10
Vol.26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置 ) J '.車問克典* 1 :JjfL 俊夫* 古漬洋治* 山本 |守美** 北村 !)jj 巳* ;Ji: 雄司* (昭和 54 10 15 日受理) PROPAGATIONEXPERIMENTPROGRAMATMILLIMETERWAVES 4. InstrumentsofRaindropSizeMeasurement By KatsusukeTORMA,ToshioIHARA,YojiFURUHAMA, KatsumiKITAMURA,YujiIMAI,andHiromiYAMAMOTO Variousmethodsofraindropsizemeasurementarereviewed. A microphonicdevicesensitive to momentaoffallingraindropsiselaboratedontogetherwithitscalibrationmethods. 1. はじめに ミリ波帯電波の降雨による減衰を評価するには雨滴の 粒径分布に関する資料が不可欠である。この降雨粒径分 布測定の歴史は古く,既l 19 世紀末より農学,気象学, 地学,土木などの立場から始まっている。ここでは現在 までに現れたこれらの装置の各種を紹介し,併せて我々 が使用している電気音響法による装置とその測定例,較 正法について述べてみたい。 2. 各種の降雨粒径分布測定法 最も初期的な方法としては何らかの手段によって雨滴 そのものを採集し,その直径Dを測定することが考えら れる。ついでその直径D を直接測定する代わりに直径D によって一義的に決まる量を測定して直径D を求める方 法が考えられる。まず,雨滴を球形と仮定すればその質 M と断面積 Sは直径Dl ζ よって決まる。静止大気中を 落下するときは気圧気温が知られておれば雨滴の終速 度的も直径Dによって決まる。また,天然雨滴は帯電 している。帯電能力は雨滴の静電容量c (=2πεD ε誘電率)で決まるから電荷Qは雨滴直径Dによって決ま *電波部組ii'Jj 周波伝搬研究室 料足利工業大学 l :学部電気工学科 537 る可能性がある。あるいは人工的に雨滴直径Dによって 決まる可能性がある。あるいは人工的に雨滴を帯電させ てもよい。また蓄電器の電極IC 雨滴が付着すると静電容 量 Cが変化することも利用できると考えられる。乙れら の量を単独に,あるいは組み合わせて測定する。なるべ く電気的l ζ 計量し後処理を自動化できる方法が望まし L 2.1 直径直接測定法 2.1.1 雨滴採集法 乙れは dropprintingとでも呼ばれるべきものであ って,適当な平面l ζ雨滴を付着させて採集し,ーっす、つ 雨滴の寸法を測定するという最も原始的な方法である。 (1 )穏紙法 議紙l ζ水溶性染料を染み込ませておき,表面I ζ付着し た雨滴によって染料を溶かし癒紙に班長をつくらせると いう方法である。総紙は吸収剤としてだけでなく,雨滴 が跳ねたり壊れたりするのをある程度防ぐショックアプ ソーパとしての作用もある。直径 D の雨滴の体積は (4πI 3)(D /2)3であり,これが平面に受けとられて直 d ,高さ hの円盤になったとすればその体積は π (d/2)2h となり, h は(2/3) (D3 I d2 )で与えられる。 乙の方法は既に 1895 Wiesnerによって試みられて いる川。簡便な方法であるため,今日 l 乙至るまで広く用

4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

Vol. 26 No. 138 電波研究 所 季 報 June 1980

pp.537-546

研究

ミリ波帯電波伝搬実験計画

4. 降雨粒径分布測定装置

)J'.車問克典* チ1:JjfL 俊夫* 古漬洋治*

山本 |守美**北村 !)jj巳* 今;Ji: 雄司*

(昭和 54年10月15日受理)

PROPAGATION EXPERIMENT PROGRAM AT MILLIMETER WAVES

4. Instruments of Raindrop Size Measurement

By

Katsusuke TORMA, Toshio IHARA, Yoji FURUHAMA,

Katsumi KITAMURA, Yuji IMAI, and Hiromi YAMAMOTO

Various methods of raindrop size measurement are reviewed. A microphonic device sensitive to

momenta of falling raindrops is elaborated on together with its calibration methods.

