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AB123-56ocrcn.or.jp/files/8115/1435/1302/2013_Mock_Protocol_… · Web viewAB123はDDウイルスの治療薬として開発中である。現在本邦で販売されているDDウイルス治療薬には、TAISYO

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AB123-56

本ツールは、大阪医薬品協会治験推進研究会が作成した「アンケート結果を基にした治験実施計画書作成の手引き」」(資料No.研究1003)(2010年3月発行)を 一部改編したもので、この著作権は大阪医薬品協会にあります。

DDウイルス罹患患者を対象としたAB123の第Ⅲ相臨床試験(AB123-56)

【記載の手引き】

被験薬名、疾患名/領域名、治験デザイン等、治験内容が明確となる標題を記載する。

【参考】

答申GCP10-1 1)

ICH-E3-1 標題ページ

治験実施計画書

【記載の手引き】

最新版の作成の日付及び版数の表示のみでもよい。

【参考】

答申GCP10-1 1)

治験番号:AB123-56

版数:第3版

治験依頼者名:大阪医薬品製薬株式会社

作成日:2011年10月1日

改訂日:2012年10月1日

改訂日:2013年 3月 1日

【記載の手引き】

治験依頼者の事前の同意なく、第三者に開示しないよう注意喚起する。

~秘密保全~

本文書は、医療機関の長、治験責任医師、治験分担医師(以後、治験責任医師等)、治験協力者、治験審査委員会及び治験薬管理者に限定して提供しています。そのため、本文中の内容を公表又は第三者に開示する場合には、事前に大阪医薬品製薬株式会社の同意を得るようお願いいたします。コピー等による本治験実施計画書の複製を禁止します。

4

【記載の手引き】

対象疾患について、医薬品医療機器総合機構が評価ガイドラインを発行している場合はそれを参考にすることが可能である。また、承認されている類薬がある場合は、CTD 2.7.6 治験実施計画書のシノプシスを参考にすることが可能である(いずれも医薬品医療機器総合機構のホームページから閲覧可能)。

【参考】

ICH-E3-2 概要

治験実施計画の要約

目的

DDウイルス罹患患者を対象とし、被験薬(AB123)又は対照薬(TAISYOⓇ)を5日間投与し、ウイルス力価の変化量について非劣性の検証を行うとともに、安全性についても比較検討する。

治験デザイン

多施設共同、無作為化、実薬対照、二重盲検並行群間比較試験

対 象

DDウイルス罹患患者

選択基準

自由意思による治験参加の同意を本人から文書で取得可能な患者

同意取得時の年齢が20歳以上80歳未満の患者

性別:不問

入院・外来:不問

38.0℃以上の発熱(腋窩温)がある患者

迅速診断キットDDで陽性の患者

初回治験薬投与予定時刻が発症*から48時間以内である患者

*発症の定義:被験者自身が平熱から少なくとも1℃以上上昇したことを認識した時

除外基準

1. 登録時に、高度な心疾患[心不全、心筋梗塞、心筋炎]、肝疾患[肝不全症状(劇症肝炎)、肝硬変、肝腫瘍]、腎疾患[ネフローゼ症候群、腎不全(急性及び慢性)、尿毒症、水腎症]、悪性腫瘍及び免疫不全を合併症として有する患者(既往歴の場合は可能)

抗ウイルス薬に起因すると考えられる、アレルギーや重篤な副作用が過去に発症(発現)していたことが診療録あるいは問診より確認された患者

クマリン系抗凝固薬を登録7日前以降に服用したことがある患者

DDウイルス以外が原因と思われる症状(咳、痰、鼻水)の臨床所見がある患者

細菌感染由来(例:白血球数の上昇や膿のある痰や鼻水がでている)と思われる臨床所見がある患者

登録前に妊娠検査キット(尿中hCG)で妊娠の可能性が否定できなかった女性、治験期間中に避妊を行えない女性、妊婦及び授乳中の女性

同意取得時の4週間以内に200mL、男性で12週間以内に400mL、女性で16週間以内に400mLの採血を受けた患者

同意取得時の180日以内に治験薬(製造販売後臨床試験薬)の投与を受けた患者

TdP(Torsades de pointes)に対するリスク因子の既往のある患者(心不全、低カリウム血症、QT延長症候群の家族病歴(父母・兄弟姉妹・子))

その他、治験責任医師等が本治験の対象として不適当と判断した患者

治験薬

(1) 被験薬:AB123

1) AB123 5mg錠:1錠中XXを5.0mg含有する白色の錠剤

2) AB123 プラセボ錠:XXを含有せず、AB123 5mg錠と外観上識別不能な白色の錠剤

(2) 対照薬:TAISYOⓇ

1) TAISYOⓇ 5mgカプセル:1カプセル中YYを5.0mg含有する青色のカプセル剤

2) TAISYOⓇ プラセボカプセル:YYを含有せず、TAISYOⓇ 5mgカプセルと外観上識別不能な青色のカプセル剤

投与量・投与方法

以下のようなダブルダミーを用いた治験薬のセット (1) 又は (2) を経口投与する。

(1) AB123投 与 群:AB123 5mg錠 1回1錠、1日2回(朝、夕)食後

          TAISYOⓇ プラセボカプセル 1回1カプセル、1日2回(朝、夕)食後

(2) TAISYOⓇ投与群:TAISYOⓇ 5mgカプセル 1回1カプセル、1日2回(朝、夕)食後

AB123 プラセボ錠 1回1錠、1日2回(朝、夕)食後

治験薬( (1) AB123 5mg錠を1錠+TAISYOⓇプラセボカプセルを1カプセル又は (2) TAISYOⓇ 5mgカプセルを1カプセル+AB123プラセボ錠を1錠)を1日2回(朝、夕)食後30分以内に服用する。食事の時間は、投与期間を通じて朝・夕それぞれ1時間以内の誤差範囲とする。服用にあたっては、いずれもコップ1杯の水(約200mL)で服薬し、服薬後30分間は飲食物の摂取を禁止する。治験薬は噛んだり、つぶしたりせず、そのままの形で服用する。

投与期間

5日間

治験スケジュール

時期

スクリーニング

Visit 1

Visit 2

Visit 3(終了時)

中止時

試験日(許容範囲)

1日目

3日目

4,5日目

8日目(-2,+1)

(+3)

投与前

投与後

同意取得

診察

被験者特性の調査

迅速診断キットDD

血清抗体価検査

登録

治験薬投与

←1日2回、5日間(1~5日目)→

ウイルス検査(鼻腔,咽頭ぬぐい液)

患者日誌a)

体温測定

←1日4回→(1~3日目)

←1日2回→(4~8日目)

●c)

DDウイルス罹患症状重症度の評価

←1日2回(1~8日目)→

臨床検査

バイタルサイン

心電図検査

妊娠検査b)(尿中hCG)

有害事象

← ● →

●:実施 ■:女性のみ実施

a) スクリーニング時は、治験責任医師等あるいは治験協力者が被験者に記載方法を説明の上、記載させる。1日4回の評価日は朝(起床後から9時まで)、昼(11時から14時まで)、夕(17時から20時まで)、夜(21時以降)、1日2回の評価日は朝(起床後から9時まで)、夕(17時から20時まで)に記録させる。Visit 2以降は、治験責任医師等あるいは治験協力者が記載状況を確認し、記載済みの日記を回収する。

b) スクリーニング時及び最終観察時(Visit 3又は中止時)に女性のみ実施する。閉経後12ヵ月経過している場合、月経中の場合及び子宮又は両卵巣を摘出している場合は実施しなくてもよい。

c) 中止時点まで体温測定を実施する。

観察・検査項目

被験者特性の調査(性別、生年月日、身長、体重、迅速診断キットDD、血清抗体価検査)

診察

有効性の評価(ウイルス検査、患者日誌(体温、DDウイルス罹患症状(咳、痰、鼻水)重症度))

安全性の評価(臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査)、バイタルサイン、心電図検査(12誘導)、有害事象)

治験薬投与状況の確認

妊娠検査

有効性評価項目

1. 主要評価項目

試験8日目のDDウイルス力価の変化量

副次的評価項目

37.0℃未満(腋窩温)に回復するまでの時間

投与開始24、36、48、96時間後のDDウイルス罹患症状(咳、痰、鼻水)重症度 合計スコアの投与前からの変化量

安全性評価項目

(1) 臨床検査

1) 血液学的検査

白血球数、白血球分画(好塩基球、好酸球、好中球、リンパ球、単球)、

赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値、血小板数

2) 血液生化学的検査

AST、ALT、ALP、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、総コレステロール、

中性脂肪、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総ビリルビン、CPK、CRP

3) 尿検査

尿定性(蛋白、糖、ウロビリノーゲン、潜血)

1. バイタルサイン

心電図検査(12誘導)

有害事象

目標症例数

200例

AB123  投与群 :100例(最低必要症例数 90例)

TAISYOⓇ投与群 :100例(最低必要症例数 90例)

治験実施予定期間

2011年11月~2014年3月(被験者登録期間2011年11月1日~2014年3月23日)

