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鹿児島県の都市計画 46 Land Readjustment Project 市街地開発事業 ■ 土地区画整理事業 土地区画整理事業は,土地区画整理法に基づき,都市計画区域内において,道路,公園, 河川等の公共施設を整備し,土地の区画を整え宅地の利用増進を図る事業です。地権者か らその権利に応じて少しずつ土地を提供してもらい(減歩),この土地を道路・公園などの 公共用地が増える分に充てるほか,その一部を売却し事業資金の一部に充てて事業を行い ます。地権者にとっては,土地区画整理事業後の宅地の面積は,従前に比べ小さくなるも のの,都市計画道路や公園等の公共施設が整備され,土地の区画が整うことにより利用価 値の高い宅地が得られます。 ●土地区画整理事業のしくみ ◆換地:土地の再配置において,事業執行前の個々の土地の代わりに新しく置き換 えられた土地 ◆保留地:事業の施行により整備された宅地のうち,売却して事業費等に充当するため に施行者が確保する土地 ●地方単独費

Ⅵ 市街地開発事業 Land Readjustment Project 土地 …...Ⅵ 市街地開発事業 Land Readjustment Project 本県における土地区画整理事業の進捗状況 施行者

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鹿児島県の都市計画 46

Ⅵ Land Readjustment Project 市街地開発事業

■ 土地区画整理事業

土地区画整理事業は,土地区画整理法に基づき,都市計画区域内において,道路,公園,

河川等の公共施設を整備し,土地の区画を整え宅地の利用増進を図る事業です。地権者か

らその権利に応じて少しずつ土地を提供してもらい(減歩),この土地を道路・公園などの

公共用地が増える分に充てるほか,その一部を売却し事業資金の一部に充てて事業を行い

ます。地権者にとっては,土地区画整理事業後の宅地の面積は,従前に比べ小さくなるも

のの,都市計画道路や公園等の公共施設が整備され,土地の区画が整うことにより利用価

値の高い宅地が得られます。

●土地区画整理事業のしくみ

◆換地:土地の再配置において,事業執行前の個々の土地の代わりに新しく置き換

えられた土地

◆保留地:事業の施行により整備された宅地のうち,売却して事業費等に充当するため

に施行者が確保する土地

●地方単独費

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鹿児島県の都市計画 47

Ⅵ Land Readjustment Project 市街地開発事業

● 土地区画整理事業の特徴

宅地の有効活用

個々の施設整備事業で生じる不整形や

過小な残地が土地区画整理事業では生じ

ず,宅地の有効利用が図られます。

開発利益の享受

土地区画整理事業によって生じた利益

(公共施設の整備等)を地権者が平等に受

けることができます。

● 本県における土地区画整理事業の状況

施行者 大臣(注) 公共団体 組合 個人・共同 計

都市計画決定 21 94 1 - 116

面積(ha) 1,566.4 3,052.0 23.7 - 4,642.1

非決定 - - 40 10 50

面積(ha) - - 880.5 156.9 1,037.4

合計 21 94 41 10 166

面積(ha) 1,566.4 3,052.0 904.2 156.9 5,679.5

(H31.3.31現在)

(注)大臣施行とは,国の利害に重大な関係があり,災害の発生その他特別の事情により

土地区画整理事業の急施を要すると認められる場合に,国土交通省大臣,都道府県,

市町村が行うものをいいます。

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鹿児島県の都市計画 48

Ⅵ Land Readjustment Project 市街地開発事業

●本県における土地区画整理事業の進捗状況

施行者 大臣 公共団体 組合 個人・共同 計

換地処分済 21 73 38 10 142

面積(ha) 1,566.4 2,282.0 734.7 156.9 4,740.0

施行中 19 3 22

面積(ha) 710.3 169.5 879.8

区域決定済未着手 2 2

面積(ha) 59.7 59.7

合計 21 94 41 10 166

面積(ha) 1,566.4 3,052.0 904.2 156.9 5,679.5

(H31.3.31現在)

● 主な施行地区

吉野地区(鹿児島市)

浜之市地区(霧島市)

湯之元第一地区(日置市)

谷山駅周辺地区(鹿児島市)

天辰第一地区(薩摩川内市)

麓地区(いちき串木野市)

