植栽起源の植物も全島的にみられ、上記の

固有種数等もあわせて、維管束植物の総確認種数は 622種にのぼる。

⑤母島 小笠原諸島中、父島に次いで大きな面積を占める島で、

父島と比較して約 150m高い標高 400m級の主稜部があ

り、標高 300m 以高は雲霧帯的性格を示している。また、

全般に湿潤で土壌化も進行しており、ドリーネ地形の石

灰岩地帯もみられるなど、多くの特徴が見られる。 母島には主要 5 島の維管束植物の総確認種の約 8 割

(122 種)が生育し、父島同様広域にわたって開拓等の

人為的影響を受けてきたことを反映して、外来植物や栽

培起源の植物も多く、固有種をあわせた維管束植物の総

確認種数は 448 種であった。 母島は、父島等の乾燥した岩屑土分布域に生育の中心を持つシマムロ、ムニンタイトゴメ

兄島(維管束植物合計:230種)

41%

59%

固有種

父島(維管束植物合計:622種)

21%

79%

固有種

母島(維管束植物合計:448種)

27%

73%

固有種

Page 3: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 5 -

等を欠き、また同様の生態的最適域を持つシマイスノキ、コバノアカテツ等の種群も個体数

が少ない。 一方、母島には上記に代わってリュウビンタイモドキ、シマクジャク、ワダンノキ、ホシ

ツルラン等の湿潤から中性立地に生育の中心をもつ独自の固有種をもち、広域分布種も多い。 なお、固有種のなかでも希少なシマカコソウ、ユズリハワダン等の種の分布については、

乳房山、堺ヶ岳、石門の付近に集中しており、特に石灰岩地で知られる石門は、極めて個体

数の少ない固有種であるヒメタニワタリ、セキモンウライソウ等の唯一の生育地となってい

る。

表 3-1 主要 5 島における固有植物種数と固有種率

全種数 固有種数 固有種率(%)

維管束植物合計 688 150 21.8

シダ植物 83 25 30.1

裸子植物 6 1 16.7 5 島合計

被子植物 599 124 20.7

維管束植物合計 200 57 28.5

シダ植物 6 1 16.7

裸子植物 2 1 50.0 聟 島

被子植物 192 55 28.6

維管束植物合計 266 84 31.6

シダ植物 33 11 33.3

裸子植物 3 1 33.3 弟 島

被子植物 230 72 31.3

維管束植物合計 230 95 41.3

シダ植物 30 9 30.0

裸子植物 2 1 50.0 兄 島

被子植物 198 85 42.9

維管束植物合計 622 129 20.7

シダ植物 72 19 26.4

裸子植物 6 1 16.7 父 島

被子植物 544 109 20

維管束植物合計 448 122 27.2

シダ植物 70 23 32.9

裸子植物 2 0 0 母 島

被子植物 376 99 26.3

※全種数及び固有種数の計数には、亜種及び変種も 1 種として取り扱った。

Page 4: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

表3-2 主要5島における固有植物種リスト

門 綱・亜綱 科 和  名 学  名小笠原固有※1

日本RED

東京都RED

IUCNRED

天然記念物

聟 島※2 弟 島※2 兄 島※2 父 島※2 母 島※2

シダ植物門 シダ綱 リュウビンタイ科 リュウビンタイモドキ Marattia boninensis Nakai 1 VU B 15 1,14,15,17,18,21,27

コケシノブ科 ハハジマホラゴケ ホソバホラゴケ Cephalomanes boninense (Tagawa et K.Iwats.) K.Iwats. 1 EN A 1,10,14,15,17,18,23,27 21,27

コケシノブ科 オガサワラホラゴケ ムニンコケシダ Crepidomanes acuto-obtusum (Hayata) K.Iwats. 1 VU UK 1,10,14,15,17,18,21,27 1,14,15,17,18,21

コケシノブ科 ウチワゴケ ムニンホラゴケ Crepidomanes minutum (Blume) K.Iwats. 1 EN B 1,15,17,18 1,15,17,18 1,10,14,15,17,18,27 1,14,15,17,18,21,27

ヘゴ科 マルハチ Cyathea mertensiana (Kunze) Copel. 1 1,7,10,15,17,18,21,22,27 10,11,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,17,18,21,22,23,25,27 1,8,9,14,15,17,18,21,22,27

ヘゴ科 メヘゴ Cyathea ogurae (Hayata) Domin 1 B 1,10,14,15,17,18,21,23,27

ホングウシダ科 ムニンエダウチホングウシダ ムニンホングウシダ Lindsaea repanda Kunze 1 NT 1,7,10,14,15,17,18,21,22,27 10,19,20,21,22,27 1,10,14,15,17,18,21,22,23,25,27 1,14,15,17,18,21,22,27

ホングウシダ科 イワホウライシダ Adiantum ogasawarense Tagawa 1 EN B 1,8,9,10,14,15,17,18,19,20,21,27 1,14,15,17,18,21,27

シシラン科 オガサワラシシラン Vittaria ogasawarensis Kodama 1 9

イノモトソウ科 オガサワラハチジョウシダ ムニンハチジョウシダ Pteris boninensis H.Ohba 1 UK 1,2,4 1,7,10,15,17,18,21,22,27 1,10,15,17,18,19,20,21,27 1,10,15,17,18,21,22,23,25,26,27 1,8,9,15,17,18,21,22,27

チャセンシダ科 ナンカイシダ Asplenium micantifrons (Tuyama) Tuyama ex H.Ohba 1 VU UK 1,15,17,18

チャセンシダ科 ヒメタニワタリ Hymenasplenium cardiophyllum (Hance) Nakaike 1 CR A 1,14,15,17,18,27

ツルキジノオ科 オガサワラツルキジノオ* Lomariopteris boninensis Nakai 1 VU B 10 1

オシダ科 キンモウイノデ Ctenitis lepigera (Baker) Tagawa 1 1,7,10,15,17,18,21,22,27 1,8,9,10,15,17,18,19,20,21,22,27 1,10,14,15,17,18,21,22,23,25,26,27 1,14,15,17,18,21,22,27

オシダ科 コキンモウイノデ Ctenitis microlepigera (Nakai) Ching 1 CR C 10 1,14,15,17,18,27

オシダ科 ムニンベニシダ Dryopteris insularis Kodama 1 VU 1,10,14,15,17,18 1,10,14,15,17,18,23,25,27 21,27

オシダ科 チチジマベニシダ Dryopteris insularis Kodama var. chichisimensis (Nakai ex H.Ito) H.Ito 1 10,21,23,27

ヒメシダ科 オオホシダ ムニンミゾシダ Thelypteris boninensis (Kodama ex Koidz.) K.Iwats. 1 EN 7,10,27 1,10,14,18,21,23,25,27 1,14,18,21,27

ヒメシダ科 ムニンヒメワラビ Thelypteris ogasawarensis (Nakai) H.Ito ex Honda 1 UK 21 1,10,15,17,18,19,20,21,27 1,10,15,17,18,21,23,27 1,15,17,18,21,27

イワデンダ科 オオシケシダ Deparia bonincola (Nakai) M.Kato 1 C 7,10,15,18,21,27 20 1,10,14,15,17,18,21,22,23,27 1,14,15,17,18,21,27

イワデンダ科 シマクジャク シマクジャクシダ Diplazium longicarpum Kodama 1 CR B 1,14,15,17,18,21,27

イワデンダ科 ムニンミドリシダ Diplazium subtripinnatum Nakai 1 CR A 10 1,15,17,18,27

ウラボシ科 ホソバクリハラン Lepisorus boninensis (H.Christ) Ching 1 NT B 1,7,10,15,17,18,21,27 1,10,14,15,17,18,19,20,21,22,27 1,8,9,10,14,15,17,18,21,22,23,27 1,8,9,14,15,17,18,21,27

ウラボシ科 ムニンサジラン Loxogramme boninensis Nakai 1 VU 7,27 1,10,14,15,17,18,21,23,27 1,14,15,17,18,21,27

ウラボシ科 ハハジマヌカボシ ヌカボシクリハラン Microsorum superficiale (Blume) Ching 1 NT 1,8,9,14*,15,17,18,21,27

裸子植物門 マツ綱 ヒノキ科 シマムロ Juniperus taxifolia Hook. et Arn. 1 VU A DD 1,2,4 1,7,10,15,16,17,18,21 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23

被子植物門 双子葉植物綱 ニレ科 クワノハエノキ ムニンエノキ Celtis boninensis Koidz. 1 1,2,4,9,22 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,8,9,10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

・古生花被植物亜綱 クワ科 トキワイヌビワ Ficus boninsimae Koidz. 1 1,2,4,9,22 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

クワ科 オオヤマイチジク Ficus iidaiana Rehder et E.H.Wilson 1 CR B 1,8,9,14,15,16,17,18,27

クワ科 オオトキワイヌビワ Ficus nishimurae Koidz. 1 EN C 1,2,22 1,7,10,14,15,16,17,18,27 1,10,14,15,16,17,18,22,23,27 1,8,9,14,15,16,17,18,22,27

クワ科 オガサワラグワ Morus boninensis Koidz. 1 CR A 1,7,10,15,16,17,18,21,27 1,16,17,18 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27 1,14,15,16,17,18,27

イラクサ科 オガサワラモクマオ Boehmeria boninensis Nakai 1 1,7,10,14,15,16,17,18,21,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,27

イラクサ科 セキモンウライソウ Procris boninensis Tuyama 1 CR A 1,8,9,14,15,16,17,18,27

ビャクダン科 ムニンビャクダン Santalum boninense Tuyama 1 EN B 10,17,18,19,20,27 1,10,14,15,16,17,18,22,27 1,14,15,16,17,18,21,27

クスノキ科 オガサワラヤブニッケイ マルバヤブニッケイ Cinnamomum pseudopedunculatum Hayata 1 1,2,4,9 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

クスノキ科 オガサワラアオグス テリハコブガシ Machilus boninensis Koidz. 1 2 7,10,21,22 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

クスノキ科 コブガシ Machilus kobu Maxim. 1 2,4,9,22 1,7,9,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,27

クスノキ科 タブガシ Machilus pseudokobu Koidz. 1 EN 1,10,15,16,17,18 22,27 1,10,15,16,17,18,21,22,23,27 1,15,16,17,18,27

クスノキ科 オガサワラシロダモ ムニンシロダモ Neolitsea boninensis Koidz. 1 2,4,9,21 1,7,10,15,16,17,18,21,22,27 1,10,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,15,16,17,18,27

キンポウゲ科 ムニンセンニンソウ Clematis terniflora DC. var. boninensis (Nakai) Tuyama 1 VU 7 1,10,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,15,16,17,18,21,22,27

コショウ科 シマゴショウ Peperomia boninsimensis Makino 1 VU A 7,10,21,27 1,10,15,16,17,18,19,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,27

コショウ科 タイヨウフウトウカズラ Piper postelsianum Maxim. 1 CR A 1,14,15,16,17,18,27

ツバキ科 ムニンヒサカキ Eurya japonica Thunb. subsp. palauensis (Hosok.) T.Yamaz. var. boninensis (Koidz.) T.Yamaz. 1 EN A 7,21 1,10,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,15,16,17,18,22,27

ツバキ科 ヒメツバキ ムニンヒメツバキ Schima mertensiana Koidzumi 1 2 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,14,15,16,17,18,21,22,27

マンサク科 シマイスノキ Distylium lepidotum Nakai 1 1,2,4,9,21,22 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,8,9,15,16,17,18,21,27

ベンケイソウ科 ムニンタイトゴメ Sedum uniflorum Hook. et Arn. subsp. boninense (Yamam. ex Tuyama) H.Ohba 1 VU B 1,2 1,7,10,15,16,17,18,21,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27

トベラ科 シロトベラ Pittosporum boninense Koidz. 1 7,10,21,27 1,8,9,10,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,9,14,15,16,17,18,21,27

トベラ科 オオミノトベラ オオミトビラノキ Pittosporum boninense Koidz. var. chichijimense (Nakai ex Tuyama) H.Ohba 1 CR 27 1,10,14,15,16,17,18,22,23,27

トベラ科 コバトベラ コバノトベラ Pittosporum parvifolium Hayata 1 CR A 21 10,17,18,19,20,27 1,10,14,15,16,17,18,27

トベラ科 ハハジマトベラ Pittosporum parvifolium Hayata var. beecheyi (Tuyama) H.Ohba 1 VU 1,14,15,16,17,18,21,27

バラ科 シラゲテンノウメ Osteomeles lanata Nakai 1 C 1,2 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,8,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 1,16,17,18,27

バラ科 タチテンノウメ Osteomeles schwerinae C.K.Schneid. 1 1,2 1,7,10,15,16,17,18,21,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,24,25,27 1,15,16,17,18,27

バラ科 シマカナメモチ Photinia wrightiana Maxim. 1 VU C 7,22,27 8,9,10,20,21,27 1,10,14,15,16,17,21,22,23,27

バラ科 チチジマキイチゴ チチジマイチゴ Rubus nakaii Tuyama 1 CR C 1,10,15,16,17,18,23,27

トウダイグサ科 テリハニシキソウ Chamaesyce hirta (L.) Millsp. var. glaberrima (Koidz.) H.Hara 1 DD 1,10,15,16,17,18,19,20,27 1,10,14,15,16,17,18,27

トウダイグサ科 セキモンノキ Claoxylon centinarium Koidz. 1 CR B 1,14,15,16,17,18,27

トウダイグサ科 ハツバキ Drypetes integerrima (Koidz.) Hosok. 1 VU 1,2,4,9,22 1,7,10,15,16,17,18,21,22,27 1,8,9,10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

ミカン科 シロテツ Boninia glabra Planch. 1 1,7,10,15,16,17,18,22,27 1,10,15,16,17,18,19,20,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 1,8,9,14,15,16,17,18

- 6 -

Page 5: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

門 綱・亜綱 科 和  名 学  名小笠原固有※1

日本RED

東京都RED

IUCNRED

天然記念物

聟 島※2 弟 島※2 兄 島※2 父 島※2 母 島※2

ミカン科 オオバシロテツ Boninia grisea Planch. 1 2,4,9,22 7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 10,14,15,16,17,18,20,21,22,27 10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

ミカン科 アツバシロテツ アニジマシロテツ Boninia grisea Planch. var. crassifolia (Nakai) T.Yamaz. ex H.Ohba 1 EN C 10,19,20,21

ミカン科 ムニンゴシュユ オガサワラゴシュユ Melicope nishimurae (Koidz.) T.Yamaz. 1 CR A 7,15,16,17,18,15,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,20,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,22,27

ミカン科 アコウザンショウ Zanthoxylum ailanthoides Siebold et Zucc. var. boninshimae (Koidz. ex H.Hara) T.Yamaz. ex H.Ohba 1 1,2 1,7,10,15,16,17,18,21,22,27 21 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,14,15,16,17,18,21,27

モチノキ科 ムニンイヌツゲ Ilex matanoana Makino 1 VU C 7,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,22,23,27 1,14,15,16,17,18,27

モチノキ科 シマモチ Ilex mertensii Maxim. 1 VU C 4 1,7,10,15,16,17,18,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

モチノキ科 ムニンモチ Ilex mertensii Maxim. var. beecheyi (Loes.) T.Yamaz. 1 CR B 1,2 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,9,10,15,16,17,18,22 1,8,9,14,15,16,17,18,21,22,27

モチノキ科 アツバモチ Ilex percoriacea Tuyama 1 19,20 1,10,14,15,16,17,18,23

ニシキギ科 ヒメマサキ Euonymus boninensis Koidz. 1 VU 1,2,4 1,10,14,15,16,17,18,23,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,27

ホルトノキ科 シマホルトノキ Elaeocarpus photiniaefolius Hook.et Arn. 1 UK 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,26,27 1,14,15,16,17,18,21,22,27

アオイ科 モンテンボク テリハハマボウ Hibiscus glaber (Matsum. ex Hatt.) Matsum. ex Nakai 1 1,2,22 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,8,9,10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

ジンチョウゲ科 ムニンアオガンピ オガサワラガンピ Wikstroemia pseudoretusa Koidz. 1 VU C 1,2 1,7,10,14,17,18,22,27 1,8,9,10,14,17,18,22,27 1,9,10,14,17,18,22,23,27 1,14,17,18,22,24,27

グミ科 オガサワラグミ マルバナワシログミ Elaeagnus rotundata Nakai 1 1,2,4,9,22 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,9,14,15,16,17,18,21,22,27

キブシ科 ナガバキブシ Stachyurus praecox Siebold et Zucc. var. macrocarpus (Koidz.) Tuyama ex H.Ohba 1 CR B 27 10,20,27 1,10,15,16,17,18,27 15

キブシ科 ハザクラキブシ Stachyurus praecox Siebold et Zucc. var. macrocarpus (Koidz.) Tuyama ex H.Ohba 1 CR B 1,8,9,15,16,17,18,27