【記載の手引き】

治験実施計画書中に記載している専門用語等、定義付けが必要なものを記載する。

【参考】

ICH-E3-4 略号及び用語の定義一覧

略号及び用語の定義一覧

用語

英語表記

定義一覧

CRO

Contract Research Organization

開発業務受託機関

FAS

Full Analysis Set

最大の解析対象集団

GCP

Good Clinical Practice

医薬品の臨床試験の実施の基準

hCG

Human chorionic gonadotropin

ヒト絨毛性ゴナドトロピン:

妊娠ホルモン

MedDRA

the Medical Dictionary for Regulatory Activities

ICH国際医薬用語集

PPS

Per Protocol Set

治験実施計画書適合集団

【参考】

ICH-E3-3 目次

1. 目次

1.目次1

2.治験実施計画の経緯5

2.1背景5

2.2非臨床試験の要約5

2.2.1薬効薬理試験5

2.2.2安全性薬理試験5

2.2.3薬物動態試験5

2.2.4毒性試験6

2.3臨床試験の要約6

2.3.1臨床薬理試験6

2.3.2探索的試験6

2.3.3検証的試験6

2.3.4本試験を計画することになった経緯6

2.4海外での開発状況6

2.5本治験実施の妥当性6

3.治験の目的7

3.1治験の目的7

4.治験デザイン7

4.1治験薬の名称等7

4.2成分・含量及び剤型7

4.3治験デザイン8

4.4比較方法8

4.5群の構成8

4.6用法・用量8

4.6.1投与量及び投与方法9

4.6.2治験薬の増量、減量、休薬、中止基準10

4.7治験薬投与状況の確認10

4.8目標症例数10

4.9治験デザインの設定根拠10

4.10治験実施期間11

5.被験者の選択11

5.1対象疾患/症状11

5.2選択基準11

5.3除外基準13

6.被験者の同意取得の時期と方法14

6.1同意取得の時期14

6.2同意取得の方法15

7.被験者の登録15

7.1被験者スクリーニング名簿及び被験者登録名簿の作成15

7.2登録手順15

7.3治験薬割付表の作成、盲検化の方法及び盲検性の維持16

7.3.1治験薬割付表とエマージェンシーキーの保管16

7.3.2開鍵手続き17

7.3.3治験中の開鍵手続き17

8.治験薬17

8.1投与群、包装形態及び表示18

8.1.1投与群及び包装形態18

8.1.2表示18

8.2治験薬の管理18

8.2.1貯法19

8.2.2有効期間19

8.2.3交付19

8.2.4保管・管理19

8.2.5回収19

9.併用薬及び併用療法20

9.1併用禁止薬・療法20

9.2併用制限薬・療法20

10.評価項目21

10.1有効性の主要評価項目21

10.2有効性の副次的評価項目21

10.3安全性の評価項目22

11.調査・観察項目及び実施時期22

11.1治験スケジュール22

11.2被験者特性の調査(背景因子)24

11.3診察24

11.4有効性の評価24

11.4.1ウイルス検査24

11.4.2患者日誌(体温、DDウイルス罹患症状(咳、痰、鼻水)重症度)24

11.5安全性の評価25

11.5.1臨床検査26

11.5.2バイタルサイン26

11.5.3心電図検査(12誘導)27

11.5.4有害事象27

11.6妊娠検査28

12.中止基準と手順28

12.1中止基準と設定根拠28

12.2中止手順29

13.被験者の安全性の確保30

13.1有害事象発現時の対応30

13.1.1重篤な有害事象の定義30

13.1.2有害事象発現時の処置30

13.1.3妊娠31

13.2予想される副作用31

13.2.1予想される副作用31

13.2.2安全性の確保33

14.治験実施計画書の遵守、逸脱又は変更並びに改訂33

14.1治験実施計画書の遵守33

14.2治験実施計画書の逸脱又は変更33

14.3治験実施計画書の改訂34

15.治験の終了又は中止及び中断34

15.1治験の終了35

15.2治験の中止又は中断35

16.症例報告書36

16.1本治験で用いる症例報告書の様式36

16.2作成の手順36

16.3症例報告書中の記載内容を原資料とすべき項目の特定36

16.4症例報告書作成上の注意36

17.原資料等の直接閲覧37

17.1原資料の特定37

17.2直接閲覧の方法37

18.統計解析37

18.1目標症例数37

18.1.1症例数設定根拠38

18.2症例固定38

18.3解析対象集団38

18.3.1症例の取扱い39

18.3.2データの取扱い39

18.4統計解析計画39

18.4.1人口統計学的データ40

18.4.2有効性の解析40

18.4.3安全性の解析41

19.治験の品質管理及び品質保証41

19.1品質管理41

19.2品質保証42

20.治験の倫理的実施42

20.1GCPの遵守42

20.2説明文書42

20.2.1説明文書の作成42

20.2.2説明文書に記載すべき内容43

20.2.3同意取得に関する留意事項43

20.2.4同意取得の方法44

20.2.5同意説明文書の改訂45

20.3治験審査委員会45

20.3.1治験実施の審査45

20.3.2治験の継続審査46

20.4被験者の人権保護に関する事項46

21.記録等の保存46

22.金銭の支払い及び保険47

22.1健康被害補償及び保険47

23.公表に関する取決め48

24.治験実施体制48

24.1治験依頼者48

24.1.1治験依頼者49

24.1.2治験実施統括責任者49

24.1.3医学専門家49

24.1.4治験実施担当者(モニター)49

24.1.5統計解析責任者49

24.1.6データマネジメント責任者50

24.1.7緊急連絡先50

24.2業務委託先50

24.2.1臨床検査測定実施施設50

24.2.2治験薬割付責任者50

24.2.3症例登録センター51

24.3治験調整医師51

24.4実施医療機関及び治験責任医師51

25.参考文献51

分冊1.治験実施責任者(モニター責任者)

分冊2.実施医療機関及び治験責任医師一覧

治験実施計画の経緯

【記載の手引き】

治験を計画するに至った経緯、非臨床試験の要約、導入品であればどこの国(会社)から導入したものかを記載する。また、国内外での臨床試験成績がある場合には記載し、それらの試験成績をもとに予期される副作用及び安全性等を記載する。

【参考】

答申GCP10-2 背景情報

治験薬概要書

添付文書

インタビューフォーム

非臨床試験の要約

規制当局との相談記録

背景

【記載の手引き】

開発に至った経緯、導入品であればどこの国(会社)から導入したものか、海外での開発状況等を記載する。また、先行する試験がある場合には、その試験名や実施時期、当該試験が治験相談等を受けている場合にはその時期等を併せて記載する。

【参考】

治験薬概要書

添付文書

インタビューフォーム

非臨床試験の要約

規制当局との相談記録

非臨床試験の要約

【記載の手引き】

物理学的性質、薬理、毒性及び薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)の要約を記載する。なお、個別に記載せず、非臨床試験から得られた臨床的に重要な所見の要約としてまとめて記載してもよい。

【参考】

GCP第5条 毒性試験等の実施

答申GCP3-4

治験薬概要書

添付文書

インタビューフォーム

薬効薬理試験安全性薬理試験薬物動態試験

1. 吸収

分布

代謝

排泄

毒性試験

臨床試験の要約

【記載の手引き】

前相までの臨床試験成績や臨床的に重要な試験の要約(目的、デザイン、安全性・有効性の成績、参照したガイドライン等)を記載する。また、海外での試験成績や、先行する試験がある場合にはその試験成績をもとに予期される副作用及び安全性、被験者の利益等を具体的に記載する。

【参考】

答申GCP3-4

治験薬概要書

文献

臨床試験成績

臨床薬理試験

1. 目的、デザイン

被験者数

安全性の成績(有害事象、臨床試験や類薬から予期される副作用)

薬物動態

有効性の成績

参照したガイドライン

探索的試験検証的試験本試験を計画することになった経緯

海外での開発状況

1. 開発国

承認国

販売状況

本治験実施の妥当性

【記載の手引き】

当該治験開始までに実施された国内外の臨床試験成績、治験薬の開発によってもたらされる被験者の利益等をふまえ、本治験の実施を科学的及び倫理的に正当と判断する理由を記載する。

【参考】

答申GCP3-5

答申GCP8-1-4-1

治験の目的

【参考】

GCP第7条第1項5)

答申GCP10-3 治験の目的

ICH-E3-8 治験の目的

治験の目的

【記載の手引き】

対象者(疾患名/領域名)及び試験方法(試験デザイン、投与期間等)、検討項目(主要評価項目等)を盛り込み、明確に記載する。

【参考】

ICH-E8-3.2.1 目的

DDウイルス罹患患者を対象とし、被験薬(AB123)又は対照薬(TAISYOⓇ)を二重盲検並行群間比較試験により5日間投与する。主要評価項目として、ウイルス力価の変化量について非劣性の検証を行う。また、安全性についても比較検討する。

治験デザイン治験薬の名称等

【記載の手引き】

比較試験の場合は、対照薬についても記載する。

一般名及び化学名については、治験薬概要書に記載されるため、省略も可能である。

一般名を記載する場合、JAN(Japanese Accepted Name)を記載する。

【参考】

答申GCP10-2 1)