1. はじめに

ミリ波帯電波の降雨による減衰を評価するには雨滴の

粒径分布に関する資料が不可欠である。この降雨粒径分

布測定の歴史は古く,既l乙19世紀末より農学,気象学,

地学,土木などの立場から始まっている。ここでは現在

までに現れたこれらの装置の各種を紹介し,併せて我々

が使用している電気音響法による装置とその測定例,較

正法について述べてみたい。

2. 各種の降雨粒径分布測定法

最も初期的な方法としては何らかの手段によって雨滴

そのものを採集し,その直径Dを測定することが考えら

れる。ついでその直径Dを直接測定する代わりに直径D

によって一義的に決まる量を測定して直径Dを求める方

法が考えられる。まず,雨滴を球形と仮定すればその質

量Mと断面積Sは直径Dlζよって決まる。静止大気中を

落下するときは気圧気温が知られておれば雨滴の終速

度的も直径Dによって決まる。また,天然雨滴は帯電

している。帯電能力は雨滴の静電容量c(=2πεD,εは

誘電率)で決まるから電荷Qは雨滴直径Dによって決ま

*電波部組ii'Jj周波伝搬研究室

料足利工業大学 l:学部電気工学科

537

る可能性がある。あるいは人工的に雨滴直径Dによって

決まる可能性がある。あるいは人工的に雨滴を帯電させ

てもよい。また蓄電器の電極IC雨滴が付着すると静電容

量Cが変化することも利用できると考えられる。乙れら

の量を単独に,あるいは組み合わせて測定する。なるべ

く電気的lζ 計量し後処理を自動化できる方法が望まし

L、。2. 1 直径直接測定法

2.1.1 雨滴採集法

乙れは dropprintingとでも呼ばれるべきものであ

って,適当な平面lζ雨滴を付着させて採集し,ーっす、つ

雨滴の寸法を測定するという最も原始的な方法である。

(1)穏紙法

議紙lζ水溶性染料を染み込ませておき,表面Iζ付着し

た雨滴によって染料を溶かし癒紙に班長をつくらせると

いう方法である。総紙は吸収剤としてだけでなく,雨滴

が跳ねたり壊れたりするのをある程度防ぐショックアプ

ソーパとしての作用もある。直径 Dの雨滴の体積は

(4πI 3) (D /2)3であり,これが平面に受けとられて直

径 d,高さ hの円盤になったとすればその体積は π

(d/2)2hとなり, hは(2/3) (D3 I d2)で与えられる。

乙の方法は既に 1895年 Wiesnerによって試みられて

いる川。簡便な方法であるため,今日l乙至るまで広く用

Page 2: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

538 ミリ波稽電波伝搬実験計画 4 報季

一所

…究

…いられている。円鍛の高さ hは, 与えられた癒紙では

一定と初期には考えられていたが, Defantkよって除j

滴粒径により大きく変動することが指摘され山,また

Becker によって雨滴速度によっても変動することが指

摘された問。更には瀦紙保存中の湿度も制御する必要が

あるという。また粧径の大きな雨滴は跳ねて不正確にな

る。誤差については, Niederdorferは,雨滴重最が

0.037mgで14%, 37 mgで 696程度と評価してい

る凶。

(2)小麦粉法

乙の方法は Bentleyによって始められ Lawsと

Parsonsも採用した方法である問。盆状の容器に小麦

粉を厚く一様に敷いておき,雨滴を乙れに受ける。水分

を吸収した小麦粉が互いに付着して小さなボールができ

る。そのまま自然乾燥させた後,盆どとオープンに入れ

て更に乾燥固化させる。乙れをふるいにかけて選別す

る。乙のとき網目の大きなふるいを上に,下になるにつ

れて網目が小さいふるいを重ねる。これに適当な振動を

与えた後,各ふるいに残った小麦粉ポールの総重量を測

定して個数を求める。ふるい中l乙ポールが壊れる可能性

もあるので残存率をも含めて十分な較正法を確立してお

かなければならない。

(3)油盆法

盆状の容器に適度の粘性をもった袖,例えば,ひまし

泊を満たし,雨中にさらして表面に雨漏を採集する刷。

乙の泊の表面を写真撮影して雨滴像を計測する。このと

き油iζ適当な染料を混入しておけば写真のコントラスト

が良くなる。

2.1. 2 降雨撮影法

水平方向に回転軸をもっ回転反射鏡を遇して実際の降

雨を写真撮影する方法である問。ピントの合う距離の位

置を落下する雨滴のうち反射鏡の回転速度と同期した落

下速度をもっ雨滴は,フィルム面上で静止画像として明

瞭に写り,異なった落下速度のものは,画像が流れ,不

明瞭となる。反射鏡の回転速度を変化させると,異なっ

た落下速度,したがって異なった直径の雨滴が撮影でき

る。

以上の雨滴採集法,降雨撮影法は,十分な較正をして

おけば信頼度は高いと言われ,今日でも頻繁に用いられ

ている。しかしながら事後処理が極めて煩雑であるとい

う大きな欠点をもっている。そのため取得できるデータ

が一般に少量となる。

滴紙や写真に写った斑点の大きさの計測に関しては,

今日テレビカメラで再撮影し,掃引出力信号のパルス幅

を電気的lζ計測して斑点の大きさを知る方法が開発され

ており,事後処理が比較的簡便になると思われるt剖川,

[ i同-~®-·一一一一ーす唖 II'--一一--'------'o 10 20cm

第1図光ピ一ム遮断型雨b描牧f壬ill!定w.1112 }

①豆電球 ②レンズ ③スリット @乳白色フィルム⑤太陽電池⑥定電圧素子②カパー ③すきmi⑨はねよけ雨摘が③のすき間より落下して光ビームの一部を遮断する。その遮断鼠より雨滴の断面積を求める。