ウリ科 ムニンカラスウリ Trichosanthes ovigera Blume var. boninensis (Nakai ex Tuyama) H.Ohba 1 CR 1,2 1,7,10,14,15,16,17,18,27 1,10,14,15,16,17,18,25,27 1,14,15,16,17,18,21,27

フトモモ科 ムニンフトモモ オガサワラフトモモ Meterosideros boninensis (Hayata ex Koidz.) Tuyama 1 EN B 10,20,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 9

フトモモ科 ヒメフトモモ Syzygium cleyerifolium (Yatabe) Makino 1 VU C 4,9,22 1,7,9,10,15,16,17,18,21,22,27 1,8,9,10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,14,15,16,17,18,22,24,27

ノボタン科 ムニンノボタン Melastoma tetramerum Hayata 1 CR A 14 1,9,10,14,15,16,17,18,23,27

ノボタン科 ハハジマノボタン Melastoma tetramerum Hayata var. pentapetalum Toyoda 1 VU B 1,9,14,15,16,17,18,21,27

ウコギ科 ムニンヤツデ Fatsia oligocarpella Koidz. 1 VU C 1,2 10 1,10,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,23,27 1,9,14,15,16,17,18,21,27

セリ科 ムニンハマウド Angelica japonica A.Gray var. boninensis (Tuyama) T.Yamaz. 1 NT 7 1,10,15,16,17,18,25,27 1,8,9,15,16,17,18,21,27

双子葉植物綱 ツツジ科 ムニンツツジ オガサワラツツジ Rhododendron boninense Nakai 1 CR A 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27

・合弁花植物亜綱 ツツジ科 ムニンシャシャンボ Vaccinium boninense Nakai 1 VU 1,2,4,9 7,21,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,27 9,27

ヤブコウジ科 シマタイミンタチバナ Myrsine maximowiczii (Koidz.) E.Walker 1 VU 2,4,22 7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 8,9,10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 14,15,16,17,18,21,27

ヤブコウジ科 マルバタイミンタチバナ Myrsine maximowiczii (Koidz.) E.Walker 1 EN C 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,27 1,14,15,16,17,18,27

サクラソウ科 オオハマボッス Lysimachia mauritiana Lam. var. rubida (Koidz.) T.Yamaz. 1 1,2 1,7,9,10,15,16,17,18,21,27 1,10,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,15,16,17,18,23,25,27 1,8,15,16,17,18,21,24,27

アカテツ科 ムニンノキ Planchonella boninensis (Nakai) Masam. et Yanagihara 1 CR B 2,4,9 10,27 1,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21、22,23,27 1,14,15,16,17,18,21,27

アカテツ科 コバノアカテツ Planchonella obovata (R.Br.) Pierre var. dubia (Koidz. ex H.Hara) Hatus. ex T.Yamaz. 1 VU C 9 1,7,10,15,16,17,18,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 1,14,15,16,17,18,22,27

ハイノキ科 ウチダシクロキ Symplocos kawakamii Hayata 1 CR A 1,9,10,14,15,16,17,18,22,27

ハイノキ科 チチジマクロキ Symplocos pergracilis (Nakai) T.Yamaz. 1 CR A 10,16,20,21,27 1,9,10,14,15,16,17,18,22,27

モクセイ科 ムニンネズミモチ Ligustrum micranthum Zucc. 1 2,4,22 7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 8,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

マチン科 オガサワラモクレイシ Geniostoma glabrum Matsum. 1 VU C 7,21,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 1,14,15,16,17,18,21,27

キョウチクトウ科 ヤロード Neisosperma nakaianum (Koidz.) Fosberg et Sachet 1 2,4,9,22 7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 10,14,15,16,17,18,21,22,23,24,25,27 8,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

アカネ科 オガサワラクチナシ Gardenia boninensis (Nakai) Tuyama ex T.Yamaz. 1 VU C 2,4,22 1,7,10,15,16,17,18,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 1,9,14,15,16,17,18,21,22,27

アカネ科 シマザクラ Hedyotis grayi Hook.f. 1 NT 2,4 7,10,14,15,16,17,18,21,27 10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

アカネ科 マルバシマザクラ Hedyotis mexicana (Hook. et Arn.) Hatus. 1 VU C 21 10,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27 1,14,15,16,17,18,21,27

アカネ科 ムニンハナガサノキ Morinda umbellata L. subsp. boninensis (Ohwi) T.Yamaz. 1 UK 2,4,9,22 1,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 14,15,16,17,18,27

アカネ科 ハハジマハナガサノキ Morinda umbellata L. subsp. boninensis (Ohwi) T.Yamaz. var. hahajimensis T.Yamaz. 1 VU C 7,10 1,8,9,21,22,24

アカネ科 オオシラタマカズラ Psychotria boninensis Nakai 1 UK 1,7,9,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,27 1,14,15,16,17,18,21,22,27

アカネ科 オガサワラボチョウジ Psychotria homalosperma A.Gray 1 VU C 2 7,10,16,17,18,27 8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 9,14,15,16,17,18,21,27

アカネ科 シマギョクシンカ Tarenna subsessilis (A.Gray) T.Ito 1 1,2,4 7,27 1,10,15,16,17,18,20,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,22,24,27

クマツヅラ科 シマムラサキ Callicarpa glabra Koidz. 1 CR C 1,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,22,23,27 15,16,17,18

クマツヅラ科 ウラジロコムラサキ Callicarpa parvifolia Hook. et Arn. 1 CR B 1,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,27

クマツヅラ科 オオバシマムラサキ Callicarpa subpubescens Hook. et Arn. 1 2,4,22 7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 14,15,16,17,18,21,22,24,27

シソ科 シマカコソウ Ajuga boninsimae Maxim. 1 CR A 1 1,10,14,15,16,17,18,23,27 1,14,15,16,17,18,21,27

シソ科 ムニンタツナミソウ Scutellaria longituba Koidz. 1 NT 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27

ナス科 ムニンホオズキ ムニンホウズキ Lycianthes boninensis Bitter 1 CR C 1,10,14,15,16,17,18,27 1,15,16,17,18,27

ナス科 ムニンハダカホオズキ ムニンハダカホウズキ Tubocapsicum boninense (Koidz.) Koidz. ex H.Hara 1 UK 1 1,14,15,16,17,18,21,27

ハマウツボ科 シマウツボ Orobanche boninsimae (Maxim.) Tuyama 1 C 1,9,10,14,15,16,17,18,23,27 1,14,15,16,17,18,21,27

ハマジンチョウ科 コハマジンチョウ Myoporum boninense Koidz. 1 C 1,2,4,9,22 1,7,10,14,15,16,17,18,21,27 10,21 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,27

スイカズラ科 トキワガマズミ Viburnum japonicum (Thunb.) Spreng. var. boninsimense Makino 1 VU C 10,19,20,21,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,21,23,27

キキョウ科 オオハマギキョウ Lobelia boninensis Koidz. 1 VU B 1 1,10,14,15,16,17,18,25,27 1,14,15,16,17,18,21,27

キク科 オガサワラアザミ Cirsium boninense Koidz. 1 VU B 1 1,7,10,14,15,16,17,18,27 1,10,14,15,16,17,18,27 1,10,14,15,16,17,18,21,25,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,27

キク科 トヨシマアザミ Cirsium toyoshimae Koidz. 1 EX D 1,14,15,16,17,18

キク科 ユズリハワダン Crepidiastrum ameristophyllum (Nakai) Nakai 1 CR A 1,10,14,15,16,17,18,27 1,14,15,16,17,18,21,27

キク科 コヘラナレン Crepidiastrum grandicollum (Koidz.) Nakai 1 EN A 10,20,21,27 1,10,15,16,17,18,22,27

キク科 ヘラナレン Crepidiastrum linguifolium (A.Gray) Nakai 1 CR A 1,10,14,15,16,17,18,27 1,14,15,16,17,18,21,27

キク科 ワダンノキ Dendrocacalia crepidifolia (Nakai) Nakai 1 VU B 1 1,8,9,14,15,16,17,18,21,27

- 7 -

Page 6: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

門 綱・亜綱 科 和  名 学  名小笠原固有※1

日本RED

東京都RED

IUCNRED

天然記念物

聟 島※2 弟 島※2 兄 島※2 父 島※2 母 島※2

キク科 ツルワダン Ixeris longirostra (Hayata) Nakai 1 VU B 1 1,10,14,15,16,17,18,27 1,10,14,15,16,17,18,21,25,27 1,8,9,14,15,16,17,18,21,27

双子葉植物綱 ホンゴウソウ科 スズフリホンゴウソウ Sciaphila okabeana Tuyama 1 VU B 7,27 10,19,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27 27

・単子葉植物亜綱 イネ科 マツバシバ Aristida cumingiana Trin. et Rupr. 1 EN B 1,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27

イネ科 シマギョウギシバ Digitaria platycarpha (Trin.) Stapf 1 EN 1,2 1,7,9,10,14,15,16,17,18,21,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,25,27 1,9,15,16,17,18,21,27

イネ科 シマカモノハシ Ischaemum ischaemoides (Hook. et Arn.) Nakai 1 EN 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,22,23,27

イネ科 オガサワラススキ ムニンススキ Miscanthus boninensis Nakai ex Honda 1 NT 1,2,4 7,10,21,27 1,10,12,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,12,14,15,16,17,18,21,22,23,24,25,27 1,12,14,15,16,17,18,21,24,27

イネ科 コゴメビエ Paspalidium distans (Trin.) Hughes 1 EN A 1 7,10,21,27 10 1,14,15,16,17,18 1,8,9,14,15,16,17,18,21,27

ヤシ科 ノヤシ セボレーヤシ Clinostigma savoryanum (Rehder et E.H.Wilson) H.E.Moore et Fosberg 1 VU C 1 1,2,4 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,21,22,23,26,27 1,14,15,16,17,18,21,27

ヤシ科 オガサワラビロウ Livistona chinensis (Jacq.) R.Br. ex Mart. var. boninensis Becc. 1 NT 1,2,4,9,22 7,10,21,22,27 1,10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,14,15,16,17,18,21,22,24,27

タコノキ科 タコヅル ツルダコ Freycinetia boninensis (Nakai) Nakai 1 1,7,10,15,16,17,18,27 10,19,20,21,27 1,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 1,14,15,16,17,18,21,22,27

タコノキ科 タコノキ Pandanus boninensis Warb. 1 NT C 2,4,22 7,10,15,16,17,18,21,22,27 10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 14,15,16,17,18,21,22,24,27

カヤツリグサ科 ムニンナキリスゲ Carex hattoriana Nakai ex Tuyama 1 1,2 1,7,10,14,15,16,17,18,21,22,27 1,8,9,10,14,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,25,26,27 1,14,15,16,17,18,21,22,24,27

カヤツリグサ科 セキモンスゲ Carex toyoshimae Tuyama 1 VU B 1,14,16,17,18,27 1,14,15,16,17,18,27

カヤツリグサ科 ムニンテンツキ Fimbristylis longispica Steud. var. boninensis (Hayata) Ohwi 1 EN C 2 7,10,14,15,16,17,18,21,27 10,11,14,15,16,17,18,19,20,21,27 9,10,14,15,16,17,18,21,22,23,24,25,27 14,15,16,17,18,21,24,27

カヤツリグサ科 ハハジマテンツキ Fimbristylis longispica Steud. var. hahajimensis (Tuyama) Ohwi 1 CR B 1,14,15,16,21,27

カヤツリグサ科 ネビキグサ ムニンアンペライ Machaerina rubiginosa (Sol. ex G.Forst.) T.Koyama 1 1,27 1,10,14,15,16,17,18,27 1,27

カヤツリグサ科 シマイガクサ Rhynchospora boninensis Nakai 1 DD 9 7 1,10,15,16,17,18,19,20,21,27 1,10,15,16,17,18,21,22,25,27 1,16,17,18,27

カヤツリグサ科 ムニンイヌノハナヒゲ Rhynchospora chinensis Nees et Meyer var.curvoaristata Ohwi 1 VU C 10,19,20,21,27 1,10,15,16,17,18,27

ショウガ科 チクリンカ Alpinia bilamellata Makino 1 CR A 1,10,14,15,16,17,18,23,27

ショウガ科 シマクマタケラン Alpinia boninsimensis Makino 1 EN B 1,9,10,14,15,16,17,18,21,23,25,27 1,14,15,16,17,18,21,27

ラン科 オガサワラシコウラン Bulbophyllum boninense (Schltr.) J.J.Sm. 1 EN A 7,10,21,27 10,19,20,21 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27 1,14,15,16,17,18,21,27

ラン科 アサヒエビネ Calanthe hattorii Schltr. 1 CR A 1,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27 14

ラン科 ホシツルラン Calanthe hoshii S.Kobayashi 1 CR A 1,16,17,18,21,27

ラン科 チクセツラン Corymborkis subdensa (Schltr.) Masam. 1 EN A 1,10,14,15,16,17,18,27 1,14,15,16,17,18,21,27

ラン科 イモラン Eulophia toyoshimae Nakai 1 A 7,27 1,10,14,15,16,17,18,19,20,27 1,10,14,15,16,17,18,23,27 1,14,15,16,17,18,21,27

ラン科 ムニンヤツシロラン Gastrodia boninensis Tuyama 1 A 1,9,10,14,15,16,17,18,27 1,14,15,16,17,18,27

ラン科 ムニンシュスラン Goodyera boninensis Nakai 1 1,10,14,15,16,21,23,27 1,8,9,14,15,16,21,27

ラン科 シマクモキリソウ Liparis hostifolia (Koidz.) Koidz. 1 CR A 1,10 1

ラン科 ムニンボウラン Luisia boninensis Schltr. 1 EN B 1 1,7,15,16,17,18,21,27 1,15,16,17,18,19,20,21,22,27 1,10,14,15,16,17,18,21,22,23,27 1,14,15,16,17,18,21,27

ラン科 シマホザキラン Malaxis boninensis (Koidz.) Nackej. 1 CR A 1,10,14,15,16,17,18,21,27

ラン科 ハハジマホザキラン Malaxis hahajimensis S.Kobayashi 1 CR A 1,15,16,17,18,21,27

ラン科 シマツレサギソウ Platanthera boninensis Koidz. 1 VU C 1,16,17,18,21,27 1,15,16,17,18,19,20,27 1,10,14,15,16,17,18,21,23,27 1,15,16,17,18,27

ラン科 ムニンキヌラン Zeuxine boninensis Tuyama 1 EX D 1,14,15,16,17,18

※1小笠原固有の欄の"1"は、小笠原固有種であることを示す。 注1:アツバシロテツはオオバシロテツのエコタイプという見解がある。 注2:文献14、15ではハハジマノボタンの記載がなくムニンノボタンが母島にも分布するとなっているが、これらをハハジマノボタンとした。

※2:表中の数字は、下記の文献記載があったことを示す。1 Kobayashi and Ono (1987) A Revised List of Vascular Plants Indigenous and Introduced to the Bonin (Ogasawara) and the Volcano (Kazan) Islands. Ogasawara Research No. 132 清水善和 (1993) 小笠原諸島聟島列島の植生-モクタチバナ型低木林の生態と野生化ヤギの食害による森林の後退現象-. 駒澤地理 第29号3 清水善和 (1994) 小笠原諸島母島列島属島の植生-乾性低木林の分布・組成・構造を中心に-. 駒澤地理 第30号4 山本保々 他 (2003) ノヤギ排除直後における聟島・媒島の植物相. 小笠原研究 No. 285 安井隆弥氏による調査記録 (1989.9.23,1990.7.20 未発表)6 安井隆弥氏による調査記録 (1995.6.16 未発表) 17 小野幹雄、他(1985):小笠原固有植物保全対策緊急調査、東京ランドスケープ研究所7 安井隆弥氏による調査記録 (2002年4月~2003年3月 未発表) 18 小野幹雄、小林純子、他 (1986) 小笠原研究No.128 現地調査2004年3月26日~4月12日(JWRC 未発表) 19 安井隆弥 (1988) 小笠原研究年報129 JWRC,標本データ (採集年いろいろ) 20 清水善和、安井隆弥 (1992) WWFJ Sience Report 1

10 安井隆弥氏による調査記録 (調査期間不明少なくとも1980年以前 未発表) 21 東京都総務局、日本工営株式会社 (平成6年、1994)小笠原空港環境現況調査報告書11 安井隆弥氏による調査記録 ("兄島家内見崎周辺の植物リスト" 2004,4,7調査 未発表) 22 平成9年度 小笠原空港環境現況調査報告書(1997)12 榎本敬 (1992) 小笠原諸島、父島・母島の雑草と帰化植物、小笠原年研究年報 16 23 平成11年度 小笠原空港環境現況調査報告書(1999)13 藤田卓 他 (2004) 北硫黄島の植物相 小笠原研究 No. 29 24 急患搬送用夜間離着陸設備整備に係る動植物調査報告書(2000)14 山崎敬 (1970) :小笠原の自然 小笠原諸島の学術・天然記念物調査報告書 25 平成12年度 小笠原空港環境現況補足調査及び環境影響評価書案作成委託報告書(2001)15 小野幹雄、小林純子、清水善和(1980)小笠原諸島自然環境現況調査報告書(2)(3) 26 扇浦地区自然環境調査報告書(2002)16 小野幹雄、小林純子、奥富清、他 (1983)小笠原諸島自然環境現況調査報告書 小笠原の固有植物と植生 27 豊田武司 (2003) 小笠原植物図譜 増補改訂版