1. 被験薬

被験薬名:AB123

一般名:XX

化学名:○○○○○

1. 対照薬

対照薬名:TAISYOⓇ

一般名:YY

化学名:△△△△△

成分・含量及び剤型

【記載の手引き】

比較試験の場合は、対照薬についても記載する。比較試験でダブルダミー方式をとる場合は、各プラセボの説明を記載する。

1. 被験薬

AB123 5mg錠:1錠中XXを5.0mg含有する白色の錠剤

AB123プラセボ錠:XXを含有せず、AB123 5mg錠と外観上識別不能な白色の錠剤

対照薬

TAISYOⓇ 5mgカプセル:1カプセル中YYを5.0mg含有する青色のカプセル剤

TAISYOⓇ プラセボカプセル:YYを含有せず、TAISYOⓇ 5mgカプセルと外観上識別不能な青色のカプセル剤

治験デザイン

【記載の手引き】

試験計画の構成(並行群間比較試験、クロスオーバー法、漸増法、盲検化、多施設共同試験、割付方法、治験実施期間等)を記載する。

比較の型式(優越性、同等性、非劣性等)、対象患者の概説を記載してもよい。

【参考】

答申GCP10-4 2)

ICH-E3-9.1 治験の全般的なデザイン及び計画-記述

ICH-E4 新医薬品の承認に必要な用量-反応関係の検討のための指針

ICH-E8-3.2.2 デザイン

ICH-E9-3.1 試験計画の構成

ICH-E9-3.3 比較の型式

比較方法

【参考】

ICH-E9-2.3 偏りを回避するための計画上の技法

ICH-E9-3.2 多施設共同治験

多施設共同、無作為化、実薬対照、二重盲検並行群間比較試験

群の構成

1. AB123 5mg錠投与群:AB123 5mg錠+TAISYOⓇプラセボカプセル

TAISYOⓇ 5mgカプセル投与群:TAISYOⓇ 5mgカプセル+AB123プラセボ錠

用法・用量

【参考】

答申GCP10-4 4),5)

答申GCP10-6 1)

ICH-E4 新医薬品の承認に必要な用量-反応関係の検討のための指針

ICH-E3-9.4.1 治療法

ICH-E3-9.4.4 治験における用量の選択

ICH-E3-9.4.5 各患者の用量の選択及び投与時期

投与量及び投与方法

【記載の手引き】

被験薬、対照薬別に投与量及び投与方法を記載する。投与量及び対照薬の設定根拠も記載する。投与期間、投与量、投与時期及び投与方法、飲み忘れ時の対応等について記載する。投与量の変更や被験者への指示事項がある場合には、判定基準などを具体的に記載し、「原則として」といった曖昧表現は避ける。また、設定根拠も記載する。

【参考】

ICH-E10 臨床試験における対象群の選択とそれに関連する諸問題

以下のようなダブルダミーを用いた治験薬のセット (1) 又は (2) を経口投与する。

(1) AB123投 与 群:AB123 5mg錠 1回1錠、1日2回(朝、夕)食後

TAISYOⓇ プラセボカプセル 1回1カプセル、1日2回(朝、夕)食後

(2) TAISYOⓇ投与群:TAISYOⓇ 5mgカプセル 1回1カプセル、1日2回(朝、夕)食後

AB123 プラセボ錠 1回1錠、1日2回(朝、夕)食後

投与期間は5日間とし、治験薬(①AB123 5mg錠を1錠+TAISYOⓇプラセボカプセルを1カプセル又は②TAISYOⓇ 5mgカプセルを1カプセル+AB123プラセボ錠を1錠)を1日2回(朝、夕)食後30分以内に服用する。食事の時間は投与期間を通じて朝・夕それぞれ1時間以内の誤差範囲とする。服用にあたっては、いずれもコップ1杯の水(約200mL)で服薬し、服薬後30分間は飲食物の摂取を禁止する。治験薬は噛んだり、つぶしたりせず、そのままの形で服用する。

<投与量の設定根拠>

本治験に先立ち、本邦において年月~年月までに実施した低用量、中用量、高用量の3投与群による用量検討試験では、投与用量に応じてDDウイルス力価の減少傾向が認められた。副作用発現率については、高用量投与群で10%と他の用量と比べて有意に高く、臨床使用においては中用量である5.0mg以下が妥当であると考えられた。本治験においては、中用量である5.0mgにおける有効性、安全性について検証することとし、対照薬の用法用量は添付文書に従い5.0mgとした。なお、剤型が異なることから、ダブルダミー法として、各々にプラセボを服用することとした。

<対照薬の設定根拠>

AB123はDDウイルスの治療薬として開発中である。現在本邦で販売されているDDウイルス治療薬には、TAISYOⓇ、KKK、LLLの3剤があるが、これらのうちTAISYOⓇは、本邦でDDウイルス治療薬として最初に承認され、現在までに世界各国で広く使われている。、利用可能な標準治療として汎用されているTAISYOⓇを対照薬として選定した。

<投与期間の設定根拠>

DDウイルス量は、発症後1日から2日でピークとなることが知られている1)。発症後もDDウイルスは体内に3日間は存在することが知られているため、充分に死滅し、治験薬の効果が確認できる期間として5日間の服用期間を設定した。服用にあたっての注意事項は、体内動態を考慮した。

治験薬の増量、減量、休薬、中止基準

【記載の手引き】

基準をわかり易く、表で記載する。

【参考】

ICH-E3-9.4.8 治療方法の遵守

ICH-E8-3.2.2.5 c) 服薬状況

治験薬投与状況の確認

【参考】

GCP第45条第1項

ICH-E3-9.4.8 治療方法の遵守

ICH-E8-3.2.2.5 c) 服薬状況

治験責任医師等は治験薬の服薬状況及び服薬時間を確認し、症例報告書に記載する。

目標症例数

【記載の手引き】

目標症例数を明確に記載する。目標症例数以外に、最低必要症例数、登録被験者数、無作為化された被験者数、治験薬投与前の予備被験者数を設定している場合等、条件がある場合は、その内容を明確に記載する。

200例

AB123 投与群:100例(最低必要症例数 90例)

TAISYOⓇ投与群:100例(最低必要症例数 90例)

治験デザインの設定根拠

【記載の手引き】

前相までの試験成績や既存治療薬等の情報をもとに、目標症例数、用法・用量、投与期間、治験スケジュール、対照薬、選択/除外基準等の設定根拠を記載する。

【参考】

ICH-E3-9.2 対照群の選択を含む治験デザインについての考察

ICH-E10 臨床試験における対象群の選択とそれに関連する諸問題

AB123のDDウイルス罹患患者を対象とした後期第Ⅱ相試験成績において、AB123 5mgの5日間投与により、DDウイルス力価の変化量は試験8日目に最大となり、●●に対して有意差が認められた。また、安全性上の問題は認められなかった。これよりDDウイルス罹患患者に対するAB123の有効性の検証、及び安全性の確認を目的に、DDウイルス治療薬として利用可能な標準治療として汎用されているTAISYOⓇを対照とした第Ⅲ相二重盲検並行群間比較試験を計画した。

治験実施期間

【記載の手引き】

契約締結(予定)日のうち早い日から、実施医療機関における観察終了予定日のうち最も遅い日までを含む期間を記載する。

新有効成分薬物、新投与経路薬物又は新医療用配合剤の治験計画届書の初回届出時は、治験を実施する実施医療機関との契約締結(予定)日の31日以上前、これら以外は14日以上前を目安とし、治験計画届書と治験実施期間との整合性をとる。

【参考】

答申GCP10-16 治験期間

2011年11月~2014年3月

(被験者登録期間2011年11月1日~2014年3月23日)

被験者の選択

【参考】

GCP第7条第1項8)

GCP第44条 被験者となるべき者の選定

答申GCP10-5 被験者の選択、除外、中止基準

ICH-E3-9.3 治験対象母集団の選択

ICH-E8-3.2.2.1 被験者の選択

ICH-E9-2.2.1 対象集団

対象疾患/症状

【記載の手引き】

対象となる疾患名、症状等を記載する。

DDウイルス罹患患者

選択基準

【記載の手引き】

同意取得能力、年齢(下限・上限年齢)、性別、入院・外来の別及びそれを確認する時点、状態及び症状を盛り込み、各々設定根拠を記載する。

対象疾患の組み入れ条件に診断基準、検査測定値範囲等の特定条件があれば明記する(例:糖尿病でのHbA1c値の範囲)。

対象疾患の組み入れ条件に重症度(重症、中等症、軽症)の区別がある場合は、その定義を明確にする(例:検査測定値による区別、合併症による区別、罹病期間による区別、臓器障害による区別)。