(101, (II)。しかし,オンラインで自動処理をするためには

最初から電気的な方法で計測することを考えなければな

らない。

以下lζζの種の方法ーについて述べるo

2.2 光学的断面積測定法

(1)光ビーム遮断法

平行光ビーム中を雨滴が横切ると,その断面積lζ応じ

て光の一部がさえぎられる。そのさえぎられる光の量を

検出するととによって断面積したがって直径を求めると

とができる。第1図にζの方式の一例を示す日目。乙の

例では光検出器の出力は 10-•~10-3secの三角波状のパ

ルスであり,そのパルス高を測定する。増幅器は DC-

5kHzの帯域をもつものが望ましい,としている。

しかし,粒径が大きくなればパルス高が高くなるとと

もに落下速度が増すため光ビームをさえぎる時聞が短く

なり,パルス幅は減少する。増幅の帯域が狭いとパルス

が十分に立ち上がらない可能性がある。余裕をみて100

kHz以上の帯域が欲しいと息われる。光ビームの断面

積上で必ずしも光強度が一様ではなく,集光系も中心部

と周辺部では特性が異なるため,雨滴の通過する位置に

よっても出力パルスは変化してくる。第1図の例では,

誤差は 109ぢ程度と評ー価している。

(2)光ビーム散乱法

平行光ビーム中を雨滴が横切ると,散乱あるいは屈折

によって雨滴が無いときには光が来ない方向にも光が来

る。との光量を測定して直径を知る。例を第2図に示

すH九乙の場合,後述の静電誘導法を併用している。さ

きの光ビーム遮断法と同じく,光ビーム強度,集光系の

特性が断面上で必ずしも均一でないため,同じ大きさの

雨漏でも落下する位置によって測定値が異なってくる。

また,ある程度広い立体角空間の散乱光を集光する必要

があり,実際の装置ではかなりの誤差があると思われ

る。

2.3 雨滴落下速度の測定

Page 3: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

Vol. 26 No. 138 June 1980

1 Light source 2 Condenser lens 3 Stop_0.3cm 4 Stop _velvet coated 5 Mirror 6 Stop_O.Gcm 7 Lens

10 Inner induction cylinder 11 Outer induction cylinder 12 pream凶fie「13 Wire gauze

B Detectors and preampl~iers 9 s同ashscreen

539

13 tr, 2図光ビーム散乱型及び節電誘導型併用雨漏粒径測定器03)

①の光源より出た光は狼1修されて④の黒ビロードまで進み阻止される。雨漏がとの途中を横切ると散乱あるいは

屈折されて一部の光が⑤の鏡ICよって反射され⑥⑦の集光系を経て③の検出器IC入る。

Optical 『

Beam-1 l X):::;。川

.島

Optical 『

Beam-2 l D::ぉ叫第 3図落下速度検出型雨滴粒径m~定器の原理

雨泌が二つの光ビームを通過する時間の発より落下速

度を測定し粒径を求める。

(1) さきの光ビーム遮断法の変形として,光ビームと

検出器とを第3図のように上下2段使用すれば,雨漏が

それぞれの光ビームを通過する時間の差より落下速度が

求まる。風の影響を受けて雨滴が斜入射するとき誤差を

生じ,しかも風の影響は大きな雨滴と小さな雨滴では異

なってくる。鉛直落下の雨滴に対しては,光ビーム遮断

断面積法よりは精度が良いと考えられる。

(2)上記の2光ビーム法と原理はほぼ同じであるが,

一定空間中の平均的な雨滴落下速度を求める方法があ

る。ビーム直径を大きくした連続発振ガスレーザの光を

数百m伝搬させ,とれを2個の光検出器で受光する。 2

個の検出器を,例えば上下iζ4cm程度離しておく。両

者の出力の棺関関数をとれば光ビーム中を通過する雨滴

の空間平均的な速度が求まる。伝搬距離200m,光ピー

1204

τ(ms)

第4図 レーザ光による空間平均的雨漏落下速度測定法によって得られた遅延相関関数日刷。 200m伝搬したレーザ光を上下4cm離した2個の光

検出器で受ける。両出力の遅延相関関数は雨漏

が光ビーム中を4cm横切るに必要な時閣の空

間的平均を示す。 4msecにあるピークは落下

速度 lOm/seck相当し,省によるもの。 9msecのピークは4.5m/secIC相当し,雨による。

Page 4: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

540 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4 電 波 研 究 所 季 報

cylinder and shield

(a)

ψ

-a’BEE

工工)

LU

,t、

第5図静電誘導型雨滴絞径測定法1131

帯電した雨滴がジリンダー内を通過すると,内側のシリンダと外債ljの接地されたシリンダとのr:tHζ電流が流れる。(b)は等価同路。

ム直径20cm,光検出掠距離4cmで, mと霊が混;(1:し

たときの例を第4図iζ示す川。

2.4 帯電量の測定

(1) 自然電荷

雨滴は帯電しており,その静電容量 (C=211:eD,εは

誘電率)いっぱい充電されているとすれば,電荷量Qは

直径DIC比例する乙とになる。第5図(叫に示されている

ような金属シリンダを雨滴が通過するとき静電誘導によ

って外側の接地されたシールドシリンダとの聞に電荷の

移動が起乙り,雨滴が過ぎ去ると再び元の平衡状態lζ復

帰する。乙のときの電流を測定すればよい刷。電荷は

直径Dの1乗lと比例するだけであり,直径差による出力

差が小さい。したがって弁別性能が良くないと考えられ

る。ただとの方法については多くの問題点がある。雨滴

の電荷は雲中で雨滴成長が始まるときの最初の核のもつ

電荷量と関係があるらしいこと,落下途中で雨滴同士が

衝突して併合分裂を繰り返してゆく乙とと,落下途中で

雨滴がさらされる大気中の電位傾度は気象状態によって

大きく変動する乙と,などのために帯電量と直径との聞

に一義的な対応関係が成立するとは必ずしも断定できな

いからである。今後の研究に待たたなければならない。

(2)人工電荷

雨滴の自然帯電量は必ずしも雨滴直径によって一義的

には決まらないおそれがある。そこで強制的に帯電させ

る方法が考えられる。例えば第6図のように上下二つの

金網のうち上の金網に 300V程度の電圧をかけておく。

金網の目より大きな雨滴は金網に衝突帯電し,さらに落

下して下の金網に衝突放電する。乙のときの放電量を測

定する (IS)。上の金網に衝突した雨滴が小さな雨滴IC壊れ

" 第 6 図印加電荷計測型雨摘粒径浪~定器1151

①窓 ②③金網 ④シールドケース金網の自は0.325mmであり,乙れ以上の雨滴は上の網lζ当たって帯電し,ついで下の網に当たって放mする。との時のfl't流を測定する。