和名・学名は日本植物分類学会絶滅危惧植物問題専門委員会(未発表)に依拠した。これに記載のないものはKobayashi and Ono(1987)に拠った。両者に記載がない場合は各種資料・図鑑等を用いた。固有性の判断はKobayashi and Ono(1987)、小笠原植物図譜(豊田,2003)、小野・小林(1985)に拠った。帰化・移入の判断についてはKobayashi and Ono(1987)、外来種ハンドブック(日本生態学会、2002)、小笠原植物図譜(豊田、2003)を参考とした。

- 8 -

Page 7: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 9 -

(2)主要 5 島における既存データからの固有植物種の分布状況

ここでは、主要 5 島における 29 種の固有植物種の分布状況を整理した。 「環境庁委託 国内希少野生動植物種選定のための生息実態調査報告書」(東京都,1993

年)では 33 種を調査対象とし、「平成 9 年度 小笠原空港環境現況調査」(株式会社プレッ

ク研究所,1997 年)でも、同 33 種を希少植物種として分布状況を把握している。したがっ

て、ここでは上記 33 種の希少植物種のうち、小笠原諸島の固有種である 29 種について、既

存データ(下記参照)に基づき分布状況を把握し、表 3-3 及び図 3-1 に整理するとともに、

各種の概要を表 3-5 にまとめた。 なお、オガサワラグワについては、「環境省請負業務・平成 14 年度小笠原地域自然再生推

進調査」(社団法人日本林業技術協会,2003 年)において収集した独立行政法人森林総合研

究所の河原孝之氏の調査研究報告により、アロザイム分析による純粋個体及びシマグワとの

交雑個体の識別と各個体の詳細な分布把握が行われている。そこでオガサワラグワに関する

情報は、この最新のものを記載した。

【既存データ】 ○「環境庁委託 国内希少野生動植物種選定のための生息実態調査報告書」 (東京都,1993 年)

○「小笠原空港環境現況調査報告書」(日本工営 東京都総務局,1994 年) ○「平成 9 年度 小笠原空港環境現況調査」(株式会社プレック研究所,1997 年) ○オガサワラグワの最新データ:「環境省請負業務・平成 14 年度小笠原地域自然再生推

進調査報告書」(社団法人日本林業技術協会,2003 年)

Page 8: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 10 -

表 3-3 主要 5 島における既存データからの固有植物種の一覧及び分布域

弟島 兄島 父島 母島 凡例

番号 固有植物種 分類 聟島

個体群 分布域 個体群 分布域 個体群 分布域 個体群 分布域

1 ハハジマホラゴケ - - - - - 4 - - 1

2 ヒメタニワタリ - - - - - - - 1 -

3 シマクジャク - - - - - - - 1 -

4 ムニンミドリシダ

シダ類

- - - - - - - 1 -

5 オガサワラグワ※ - 35 - - - 14 - 107 -

6 セキモンウライソウ - - - - - - - 3 -

7 タイヨウフトウカズラ - - - - - - - 5 -

8 ムニンヒサカキ - 1 - 3 - 9 - - -

9 オオオミノトベラ - - - - - 4 1 - -

10 コバトベラ 現状不明 - - - - 3 - - -

11 ムニンフトモモ - - - - - 14 4 - -

12 ムニンノボタン

被子植物

古生花被植物

- - - - - - 1 - -

13 ムニンツツジ - - - - - 1 - - -

14 ウチダシクロキ - - - - - 7 - - -

15 ウラジロコムラサキ - - - 6 - 4 - - -

16 シマカコソウ 現状不明 - - - - 4 - 2 -

17 ユズリハワダン - - - - - - - 2 -

18 コヘラナレン - - - 2 - 5 - - -

19 ヘラナレン

被子植物 合弁花植物

- - - - - - - 2 -

20 チクリンカ - - - - - 1 1 - -

21 オガサワラシコウラン - 2 - 1 - 12 3 - 2

22 アサヒエビネ - - - 7 - 2 7 - -

23 ホシツルラン - - - - - - - 1 -

24 チクセツラン - - - - - 1 - 6 -

25 イモラン - - - - - - 1 4 -

26 ムニンヤツシロラン - - - - - 2 - - -

27 シマクモキリソウ - - - - - - - - -

28 シマホザキラン - - - - - 1 - - -

29 ハハジマホザキラン

被子植物

単子葉植物

- - - - - - - 3 -

合計 0(2) 5 0 19 0 97 18 38 3

※オガサワラグワについては最新かつ詳細なデータとして、アロザイム分析による純粋個体の識別による詳細な

情報を掲載している。表中の数値は、アロザイム分析(マーカー)により純粋個体と確認された個体数。(そ

の他にも純粋個体と推定されるものもあるが、上記数値はマーカーにより純粋個体と確認されたもののみを表

記)

Page 9: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 11 -

※希少種保護の観点から、希少種の位置が記載された下記の頁は、本書から除外しています。 p.11 図 3-1 主要 5 島における既存データからの固有植物種の分布状況(1) p.12 図 3-1 主要 5 島における既存データからの固有植物種の分布状況(2) p.13 図 3-1 主要 5 島における既存データからの固有植物種の分布状況(3) p.14 図 3-1 主要 5 島における既存データからの固有植物種の分布状況(4)