対象疾患の組み入れ条件に症状や病態が安定していることが必須である場合、判定者、条件を満たす観察期間、観察項目及び観察方法を明記する。

1. 自由意思による治験参加の同意を本人から文書で取得可能な患者

【記載の手引き】

同意能力を欠く者を対象とする場合には、理由及び考察を含め設定根拠に記載する。

【参考】

GCP第50条第1項

答申GCP3-9

答申GCP7-2-1-1

1. 同意取得時の年齢が20歳以上80歳未満の患者

【記載の手引き】

年齢の範囲及びいつの時点の年齢か(同意取得時点、治験薬投与開始時点等)を記載する。

1. 性別:不問

1. 入院・外来:不問

1. 38.0℃以上の発熱(腋窩温)がある患者

【記載の手引き】

組み入れ条件の基準数値や測定方法を明記する。

1. 迅速診断キットDDで陽性の患者

1. 初回治験薬投与予定時刻が発症*から48時間以内である患者

*発症の定義:被験者自身が平熱から少なくとも1℃以上上昇したことを認識した時

<設定根拠>

(1)及び(2)は、代理人ではなく本人から同意可能な年齢とし、20歳以上を対象とした。また、年齢の上限については、先に実施した薬物動態試験において70歳以上の高齢者を解析した結果、健康成人男子と比較しても大きな薬物動態の差は認められなかったこと、また有害事象の発生頻度ならびに重症度にも大きな差が認められなかったことから80歳未満までとした。

(3)及び(4)は、性別、入院・外来の別により、治験薬の効果に影響を与えないことからいずれも可能とした。

(5) ~(7)は、治験薬の薬効評価が十分に行える基準として設定した。

除外基準

【記載の手引き】

同意取得能力、他の治験への参加の有無等を考慮し、除外基準を設定し記載する。なお、被験薬の有効性評価に影響する事項、被験薬の安全性評価に影響する事項、被験者の安全性に係る一般的配慮等に分けて設定根拠とともに記載する。

解釈が異なるような表現は避け、可能な限り具体的な基準値、判定方法、疾患名等を記載する。臨床検査の値で除外する場合は、その値を記載する(例:血清クレアチニン値2.0mg/dl以上)。

実薬対照試験で対照薬に禁忌症がある場合は、その内容を記載する。

治験薬概要書、対照薬の添付文書、並びに各種ガイドラインを参考に設定する。

併用禁止薬・療法がある場合はここに記載するか、「併用禁止薬・療法を使用しているもの」などと記載し、併用禁止薬・療法の項を見るように促しても良い。ここに記載する場合は、併用禁止薬・療法の項と齟齬が無いよう留意する。

1. 登録時に、高度な心疾患[心不全、心筋梗塞、心筋炎]、肝疾患[肝不全症状(劇症肝炎)、肝硬変、肝腫瘍]、腎疾患[ネフローゼ症候群、腎不全(急性及び慢性)、尿毒症、水腎症]、悪性腫瘍及び免疫不全を合併症として有する患者(既往歴の場合は可能)

【記載の手引き】

基準値又は具体的な病名を記載するとともに、既往は該当するのか、合併している場合だけ不可とするのかもわかるように記載する。

1. 抗ウイルス薬に起因すると考えられる、アレルギーや重篤*な副作用が過去に発症(発現)していたことが診療録あるいは問診より確認された患者

*「13.1.1重篤な有害事象の定義」に準じる。

【記載の手引き】

重篤な副作用がどのように認められたら除外となるのか(時期等)を記載する。

クマリン系抗凝固薬を登録7日前以降に服用したことがある患者

【記載の手引き】

除外すべき服用回数・時期を明記する。

DDウイルス以外が原因と思われる症状(咳、痰、鼻水)の臨床所見がある患者

【記載の手引き】

除外すべき臨床症状を明記する。

細菌感染由来(例:白血球数の上昇や膿のある痰や鼻水がでている)と思われる臨床所見がある患者

【記載の手引き】

感染の原因のうち当該治験薬に影響を与えない被験者を選択するためにも、どのような状態のものを除くか等、特定の要件も記載する。

登録前に妊娠検査キット(尿中hCG)で妊娠の可能性が否定できなかった女性**、治験期間中に避妊を行えない女性、妊婦及び授乳中の女性

** 閉経後12ヵ月経過している場合、月経中の場合及び子宮又は両卵巣を摘出している場合は実施しなくてもよい

【記載の手引き】

妊娠検査方法を記載する。また、治験期間中に妊娠を避けるために、避妊処置を行えない女性についても除外とすることを記載する。妊娠検査を不要とする場合には、その条件を記載する。

同意取得時の4週間以内に200mL、男性で12週間以内に400mL、女性で16週間以内に400mLの採血を受けた患者

同意取得時の180日以内に治験薬(製造販売後臨床試験薬)の投与を受けた患者

TdP(Torsades de pointes)に対するリスク因子の既往のある患者(心不全、低カリウム血症、QT延長症候群の家族病歴(父母、兄弟姉妹、子))

その他、治験責任医師等が本治験の対象として不適当と判断した患者

<設定根拠>

(1)は、安全性への一般的配慮から設定したものであり、心、肝、腎疾患については「医薬品等の副作用の重篤度分類基準について(薬安第80号)」を参考に重篤(グレード3)に該当する疾患を除外することとした。

(2)~(5)は、治験薬特有によるもので、治験薬の薬効評価を正しく行うために設定した。

(6)、(8)、及び(10)は、治験を行うにあたっての安全性、被験者の適格性に関する一般的配慮である。

(7)は、他の臨床研究や献血等での採血による影響を避けるために、日本赤十字社の献血基準を参考とし設定した。

(9)は、類薬でQT延長、心室性不整脈が報告されているために設定した。

被験者の同意取得の時期と方法同意取得の時期

【記載の手引き】

治験薬投与前の観察期間又はWashout期間を設定している場合、期間開始前に同意を取得することを記載する。

同意取得前の検査を治験データとして使用する場合、許容期間を記載する。

継続意志の確認が必要な場合にはその旨を記載する。

同意書改訂の場合、再同意取得が必要であることを記載する。

【参考】

GCP第50条第1項

治験内容の説明は同意取得前までに行い、同意取得はスクリーニング検査以前とする。

同意取得の方法

【記載の手引き】

特殊な同意取得の場合には記載する。

被験者の登録

【記載の手引き】

被験者登録の実施手順を明記する。また、比較試験においては、本項又は無作為化の方法の項に無作為割付法、層別化や割付因子及びそれら因子の設定根拠を記載する。

【参考】

ICH-E3-9.4.3 治療群への患者の割付け方法

ICH-E9-2.3.1 盲検化

ICH-E9-2.3.2 ランダム化

被験者スクリーニング名簿及び被験者登録名簿の作成

【記載の手引き】

被験者スクリーニング名簿、被験者登録名簿は兼用しても構わない。

被験者スクリーニング名簿及び被験者登録名簿は、「治験に係る文書又は記録」によると治験依頼者に保管義務はない。そのため、被験者スクリーニング名簿の提供について記載することは必須ではないが、被験者の同意取得、投薬、終了又は中止等、一覧で確認できることから入手を必須とする場合は記載する。

治験責任医師等は、被験者識別コード、被験者名、カルテ番号、薬剤番号、同意取得年月日等を記載した被験者スクリーニング名簿及び被験者登録名簿を作成する。治験開始にあたってスクリーニングに組み入れられた時点より記載し、同意が得られた被験者については、同意説明文書の提供の有無についても記載する。このうち、治験に組み込まれた被験者については、治験の終了又は中止についても記載する。

登録手順

【記載の手引き】

無作為化を行う方法について記載する。最小化法等、動的割付の場合には、割付因子を被験者の登録の項又は本項に記載する。また、登録方法について記載する。

【参考】

答申GCP10-4 3)

ICH-E3-9.4.3 治療群への患者の割付け方法

ICH-E8-3.2.2.5 偏りを最小にする方法又は評価する方法

ICH-E9-2.3 偏りを回避するための計画上の技法

組み入れ基準を満たした被験者は、割付表に従い症例登録センターにて、2つの治療群のいずれかに割付けされる。治験薬割付責任者は、盲検性の維持及び客観的な症例の取扱いの観点から、第三者とする。

· 治験責任医師等は、選択基準及び除外基準に基づいた適合条件に合致している者から、被験者の自由意思に基づく文書同意を得る。

· 治験参加の同意が取得された被験者について、登録票に必要事項を記入の上、症例登録センターにFAXで送付する。

· 症例登録センターでは、連絡された被験者が選択基準及び除外基準に基づいた適合条件に合致していることが確認された場合、無作為割付を行い、治験責任医師等及び治験依頼者に被験者の被験者識別コード、治験実施予定日(投与日)及び薬剤番号を伝達する。

治験薬割付表の作成、盲検化の方法及び盲検性の維持

【記載の手引き】

盲検化を行う手順、開鍵前の残薬の回収手順、被験薬と対照薬の識別不能性の保証方法を明記する。治験薬の外観以外に味やにおいの識別不能性も確認する場合は、その旨を記載する。データモニタリング委員会あるいは中間解析等行う場合には、盲検性を維持するための手順を記載する。臨床検査値又は薬物動態データ等によって盲検性が破られる可能性がある場合は、防ぐ手段を記載する。

【参考】

答申GCP10-4 3)