ても同じ結果になるという。しかし,との点については

大きな疑問がある。壊れてできた水滴の直径の羽lがもと

の水滴の直径IC等しくはならないからである。

2.5 磁場の測定

電荷 Qを帯びた雨滴がその終速度的で落下すれば

Qvi IC比例した電流 Iが流れる乙とに相当する。それ

によって生ずる磁場 H を測定すれば直径を逆算できる

ととになる。しかし,生ずる磁場は極く微弱かっパルス

性であるため安価な方法では困難である。

2.6 運動量の測定

雨滴の質量刑は直径 D の3乗で表現され, また終

速度的は、175((比例する。したがって,その運動量

mVtは fl3.Sで表現されるととになる。雨滴が質量M

(》m)の物体lζ付着して速度 Vを生ぜしめたとき,運

動量保存則によって

mvi=(m+M)V与M V ……(1)

となる。雨滴付着後の速度 Vを測定すれば雨滴の運動

量 mVtしたがって直径 D が求まる酬。そとで速度感

応型である可動コイル型のマイクロフォンのコーンlζ雨

滴を衝突させると,可動系の全質量 M は定数であるか

ら,マイクロフォン出力は雨滴の運動量 mVtl乙比例す

る乙とになる。現在商品化されている唯一の型であり,

我々も乙れを採用した。したがって,との装置について

章を改めて詳しく紹介しよう。

3. 電気音響法

3. 1装置

先述のように,雨滴落下時の運動量を可動コイル型の

7 イクロフォンによって計測する方法であって,そのセ

ンサ部を第7図IC示す。振動コーンiζ直結されたこつの

コイルのうち,一方のコイルからの出力を増幅して信号

Page 5: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

Vol. 26 No. 138 June 1980

Magnet

第7図迎動量計測J{'1日、,ji1高粒径測定2:;上l~lのコーン lζ雨泌が衝突すると,コーンlζl直結された SensingCoil lζノマノレス悦泡圧が生じる。増幅器を

.@してパルス向を測定する。また,との11¥)JをDamp・

ing Coil k流して振動を 1'"'に抑え, 次のlHN:Iζ仙

える。

EU

ω

-OEO

-Dao』可

c-oE

3 .L .5 1 2 3 4 5

Output Iv!

ms区1i運動M計illu型雨d若松径iJ!IJ定器(第7l濁) Iζお

ける雨滴枇径と出力の関係。本来直後Dと出プJ

VはV=A• fl3.5 (Aは定数)となるが, ことではu:1111~を通して V=27.685 ・ fll.4691 と

なっている。

を得る。また, ζの出力を同時に他方のコイノレにお\tして

制動をかけ, 1個の雨滴の衝突に対して振動を 1回に制

限して,次の雨滴lこ備える。 2個以上の雨滴が全く同時

にコーンに衝突する確率は,楓めて小さいとされてい

る。出力ノ~)レスの高さから直径 D を求める。第8 閣に

直後 D と出力パノレス高の関係を示す{17)。パルスハイト

アナライザを通して信号ノfノレスの波高値を読み,第 u~

の最初の縦第I,第2欄lこ示すように,相当する雨摘出

541

第l表巡動員計測型雨滴校径測定器の分解度及び対

応する雨滴の速度と運動量。第3表参照。

雨(滴cm直)径 終err速1/se度c 運動量 パルス高

チ (g. ~) (V) ヤ

Z叫 上 限 下限|上限四|上限

I O. 03 o. 04 117 162 o. 0017 o. 00541 o. 16 ~ o. 245 2 o. 04 o. 05 162 206 o. 0054 o. 013 o. 245 o. 34

3 o. 05 o. 06 206 247 o. 013 o. 028 o. 34 o. 44

4 o. 06 o. 07 247 287 o. 028 o. 051 o. 44 0.56

5 o. 07 o. 08 287 327 o. 051 o. 088 o. 56 o. 68

6 o. 08 0.10 327 403 o. 088 o. 211 o. 68 0.94

7 o. 10 0.12 403 464 o. 211 o. 419 o. 94 1. 22

8 o. 12 0.14 464 517 o. 419 o. 741 1. 22 1. 55

9 0.14 o. 16 517 565 o. 741 1. 210 1. 55 1. 90

10 0.16 0.18 565 609 1. 210 J. 856 1. 90 2. 25

11 0.18 o. 21 609 670 2. 25 2. 80

12 o. 21 o. 24 670 727 3. 243 5. 253 2. 80 3.40

13 o. 24 0.27 727 770 5. 253 7. 922 3. 40 4. 05

14 0.27 o. 30 770 806 4. 05 4. 75

15 o. 30 o. 33 806! 835 11. 374 15. 684 4. 75 5. 45

16 o. 33 0.37 835 866 15. 684 22. 927 5. 45 6.40

17 o. 37 o. 41 866 888 22. 927 31. 988 6. 40 7. 50

18 o. 41 0.45 888 901 31. 988 42. 913 7. 50 8. 60

19 901 909 42. 913 59. 389 8. 60 10.00

20 o. 50 909 59. 389 10.00

径を 0.3mmより 5mmまで 19チャネ Jレ, Smm以

上を 1チャネJレ,合計20チャネルの分解度で計測する。

10 sec , 30 secあるいは 1分間隔で,各チャネノレlζ現れ

るパルスの個数を集計して結果を紙テープにさん孔す

る。ただ紙テープのみでは即読性に欠けるため併行して

小型ラインプリンタで印字させるためのインタフェイス

を試作した。また,遠く,屋外lと置かれたセンサ部から

屋内lと設置された記録部までの伝送用としてパラレノレー

シリアル変換による送受インタフェイスも試作した。

3.2 特徴

信号ノfノレス高は fl3・sIC比例するため,他の方法IC比

較して直径の差 .:JDによるノマノレス高の差が大きく,弁

月IJが容易になるという大きな長所をもっ。しかし,風な

どの影響によって雨滴が斜入射するときは,垂直成分の

みが検出されるととになり,誤差が生ずる。また,一種

のマイクロフォンであるため,感度を下げてあるとはい

え,音響的な雑音を拾いやすく,また,機械的な衝撃に

弱い,という欠点をもっ。

Page 6: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

542 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4 電波研究所季報

すべての雨滴粒径分布測定器について同じであるが,

地表付近の平面で測定した雨滴粒径分布がそのまま空間

分布になるわけではなく,換算が必要である。

いま直径 D の前後土'1D!2の範囲内にある雨滴の空

間密度を N•(D) ・JDで表し,その終速度を Vt(D)