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鹿児島県の都市計画 49

Ⅵ Redevelopment Project 市街地開発事業

■ 市街地再開発事業

市街地再開発事業は,低層で老朽化した木造家屋等が密集した市街地の一体的・総合的

な整備を図るものであり,細分化された敷地を統合し,不燃化された共同建築物に建て替

えるとともに,公園,道路などの公共施設の整備と有効なオープンスペースの確保を行う

ものです。

この事業は,快適で安全な都市環境の整備,土地の高度利用を図る事業で,都市再開発

法に基づき行われ,権利変換方式による第1種事業と,用地買収方式による第2種事業と

があります。

● 市街地再開発事業のしくみ

・ 敷地を共同化し,高度利用することにより,道路等の公共施設用地を生み出します。

・ 従前の権利者の権利は,原則として等価で新しい再開発ビルの床(床と土地に関する権

利)に置き換わります。(権利床)

・ 土地の高度利用で新たに生み出された床(保留床)を処分(新しい居住者や営業者への

売却等)し事業費に充てます。

市街地再開発事業の効果として,次のような都市構造の改善効果があります。

① 土地の高度利用

細分化された敷地の統合,共同建築物の建築により,土地の合理的かつ健全な高度

利用が可能

② 道路等の公共施設の整備

密集市街地の整備改善により,公共施設面積の割合が増加

③ 住宅の供給

既成市街地に良好な住宅を供給し,地区内の住環境を改善

④ 防災性の向上

不燃共同建築物への建替えにより,防災性が向上

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鹿児島県の都市計画 50

Ⅵ Redevelopment Project 市街地開発事業

●本県における市街地再開発事業

本県においては,昭和 63年に鹿児島市に

おいて鹿児島県最初の法定再開発事業とし

て都市計画決定し,その後,平成 28年まで

に7地区,鹿屋市において平成 16年に1地

区決定しています。

区域名 市町村名 名称 面積 当初決定 最終決定

鹿 児 島 鹿児島市

西 鹿 児 島 駅 ※ 東 口

1 0 番 街 区 地 区 0.9ha S63.10.12 S63.10.12

西 鹿 児 島 駅 ※ 東 口

6 番 街 区 地 区 0.3ha H 9.12. 2 H 9.12. 2

中 央 町 2 2 番 街 区 地 区 0.2ha H18. 1.26 H19. 6.12

中 央 町 2 3 番 街 区 地 区 0.3ha H18. 1.26 H18. 1.26

小 川 町 2 1 番 街 区 地 区 0.3ha H 4. 4. 7 H 4. 4. 7

西千石町13番街区地区 0.5ha H12. 3.10 H12. 3.10

中央町19・20番街区地区 0.7ha H27.11.10 H27.11.10

千日町1・4番街区地区 1.0ha H28. 8.29 H28. 8.29

鹿 屋 鹿 屋 市 北 田 大 手 町 街 区 地 区 1.9ha H13. 3.23 H16. 1.15

※西鹿児島駅は鹿児島中央駅の旧称

北田大手町街区地区

中央町23番街区地区 中央町22番街区地区

街区地区

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Ⅶ Others そ の 他

鹿児島県の都市計画 51

■ 都市計画基礎調査

都市計画の決定・変更にあたっては,都市の現状,都市化の動向等についてできる限り広範囲なデータ

を把握し,これに基づいて総合的に判断する必要がありますが,都市は生き物であるといわれるように,

刻々と変化しています。このため,おおむね5年ごとに都市計画法に基づいて,人口,土地利用,建物,

都市施設などの現況や将来の見通しについて都市計画基礎調査を実施することになっています。

この結果は,市街化区域及び市街化調整区域との区分,用途地域等の都市計画の策定や見直しなどの基

礎資料として利用されています。(法第6条)

道路網現況図

建物用途別現況図

地区別人口密度現況図

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鹿児島県の都市計画 52

Ⅶ Others そ の 他

■ 街路交通調査

複雑で多様な都市問題を解決し,円滑な

都市機能を確保していくためには,都市に

おける総合的な都市交通計画を策定し,こ

れに基づいて街路等の都市交通施設整備を

進める必要があります。この総合的な都市

交通計画の策定のために,街路交通調査を

実施しています。

なお,近年本県において行われた街路交

通調査は,右のとおりです。

●パーソントリップ調査

パーソントリップ調査とは、「人(パーソ

ン)の動き」に着目し、「どのような人が」

「いつ」「何のために」「どこからどこへ」

「どのような交通手段で」動いたか(トリ

ップ)を調べ、交通の現況を把握するもの

です。

この調査により,都市圏内の交通実態を

把握して,さらに総合都市交通体系調査を

行うことで,都市圏の将来の交通計画を策

定します。

本県においては,鹿児島市を中心とする

鹿児島都市圏において,昭和 49年から昭和

51年と,平成2年から平成4年の2回実施

しています。

調査名 対象都市 調査年度

パーソントリップ 調査

鹿児島都市圏 1市8町

S49~ S51

自動車OD調査 鹿屋市 S52

総合都市交通体系

調査 鹿児島市 S52

総合都市交通体系 調査

鹿屋市 S54

都市モノレール等 調査

鹿児島市 S53~

S55

自動車OD調査 霧島市

(旧国分市,旧隼人町) S60

総合都市交通体系 調査

霧島市 (旧国分市,旧隼人町)