- 11 - ~ - 14 -

Page 10: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 15 -

表 3-5 主要 5 島における固有植物種の概要

(※希少種保護の観点から、表中の希少種の位置に関する記載部分を消去しています。) 凡例

番号 固有植物種 概要 ※文中〔数字〕は出典文献番号

1 ハハジマホラゴケ ・シダ目コケシノブ科 Abrodictyum boninense

・コブランと同様に空中湿度の高い雲霧林中で、木生シダのマルハチの樹幹

上に着生する。この植物の着生は生きたマルハチに限られるので、単なる

着生でなく栄養的な寄生関係の存在も疑われてきた。〔1〕

・従来、父島と北硫黄島の固有種として記録されているが乾燥にきわめて弱

い。〔1〕

2 ヒメタニワタリ ・シダ目チャセンシダ科 Asplenium cardiophyllum

・かつては小笠原の固有属として扱われたこともある希産の小型シダで、母

島石門山の石灰岩の崖にただ1カ所の生育が知られている。〔1〕

・一時はアフリカマイマイの食害や、盗採等が原因で個体数が極端に減って

絶滅が憂慮された。その後地元の篤志家がネットを張るなどして保護に努

め、個体数が徐々に回復している。また、東京大学理学部植物園に戦前か

ら系統保存されていた株から、増殖・還元が試みられて小規模ながら成功

している。〔1〕

・ただし、きわめて特殊な生育環境に局限されているため、常に消滅の危険

を免れないでいる。〔1〕

3 シマクジャク ・シダ目メシダ科 Diplazium longicarpum

・母島の固有種できわめて希産である。安井の観察によれば、日陰でそれほ

ど湿潤ではなく、風通しはよいが空中湿度は適当に保たれている環境がよ

く、母島北部の庚神塚の下の谷に小さな群落があったが、上流部で土石が

捨てられたためこの群落は失われたという。〔1〕

・現在確実な自生地は分かっていない。〔1〕

4 ムニンミドリシダ ・シダ目メシダ科 Diplazium subtripinnatum

・母島の固有種。分布は石門山付近に限られる。個体数は現在のところ比較

的多く、石灰岩のドリーネ内に群生している。〔1〕

・近時、分布地付近の鍾乳洞に見物客が増え、その通り道に当たる群落が踏

まれて失われつつある。

5 オガサワラグワ ・イラクサ目クワ科 Morus boninensis

・大高木になる落葉性の広葉樹で樹高15~20m以上にもなり、幹の直径は1

mを超えるものもある。〔1〕

・19世紀の初めの小笠原諸島発見当時には、全島にわたってオガサワラグ

ワの大樹が森を作っていたといわれる。しかし、明治時代の伐採によって

株数は激減し、今日では弟島を除いては大樹は数えるほどしか残っていな

い。〔1〕

6 セキモンウライソウ ・イラクサ目イラクサ科 Procyis laevigata

・母島石門山の石灰岩場にのみ局在する植物であるため、現状ではかなりの

個体数があるものの、この生育環境に異変があれば、ただちに絶滅する恐

れがある。〔1〕

7 タイヨウフウトウカズ

・コショウ目コショウ科 Piper postelsianum

・コショウ科の大型多年草であり、母島石門山のドリーネ内に2箇所の群落

が知られているのみであった。〔1〕

・その中の1つは個体数は確認できないものの、直径数メートルのかなり大

きな群落であった。しかし1980年代後半からネズミと思われる動物に

よる食害が甚だしく、この群落はほとんど全滅した。〔1〕

・もうひとつの小群落のほか、その後に近くの小屋の沢と遂岳に小群落が発

見され、また未確認ながら小屋の沢にはかなり大きな群落があるとの情報

もある。また、この種は雌雄異株の可能性が高く、種子がかなり得難いこ

とも繁殖に当たっての障害となっている。〔1〕

8 ムニンヒサカキ ・オトギリソウ目ツバキ科 Cleyera japonica var. boninensis

・父島の東平の乾性低木林を中心に生育する固有種であるが、個体数が少な

く稔性のある種子の形成は確認されていない。〔1〕

・現在成木の数はかなり知られているが幼木がほとんどなく、将来にわたっ

ての個体数の維持は困難と思われる。〔1〕

Page 11: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 16 -

9 オオミノトベラ ・バラ目トベラ科 Pittosporum chichijimense

・3~5mに達する高木である。葉が大きく豊かで、花と果実がかなり長い柄

によって垂下する特徴があり、果実は1果序に1~3個、大型のものがつく。

〔1〕

・父島の東平から初寝浦にかけての沢沿いに数十個体が生育していると思わ

れるが、正確な個体数は調べられていない。〔1〕

・小笠原固有の4種類のトベラ属の中では本種とコバトベラが個体数が少な

く、保護上問題のある種である。本種は自然状態での結実が見られ、その

発芽も良いのでコバトベラに比べれば絶滅の危険は少ない。〔1〕

10 コバトベラ ・バラ目トベラ科 Pittosporum parvifolium

・本種はもともと個体数はそれほど多くなかったと思われる。しかし小笠原

諸島の日本返還後1970年代までは、父島中央部の初寝山周辺に数十個

体は存在していた。〔1〕

・その後10個体ほどの群落が誤って伐採され、また、1970年代の干ば

つの影響もあって、個体数を次々に減じ、現在では初寝浦に下りる谷筋に

ある雌雄1株のみが成木として開花を確認されている。〔1〕

・しかしこの2個体の間だけでは稔性のある種子の形成はほとんど望めない

状況で、自然状態での繁殖は絶望的である。人工授粉に基づく種子形成を

環境庁が実験中(1993年3月現在)である。〔1〕

・本種は典型的な乾性低木林の固有種で、一時兄島でもごく少数の個体が見

つかったことがあるが、その後まもなく絶滅した模様である。小笠原諸島

での絶滅危惧植物の中で最も危険度の高い種の1つと思われる。〔1〕

11 ムニンフトモモ ・フトモモ目フトモモ科 Meterosideros boninensis

・風衝地の乾燥地の個体は樹高3~4mの低木状、沢沿いの湿ったところの個

体は樹高7~8mの小高木となる。〔1〕

・返還後1980年頃までの調査では、父島の中央部で十数個体が知られる

程度で、有効な自然繁殖を継続するには不十分な種類とみなされた。〔1〕

・しかし、最近の数年間に地元の研究者による地道な調査から、父島南東部

の谷沿いなどを中心に200余個体の生育が次々に確認されており(延島

1993年)、人工繁殖の成功とも相まって一時の極めて危機的な状況は

脱したものと思われる。〔1〕

12 ムニンノボタン ・フトモモ目ノボタン科 Melastoma tetramerum

・戦前の報告では父島の東平や兄島などの乾性低木林に分布が知られていた

が、もともと個体数は多くはなかったといわれる。〔1〕

・1968年の小笠原返還直後の状況では3株程度が知られるだけであった。そ

の減少の原因は断定しがたいが、戦後かなりの期間無人状態で放置されて

いた間に、植生全体にかなり大きな変化があったことと、干ばつに近い状

況があったことも大きな影響を及ぼしたのではないかと思われる。〔1〕

・1979年に東京都立大学が実施した自然環境現況調査では、開花する成木は

東平の遊歩道近くにあった1個体を確認したのみであった。この木は当時

高さ1m程の低木で枝分かれも少なく、リュウキュウマツの大木がまばらに

混じる乾性低木林中にあった。〔1〕

・その直後にこの木の主幹は何者かに切られたが(採集目的とも考えられ

る)、かえってそのために根元から萌芽を生じ、またその頃にリュウキュ

ウマツが松枯れによって倒れたため日当りがよくなったこともあって、旺

盛に生育し今日に至っている。このことは、本種の生育特性として、幼苗

の生育には日陰が必要だが成木となってからは日照を好むという性質か

あることを示唆している。その後幼木の発見が報じられたこともあるがす

ぐに枯死し、90年の調査ではやはり東平の1株のみが確認された。〔1〕

・このまま放置すれば絶滅は時間の問題と考えられ、1983年から後述の人工

増殖とその現地還元が進められてきた。〔1〕

・そのような中、2001年5月に父島東部海岸の上部で60余株の群生が発見さ

れた。群生地は乾性低木林で、その上部材冠を被っていたリュウキュウマ

ツなどがおそらく大風のために破壊され、日が当たるようになった環境で

ある。この自生株の発見によって、人工増殖のための遺伝子資源としても

非常に明るい見通しを持てることとなった。〔1〕

13 ムニンツツジ ・ツツジ目ツツジ科 Rhododendron boninense

・樹高1.5~2.0mの常緑低木。〔1〕

・戦前から父島躑躅山のボニン岩(Boninite)の露頭付近に特産する小数の

個体が知られていた。返還以降の調査でもこの個体群の存在は確認され、

Page 12: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 17 -

しばらくの間は3株が健在であったが、その後次々に枯死して現在ではた

だ1株が生存して開花している。〔1〕

・この親株を元に人工増殖が試みられ、その還元も躑躅山を中心に進められ

ている。〔1〕

14 ウチダシクロキ ・カキノキ目ハイノキ科 Symplocos kawakamii

・返還直後の調査では、父島の夜明け山付近を始め中央部の風衝地や鳥山の

頂上付近などに小群落が知られていた。しかしその後の20年間ほどに次々

に枯死し、今日ではきわめて小数の個体しか残っていない。干ばつなどの

影響が大きかったとみられるが、父島や兄島ではヤギによる食害も重大な

原因であった。〔1〕

・現在確認されている父島北部の群落ではよく開花していることは確認され

るものの、その結実や種子の稔性については確たる調査がされていない。

またその自生環境が乾性低木林で、ぎりぎりの乾燥状況の中にあることか

ら、仮に苗の増殖に成功しても現地への還元は非常に難しい面を含んでい

ると思われる。〔1〕

15 ウラジロコムラサキ ・シソ目クマツヅラ科 Callicarpa nishimurae

・コバトベラ、ウチダシクロキなどと同様に典型的な乾性低木林の構成種で、

個体数はきわめて少なく、千ばつなどの影響で激減している。〔1〕

・さらに本種はヤギの食害が甚だしく、父島の夜明平周辺や児島の一部で見

い出された個体もヤギに食われた模様である。絶滅の可能性が非常に高い

植物である。〔1〕

16 シマカコソウ ・シソ目シソ科 Ajuga boninsimae

・高さ15~30cmの多年草。植物体全体の毛の有無など種内変異をうかがわせ

る観察もあるが詳しいことは良くわかっていない。〔1〕

・父島に小数の個体の自生が知られている。〔1〕

17

18

19

ユズリハワダン

コヘラナレン

ヘラナレン

・17:キキョウ目キク科 Crepidiastrum ameristophyllum

・18:同上 Crepidiastrum linguaefolium

・19:同上 Crepidiastrum grandicollum

・この3種はいずれも低木性のキク科固有種で、父島、母島などの山地の林

縁に生じる比較的個体数の少ない植物である。〔1〕

・17.ユズリハワダンは父島でも母島でも山地の日当りの良い林縁部にみら

れた。しかし父島ではヤギの食害によりほぼ全滅したとみられる。母島で

は乳房山稜線付近にかたまってみられ、現在も健在であるが、周辺にタコ

ヅルの大群落があってその繁殖が著しいため、これに被圧されると消滅す

る恐れが高い。遊歩道の整備によってこのタコヅルが伐開され、辛うじて

その縁に生じているのが現状である。〔1〕

・18.コヘラナレンは父島中北部の山頂部の乾いた岩上などに生じ、もとも

と個体数は少ない。本種もヤギの食害を受けやすいが干ばつの影響も大き

く、減少の直接の原因は定かでない。〔1〕

・19.ヘラナレンはかつて母島南部の平坦地にもかなりの個体数がみられた

が、この地域が農耕地となったため開墾によって失われたものも多い。〔1〕

20 チクリンカ ・ショウガ目ショウガ科 Alpinia bilamellata

・父島中央部の八瀬川沿いに1カ所の群落が知られ、これが唯一の自生地で

あったが、最近その上流部でやや大きな自然群落が発見された。〔1〕

・根茎による栄養生殖が旺盛で個体数もかなりあり、現状では消滅の危険は

ないが、人家近くの道路ぎわの群落の方は、土地利用等に伴う影響が考え

られる。〔1〕

21 オガサワラシコウラン ・ラン目ラン科 Bulbophyllum boninensis

・着生ランの本種は、地上生の種に比べれば人目につきにくく、父島でも母

島でも、かなりの個体数がある。〔1〕

・しかし台風などで樹上から落ちることも多く、また特に父島では沢沿いの

岩上に群生していたものは盗採されて個体数が激減した。〔1〕

22 アサヒエビネ ・ラン目ラン科 Calanthe hattorii

・かつては父島をはじめ兄島などにもかなり昔通にみられるランであった。

しかし栽培や販売目的での盗採が多く、特に父島では激減している。〔1〕

・1980年前後の調査では東平の低地林内に十数株の群落がいくつか見られた

が、今日では全く消滅している。この付近の環境には大きな変化はなく、

周辺の植物にも変化はほとんど見られないので、この消滅は盗採による可

能性が非常に高い。〔1〕

・現在確認している父島での自然群落は、中央山周辺を中心に、やや日当り

Page 13: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 18 -

のよい林床に数株ないし十数株の群落を作っている。〔1〕

・一方、兄島は交通の便が悪いこともあって比較的よく保存されてきたが、

最近仮設の桟橋が作られるなど上陸が容易になったため渡島する人数が

増加し、ここでも盗採の危険が生じている。〔1〕

23 ホシツルラン ・ラン目ラン科 Calanthe hoshii

・母島の固有種で、特に個体数が少なく、また花が美しいために盗採の危険

が大きい。最初の発見地である乳房山稜線付近では1株も見あたらず、1990

年時点で確認された個体数は母島全体で6株であった。〔1〕

・現地で試みられていた栽培株の還元株さえ一部が盗採されている。この種

類についても人工増殖とその植え戻しの努力がなされている。〔1〕

24 チクセツラン ・ラン目ラン科 Corymborkis subdensa

・母島の林床に生じる地上生のランであるが、花が目立つため、やはり盗採

されている模様である。〔1〕

・ここ数年の問に個体数か急速に減っている。〔1〕

25 イモラン ・ラン目ラン科 Eulophia toyoshimae

・希産種とされているが地上生の腐生ランであり、開花期以外は地上部分は

見えないため発見が難しい。〔1〕

・ムニンヤツシロランと同様、このような腐生ランについては、保全上の問

題があるかどうかも定かでない。〔1〕

26 ムニンヤツシロラン ・ラン目ラン科 Gastrodia boninensis

・イモランと同様。〔1〕

27

28

シマクモキリソウ

シマホザキラン

・27:ラン目ラン科 Liparis hostaefolia

・28:同上 Malaxis boninensis

・両種とも戦前あるいは返還直後に記載があるだけで現状では絶滅している

可能性が高い。〔1〕

・シマホザキランについては1970年代の終わりごろまでは父島で数個体が確

認されていたが、1980年の自然環境現況調査の時にはすでに1個体も発見

されなかった。その後、1990年に父島南部の林内でそれらしい切株が1株

見いだされたが、保護観察中に消滅した。これはヤギの食害による可能性

が高い。〔1〕

29 ハハジマホザキラン ・ラン目ラン科 Malaxis hahajimensis

・母島の脊梁山地の草むらに若干の個体が生育している。〔1〕

・もともと個体数が少なく、盗採の危険は大きいが、現地へのアクセスが難

しいため現状では保全されている。〔1〕

出典文献番号 1:「平成 13 年度小笠原諸島における自然保護と観光に関する調査報告書」(東京都環境局、株式会

社プレック研究所,2002 年)

Page 14: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 19 -

(3)その他属島における固有植物種

○ 聟島列島 聟島列島の属島のうち比較的面積の大きな媒島、嫁島はノヤギによる影響が最も顕著な島

であり、森林植生が退行して島全体は草地化しており、さらに媒島ではヤギ道の拡大・浸食

による裸地化が進行し、その影響は海域への土砂流出によりサンゴ礁などの海域生態にまで

及んでいる。

そのため、植生復元を目的として媒島、嫁島ではノヤギの駆除が行われ、すでに完了して

いるが、その後の植生の回復状況に関する客観的データは得られておらず、研究者からは新

たな外来植物の繁茂に関する情報が報告されている。

以前、媒島の屏風山山頂から下る斜面上に固有植物種を包含している可能性の高い湿性高

木林ではウドノキ-シマホルトノキ群集が成立していたと言われているが、現時点でどの程

度の固有植物種が残存しているかについての明確な情報は得られていない。

その他、北之島にはオガサワラアザミ群集が、前島にはツルワダン、ハマボッス等の生育

に関する情報が得られている。(自然植生及び固有種の生育に関する情報はいずれも「小笠

原諸島観光振興計画立案業務 平成 10 年度基礎調査報告書」 東京都小笠原村・国際航業

㈱,1999 年 3 月 による)

○ 父島列島 南島にはオガサワラアザミ、ツルワダン、コハマジンチョウ等の固有植物種の生育情報が

ある。(峠田ほか,1997 年) 東島はオオハマギキョウが生育しており、その保護を目的として全島が林野庁により「東

島植物群落保護林」に指定されている。 また、西島では平成 15 年度の本業務(その 1)による調査において、7 種の固有植物種

の生育が確認されたが、一方では 9 種の外来種も確認されている。

○ 母島列島 母島列島の属島のうち、固有植物種の生育地として最も重要性が高いのは向島であると言

われている。過去の調査記録により生育が確認された主な固有植物種は、ハハジマトベラ、

シマツレサギソウ、オオハマギキョウ、ムニンクロキ等であり、特にムニンクロキは向島が

唯一の産地であると言われている。これらの固有植物種の保護を目的として、向島は全島が

林野庁により「向島植物群落保護林」に指定されている。(「平成 13 年度 小笠原諸島にお

ける自然保護と観光に関する調査報告書」 東京都環境局・㈱プレック研究所,2002 年 3月)

妹島と姪島は戦前は比較的広い面積で耕作地が存在していたが、すでに森林植生の回復が

みれれており、自然植生のコバノアカテツ-ムニンアオガンピ群集が優占している。また、

妹島の尾根上の岩石地にはシラゲテンノウメ群集が、姪島露岩地にはシマギョウギシバ-シ

ロガネカラクサ群落が分布している。(「小笠原諸島観光振興計画立案業務 平成 10 年度基

礎調査報告書」 東京都小笠原村・国際航業㈱,1999 年 3 月)

その他、平島にはヘラナレン、オオハマギキョウの生育情報があるが、過去にアカギが植

Page 15: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 20 -

栽された経緯もあり、広い面積をススキが占めているなど、自然性はさほど高いとはいえな

い。(「平成 13 年度 小笠原諸島における自然保護と観光に関する調査報告書」 東京都環

境局・㈱プレック研究所,2002 年 3 月)

Page 16: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 21 -

2)固有動物種

(1)主要 5 島における固有動物種

小笠原諸島では、開拓による森林伐採や人為的な外来種が、多くの固有種を絶滅あるいは

激減させてきた。しかしながら、これらの影響も、主要 5 島ごとに人為影響の被った度合い

や在来種の生息に影響を与える(あるいは与えると思われる)外来種の分布が異なり、各島

における固有種の残存種も異なるものと考えられる。加えて、本来的な個々の種の分布が不

明のものも多い。 また、小笠原の動物は諸島内で独自に分化しているものも多く、昆虫類では列島単位(聟

島・父島・母島列島)で、陸産貝類ではさらに島ごとに分化している種群もおり、これも小

笠原の生物相の特性となっている。 地域的にみれば、父島列島主要 3 島では、陸産貝類・固有ハナバチ類などから兄島、陸生

昆虫類・固有トンボ類・鳥類(アカガシラカラスバト)などから弟島、母島列島では鳥類(ア

カガシラカラスバト、メグロ)・陸生昆虫類などの現在の生息種や生息状況から乳房山、堺

ヶ岳、石門山が連なる母島の脊梁山地の 3 地域は、本来の小笠原の動物相の特性を維持して

いることがうかがえる。 小笠原諸島において既存の比較的新しい調査データが数多く蓄積されている、聟島、弟島、

兄島、父島、母島の主要 5 島における固有種数は、表 3-6に示すとおりであり、主要 5 島を

合わせると哺乳類 2 種、鳥類 11 種、魚類 1 種、甲殻類 2 種、陸産貝類 80 種、その他の貝類

1 種(オガサワラカワニナ)、昆虫類 314 種の固有動物種が確認されている(絶滅あるいは絶

滅したと思われる種を含む)。 なお、主要 5 島における固有動物種リストは、表 3-7 に示すとおりである。

①哺乳類

哺乳類の種リストを、主に「日本の哺乳類」(阿部,1994 年)及び、「改訂・日本の絶滅の

おそれのある野生生物1哺乳類」(環境省,2002 年)、「小笠原諸島自然環境現況調査報告書

(1)」(東京都,1980 年)、「第2次小笠原諸島自然環境現況調査報告書」(東京都立大学,

1991 年)等既存の文献データ及び平成 15 年度の本業務(その1)で行った調査の結果によ

り再整理した。 唯一の在来種で固有種のオガサワラオオコウモリが生息しているほかは、全て外来種であ

る(オガサワラアブラコウモリは絶滅)。オガサワラオオコウモリは、返還前後には母島に

大集団がみられ、父島では絶滅状態であったが、最近では逆に父島でしか確実な生息状況は

ない。父島での生息数も少なく、種の存続が危ぶまれている。本種はフルーツバットの一種

であり、果実や花、葉を食するが、食餌内容は栽培植物が中心となっている可能性がある。 なお、固有性の判断については、「日本の哺乳類」(阿部,1994 年)及び「小笠原諸島自然

環境現況調査報告書(1)」(東京都,1980 年)、「改訂日本の絶滅のおそれのある野生生物1

哺乳類」(環境省,2002 年)によった。

②鳥類 鳥類の種リストを、主に「小笠原諸島鳥類目録」(樋口,1984 年)、「第2次小笠原諸島自

Page 17: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 22 -

然環境現況調査報告書 1990-1991」(東京都立大学,1990 年)、「小笠原空港環境現況調査報

告書」(東京都・日本工営,1994 年)、「急患搬送用夜間離着陸設備整備に係る動植物調査報

告書」(プレック研究所,2000 年)、「平成 12 年度空港環境現況補足調査及び環境影響評価書

作成委託報告書」(東京都・プレック研究所,2001 年)等の既存の文献データにより再整理

した。

小笠原諸島でこれまでに記録のある鳥類は 150 種以上であり、このうち現在は繁殖陸鳥が

15 種、繁殖海鳥が 8 種知られている。このほかの記録種は、春秋の通過種や冬季の越冬種で、

その多くは海鳥や水鳥である。繁殖陸鳥のうち固有種はメグロ 1 種のみで、現在母島とその

属島のみに生息する(亜種ハハジマメグロ)。現在のところ母島での生息状況は良好である

と考えられる。 固有亜種では、オガサワラノスリ、アカガシラカラスバト、オガサワラカワラヒワ(オガ

サワラヒヨドリ、ハシナガウグイス)等が生息する。激減種としては、オガサワラノスリ、

アカガシラカラスバトが挙げられ、最近では、アカガシラカラスバトの野外での確実な確認

例は母島列島以外には、父島列島(父島、弟島)、聟島にもあるが、いずれも個体数は少な

い。 なお、固有性の判断については、「日本鳥類目録改訂第 6 版」(日本鳥学会,2000 年)、「改

訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブック- 2 鳥類」(環境省(編),2002

年)によった。

③両生・爬虫類

爬虫類及び両生類の種リストを、「平成9年度小笠原空港環境現況調査報告書」(東京都・

プレック研究所,1997 年)、「平成 11 年度小笠原空港環境現況調査報告書」(東京都・プレッ

ク研究所,1999 年)、「平成 12 年度空港環境現況補足調査及び環境影響評価書作成委託報告

書」(東京都・プレック研究所,2001 年)から再整理したが、小笠原諸島の固有種は存在し

ない。在来種としては、オガサワラトカゲが 1 種存在するのみである。

④魚類、甲殻類 魚類及び甲殻類の種リストを、「平成9年度小笠原空港環境現況調査報告書」(東京都・プ

レック研究所,1997 年)、「平成 11 年度小笠原空港環境現況調査報告書」(東京都・プレック

研究所,1999 年)、「平成 12 年度空港環境現況補足調査及び環境影響評価書作成委託報告書」

(東京都・プレック研究所,2001 年)から再整理した。

父島には、八瀬川等の大きな河川が存在することから、他の島々では少ない魚類、甲殻類、

貝類が河口部を中心に生息し、固有種では、オガサワラヨシノボリ、オガサワラコテナガエ

ビ等が見られる なお、固有性の判断については、「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデー

タブック- 4 汽水・淡水魚類」(環境省(編),2003 年)、「日本の絶滅のおそれのある野生生

物-レッドデータブック-(無脊椎動物編)」(環境庁(編),1991 年)によった。

⑤陸産貝類 陸産貝類の種リストを、「小笠原諸島の陸産貝類の生息状況と保護」(冨山・黒住,1992

Page 18: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 23 -

年)に記載されているリストに、主要な既存文献データを追加し、千葉県立中央博物館黒住

耐二氏のご校閲により再整理した。 陸産貝類は 100 種以上の記録があり、固有種数は 80 種と高い。ヒメツバキなどの二次林

においては固有種はあまり見られず、人為の影響を被らなかった兄島だけが小笠原本来の陸

産貝類相を残しており、生息数も多い。 なお、固有性の判断については、「小笠原諸島の陸産貝類の生息状況と保護」(冨山・黒住,

1992 年)を元に黒住耐二氏のご校閲をいただいた。

⑥昆虫類

昆虫類の種リストを、「日本産昆虫総目録(九州大学農学部昆虫学教室・日本野生生物研

究センター編,1989 年)」をもとに、「小笠原空港環境現況調査報告書」(東京都・日本工営,

1994 年)、「平成9年度小笠原空港環境現況調査報告書」(東京都・プレック研究所,1997 年)、

「平成 11 年度小笠原空港環境現況調査報告書」(東京都・プレック研究所,1999 年)や「小

笠原諸島産昆虫目録(2002 年版)」(大林他,2004 年)等の既存文献により追加修正を行い、

さらに平成 15 年度に本業務(その 1)で行った現地調査の結果を追加して再整理した。 昆虫類は 1,000 種以上の記録があり、固有種としてはオガサワライトトンボ、ハナダカト

ンボ、シマアカネ、オガサワラアメンボ、オガサワラセスジゲンゴロウ、オガサワラムカシ

アリ、オガサワラアナバチ、オガサワラクマバチ、オガサワラセセリなど 314 種が挙げられ

る。 なお、固有性の判断については、「小笠原諸島産昆虫目録(2002 年版)」(大林他,2004 年)