とする.観測面積 Sの測定器で時間 T観測して,同

じD±l/2'1Dの範囲で, Nd(D)個あったとすると,

Svi(D) TN•(D)'1D=Nd(D ) ……(2)

となる。これより

N•(D)=Nd(D)/Svi(D)TLJD ...... (3)

として地表での測定値 Nd(D)より空間での実際の分

布 N•(D) が求まる。大きな雨滴は落下速度的も速

く,速度の遅い小さな雨漏iζ追突して併合あるいは破壊

されてゆくが,地表付近lζ達するころには,このような

状態が平衡に達していると仮定している。

降雨強度 R によって空間分布 N•(D) が一義的に決

まるわけではないが,両者の聞にはかなりの相関があ 101

り, Marshallと Palmerは

N•(D) =N,e-,w, ・・・・(4)

A=A0R-r,……(5)

の形で表現できるとした凶。つまり,雨滴粒径 Dが増

すにつれて空間分布 N•(D) は指数関数状 IC 減少して

ゆく傾向があり,その減少してゆく係数が降雨強度 R

によって決まるというのである。彼等の測定例を第9図

103

E 102 E ,、E

~ 101

ICρ

10-I 0 2 3

D(mm)

tr; 9 \~\ MarshallとPalmerによる降雨強度と M~i1Xi

村.i壬分{Jjけ8>。オタワICおける観測品'i*。D :岡純牧{壬, N• :空間分干Ii密度, R : 降雨1\1!

4

度。

3.3 観測例

3. 3. 1 l~ltj泌粒後の空間分布

lこ示す。

第2表 Marshall-Palmerの公式におけるパラメータ<18>,119>

mm【 1)I (mm-1) ¥ m/h))-|拘cm-aI .lo rCClo

Marぬa川 Palm町 I 8000 I 4. I I 0 21

drizzle 30000 5. 7 o. 21

Joss wide s刈& 4.1 o. 21

Waldvogel

3.0 o. 21 storm

5

実際には同じ降雨強度であっても場合場合によって粒

径分布は異なり,また,ひと降りの雨でも粒径分布はl時

々刻々と変化してゆく。したがって降雨強度と粒径分布

との関係は上のごとき単純な式で表現されるはずはな

い。とはいえ, Marshallと Palmerによって与えられ

た式は,その簡便さのゆえに今日でも頻繁に使用され

る。

後に Joss と Waldvogelは Marshallと Palmer

が与えたパラメータのうち, Noとんとを降雨の型に

よって分類した制。これらを第2表lζ示した。

EE

April 8,’79 1644

2.6 mm1h

一- M &P

J &W

D w T

M

主102

l/)

z

。 2 3 D lmml

4

w 10凶(a)

Page 7: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

Vol. 26 No. 138 June 1980

E E

1 Q4

1: 102

V)

z

101

April 8,’79 1746

13.65 mm/h

2 3

D1mm1 第 10図(b)

ト~& P

J&W

D w T

4

E E F、主102

u、z

101

543

June 27.・79 1902

43.25mm/h

!:I』IOE:<I (c)

一一- M&P

J &W D w

一一一 T

第 101'61 運動itt.il'iW]型i~~術校径J[rj/l:以による観測例(a)は小1"1(2.6mm/h), (同は中雨 (13.65 mm/h), (c)は大[off( 43. 25 mm/h)。 関rlrのM & Pは MarshallとPalmer,J & W はJossとWaldvogel,DはDrizzle,W はWidespread, Tは Thunderstorm の意である。日付の次の数はII寺実lj,例えば 1644は161時44分。