ICH-E3-9.4.6 盲検化

ICH-E8-3.2.2.5 偏りを最小にする方法又は評価する方法

ICH-E9-2.3.1 盲検化

本治験は、二重盲検により行い、盲検性はダブルダミー法を用いて保証される。また、盲検性は、治験薬割付責任者を除くすべての治験関係者に対して、以下の手順で治験を通して維持する。

・治験薬割付責任者は、治験薬割付表を作成する。

・治験薬割付責任者は、治験薬の外観、包装形態、ラベル表示の識別不能性を保証する。

・治験薬割付責任者は、割付表を封印のうえ、開鍵時まで厳重に保管する。

・開鍵前に未使用治験薬及び残薬等を回収する場合、治験薬管理者により封印された状態で回収し、盲検性を維持する。

治験薬割付表とエマージェンシーキーの保管

【記載の手引き】

エマージェンシーキーの作成者、保管者及び保管方法を明記する。エマージェンシーキーを電子データで保存する場合には、管理方法やアクセス権の保持についても明記する。

動的割付を行う場合には、エマージェンシーキーは割付センターが保管する場合もある。

【参考】

答申GCP10-4 8)

ICH-E9-2.3.1 盲検化

ICH-E9-2.3.2 ランダム化

治験薬割付表は、治験薬割付責任者が開鍵時まで保管する。また、治験薬割付責任者は、治験薬の割付け後、重篤な有害事象の発現等の緊急時に備え、被験者個別に開鍵できるエマージェンシーキーを作成し、封印する。治験依頼者がエマージェンシーキーを保管し、特定の手順以外では開鍵しない(開鍵する場合は「7.3.3 治験中の開鍵手続き」を参照)。

開鍵手続き

【参考】

答申GCP10-4 8)

すべての症例報告書の作成が終了し、解析のためのデータが固定された後に治験薬割付責任者が開鍵する。

治験中の開鍵手続き

【記載の手引き】

緊急時の開鍵手順(開鍵する条件、開鍵判断者等)及び当該症例の取扱いについて明記する。

【参考】

GCP第16条第3項

答申GCP10-4 8)

ICH-E2A-3 4) ブラインド治療症例の取扱い

ICH-E9-2.3.2 ランダム化

治験責任医師等は、重篤な有害事象が発現し、被験者の安全性確保のため割付け薬剤の種類を知る必要があると判断した場合、治験依頼者にエマージェンシーキーの開鍵を要請することができる。治験依頼者は開鍵することの要否を判断の後、エマージェンシーキーを開鍵し、速やかに治験責任医師等に連絡する。エマージェンシーキーを開鍵した場合、当該被験者の治験薬の投与を中止する。また、治験依頼者はエマージェンシーキーを開鍵した場合、開鍵日及び理由を記録する。緊急の事態を回避した後、治験責任医師等は、エマージェンシーキーの開鍵について実施医療機関の長に連絡する。治験実施途中で個別にエマージェンシーキーを開鍵した場合、その実施医療機関で実施されている他の症例の盲検性、取扱い及び今後の方針については、治験薬割付責任者と治験依頼者が協議し、決定する。

治験薬

【参考】

GCP第7条第1項6)

GCP第16条 治験薬の管理

GCP第17条 治験薬の交付

GCP第39条 治験薬の管理

答申GCP5-2-6 治験薬の管理

答申GCP8-1-9 治験薬の製造、包装、表示及びコード化

答申GCP10-4 4)

答申GCP10-4 7)

ICH-E3-9.4.2 治験薬の同定

投与群、包装形態及び表示投与群及び包装形態

【記載の手引き】

包装形態の記載は表形式、箇条書き形式どちらでもよい。治験実施計画書作成時に包装形態が決定している場合には、図を記載する。なお、治験薬の取扱い手順書に記載することも可能である。治験薬保管スペースのためにサイズ情報を提供することが望ましい。

1回の服用が、AB123 5mg錠投与群はAB123 5mg錠と TAISYOⓇプラセボカプセル、TAISYOⓇ 5mgカプセル投与群はTAISYOⓇ 5mgカプセルと AB123プラセボ錠になるように次表のように組み合わせ、5日分に予備の1日分を含めて5+1日分を1シート包装とし、アルミ袋に入れ、更に小箱に入れて1症例分とする。

薬剤群

分包

AB123 5mg錠投与群

AB123 5mg錠

TAISYOⓇプラセボカプセル

TAISYOⓇ 5mgカプセル投与群

TAISYOⓇ 5mgカプセル

AB123プラセボ錠

表示

【記載の手引き】

治験薬の容器又はラベルに治験用である旨、治験依頼者名及び住所、化学名又は識別記号、製造番号又は製造記号を記載する。貯蔵方法及び有効期間等が必要な場合はその内容を記載する。

上記記載内容を盛り込んだ表示見本を記載する。なお、治験薬の取扱い手順書等に記載することも可能である。

【参考】

GCP第16条 治験薬の管理

答申GCP8-1-9 治験薬の製造、包装、表示及びコード化

答申GCP10-4 4)

表示は治験薬の取扱い手順書に別途記載する。

治験薬の管理

【記載の手引き】

治験薬の管理について、詳細を治験薬の取扱い手順書に記載する場合は、治験薬の取扱い手順書に従う旨を記載する。

治験薬の取扱い手順書に従い、保管管理を行う。

貯法

【記載の手引き】

貯蔵条件(温度、遮光、湿度等)を設定する必要がある場合は記載する。

治験薬の取扱い手順書に温度まで明記する。

室温保存(1~30℃)

治験薬の取扱い手順書に準じて保存する。

有効期間

【記載の手引き】

有効期間を定める必要があるものについては、その内容を提示する必要がある。治験実施計画書に記載する又は治験薬の取扱い手順書に記載する場合のどちらでもよい。

ロットが多い、ロットごとに期限が異なる場合等は、実施医療機関ごとの手順書で対応する方法もある。

開封後の有効期限が分かれば記載する。

有効期間は治験薬の取扱い手順書に別途記載する。

交付

【記載の手引き】

運搬業者を用いて交付する場合には、治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うために別途手順書を作成するとともに、運搬業者と契約締結を行っておく。

【参考】

GCP第17条 治験薬の交付

答申GCP8-1-10 治験薬の交付及び取扱い

治験依頼者は、実施医療機関の長と治験に関する契約を締結後、治験薬管理者に、治験薬及び治験依頼者が定める治験薬の取扱い手順書を交付する。

保管・管理

治験薬管理者は、治験薬の取扱い手順書に従って治験薬を適切に保管し、管理及び使用状況を記録する。

なお、本治験薬は本治験にのみ使用し、他の目的に使用してはならない。

回収

【記載の手引き】

回収については、明確に記載する。使用済みバイアルや感染性廃棄物に該当する場合は、バイオハザードの観点から回収しない場合もあり、その取扱いについては治験薬管理手順書等に記載する。

治験依頼者は治験薬管理者より残薬(被験者よりの回収治験薬及び未使用治験薬)及び空箱を回収する。また、治験薬の保管・管理記録の写しを入手する。

治験薬管理者は、開鍵前に返却する場合、残薬の数量を確認した上で、交付時の小箱に戻し、封印をして治験依頼者に返却し、実施医療機関での治験薬の保管・管理記録の写しを治験依頼者に提供する。

併用薬及び併用療法

【記載の手引き】

併用禁止薬、併用制限薬は種類別に成分を含めて記載する。投与経路によって異なる場合はその旨、記載する。なお、種類が多い場合には、別途リストを作成する方がわかりやすい。

療法は範囲や内容を誤解が無いように記載する。

【参考】

答申GCP10-6 2)

ICH-E3-9.4.7 前治療及び併用療法

併用禁止薬・療法

治験薬の評価に影響を及ぼすと考えられる以下の薬剤・療法の併用は治験薬投与当日から投与8日目の観察(+1日の許容期間も含む)を終了するまで禁止とする。なお、治験薬投与開始後にこれらの薬剤・療法の使用が必要となった場合は、治験を中止し、中止時の観察項目を速やかに実施する。

1. 併用禁止薬

クマリン系抗凝固薬、抗ウイルス薬、抗生剤、解熱鎮痛剤

(20) 併用禁止療法

ネブライザー及び咽頭処置(ルゴール、塩化亜鉛)

併用制限薬・療法

【記載の手引き】

併用制限薬・療法は、完全禁止が困難なものに限り認め、使用した場合に薬剤名、開始・終了時期、使用量、使用目的等の情報を症例報告書に記載する。

併用制限薬・療法が設定される場合は、特別な理由がない限り、その期間は統一する。

治験期間を通じて内容を変更せず継続して実施する等、併用制限により実施可能とする場合にはその旨を記載する。

以下薬剤・療法については併用を避けるが、やむを得ず併用する場合は、薬剤名、1日量、投与期間(開始・終了時期)、投与理由、療法名、実施回数、実施期間(開始・終了時期)及び実施理由を症例報告書に記載する。