を基本とし、最新の知見を付け加えて判断した。

表 3-6 主要 5 島における固有動物種数

5 島合計 聟 島 弟 島 兄 島 父 島 母 島

動物合計 411 65 96 133 291 286

哺乳類 2 0 0 0 1 2

鳥類 11 8 5 6 8 7

爬虫類 0 0 0 0 0 0

両生類 0 0 0 0 0 0

魚類 1 0 0 1 1 1

甲殻類 2 0 0 0 2 0

陸産貝類 80 7 9 30 45 44

昆虫類 314 49 81 96 233 231

※全種数及び固有種数の計数には、亜種及び変種も 1 種として取り扱った。

Page 19: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

表3-7 主要5島における固有動物種リスト

類 目名 科名 和 名 学 名小笠原

固有※1

IUCNWorst100

環境省RDB

東京都RDB

国指定天然記念物

2002IUCNRedList 聟 島

※2弟 島

※2兄 島

※2父 島

※2母 島

※2

哺乳 コウモリ オオコウモリ オガサワラオオコウモリ Pteropus pselaphon 1 CR + + CR 1 1

ヒナコウモリ オガサワラアブラコウモリ Pipistrellus sturdeei 1 EX 1

鳥 ミズナギドリ ミズナギドリ セグロミズナギドリ Puffinus lherminieri 2 C 1

ウミツバメ クロウミツバメ Oceanodroma matsudairae 1 B DD 1 1 1 1 1

タカ タカ オガサワラノスリ Buteo buteo toyoshimai 2 EN A + 1 1 1 1 1

ハト ハト アカガシラカラスバト Columba janthina nitens 2 EN A + 1 1 1 1 1

オガサワラカラスバト Columba versicolor 1 1

スズメ ヒヨドリ オガサワラヒヨドリ Hypsipetes amaurotis squamicep + C 1 1 1 1 1

ハシナガウグイス Cettia diphone diphone + C 1 1 1 1 1

ミツスイ ハハジマメグロ Apalopteron familiare hahasima 1 VU A *3 VU 1

ムコジマメグロ Apalopteron familiare familiare 1 1

アトリ オガサワラカワラヒワ Carduelis sinica kittlitzi 2 EN A 1 1 1 1

オガサワラマシコ Chaunoproctus ferreorostris 1 1

魚 スズキ ハゼ オガサワラヨシノボリ Rhinogobius sp. B.I. 1 EN 1 1 1

甲殻 エビ テナガエビ オガサワラコテナガエビ Palaemon ogasawaraensis 1 VU 1

イワガニ モクズガニ Eriocheir japonicus + 1

陸産貝 アマオブネ ヤマキサゴ オガサワラヤマキサゴ Ogasawarana ogasawarana 1 VU A 1 DD 1

ヨシワラヤマキサゴ Ogasawarana yoshiwarana 1 EX D 1 CR 1

ミナミジマヤマキサゴ Ogasawarana minamijimana 1 D 1 1

マキスジヤマキサゴ Ogasawarana arata 1 CR+EN A 1 DD 1 1

チチジマヤマキサゴ Ogasawarana chichijimana 1 EX D 1 CR 1

ヒラセヤマキサゴ Ogasawarana hirasei 1 EX D 1 DD 1

アニジマヤマキサゴ Ogasawarana discrepans 1 VU B 1 DD 1 1 1

カドオガサワラヤマキサゴ Ogasawarana optima 1 CR+EN B 1 DD 1 1 1

アカビシヤマキサゴ Ogasawarana rex 1 EX D 1 CR 1

ハゲヨシワラヤマキサゴ Ogasawarana metamorpha 1 EX D 1 CR 1

コガラヨシワラヤマキサゴ Ogasawarana microtheca 1 VU A 1 DD 1

ナカノシマヤマキサゴ Ogasawarana comes 1 VU A 1 DD 1 1

スベスベヤマキサゴ Ogasawarana nitida 1 VU B 1 DD 1 1

ハハジマヤマキサゴ Ogasawarana capsula 1 VU B 1 DD 1 1 1

ソロバンダマヤマキサゴ Ogasawarana habei 1 EX D 1 CR 1

オガサワラヤマキサゴの一種(1) Ogasawarana sp. 1 1 1 1

オガサワラヤマキサゴの一種(2) Ogasawarana sp. 2 1 1 1

オガサワラヤマキサゴの一種(3) Ogasawarana sp. 3 1 1 1

オガサワラヤマキサゴの一種(4) Ogasawarana sp. 4 1 1 1

吸腔 カワザンショウガイ キビオカチグサ “Paludinella” minima 1 VU A 1 (DD) 1 1 1

キバオカチグサ Conacmella vagans 1 EX D 1 DD 1

カワザンショウガイ科の一種 gen. & sp.(“Nakadaella”) 1 1 1

カドカドガイ類似種 Ditroprisena sp. 1 1 1 1

有肺 オカモノアラガイ テンスジオカモノアラガイ Boninosuccinea punctulispira 1 VU B 1 VU 1 1 1

オガサワラオカモノアラガイ Boninosuccinea ogasawarae 1 VU A 1 VU 1 1

ハワイマイマイ オガサワラノミガイ Lamellidea (Lamellidae) ogasawarana 1 NT C 1 VU 1 1 1 1

サナギガイ エリマキガイ Ptychalaea dedecora dedecora 1 VU A 1 (VU) 1 1 1 1

タマゴナリエリマキガイ Ptychalaea dedecora tamagonari 1 A 1 1

チチジマスナガイ Gastrocopta (Sinalbinula) chichijimana 1 CR+EN C 1 EX 1 1

オガサワラスナガイ Gastrocopta (Sinalbinula) ogasawarana 1 C 1 EX 1 1

キセルモドキ オガサワラキセルガイモドキ Boninena ogasawarae 1 CR+EN A 1 EN 1 1

ハハジマキセルガイモドキ Boninena callistoderma 1 CR+EN B 1 EN 1 1 1

ヒラセキセルガイモドキ Boninena hiraseana hiraseana 1 CR+EN A 1 (EN) 1

チチジマキセルガイモドキ Boninena hiraseana chichijimana 1 CR+EN B 1 1 1 1 1

ベッコウマイマイ エンザガイ Hirasea sinuosa 1 EX D 1 DD 1

コシタカエンザ Hirasea eutheca 1 EX D 1 DD 1

クチヒダエンザ Hirasea insignis 1 CR+EN A 1 EN 1

ツヤエンザ Hirasea hypolia 1 EX D 1 DD 1 1

ヒラマキエンザ Hirasea planulata planulata 1 EX D 1 1

ナカクボエンザ Hirasea planulata biconcava 1 EX D 1 (DD) 1

マルクボエンザ Hirasea diplomphalus diplomphalus 1 CR+EN A 1 (EN) 1 1 1

ヒラクボエンザ Hirasea diplomphalus latispira 1 EX D 1 1

コダマエンザ Hirasea diplomphalus profundispira 1 EX D 1 1

ソコカドエンザ Hirasea goniobasis 1 EX D 1 DD 1

チチジマエンザ Hirasea chichijimana 1 CR+EN A 1 EN 1 1 1

ナカタエンザ Hirasea nesiotica nesiotica 1 EX D 1 (DD) 1 1

ハタイエンザ Hirasea nesiotica liobasis 1 EX D 1 1

オオエンザ Hirasea major 1 EX D 1 DD 1

カドエンザ Hirasea acuta acutissima 1 EX D 1 (EN) 1

ヒメカドエンザ Hirasea acuta acuta 1 CR+EN A 1 1

ヘタナリエンザ Hirasea (Fametesta) operculina 1 CR+EN B 1 EN 1 1 1

エンザモドキ Hirasiella clara 1 EX D 1 DD 1 1

ヒメベッコウマイマイ属?の一種 Discoconulus ? sp. 1 1 1 1

オガサワラキビ Trochochlamys ogasawarana 1 EX A 1 CR 1

マキスジベッコウ “Nipponochlamys” lineolatus 1 VU B 1 (EN) 1 1 1

ハハジマヒメベッコウ Lamprocystis hahajimana hahajimana 1 NT B 1 (EN) 1 1 1 1

コハハジマヒメベッコウ Lamprocystis hahajimana jejuna 1 DD UK 1 1

アニジマヒメベッコウ Lamprocystis hahajimana anijimana 1 DD UK 1 1

ハハジマレンズガイ Vitrinula ? hahajimana 1 EX D 1 (EX) 1

チチジマレンズガイ Vitrinula ? chichijimana 1 EX D 1 (EX) 1

オガサワラベッコウ(オガサワラレンズガイ) Vitrinula ? chaunax 1 CR+EN A 1 (EX) 1

ベッコウマイマイ科の一種(1) gen. et sp. 1(“Nipponochlamys ?”) 1 1 1 1

ベッコウマイマイ科の一種(2) gen. et sp. 2 1 1 1

ナンバンマイマイ コガネカタマイマイ Mandarina aureola 1 NT A 1 DD 1 1

アケボノカタマイマイ Mandarina polita 1 DD ?- 1 DD 1 1

アナカタマイマイ Mandarina hirasei 1 CR+EN A 1 DD 1 1 1 1

アニジマカタマイマイ Mandarina anijimana 1 VU B 1 DD 1

- 24 -

Page 20: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

類 目名 科名 和 名 学 名小笠原

固有※1

IUCNWorst100

環境省RDB

東京都RDB

国指定天然記念物

2002IUCNRedList 聟 島

※2弟 島

※2兄 島

※2父 島

※2母 島

※2

カタマイマイ Mandarina mandarina 1 VU B 1 DD 1 1

コダマカタマイマイ Mandarina nola 1 1 1

ヒロクチカタマイマイ Mandarina io 1 1 1

ミスジカタマイマイ Mandarina trifasciata 1 A 1 1

キノボリカタマイマイ Mandarina suenoae 1 CR+EN A 1 DD 1 1

イトマキカタマイマイ Mandarina hayamii 1 1 1

ヒロベソカタマイマイ Mandarina luhuana 1 D 1 DD 1

オオヒシカタマイマイ Mandarina luhuanaの f.pallasiana 1 1 1

チチジマカタマイマイ Mandarina chichijimana 1 VU B 1 DD 1 1

カタマイマイ類の一種 Mandarina sp. 1 VU B 1 DD 1 1

ヌノメカタマイマイ Mandarina ponderosa 1 VU B 1 DD 1 1

ヒシカタマイマイ Mandarina exoptata 1 CR+EN A 1 DD 1

ヒメカタマイマイ Mandarina hahajimana 1 VU B 1 DD 1

その他の貝 中腹足 トウガタカワニナ オガサワラカワニナ Stenomelania boninensis 1 NT C 1 1 1 1

昆虫 トンボ イトトンボ科 オガサワライトトンボ Boninagrion ezoin 1 VU C 1 1 1 1 1 1

アオイトトンボ科 オガサワラアオイトトンボ Indolestes boninensis 1 CR+EN A 1 1 1

ハナダカトンボ科 ハナダカトンボ Rhinocypha ogasawarensis 1 VU B 1 1 1 1 1 1

エゾトンボ科 オガサワラトンボ Hemicordulia ogasawarensis 1 CR+EN C 1 1 1 1 1

トンボ科 シマアカネ Boninthemis insularis 1 VU C 1 1 1 1 1 1

ゴキブリ チャバネゴキブリ科 オガサワラウスヒラタゴキブリ Onchostylus pallidiolus boninensis 1 1 1 1 1 1

バッタ コロギス科 オガサワラコバネコロギス Neanias boninensis 1 1 1 1 1

ツユムシ科 ムニンツユムシ Ducetia boninensis 1 C 1 1 1

ヒメクダマキモドキ属の1種1 Phaulula sp. 1 1 1 1

ヒメクダマキモドキ属の1種2 Phaulula sp. 2 1 1

ツユムシ科の1種 Phaneropteridae sp. 1 1 1 1 1

コオロギ科 ムニンエンマコオロギ Teleogryllus boninensis 1 1 1

ムニンツヅレサセコオロギ Velarifictorus politus 1 1 1 1

マツムシ科 オガサワラクチキコオロギ Duolandrevus major 1 C 1

クサヒバリ科 オガサワラヒバリモドキ Trigonidium ogasawarensis 1 1 1 1

カネタタキ科 オガサワラカネタタキ Ornebius longipennis longipennis 1 C 1 1 1

バッタ科 オガサワライナゴ Oxya ogasawarensis 1 1

マボロシオオバッタ Ogasawaracris gloriosus 1 1 1

マドチャタテ科 Ectopsocus boharti 1 UK 1

チャタテ科 Ptycta nigromaculata 1 UK 1

クダアザミウマ科 Holothrips hasegawai 1 C 1

Holothrips ogasawarensis 1 C 1

ヒシウンカ科 Oliarus boninensis 1 UK 1 1

ハネナガウンカ科 オガサワラハネビロウンカ Tempora boninensis 1 1 1 1

Kallitaxila boninensis 1 UK 1 1

Kallitaxila crini 1 UK 1 1

Kallitaxila suturalis 1 1 1

Mesepora boninensis 1 1 1

Mesepora issiformis 1 UK 1 1 1

Mesepora ogasawarana 1 1 1 1 1

ハゴロモ科 Orosanga dido 1 1 1

Orosanga triton 1 UK 1

Ricanoides flabellum 1 1 1

セミ科 オガサワラゼミ Meimuna boninensis 1 UK 1 1 1 1 1 1

アワフキムシ科 Aphrophora bizonalis 1 1 1 1

アオズキンヨコバイ科 オガサワラズキンヨコバイ Batracomorphus ogasawarensis 1 1 1

Coelidia nigrifrons 1 UK 1

オガサワラオモナガヨコバイ Coelidia ogasawarensis 1 UK 1 1

アオオモナガヨコバイ Coelidia virescens 1 UK 1 1

キイロオモナガヨコバイ Lodiana boninensis 1 UK 1 1 1 1

ヒメヨコバイ科 Alebroides boninensis 1 UK 1

Empoasca boninensis 1 UK 1

タデキジラミ科 オガサワラシロキジラミ Paurocephala albescens 1 1 1

キジラミ科 ムニンヤツデキジラミ Cacopsylla boninofatsiae 1 1 1

ヒメサツマキジラミ Cacopsylla insularis 1 1 1

チャマダラキジラミ Cacopsylla maculipennis 1 1

コナカイガラムシ科 ムニンナガコナカイガラムシ Allotrionymus boninensis 1 1

チチジマナガコナカイガラムシ Allotrionymus chichijimensis 1 1

ムニンコナカイガラムシ Boninococcus miscanthi 1 1 1

ウラジロエノキコナカイガラムシ Pseudococcus ogasawarensis 1 1 1

ヒメツバキカキカイガラムシ Lepidoscaphes schimae 1 1

ノミカメムシ科 Hypselosoma sp. 1 UK 1 1 1

ケブカオヨギカタビロアメンボ Xiphovelia boninensis 1 1 1

アメンボ科 オガサワラアメンボ Limnogonus boninensis 1 1 1 1 1

ミズギワカメムシ科 ムニンミズギワカメムシ Saldula boninana 1 UK 1

カスミカメムシ科 クロチビトビカスミカメ Campylomma boharti 1 1 1

チチジマチビトビカスミカメ Campylomma chichijima 1 1

オガサワラチャイロカスミカメ Lygocorias boninensis 1 1 1 1 1

ハナカメムシ科 ケブカダルマハナカメムシ Bilia pilosa 1 1 1

ハハジマハナカメムシ Kitocoris hahajima 1 1

オオムラハナカメムシ Kitocoris omura 1 NT UK 1 1 1

グンバイムシ科 オガサワラグンバイ Omoplax desecta 1 1 1

Omoplax ? sp. 1 1 1 1

Omoplax ? sp. 2 1 1

サシガメ科 Empicoris toshinobui 1 1 1

Gardena sp. 1 1 1

カメムシ科 ルリカメムシ Plautia cyanoviridis 1 1 1 1 1 1

コウチュウ ハンミョウ科 オガサワラハンミョウ Cicindela bonina 1 CR+EN A 1 1

オサムシ科 ムニンミズギワゴミムシ Tachyura boninensis 1 UK 1 1

オガサワラクチキゴミムシ Morion boninense 1 VU A 1

- 25 -

Page 21: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

類 目名 科名 和 名 学 名小笠原

固有※1

IUCNWorst100

環境省RDB

東京都RDB

国指定天然記念物

2002IUCNRedList 聟 島

※2弟 島

※2兄 島

※2父 島

※2母 島

※2

オガサワラホソモリヒラタゴミムシ Colpodes boninensis 1 C 1 1

ハハジマモリヒラタゴミムシ Colpodes yamaguchii 1 C 1 1

カタキバゴミムシ族の1種 Badistrini Gen. et sp. 1 1 1

カタキバゴミムシ族の1種 Badistrini Gen. et sp. 2 1 1

オガサワラアオゴミムシ Chlaenius ikedai 1 A 1

ゲンゴロウ科 オガサワラセスジゲンゴロウ Copelatus ogasawarensis 1 C 1 1 1 1 1 1