3.3.2 実測例

我々が得た実測結果のうち,小雨,中雨,大雨の典型

例を第10図(司,(紛,(c)IC示す。図中lζ,それぞれの降

雨強度 lζ 対応する Marshall と Palmer, Joss と

Waldvogelの式より得られる分布を直線で記入しであ

る。 Marshallと Palmerの式では粒径 D が小さくな

るにつれ exp(-AD)の形でますます多く分布するの

に反して,我々の測定では,ある程度以下の粒径の雨滴

は少なくなるという結果になっている。

3.4 較正法

3.4.1 1次絞iHよ

どの降雨粒径分布測定保lこ対しでも,その型IC],じじて

適切な絞正を行わなければならない。我々の運動量;測定

型では,実際iこ適当な大きさの水i商を作り,これを終速

度に達するために必要な距離以上を落下させて較正する

のが最も理想的である。第11凶に示したように水泌を

風よけのパイプrlJを約 lOm落ドさせる。下部のll{f知郎

分で連続パルス状l乙発光するキセノンランプによって照

明し写真撮影して水滴の直径,落下速度を求める。ノズ

ノレの口径や形を選択して適度の径の水滴を作る。表面活

性剤lを混入して水の表面張力を減じるとある程度は小さ

い水滴を作る乙とはできようが,極端に小さい水滴や逆

re極端に大きい水滴を作ることは困難であろう。乙の方

法は写真撮影を伴うこと,水を扱う乙となどのため煩雑

さがある。そこでもっと簡便な方法を次に考えてみる。

3.4.2 2次較正法

ベアリング用ボールは極めて精度よく作られており,

かっ大きさも適当に選択できるのでとれを水滴代わりに

使用すれば便利と思われる。測定器のコーン保護のため

プラスチック球を用いる。落下距離を適当に変えてコー

ン衝突時の運動量を調節し,同じ運動量をもっ水滴の代

用とする。ただプラスチック球は 3/32inch未満の小球

は製作されていない。

密度内の大気中を直径 Db密度 Pbの球が速度 u

で落下するとき,球の質量は

M=(4π/3)(Db!2)3pb ・…・(6)

で与えられ,重力加速度を9とすれば,作用する重力は

M[Jで与えられる。このとき空気より受ける抗力 F は

Page 8: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

544 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4 電 波 研 究 所 季 報

Water Pool

。ロ

。。。。。

~11 l主l辺動鼠旨|摂tl型P!iii.荷粒径測定総松iU.t

Dark Box

i:.miの水市iより風よけ筒を通して水摘を下官官の測定m+1と当てる。水泌が水制ノスツレを離れたI界r:~Jを検出し,水滴が暗箱付近まで落下してきたときパルス発生保を

起動してキセノンランプを点滅し写真損影をする。

_lム 2 {Db ¥ 一一向vπ(---=-l c . ・(7)

2'- ¥ 2 I

で与えられる酬。ここで cは抗力係数(熊次元)であ

る。よって落下距離をzとすれば,運動方程式は

第 3表水滴直径と終迷皮,抗力係数120>

水滴の直径|終速度|水滴の質量|レイ/ール|抗力係数(cm) I (cm/s目) I Cμg) Iズ R, I c

o. 01 o. 02 o. 03 o. 04 o. 05

o. 06 o. 07 o. 08 o. 09 0.10

o. 12 o. 14 0.16 o. 18 o. 20

0.22 o. 24 o. 26 o. 28 o. 30

o. 32 o. 34 o. 36 o. 38 o. 40

o. 42 0.44 0.46 0.48 o. 50

o. 52 o. 54 o. 56 o. 58

すなわち

27 o. 5241 72 4.19 117 14. 14 162 33.5 206 65.5

247 113. 1 287 179. 6 327 268 367 382 403 524

464 905 517 1. 437 565 2, 140 609 3, 050 649 4, 190

690 5, 580 727 7. 240 757 9, 200 782 11, 490 806 14, 140

826 17, 160 844 20, 600 860 24, 400 872 28, 700 883 33, 500

892 38, 800 898 44, 600 903 51. 000 907 57, 900 909 65, 500

912 73, 600 914 82, 400 916 92, 000 917 102,200

M~:~- →- F一M'J ニOdt

d2z ,/dz¥2 ー一一寸 k(-) 'J=O, dt2 ¥ dt I

k = _]____ • __f!!!:£___ 4 pbDb

1. 80 15. 0 9. 61 4.2 23. 4 2. 4 43. 2 1. 66 68. 7 1. 28

98. 9 1. 07 134 o. 926 175 o. 815 220 0.729 269 o. 671

372 o. 607 483 o. 570 603 o. 545 731 o. 528 866 o. 517

I, 013 o. 504 1.164 o. 495 l, 313 o. 494 l, 461 o. 498 l, 613 0.503

1. 764 o. 511 1. 915 o. 520 2, 066 o. 529 2, 211 o. 544 2, 357 o. 559

2, 500 o. 575 2,636 o. 594 2, 772 0.615 2, 905 0.635 3, 033 o. 660

3, 164 o. 681 3, 293 o. 700 3, 423 0.727 3, 549 o. 751

・ー・ー(8)

・・・(9)

・・UOl

;:(H表気温気配と大気続出:の関係12ll。大気持iI交の単位は[g/cm3]