S61~ S62

駐車場整備計画調査 鹿児島市 S63

パーソントリップ

調査

鹿児島都市圏

1市3町 H2~H4

まちづくり 交通計画調査

姶良市 (旧加治木町)

H5

街路網整備計画 策定調査

鹿児島市 H7~H8

交通マスタープラン

策定

奄美市

(旧名瀬市) H9

駐車施設整備に関する基本計画策定調査

鹿児島市 H11

鹿児島市交通実態 調査

鹿児島市 H11

鹿児島市駐車場整備

計画策定調査 鹿児島市

H11~

H12

鹿児島市谷山副都心地区総合都市交通施設整備計画策定調査

鹿児島市 H12~

H13

人にやさしいまちづくり関する基本計画策定調査

薩摩川内市

(旧川内市) H12

鹿児島駅周辺地区 総合都市交通調査

鹿児島市 H14

鹿児島市路面電車延

伸可能性検討調査 鹿児島市 H15

全国都市交通 特性調査

鹿児島市, 東串良町

H17

全国都市交通 特性調査

鹿児島市 H22 ・H27

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Ⅶ Others そ の 他

鹿児島県の都市計画 53

■ 都市景観

都市,農山漁村等における良好な景観の形成を図るため,景観法においては,良好な景観の形成に関す

る基本理念及び地方公共団体や住民等の責務を定めるとともに,景観計画の策定,景観計画区域,景観地

区等における良好な景観の形成のための規制等所要の措置についても定められています。

景観法は,我が国で初めての景観に関する総合的な法律です。

本県においては,平成 31年3月 31日現在,景観行政団体数が 41市町村で,うち鹿児島市,出水市,霧

島市,薩摩川内市及び屋久島町において景観計画を策定しています。

●景観法の主な概要

景観計画制度

景観計画の策定 景観行政団体(県及び県下 41市町村(H31.3.31現在))が策定する。また,住

民等は景観計画の提案をすることができる。

景観計画には,①景観計画区域②良好な景観の形成のための行為の制限に関す

る事項③景観重要建造物又は景観重要樹木の指定の方針④屋外広告物の表示

等に関する行為の制限に関する事項等⑤その他 を定める。

景観計画区域における行

為の規制

景観計画区域内の建築物等の建築に関して届出・勧告による規制を行うととも

に,景観行政団体の長は,必要な場合に建築物等の形態又は色彩その他の意匠

(形態意匠)に関する変更命令を出すことができる。

景観地区制度

景観地区の指定 ・ 市町村は,市街地の良好な景観を形成するため,都市計画に,建築物の形

態意匠の制限等を定める景観地区を定めることができる。

・ 景観地区内で建築物の建築等をしようとする者は,当該建築物の形態意匠

が景観地区の都市計画で定める建築物の形態意匠の制限に適合することに

ついて,市町村長の認定を受けなければならない。

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Ⅶ Others そ の 他

鹿児島県の都市計画 54

かごしま・人・まち・デザイン賞

県内の良好な景観の形成に特に功績があった方々を表彰することにより,県民の皆様方の良好な

景観形成に対する認識を高めていただき,個性豊かで魅力あふれる景観の形成を推進することを目的

に,「かごしま・人・まち・デザイン賞」を平成 25年度に創設しました。

本賞には「自然・歴史的景観部門」と「現代まちなみ部門」の2つの部門があり,第 6回となる平

成 30年度は自薦・他薦を含め,現代まちなみ部門には 21件と多くの応募がありました。

二次審査に 9件が残り,審査の結果,大賞には,施設の蔵に,アルコールに起因する黒カビ防止を

考慮したシルバーと黒を用いたものと暖かみがあるベルギー産レンガで人を迎えるということを考慮

した 2種類がある「新平酒造株式会社」(大崎町)が選出されました。

また,インターネット又は,展示による投票において,県民に愛着のある景観として得票数の多い

ものをネット大賞として「黒之瀬戸だんだん市場」(長島町)が選出されました。

選外となったものの中にも,周辺景観に配慮した施設や地域の特色を生かした施設などが見られ,

今後,県内各地に特徴ある素晴らしい都市景観が形成されていくことが期待されます。

本賞が魅力ある都市景観形成の一助となるよう引き続き取組を行って参りますので,皆様のご

支援・ご協力をお願いします。

■審査委員(敬称略・50音順)