1. 併用制限薬

以下の併用制限薬は、治験期間中、内容を変更することなく継続する。

活性型ビタミン剤(サプリメントを含む)、合併症治療薬

(22) 併用療法(例:食事療法・運動療法)は、同意取得後から治験薬投与期間を通じ、変更しないものとする。

評価項目

【参考】

ICH-E3-9.5 有効性及び安全性の項目

ICH-E8-3.2.2.4 反応変数

有効性の主要評価項目

【記載の手引き】

試験の目的に直結した項目を設定する。検証的試験の場合は、原則として一項目とする。

各項目を設定した理由を記載する。

【参考】

答申GCP10-4 1)

答申GCP10-7 有効性の評価

ICH-E9-2.2 試験で扱う範囲

試験8日目のDDウイルス力価の変化量

<設定根拠>

DDウイルスに対する本剤の効果を評価するために設定した。

有効性の副次的評価項目

【記載の手引き】

各項目を設定した理由を記載する。

【参考】

答申GCP10-4 1)

答申GCP10-7 有効性の評価

ICH-E9-2.2 試験で扱う範囲

1. 37.0℃未満(腋窩温)に回復するまでの時間

1. 投与開始24、36、48、96時間後のDDウイルス罹患症状(咳、痰、鼻水)重症度 合計スコアの投与前からの変化量

<設定根拠>

37.0℃未満(腋窩温)に回復するまでの時間、DDウイルス罹患症状(咳、痰、鼻水)重症度合計スコアの投与前からの変化量についてはDDウイルス罹患症状に関する本剤の効果を評価するために設定した。

安全性の評価項目

【参考】

答申GCP10-8 安全性の評価

ICH-E9-2.2 試験で扱う範囲

ICH-E9-6.1 評価の範囲

1. 臨床検査

(26) バイタルサイン

(27) 心電図検査(12誘導)

(28) 有害事象

調査・観察項目及び実施時期治験スケジュール

【記載の手引き】

実施可能なスケジュールを設定する。

被験者への侵襲も考慮する。

調査・観察項目については実施する順に上から記載するとわかりやすい。

全被験者が必須ではない項目は、違う記号を用いて記載するとわかりやすい。

1ヵ月を28日もしくは30日とするなど明記すること。

初回のVisitやDayを0とするか1とするか明確にする。

調査・観察・検査実施時期や同意取得から治験薬投与までの期間の許容範囲はスケジュール表内か近くに記載する。

表11-1 治験スケジュール

時期

スクリーニング

Visit 1

Visit 2

Visit 3(終了時)

中止時

試験日

(許容範囲)

1日目

3日目

4,5日目

8日目

(-2,+1)

(+3)

投与前

投与後

同意取得

診察

被験者特性の調査

迅速診断キットDD

血清抗体価検査

登録

治験薬投与

←1日2回、5日間(1~5日目)→

ウイルス検査

(鼻腔、咽頭ぬぐい液)

患者

日誌a)

体温測定

←1日4回→

(1~3日目)

←1日2回→

(4~8日目)

●c)

DDウイルス

罹患症状重症度の評価

←1日2回(1~8日目)→

臨床検査

バイタルサイン

心電図検査

妊娠検査b)(尿中hCG)

有害事象

← ● →

●:実施 ■:女性のみ実施

a) スクリーニング時は、治験責任医師等あるいは治験協力者が被験者に記載方法を説明の上、記載させる。1日4回の評価日は朝(起床後から9時まで)、昼(11時から14時まで)、夕(17時から20時まで)、夜(21時以降)、1日2回の評価日は朝(起床後から9時まで)、夕(17時から20時まで)に記録させる。Visit 2以降は、治験責任医師等あるいは治験協力者が記載状況を確認し、記載済みの日記を回収する。

b) スクリーニング時及び最終観察時 (Visit 3又は中止時) に女性のみ実施する。閉経後12ヵ月経過している場合、月経中の場合及び子宮又は両卵巣を摘出している場合は実施しなくてもよい。

c) 中止時点まで体温測定を実施する。

【記載の手引き】

各Visitに許容範囲を設ける場合、基準となる規定日を明確に設定の上、範囲を明記する。(今回はVisit 1を1日目としてカウントする。)

【参考】

GCP第7条第1項7)

答申GCP10-4 2)

ICH-E3-9.5.1 有効性及び安全性の評価項目及びフローチャート

表11-2 調査・観察・検査実施時期の許容範囲

時期(規定日)

許容範囲

スクリーニング

Visit 1と同日、治験薬投与前

Visit 1(1日目):診察、バイタルサイン、心電図検査

投与終了後1時間以内

Visit 2(3日目)

規定日のみ

Visit 3(8日目)

6~9日目

中止時

治験薬最終投与後3日以内

被験者特性の調査(背景因子)

【記載の手引き】

家族歴を調査する場合は家族の範囲を記載する。

病歴などで調査期間の範囲を定める場合は記載する。

【参考】

ICH-E3-11.2 人口統計学的及び他の基準値の特性

治験責任医師等は以下の項目について、スクリーニング時に調査及び検査を実施する。

性別、生年月日、身長、体重、DDウイルス罹患診断(迅速診断キットDD)、血清抗体価検査

診察

【記載の手引き】

診察時期をあらかじめ特定し、その時期を記載する。

治験責任医師等は以下の時期に被験者を診察する。

<診察時期>

スクリーニング、Visit 1、2、3又は中止時

有効性の評価

【参考】

答申GCP10-4 1)

答申GCP10-7 有効性の評価

ICH-E3-9.5 有効性及び安全性の項目

ICH-E8-3.2.2.4 反応変数

ICH-E9-2.2 試験で扱う範囲

ウイルス検査

治験責任医師等は鼻腔、咽頭のぬぐい液を採取し、ウイルス検査を実施する。

<測定時期>

スクリーニング、Visit 1、2、3又は中止時

<設定根拠>

項目の設定根拠は10.3 評価項目の項を参照。DDウイルスは通常3日間前後で陰性化する2)ことから、試験8日目まで検査することとした。

患者日誌(体温、DDウイルス罹患症状(咳、痰、鼻水)重症度)

【記載の手引き】

1日に複数回観察・検査する場合は、実施のタイミング(許容時期含む)を記載する。

同一ポイントで複数回測定する場合、どの測定結果を採用するかを記載する。

体温を測定する場合には測定方法(腋窩、耳温、舌下温)を記載する。

治験責任医師等は以下の項目について、被験者に患者日誌を記載させる。(評価以外の記載項目(実施医療機関名等)は治験責任医師等又は治験協力者が記載してもよい)。

スクリーニング時は、治験責任医師等又は治験協力者が被験者に記載方法を説明の上、記載させる。1日4回の評価日は朝(起床後から9時まで)、昼(11時から14時まで)、夕(17時から20時まで)、夜(21時以降)、1日2回の評価日は朝(起床後から9時まで)、夕(17時から20時まで)に測定及び評価させ、結果を記載させる。(複数回測定した場合は、最高値を記載する。)Visit 2以降は、治験責任医師等又は治験協力者が記載状況を確認し、記載済みの日誌を回収する。

1. 体温(腋窩温)

(30) DDウイルス罹患症状重症度咳、痰、鼻水の症状を0(症状なし)、1(軽度)、2(中等度)、3(重度)の4段階で表11-3に従い評価する。

表11-3 DDウイルス罹患症状重症度評価基準

0(症状なし)

1(軽度)

2(中等度)

3(重度)

0回

1~3回

4~6回

7回以上

痰(去痰)

0回

1~3回

4~6回

7回以上

鼻水(擤鼻)

0回

1~3回

4~6回

7回以上

前評価時点から認められた回数とする。スクリーニング時はスクリーニング前12時間を評価

する。

<調査時期>

1. 体温

スクリーニング、試験1~3日目(1日4回、朝・昼・夕・夜)、4~8日目(1日2回、朝・夕)

(32) DDウイルス罹患症状重症度スクリーニング、試験1~8日目(1日2回、朝・夕)

<設定根拠>

項目の設定根拠は「10. 評価項目」の項を参照。DDウイルス罹病期間は平均3.8日間3)であることから、DDウイルス罹患症状(咳、痰、鼻水)治癒まで観察できる期間として試験8日目まで調査することとした。また、急性期には症状の変化が見込まれることから、より頻回に調査することとした。

安全性の評価

【参考】

答申GCP10-4 1)

答申GCP10-8 安全性の評価

ICH-E3-9.5 有効性及び安全性の項目

ICH-E3-12 安全性の評価

ICH-E8-3.2.2.4 反応変数

ICH-E9-2.2 試験で扱う範囲

ICH-E9-6 安全性及び忍容性評価

臨床検査

【記載の手引き】

空腹時など測定時期を特定する場合は、具体的な時間も示す(食後X時間以上経過等)

集中測定する場合はその旨を記載する。検体の取扱いについては別に項立てしてもよい。

治験責任医師等は以下の項目の血液学的検査、血液生化学的検査及び尿検査を実施する。測定は、臨床検査測定実施施設で実施する。採血は、別に提供する採血管にて行い、回収まで冷蔵保存する。1回の採血は6mL、採尿は10mLとする。

1. 血液学的検査:白血球数、白血球分画(好塩基球、好酸球、好中球、リンパ球、単球)、赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値、血小板数

血液生化学的検査:AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、総コレステロール、中性脂肪、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総ビリルビン、CPK、CRP