下ゥ\ 690 700 710 720 730 740 750 760 770 780

x10-3 x 10 3 x10-J x 10-3 x 10 3 XlO 3 ×10 3 XlO 3

。 1. 174 1. 191 1. 208 1. 225 1. 242 1. 259 [. 276 1. 293 1. 310 1. 327

5 1. 153 1. 169 1. 186 1. 203 1. 220 1. 236 ! [. 253 1. 270 1. 286 1. 303

10 1. 132 1. 149 1. 165 1. 182 1. 214 I 1. 231 i 1. 247 1. 264 1. 280

15 1. 113 1. 129 1. 145 1. 161 1. 177 1. 209 1. 226 1. 242 [. 258

20 1. 094 1. 109 1. 125 1. 141 1. 157 1. 173 1. 189 ). 205 1. 220 1. 236

25 ). 075 1. 106 1. 122 1. 138 1. 200 1. 215

30 ). 057 ). 073 ). 088 1. 103 1. 119 1. 134 ). 149 1. 165 1.180 1. 195

Page 9: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

なる 1階2元連立微分方程式lζ分解する。 ζ れを t=O

のとき Z1=D, Z2=Dなる初期条件のもと, Runge-

Kutta-Gill j去によって数値解析を行う。

また,実際の雨滴の落下速度は既lζ第3表に与えられ

ているから運動量も求められる。我々の測定器の各チャ

ネノレの雨滴粒径の上限と下限に対応する運動量の上限と

下限を計算したものを既に第1表に示しである。

一例として直径 3/32inch(O. 238 cm)のテフロン球

について数値解析の結果を第5表に示した。これより落

下距離 10~20cmでは第 11チャネル, 30~50cmでは

第 12チャネル, 70~lOOcmでは第 13チャネルの運動

量になるととがわかる。第6表にポリエチレン球,ナイ

ロン球(ナイロン 6),テフロン球及び0.1~0.2cmの

小さい水滴について,直径と落下距離と相当するチャネ

ノレの一覧を示した。直径及び材質を適当に選ぶことによ

り第 10チャネノレ以上の高チャネJレは細かく絞正できる。

3/32 inch未満のプラスチック球は得られないので,低

チャネルIC対しては,実現可能な大きさの水滴で,落下

距離を適当に短くとり小さな雨滴の運動量と同じ運動量

になるようにして較正することが考えられる。

運動量計測型雨粒径分布測定装置に関して長初l乙調査

され我々が入手するきっかけを与えてくださった鹿島文

所第二宇宙返研究室乙津祐一室長,また,実験データを

提供された鹿島支所第一宇宙通信研究室阿波加純,中村

健治両氏,更に測定器輸入lζ関し多大の労をとられた会

計課関進氏に深く感謝いたします。

(1) Wiesner, ].;“Bietraege zur Kenntniss des

tropischen Regensぺ K. Akad. Wiss., Math.-

Naturw. Klasse Sitz. Ber., 104, pp. 1397-1434,

1895.

(2) Defant, A.,“Gesetzmaessigkeiten in der

Verteilung der vershiedenen Tropfengroessen bei

RegenfaellenぺK.Akad. Wiss., Math.-Naturw.

Klasse Sitz. Ber., 5, pp. 585 646, February 16,

1905.

(3) Becker, A.;“Zur Messung der Tropfengroessen

bei Regenfaellen nach der AbsorptionmenthodeヘMet. Zs., 24, pp. 247-261, 1970.

(4) Niederdorfer, E.;“Messungen der Groesse der

Regentropfen”,恥'let. Zs. 49, pp. 1 14, 1932.

(5) Otis Laws, J. and Parsons, D. A.;“THERE-

LATION OF RAINDROP-SIZE TO INTENSITY”

第5表 3/32° ( O. 238 cm)テフロン球の大気中落下距離と

巡動量及び対応する雨樋粒径測定器のチャネノレ。 i.<¥illil20。C,気圧760mmHg,テフロン密度2.2 [g/cm3J

とした。

II年 11引(sec) I

545 1980 June No. 138 Vol. 26

献文考

速 度 i辺動量|士、I比、する(cm/sec) I ( g • ~) I チャネル

nhunr’nMUnMUnud

nun汐AυnυAU

111 nunu

’l’i唱i

ll-

’EAnzuのru

。,“nJ“

11111 q’unFunr“内

ruoFU

l----

qdqdqdqoηδ

11111 q‘u内、

uq、u内

4U内4U内‘

υ

111111

のノ“内

rh町内

run〆“内

F“

11111

11111

11111

落 F距離(cm)

o. 01 o. 049 9. 800 o. 152 o. 02 0.196 19. 598 o. 305 o. 03 o. 441 29. 393 0.457 o. 04 0.784 39.182 0.609 o. 05 !. 225 48. 966 o. 762

o. 06 ). 763 58. 741 o. 914 0.07 2. 399 68. 506 ). 066 o. 08 3.133 78. 260 !. 217 0.09 3.965 88. 001 !. 369 O. IO 4.893 97. 727 I I. 520

0.11 5. 919 107. 437 i !. 671 0.12 7.042 117. 129 !. 822 0.13 8. 262 126. 802 !. 972 o. 14 9.578 136.453 2. 122 o. 15 10. 991 146. 082 2. 272

0.16 12. 499 155. 688 2. 422 o. 17 14. 104 165. 267 2. 571 0.18 15. 804 174. 820 2. 719 0.19 17. 600 184.344 2. 867 o. 20 19. 491 193. 838 3. 015

o. 21 21. 477 203. 300 3.162 o. 22 23. 557 212. 730 3. 309 o. 23 25. 732 222. 125 3. 455 o. 24 28. 000 231. 485 3. 600 o. 25 30. 361 240. 808 ' 3. 745

o. 26 32. 816 250. 092 3. 890 0.27 35. 363 259.337 4. 034 o. 28 38. 002 268. 541 4.177 0.29 40. 734 277. 702 4. 319 o. 30 43.556 286. 820 4. 461

o. 31 46. 470 295. 894 4. 602 o. 32 49. 474 304. 922 4. 743 o. 33 52. 568 313. 903 4. 882 o. 34 55. 752 322. 835 5. 021 o. 35 59. 025 331. 719 5.159

0.3月 62. 386 340. 552 5. 297 o. 37 65. 836 349. 334 5. 433 o. 38 69. 373 358. 063 5. 569 o. 39 73. 000 366. 739 5. 704 o. 40 76. 707 375. 361 5. 838

o. 41 80. 504 383. 928 5. 972 0.42 84. 386 392. 438 6.104 o. 43 88. 352 400.892 6. 235 o. 44 92. 403 409. 288 6. 366 o. 45 96. 538 417. 625 6. 496 o. 46 100. 755 425. 903 6. 624

一一一一

なる2階非線形微分方程式が得られる。抗力係数cにつ

いては Gunnと Kinzerによって第3表のように与え

られている刷。また,大気密度 pα については第4友

l乙示す刷。

ここで式(9)において

dz_ dz1ー’dt dt -2

UM

・02)

とおき

は-dt 司

会='if-kz22

Z=Zi.