木方 十根 鹿児島大学大学院 教授

国吉 直行 横浜市立大学 特別契約教授

友清 貴和 鹿児島大学 名誉教授

西 みやび 西みやび事務所 代表

浜本 奈鼓 NPO 法人くすの木自然館 代表理事

現代まちなみ部門 大賞「新平酒造株式会社」

ネット大賞「黒瀬戸だんだん市場」

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鹿児島県の都市計画 55

Ⅶ Others そ の 他

■ 屋外広告物

屋外広告物は,身近な情報媒体として有

益なものですが,設置されるがままにして

おくと,まちの景観を損なうばかりでなく,

設置,管理の不十分さから公衆に危害を与

えることも予想されます。

このため,県では良好な景観の形成若し

くは風致の維持,公衆に対する危害の防止

を目的として,屋外広告物条例を定め,そ

の設置場所や大きさ,色彩など必要な規制

を次のように定めています。

① 著しく汚染し,退色し,または破損した

ものなどは,禁止広告物として,いかな

る場合にも表示等を禁止しています。

② 第一種・第二種低層住居専用地域,第一

種・第二種中高層住居専用地域,景観地

区,風致地区,都市公園,空港,港湾,

駅前広場並びに道路及び鉄道に接続す

る地域で,知事が指定する区域などを禁

止地域として定め,屋外広告物の表示等

を禁止しています。

③ 橋りょう,石垣,街路樹などを禁止物件

として定め,屋外広告物の表示等を禁止

しているほか,電柱類については,はり

紙,はり札又は立看板の表示等を禁止し

ています。

④ 県内 17市 20町 4村及び知事が指定する

道路の区間等を制限地域として定め,屋

外広告物を表示等する場合は,表示等し

ようとする場所を管轄する市町村長の

許可を要することとしています。

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鹿児島県の都市計画 56

Ⅶ Others そ の 他

制限地域

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Ⅶ Others そ の 他

鹿児島県の都市計画 57

■ 土地利用基本計画

土地利用基本計画は,都道府県が当該都道府県の区域を,都市地域,農業地域,森林地域,自然公園地

域及び自然保全地域の5つの地域に区分し,都市計画法等の個別規制法に基づく諸計画に対する上位計画

として行政部内の総合調整機能を果たすものです。

都市計画区域は,都市地域に含まれるものであり,一体の都市として総合的に開発し,整備し,及び保

全する必要がある地域です。都市計画区域を変更する場合は,下表の調整方針により,必要に応じて土地

利用計画の変更を行います。

【凡例】 ×:制度上又は,実態上,一部の例外を除いて重複のないもの ←:相互に重複している場合は,矢印方向の土地利用を優先するものとする。 ○:相互に重複している場合は,両地域が両立するよう調整を図るものとする。 ①:土地利用の現況に留意しつつ,農業上の利用との調整を図りながら,都市的な利用を認めるものとする。 ②:原則として,都市的な利用を優先するが,緑地としての森林の保全に努めるものとする。 ③:森林としての利用の現況に留意しつつ,森林としての利用との調整を図りながら,都市的な利用を認めるものとする。 ④:原則として,農用地としての利用を優先するものとするが,農業上の利用との調整を図りながら,森林としての利用を認めるものとする。

⑤:森林としての利用を優先するものとするが,森林としての利用との調整を図りながら,農業上の利用を認めるものとする。 ⑥:自然公園としての保護及び利用との調整を図りながら,農業上の利用を認めるものとする。 ⑦:自然公園としての機能をできる限り維持するよう調整を図りながら,都市的利用を図っていくものとする。