尿検査:尿定性(蛋白、糖、ウロビリノーゲン、潜血)

<測定時期>

スクリーニング、Visit 2、3又は中止時

<設定根拠>

【記載の手引き】

薬剤の特性から設定した項目がある場合はその設定根拠を記載する。

CPK及びCRPは被験薬が横紋筋融解症に及ぼす影響を検討するために設定した。その他の項目は一般的な臨床試験での検査項目を参考に設定した。測定時期については、被験者の来院時期に合わせ、スクリーニング、Visit 2、3又は中止時とした。

バイタルサイン

【記載の手引き】

測定条件、必要に応じて測定時間を明確に記載する。

治験責任医師等は以下の項目の測定を実施する。

血圧(座位)、脈拍(座位)

<測定時期>

スクリーニング、Visit 1、2、3又は中止時

<設定根拠>

一般的な臨床試験での検査項目として各Visitで測定することとした。

心電図検査(12誘導)

【記載の手引き】

測定方法(12誘導等)を明確に記載する。

治験責任医師等は心電図検査(12誘導)を実施する。

<測定時期>

スクリーニング、Visit 1、2、3又は中止時

<設定根拠>

類薬でQT延長、心室性不整脈が報告されていることから各Visitで測定することとした。

有害事象

1. 有害事象

有害事象とは、治験薬との因果関係の有無に関わらず、治験薬を投与された被験者に生じたあらゆる好ましくない、あるいは意図しない出来事をいう(臨床検査値の臨床的に意味のある異常変動を含む)。なお、有害事象のうち、治験薬との因果関係「関連なし」以外のものを副作用として取扱う。

1. 有害事象の評価方法及び基準

治験薬投与中及び投与後(追跡調査を除く、最終観察日又は最終検査日のどちらか後の日)に有害事象(臨床検査値の異常変動を含む)が発現した場合には、その症状及び経過、発現日、重篤度、重症度、転帰及び転帰確認日(消失した場合は消失時期)、処置の有無(有りの場合、その内容)、治験薬との因果関係について症例報告書に記入する。なお因果関係を「関連なし」と判定した場合には、その判定理由についても記載する。

治験薬投与後に異常値を認め、これが投与前値よりも悪化傾向にあり、治験責任医師等が臨床的に意味のある悪化と考えた場合を異常変動と判定し、有害事象として取扱う。異常変動(有害事象)と判定した場合には追跡検査を基準値若しくは投与前値に復するまで、あるいは医学的に追跡調査の必要がないと判断されるまで追跡調査を実施する。

0. 重篤度

1. 重篤でない

2. 重 篤:「13.1.1.重篤な有害事象の定義」を参照

0. 重症度

【記載の手引き】

重症度、因果関係は判定基準も含めて記載する。

以下の3段階で評価する。

1. 軽 度:日常生活に支障をきたさない程度のもの(無処置で容易に耐えられる)

2. 中等度:日常生活に支障をきたすもの(処置により治験薬投与後の検査・観察が実施可能な程度)

3. 高 度:日常生活を送れなくなったもの

0. 因果関係

治験薬との因果関係は次の基準で判定する。因果関係「関連あり」を副作用として取扱う。関連性は、投与中止後の消失、投与再開後の再発、既に当該治験薬又は類薬において因果関係が確立、交絡するリスク因子がない、暴露量・暴露期間との整合性がある、正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能、併用療法が原因である合理的な可能性が見られない等を参考に判定する。

1. 関連なし:当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、合理的な可能性がない反応

2. 関連あり:当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応

1. 追跡調査

【記載の手引き】

有害事象が未回復で追跡調査を打ち切ることを許容する場合、その条件も記載しておく。

治験期間中に発現したすべての有害事象に対して、適切な処置、治療を行い、症状が消失するまで又は検査値が基準値若しくは投与前値に復するまで、あるいは医学的に追跡調査の必要がないと判断されるまで追跡調査を実施する。

妊娠検査

【記載の手引き】

妊娠検査の方法を具体的に記載する。また、実施不要の条件を明確に記載する。

【参考】

ICH-E8-3.1.4.3 a) 妊婦における検討

治験責任医師等は被験者が女性の場合、尿中hCG(定性)を測定する。なお、閉経後12ヵ月経過している場合、月経中の場合及び子宮又は両卵巣を摘出している場合は実施しなくてもよい。

<測定時期>

スクリーニング、Visit 3又は中止時

<設定根拠>

被験薬の妊娠中の投与に関する安全性は確立していないことから、妊娠の有無について治験開始時と終了時に確認することとした。

中止基準と手順中止基準と設定根拠

【記載の手引き】

服薬率の判断は「特定の期間内」か「全体」かを明確に記載する。

【参考】

答申GCP10-5 3)

ICH-E3-9.3.3 患者の治療又は評価の打ち切り

治験責任医師等は、被験者登録後に以下の事項に該当することが判明した場合、当該被験者に対する治験を中止する。

①有害事象が発現し、治験責任医師等が中止すべきと判断した場合

②被験者から治験中止の申し出があった場合

③服薬率が●●%未満であった場合

④併用禁止薬・療法を使用した場合

⑤治験対象として不適切であることが判明した場合 

⑥被験者の都合で必要な観察、検査の実施が不可能であることが判明した場合

⑦その他、治験責任医師等が治験薬投与を中止すべきと判断した場合

<設定根拠>

①は、安全性配慮のため設定した。

②は、同意取得時の説明事項であり、被験者の権利として設定した。

③及び④は、適切な評価が不可能であると考えられることより設定した。

⑤は、投与すべきでない被験者は、早期に治験を中止すべきであることから設定した。

⑥は、必要な観察ができない被験者は、早期に治験を中止すべきであることから設定した。

⑦は、上記以外で治験責任医師等の判断による中止を想定し、設定した。

中止手順

【記載の手引き】

中止年月日の定義を記載する。

【参考】

GCP第49条第1項、第2項

答申GCP10-5 3)

治験責任医師等は、中止基準に該当することが判明した場合、被験者に治験を中止する事を説明する。特に治験薬の投与開始以降に中止した場合においては規定された測定検査項目は可能な限り実施し、被験者の安全性の確認を行うものとする。また、中止後は代替治療等の適切な処置を実施する。

①有害事象の発現等、安全性上の問題が発生し、中止した場合

適切な処置を実施するとともに症状が治験開始前の状態にほぼ回復するまで、あるいは問題ないレベルに達したと判断されるまで可能な限り追跡調査を行う。重篤な有害事象が発現して中止した場合は「13. 被験者の安全性の確保」の項に従う。

②登録後に被験者が治験参加の中止を申し出た場合

被験者の権利を十分に尊重した上で、適切にその理由を確認する。

③治験薬の安全性に疑義を生じた等の理由により、治験責任医師が治験を中止又は中断した場合

実施医療機関の長に速やかにその旨を文書にて通知するとともに中止又は中断について文書で詳細を説明する。実施医療機関の長は、速やかにその旨及びその理由を治験審査委員会及び治験依頼者に文書により報告する。

④被験者が来院しなくなった場合

可能な範囲で被験者に連絡をとり、来院しなくなった理由、有害事象の有無を確認する。

中止した被験者については、中止までの調査内容、中止年月日(治験責任医師等が中止と判断した日)、中止理由、処置、その後の経過等について症例報告書に記載する。

被験者の安全性の確保有害事象発現時の対応重篤な有害事象の定義

【参考】

答申GCP2-15 重篤な有害事象又は重篤な副作用

ICH-E2A-2 2) 重篤な有害事象または副作用

重篤な有害事象とは、治験期間中に生じるあらゆる好ましくない事象の中で、以下のような事象あるいは結果に至るものをいう。

0. 死に至るもの

0. 生命を脅かすもの

0. 治療の為の入院又は入院期間の延長が必要であるもの

0. 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの

0. 先天異常を来すもの

0. その他医学的に重大な状態

有害事象発現時の処置

【記載の手引き】

治験薬概要書に記載されていないが、既知の情報と扱う場合には、各社の標準業務手順書にその手順をあらかじめ定める又は治験実施計画書にその手順を記載する。

「(2)関係者への報告」では、重篤な有害事象の報告期限に休日を含むのかを明確に記載する。(休日を含む24時間以内、○○営業日以内など)

「重要な有害事象」として報告が必要な場合は追記する。

【参考】

GCP第20条第3項

GCP第45条第3項、第4項

GCP第48条第2項

ICH-E2A-3 緊急報告のための基準

ICH-E3-12 安全性の評価

1. 被験者の処置

①重篤な有害事象の場合

治験責任医師等は、重篤な有害事象が発現した場合には、被験者の安全性の確保のため、治験薬の投与を中止し、有害事象に対する医療が必要となった場合にはその旨を被験者に伝え、適切な医療を提供する。

②重篤でない有害事象の場合

治験責任医師等は、有害事象に対する医療が必要となった場合には、その旨を被験者に伝え、適切な医療を提供する。

関係者への報告

①重篤な有害事象の場合

・治験責任医師等は、治験薬との因果関係の有無に関わらず重篤な有害事象が発現した場合には、実施医療機関の長、治験依頼者へ、重篤と判断してから24時間以内に口頭、電話、FAX等により報告し、その後、3日以内に文書による詳細な報告を行う。その際、実施医療機関の長へは重篤で予測できない副作用を特定して報告する。