エンマムシ科 オガサワラハマベエンマムシ Hypocaccus varians hatsune 1 1 1

オガサワラチビヒラタエンマムシ Platylomalus kusuii 1 C 1 1

ハネカクシ科 オガサワラヒゲブトアリヅカムシ Articerodes kishimotoi 1 1

クロサワヒゲブトアリヅカムシ Articerodes kurosawai 1 1 1

シマツチケシハネカクシ Dictyon insulicola 1 1 1 1 1

Leptusa (?) sp. 1 1

Medon (?) sp. 1 1 1 1 1 1

Medon (?) sp. 2 1 1 1

Medon (?) sp. 3 1 1

クワガタムシ科 オガサワラチビクワガタ Figulus boninensis 1 C 1 1 1 1

オガサワラネブトクワガタ Aegus ogasawarensis ogasawarensis 1 B 1

チチジマネブトクワガタ Aegus ogasawarensis chichijimaensis 1 1

タマムシ科 オガサワラナガタマムシ Agrilus boninensis 1 C 1

シラフオガサワラナガタマムシ Agrilus suzukii 1 C 1 1

オガサワラムツボシタマムシ Chrysobothris boninensis boninensis 1 C 1 1 1 1

オガサワラムツボシタマムシ母島亜種 Chrysobothris boninensis suzukii 1 C 1

オガサワラタマムシ Chrysochroa holstii 1 1 1 1 1

ツヤヒメマルタマムシ Kurosawaia yanoi 1 C 1 1 1 1 1

ツマベニタマムシ Tamamushia virida virida 1 C 1 1 1 1

ツマベニタマムシ聟島亜種 Tamamushia virida fujitai 1 C 1 1 1 1 1

コメツキムシ科 オガサワラサビコメツキ Lacon boninensis 1 C 1 1 1 1

ホソクシヒゲコメツキ Tetrigus fujitai 1 C 1

オガサワラクシヒゲコメツキ Tetrigus kusuii 1 C 1 1 1

オガサワラホソキコメツキ Procraerus kusuii 1 1 1 1

オガサワラヒラアシコメツキ Propsephus langfordi 1 1 1 1 1

オガサワラクシコメツキ Melanotus boninensis 1 C 1

オガサワラホソクシコメツキ Neodiploconus boninensis 1 1 1 1

コメツキダマシ科 キマダラコメツキダマシ Subrotelater hisamatsi 1 C 1

ジョウカイボン科 Caccodes kanekoi 1 1

シバンムシ科 オガサワラヒメマルシバンムシ Cryptoramorphus boninensis 1 UK 1

カッコウムシ科 ムニンヒメカッコウムシ Tilloidea munin 1 C 1 1

マルテントウダマシ科 オガサワラマルテントウダマシ Idiophyes boninensis 1 C 1

テントウムシ科 オガサワラヒメテントウ Nephus boninensis 1 1 1 1 1

ホソカタムシ科 オガサワラスジホソカタムシ Ascetoderes popei 1 1 1 1

ハナノミ科 チチジマヒメハナノミ Ermischiella chichijimana 1 C 1

ハハジマヒメハナノミ Ermischiella hahajimana 1 C 1

ズグロヒメハナノミ Ermischiella nigriceps 1 C 1 1

ボニンヒメハナノミ Falsomordellistena formosana boninensis 1 C 1

ニセミヤマヒメハナノミ Falsomordellistena pseudalpigena 1 C 1 1

ニセチャイロヒメハナノミ Falsomordellistena rosseoloides 1 C 1

ワタナベヒメハナノミ Falsomordellistena watanabei 1 C 1 1

キンモンオビハナノミ Glipa asahinai 1 C 1 1

クロサワオビハナノミ Glipa kurosawai 1 C 1

オガサワラオビハナノミ Glipa ogasawarensis 1 C 1 1

ニセサケオヒメハナノミ Glipostenoda pseudexcisa 1 C 1 1 1

オガサワラニセキボシハナノミ Hoshihananomia katoi boninensis 1 C 1 1

クスイキボシハナノミ Hoshihananomia kusuii 1 C 1 1

キムネキボシハナノミ Hoshihananomia ochrothorax 1 C 1 1 1 1

オガサワラキボシハナノミ Hoshihananomia trichopalpis 1 C 1 1 1 1

オガサワラモンハナノミ Tomoxia relicta 1 C 1

ヨツモンハナノミ Variimorda ihai boninensis 1 C 1 1

オガサワラキンオビハナノミ Variimorda inomatai 1 C 1

カミキリモドキ科 オガサワラハイイロカミキリモドキ Eobia cinereipennis ogasawarensis 1 1 1 1 1 1

マツムラカミキリモドキ Eobia matsumurai 1 1 1

ゴミムシダマシ科 スジカブトゴミムシダマシ Bradymerus kondoi 1 1 1 1 1 1

オガサワラキノコゴミムシダマシ Platydema kulzerianum 1 1 1 1

カラカネヒゲブトゴミムシダマシ Schizomma kondoi 1 1 1 1 1 1

オガサワラチビキマワリモドキ Tetragonomenes boninensis 1 1 1 1 1 1

カミキリムシ科 オガサワラヒラタカミキリ Eurypoda boninensis 1 C 1 1 1 1

オガサワラウスバカミキリ Megopis sinica savoryi 1 C 1 1

チチジマオガサワラコバネカミキリ Psephactus scabripennis chichijimensis 1 C 1

オガサワラコバネカミキリ Psephactus scabripennis scabripennis 1 C 1

オガサワラトビイロカミキリ Allotraeus boninensis 1 C 1 1 1

クロモンヒメカミキリ Ceresium signaticolle 1 C 1 1 1 1 1

オガサワラトラカミキリ Chlorophorus boninensis 1 C 1 1 1 1 1

オガサワラキイロトラカミキリ Chlorophorus kobayashii 1 C 1 1 1 1

ムコジマトラカミキリ Chlorophorus kusamai 1 1

オガサワラモモブトコバネカミキリ Merionoeda tosawai 1 C 1 1 1 1 1

オガサワラムネスジウスバカミキリ Nortia kusuii 1 C 1 1

フタモンアメイロカミキリ Pseudiphra bicolor bicolor 1 C 1 1

ハハジマフタモンアメイロカミキリ Pseudiphra bicolor nigripennis 1 C 1

オガサワライカリモントラカミキリ Xylotrechus ogasawarensis 1 C 1 1 1 1 1

ミイロトラカミキリ Xylotrechus takakuwai 1 A 1

オガサワラビロウドカミキリ Acalolepta boninensis 1 C 1 1 1

ケズネオガサワラカミキリ Boninella anoplos 1 C 1

オガサワラカミキリ Boninella degenerata 1 C 1 1 1 1

アラゲオガサワラカミキリ Boninella hirsuta 1 C 1 1

ヒメオガサワラカミキリ Boninella igai 1 C 1 1 1

- 26 -

Page 22: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

類 目名 科名 和 名 学 名小笠原

固有※1

IUCNWorst100

環境省RDB

東京都RDB

国指定天然記念物

2002IUCNRedList 聟 島

※2弟 島

※2兄 島

※2父 島

※2母 島

※2

サトウオガサワラカミキリ Boninella satoi 1 C 1 1 1

キタジマモモブトカミキリ Boninoleiops kitajimai 1 1

ヒゲシロアラゲカミキリ Bonipogonius fujitai 1 C 1 1

ケハラゴマフカミキリ Coptops hirtiventris 1 C 1 1

オガサワラゴマフカミキリ Mutatocoptops rufa 1 1 1 1 1 1

オガサワラオオシロカミキリ Olenecamptus fukutomii 1 1

フタツメケシカミキリ Phloeopsis bioculata 1 C 1 1 1 1 1

ケズネケシカミキリ Phloeopsis lanata 1 C 1 1 1

クサマサビカミキリ Pterolophia kusamai 1 1

ヒゲナガゾウムシ科 オガサワラチビヒョウタンヒゲナガゾウムシ Notioxenus nakanei 1 C 1 1 1

オガサワラカギバラヒゲナガゾウムシ Xanthoderopygus ogasawarensis 1 C 1

ホソノミヒゲナガゾウムシ Melanopsacus elongatus 1 C 1

オガサワラフトヒゲナガゾウムシ Basitropis seinoi 1 C 1 1 1

オオカオジロヒゲナガゾウムシ Cedus insignis 1 C 1 1

オガサワラオノヒゲナガゾウムシ Dendrotrogus ohkurai 1 C 1 1 1

オガサワラキノコヒゲナガゾウムシ Euparius boninensis 1 C 1

オガサワラコブヒゲナガゾウムシ Gibber ogasawarensis 1 C 1 1

テングヒゲナガゾウムシ Japanthribus kusuii 1 1 1 1 1 1

カオスジマダラヒゲナガゾウムシ Litocerus striatifrons 1 C 1 1

アカマダラヒゲナガゾウムシ Litocerus tokarensis ogasawaranus 1 C 1

ギンボシメナガヒゲナガゾウムシ Phaulimia annulipes 1 C 1 1

チビメナガヒゲナガゾウムシ Phaulimia minor 1 C 1 1

オガサワラクチボソヒゲナガゾウムシ Plintheria caliginosa 1 C 1 1

ゾウムシ科 スジヒメカタゾウムシ Ogasawarazo lineatus 1 DD C 1 1 1

ハハジマヒメカタゾウムシ Ogasawarazo mater 1 C 1

ヒメカタゾウムシ母島亜種 Ogasawarazo rugosicephalus hahajimaensis 1 1

ヒメカタゾウムシ Ogasawarazo rugosicephalus rugosicephalus 1 1 1 1 1

チチジマクチカクシゾウムシ Buninus chichijimaensis 1 UK 1

ハハジマクチカクシゾウムシ Buninus hahajimaensis 1 UK 1

イリエオガサワラクチカクシゾウムシ Buninus iriei 1 UK 1

クロオガサワラクチカクシゾウムシ Buninus niger 1 UK 1

セイノオガサワラクチカクシゾウムシ Buninus seinoi 1 UK 1

オガサワラシロクチカクシゾウムシ Euthyrhinus kojimai 1 UK 1 1

オガサワラオニゾウムシ Gasterocercus ogasawaranus 1 1 1

クロヤサクチカクシゾウムシ Metempleurus nigritus 1 UK 1 1 1

ツチイロヤサクチカクシゾウムシ Metempleurus ogasawarensis 1 UK 1 1

クロオビヤサクチカクシゾウムシ Parempleurus nigronotatus 1 UK 1 1

クロフヤサクチカクシゾウムシ Parempleurus nigrovariegatus 1 UK 1

Watanabezo unguiculatus 1 1

オサゾウムシ科 クスイキクイサビゾウムシ Dryophthorus kusuii 1 UK 1

オガサワラキクイサビゾウムシ Dryophthorus ogasawaraensis 1 UK 1 1

ナガキクイムシ科 タコノキハモグリキクイムシ Phylloplatypus pandani 1 1

ハチ ヤドリキバチ科 Orussus boninensis 1 UK 1

セダカヤセバチ科 オガサワラセダカヤセバチ Pristaulacus boninensis 1 1 1

アシブトコバチ科 Hockeria yamamotoi 1 UK 1

セイボウ科 Chrysis boninensis 1 NT UK 1

ノヒラセイボウ Chrysis nohirai 1 NT UK 1

アリ科 トゲナシアシナガアリ Aphaenogaster edentula 1 1 1

オガサワラムネボソアリ Leptothorax haira 1 1

シワムネボソアリ Leptothorax santra 1 1 1

オガサワラムカシアリ Leptanilla oceanica 1 DD C 1

オガサワラオオアリ Camponotus ogasawarensis 1 1 1 1 1 1

オガサワラアメイロアリ Paratrechina ogasawarensis 1 1 1 1 1

ドロバチ科 ツヤカバフドロバチ Pararrhynchium oceanicum miyanoi 1 C 1

オガサワラチビドロバチ Stenodynerus ogasawaraensis ogasawaraensis 1 C 1

オガサワラチビドロバチ Stenodynerus ogasawaraensis rufoornatus 1 C 1 1

オガサワラマエダテバチ Psenulus ogasawaranus 1 UK 1 1 1

ハネダピソン Pison argentatum hanedai 1 UK 1

ハハジマピソン Pison hahadzimaense 1 NT UK 1

Pison oakleyi boninense 1 UK 1

チチジマピソン Pison tosawai 1 NT UK 1

オガサワラヨコバイバチ Psen boninensis 1 1 1

チチジマジガバチモドキ Trypoxylon chichidzimaense 1 UK 1 1 1

オガサワラギングチバチ Lestica rufigaster 1 C 1

オガサワラスナハキバチ(聟島亜種) Bembecinus anthracinus mukodzimaensis 1 1 1 1 1

オガサワラスナハキバチ Bembecinus anthracinus ogasawaraensis 1 UK 1 1 1 1

ムカシハナバチ科 イケダチビムカシハナバチ Hylaeus ikedai 1 C? 1 1 1 1 1

オガサワラチビムカシハナバチ Hylaeus boninensis 1 NT C? 1 1 1

キムネチビムカシハナバチ Hylaeus incomitatus 1 NT C? 1 1 1

ヤスマツチビムカシハナバチ Hylaeus yasumatsui 1 NT C? 1 1 1 1

ハキリバチ科 オガサワラキホリハナバチ Lithurge ogasawarensis 1 NT C? 1 1 1

Heriades fulvohispidus 1 C? 1 1 1

アサヒナハキリバチ Megachile asahinai 1 C? 1 1 1 1 1

コシブトハナバチ科 オガサワラツヤハナバチ Ceratina boninensis 1 C 1 1 1 1 1

オガサワラクマバチ Mesotrichia ogasawarensis 1 NT C 1 1 1 1 1

ハエ ガガンボ科 Limonia boniniana 1 1 1

Limonia boninensis 1 1 1

Limonia snyderi chichiensis 1 1

Limonia snyderi snyderi 1 1 1

Limonia unisetosa perelongata 1 1

チョウバエ科 Trichopsychoda boninensis 1 UK 1

オガサワライエカ Culex boninensis 1 1

シノナガカクイカ Culex shinonagai 1 1

ブユ科 オガサワラツノマユブユ Simulium bonninense 1 1

- 27 -

Page 23: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

類 目名 科名 和 名 学 名小笠原

固有※1

IUCNWorst100

環境省RDB

東京都RDB

国指定天然記念物

2002IUCNRedList 聟 島

※2弟 島

※2兄 島

※2父 島

※2母 島

※2

ヌカカ科 Culicoides claggi 1 UK 1

ユスリカ科 Macropelopia ogasasextdecima 1 1 1

Brillia ogasaquinta 1 1 1

Cricotopus ogasaseptimus 1 1

Cricotopus ogasasextus 1 1

Eukiefferiella ogasaoctava 1 1

Hahayusurika ogasaundecima 1 1

Metriocnemus ogasadecimus 1 1

Paratrissocladius ogasaduodecimus 1 1

Pseudosmitta ogasatridecima 1 1 1

Tanytarsus ogasaquartus 1 1

Tanytarsus ogasatertius 1 1

Thienemanniella ogasaquardecima 1 1 1

Thienemanniella ogasaquindecima 1 1

クロバネキノコバエ科 Bradysia boninensis 1 1

Bradysia snyderi 1 1 1

ツリアブ科 オガサワラホシツリアブ Anthrax boninensis 1 UK 1

マドギワアブ科 Goniophyto boninensis 1 1

ムシヒキアブ科 オガサワライシアブ Laphria ogasawaraensis 1 C 1 1 1

ノミバエ科 Megaselia tetricifrons 1 1 1

Syritta suyderi 1 1 1 1 1 1

Xylota boninensis 1 1

ハモグリバエ科 Japanagromyza insularum 1 1 1 1

Melanagromyza boninensis 1 UK 1

イエバエ科 Gymnodia expansa 1 UK 1

Gymnodia marguerita 1 UK 1 1

Limnophora boninensis 1 1 1

キンクロミズギワイエバエ Limnophora bracteola 1 1 1 1

Limnophora haha 1 1

オガサワラミズギワイエバエ Limnophora setibunda 1 1 1

マイマイミズギワイエバエ Limnophora umbra 1 1 1

オガサワラカトリバエ Lispe boninensis 1 1 1

チチジマハナレメイエバエ Pygophora boninensis 1 1

クロバエ科 オガサワラキンバエ Lucilia snyderi 1 UK 1

チョウ ハマキガ科 オガサワラヒメハマキ Metenthodenia ogasawaraensis 1 1 1