5地域区分 都市地域 農業地域 森林地域 自然公園地域 自然保全地域

5地

域区

市街化区域及

び用途地域

調

区域

その他

農用地区域

その他

保安林

その他

特別地域

普通地域

原生自然環境

保全地域

特別地区

普通地区

都市

地域

市街化区域及び用途地域

市街化調整 区域

×

その他 × ×

農業

地域

農用地区域 × ← ←

その他 × ① ① ×

森林

地域

保安林 × ← ← × ←

その他 ② ③ ③ ④ ⑤ ×

自然

公園

地域

特別地域 × ← ← ⑥ ← ○ ○

普通地域 ⑦ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ×

自然

保全

地域

原生自然環 境保全地域 × × × × × × ○ × ×

特別地区 × × × ← ← ○ ○ × × ×

普通地区 × × × ○ ○ ○ ○ × × × ×

細区分

細区分

(参考)5地域区分の重複する地域の土地利用の調整方針

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Ⅶ Others そ の 他

鹿児島県の都市計画 58

■ 都市計画提案制度

都市づくりへの関心が高まる中で,その手段としての都市計画制度に対する関心が高まっており,まち

づくり協議会等の地域住民が主体となった都市づくりに関する取組が多く行われるようになりました。こ

のような動きをふまえて,地域の都市づくりに対する取組を今後の都市計画行政に積極的に取り込んでい

くために,住民又はまちづくり団体からの都市計画の提案に係る手続が,平成 14年の都市計画法改正によ

り都市計画の制度として創設されました。

●制度の概要

項目 内容

都市計画の提案主体 ① 都市計画区域又は準都市計画区域内の土地所有者等(一人で,又は数人共同して)

② まちづくり活動を行うNPO,公益法人等

提案できる都市計画 県が定める「都市計画区域マスタープラン」,「都市再開発方針等」を除く全ての

都市計画が対象となります。

提案に必要な要件 ① 提案に係る土地の区域が,0.5ha以上の一体的な一団の土地であること。

② 提案に係る都市計画の素案が,都市計画区域マスタープラン等の都市計画に関

する基準に適合していること。

③ 提案に係る土地の関係権利者の 3分の 2以上(人数と面積)の同意があること

提案に必要な書類 ① 提案書 ④計画提案を行うことができることを証する書類

② 都市計画の素案

③ 土地所有者等の同意書

提案に関する県,市町村の判断 県,市町村は,提案後,遅滞なく都市計画決定・変更の必要性を判断し,必要性

があるときは,都市計画の案を作成します。

提案を踏まえた都市計画の案

の県審議会等への付議

県,市町村は,都市計画決定・変更において,県都市計画審議会に,都市計画の

案とあわせて都市計画の素案を提出します。

都市計画決定をしない場合の

措置

県,市町村は,都市計画決定・変更の必要がないと判断した場合,遅滞なく,県

審議会の意見を聞いた上で,判断した旨及びその理由を,提案者に通知します。

●手続きのフロー

県,市町村は提案に基づく都市計画の決定の可否を判断

都市計画を決定する必要がある 都市計画を決定する必要がない

公聴会の開催,都市計画の案の作成 都市計画審議会に提案を提出

し,意見を聴く

都市計画の案及び素案を県都市計画審議会へ付議

都市計画の決定 都市計画を決定せず

都市計画の決定をしない理由を提案者に通知

都市計画の案の公告・縦覧

土地所有者,まちづくりNPO,まちづくり協議会等による都市計画の提案

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鹿児島県の都市計画 59

Ⅶ Others そ の 他

■ 環境影響評価とは

環境影響評価(環境アセスメント・環境アセスともいいます。)とは,開発事業の内容を

決定するにあたってそれが環境にどのような影響を及ぼすかについて,調査,予測,評価

を行い,その結果を公表して,住民,地方公共団体などが意見を出し合い,それらを踏ま

えて環境の保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていこうという制度です。

環境影響評価法及び鹿児島県環境影響評価条例に規定される対象事業が県が定める都市

計画に該当する場合は,事業者に代わって県が環境影響評価の手続きを都市計画の決定若

しくは変更の手続きと併せて行います。

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鹿児島県の都市計画 60

Ⅶ Others そ の 他

●手続きの概要

環境影響評価の手続きは,大きく分けると ①環境影響評価方法の決定 ②環境影響評価

結果の確定 ③環境影響評価を事業へ反映 という流れで進んでいきます。

なお,環境影響評価法が平成 23年4月に一部改正され,事業の早期段階における環境配

慮を図るため,特に大規模な事業(第1種事業)においては,方法書作成前に,配慮書の手

続を行うことになりました。

また,都市計画の手続きは,環境影響評価の手続きと並行して進めていきます。例えば,

環境影響評価準備書と都市計画の案の公告・縦覧及び環境影響評価書の公告・縦覧と都市

計画決定図書の告示・縦覧は同時に行うこととなります。

(環境影響評価法第 40条第2項)

