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1 / 11 マックス・プランク生化学研究所:ドイツ 白楽ロックビル お茶の水女子大学大学院・人間文化創成科学研究科・ライフサイエンス専攻 (出典:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/europe.html 2006 5 月、欧州 5 カ国目の国ドイツ(Federal Republic of Germany)のミュンヘンで、 マックス・プランク生化学研究所(Max-Planck-Institut für Biochemie、英語で Max Planck Institute for Biochemistry)を訪問した。マックス・プランクはドイツで最高の研究所 だ。 ドイツの人口、言語、通貨、水 (No.524 と同じ) ドイツの人口は 8,250 万人(2004 年)、万人で、首都ベルリンが 340 万人で第一の都市。 第二はハンブルクで 170 万人、第三がミュンヘンで 119 万人だ。 ドイツの面積は、35.7 万 km2 で、日本の約 94%だ。 日本の外務省の情報から、現代史を略記すると以下のようだ。 1871 年 ドイツ帝国成立(いわゆる「ビスマルク憲法」制定) 1918 年 ドイツ革命、ワイマール共和国成立 1933 年 ヒトラー首相に就任、ナチ党の一党独裁制確立(~45 年) ドイツ

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ババイイオオ教教授授のの「「世世界界のの大大学学・・研研究究所所」」

マックス・プランク生化学研究所:ドイツ

白楽ロックビル お茶の水女子大学大学院・人間文化創成科学研究科・ライフサイエンス専攻

(出典:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/europe.html)

2006 年 5 月、欧州 5カ国目の国ドイツ(Federal Republic of Germany)のミュンヘンで、

マックス・プランク生化学研究所(Max-Planck-Institut für Biochemie、英語で Max Planck

Institute for Biochemistry)を訪問した。マックス・プランクはドイツで最高の研究所

だ。

ドイツの人口、言語、通貨、水 (No.524 と同じ)

ドイツの人口は 8,250 万人(2004 年)、万人で、首都ベルリンが 340 万人で第一の都市。

第二はハンブルクで 170 万人、第三がミュンヘンで 119 万人だ。

ドイツの面積は、35.7 万 km2 で、日本の約 94%だ。

日本の外務省の情報から、現代史を略記すると以下のようだ。

1871 年 ドイツ帝国成立(いわゆる「ビスマルク憲法」制定)

1918 年 ドイツ革命、ワイマール共和国成立

1933 年 ヒトラー首相に就任、ナチ党の一党独裁制確立(~45 年)

ドイツ

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1949 年 西独基本法の成立、西独、東独の成立

1955 年 パリ条約発効、西独主権を取得。西独、NATO に加盟。東独ワルシャワ条約機構

に加盟

1961 年 「ベルリンの壁」構築

1972 年 東西両独、基本条約を締結、関係正常化

1973 年 東西両独、国連加盟

1989 年 11 月 「ベルリンの壁」開放

1990 年 7 月 両独通貨・経済・社会同盟発足

9 月 両独間「統一条約」発効

10 月 3 日 統一

フランスからの入国時にパスポートを提示していない。言語はドイツ語である。

一人当たり GNP は 26,760 ユーロ(2004 年)で、通貨は、ユーロ。 水道水は飲める。滞在中の気候は、暖かい。

電源コンセントは欧州共通の SE タイプである。

治安に関して、大都会共通の危険はあるが、注

意していれば安全で危険は感じない。

ミュンヘンの街 (No.524 と同じ) ミュンヘンは人口 119 万人でドイツ第三の都市だ。

ミュンヘン最大の観光地である新市庁舎前広場を歩くと、いたるところに等身大のライ

ホテル室内:きれい

ホテル:朝食(込)は食べ放題、といっても

コーヒー・紅茶とクロワッサンのみ

路上にある自動小荷物送付スタンド

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オン模型が置いてある。いろいろなデザインと模様で楽しいが、スポーツ店前のライオン