ヒロズコガ科 Erechthias itoi 1 1 1

ホソガ科 Acrocercops sp.(1) 1 1

Caloptilia sp.(3) 1 1 1

Macarostola sp. 1 1

イラガ科 オガサワライラガ Belippa boninensis 1 1 1 1

マドガ科 コシロテンマドガ Banisia whalleyi 1 1 1 1

メイガ科 ヒトテンツトガ Calamotropha albistrigellus 1 1 1

オガサワラツトガ Crambus boninellus 1 1 1 1

クマタミズメイガ Musotima kumatai 1 1 1

モトキムラサキノメイガ Agrotera flavobasalis 1 1 1 1

オガサワラシロモンクロノメイガ Bocchoris albipunctalis 1 C? 1 1 1

ヒメシロマダラノメイガ Glyphodes fenestratus 1 1 1

ハイイロノメイガ Metasia bilineatella 1 1

コガタノメイガ Nacoleia gressitti 1 1 1

キハダクロオビノメイガ Pagyda citrinella 1 1

オガサワラミドリノメイガ Parotis ogasawarensis 1 1 1

クロシオノメイガ Erpis pacificalis pacificalis 1 1 1

キバネカクモンノメイガ Rehimena variegata 1 1 1

クロエグリノメイガ Sufetula minuscula 1 1

オガサワラハラナガノメイガ Tatobotys albivenalis 1 UK 1 1

シタキツヅリガ Tirathaba mundella 1 1 1

キバネトガリメイガ Endotricha pulverealis 1 1 1 1

セセリチョウ科 オガサワラセセリ Parnara ogasawarensis 1 NT C 1 1

シジミチョウ科 オガサワラシジミ Celastrina ogasawaraensis 1 CR+EN C 1 1 1 1 1

シャクガ科 オガサワラチズモンアオシャク Agathia ichnospora 1 1 1 1

チビサザナミシロアオシャク Pelagodes ogasawarensis 1 1 1

コブウスチャヒメシャク Perixera illepidaria 1 1

オガサワラチビナミシャク Gymnoscelis boninensis 1 1 1

ウラグロチビナミシャク Gymnoscelis melaninfra 1 1

ウラジロチビナミシャク Gymnoscelis montgomeryi 1 1 1

マルバエダシャク Boninnadagara crinomorpha 1 1 1 1

オガサワラフトスジエダシャク Cleora ogasawarensis 1 1 1 1

カギバエダシャク Pseudonadagara hepatica 1 1 1 1

ツバメガ科 アトキフタオ Warreniplema fumicosta islandica 1 1 1

ヤガ科 クロタバコガ Helicoverpa sugii 1 1 1

ボニンツマキリヨトウ Callopistria sp. 1 1 1

オガサワラシロガ Chasmina sp. 1 1 1

ボニンツマキリアツバ Ectogoniella sp. 1 1

ホラズミクチバ Speiredonia inocellata 1 1 1 1

オガサワラヒゲブトクロアツバ Nodaria ogasawarensis 1 UK 1 1 1

ボニンアカマエアツバ Simplicia sp. 1 1

※1小笠原固有の欄 "1"小笠原固有種、"2"小笠原固有亜種、"+"固有種と考えられるが要確認、を示す。

※2:表中の数字(1)は、記録があったことを示す。

- 28 -

Page 24: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 29 -

(2)主要 5 島における既存データからの固有動物種の分布状況

ここでは、主要 5 島における 79 種の固有動物種の分布状況を整理した。 「平成 9 年度 小笠原空港環境現況調査」(株式会社プレック研究所,1997 年)及び「小

笠原空港環境現況調査報告書」(日本工営 東京都総務局,1994 年)に係る調査の中で確認

された固有動物種の計 79 種について分布状況を把握し、表 3-8 及び図 3-3 に整理するとと

もに、各種の概要を表 3-9 にまとめた。 なお、小笠原固有の陸産貝類の分布については、地点情報ではなくメッシュ情報で整理し

ているが、情報掲載量の都合上「資料編」で示す。

【既存データ】 ○「小笠原空港環境現況調査報告書」(日本工営 東京都総務局,1994 年) ○「平成 9 年度 小笠原空港環境現況調査」(株式会社プレック研究所,1997 年)

Page 25: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 30 -

表 3-8 主要 5 島における既存データからの固有動物種の一覧及び分布域

凡例

番号 希少な動物種 分類 聟島 弟島 兄島 父島 母島

1 オガサワラオオコウモリ 哺乳類 ○ ○

2 オガサワラノスリ ○ ○ ○ ○ ○

3 アカガシラカラスバト ○ ○ ○ ○

4 ハハジマメグロ ○

5 オガサワラカワラヒワ

鳥類

6 オガサワラヨシノボリ 魚類 ○ ○ ○

7 オガサワラコテナガエビ 甲殻類 ○

8 オガサワラヤマキサゴ ○ ○

9 マキスジヤマキサゴ ○

10 アニジマヤマキサゴ ○ ○

11 カドオガサワラヤマキサゴ ○ ○ ○

12 ナカノシマヤマキサゴ ○

13 スベスベヤマキサゴ ○ ○

14 ハハジマヤマキサゴ ○

15 カワザンショウガイ ○ ○ ○

16 テンスジオカモノアラガイ ○ ○ ○

17 オガサワラオカモノアラガイ ○

18 ハハジマキセルガイモドキ ○ ○ ○

19 ヒラセキセルガイモドキ ○

20 チチジマキセルガイモドキ ○ ○

21 クチヒダエンザ ○

22 マルクボエンザ ○

23 チチジマエンザ ○

24 ヘタナリエンザ ○ ○

25 マキスジベッコウ ○

26 ハハジマヒメベッコウ ○ ○

27 オガサワラベッコウ(オガサワラレンズガイ) ○

28 アケボノカタマイマイ ○

29 コガネカタマイマイ ○

30 アナカタマイマイ ○ ○ ○ ○

31 アニジマカタマイマイ ○ ○ ○

32 カタマイマイ ○ ○

33 ミスジカタマイマイ ○

34 キノボリカタマイマイ ○ ○

35 チチジマカタマイマイ ○ ○

36 ヌノメカタマイマイ ○

37 ヒシカタマイマイ ○

38 ヒメカタマイマイ

陸産貝類

39 オガサワラカワニナ その他貝類 ○ ○ ○ ○

表中「○」分布確認

Page 26: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 31 -

凡例

番号 希少な動物種 分類 聟島 弟島 兄島 父島 母島

40 オガサワライトトンボ ○ ○ ○ ○

41 オガサワラアオイトトンボ ○

42 ハナダカトンボ ○ ○ ○ ○

43 オガサワラトンボ ○ ○ ○

44 シマアカネ ○ ○ ○ ○ ○

45 ムニンエンマコオロギ ○

46 オガサワラゼミ ○ ○ ○

47 オガサワラアメンボ ○ ○ ○

48 オガサワラハンミョウ ○

49 オガサワラセスジゲンゴロウ ○ ○ ○ ○ ○

50 ムニンミズギワゴミムシ ○

51 オガサワラクチキゴミムシ ○

52 オガサワラチビクワガタ ○ ○ ○

53 オガサワラネブトクワガタ ○

54 ツマベニタマムシ ○ ○

55 オガサワラタマムシ ○ ○

56 ツヤヒメマルタマムシ(ツヤマルタマムシ) ○ ○

57 オガサワラヒラアシコメツキ ○ ○ ○ ○

58 ムニンヒメカッコウ ○

59 オガサワラマルテントウダマシ ○ ○

60 スジカブトゴミムシダマシ ○

61 カラカネヒゲブトゴミムシダマシ ○ ○ ○

62 オガサワラヒラタカミキリ ○ ○ ○

63 オガサワライカリモントラカミキリ ○ ○ ○

64 オガサワラカミキリ ○

65 オガサワラトビイロカミキリ ○

66 クロモンヒメカミキリ ○

67 オガサワラモモブトコバネカミキリ ○

68 ケズネケシカミキリ ○ ○

69 フタツメケシカミキリ ○ ○

70 オガサワラチビヒョウタンヒゲナガゾウムシ ○

71 ヒメカタゾウムシ ○ ○ ○

72 スジヒメカタゾウムシ ○ ○ ○

73 オガサワラオオアリ

74 オガサワラクマバチ ○ ○ ○ ○

75 オガサワライシアブ ○

76 オガサワラミドリノメイガ ○ ○ ○

77 オガサワラセセリ ○

78 オガサワラシジミ ○

79 オガサワラチズモンアオシャク

昆虫類

表中「○」分布確認

Page 27: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 32 -

※希少種保護の観点から、希少種の位置が記載された下記の頁は、本書から除外しています。 p.32 図 3-2 主要 5 島における既存データからの固有動物種の分布状況(1) p.33 図 3-2 主要 5 島における既存データからの固有動物種の分布状況(2) p.34 図 3-2 主要 5 島における既存データからの固有動物種の分布状況(3) p.35 図 3-2 主要 5 島における既存データからの固有動物種の分布状況(4) p.36 図 3-2 主要 5 島における既存データからの固有動物種の分布状況(5) p.37 図 3-2 主要 5 島における既存データからの固有動物種の分布状況(6)

- 32 - ~ - 37 -

Page 28: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 38 -

表 3-9 主要 5 島における固有動物種の概要

(※希少種保護の観点から、表中の希少種の位置に関する記載部分を消去しています。)

凡例

番号 固有植物種 概要

1 オガサワラオオコウ

モリ

・コウモリ目オオコウモリ科 Pteropus pselaphon

・本科は大型コウモリで、熱帯から亜熱帯にかけて生息しており、約 65

種が知られている。日本では琉球列島に生息するクビワオオコウモリ

と、小笠原群島と火山列島に生息する本種が知られていて、本種は、頸

部に淡色の毛が生えていないこと、腰部の毛が長く 40mm を超えること、

鼻部が短いこと、及び骨学的特徴により区別される。

・返還前後の生息状況については、父島でも多くの個体の生息が確認され

ていたが、開発が進むにつれ、あまり目撃されなくなった。母島では返

還直後に大規模なねぐらが観察されるなど100個体を超える多数の生息

があった。1970 年後半では、絶滅が心配される程個体数が激減し、母島

で 10 個体程度、父島では観察例がなかった。その後 1980 年後半から父

島では目撃例が増加している。天然記念物緊急調査(オガサワラオオコ

ウモリ)調査報告書(小笠原村教育委員会、1999 年、)では、父島で 130

~150 個体の生息を推定している。しかし、2002 年初頭再び激減の可能

性が報告されている。本種は観察対象として人気が高く、ナイトツアー

が観光客を集めている。

・環境省・東京都のレッドデータブックで絶滅危惧種である。

・父島の個体群はその餌種を農作物と外来種に依存しており、農業被害が

深刻になっている。被害対策などで農地での(死亡)事故率が高く、個体

群を保全していく上では農家の協力が不可欠である。また逆に、農作物

に依存する本種(父島個体群)にとって食害対策が進むことは、時期によ

り深刻な餌不足となる危険がある。

・一方で、一部島民やガイド付き観光客によるねぐらへの無配慮かつ頻繁

な立ち入りなどで、本種の行動阻害やねぐらの遺棄などが生じ、また、

夜間観察などで農地や私有地への無断侵入によるトラブルも続出して

いる。このような問題を調整する機関がないことで、私有地に形成され

たねぐらが所有者により強制的に追い払われる事例も確認されている。

2 オガサワラノスリ ・タカ目タカ科 Buteo buteo toyoshimai

・世界に広く分布するノスリ Buteo buteo の1亜種とされる。小笠原固有

亜種であるが、亜種的分化の程度は低く、比較的新しく伊豆諸島から移

植したものと考えられる。

・中型のタカで、背面は暗褐色、下面はクリーム色の地に暗色の縦斑があ

る。トビよりやや小型で飛翔時扇形状の尾が特徴。日本本土の亜種

japonicus に類似するが、全体に淡色である。また、測定値(とくに翼

長と嘴峰長)が小さい。翼長は 335~377mm、露出嘴峰長は 22~28mm で

ある。

・小笠原諸島(火山列島を除く)全体では 30 つがい前後の 60 羽程度と考

えられている。

・船津・千葉(1991 年)は、既存の父島の推定行動圏数との比較で増加し

ているのではないかと言及している。行動圏数を 9~10 と推定した鈴木

(1982 年)の調査以来、父島のオガサワラノスリの行動圏の推定数は増

加傾向にある。

・しかし、1970 年代より増加傾向にある外来動物のグリーンアノール

Anolis carolinensis(長谷川,1985 年)を本種が捕らえるようになっ

ており、父島の食物条件が好転した結果、生息数の増加が生じた可能性

も指摘されている(「オガサワラノスリ希少野生動植物種保護管理対策

調査報告書」(東京都営林局、1995))。1997~2001 年までの小笠原空港

環境現況調査で確認された父島での本種の行動圏は父島南部域で 19 ペ

アであり、父島全体で最大 32 ペアの存在を推定している。

・営巣場所に関しては、船津・千葉(1991 年)による父島での古巣を含む

20 巣の確認調査では、いずれの巣も断崖の岩棚につくられていたことを

報告している。巣材は樹枝でつくられ、巣内には青葉が敷かれている(樋

口(行)ほか,1988 年)。ヒナ数は、船津・千葉(1991 年)の父島での3

Page 29: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 39 -

例の観察では3例とも2羽であることから通常2羽ではないかと思わ

れる、と報告している。繁殖期は2月から6月頃までと思われ(千葉,

1994 年)、営巣期は3月、産卵期は4~5月中旬である(環境庁編,1991

年)。

3 アカガシラカラスバ

・ハト目ハト科 Columba janthina nitens

・主として日本西南部と伊豆・小笠原島弧に分布するカラスバト Columba

janthina の1亜種で、小笠原諸島・火山列島の固有亜種。

・基亜種のカラスバト Columba janthina janthina に類似しているが、頭

上が光沢の比較的少ない。ブドウ赤褐色で、下あごと喉は成鳥でもブド

ウ褐色である(基亜種のカラスバトの成鳥はあごと喉が緑黒色)。

・餌となる樹木類が多く生育している極相に近い暗い森林が主な生息区域

と考えられている。弟島では、中央部に広く分布するヒメツバキ-モク

タチバナ群落の森林中に生息する。

・弟島:7羽(最低3つがい6羽)が生息すると考えられている。

・母島:樋口(行)ほか(1988 年)の調査では、堺ケ岳から乳房山、船木山、

剣先山にかけての母島中部の山地にひろがる森林で確認され、島北部の

東台や西台、評議平以南の島南部では記録されなかった、と報告してい

る。島南部の記録としては日本野鳥の会(1975 年)の記録がある。15

~17 羽が生息すると考えられている。

・父島:5~6羽が生息すると考えられている。

・聟島:2羽が生息すると考えられている。

・南硫黄島:同時最高記録数3羽。

4 ハハジマメグロ ・スズメ目ミツスイ科 Apalopteron familiare hahasima

・スズメ目ミツスイ科に属する小笠原固有種である。属も固有属で、ほか

に近縁種がなく、特殊化の程度がいちじるしく高く、日本の鳥類のうち

では学術上もっとも貴重な種のひとつである。母島列島に産する地域個

体群は亜種ハハジマメグロ(あるいはメグロ)Apalopteron familiare

hahasima、聟島列島に産する地域個体群はムコジマメグロ Apalopteron

familiare familiare (絶滅)と扱われている。

・スズメ大の小鳥で、背以下の背面は暗灰オリーブ緑色、額・眼先・耳部

と下面は黄色く、眼の周囲が白くて、前頭部と顔が黒い。尾はかなり長

い。メジロと似ているが、体が少し大きく、三角形の顔の黒色斑によっ

て容易に識別し得る。眼の周囲の白い輪はメジロほど顕著でなく、尾と

脚が比較的長い。先端がブラシ状になった舌を持つ。全長約 14cm、翼長

6~7cm、体重約 15g(樋口(広),1997 年)。

・母島:ほぼ全域に分布している(樋口(行)ほか,1988 年)。

・向島:島内にひろく分布する(樋口(行)ほか,1980 年)。母島と並びメ

グロの生息地として名高い。

・妹島:ウグイス、メジロとともに出現率が高い(鈴木,1991 年)。

・姉島:戦前戦後を通して、戦後の1例1個体の記録のみで、繁殖個体群

は存在しないものと考えられる(鈴木,1991 年)

・母島においては、本亜種は島内の森林地帯ほぼ全域に生息し、農耕地や

住宅地でも樹林があるところには生息している。

・生息する樹林も、ギンネム林、リュウキュウマツ林、テリハボク林、ヒ

メツバキ・モクタチバナ林などの低木林や高木林、林縁部や道路沿いの

ブッシュ、果樹園など多様であるが、タコノキ純林ではほとんどみられ

ず、一方耕作地の中のパパイヤの孤立木にはよく飛来する。

5 オガサワラカワラヒ

・スズメ目アトリ科 Carduelis sinica kittlitzi

・アジア東部に分布するカワラヒワ Carduelis sinica の1亜種で、小笠

原諸島・火山列島の固有亜種。亜種的分化の程度は低く、比較的新しい

起源のものである(環境庁編,1991 年)。

・スズメ大の小鳥。オスは頭上から上尾筒まで背面がほぼ一様なオリーブ

緑色で、下面も喉から胸までオリーブ緑色。腹は黄色い。メスは全体に

褐色に富み、緑色味が少なく、腹が白っぽい。嘴は円錐形で厚く、うす

いピンク色。脚もピンク色。日本本土のコカワラヒワ Carduelis sinica

minor のオスは、頭頚部が暗オリーブ緑色で、背・肩羽・胸はオリーブ

褐色である(メスはオガサワラカワラヒワに類似する)。(環境庁編,1991

年)

・母島:村落、農耕地などオガサワラカワラヒワにとって好適な生息環境

が多いのにもかかわらず、生息数は極めて少ない。鈴木(1994 年)は、

Page 30: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 40 -

1990.5-6 の調査で評議平で 139 羽(幼鳥を含む)、南崎で4羽を、1991.3

の調査で南崎で4羽、1991.6 の調査で評議平で 21 羽(幼鳥を含む)、南

崎で5羽をカウント(最大観察個体数)している。

・向島:小笠原諸島の中で生息数が最も多い場所と思われる。20~40 羽。

・姉島:鈴木(1994 年)は、1991.3 の調査で 20 羽を、1991.6 の調査で

42 羽(幼鳥を含む)をカウント(最大観察個体数)している。40~60

羽。

・妹島:鈴木(1994 年)は、1991.3 の調査で 21 羽(幼鳥を含む)をカウ

ント(最大観察個体数)している。20~40 羽。

・姪島:10~20 羽。

・平島:樋口(行)ほか(1980 年)の調査では計 20 羽が確認されている。

鈴木(1994 年)は、1991.6 の調査で4羽をカウント(最大観察個体数)

している。

・南硫黄島:多くとも 20 羽から 30 羽程度と考えられている。

6 オガサワラヨシノボ

・スズメ目ハゼ科 Rhinogobius sp. B.I.

