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高速伝送線路シミュレーションの基礎(第三回) (IdEMによるLTSPICE用マクロモデルの作成とシミュレーション) 2010 年4月 シグナル工房 野田 敦人 www.signalkhobho.com はじめに 第2回ではLTSPICEのTLINEとLTLINEを使い、このモデルの制 限と周波数依存性のある伝送線路解析の問題点を把握しました。今回はシグナル工房が販 売サポートするIdEM(イデム)を使ってLTSPICEで周波数依存のSPICEモ デルを抽出し解析します。 QUCSから Touchstone ファイルの取り出し IdEMでSPICEマクロモデルを抽出するために、第 1 回で解析したQUC SのSパラメータデータを Touchstone 形式のファイルで取りだします。まず第 1 回で使っ たQUCSのプロジェクトを開きます。そしてプロジェクトメニューのデータインポート/ イクスポートダイヤログから Touchstone を選択して 2 段目の出力ファイルのボックスにフ ァイル名を入力します。ここでは ms400.s2p としました。 1 IdEMによるSPICEマクロモデルの抽出 IdEMはイタリアのIdEMWORKS社が開発したソフトウエアで、コネク タ、パッケージや基板のヴィアなどの入出力のポートのレスポンスから、多ポートの線形 集中定数マクロモデルを作成する便利なツールです。お申し込みいただければ 30 日間の 評価ができますし、シグナル工房に御依頼いただければマクロモデルの作成(有料)を致

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高速伝送線路シミュレーションの基礎(第三回)

(IdEMによるLTSPICE用マクロモデルの作成とシミュレーション)

2010 年4月

シグナル工房 野田 敦人

www.signalkhobho.com

はじめに

第2回ではLTSPICEのTLINEとLTLINEを使い、このモデルの制

限と周波数依存性のある伝送線路解析の問題点を把握しました。今回はシグナル工房が販

売サポートするIdEM(イデム)を使ってLTSPICEで周波数依存のSPICEモ

デルを抽出し解析します。

QUCSから Touchstoneファイルの取り出し

IdEMでSPICEマクロモデルを抽出するために、第 1 回で解析したQUC

SのSパラメータデータを Touchstone形式のファイルで取りだします。まず第 1回で使っ

たQUCSのプロジェクトを開きます。そしてプロジェクトメニューのデータインポート/

イクスポートダイヤログから Touchstone を選択して 2段目の出力ファイルのボックスにフ

ァイル名を入力します。ここでは ms400.s2pとしました。

図 1

IdEMによるSPICEマクロモデルの抽出

IdEMはイタリアのIdEMWORKS社が開発したソフトウエアで、コネク

タ、パッケージや基板のヴィアなどの入出力のポートのレスポンスから、多ポートの線形

集中定数マクロモデルを作成する便利なツールです。お申し込みいただければ 30日間の

評価ができますし、シグナル工房に御依頼いただければマクロモデルの作成(有料)を致

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します。それではIdEMを起動して、さきほどの Touchstone ファイルを読み込みます。

図2

この MS400.s2pは DCデータがないのでこの段階で付け加えます。

図 3

モデル作成には IdEM2009bバージョンから追加された新機能IdEMXpressを

選択します。

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図 4

ダイヤログログボックスが現れたら、4つの項目にチェックを入れてRunさせます。こ

こではこの4つの項目の意味は説明しません。

図5

これだけの操作でモデル抽出は完了です。よく近似された結果となっていることが判ると

思います。

図 6

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次に、必要なSPICEツール用のネットリストを作ります。

図7

LTSPICE用には一番上の SPICE Standardを選択します。

図8

適当なファイル名でExportすれば完了です。

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それではLTSPICEでこのSPICEマクロモデルを使って解析をしてみます。マク

ロモデルはサブサーキットXnameとして下図のように読み込みます。

図 9

解析結果は下のようになり、QUCSでの解析結果とほぼ一致していることが判ります。

図10

注:)シグナル工房はLTSPICE/QUCSのサポートは行いません。したがってLT

SPICE/QUCSを使った解析結果で問題が発生されたとしても保障はできかねます。