Page 10: 4. 降雨粒径分布測定装置 - NICT...Vol. 26 No. 138 電波研究所季報 June 1980 pp.537-546 研究 ミリ波帯電波伝搬実験計画 4. 降雨粒径分布測定装置)J

546 ミリ;皮帯電波伝嫌実験計画 4 電波研究所季報

第6表水泌とポリエチレンPl<,ナイロン球及びテフロン球の大気中洛下距離と対応する雨泌粒径測定器のチャネノレ

D.:直径〔cm〕, Z:落下距離〔cm〕。直径については 3/32’=O.238〔cm〕, 1/8’=O.318, 5/32’=O. 397, 3/16’=0.476, 7/32’=O. 556, 1/4’= 0.635と記した。街皮はポリエチレン o.95〔g/cm3〕,ナイロン 1.13,テフロン 2.2とした。球の運動量が二つのチャネルの境界付近になるときは,例えば 12/13のように,二つのチャネノレを併記した。

水 滴 ポリエチレン ナイロン テ フ ロ ン

I~ミ0.10 0.12 0. 14 o. 16 0. 18 o. 20 o. 238 o. 318 0. 397 o. 476 0.お6o.邸5o. 238 o. 318 0. 397 o. 476 0.お6o.日5o.お8o. 318 o. 397 o. 476 o. 556

5 4/5 5/6 6 6/7 7 7/8 8 10 11/12 12/13

10 5 6 6 7 7/8 8 9 11 12 13

15 5 6 7 7 8 8 9 11 12/13 14

20 6 6 7 7/8 8 9 10 11 13 14

30 6 6 7 8 8 9 10 12 13 15

40 6 7 7 8 9 9 10 12 14 15

50 6 7 7 8 9 10 11 12 14 16

60 6 7 8 8 9 10 11 12/13 14 16

70 6 7 8 8 9 10 11 13 14 16

80 6 7 8 9 9 10 11 13 15 16

90 6 7 8 9 9 10 11 13 15 16

100 6 7 8 9 9 10 11 13 15 16

Transactions, American Geophysical Union, pp.

452-459, Hydrology-1943.

(6)鵜飼他; “降雨粒子の測定とその結果(第1報)”,

信学会 AP研資料, AP74-71,1974.

(7)鵜飼他; “ミリ波伝播に関する雨滴の諸特性”,信

学会 AP研資料, AP76-82,1976.

(8) レスカカタログ“ビデオパターンアナライザ VPA

-750”.

(9)浜松テレビカタログ“イメージライザC1285”,“イ

メージライザ- HTV-C995”.

UOl 池上通信機カタログ“ビデオ画像処連装置 VIP-

11”.

Ull 東洋インキカタログ“イメージアナライザルーゼッ

クス 450,500’ヘ

間後町幸雄;“雨滴粒径分布の測定”,気象研究ノー

ト,第130号, pp. 119-132, 1976年 12月.

U3) Bradley, S. G. and Stow, C. D.;“The Mea

surement of Charge and Size of Raindrops : Part

I. DisdrometerぺJ. of Appl. Met., 13, No. 2,

pp. 114-130, Feb. 1974.

(14) Ting-i Wang, Earnshaw, K. B., and Lawrence,

R.S.;“A FAST-RESPONSE OPTICAL SENSOR

FOR MEASURING RAINFALL RATE AND

RAINDROP SIZE DISTRIBUTIONヘSummaries

14

15

15

16

16

16/17

17

17

17

18

18

18

15 9 10/11 12 13 14 15/16 10 12 13 15 16

16 9 11 12/13 14 15 16 11 12/13 14 16 17

16 10 11/12 13 14 16 17 11 13 15 16 18

17 10 12 13 15 16 17 11 13 15 17 18

17 10/11 12 14 15 17 18 12 14 16 l下 19

18 11 12 14 16 17 18 12 14 16 18 19

18 11 13 14/15 16 17 19 12 14/15 16 18 20

18 11 13 15 16 18 19 12/13 15 17 18/19 20

19 11 13 15 16/17 18 19 13 15 17 19 20

19 11 13 15 17 18 19 13 15 17 19 20

19 11 13 15 17 18 20 13 15 17 19 20

19 11 13 15/16 17 18 20 13 15/16 17 19 20

of Papers, C-9 4, pp. 493~495, 1978 Interna-

tional Symposium on Antennas and Propagation,

August 29-31, 1978, Sendai Japan.

日 Lammers, U. H. W.;“Electrostatic Analysis

of Raindrop DistributionsヘJ. of. Appl. Met.,

8, No. 6, pp. 330~339, June 1969.

(16) Joss, Von J. und Waldvogel, A.;“Ein Spekt-

rograph fiir Niedershlagstropfen mit automatis-

cher AuswertungヘPureAppl. Geophys., 68, pp.

240-246, 1967.

117) Distromet, Ltd. カタログ“DistrometerRD-

69”.

(18) Marshall, J. S. and Palmer, W. M. ;“The

Distribution of Raindrops with sizeヘJ.of Met.,

5, No. 8, pp. 165-166, Aug. 1948.

(I明 Joss, J., Thams, J.C., and Waldvogel, A. ;

“The variation of raindrop siz疋 distributionsat

Locarno”, Proc. Intern. Conf. Cloud Phys.,

Toronto, pp. 369-373, 1968.

白Ol Gunn, R. and Kinzer, G. D.;“The terminal

velocity of fall for droplets in Stagnant airヘ1

of Appl. Met., 6, pp. 243-248, 1949.

(21) 吉岡卯三郎,武居文助, “物理学実験”, p. 278,

三省堂, 1960.