はサッカーボールを持っていた(写真)(2006 年 6 月、サッカーのワールドカップはドイツ

で開催)。

フランスのパリからドイツのミュンヘンにくると、いろいろ「フ~ン」と感じる点があ

る。欧州と一括りにククレない実情を何となく理解できる。以下に「フ~ン」と感じた点

を書くが、結論を先にいうと、ミュンヘンは緑が多く、きれいで、律儀で、とても住みや

すい。 ミュンヘンは、街や建物がきれい。ミュンヘンは、ゴミが散乱していない。パリでは、

地下鉄の駅の改札を入ると構内通路に切符が散乱している。本来は降車まで切符をもって

いることになっているのだが、車内検札はこないし、降車時に切符は要らないので捨てて

しまうのだ。ミュンヘンでも、車内検札はこないし、降車時に切符は要らないが、駅のホ

ームはきれいだ。観光地でもゴミ 1 つ落ちていない。また、パリでは、かなりの確率で歩

道に犬の糞が落ちている。落書きが多い。物乞いが多い。

ミュンヘンの地下鉄内:きれい スーパー店員の改善要求ストライキとデモ

チャイニーズ庭園:ビヤガーデンでもある

フレンチフライ。名物プレッツェル(巨大な塩パン)。

名物白ソーセージ(巨大)を肴にビールのむ

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ミュンヘン観光地でサッカーボールを持つライ

オン

ドイツ人の体格はガッシリしている。フランス人より背も

少し高く、骨太といえば聞こえはいいが、要するに太り気味

だ。食べ物は、パリではパンとチーズだったが、ミュンヘン

ではソーセージ、ビール、プレッツェル(塩パン)で、量が

多い。

観光の中心地:マリエン広場

ミュンヘン観光地の石畳(ゴミが落ちていない!)

観光の中心地:マリエン広場

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パリでは黒人、アラブ人、アジア人が多く、服装が地味でラフだ。話せばいい人とわか

るが、ブスッとしてるので、見た目は恐い印象がある。ミュンヘンでは、白人が多く、人

懐こくて友好的で、すぐ仲良くなりやすい。

マックス・プランク研究所全体 マックス・プランク研究所(Max-Planck-Gesellschaft、略して MPG。英語は

Max-Planck-Institute)は、ドイツ最大の国立研究機関である(表1)。マックス・プラン

クは、1918 年のノーベル物理学賞を受賞した Max Karl Ernst Ludwig Planck(1858-1947)

という科学者名で、彼が 1948 年の創設に大きな貢献をした。

対象とする研究は、大きく 3つの領域で、「基礎科学領域(物理学、天文学、ナノテクな

ど)」「生命科学領域(生化学、分子生物学、海洋微生物学など)」「人文科学領域(比較法

歴史、人口統計学、社会科学など)」だ。この傘下に、マックス・プランク○○研究所とい

う 78 の研究所(○○は研究分野名)がある。

基本方針は、大学組織に合わない大規模研究、先端研究、学際研究を扱うことになって

いるが、まあすべての先端科学を扱うドイツ根幹の国立研究所群と考えていい。しかも、

大学と強く連携というより、一心同体に近い。

1948 年創立で、15 人のノーベル賞受賞者を輩出している。アメリカの科学アカデミー会

員に 30 人のドイツ人科学者がいるが、うち、21 人がマックス・プランク研究所の研究員で

ある。ドイツの全論文の 7%に相当する 12,500 報の論文を毎年出版している。ドイツから

の論文のうち、ネイチャー誌で 42%、サイエンス誌で 34%、セル誌で 34%を占める。ドイツ

最強の研究機関だ。

予算は 1900 億円(13 億ユーロ)で、その 84%は連邦政府と州政府からきている。

ミュンヘンのビール祭り会場:同席のおじさんと日本語(白楽)とドイツ語(おじさん)で友好的になる

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不肖・ハクラク、観光気分でミュンヘンの街をぶらぶら歩いていたら、たまたま、マッ

クス・プランク研究所の本部にでくわした。入口で写真を撮っていると、ドアから人が出

てきた。スッと中に入ったら、警備の人が飛んできた。外部の人は無断で入れない。事情

を説明し、研究所のパンフレットをくださいと伝えると、ナント、資料 12 点(含・本3冊)、

厚さにして 8cm をくれた。

ホテルの帰り点検すると、英語の資料をくれといったのに、英語は 2 つだけで他はド

イツ語だった。マッ、パリのピエール・マリー・キュリー大学よりましだ。ピエール・マ

リー・キュリー大学の受付で、「日本」からきたのだが「大学本部はどこですか?」と英語

で聞いたら、「日本学科」の場所を教えてくれた。これじゃ、漫才だよ。アハハハ。

表1.マックス・プランク研究所の全体像 国公私立 国立

所在地 郊外

研究所数 78

古さ ★☆☆ 1948 年創立

年間予算 ★★★ 1900 億円

年間論文数 ★★★ 12,500 報

参考:The Max Planck Society (2005 年 7 月) ・ 白楽の評価:☆☆☆小、★☆☆中、★★☆大、★★★特大

表2.マックス・プランク研究所の全体の雇用者数と女性の割合

人数(人) 女性の割合(%)