<手続の概要フロー>

① 環境影響評価方法の決定

地域によって環境に対して重要視すべき点が異なるため,環境影響評価をより地域にあ

ったものとするために,「環境影響評価方法書」を作成し,調査,予測,評価の方法を地域

の特徴に配慮して決定します。

方法書は1ヶ月間縦覧し,提出された意見や地方公共団体の意見を踏まえ,調査,予測,

評価の方法を決定します。

② 環境影響評価結果の確定

実施した環境影響評価の結果や環境保全措置等の案を記載した「環境影響評価準備書」

を作成します。準備書には環境影響評価の結果を踏まえた事業の計画も示されます。準備

書も方法書と同じ期間の縦覧と意見の受付を行います。このほかに縦覧期間中に説明会を

開催します。縦覧後,提出された意見をよく検討し,準備書の内容を見直した「環境影響

評価書」を作成します。

③ 環境影響評価を事業へ反映

最終的な評価書を作成したことを公告し,初めて事業が実施されます。事業者は評価書に

記載されている環境保全措置について,適切な配慮をして事業を実施することが義務づけ

られます。

事業計画よりよい事業計画

方法書 準備書 評価書意見 意見

行政住民

行政住民

事業者 事業者配慮書

事業計画よりよい事業計画

方法書 準備書 評価書意見 意見

行政住民

行政住民

事業者 事業者配慮書配慮書

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鹿児島県の都市計画 61

Ⅶ Others そ の 他

●環境影響評価の対象事業(都市計画関連のみ抜粋)

対象事業 環境影響評価法 鹿児島県環境影響評価条例

第一種事業※1 第二種事業※2 一般地域※3 特定地域※4

高速自動車国道 すべて - - -

一般国道 4車線以上

10km以上

4車線以上

7.5km~10km

4車線以上

6km以上

4車線以上

4km以上

県道・市町村道 - - 4車線 6km以上 4車線 4km以上

新幹線鉄道 すべて - - -

普通鉄道 10km以上 7.5km~10km 5km以上 3km以上

新設軌道 10km以上 7.5km~10km 5km以上 3km以上

廃棄物最終処分場 埋立処分場所

30ha以上

埋立処分場所

25ha~30ha

埋立処分場所

10ha以上

埋立処分場所

8ha以上

土地区画整理事業 100ha以上 75ha~100ha 40ha以上 30ha以上

新住宅市街地開発事業 100ha以上 75ha~100ha 40ha以上 30ha以上

流通業務団地造成 100ha以上 75ha~100ha 40ha以上 30ha以上

工業団地造成 100ha以上 75ha~100ha 40ha以上 30ha以上

流通業務団地造成事業 100ha以上 75ha~100ha 40ha以上 30ha以上

※1 規模が大きく,環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業として,環境影響評価その他

の手続きを必ず行わなければなりません。

※2 第一種事業に準ずる規模を持つ事業に対しては,アセスメントが必要かどうかを個別に判断します。

※3 特定地域以外の地域のことです。

※4 国立公園特別地域など,自然環境等の保全上,特に配慮が必要な地域をいいます。

●環境影響評価対象事業(平成30年3月 31日現在)

① 手続き済みの環境影響評価法対象事業

事業名 規模 事業者 決定権者 関係市町村 告示日 備考

都市計画道路 阿久根川内線

4車線

約 10.2km

国土交通省

九州地方整備局 鹿児島県 薩摩川内市 H17.12.9

南九州西回り自動車道

(薩摩川内水引 IC

~薩摩川内都 IC)

都市計画道路 出水阿久根線

4車線

約 26.8km

国土交通省

九州地方整備局 鹿児島県

出水市

阿久根市 H17.12.9

南九州西回り自動車道

(熊本県境~阿久根 IC)

都市計画道路 阿久根薩摩川内線

4車線

約 18km

国土交通省

九州地方整備局 鹿児島県

薩摩川内市

阿久根市 H26.7.29

南九州西回り自動車道

(西目 IC

~薩摩川内水引 IC)

② 手続き済みの鹿児島県環境影響評価条例対象事業

事業名 規模 事業者 決定権者 関係市町村 告示日 備考

吉野第二地区 土地区画整理事業

約 66.5ha 鹿児島市 鹿児島市 鹿児島市 H26.2.25

天辰第二地区 土地区画整理事業

約 52ha 薩摩川内市 薩摩川内市 薩摩川内市 H27.8.21

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