・日本産のヨシノボリは、主として色斑の相違から 10 以上の型に分けら

れていた(水野,1987 年)が、水野ほか(1989 年)によりシマヨシノ

ボリ、クロヨシノボリ、オオヨシノボリ、ヒラヨシノボリ、ルリヨシノ

ボリ、トウヨシノボリ、アヤヨシノボリ、キバラヨシノボリ、アオバラ

ヨシノボリの9種類に整理された。小笠原産のヨシノボリは色斑におい

て上記9種のヨシノボリとは明らかに違っており、日本に分布する新た

な種類と考えられた。

・全長はルリヨシノボリとオオヨシノボリが最も大きく 10cm に達し、他

種は大きくても8cm までである(水野,1981 年;水野ほか,1989 年)。

オガサワラヨシノボリでは、なるべく大きなものを狙って調査した結果

が最大全長 76.9mm の個体であり、目視観察においてもそれより極端に

大きいものは見られなかったことから、大きさにおいてはルリヨシノボ

リとオオヨシノボリ以外の種類、特にクロヨシノボリに似る。

40 オガサワライトトン

・トンボ目イトトンボ科 Boninagrion ezoin

・主に山間の挺水植物の繁茂する比較的うす暗い池沼や渓流などに生息す

る。幼虫は底に沈積している落葉や細い枯れ枝の下や石の陰に身をひそ

めている。

・交尾は水辺の植物などに静止して行うが、よくみられる時間帯や継続時

間などの詳しいことはよくわかっていない。産卵は♀が単独で比較的水

深の浅い水域で水面に漂う枯葉や細い枯れ枝など植物の枯死した柔ら

かい組織内へ産みつけるのが観察されている。

・父島、母島、兄島、弟島、聟島、向島から記録がある。

42 ハナダカトンボ ・トンボ目トゲオトンボ科 Rhinocypha ogasawarensis

・山間の森林におおわれた陰湿な渓流に生息し、渓流中の落差のある水流

によってえぐられた小さな淵で生活している。うす暗い環境を好み、成

熟した♂は流畔の木の葉の隙間からこぼれ日のさしこむ細い枯れ枝の

先や岩の上に体を水平に保持して翅を背面にたたんで止まっている。

・成虫は4月上旬出現してから 11 月までみられる。

・父島、母島、兄島、弟島、姉島から記録がある。

43 オガサワラトンボ ・トンボ目エゾトンボ科 Hemicordulia ogasawarensis

・主に山間の森林に囲まれた植物性沈積物の多い池沼や小川の淵などに生

息するが、コンクリートで囲まれた人工の貯水槽にもみられる。幼虫は

水底の植物性沈積物の物陰や柔らかい泥のなかに浅くもぐって生活し

ている。

・羽化はおおむね夜間に挺水植物の茎や葉裏、岸辺の樹木あるいはコンク

リート壁などに定位して行う。未熟な個体は水辺からさほど遠くない森

林帯の空間や道路の上などをやや高く飛行していることが多く、夕暮れ

どきの飛翔も観察されている。

・成熟した♂は池沼や小川の淵の上、ときには隣接した草むらの上などに

縄張りを設定して、占有領域をときどきホバリングを交えて反復飛翔す

る。個体密度が高まると縄張りの占有面積が狭くなり、境界が隣のもの

と若干重なってしばしば悶着をひきおこす。♀をとらえると連結したま

ましばらく付近をとびまわり、その間いくども瞬間的にリング状の交尾

態をとってはやめる行動を繰り返した後、挺水植物や樹木の細い枝など

に静止して本格的な交尾をする。しかし交尾時間は短く1~2分から3

Page 31: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 41 -

~4分で終了するケースが多い。産卵は♀が単独で池沼や小川の淵など

の比較的浅い開放水面へ間欠的に打水して行い、近くに縄張りをもつ♂

がいる場合には産卵の終了直後、あるいは産卵半ばに♂が♀に挑みかか

って再連結することもある。

・生息する池沼がオオサンカクイなどに侵食されて開放水面がなくなって

きたことによりその数を著しく減らしている。

・父島、母島、兄島、弟島、姉島から記録がある。

44 シマアカネ ・トンボ目トンボ科 Boninthemis insularis

・流畔に生育する潅木の小枝や下草の葉などに静止していて、ときどき周

辺を飛んでは縄張りの占有領域をパトロールする。産卵は、♀が単独で

うす暗い小川のごく浅いゆるやかな流れの泥や植物性沈積物の上など

に連続的に腹端を打ちつけて行う。産卵時にしばしば♂が付近でホバリ

ングしながら見守るケースも観察されている。

・成虫は5月から9月はじめ頃にかけて見られる。

46 オガサワラゼミ ・カメムシ目ゼミ科 Meimuna boninensis

・クロイワツクツクに極めてよく似る。斑紋、色彩はほとんど同じである

が、緑色味が強い。腹部側面および腹弁の外縁部は白粉でおおわれる。

前翅の暗色紋は第1、2黄脈上に弱くみられる。体長♂26~39mm(平均

34mm)、♀29~35mm(平均 32mm)、全長 44~55mm、前翅開張 72~95mm。

脱皮殻は、クロイワツクツクによく似ていて、光沢のない淡黄褐色。暗

色部も見られない。

・本種の生態は一般にクロイワツクツク Meimuna kuroiwae によく似てい

るようである。人家近くから山間部にかけてみられ、種々の樹木に生息

する。日出とともに鳴き始め、日没時までほぼ一日中鳴く。電灯にもよ

く飛来する。

・出現期は6月中旬~12 月で、鳴き始めの日には年次変動が大きい。鳴き

納めは、遅いもので 12 月 30 日との記録がある。

47 オガサワラアメンボ ・カメムシ目アメンボ科 Limnogonus boninensis

・体長♂約5mm、♀6~7mm。黒色に褐色部を混える。頭部はやや光沢

のある黒色で、微毛を密生し、頭頂基部のU字形紋、前胸背の前葉中央

部の少し長い楕円紋、中胸背中央の細い縦線及びその背板の周辺部は赤

褐色。触角及び脚の大部分は暗褐色。(宮本,1961 年)当初、長翅形は

発見されていなかったが(宮本,1961 年)、その後見つかっている。

・生息状況は、池や流水にすみ、少なくない。

・父島列島:弟島、兄島、父島。石川(1988・1995 年)は父島・母島に分

布するとしているが、母島列島、聟島列島からの確実な記録はない。

48 オガサワラハンミョ

・コウチュウ目ハンミョウ科 Cicindela bonina

・海洋島の小笠原諸島に隔離されることによって分化した種で、父島と兄

島だけから記録されている。しかし、父島では 1937 年以降の記録がな

く、すでに絶滅したものと考えられる。現在は兄島の丘陵の裸地にだけ

生息しているが、環境圧には非常に弱いと考えられ、そこでの個体数も

非常に少なく、絶滅の危機に瀕しているといってよい。(環境庁編,1980

年)小笠原での戦後初の記録は、中根(1978 年)による 1977 年の兄島

で、その後の状況は不明であったが 1989 年に苅部(1990 年)により生

息地の状況が報告された。

・体長 10~13mm。背面は暗緑色で体下面および肢は金緑光沢を帯びる。上

唇は淡黄色で、中央部がわずかに突出する。上翅には側縁に沿った帯紋

とそれから中央に向かって湾曲した細い帯紋を有する。

・小笠原諸島のうち、父島と兄島からわずかな分布記録があるにすぎない。

父島(武田牧場)では 1937 年を最後にして以後の記録がない。

49 オガサワラセスジゲ

ンゴロウ

・コウチュウ目ゲンゴロウ科 Copelatus ogasawarensis

・体長 4.5~5.4mm。体は逆長卵形で扁平。頭部は暗褐色で前頭、後頭は黄

褐色。触角、口枝、肢も黄褐色。上翅は黄褐色であるが中央が広く暗色

となり、特に♀ではかなり黒化する個体がある。♀では全面に密な縮刻

をそなえ、光沢の鈍い個体が多い。(森・北山,1993 年)

55 オガサワラタマムシ ・コウチュウ目タマムシ科 Chrysochroa holstii

・22~35mm。緑色で翅端のみ紅色、方向によって紫藍色となる。体下は緑

色、腹端に向けて唐金色が強まる。前胸背板にかすかな2本の赤条を現

すものがある。父島諸島産と母島諸島産は多少異なり、父島産は青味が

強いが、母島産は金緑色が強く、体下も母島産は唐金色が強く、銅色を

Page 32: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 42 -

帯びるものもある。(黒澤,1985 年)出現期(成虫)は6~8月。

74 オガサワラクマバチ ・ハチ目コシブトハナバチ科 Mesotrichia ogasawarensis

・本種は、171 種を含む世界最大で、旧世界で最も広い分布をもつ亜属

Koptortosoma に属し、まぎれもなく東洋熱帯から移住して固有化した種

類である。

・♀成虫は営巣のため、樹木の枯れた枝の近辺に見られる。

・比較的大型の花に頻繁に訪花していたが、小型の花にはほとんど訪れな

かった。特にモンテンボクの花によく訪花したが、その訪花の仕方は、

花弁の外側からの盗蜜が多かった。小笠原のハナバチ類の中で、オガサ

ワラキホリハナバチとともに7mm ほどと舌がもっとも長い。

77 オガサワラセセリ ・チョウ目セセリチョウ科 Parnara ogasawarensis

・小笠原諸島の特産固有種。父島・母島の両島から記録されているが、近

年父島では発見されない。多年性、ほとんど年中成虫は出現する。幼虫

の食草はイネ科のオガサワラススキ。小笠原諸島固有の珍奇な昆虫は昭

和 44 年と 45 年に国の天然記念物に指定されたが、オガサワラセセリが

これにもれているのは、当時、本種は既に絶滅したものと考えられてい

たためである。

・第二次世界大戦以前には父島、母島の両島に分布すると記録されている

が、近年、父島では生息が確認されず、母島のみから記録されている。

・平地の海岸付近から山間地までの広い範囲(標高 0~200m)で姿が見ら

れる。標高 400m以上の尾根を飛ぶ個体を目撃したという報告もある。

最も多くの成虫の姿を見かけるのは、山間部の緩やかな谷間の空き地

(凹地)で、木漏れ日のあたる林縁を好む傾向が認められる。

・食餌植物は、日当たりの良い荒れ地や林間地に自生する小笠原諸島固有

のイネ科植物オガサワラススキから卵や幼虫が発見されている。このほ

か栽培されているサトウキビへの産卵が観察されている。

78 オガサワラシジミ ・チョウ目シジミチョウ科 Celastrina ogasawaraensis

・♀の翅表は青紫色斑が大きく発達するものから、小さく淡いものまで変

異がある。とくに春に羽化する♀は青紫色斑が♂と同程度に広がってお

り、♂の前翅端近くに薄い白斑の現れる個体もある。夏~秋に現れる個

体は青紫色斑が弱いものが多く、♀にはまったく斑のないものも見られ

る。

・母島は父島に比べると自然がよく保存されており、本種も全島に広く分

布しているが、平坦地より山間地のほうが個体数は多い。

・父島では、1970 年代後半は、開通まもない周回道路(夜明道路)の路傍

の、片側を林内、片側を道路に面して生えたオオバシマムラサキに産卵

にくる♀を、ごく普通に見ることができた。特に 1979 年と 1981 年には、

人工衛星追跡センター構内に生えたシマムラサキの低木(樹高数 10cm

から2mほど)のあちこちに、相当数の卵や幼虫が見られた。また山の

上部だけでなく、奥村や扇浦の海岸近くでも姿を見かけた。それが 1988

年以後はぴたりと姿を消してしまう。

・母島では、父島における急激な変化は見せていないが、実態は定かでは

ない。

・かつて母島では、原生林中の高木樹冠を飛び、急峻な崖を伴った稜線上

に生えるシマザクラの花で吸蜜し、オオバシマムラサキ(乳房山および

堺ヶ岳山頂付近)やオガサワラアオグス(石門原生林)の蕾に産卵する

姿が多く見受けられたが、この数年は整備された山頂近くの登山道脇

や、山腹を貫く都道の切り通しに繁茂した外来植物の花で吸蜜する個体

も多く見受けられるようになっている。

出典文献 1)「平成 13 年度小笠原諸島における自然保護と観光に関する調査報告書」(東京都環境局、株式会社プ

レック研究所,2002 年) 2)「環境省請負業務・平成 14 年度小笠原地域自然再生推進調査報告書」(社団法人日本林業技術協会,

2003 年) 3)「平成 13 年度国設鳥獣保護区に係るオガサワラオオコウモリの保全管理調査業務報告書」 (環境省自然環境局南関東地区自然保護事務所,2002 年)

Page 33: 3.小笠原地域における固有種の生息状況ogasawara-info.jp/pdf/h15_houkoku2/03_h15_2.pdf · - 3 - 3.小笠原地域における固有種の生息状況 1)固有植物種

- 43 -

(3)その他属島における固有動物種

○ 聟島列島 聟島列島の属島における固有動物種の生息確認情報は得られていないが、動物種に関して

は海鳥類の繁殖地としての重要性が指摘されており、特にコアホウドリは聟島列島が西部

北太平洋唯一の繁殖地である。

コアホウドリの繁殖地としては聟島で4組、鳥島で約20組程度の繁殖が確認されており、

クロアシアホウドリは聟島、鳥島、媒島、嫁島で推定 450 組の繁殖が確認されている。(東

京都小笠原支庁・小笠原自然文化研究所,2003 年・岡,1998 年)

○ 父島列島 父島列島の属島における固有動物種の確認情報としては、オガサワラノスリが西島、東島、

南島で過去に分布記録がある(東京営林局,1995 年)が現状は不明である。 また、平成 15 年度の本業における固有昆虫類に関する専門家報告及び補足調査結果から、

西島において、トラカミキリ類、オガサワラモモブトコバネ、ヒメカミキリ類、ヒメカタ

ゾウムシ類、オガサワラゴマフカミキリ、固有ハナバチ類及び固有種と考えられるカタキ

バゴミムシが確認されている。

○ 母島列島 母島列島の属島における固有動物種の確認情報としては、オガサワラノスリが向島、平島、

姉島、妹島、姪島で分布が確認されているが現在の繁殖状況は不明である。また、オガサ

ワラカワラヒワは母島本島では繁殖せず、繁殖地は属島に限られていると言われており、

姉島では繁殖が確認され、向島、妹島では古巣が確認され、姪島でも生息が確認されてい

る。(「環境省請負業務・平成 14 年度小笠原地域自然再生推進調査報告書」 (社団法人日本

林業技術協会,2003 年) また、平成 15 年度の本業における固有昆虫類に関する専門家報告によれば、母島の属島

である向島、姉島、妹島、姪島における固有昆虫類の生息状況が以下のとおり報告されて

いる。

表 3-10 1997~2003 年までの調査で確認した固有昆虫の生息状況 向島 姉島 妹島 姪島

トラフカミキリ類 ○ ○ - ○ オガサワラモモブトコバネ ○ ○ ○ ○ ヒメカミキリ類 ○ - - ○ 中小型タマムシ類 ○ ○ ○ ○ オガサワラタマムシ - - - - ヒメカタゾウムシ類 ○ ○ ○ ○ ホシハナノミ類 ○ - - - オガサワラゴマフカミキリ ○ - ○ ○ オガサワラクマバチ ○ ○ ○ ○ 固有ハナバチ類 ○ - - ○ オガサワラヒラタカミキリ - - - - ケシカミキリ類 ○ - ○ ○

○:生息確認、-:記録なし