・治験責任医師等は、治験依頼者、実施医療機関の長及び治験審査委員会の要求に応じて追加情報を提供する。

・実施医療機関の長は当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について治験審査委員会に諮問する。

・治験依頼者は発現した重篤な有害事象が、本被験薬との因果関係が否定できず、かつ予測できない事象であった場合、平成7年3月20日付薬審第227号(治験中に得られる安全性情報の取扱いについて)及び平成16年3月30日付薬食審査発第0330020号(独立行政法人医薬品医療機器総合機構設立後の医薬品等の副作用等報告及び治験に関する副作用等報告について)に基づいて当該副作用等を規制当局に緊急報告する。なお、予測できない有害事象とは以下のものをいう。

i ) 治験薬概要書に記載されていないもの

ii) 治験薬概要書に記載されていても、副作用の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が記載内容と一致しないもの

②重篤でない有害事象の場合

治験責任医師等は、特に留意すべき有害事象(横紋筋融解症、QT延長)が発現した場合には、速やかに発現内容及び行った処置について治験依頼者に報告する。それ以外の有害事象については、適宜その内容について治験依頼者に報告する。

妊娠

被験者の妊娠が判明した場合、所定の様式に記録する。直ちに治験薬の投与を中止し、治験依頼者に所定の情報(少なくとも被験者識別情報、発現日、治験薬投与日及び投与量等)を報告する。妊娠の追跡調査は、転帰(出産)を確認するまで実施する。

予想される副作用

【記載の手引き】

対照薬等について添付文書等を引用する場合には、「25.参考文献」欄へ記載する。

また、発現率も記載する。

【参考】

ICH-E2A-2 3) 副作用の予測可能性

予想される副作用

1. 非臨床試験から予測される副作用4)

嘔吐(イヌ)

1. 先行する臨床試験からの安全性情報

第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験を実施した結果、総症例286人中、治験薬との因果関係が否定できない有害事象(副作用)は表13-1に示す事項を認めた。

表13-1 副作用の発現例数一覧

種 類

頻度(%)

軟便

1件(0.3%)

悪心・嘔吐

9件(3.1%)

非臨床試験及び先行する臨床試験の結果、AB123に特異的な作用は無く、臨床使用において市販されているTAISYOⓇと同様の安全性を示すものと考えられた。

以上の点から、AB123投与時にはTAISYOⓇで知られている副作用の発現する可能性がある。以下にTAISYOⓇの副作用及びその処置について添付文書の記載内容をまとめて記載する。

1. TAISYOⓇの添付文書から予想される副作用

37. 重大な副作用

次のような副作用が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には中止する等の適切な処置を行う。

1. ショック、アナフィラキシー様症状

ショック、アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、意識障害、呼吸困難、チアノーゼ、悪心、胸内苦悶、顔面潮紅、そう痒感、発汗等があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。

1. 横紋筋融解

筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合は中止する。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意する。

1. その他重大な副作用

類薬(TAISYOⓇ、KKK)でQT延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)が現れるとの報告がある。定期的に心電図検査を行い、異常が認められた場合は、中止する等の適切な処置を行う。

37. 副作用

総症例3500人中、700例(20.0%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されている。その主なものを表13-2に示す。

表13-2 主な副作用

種 類

頻度(%)

下痢

250件(7.1%)

頭痛

200件(5.7%)

食欲不振

190件(5.4%)

悪心・嘔吐

180件(5.1%)

37. その他の副作用

副作用が認められた場合には、症状に応じて投与を中止する等の適切な処置を行うこと。

表13-3 その他の副作用

頻度不明

0.1~5%未満

0.1%未満

精神神経系

不安、振せん、めまい

眠気、抑うつ

肝臓

AST(GOT)、

ALT(GPT)の上昇

肝炎

腎臓

BUNの上昇

皮膚

光線過敏症

循環器

頻脈,血圧低下

低血糖

消化器

便秘,口渇

過敏症

発疹、浮腫

その他

倦怠感、脱力感

安全性の確保

本治験においては、「13.2.1.予想される副作用」に記載された内容を十分ふまえた上で、被験者の安全の確保に努めるものとする。これ以外にも不測の事故が発生した場合に備え、いつでも救急処置ができる体制を整えておく。

治験実施計画書の遵守、逸脱又は変更並びに改訂治験実施計画書の遵守

【参考】

GCP第7条第4項

GCP第20条第4項

GCP第46条第1項

答申GCP8-1-4-4

本治験は治験責任医師と治験依頼者の合意のもとに本治験実施計画書を遵守して実施する。治験責任医師及び治験依頼者は、本治験実施計画書及び症例報告書の見本の内容とその遵守について合意した旨を証するため、治験実施計画書又はそれに代わる文書にそれぞれ記名押印又は署名し各自日付を記入する。

治験実施計画書の逸脱又は変更

【記載の手引き】

すべての逸脱を治験依頼者へ報告することを取決めるのであれば本項に記載しておく。

【参考】

GCP第46条

ICH-E3-9.8 治験の実施又は計画された解析に関する変更

ICH-E3-10.2 治験実施計画書からの逸脱

ICH-E8-3.2.3 実施

治験責任医師等は次の場合を除き、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。

① 被験者の緊急の危険を回避する等、医療上やむを得ない場合

② 治験の事務的事項のみに関する変更である場合

上記①の場合、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合にはその案を、可能な限り早急に治験依頼者並びに実施医療機関の長及び治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、実施医療機関の長の了承及び治験依頼者の合意を得なければならない。

治験責任医師等は、治験実施計画書から逸脱した行為のすべてを、第三者が見てもわかるように記録する。

治験責任医師は、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、治験依頼者、実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会等に速やかに報告書を提出する。

治験実施計画書の改訂

【記載の手引き】

効果安全性委員会等、治験実施計画書への提言をする機関を設ける場合は、事例に追加する。

【参考】

GCP第7条第5項

ICH-E8-3.2.3 実施

治験依頼者は、次の事例があった場合、実施医療機関全体、一部の実施医療機関、あるいは個々の被験者における治験実施計画書に基づく治験実施継続の可否を検討し、必要な場合には治験実施計画書の改訂を行う。

① 治験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項、その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったとき。

② 医療上やむを得ない事情により、治験実施計画書の変更が必要となったとき。

③ 治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の修正の指示があったとき。

④ 治験実施計画書に記載した解析の主要な特徴(主要評価項目及びその解析)を変更するとき。

⑤ 異動等の理由で治験責任医師が変更になったとき。

治験依頼者が治験実施計画書の改訂又は変更が必要であると判断した場合、治験責任医師及び治験依頼者は、協議の上改訂内容とその遵守について合意し、その証として治験実施計画書又はそれに代わる文書にそれぞれ記名押印又は署名し各自日付を記入する。その後、治験審査委員会の承認を得る。

治験の終了又は中止及び中断

【参考】

GCP第24条 治験の中止等

GCP第40条 治験の中止等

GCP第49条 治験の中止等

治験の終了

【記載の手引き】

治験終了の条件を記載する。

治験責任医師は、当該実施医療機関における最終の被験者に対して治験実施計画書に規定された投与及び観察が終了した後、実施医療機関の長に治験が終了した旨及び治験結果の概要を文書で報告する。

実施医療機関の長は、治験審査委員会及び治験依頼者に対し、治験の終了を速やかに文書で通知するとともに、治験責任医師から提出された報告書に基づき、治験結果の概要を報告する。

治験の中止又は中断

【記載の手引き】

症例登録センターを設置した場合、症例登録センターへも治験の中止又は中断を通知する旨を記載しておくとよい。

効果安全性委員会等、治験中止又は中断の提言をする機関を設ける場合は、事例に追加する。

治験依頼者は、次の事例があった場合、実施医療機関全体あるいは一部の実施医療機関における当該治験実施計画書に基づく治験実施継続の可否を検討する。

① 治験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったとき。

② 治験実施計画書の変更が必要となり、実施医療機関がこれに対応できないとき。

③ 治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の修正の指示があり、治験依頼者がこれを承諾できない場合。

④ 治験審査委員会が治験を継続すべきではないと述べ、実施医療機関の長が治験の中止を指示した場合。

⑤ 実施医療機関がGCP、本治験実施計画書又は治験契約書に重大なあるいは継続的な違反を行った場合。

⑥ 異動等の理由で治験責任医師が変更になり、新たな治験責任医師が契約されるまでの間(中断)

なお、治験依頼者は、治験の中止又は中断を決定した場合、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関の長及び症例登録センターに文書で通知する。

実施医療機関の長は、治験依頼者から治験を中止又は中断する旨の通知を受けた場合、速やかにその旨及びその理由の詳細を治験責任医師及び治験審査委員会に文書で通知する。

治験責任医師は、治験依頼者から実施医療機関の長を通じて治験の中止又は中断の通知を受けた場合、被験者に速やかにその旨を通知し、適切な治療及び事後