研究者数 4,113 23.7

(部長 269 4.5)

(上級科学者 158 21.5)

(若手グループ長 34 17.6)

(研究者 3,652 23.7)

職員数 6,008 59.7

(テクニシャン 3,405 44.8)

(事務 1,556 73.7)

(健康管理職 123 72.4)

(他 924 89.4)

パート 1,483 35.2

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実習生指導員 526 35.2

インターン 23 34.8

計 12,153 43.0

参考:Facts and Figures – The Max Planck Society (2005 年 7 月) 表3.マックス・プランク研究所の若手研究員と客員研究員

ドイツ人(人) 外国人(人) 計(人)

学部生 2,275 ― 2,275

学士 ― 93 93

博士院生 2,048 1,865 3,913

ポスドク 390 1,943 2,333

研究フェロー ― 964 964

客員研究員 295 548 843

計 5,008 5,413 10,421

参考:Facts and Figures – The Max Planck Society (2005 年 7 月) 写真:マックス・プランク研究所本部

写真:マックス・プランク研究所本部の入口 建物内部:きれい

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写真:マックス・プランク研究所本部がくれた資料(積むと厚さ 8cm!)

マックス・プランク生化学研究所 マックス・プランク生化学研究所は、ドイツ語で Max-Planck-Institut für Biochemie、

英語で Max Planck Institute for Biochemistry である。

マックス・プランク生化学研究所は、ミュンヘン市に隣接するマーチンスリード市にあ

る。ホントに隣接していて、前述したミュンヘン大学の生物学部Ⅱ、医学部、大学病院、

獣医学部があるグロースハーデルン(ミュンヘン市内)と一体という印象だ(写真)。この

地域は、今後、ドイツのバイオ研究拠点として大発展するだろう。

環境は、驚くほどの田舎(つまり、自然たっぷり)である。裏は森で手前は野原である。

32 年前にこの地に研究所を建てたというのが信じられない。平屋と 3~5階の近代的な建物

で、マックス・プランク神経生物学研究所と合わせて、20 数棟ある。日本の小規模大学の

広さだ。

行き方は、ミュンヘン市内から、地下鉄とバス代で約 310 円(2.20 ユーロ)、30 分~1時

間で行ける。地下鉄U6線の Klinikum Grosshadern 方面に乗り、グロースハーデルン

(Grosshardern)駅で下車。地上にでて、バス 266 番の Planegg 方面に乗り、5分ほどで、

バス停 Martinsried Max-Planck-Inst で下車する。徒歩 1分で研究所正面である。正面に

受付があり、訪問者プレートをもらう。自動車で行くのも便利だろう。駐車場に困るとは

思えない。

写真:マックス・プランク生化学研究所の場所(左下の矢印)(右上は、ミュンヘン大学・

グロースハーデルン・キャンパス(C)。中央の L 字的太線は市の境界線で右上はミュンヘ

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ン市、左と下はマーチンスリード市)

写真:マックス・プランク生化学研究所正面玄関のロゴ(マーチンスリードは地名。神

経生物学研究所も同じ場所にある)

写真:マックス・プランク生化学研究所正面玄関(緑が多くて建物が見にくい)

研究所のカフェ:シャレてる

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写真:マックス・プランク生化学研究所の研究棟

写真:マックス・プランク研究所前というバス停(まるで何もない)

写真:マックス・プランク研究所の前面(広い野原! 向こうは別の研究所)

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文献(省略)

注意

写真は、出典が示されていないのは、著者が

撮影したものです。記載した内容に、著者の誤解

や元データの間違いはあると思うが、十分な検証

をしておりません。そのことによる読者の不利益、

不都合に、著者は責任を負えません。また、文献

引用は徹底しておりませんが、不記載でも、盗用

の意図はありません。

友人の研究室:きれい

友人の実験室:きれい 友人の実験室:きれい