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50µm級磁性異物，医用磁気マーカ検出のための新技術
九州大学 笹田一郎 http://vega.ence.kyushu-u.ac.jp/wiki
センサの真髄
見たいものだけを見る
磁気センサでは見える範囲を限定できる
2点間の磁場の差を取る＝グラディオメータ
磁場で見えるもの
磁場を出すもの，歪ませるものを捉えることができる
磁気微粒子集合体 小さな鉄片（強磁性化したステンレス破片）
漏洩電流 地中埋設物 不発弾 車などの通過とその方向 海底鉱物資源
サイズ大
→センチネルリンパ節の特定
→食品中異物検出 →漏電箇所検出 →地中埋設管の埋設箇所
見たいものがあるところに磁場を印加する
マグネトメータとグラディオメータ
センサ回路
センサ回路
l
センサヘッド1
センサヘッド2 差動アンプ
出力
センサ回路
センサヘッド
マグネトメータ
従来の電子式グラディオメータ
FG 回路l
センサヘッド1
出力
センサヘッド2
提案技術のグラディオメータ
共通点 指向性を持つ
マグネトメータ：磁場に比例した電圧出力
グラディオメータ：2点間の磁場の差に比例した電圧出力
例えば，英Bartington社2つのセンサの特性を高精度で揃えることが難しい
信号磁場=ダイポール磁場がどのように見えるか？
スキャンセンサ センサ
センサ＝マグネトメータ 見える磁場成分はセンサの軸方向
信号磁場=ダイポール磁場がどのように見えるか？
スキャンセンサ センサ
センサ＝グラディオメータ 見える磁場成分はセンサの軸方向
ベースライン長=リフトオフ高さ
特長は何処にあるのか1我々の住むところには地磁気がある 地磁気の中でセンサが揺れると偽信号が出る
グラディオメータは一様磁場に不感．揺れに対して高い耐性がある
磁力線で描いた地磁気中の小さな信号源
lift-off
m
v
θ
m
v
lift-off
m
v
θ
m
v
センサの揺れは不可避
特長は何処にあるのか2我々の住むところには地磁気がある 地磁気の中でセンサが揺れると偽信号が出る
θ
m
v
検出対象：10 mT (100 G) の磁化を持つ直径1 mmの金属異物が地磁気の中にある
θ=0°
θ=0.2°
マグネトメータ
θ=0°
θ=1.5° θ=4°
98%整合 グラディオメータ
99%整合 グラディオメータ
θ=0°
ベースライン長=2 cm
グラディオメータは一様磁場に不感．揺れに対して高い耐性がある
リフトオフ高さ=2 cm
θ
m
v
特長は何処にあるのか3我々の住むところには地磁気がある 地磁気の中でセンサが揺れると偽信号が出る
検出対象：10 mT (100 G) の磁化を持つ直径1 mmの金属異物が地磁気の中にある
マグネトメータ
θ=0°
θ=3° θ=5°
98%整合 グラディオメータ
99%整合 グラディオメータ
θ=0°θ=0°
θ=0.2°
グラディオメータは一様磁場に不感．揺れに対して高い耐性がある
ベースライン長=2 cmリフトオフ高さ=2 cm
超低雑音基本波型直交フラックスゲート (fundamental-mode-orthogonal fluxgate= FM-OFG ※1)原理を利用する（室温動作センサでは世界最高性能）
1つの回路と2つのセンサヘッドを利用するのでベースライン長（ l ）の設定が容易
平行型，同一軸型の2つのグラディオメータが実現できる
グラディオメータの構成1
基本波型直交フラックスゲートの雑音 1pT/√Hz@1 Hz.
このセンサヘッドを2個用いる．L=30 mm．外径3 mm
L
l
平行型
l
L L
同一軸型
※1 Orthogonal fluxgate mechanism operated with dc biased excitation, I. Sasada, JOURNAL OF APPLIED PHYSICS Vol 91, No 10 pp. 7789- 7791 (2002)
Method for Offset Suppression in Orthogonal Fluxgate with Annealed Wire Core, M. Butta and I. Sasada, Sensor Lett. 12, 1295-1298 (2014)
グラディオメータの構成2センサヘッドの感度が直流電流値で制御できるため，電流調整で高平衡化ができる（構造の精密調整は不要）
心磁計に用いているのと同じ回路
直流電流調整法
センサヘッド 1Iac
IacIac+Idc1
Idc2
R大
センサヘッド 2
全体の回路図Fundamental Mode Orthogonal Fluxgate Gradiometer, Ichiro Sasada and Shoumu Harada, IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS, VOL. 50, NO. 11 (2014) 4007404
研究室の”製品”例
回路基板
平行型センサヘッド 同一軸型センサヘッド
Idc2 1/supp. ratio Idc2 [mA] 1/supp. ratioHead 1 0 105 0.6 46000Head 2 0 62 1.72 12000Head 3 0 91 0.76 14200
平行型センサヘッドの高平衡化
Idc2 1/supp. ratio Idc2 [mA] 1/supp. ratio
Head 1 0 154 0.28 9300Head 2 0 61 1.84 14700Head 3 0 150 0.71 18500
同一軸型センサヘッドの高平衡化
一様磁界に対する不感度はIdc2の調整で最適化 Head1の例
コイル外径3 mm2つ目のセンサヘッドは内部に隠れている
金属異物検出例
ベースライン長（l）=8 mm，リフトオフ高さ=5 mm 相対速度15 m/分
Magnetic particle detection in unshielded environment using orthogonal fluxgate gradiometer, Ahmed L. Elrefai and Ichiro Sasada, JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 117, 17C114 (2015)
実験装置．回転テーブルの鉄球の外径は(a)160 µm，(b)同120 µm，(c)同70 µm，(d)同50 µm．鉄球は永久磁石で事前に磁化する．グラディオメータは左側の黒い支持の下側．
磁気シールドは不要
磁気微粒子検出例
デキストランでコーティングされたFe304 磁気微粒子懸濁溶液を水で希釈．グラディオメータのベースライン長=8 mm，リフトオフ高さ=5 mm. 直径10 cmのパーマロイ円板を磁気微粒子が通過する面の反対側に配置している．
パーマロイ円板の配置の効果に対しては Reduction of fluxgate gradiometer susceptibility to uniform magnetic fields using permalloy shielding disk Ahmed Lotfy Elrefai, Ichiro Sasada，日本磁気学会学術講演会, 8pD ︎-14 ︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎ (2015, 9 8-11名古屋大学)
まとめ• 50 µm級磁性金属異物の検出を磁気シールド無しで行える．活物質をコーティングした電池電極に含まれる金属異物の検出や，繊維に付着した金属異物の検出に応用可能
• ベースライン長をcmにすれば食品中の金属異物検出に，数十cmに拡大すれば不発弾や地下埋設物の検知，1~数mに拡大すれば海底鉱物資源の探査に利用できる
• 抗原抗体反応を調べる磁気アッセイ検知用の磁気センサや，センチネルリンパ節の位置特定のためのセンサに利用できる
• センサは超低雑音FM-OFG原理に基づくグラディオメータで，室温で動作し，取り扱い容易で，低価格
本技術に関する知的財産権
発明の名称：勾配磁界センサ出 願 番 号：PCT/JP2014/078090出 願 人：九州大学発 明 者：笹田 一郎、原田 翔夢
